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「業務委託 代理店 営業」に関する裁判例(18)平成30年 3月22日 東京地裁 平27(ワ)30513号 損害賠償等請求事件

「業務委託 代理店 営業」に関する裁判例(18)平成30年 3月22日 東京地裁 平27(ワ)30513号 損害賠償等請求事件

裁判年月日  平成30年 3月22日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(ワ)30513号・平28(ワ)26133号
事件名  損害賠償等請求事件
文献番号  2018WLJPCA03228017

裁判年月日  平成30年 3月22日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(ワ)30513号・平28(ワ)26133号
事件名  損害賠償等請求事件
文献番号  2018WLJPCA03228017

平成27年(ワ)第30513号 損害賠償等請求事件(以下「甲事件」という。)
平成28年(ワ)第26133号 損害賠償等請求事件(以下「乙事件」という。)

東京都港区〈以下省略〉
株式会社a破産管財人
甲事件原告・乙事件原告 X(以下「原告」という。)
同訴訟代理人弁護士 川村恵一郎
神奈川県横浜市〈以下省略〉
甲事件被告 Y1(以下「被告Y1」という。)
同訴訟代理人弁護士 安保智勇
同 山田晃久
東京都目黒区〈以下省略〉
乙事件被告 Y2(以下「被告Y2」という。)
同訴訟代理人弁護士 多田光毅
同 北和尚
大阪市〈以下省略〉
補助参加人 株式会社Z
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 髙松直樹

 

 

主文

1  被告Y1は,原告に対し,380万4841円及びうち63万円に対する平成24年5月10日から,うち300万円に対する平成24年5月15日から,うち7万2733円に対する平成24年7月19日から,うち10万2108円に対する平成29年12月5日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  原告の被告らに対するその余の請求をいずれも棄却する。
3  訴訟費用については,原告と被告Y1との間においては,原告に生じた費用の10分の7を被告Y1の負担とし,その余は各自の負担とし,原告と被告Y2との間においては,原告の負担とし,補助参加費用は,原告の負担とする。
4  この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
1  第1事件
被告Y1は,原告に対し,1266万4786円及びうち63万円に対する平成24年5月10日から,うち300万円に対する平成24年5月15日から,うち10万1150円に対する同年6月30日から,うち76万0630円に対する同年7月13日から,うち25万0299円に対する同月19日から,うち48万8019円に対する同月25日から,うち322万9411円に対する同月31日から,うち114万6000円に対する同年8月21日から,うち110万円に対する同月31日から,うち195万9277円に対する同年12月21日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  第2事件
被告Y2は,原告に対し,685万9411円及びうち63万円に対する平成24年5月10日から,うち300万円に対する平成24年5月15日から,うち322万9411円に対する同年7月31日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
1  本件は,株式会社a(以下「a社」という。)の破産管財人である原告が,a社の元従業員である被告Y1,元取締役である被告Y2に対し,以下の金員及び遅延損害金の支払を求める事案である。
(1)  被告らが,a社の元代表取締役のB(以下「B」という。)及びC(以下「C」という。)と共謀の上,a社の財産をB名義の銀行口座に移動させ流出させたとして,共同不法行為に基づく300万円の損害賠償請求(以下「請求①」という。)
(2)  被告Y1が,a社の関西営業所の元従業員らによるa社の利益に反する費消行為を黙認したなどとして,不法行為に基づく114万6000円の損害賠償請求(以下「請求②」という。)
(3)  被告Y1が,a社の関西営業所の元従業員らによるa社の利益に反するETCカードの利用を黙認したなどとして,不法行為に基づく10万1150円の損害賠償請求(以下「請求③」という。)
(4)  被告Y1が,a社の従業員らに係る経費名目で支出された25万0299円を,a社の利益に反して費消するなどしたとして,不法行為に基づく25万0299円の損害賠償請求(以下「請求④」という。)
(5)  被告らが,a社の各取引先に対する売掛金を,各取引先に補助参加人名義の銀行口座に振り込ませて支払わせたなどとして,共同不法行為に基づく322万9411円の損害賠償請求(以下「請求⑤」という。)
(6)  被告らが,a社の利益に反して日当名目でBに金員を支払い,Bに同金員を着服させたとして,共同不法行為に基づく63万円の損害賠償請求(以下「請求⑥」という。)
(7)  被告Y1が,Bによるa社の利益に反するBのクレジットカードの利用を黙認したなどとして,不法行為に基づく76万0630円の損害賠償請求(以下「請求⑦」という。)
(8)  被告Y1が,a社の利益に反するBが居住する賃借物件の賃料の支払を黙認したなどとして,不法行為に基づく195万9277円の損害賠償請求(以下「請求⑧」という。)
(9)  被告Y1が,a社の利益に反するB個人が負担すべき保険料等の支払を黙認したなどとして,不法行為に基づく36万1899円の損害賠償請求(以下「請求⑨」という。)
(10)  被告Y1が,a社の利益に反する被告Y2個人が負担すべき保険料等の支払を黙認したなどとして,不法行為に基づく12万6120円の損害賠償請求(以下「請求⑩」という。)
(11)  被告Y1が,a社の利益に反する被告Y2が居住する賃借物件の賃料の支払を黙認したなどとして,不法行為に基づく110万円の損害培養請求(以下「請求⑪」という。)
原告は,被告Y1に対する請求について,いずれも予備的に,債務不履行に基づく損害賠償請求及び遅延損害金の支払を求め,被告Y2に対し,請求①⑤⑥について,いずれも予備的に,取締役の監督義務違反に基づく損害賠償請求及び遅延損害金の支払を求めている。
2  前提事実(証拠を掲記していない事実は,当事者間に争いがないか,弁論の全趣旨により容易に認められる。)
(1)  当事者等
ア a社は,床暖房設備の製造,販売,施工等を目的とする株式会社であり,横浜市を本店所在地とするとともに,大阪市内に関西営業所,福岡市内に九州営業所を有しており,平成25年2月6日,破産手続開始決定がされ(東京地方裁判所平成25年(フ)第940号),原告が破産管財人に選任された。
a社は,「○○」の商標を付した床暖房製品(以下「○○製品」という。)の輸入及び販売(以下「○○事業」という。)を主たる業とし,○○製品の主要部分である床暖房パネルについては,韓国所在の100%子会社で,Bが共同代表理事を務めるb社が製造・供給した。a社の最大の販売先は,c株式会社(以下「c社」という。)であった。
イ Bは,平成19年7月にa社の代表取締役に就任した者で,平成25年2月13日に破産手続開始決定がされた(東京地方裁判所平成25年(フ)第1143号)。
ウ 被告Y1は,平成16年11月,a社に入社し,平成20年12月19日から平成22年6月30日までa社の取締役を務め,その後,a社の経理を所管する管理部部長として勤務していた者である(被告Y1,甲103の1)。被告Y1は,a社に対し,平成24年1月30日に500万円及び同月31日に200万円の合計700万円を貸し付け,同年2月15日,a社から700万円の返済を受け,a社に対し,同年6月13日に250万円を貸し付け,同月15日,a社から250万円の返済を受けた(甲111の1ないし5,甲112の1,甲115)。
エ 被告Y2は,平成19年にa社の取締役に就任し,平成24年8月24日にこれを辞任したものである。
オ Cは,Bの妻で有り,D(以下「D」という。)は,Cの姉である。
カ 株式会社d(以下「d社」という。)は,平成24年5月18日に設立された株式会社であり,その資本金の額は300万円である。
(2)  a社及びBの破産申立代理人であるE弁護士は,平成24年10月16日,破産債権者らに対し,同弁護士がa社及びBから自己破産手続申立てを委任された旨の通知を送付した。
倒産情報等を扱うJC-NETには,a社が平成24年10月12日にその事業を停止した旨の記載がされている
(3)  原告は,平成25年,東京地方裁判所に対し,C及びd社を被告として訴訟を提起し,平成26年12月15日,判決が言い渡され,平成27年1月6日,同判決は確定した(甲1)(以下「C訴訟」という。)。
(4)  原告は,平成25年,東京地方裁判所に対し,被告Y2を被告として訴訟を提起し,平成27年6月11日,判決が言い渡された(甲2)(以下「被告Y2訴訟」という。)。その後,同判決の控訴審で判決が言い渡され,平成28年10月28日,被告Y2の上告が棄却され,同判決は確定した(甲83)。
(5)  原告は,平成26年,東京地方裁判所に対し,D,被告Y1,C,d社を被告として訴訟を提起し,平成27年6月4日,判決が言い渡された(甲3)(以下「D,被告Y1訴訟」という。)。
被告Y1は,控訴し,控訴審において,被告Y1が,原告に対し,和解金1672万0674円を支払う等の内容で和解が成立した(乙1)。
(6)  原告は,平成27年,東京地方裁判所に対し,補助参加人,c社を被告として訴訟を提起し,平成29年11月10日,判決が言い渡された(平成27年(ワ)第3140号)(丁19)。
3  争点及びこれらに対する当事者の主張
(1)  請求①
(原告の主張)
ア 平成24年5月15日の300万円の流出
(ア) 被告Y1は,平成24年5月15日,a社の資金からB名義の銀行口座に300万円を振り込んだ。被告Y1は,平成24年5月15日,上記300万円を,a社の会計帳簿に,「B借入金返済 2/23・27入金分 無利息」と記載したが,実際には,Bはa社に金銭を貸し付けておらず,a社から平成23年10月17日に450万円を借り入れていた。
(イ) 被告Y2は,a社の経営状況を認識していたにもかかわらず,遅くとも平成24年5月9日の取締役会までに,300万円をBに振り込むことを決め,同月15日,被告Y1をしてBに対して,a社の資金から300万円を振り込ませた。
イ 被告らの責任
(ア) 被告らの各行為は,a社の責任財産を流出させる違法な行為であり,共同不法行為を構成する。
(イ) 被告Y1は,経理責任者たる「管理部部長」としての雇用契約に基づき,a社に必要な残務のためにされたものではなかったと認められる支出がなされないようにする契約上の義務を負っていたにも関わらず,これを怠ったものであり,債務不履行責任を負う。
(ウ) 被告Y2は,a社の管理担当取締役として,同社の従業員であった被告Y1がa社の資金を流出させないように監督する義務を負っていたが,被告Y1に対する監督を尽くさず,被告Y1をしてa社の資金を流出させ,監督義務を怠った。
(被告Y1の主張)
被告Y1は,「B借入金返済 2/23・27入金分 無利息」との記載どおりの借入金返済があったとしか認識していなかった。
