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「営業支援」に関する裁判例(67)平成25年 7月10日 東京地裁 平24(ワ)7616号 サービスフィー支払等請求事件

「営業支援」に関する裁判例(67)平成25年 7月10日 東京地裁 平24(ワ)7616号 サービスフィー支払等請求事件

裁判年月日  平成25年 7月10日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平24(ワ)7616号
事件名  サービスフィー支払等請求事件
裁判結果  請求認容  文献番号  2013WLJPCA07109001

要旨
◆「CENTURY21」の名称を用いてフランチャイズチェーンを営む原告が、ドメイン「CENTURY21.CO.JP」の登録名義を有する被告に対し、フランチャイズ契約又は不正競争防止法2条1項12号、3条、4条に基づき、本件ドメインの使用差止め、登録抹消及び損害賠償を求めるとともに、原告がAに有する、未払サービスフィー5162万2641円及び遅延損害金の支払を求めた事案において、被告は、少なくとも本件フランチャイズ契約が終了した平成23年12月28日以降は、原告の特定商品等表示である「CENTURY21」の顧客吸引力にフリーライドして不当に自己の利益を図る目的で本件ドメインを保有しているものと認めるのが相当であり、被告には「不正の利益を図る目的」が認められ、また、被告は、Aによる法人格の濫用であり、法人格否認の法理により、Aと別個の法人格であることを主張することができないから、原告は、被告に対し、原告がAに有する未払サービスフィー及び遅延損害金の支払を求めることができるなどとして、請求を認容した事例

評釈
IP研究会・特許ニュース 13647号1頁

参照条文
不正競争防止法2条1項12号
不正競争防止法3条1項
不正競争防止法3条2項
不正競争防止法4条
不正競争防止法5条3項4号

裁判年月日  平成25年 7月10日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平24(ワ)7616号
事件名  サービスフィー支払等請求事件
裁判結果  請求認容  文献番号  2013WLJPCA07109001

東京都港区<以下略>
原告 株式会社センチュリー21・ジャパン
同訴訟代理人弁護士 岩井泉
同 關健一
東京都千代田区<以下略>
(登記簿上の本店所在地)東京都港区<以下略>
被告 センチュリー住宅販売株式会社

 

主文

1  被告は,建物の賃貸の媒介,建物の売買の媒介,土地の賃貸の媒介,土地の売買の媒介の各役務の提供に関し,「CENTURY21」を含むドメインを使用してはならない。
2  被告は,別紙ドメイン名目録記載のドメインの登録を抹消せよ。
3  被告は,原告に対し,平成23年12月28日から別紙ドメイン名目録記載のドメインの登録抹消済みに至るまで,月5万円の割合による金員を支払え。
4  被告は,原告に対し,5162万2641円及びこれに対する平成24年3月31日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
5  被告は,原告に対し,370万6534円及びこれに対する平成24年3月31日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
6  訴訟費用は被告の負担とする。
7  この判決は,第2項を除き,仮に執行することができる。

事実及び理由

第1  請求
主文同旨
第2  事案の概要
1 本件は,「CENTURY21」の名称を用いてフランチャイズチェーンを営む原告が,別紙ドメイン名目録記載のドメイン「CENTURY21.CO.JP」(以下「本件ドメイン」という。)の登録名義を有する被告に対し,フランチャイズ契約又は不正競争防止法2条1項12号,3条,4条に基づき,本件ドメインの使用差止め,登録抹消及び損害賠償を求めるとともに,原告は横浜不動産株式会社(以下「横浜不動産」という。)に未払サービスフィー請求権を有しているところ,被告の法人格は濫用であって横浜不動産と同視すべきものであるとして,被告に対し,原告が横浜不動産に有する,平成22年3月8日付け支払合意に基づく未払サービスフィー5162万2641円及び同支払合意後に発生した未払サービスフィー370万6534円,並びにこれらに対する訴状送達の日の翌日である平成24年3月31日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
2  前提となる事実(証拠を付した以外の事実は争いがない。)
(1)  当事者
ア 原告は,不動産業者向けフランチャイズチェーンの事業本部であり,加盟店に対する営業支援等を主な業とする会社である。
イ 被告は,原告のフランチャイジーであった不動産業者である。
(2)  本件フランチャイズ契約
ア 本件フランチャイズ契約の締結
原告は,被告(当時の商号は「オンライン不動産販売株式会社」)との間で,平成23年6月21日,下記所在の店舗(以下「承認店舗」という。)についてフランチャイズ契約(甲13の1。以下「本件フランチャイズ契約」という。)を締結した。

東京都渋谷区<以下略>
イ 本件フランチャイズ契約の内容
本件フランチャイズ契約の内容は以下のとおりである。
(ア) 店舗所在地での運営義務(5条1項)
被告は,承認店舗所在地にて不動産業