(被告Y2の主張)
被告Y2は,a社の経理や入出金業務には殆ど関与しておらず,a社から個々の支出や精算等を把握できる立場にはなかった。
(2)  請求②
(原告の主張)
ア 関西営業所の銀行口座からの引出等
(ア) a社は,平成24年5月20日,従業員全員を解雇し,a社の関西営業所の従業員4名(営業担当3名,経理担当者1名)も解雇され,同営業所における倒産に向けた残務は,営業所の閉鎖と賃借事務所からの退去のみで,同月21日以降,a社の関西営業所には,従業員が経費を使用することを要するような業務はなかった。
(イ) a社の関西営業所の経費は,横浜本社から,同営業所の専用として設けられたりそな銀行上六支店の口座宛に送金することにより支給されていた(以下「関西口座」という。)。関西営業所の経理担当者であるF(以下「F」という。)は,関西口座のキャッシュカード及び預金通帳を管理していたところ,同月11日ころ,横浜本社に郵送して返却し,被告Y1は,そのころ,関西口座のキャッシュカード及び預金通帳を受領した。
(ウ) 被告Y1は,平成24年5月24日に50万円,同年7月6日に30万円を関西口座宛に振り込み送金した。被告Y1は,平成24年8月31日付けの補助参加人に対する請求書において,関西口座を指定し,補助参加人は,同口座に24万0765円を振り込んだ。
(エ) 関西口座から平成24年5月21日以降に合計114万6000円が引き出されたが,同金員は,a社の残務のために使用されなかった。
イ 被告Y1の責任
被告Y1は,経理責任者として,または,残務処理を委託の趣旨とする業務委託契約に基づく善管注意義務として,「a社に必要な残務のためにされたものではなかった認められる支出」を自らまたは第三者と共同して行わない,もしくは第三者をして行わせない注意義務を負っていたところ,同注意義務を怠り,関西口座のキャッシュカードと通帳を,横浜本社で返還を受けた平成24年5月11日以降,従業員全員が解雇されて関西営業所が無人となった同年5月21日の後も,同年8月21日まで多数回にわたって継続し,キャッシュカードにより現金が引き出されるのを黙認ないし放置した。また,被告Y1は,関西営業所が無人となった平成24年5月21日より後も,関西口座宛に3回にわたってa社の資金を振り込み,または第三者に振り込ませていた。よって,被告Y1は,不法行為責任または債務不履行責任を負う。
ウ 弁済の抗弁
a社の関西営業の従業員であるG(以下「G」という。)が,原告に対し,合計211万5489円を支払ったことは認めるが,請求②,③の弁済ではない。
(被告Y1の主張)
ア 被告Y1は,関西口座に係るキャッシュカードなどを受け取っていない。
イ 関西営業所は,平成24年5月21日時点で賃借事務所から退去しておらず,何らかの業務が残っていたところ,被告Y1は,関西営業所のFから同営業所の資金がないので送金して欲しいと要請があったため,平成24年5月24日に50万円,同年7月6日に30万円を,a社の資金から関西口座宛に振り込んだ。
ウ 弁済の抗弁
a社の関西営業所元従業員のGは,原告に対し,平成25年10月10日に1万円,平成27年9月28日に15万円,同年11月2日に1万円,同月18日に194万5489円の合計211万5489円を支払ったところ,うち130万600円については,平成24年5月から7月にかけてa社の関西営業所の口座から引き出された分として,10万1150円については,同営業所において利用されたETCカード利用分として支払った。したがって,Gの弁済によって,請求②,③については,損害が填補された,ないしは弁済された。
(3)  請求③
(原告の主張)
ア 関西営業所のETCカードの利用
関西営業所の営業担当3名が利用していたETCカードについて,同営業所の従業員が解雇された後の平成24年5月21日から同年7月まで利用履歴があり,関西営業所の元従業員3名による上記期間のETC利用代金合計10万1150円はクレジット決済によりa社の預金口座から引き落とされた。
イ 被告Y1の責任
被告Y1は,経理責任者として,または,残務処理を委託の趣旨とする業務委託契約に基づく善管注意義務として,「a社に必要な残務のためにされたものではなかった認められる支出」を自らまたは第三者と共同して行わない,もしくは第三者をして行わせない注意義務を負っていたところ,同注意義務を怠り,一旦は郵送で受けたETCカードを関西営業所に再び交付し,もしくは,返却及び再び交付の有無にかかわらず,解雇された関西営業所元従業員の3名のETCカード利用明細を確認したにもかかわらず,同人らがETCカードを利用することを黙認ないし放置した。よって,被告Y1は,不法行為責任または債務不履行責任を負う。
(被告Y1の主張)
ア 被告Y1は,関西営業所からETCカードを受け取っていない。a社は,平成24年5月21日から同年9月まで,床暖房パネル等の営業や補助参加人から委託された受発注業務等が継続していた。また,経理責任者は被告Y2であり,関西営業所の管理は被告Y2が行っており,被告Y1には関西営業所の業務や経費の管理及びETCカードの回収等を行う権限はなかった。
イ 弁済の抗弁
前記(3)の被告Y1の主張のとおり,Gの弁済によって,請求②,③については,損害が填補された,ないしは弁済された。
(4)  請求④(被告Y1)
(原告の請求)
ア 横浜本社及び九州営業所の従業員に係る「経費」名目の支出
a社は,平成24年5月20日,従業員全員を解雇し,同月21日以降,解雇された元従業員に経費を使用させて行うことを要するような業務はなかったにもかわらず,平成25年5月21日以降,別紙2の「請求第7」のとおり,横浜本社及び九州営業所の従業員に係る経費等の名目で支出合計25万0299円が計上されている(甲13)。
イ 被告Y1の責任
被告Y1は,経理責任者として,または残務処理を委託の趣旨とする業務委託契約に基づく善管注意義務として,「a社に必要な残務のためにされたものではなかった認められる支出」を自らまたは第三者と共同して行わない,もしくは第三者をして行わせない注意義務を負っていたところ,同注意義務を怠り,解雇された元従業員らをして,a社の残務の整理ではない使途のために,またはこれらの者もしくは被告Y1の私的な使途等a社の利益に反する使途のために,別紙2の「請求第7」記載のa社の資金を費消させ,あるいは自ら費消した。よって,被告Y1は,不法行為責任または債務不履行責任を負う。
(被告Y1の主張)
ア a社は,平成24年5月21日以降,同年9月まで,床暖房パネル等の営業や補助参加人から委託された受発注業務等が継続していたから,a社の横浜本社と九州営業所での経費は,当該各営業所での業務に関するものであった。また,経理責任者は被告Y2で,営業所の管理は被告Y2が行っており,被告Y1には営業所の業務や経費の管理を行う権限はなかった。
イ 被告Y1は,平成24年6月及び7月にa社の経理業務を行っており,結果として経理処理が不適切なものであったとしても,当時,被告Y1は,自己の処理が不適切であることなど認識しておらず,B及び被告Y2の指示を受けて処理しただけである。
ウ 平成24年7月19日の「2680円(Y1 Z社打合せタクシー代)」及び「10,000円(H実父 香典代)」は,補助参加人に雇用されたHの実父が亡くなったことから,a社の横浜本社にいた被告Y1がB及び被告Y2の指示を受け,香典を補助参加人に届けに行った際のもので,その際にHと床暖房設備に係る業務についても話をしたから,備考欄に「Y1 Z社打合せタクシー代」という記載をしたと思われる。
(5)  請求⑤
(原告の主張)
ア a社の各取引に対する売掛金
(ア) 被告Y1は,平成24年7月16日,a社の元従業員9名とともに,補助参加人に雇用されたところ,平成24年7月31日,a社の資産である,①e株式会社(愛媛支店)(以下「e社」という。)に対する売掛金81万6417円,②株式会社f(以下「f社」という。)に対する売掛金232万6054円,③有限会社g(以下「g社」という。)に対する売掛金8万6940円,④h株式会社(以下「h社」という。)に対する売掛金18万8774円について,各取引先に対し,補助参加人名義の請求書を作成し,かかる請求において,補助参加人に支払うよう同社の口座を支払先口座として指定した。被告Y1は,a社の請求書の様式をそのまま用いて,発行者名義の振込先だけを補助参加人に書き換える方法にて作成した。
(イ) 被告Y1が発行した請求書に基づき,上記4社は,代金を補助参加人に支払った。原告は,h社から18万8774円の返還を受けたことから,原告は,上記3社分の322万9411円の損害を被った。
イ 被告Y1の責任
(ア) 被告Y1の上記アの行為は極めて違法性の強い不法行為であり,a社に対し不法行為責任を負う。
(イ) 被告Y1は,a社の残務処理を委託の趣旨とする業務委託契約に基づく善管注意義務として,a社に必要な残務のためにされたものではなかったと認められる支出がなされないようにする契約上の義務を負っていたところ,a社の事実上の倒産後に,322万9411円を支出させ,同義務を怠ったものであり,a社に対し,債務不履行責任を負う。
ウ 被告Y2の責任
(ア) 被告Y2は,a社の管理担当取締役であり,経理責任者として,a社の倒産後に,「a社に必要な残務のためにされたものではなかったと認められる支出」を自らまたは第三者と共同して行わない,もしくは第三者をして行わせない義務を負っていたところ,これを怠り,a社において売掛金を受領せず,被告Y1が平成24年7月31日に補助参加人名義の請求書を発行するままに黙認ないし放置した。また,被告Y1は,上記請求書の発行について,被告Y2からの指示を受けて作成した旨供述しているところ,仮に,そうであれば,かかる支払がa社に対してなされないようにする被告Y2の積極的な行為である。したがって,被告Y2による上記黙認ないし放置,積極的関与は,いずれも違法な行為であり,不法行為責任を負う。
(イ) 被告Y2は,a社の管理担当取締役として,同社の従業員であった被告Y1がa社の資金を流出させないように監督する義務を負っていたが,被告Y1に対する監督を尽くさず,被告Y1をしてa社の資金を流出させ,監督義務を怠った。
エ 被告Y1は,原告による請求書の発行に先立ち,a社は,4社との間で売買した床暖房製品を各社に納品し,被告Y1も,納品に伴い発行した納品書をもとに売掛金を行っていたとの主張を認め,当該売掛金がa社から補助参加人に譲渡されたと主張していることから自白が成立し,4社に対する債権が,a社の債権ではなく補助参加人の債権であると認められない限り,自白の撤回は許されない。補助参加人の,同人が4社に売却したことを前提とする訴訟行為は,被告Y1のa社が4社との間で売買したことを認める訴訟行為との関係で,積極的かつ明白に矛盾する行為であり,民事訴訟法45条2項に基づき効力を有しない。
(被告ら及び補助参加人の主張)
ア 原告が主張するa社の各取引先に対する売掛金は,補助参加人が受注を受けて納品したものであり,補助参加人の売掛金である。
イ 補助参加人から原告に対してe社に対する売掛金81万6417円に係る損害については,補助参加人による支払により既に填補され,損害が認められない
(被告Y1の主張)
被告Y1は,a社と補助参加人間の取引内容の詳細を認識しておらず,被告Y2から指示を受けて当該各請求書を作成したにすぎない。
(被告Y2の主張)
被告Y2は,平成24年7月31日の時点では,a社の業務に関与しておらず,a社が有する売掛金の有無や金額を知り得る立場になかった。被告Y2の担当業務は資金調達や営業活動であり,a社の経理や入出金業務には関与していなかった。
(6)  請求⑥
(原告の主張)
ア Bの日当63万円
被告Y1は,B,C,被告Y2が同席する状況において,平成24年5月9月午後,Cに指示して,B個人の口座に対し,a社の資金から63万円を振り込んだ。被告Y1は,上記63万円について,平成24年5月10日付で,a社の会計帳簿に「B 5/10 12月 日当未払振込」と偽装して計上した。
イ 被告Y1の責任
(ア) 被告Y1は,「日当」名目63万円が,実態が役員報酬であり,カラ出張であることを認識していたにもかかわらず,B個人の口座に振り込んだものであり,被告Y1の行為は不法行為を構成する。
(イ) 被告Y1は,a社の残務処理を委託の趣旨とする業務委託契約に基づく善管注意義務として,a社に必要な残務のためにされたものではなかったと認められる支出がなされないようにする契約上の義務を負っていたところ,a社の事実上の倒産後に,63万円を支出させ,同義務を怠ったことから,債務不履行責任を負う。
ウ 被告Y2の責任
(ア) 被告Y2は,a社の「管理担当取締役であり,経理責任者」として,a社の倒産後に,「a社に必要な残務のためにされたものではなかったと認められる支出」を自らまたは第三者と共同して行わない,もしくは,第三者をして行わせない義務,すなわち,63万円について,平成24年4月27日の倒産後はa社の資金からBに「日当」を支払うことを回避する義務を負っていたが,これを怠り,平成24年5月9日午前,B及びCと共に,取締役会を行い,Bに「日当」として63万円を振り込むことを決め,被告Y1に対し,その内容を予め,または取締役会の直後に伝え,同日午後,被告Y1がCをして63万円をBに振り込ませた当時,管理部があるa社本社403号室に在室し,かかる振込行為が行われa社の資産が流出する現場に臨場しながら,これを黙認ないし放置した,あるいは,被告Y2は,被告Y1と共同して,経理を引き継がせると称してa社に来社させていたCに振込手続を行わせることにより,同月10日,63万円をBに支払った。被告Y2の上記行為は,違法な行為である。
(イ) 被告Y2は,a社の管理担当取締役として,同社の従業員であった被告Y1がa社の資金を流出させないように監督する義務を負っていたが,被告Y1に対する監督を尽くさず,被告Y1をしてa社の資金を流出させ,監督義務を怠った。
(被告Y1の主張)
被告Y1は,「日当」は出張日当であり,カラ出張に対する支払であるとは認識していない。
(被告Y2の主張)
被告Y2は,a社の資金繰り等を考え,同社の経営状態が改善するまでは平成24年4月以降,毎月の役員報酬は受け取らないことを決定したが,「日当」については特段決定等がなされた事実はない。
(7)  請求⑦
(原告の主張)
ア Bのクレジットカード利用代金
Bは,a社の事実上の倒産後も,a社名義の「りそなJCBカード」を,私的な飲食遊興や買い物(浪費)に利用し,利用代金合計76万0630円は,a社名義の銀行口座から自動引落としにより決済された。
イ 被告Y1の責任
被告Y1は,経理責任者として,または,残務処理を委託の趣旨とする業務委託契約に基づく善管注意義務として,「a社に必要な残務のためにされたものではなかった認められる支出」を自らまたは第三者と共同して行わない,もしくは第三者をして行わせない注意義務を負っていたところ,同注意義務を怠り,a社の倒産後である平成24年5月16日から同年7月13日まで,Bに,a社を支払人とするクレジットカード「りそなJCBカード」を利用させ,同カードをBから回収したり,カード契約を解約したりしなかった。よって,被告Y1は,不法行為責任または債務不履行責任を負う。
(被告Y1の主張)
ア a社は,従業員が解雇された後も,床暖房設備に係る業務の継続及び補助参加人への引継が行われていた。また,Bは,a社の製品在庫の売却や,同社の販売開拓,韓国企業の販売代理店となるための営業等をしていた。
イ 被告Y1は,B及び被告Y2の指示を受けて経理業務に従事していたにすぎず,Bが使用していたクレジットカードを同人から回収する権限はなく,回収すべき義務もない。
(8)  請求⑧
(原告の主張)
ア Bの私宅賃料等
(ア) Bは,私宅として,平成23年12月21日から,a社を賃借人とするマンションに居住していた。被告Y1は,Bの入居の初期費用(敷金,礼金)をa社の資金から支出する手続をした上,同マンションの賃料は,半額を「住宅控除」としてBの役員報酬から控除し,残りの半額を役員報酬から天引きしていた。
(イ) 平成24年4月25日にBの役員報酬がa社から支給されなくなったことにより,同年5月から同年12月までの上記(ア)のマンションの賃料等として合計195万9277円がa社の資金から支出された。
イ 被告Y1の不法行為責任
(ア) 主位的主張
被告Y1は,平成24年4月25日にBの役員報酬がなくなったことにより,報酬からの天引きの方法によって同人に賃料を負担させることができないと認識した以上は,Bによって倒産告知がなされた平成24年4月27日以降,上記アの賃貸借契約を即時解約する,賃借人名義をa社からBに変更する,Bに直接支払わせるかa社が賃料を支払ったのと同額の金銭をBから回収する等して,賃料発生またはa社の資金から支出を止めるべき義務を負っていた。しかるに,被告Y1は,同義務を怠った。
(イ) 予備的主張
① 平成24年5月分ないし7月分は,Bの役員報酬が支給されなくなったことから,被告Y1は,Bから支払を得たうえで,a社から支払うべき,またはBに自ら支払うべき義務,Bが支払わないのであれば,Bを賃借物件から退去させる,退去しないならa社の資金からの支払いを停止させる義務を負っていたが,これらを怠った。
②平成24年8月分ないし10月分は,補助参加人に対する事業譲渡の履行が同年7月16日までに終わった後であることから,被告Y1は,Bを退去させる,もしくはa社の資金からの支出を停止すべき義務を負っていたにもかかわらず,同義務を怠った。
③平成24年11月分,12月分は,被告Y1は,Bを退去させる,若しくはa社の資金からの支出を止めるべき注意義務を負っていたにもかかわらず,同義務を怠った。
(ウ) 被告Y1の各行為は,a社の責任財産を流出させる違法な行為であり,不法行為責任を負う。
ウ 被告Y1の債務不履行責任
被告Y1は,a社の残務処理を委託の趣旨とする業務委託契約に基づく善管注意義務として,a社に必要な残務のためにされたものではなかったと認められる支出がなされないようにする契約上の義務を負っていた。しかるに,被告Y1は,a社の事実上の倒産後に,195万9277円を支出させ,同義務を怠ったことから,債務不履行責任を負う。
(被告Y1の主張)
被告Y1は,平成23年12月ころ,当該マンションをa社の借上げ社宅として処理するようBに指示されたため,かかる指示に基づき経理処理をしたにすぎず,これを拒否したり,後に,a社からの家賃の支払いを止めたり,賃貸借契約を解約したりする権限を有していない。被告Y1は,解雇後に平成24年6月,7月にa社の経理業務に従事していたにすぎず,被告Y1において,原告が主張する義務は負わない。
(9)  請求⑨
(原告の主張)
ア Bの保険料等
a社は,B個人負担分の健康保険料,介護保険料,及び年金保険料をBの役員報酬から天引きし,「立替金」として会計帳簿に計上し,Bの役員報酬から天引きした金銭を原資として,すなわち,Bに役員報酬が支払われることを前提に,各種保険料(健康保険料月額6万0379円,介護保険料月額9377円,年金保険料月額5万0877円)を納入していた。
イ 被告Y1の責任
被告Y1は,a社の経理責任者として,a社の残務処理を委託の趣旨とする業務委託契約に基づく善管注意義務として,「a社に必要な残務のためにされたものではなかったと認められる支出」を自らまたは第三者と共同して行わない,もしくは第三者をして行わせない注意義務を負っていた。本来個人の負担に帰するべき各種保険料の支出は,「a社に必要な残務のためにされたものではなかったと認められる支出」である。しかるに,被告Y1は,かかる義務を怠り,平成24年5月分から同年7月分の各種保険料合計36万1899円について,Bから支払を得ずにa社の資金から支払,若しくはBに自ら支払わせなかった。あるいは,Bが支払わないのであれば,倒産後の残務処理としてなすべき異動届の提出をせず,または,Bをして異動届を提出させなかった。被告Y1の上記行為は,a社の責任財産を流出させる違法な行為であり,不法行為責任を負うと共に債務不履行責任を負う。
(被告Y1の主張)
ア a社においては,従業員が解雇された後も,床暖房設備に係る業務の継続及び補助参加人への引継が行われていた。また,Bは,a社の製品在庫の売却や,同社の販売開拓,韓国企業の販売代理店となるための営業等をしていた。
イ 被告Y1は,平成24年7月までa社の経理業務に従事していたが,かかる扱いを取りやめる権限はなく,Bや被告Y2らからもそのような指示はなかったから,原告が主張する義務は被告Y1にはない。
(10)  請求⑩(被告Y1)
(原告の主張)
ア 被告Y2の保険料など
a社は,被告Y2個人負担分の健康保険料,介護保険料,及び年金保険料を被告Y2の役員報酬から天引きし,「立替金」として会計帳簿に計上し,被告Y2の役員報酬から天引きした金銭を原資として,すなわち,被告Y2に役員報酬が支払われることを前提に,各種保険料(5月分及び6月分の健康保険料月額2万0459円,介護保険料月額3177円,年金保険料月額3万3645円の合計11万4562円,7月分の健康保険料2894円,介護保険料449円,年金保険料8215円の合計1万1558円)を納入していた。しかるに,被告Y2の役員報酬がなくなり,被告Y2の平成24年5月分から7月分の各種保険料合計12万6120円をa社が負担した。
イ 被告Y1の責任
被告Y1は,a社の経理責任者として,a社の残務処理を委託の趣旨とする業務委託契約に基づく善管注意義務として,「a社に必要な残務のためにされたものではなかったと認められる支出」を自ら又は第三者と共同して行わない,もしくは第三者として行わせない注意義務を負っていた。本来個人の負担に帰するべき各種保険料の支出は,「a社に必要な残務のためになされたものではなかったと認められる支出」である。しかるに,被告Y1は,かかる義務を怠り,上記各保険料合計12万6120円について,被告Y2から支払を得ずにa社の資金から支払,若しくは被告Y2に自ら払わせなかった。あるいは,倒産後の残務処理として異動届を自ら提出せず,被告Y2をして異動届を提出させなかった。被告Y1の行為は,a社の責任財産を流出させる違法な行為であり,不法行為責任を負うと共に,債務不履行責任を負う。
(被告Y1の主張)
ア a社においては,従業員が解雇された後も,床暖房設備に係る業務の継続及び補助参加人への引継が行われていた。また,Bは,a社の製品在庫の売却や,同社の販売開拓,韓国企業の販売代理店となるための営業等をしていた。
イ 被告Y1は,平成24年7月までa社の経理業務に従事していたが,かかる扱いを取りやめる権限はなく,Bや被告Y2らからもそのような指示はなかったから,原告が主張する義務は被告Y1にはない。
(11)  請求⑪
(原告の主張)
ア 被告Y2の私宅賃料等
被告Y2は,自宅の私宅として,平成21年から,a社を賃借人とするマンションに居住していた。同マンションの賃料は,平成21年2月6日以降,半額を「住宅控除」として被告Y2の役員報酬から控除し,残りの半額を「立替金」として会計帳簿に計上して,役員報酬から天引きしていた。しかし,平成24年4月,被告Y2の役員報酬が支払われなくなり,被告Y2の平成24年5月分から8月分の私宅賃料等合計110万円をa社が負担した。
イ 被告Y1の責任
被告Y1は,a社の経理責任者として,a社の残務処理を委託の趣旨とする業務委託契約に基づく善管注意義務として,「a社に必要な残務のためにされたものではなかったと認められる支出」を自らまたは第三者と共同して行わない,もしくは第三者をして行わせない注意義務を負っていた。しかるに,被告Y1は,Bによって倒産告知がなされた平成24年4月27日以降,上記賃貸借契約を即時解約する,賃借人名義をa社から被告Y2に変更する,被告Y2に直接支払わせるかa社が賃料を支払ったのと同額の金銭を被告Y2から回収する義務を怠り,賃料発生またはa社の資金からの支出を止めず,a社の資金が流出することを黙認した。よって,被告Y1の行為は,a社の責任財産を流出させる違法な行為であり,不法行為責任を負うとともに債務不履行責任を負う。
(被告Y1の主張)
被告Y1は,平成21年2月ころ,当該マンションをa社の借上社宅として処理するようB又は被告Y2に指示されたため,かかる指示に基づき経理処理をしたに過ぎない。被告Y1は,a社を解雇され,平成24年6月及び7月,a社の経理業務に従事していただけであるから,原告が主張する各義務を負わない。
第3  当裁判所の判断
1  前記前提事実,証拠(甲8,甲20ないし47,甲65,甲68,甲90,乙7,8,丙12,枝番を含む。以下同じ。)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実を認めることができる。
(1)  a社の経営状況の悪化等
ア 平成19年7月以降,a社の売上が下落し(甲20),5年間連続してその決算が赤字となる状況が続き,同年10月以降,a社の最大の取引先のc社に対する売上げが下落する一方であった(甲21)。
イ 平成21年9月,a社は,同月を最後にメインバンクである横浜銀行から長期借入ができなくなり,支払期限の猶予を受けながら,利息のみを弁済する状態となった(甲22)。
ウ 平成22年6月を最後にa社は金融機関から借入をすることもできなくなり,同年7月,a社において,Bや被告Y2などの役員報酬が減額され,同年10月27日以降,a社は,個人貸主から高利で短期の借入を反復していた(甲23)。
エ 平成23年以降,a社は,メインバンクであった横浜銀行から,融資元本返済,リスケ解除の申入れをされるようになった(甲22)。
オ 平成23年4月ころ,a社が,b社に対して床暖房パネルの買掛金の一部が支払うことができない状態となり,同状態が続いた(甲24)。b社は,在韓下請メーカーに代金を支払うことができず,仕掛品の引渡を受けられないことがあった(甲25)。
カ 平成24年2月末,a社は,本社事務所の賃料,買掛先に対する支払,ウェブ管理会社に対する支払を遅滞するようになった(甲26)。
キ 同年3月23日,Bが,従業員全員に対し,25%の減給又は自主退職の選択を迫る勧奨を行った(甲27ないし甲33)。
(2)  a社の○○事業の状況等
ア a社は,c社と共に,従前から○○製品の営業活動を行っていたところ,平成24年2月15日から同月17日まで,被告Y2は,c社の当時の代表取締役であるI(以下「I」という。)とJ取締役と韓国を訪れ,鹿児島地区の顧客(ゼネコン及び設計事務所)をb社及び1次工程の製造業者であるi社の工場に案内して製品の品質確認をさせたりし,同年3月12日,被告Y2は,J取締役と共に,広島の会社を訪問し,○○製品の売込みを行うなど営業活動を行っていた。
イ 同年4月3日,被告Y2及びBは,c社を訪れて事業報告を行い,a社の経営状況及び事業継続には不透明性がある旨説明を行ったが,一方で,a社の営業活動を積極拡大することを話し合っていた。
ウ 同年4月17日及び同月27日,被告Y2とBは,a社に代わり○○事業を行う会社の候補として,補助参加人を訪問したが,○○事業を補助参加人が行うことについての具体的な話合いは行われなかった(甲35)。
エ 同年4月19日,b社は,韓国の工場に所在する床暖房パネルの生産設備機械等を一括売却する旨の理事会決議を行い,同月24日,第三者に上記売却した(甲34)。
オ 同年4月27日,B及び被告Y2は,スカイプを用いた会議により,a社の横浜本社,関西営業所及び九州営業所の従業員に経営状況について説明を行うとともに,少なくとも従業員のK(以下「K」という。)及びL(以下「L」という。)に対し,解雇理由を「当社の経営状態の悪化にともなう事業縮小による解雇」とし,同年5月20日をもって解雇する旨を記載した解雇予告通知書を交付した(乙8)。
カ 同年5月1日,a社は,神奈川県知事に対し,a社が同月20日をもって電気工事業を廃止する旨の届出をした(甲37)。
キ 同月7日,B,被告Y2及び補助参加人代表者は,c社を訪れて会議を行った。その際,B及び被告Y2は,b社が生産中止となり,j社が設立予定であり,今後○○事業をa社に代わり行ってくれる会社を探しているなどと説明した。補助参加人は,同日以降,○○製品の輸入元となり,○○事業を行うことができるかどうかについて検討を始めた。
ク 同年5月10日,床暖房パネルの製造を業とするj社が設立され,補助参加人は,その資本の33.3%を出資した。同日,c社は,a社の横浜所在の倉庫に赴き,当時受注していた数量及び7月分までの受注量の見込みを十分満たす製品在庫が確保されていることを確認した。
ケ 同年5月17日,Bは,被告Y1,被告Y2,K及びLを含むa社の従業員17名に対して,a社の事業継続が不可能になり,従業員を解雇する事態となったことを謝罪するメールを送信した(乙7)。同年5月20日,a社は,受注発注業務及び積算業務を担当する一部の者を除き,従業員を解雇した。
コ 同月17日から同月19日まで,被告Y2は,c社のJ取締役と共に韓国に訪れ,j社及びその下請メーカーであるk社を訪問し,新しく○○製品の部品の製造を担う工場の状況を確認した。同月30日から同月31日まで,補助参加人代表者は,c社代表者と共に,韓国を訪れ,工場等を確認した。その後,補助参加人は,○○事業を行うことを正式に検討するようになった。
サ 同年6月5日,a社は,j社に対し,○○製品に係る商標権2個を譲渡した(甲38)。
シ 同月11日から同月13日まで,被告Y2は,c社のJ取締役と共に韓国を訪れ,j社を訪問した。
ス 同月15日ころ,a社は,補助参加人に対し,○○事業に関する別紙3の製品在庫2を1470万円(税込み)で売却した(以下「本件在庫売買」という。)。a社は,平成24年6月15日の納品をもって,c社への○○製品の販売を終了したが,既に注文を受けていた商品の出荷等は行っていた。
(3)  ○○事業の停止等
ア a社は,平成24年6月18日から同年7月13日までの,補助参加人の○○事業に係る受注発注業務,積算業務及び事務作業を行っていた。
イ 同年7月17日,補助参加人及びc社は,補助参加人を輸入元とし,j社を製造元とする○○事業を開始し,c社の取引先等に対し,○○製品の製造元及び輸入元が変更されることや仕様及び定価の変更がないことなどを,連名により通知する書面を送付した(甲42,甲43)。
ウ 同年7月から8月までの間,補助参加人は,a社がl株式会社の横浜所在の倉庫に保管していた製品在庫を,補助参加人の物流業者である株式会社m(以下「m社」という。)の保管場所に移動させた(甲40の1,2),
エ 同年7月16日,補助参加人は,平成24年4月27日時点でa社に在籍していた正社員13名(取締役兼務の1名を除く。)のうち9名(横浜本社で営業担当のH及びM,積算担当のN,関西営業所のG,F,O,P,九州営業所のQ)との間で雇用契約を締結し,被告Y1についてもアルバイトとして雇用した(甲41)。同月30日,被告Y1は,a社から,7月度・8月度業務委託手数料として50万円を受領した(甲52)。
オ 同年7月19日から同月21日まで,被告Y2は,補助参加人のJ取締役,c社の取締役,補助参加人代表者と共に,韓国を訪れ,j社及びk社を訪問した。
2  争点(1)(請求①)について
(1)  証拠(甲1,甲8,甲65,甲82《10頁,11頁》,甲101,証人K,被告Y1),前記認定事実及び弁論の全趣旨によると,次の事実を認めることができる。
ア Bは,a社の代表取締役就任後,a社から役員報酬を受け取り,平成22年4月12日にCと婚姻した後は,そのうち毎月約25万円を生活費としてCが管理する横浜銀行港北ニュータウン北支店の普通預金口座に振り込み,その余は住宅ローンやBの前妻に対する慰謝料及び養育費の支払等に充てていた。
イ 被告Y1は,平成24年5月7日,a社の経理担当の従業員であるKに対し,同月9日,Cがa社に来ると伝えていた(甲6,甲8《8頁》)。
同月9日,Bが,Cを連れてa社を訪れ,BがKに対し,「引継ぎよろしくね。」と申し向けた(甲8《7頁,8頁》)。
同日午後,B,C,被告Y2及び被告Y1が揃っていたa社の社屋403号室において,被告Y1は,Kに対し,「振込だけをやってもらうので,それをメインに教えて。」と指示した(甲8《10頁》)。Kは,被告Y1の指示に従い,Cにa社の口座からB個人の口座に対する振込方法,及びa社の資金が入っている口座のネットバンキングのログインIDとパスワードを教示した(甲8《13頁,14頁》。
ウ 平成24年5月15日,B,C及び被告Y1のいずれかが,a社名義の預金口座からB名義の横浜銀行の普通預金口座(番号〈省略〉)に300万円を振り込んだ。
エ 被告Y1は,平成24年5月15日,上記300万円について,経理業務を担当していたK又はRに指示するなどして,a社の会計帳簿に,「B借入金返済 2/23・27入金分 無利息」と記載した(甲7)。
オ Bは,平成24年5月16日,B名義の横浜銀行の普通預金口座(番号〈省略〉)から300万円を引き出した。
カ Cは,平成24年5月17日,C名義の三菱東京UFJ銀行の普通預金口座(番号〈省略〉)に300万円を振り込んだ。Cは,同口座を,平成23年12月5日に新規に開設した。
(2)  検討
ア 前提事実及び前記認定事実によると,a社の経営状況は,平成21年ころから悪化を続け,平成22年6月以降,金融機関から借入をすることもできなくなり,同年10月以降は,資金繰りのために高利で短期の融資を受けることを繰り返し,平成23年4月以降は,b社に対する買掛金の支払も滞り,平成24年初め頃には,b社の下請け会社が部材の出荷を停止するという事態が生じ,平成24年4月24日,b社が床暖房パネルの生産設備機械等を一括売却し,同月27日,Bが,a社の全従業員に対し,a社が倒産する見込みであり,解雇することを予告し,同月20日,a社の従業員らが解雇されたことが認められ,被告Y1は,a社の経理を所管する管理部の責任者として,被告Y2は,a社の経理責任者たる管理担当取締役として,a社の上記経営状況を十分に認識していたことが認められる。
イ 上記(1)の認定事実によると,Cは,平成24年5月17日,C名義の銀行口座に300万円を振込入金しているところ,Bは,これと時間的に近接する同月15日にa社名義の預金口座からB名義の横浜銀行の口座に振り込まれた300万円を,翌16日に同額を引き出しており,横浜銀行の口座からの300万円の出金とC名義の三菱東京UFJ銀行の口座への300万円入金には時間的近接性や金額に同一性が認められる反面,本件記録をみても,Cが同月17日に三菱東京UFJ銀行の口座に振り込んだ300万円以外に,同月16日にBにより引き出された300万円が他行の預金口座等に移し替えられたなどの事情を認めるに足りる証拠はない。また,Cは,同月9日,Bに言われてKからa社の経理業務を教わり,a社の資金の管理に関わるようになった。これらを考慮すると,Bは,同年5月16日に横浜銀行の口座から引き出した300万円を,翌17日までにCに渡し,Cは,300万円をC名義の三菱東京UFJ銀行に振込入金したことを推認することができる。そして,証拠(甲107の1ないし3,証人K)によると,Bは,a社から平成23年10月17日に450万円を借り入れ,平成24年5月の時点で,a社の倒産を念頭に置いていたこと,上記300万円の移動経過を考慮すると,Bは,平成24年5月の時点で,a社の財産を隠匿する意図を有していたこと,Cは,Bから生活費等を受領するためなどの預金口座を既に有していたにもかかわらず,a社の経営状態の悪化が明らかであった平成23年12月5日,三菱東京UFJ銀行の口座を新たに開設し,同口座に上記300万円を振込入金していること,a社の従業員が解雇を告げられた後,Bに言われてa社の経理業務に接することになったこと等を併せ考えると,上記300万円に係るa社からCへの一連の資金の移動はBが,倒産する可能性のあるa社の資金をC名義の三菱東京UFJ銀行の口座に移し替えたものであり,CもこのようなBの意図を理解して上記300万円の移動に関与したことが推認される。
ウ 被告Y1に対する請求①について
(ア) 前記1の認定事実及び前記2(1)の認定事実によると,被告Y1は,a社の経理を所管する管理部の責任者であり,a社の経営状況等を十分に認識した上で,従業員に指示してa社の会計帳簿に「B借入金返済 2/23・27入金分 無利息」と記載したことが認められ,a社の預金口座からB名義の預金口座への300万円を振込行為に被告Y1が具体的に関与している,すなわち,B,C及び被告Y1が共謀のうえ,いずれかが上記振込行為を行ったと推認することができ,a社の上記300万円が送金されれば,a社の責任財産が減少することについて認識し又は認識し得たと認められる。被告Y1の上記行為は,a社から上記300万円を移動させたことについて,不法行為を構成するというべきであり,上記行為により,a社は,300万円相当の損害を被ったものであり,被告Y1は,原告に対し,上記金額の損害賠償責任を負う。よって,原告の被告Y1に対する,不法行為による損害賠償請求権に基づき,300万円及び不法行為日である平成24年5月15日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める請求①には理由がある。
(イ) この点,被告Y1は,帳簿の記載どおりの借入金返済があったとした認識していなかったなどと主張する。しかし,Bがa社に貸し付けを行ったと認めるに足りる証拠はなく,その必要性も認められないこと,Bはa社から平成23年10月17日に450万円を借り入れていたことが認められ,Bの上記300万円の移動経過や被告Y1は,a社の経理を所管する管理部の責任者であったことを併せ考慮すると,Bは,a社に対し貸し付けを行っておらず,被告Y1もその旨認識し,上記帳簿の記載は虚偽である旨を認識していたと認めることができ,被告Y1の主張は採用できない。
エ 被告Y2に対する請求①について
原告は,被告Y2が,平成24年5月9日の取締役会までに300万円をBに振り込むことに決め,同月15日,被告Y1らをしてBに対して,a社の資金から300万円を振り込ませたなどと主張する。しかし,平成24年5月9日の取締役会までに300万円をBに振り込むことに決めたことや,被告Y2が,上記金員の移動に具体的に関与したことを認めるに足りる証拠はない。被告Y2が,平成24年5月9日,a社の社屋で,取締役会に出席していたことやB,C及び被告Y1と同席していたことによって,同人らが上記金員の移動を行うことを認識し又は認識し得たとまではいえない。したがって,被告Y2において,不法行為が成立するということはできず,取締役としての監督義務違反があるとも認められない。
3  争点(2)(請求②)について
(1)  証拠(甲2,甲11,甲13《5頁》,甲19の2《14頁》,甲72,甲114の1,乙5《4頁,5頁》,乙12《13頁》,丙7,被告Y1),前記1の認定事実及び弁論の全趣旨によると,次の事実を認めることができる。
ア 平成24年5月20日,a社は,同社の関西営業所の従業員4名を解雇した。関西営業所における倒産に向けた主な残務は,営業所の閉鎖と賃借事務所からの退去であった。関西営業所の経費は,a社の横浜本社から,関西営業所の専用として設けられた関西口座宛に送金することにより支給されていたところ,関西営業所の従業員であるFは,同営業所の経理を担当し,関西口座のキャッシュカード及び預金通帳を管理していた。
イ 平成24年5月11日ころ,Fは,関西口座のキャッシュカード及び預金通帳を横浜本社に郵送して返却した。関西口座の同日時点の残高は,34万1798円であった(甲11)。
ウ 平成24年5月14日から同年8月21日ころまで,別紙1のとおり,大阪市内所在のりそな銀行上六支店の関西口座からキャッシュカードを使用してそれぞれ現金合計130万6000円が引き出され,うち同年5月21日から同年8月21日までの現金引出額は合計114万6000円であった(甲11)。
エ 被告Y1は,a社の銀行口座から,平成24年5月24日に50万円,同年7月6日に30万円を関西口座宛に振込送金した(甲11)。被告Y2は,平成24年8月31日付けの補助参加人に対する請求書において,振込先について関西口座を指定し,補助参加人は,同月20日,同口座に24万0765円を振り込んだ。翌21日,同口座から24万1000円が引き出された(甲11)。
オ 平成24年6月中旬ころ,関西営業所内のパソコンや周辺機器,製品カタログ等が,横浜本社に郵送された。同年7月下旬ころ,関西営業所の什器備品や残置物などが処分され,賃借事務所の明渡しが行われた(丙7)。
カ 被告Y1は,a社の横浜本社において経理責任者として勤務し,本訴訟前,関西口座の履歴を確認した上で,関西口座のキャッシュカード及び預金通帳を受領した旨を述べていた。
(2)  検討
ア 原告は,被告Y1が,平成24年5月21日から同年8月21日まで多数回にわたって継続して,関西口座から自ら引き出した,キャッシュカードにより現金が関西口座から引き出されるのを黙認ないし放置したなどと主張する。そして,上記(1)の認定事実によると,被告Y1は,平成24年5月11日ころ,関西口座のキャッシュカード及び預金通帳を受領したことが認められる。
しかし,被告Y1が,関西口座から金員を引き出したという点については,被告Y1は,これを否認し,平成24年5月14日以降,大阪市内に所在するりそな銀行上六支店から別紙1のとおり,何度も現金が引き出されていることに照らすと,上記事実から,横浜本社勤務の被告Y1が,関西口座から金員を引き出したと推認するには足りず,他に原告主張の事実を認めるに足りる証拠はない。
被告Y1が,キャッシュカード使用を可能にして,キャッシュカードにより現金が関西口座から引き出されるのを黙認ないし放置したという点については,平成24年5月14日時点で,関西営業所には賃貸物件からの退去などの残務が残っていたこと,同月11日の時点で関西口座の残高は約34万円であったことに照らすと,仮に,被告Y1が,一旦受領したキャッシュカードを平成24年5月14日までに,関西営業所の従業員などに渡したとしても,それをもって違法とはいえず,被告Y1に関西口座のキャッシュカードを同時点で何人にも引き出させないようにする注意義務があった,又は,同日以降,関西口座のキャッシュカードを回収する義務があったとはいえない。
イ 原告は,被告Y1が,平成24年5月21日以降に,a社の資金から関西口座宛に合計104万0765円を送金した行為は,a社に対する不法行為であるなどと主張する。前記(1)によると,被告Y1は,a社の銀行口座から,平成24年5月24日に50万円,同年7月6日に30万円を関西口座宛に振込送金したことが認められ,関西営業所は閉鎖が予定されていたことや,関西口座から支出された金員の使途が明らかではないことから,被告Y1が振込送金した上記80万円がa社に必要な残務のために使用されなかった可能性は否定できない。
しかし,他方,平成24年5月24日から同年7月6日ころまでの間,関西営業所の閉鎖などの残務があったこと,a社は,同年6月15日ころ,○○事業に関する製品在庫を補助参加人に売却したり,そのころ,既に注文を受けていた商品の出荷等を行ったりしていたこと,関西口座からの現金支出の全てがa社に必要な残務のために支出されたものではないと認めるに足りる証拠はなく,直ちに,被告Y1の上記各送金行為がa社に対する不法行為あるいは債務不履行であるとはいえない。また,被告Y1が,平成24年8月20日,補助参加人に24万0765円を関西口座に送金させたことを認めるに足りる証拠はない。
エ したがって,関西口座からの金員の引出等,被告Y1の振込行為について,被告Y1に不法行為あるいは債務不履行があるとはいえず,原告の請求②には理由がない。
4  争点(3)(請求③)について
(1)  証拠(甲12の1ないし3,甲72,甲114の1,2,乙12,被告Y1),前記認定事実及び弁論の全趣旨によると,次の事実を認めることができる。
ア a社は,平成24年5月20日,従業員を解雇し,a社の関西営業所の従業員4名も解雇され,同営業所における主な残務は,営業所の閉鎖と賃借事務所からの退去であった。
イ a社は,a社を名義人・支払人とする,りそなJCBカードを保有しており,これに付帯する「ETCスルーカード」(P名義)1枚,「ETCスルーカードN」2枚,計3枚の発行を受け,これらを関西営業所の営業担当3名であるG,O(以下「O」という。)及びP(以下「P」といい,G,O及びPを併せて「Gら3名」という。)が使用していた。Gら3名によるETC利用代金は,クレジット決済によりa社の預金口座から引き落とされていた(平成24年5月,6月,7月につき甲12の1ないし3)。りそなJCBカード自体は,Bが管理していた。
ウ Gら3名が使用していた上記イのETCカードは,平成24年5月21日以降も,平成24年5月に6万4750円(G及びO)及び6500円(P),同年6月に6万9950円(G及びO)及び2万8200円(P),同年7月に8万4320円(G及びO)及び5万0450円(P),それぞれ利用された(甲12の1ないし3)。
エ 上記ウのETC利用代金は,下記のとおり,クレジット決済によりa社の預金口座から合計10万1150円引き落とされた。
(ア) 平成24年5月21日から同月31日まで(甲12の1)
「ETCスルーカード P様」,「2012523」(平成24年5月23日)の3行及び「2012524」(平成24年5月24日)の3行の合計3000円。
(イ) 平成24年6月分(甲12の2)
ETCスルーカードNご利用おまとめ 6万9950円
ETCスルーカードP名義 6月1日から同月30日利用 2万8200円
オ 上記エのETCカードの利用明細は,平成24年5月ころから同年7月ころまで毎月,a社の横浜本社に送付され,被告Y1は同利用明細を確認していた(被告Y1・39頁)。
カ 被告Y1は,Y2訴訟において,平成24年5月11日ころ,関西営業所から前記イの合計3枚のETCカードの返却を一旦受けた旨証言した(乙12《13頁》)。
(2)  検討
ア 原告は,被告Y1の,関西営業所でその使用が予定されていないETCカードを,同営業所から一旦返却された後,再び交付した行為は,不法行為を構成すると主張する。
前記(1)の認定事実によると,被告Y1は,Y2訴訟において,平成24年5月11日ころ,関西営業所からETCカードの返却を一旦受けた旨証言したことが認められるが,本訴訟ではこれを否認している。上記被告Y1のY2訴訟の証言のみで,関西営業所の経理担当者であったF,営業担当者であったGら3名のいずれかが,そのころ,a社の横浜本社にETCカードを返却し,数日後に再び受領したこと推認するには足りず,他にこれらを認めるに足りる証拠はない。そうすると,この点について原告の主張は採用できない。
イ 原告は,被告Y1の関西営業所でその使用が予定されていないETCカードを,解雇されたGら3名が利用することを黙認していた行為は,不法行為を構成すると共に,債務不履行となる旨主張する。前記認定事実によると,被告Y1は,a社の経理を所管する管理部の責任者として,平成24年5月の時点において,a社の経営状況を十分に認識し,平成24年5月21日から同年7月までの間も,a社で経理の仕事を行い,関西営業所で利用されていたETCカードの利用明細を確認していたことが認められる。
しかし,前記認定事実によると,関西営業所において,平成24年5月20日の時点で,営業所の閉鎖や賃借事務所からの退去の残務があったこと,a社は,平成24年6月上旬ころまで,c社への○○製品の販売を行い,同月以降も,既に注文を受けていた商品の出荷等は行っていたことが認められ,ETCカードの利用が全く予定されていないとまでは認められず,また,解雇後もa社で経理の仕事を続けていた被告Y1にETCカードの回収を行うべき義務があるとまでは認められない。そうすると,被告Y1に不法行為が成立するとはいえず,債務不履行となるということはできない。
ウ したがって,原告の請求③には理由がない。
5  争点(4)(請求④)について
(1)  証拠(甲13,被告Y1),前記認定事実及び弁論の全趣旨によると,次の事実を認めることができる。
ア a社の平成23年度仕訳日記帳には,平成24年5月21日以降,別紙2の「請求第7」のとおり,a社の横浜本社及び九州営業所の従業員に係る経費等の名目で合計25万0299円が支出されたことが記載され,別紙2の経費支出の処理は,被告Y1が行った(甲13)。
イ 被告Y1は,「Y1 チャージ代 新幹線代」について,「私も分かりません。」と供述し(被告Y1・29頁),「Y1 携帯電話機種変更代」について,「これは飽くまでも業務連絡等が必要だったもんですから,私の前の携帯が壊れちゃって,Bに相談したら機種変更していいよということの了解の下でやりました。」と供述し,上記携帯電話の契約者名義は被告Y1で,プライベートでも使用していた(被告Y1・29頁)。
(2)  検討
ア 前示のとおり,被告Y1は,a社の経理を所管する管理部の責任者として,平成24年5月の時点で,a社の経営状況等を十分に認識していたと認められ,自らの経費である「Y1 チャージ代新幹線」に関して説明することができないことは不自然であり,被告Y1名義の携帯電話機機種変更代及び携帯電話料をa社が負担する理由はない。そうすると,別紙2のうち,被告Y1自身への経費として,a社の資金から支出した被告Y1の行為は,a社の責任財産を減少させる違法な行為であるというべきであり,a社は,合計7万2733円(チャージ代新幹線3万2460円,携帯電話機種変更代2万5020円,携帯電話料6月分7033円,Y1タクシー代5540円,補助参加人打合せタクシー代2680円)の損害を被ったものといえる。
イ 被告Y1自身の経費以外については,確かに,元従業員の補助参加人面接経費など,a社が支出することが相当とはいえない経費が含まれていることは否定できず,その他の支出についても,a社に必要な残務のために支出をしたものではなく,補助参加人による床暖房事業の体制を構築するために支出されたものであった可能性もある。しかし,補助参加人面接経費については,Bの指示がなされていたことがうかがわれ,a社は,平成24年6月上旬ころまで,c社への○○製品を売却し,同月以降も既に注文を受けていた商品の出荷等を行っていたことに照らすと,被告Y1自身の経費以外について,a社の必要な残務のために支出されたものではないと直ちにいえないものも含まれている可能性もあり,解雇後もa社で経理の仕事を続けていた当時の被告Y1による別紙2の被告Y1自身の経費以外の処理について,直ちに違法あるいは債務不履行であるとまでいえず,不法行為あるいは債務不履行責任を負うということはできない。
ウ そうすると,原告の被告Y1に対する,不法行為による損害賠償請求権に基づき,7万2733円及びこれに対する最終の不法行為日である平成24年7月19日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で,原告の請求④には理由がある。
6  争点(5)(請求⑤)について
(1)  証拠(甲33《4頁》,甲77ないし甲81,甲90,丁13ないし丁20,枝番を含む。被告Y1),前記認定事実及び弁論の全趣旨によると,次の事実を認めることができる。
ア 補助参加人は,平成24年6月ころ,a社から別紙3の製品在庫2を税込み1470万円で購入することを合意した(本件在庫売買)。補助参加人は,同年7月17日,本件在庫売買の代金のうち1155万円をD名義の口座に振り込み,残額315万円をa社名義の口座に振り込んだ。
イ 被告Y1は,平成24年7月16日,a社の元従業員9名とともに,補助参加人に雇用された。
ウ e社に対し,平成24年7月2日に合計19万7664円,同月11日に合計27万6104円,同月13日に合計30万2486円,同月19日に合計32万8515円,同月24日に合計28万2436円の○○製品が販売された。
f社に対し,同月3日に合計39万4789円,同月20日に合計193万1265円の○○製品が販売された。
g社に対し,同月2日に合計8万6940円の○○製品が販売された。
エ 上記ウの売上げは,同月2日のe社に対する19万7664円の売上げを除き,a社の補助元帳に記載があるところ(甲14の1の1,甲14の2の1,甲14の3の1,甲14の4の1),被告Y1は,これを除いた上記ウについて,a社の売掛金の帳簿に記載した(被告Y1・5頁)。
被告Y1は,平成24年7月31日,前記ウのa社のe社に対する売掛金81万6417円,f社に対する売掛金232万6054円,g社に対する売掛金8万6940円,h社に対する売掛金18万8774円について,補助参加人名義の請求書を作成し,上記各社に送付した(甲14の1の2,甲14の2の2,甲14の3の2,甲14の4の2)。上記各請求書には,補助参加人名義の銀行口座が記載されていた。
オ e社は,平成24年8月15日,補助参加人名義の口座に162万4302円を振り込み支払った(甲14の1の4)。
f社は,同月31日,補助参加人名義の口座に232万6054円を支払った(甲14の2の4)。
g社は,同年9月10日,補助参加人名義の口座に8万6940円を支払った(甲14の3の3)。
h社は,同年8月22日,補助参加人名義の口座に18万4159円を支払った(甲14の4の3)。
カ 原告は,平成25年11月11日,補助参加人に対し,a社との取引内容等について照会したところ,補助参加人は,同月25日,本件在庫売買の代金が1470万円であることなどを回答すると共に,原告に対し,平成24年6月15日時点の棚卸集計表(以下「第15期棚卸集計表」といい,別紙3記載の製品在庫2が記載されている。)を送付した。原告は,平成26年4月28日,再度,補助参加人に対して同様の照会をしたところ,補助参加人は,同年6月27日,本件在庫売買の目的物(製品在庫2)は第15期棚卸集計表記載の製品在庫のみである旨回答した。
キ 補助参加人は,平成29年12月4日,原告に対し,e社に対する売掛金81万6417円について,平成27年2月14日からの遅延損害金を含めて弁済した(丁19,丁20)。
(2)  検討
ア 前記認定事実及び前記(1)の認定によると,a社は,本件在庫売買により,補助参加人に対し第15期棚卸集計表記載の製品在庫を一括して譲渡し,その後は○○事業を事実上停止し,既に受注済みの商品の出荷のみを続けていたと認められ,平成24年6月15日以降に出荷された商品のうち,第15期棚卸集計表に記載された品番の製品については,既にa社において受注していた商品を除き,補助参加人が受注し,納品したものと推認できる。
e社に対する売上については,証拠(甲14の1の2,3)によると,「△△-1709」「△△-0809」「△△-1703」「△△-1303」といった製品在庫2に含まれない品番の製品が含まれており,これらが補助参加人の取得した製品在庫の売却であると認めることはできない。また,e社に対する売上は,いずれも過去に納入された床暖房製品の在庫欠品の補充分であることをうかがわれる。そうすると,これらについては,補助参加人の取得した製品在庫の売却であるから,補助元帳の記載のとおり,a社の債権であると認められる。
これに対し,f社及びg社に対する売上については,いずれも製品在庫2に含まれる品番の製品についての売上であり,証拠(甲14の2の1ないし3,甲14の3の1,2)によると,平成24年7月になってからの受注であると認められる。多量の□□シリーズの製品が補助参加人に売却されずにa社に残されたことをうかがわせる証拠はなく,これらは,いずれも補助参加人に対し売却された製品在庫2の中から納品されたものであると認められる。そうすると,f社及びg社に対する売上は,いずれも補助参加人が取得した製品在庫の販売であると認めることができる。
イ これに対し,原告は,a社が補助元帳に平成24年7月末の売掛金残高として記載した金額の売買代金債権をf社及びg社に対して有していたと主張し,f社及びg社に対する債権に係る売上については,いずれもa社名義の納品書が送付されていたことがうかがわれる。しかしながら,補助元帳には,例えば,e社に対する平成24年7月2日付け売掛金については記載がないなど,その記載が正確なものであるかどうかには疑問がある上,a社が,平成24年6月18日から同年7月13日までの間,補助参加人が譲り受けた製品在庫に対する受注,発注等の業務を行っており,その間は,a社の従業員がa社の会計ソフトを利用して受注・発注の業務を行っていたことからすれば,a社の補助元帳の記載及び納品書の名義を重視することは必ずしもできない。
また,原告は,a社が平成24年11月30日時点においても,なお相当数の床暖房製品の在庫を有していたことを指摘し,本件在庫売買によって第15期棚卸集計表記載の品番の製品在庫がすべて補助参加人に譲渡された事実はないと主張する。しかしながら,証拠(甲25,甲93)によると,平成24年11月30日時点のa社の在庫には,一部の例外(◇◇シリーズにつき17個の在庫があるが,僅少であり,何らかの理由で返品を受けた製品等である可能性を否定できない。)またはサンプル品等を除き,第15期棚卸集計表記載の製品は含まれていない。さらに,原告は,a社が平成24年6月15日以降も複数の販売先に出荷をしていることを指摘し,本件についても,a社が受注,納品したものであると主張するが,a社は既に受注済みの商品については平成24年6月15日以降も出荷を継続していたことが認められる。そうすると,原告の指摘は,いずれも前記認定を左右しない。
ウ 被告Y1の責任
そうすると,e社に対する債権については,a社が有していたものと認められ,被告Y1は,補助参加人名義の請求書を作成して,補助参加人名義の銀行口座に振り込ませことが認められる。前記2で判示したとおり,被告Y1は,平成24年5月の時点で,a社の経営状況等を十分に認識した上で,その後,上記請求書を作成したものであるから,a社の有する債権を補助参加人が回収すれば,a社の責任財産が減少することについて認識し又は認識し得たと認められる。被告Y1の上記行為は,不法行為を構成するというべきであり,上記行為により,a社は,81万6417円相当の損害を被ったものであり,被告Y1は,原告に対し,81万6417円及びe社が補助参加人名義の口座に支払った平成24年8月15日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払義務を負う。
もっとも,e社に対する債権81万6417円については,証拠(丁19,丁20)によると,補助参加人は,平成29年12月4日,81万6417円及びこれに対する平成27年2月14日から平成29年12月4日までの1025日分の遅延損害金11万4522円の合計93万0939円を支払ったことが認められる。そうすると,81万6417円及びこれに対する平成24年8月15日から平成29年12月4日までの1938日分の利息21万6630円から,利息,元金の順で充当され,被告Y1は,残元金10万2108円及びこれに対する平成29年12月5日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払義務を負うことになる。
f社及びg社に対する債権については,補助参加人が有するものと認められ,a社が有していたものと認めることはできないから,原告の請求は,その余の点を検討することなく,理由がない。
エ 被告Y2の責任
(ア) f社及びg社に対する債権については,a社が有していたものと認めることはできないから,原告の請求はその余の点を検討することなく,理由がない。
(イ) 原告は,被告Y2が,a社においてc社の売掛金を受領せず,被告Y1が平成24年7月31日に補助参加人名義の請求書を発行するままに黙認ないし放置したなどと主張するが,被告Y2が,上記請求書の発行や補助参加人のe社からの売掛金の回収について具体的に関与したことを認めるに足りる証拠はなく,それらについて認識し又は認識し得たとはいえない。したがって,被告Y2において,不法行為が成立するということはできず,取締役としての監督義務違反があるとも認められない。
この点,原告は,被告Y1は,e社の請求書の発行について,被告Y2からの指示を受けて作成した旨供述しているところ,仮に,そうであれば,かかる支払がa社に対してなされないようにする被告Y2の積極的な行為であると主張するが,被告Y2が,被告Y1に対して,e社の請求書の発行について指示をしたと認めるに足りる証拠はなく,原告の主張は採用できない。
(ウ) よって,原告の被告Y2に対する請求⑤は,いずれも理由がない。
7  争点(6)(請求⑥)について
(1)  証拠(甲8ないし甲10,甲65,甲73ないし75,甲82,甲101,枝番を含む。証人K,被告Y1),前記1の認定事実及び弁論の全趣旨によると,次の事実を認めることができる。
ア 平成22年6月ころ,a社において,役員報酬の減額が行われ,Bの手取り報酬額は,同年6月分120万5591円であったところ,同年7月分86万3991円となり,34万1600円の減額となった(甲73,甲74の1,2)。
イ a社は,平成22年6月ころまで,Bに出張日当を支払ったことはなかったが,同年7月以降,出張日当として約36万円を支払うようになった(甲8《19頁》,甲75の2)。
なお,Kは,C訴訟において,被告Y1が,役員報酬が減額された分の,それを補う分だ,40万を超えたときに,被告Y1に,Bの日当が多すぎると言ったところ,被告Y1が,Bにはアベレージ35万でするように言っていると答えたと証言している(甲8《19頁》)。
ウ 平成24年4月分から,a社は,役員報酬の支払を止めていた。
エ 被告Y2は,同年5月9日午前,B及びCとともに取締役会を行った(甲8《9頁》)。
オ 平成24年5月10日,a社の銀行口座から,日当として,B名義の銀行口座に63万円が振り込まれた(甲9,甲10)。上記振込手続きは,被告Y1の指示により,Cないしa社の管理部所属の従業員のKによってなされた(甲8《7頁ないし13頁》,甲10,甲82《10頁,11頁》甲101,K・10頁)。
カ 上記オの63万円について,被告Y1は,仕訳日記帳に「12月日当未払い振込」と記載した(甲9)。
(2)  検討
ア Bの銀行口座に振り込まれた63万円について,Bが,a社の業務のために出張を行ったと認める足りる的確な証拠はなく,上記(1)の認定事実によると,Bは,自己の減額報酬を補う分として,日当と称して受領したものと認められる。そして,前記2で判示したとおり,Bは,a社から平成23年10月17日に450万円を借り入れ,平成24年5月の時点で,a社の倒産を念頭に置いていたことが推認されることに照らすと,上記63万円の支出については,a社の責任財産を減少させるとともに,Bが当該金員を着服したものと認められる。
イ 被告Y1に対する請求⑥
(ア) 被告Y1は,a社の経理を所管する管理部の責任者として,平成24年5月の時点で,a社の経営状況を十分に認識し,その上で,KないしCに指示して,a社の銀行口座からB個人の口座に上記63万円を振込送金し,仕訳日記帳に「12月日当未払い振込」と記載したのであり,a社の責任財産が減少することを認識し又は認識し得たと認められる。そうすると,a社から上記63万円をB名義の口座に移動させたことに関する被告Y1の上記行為は,不法行為を構成するというべきであり,上記行為により,a社は,63万円相当の損害を被ったものであり,被告Y1は,原告に対し,上記金額の損害賠償責任を負う。よって,原告の被告Y1に対する,不法行為に基づく損害賠償請求権に基づき,63万円及び不法行為日である平成24年5月10日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める請求⑥には理由がある。
(イ) この点,被告Y1は,Bの日当の支払であると主張する。しかし,Bがa社の業務のために出張を行ったと認めるに足りる的確な証拠はなく,前記(1)の認定事実によると,Bの役員報酬の減額を補う分として支給されたものと認められ,被告Y1は,Bの日当に関して,Kとの間で同趣旨のやりとりを行っていることや,a社の経理を所管する管理部の責任者であったことを併せ考慮すると,被告Y1は,実態のない日当の支払であり,帳簿の記載は虚偽である旨を認識していたと認めることができ,被告Y1の主張は採用できない。
エ 被告Y2に対する請求⑥について
原告は,被告Y2が,平成24年5月9日,取締役会で63万円をBに振り込むことに決め,同月10日,被告Y1らをしてBに対して,a社の資金から63万円を振り込ませたなどと主張する。しかし,平成24年5月9日の取締役会で63万円をBに振り込むことに決めたことや,被告Y2が,上記金員の移動に関与したことを認めるに足りる証拠はない。被告Y2が,平成24年5月9日,a社の社屋で取締役会に出席していたこと,B,C及び被告Y1と同席していたことによって,上記金員の移動を行うことを認識し又は認識し得たとまではいえない。したがって,被告Y2において,不法行為が成立するということはできず,取締役としての監督義務違反があるとも認められない。そうすると,原告の被告Y2に対する請求⑥には理由がない。
8  争点(7)(請求⑦)について
(1)  証拠(甲12,甲58,甲59,甲66,枝番を含む。被告Y1)及び前記認定事実によると,次の事実を認めることができる。
ア Bは,a社名義の「りそなJCBカード」(以下「本件JCBカード」という。)を利用していたところ,平成23年7月19日から同年8月4日までの間,「ヴァロリーゼ」という店を6日間利用し,1回あたり約6000円から1万6000円程度の代金であった(甲66の1)。
本件JCBカードの利用代金については,a社の経費積算書に記載されているところ,被告Y1は,a社の経費精算書に検印を押す立場であった(甲66の2の1,2の2)。
イ Bは,従前から本件JCBカードを利用し,平成24年5月16日から7月までも,同カードを利用していた。(甲58の1,2)。上記期間の本件JCBカードの請求書の利用先欄には,「オンザビーチ」「ドスパラパーツ館」「MALIBU横浜三井ビル店」「肉匠紋次郎上六店」「メンバーズ池上」「スーパーオートバックス横浜みなとみらい」「カラオケミラージュ」の記載がある(甲58の1,2)。
ウ Bが平成24年5月16日から同年6月11日までの間に本件JCBカードを利用した金額は21万6350円であり,同年7月10日,a社の銀行口座から引き落とされた(甲59)。
上記21万6350円は,平成24年6月15日締め,6月25日発行の請求書(甲58の1)の合計29万2224円から,法人カード年会費2624円及びETCスルーカード利用代金(ご利用おまとめ)6万4750円,「P」名義のETCカード利用代金8500円を控除した金額である。
エ Bが平成24年6月17日から同年7月13日までの間に本件JCBカードを利用した金額は,54万4280円であり,同年8月10日,a社の銀行口座から引き落とされた(甲59)。
上記54万4280円は,平成24年7月15日締め,7月25日発行の請求書(甲58の2)の合計64万2430円から,ETCカードの利用代金9万8150円(甲12の2)を控除した金額である。
(2)  検討
ア 原告は,被告Y1が,Bから本件JCBカードを回収したり,契約を解約したりする義務を負っていたなどと主張する。前記(1)認定事実によると,Bが平成24年5月16日から同年7月13日までの間に本件JCBカードを利用した金額は合計76万0630円であるところ,利用明細書の記載の内容を考慮すると,上記利用代金の一部は,Bが私的に本件JCBカードを利用した代金であり,a社の銀行口座から引き落とされたことにより,a社の責任財産を減少させたものと認められる。
そして,前記1の認定事実,前記(1)の認定事実及び弁論の全趣旨によると,本件JCBカードの利用代金については,a社の経費積算書に記載され,被告Y1は,a社の経費精算書に検印を押す立場であり,平成24年5月の時点でa社の経営状況等についても十分に認識していたことが認められ,被告Y1は,Bの本件JCBカードを私的に利用した内容を認識し得たものと認められる。
イ しかし,被告Y1が,Bによる本件JCBカードの私的利用に具体的に関与したことを認めるに足りる証拠はなく,前記(1)の認定事実のとおり,本件JCBカードは,a社の名義であり,a社名義の銀行口座から引き落とされていること,Bは,本件JCBカードを従前から使用していることから,上記支出を止めるためには,Bから本件JCBカードを回収したり,同カードの契約を解約したりする必要があるところ,Bは,a社の代表取締役であり,被告Y1は,a社の従業員に過ぎず,被告Y1がa社を代表ないしは代理して,同カードの契約を解約する権限を有していることを裏付ける証拠はないことに照らすと,上記アで指摘した事情から,被告Y1に,Bから本件JCBカードを回収すべき義務,契約を解約すべき義務があるとまでは認められない。そうすると,被告Y1は,不法行為責任ないし債務不履行責任は負うということはできず,この点に関する原告の主張は採用できない。
ウ したがって,原告の請求⑦には理由がない。
9  争点(8)(請求⑧)について
(1)  証拠(甲8,甲59,甲60,甲69《1頁,2頁》,甲70,枝番を含む。証人K,被告Y1)及び前記認定事実によると,次の事実を認めることができる。
ア a社は,Sとの間で,平成23年12月21日,下記のとおり,賃貸借契約を締結した(甲60の1)。
所在地 横浜市〈以下省略〉
物件 nマンションB905
賃料 25万5200円
引渡日 平成23年12月21日
解約日 平成24年12月21日
イ Bは,平成23年12月21日以降,上記アのマンションに,Bの妻及び子と居住していた。
ウ 上記アの賃貸マンショへの入居の初期費用(敷金,礼金)は,a社の資金から支出され(甲69),同マンションの賃料は,半額を「住宅控除」としてBの役員報酬から控除し,残りの半額を役員報酬から天引きされていた。
エ a社は,平成24年4月27日から同年9月ころまでの間,上記アの賃貸借契約に基づく同年5月分から同年10月分までの賃料として,毎月25万5200円を支払った(甲59,甲60)。
オ Bの役員報酬は,平成24年4月以降,a社から支払われなかった(乙5《7頁》)。
カ 上記アの賃貸借契約に基づく平成24年11月分及び12月分の小計42万8077円(12月は日割で21日分)は,a社の資金から差し入れていた敷金58万円から充当された(甲60の1ないし5)。すなわち,上記アの賃貸借契約に基づく賃料の保証人は株式会社リクルートフォレントインシュア(以下「リクルート」という。)であるところ,リクルートがa社の敷金返還請求権に賃料の求償権の担保として譲渡担保を設定し,同年11月分及び12月分につき上記アの賃貸借契約に基づく賃料を各代位弁済して求償権を取得し,同求償権に基づき,敷金から11月分として25万5200円,12月日割分として17万2877円を回収した。
(2)  検討
ア 原告は,被告Y1が,Bを賃借物件から退去させる義務,Bに賃料を負担させる義務,賃貸借契約を解除する義務,賃借人名義を変更する義務を負っていたなどと主張する。前記1,上記(1)の認定事実によると,平成23年12月21日以降,a社が賃借人として,Bの私宅の賃料,礼金及び敷金を負担し,平成24年4月25日にBの役員報酬がなくなったことにより,報酬からの天引きの方法によって同人に賃料を負担させることができず,a社の資金によりBの私宅の賃料等として合計195万9277円が支出されたことにより,a社の責任財産が減少したと認められる。
イ しかし,前記認定事実及び弁論の全趣旨によると,Bが居住していたマンションの賃借人は,a社であり,a社名義の銀行口座から賃料が引き落とされていること,Bが,平成24年12月21日まで居住していたことから,上記支出を止めるためには,上記賃貸借契約を解約したり,賃借人名義を変更したりする必要があるところ,Bは,a社の代表取締役であり,被告Y1は,a社の従業員に過ぎず,被告Y1がa社を代表ないしは代理して,上記賃貸借契約を解約したり,賃借人名義を変更したりする権限を有していることを裏付ける証拠はないことに照らすと,a社の従業員の被告Y1が,Bを賃借物件から退去させる義務,Bに賃料を負担させる義務,賃貸借契約を即時解約する,賃借人名義をa社からBに変更する義務があるとまでは認められない。
したがって,被告Y1には,不法行為責任ないし債務不履行責任は認められず,原告の請求⑧には理由がない。
10  争点(9)(請求⑨)について
(1)  証拠(甲61,82,枝番を含む。証人K,被告Y1)及び前記認定事実によると,次の事実を認めることができる。
ア a社は,B個人負担分の健康保険料,介護保険料,及び年金保険料をBの役員報酬から天引きし,「立替金」として会計帳簿に計上していた(甲61の1,2)。a社は,Bの役員報酬から天引きした金銭を原資として,上記のBの各保険料を納入していた。
イ Bの役員報酬は,平成24年4月25日以降,a社から支払われなかった。
ウ a社は,Bの平成24年5月分から7月分の各種保険料合計36万1899円を支払った。
エ 被告Y1は,Kに対し,従業員の分の異動届を出すよう指示したが,Bと被告Y2の分は指示しなかった(甲82《10頁》,K・13頁)。また,被告Y1は,自らまたはRに指示して立替金としてa社の会計帳簿にB及び被告Y2の上記の各種保険料を計上した(被告Y1・38頁,K・12頁)。
(2)  検討
ア 原告は,被告Y1が,Bから各種保険料の支払を得たうえでa社から支払う,Bに自ら支払わせる,異動届を提出させるなどの義務を負っていたなどと主張する。上記(1)の認定事実よると,平成24年4月25日以降,Bの役員報酬がa社から支払われず,報酬からの天引きの方法によって同人に各種保険料を負担させることができず,a社の資金によりBの各種保険料として36万1899円が支出されたことにより,a社の責任財産が減したと認められる。
イ 被告Y1は,a社の経理を所管する管理部の責任者として,平成24年5月の時点で,a社の経営状況等を十分に認識していたことが認められるが,a社の従業員に過ぎず,同月20日にa社を解雇された後,a社の経理事務を行っていたものの,代表取締役であるBに対し,自ら支払わせる,異動届を提出させるなどの義務を負っていたとまでは認められない。そうすると,被告Y1には,不法行為責任ないし債務不履行責任は負うということはできず,この点に関する原告の主張は採用できない。したがって,原告の請求⑨は認められない。
11  争点(10)(請求⑩)について
(1)  証拠(甲61,甲82,甲82,枝番を含む。証人K,被告Y1),前記認定事実及び弁論の全趣旨によると,次の事実を認めることができる。
ア a社は,被告Y2個人負担分の健康保険料,介護保険料,及び年金保険料を被告Y2の役員報酬から天引きし,「立替金」として会計帳簿に計上していた(甲61の1,2)。a社は,被告Y2の役員報酬から天引きした金銭を原資として,各種保険料を納入していた。
イ 被告Y2の役員報酬は,平成24年4月以降,a社から支払われなかった。
ウ a社は,被告Y2の各種保険料(5月分及び6月分の健康保険料月額2万0459円,介護保険料月額3177円,年金保険料月額3万3645円の合計11万4562円,7月分の健康保険料2894円,介護保険料449円,年金保険料8215円の合計1万1558円)を納入した。
エ 被告Y1は,Kに対し,従業員の分の異動届を出すよう指示したが,Bと被告Y2の分は指示しなかった(甲82《10頁》,K・13頁)。また,被告Y1は,自らまたはRに指示して立替金としてa社の会計帳簿にB及び被告Y2の上記の各種保険料を計上した(被告Y1・38頁,K・12頁)。
(2)  検討
ア 原告は,被告Y1が,被告Y2から各種保険料の支払を得たうえでa社から支払う,被告Y2に自ら支払わせる,異動届を提出させるなどの義務を負っていたなどと主張する。上記(1)の認定事実よると,平成24年4月25日以降,被告Y2の役員報酬がa社から支払われず,報酬からの天引きの方法によって同人に各種保険料を負担させることができず,a社の資金により被告Y2の各種保険料として12万6120円が支出されたことにより,a社の責任財産が減少したと認められる。
イ 被告Y1は,a社の経理を所管する管理部の責任者として,平成24年5月の時点で,a社の経営状況等を十分に認識していたことが認められるが,a社の従業員に過ぎず,同月20日にa社を解雇された後,a社の経理事務を行っていたものの,取締役である被告Y2に対し,自ら支払わせる,異動届を提出させるなどの義務を負っていたとまでは認められない。そうすると,被告Y1には,不法行為責任ないし債務不履行責任は負うということはできず,この点に関する原告の主張は採用できない。したがって,原告の請求⑩は認められない。
12  争点(11)(請求⑪)について
(1)  証拠(甲61ないし64,枝番を含む。証人K,被告Y1)及び前記認定事実によると,次の事実を認めることができる。
ア 被告Y2とa社は,平成21年2月6日,①a社が被告Y2の居住する住宅について東京建物不動産販売との間で,賃貸借契約を締結すること,②a社が支払う賃料は,被告Y2の報酬の減額及び被告Y2の負担分の給与天引きにより被告Y2が支払うことなどが内容として記載された賃貸借契約書を作成し,平成21年3月以降,被告Y2の役員報酬から賃料の半額である13万7500円を減額するとともに,賃料のその余の13万7500円を住宅控除として天引きすることを合意した(甲61ないし64,枝番を含む。)。
イ a社は,東京建物不動産販売との間で,同月11日,東京都目黒区〈以下省略〉所在のoマンション108号室(以下「108号室」という。)について,東京不動産販売を賃貸人,a社の賃借人,被告Y2を連帯保証人として,賃料27万5000円,賃貸期間を同月12日から平成23年2月11日まで,入居者を被告Y2並びにその妻及び子らとする内容の定期建物賃貸借契約を締結し,平成23年1月18日には,東京不動産販売との間で,賃貸期間を同年2月12日から平成25年2月11日とする同内容の定期建物賃貸役契約を締結した。
ウ a社は,平成21年3月から平成24年3月まで,各月の被告の役員報酬から13万7500円ずつを控除した(甲63)。同マンションの賃料は,平成21年2月6日以降,半額を「住宅控除」として被告Y2の役員報酬から控除し,残りの半額を「立替金」として会計帳簿に計上して,役員報酬から天引きしていた(甲63)。
エ 被告Y2の役員報酬は,平成24年4月以降,a社から支払われなかった。
オ 上記イの定期建物賃貸借契約は,平成24年8月31日をもって解約されたところ,被告Y2は,平成21年2月12日から平成24年8月31日まで上記物件に居住し,a社は,上記各賃貸借契約に基づくこの期間中の賃料全額を支払ったところ,平成24年5月分から同年8月分まで110万円を負担した(甲64,なお,平成24年8月分の賃料については,a社が差し入れた敷金から控除することにより精算された。)。
(2)  検討
ア 原告は,被告Y1が,賃貸借契約を即時解約する,賃借人名義を変更する,被告Y2に賃料を支払わせる,被告Y2から回収する義務をそれぞれ負っていたなどと主張する。上記(1)の認定事実によると,平成21年2月12日以降,a社が賃借人として,被告Y2の私宅の賃料,礼金及び敷金を負担し,平成24年4月25日以降,被告Y2の役員報酬が支払われず,報酬からの天引きの方法によって同人に賃料を負担させることができず,a社の資金により被告Y2の私宅の賃料等として合計110万円が支出されたことにより,a社の責任財産が減少したと認められる。
イ しかし,前記認定事実及び弁論の全趣旨によると,被告Y2が居住していたマンションの賃借人は,a社であり,a社名義の銀行口座から賃料が引き落とされていること,被告Y2が,平成24年8月31日まで居住していたことから,上記支出を止めるためには,上記賃貸借契約を解約したり,賃借人名義を変更したりする必要があるところ,a社の従業員に過ぎない被告Y1が,被告Y1がa社を代表ないしは代理して,上記賃貸借契約を解約したり,賃借人名義を変更したりする権限を有していることを裏付ける証拠はないことに照らすと,賃貸借契約を即時解約する,賃借人名義をa社からBに変更する義務,取締役である被告Y2に賃料を支払わせる義務,被告Y2から賃料相当額を回収する義務があるとは認められない。
したがって,被告Y1には,不法行為責任ないし債務不履行責任は認められず,原告の請求⑪には理由がない。
第4  結論
以上によれば,原告の請求は,主文第1項の限度で理由がある。
よって,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第13部
(裁判官 西野光子)

 

〈以下省略〉

 

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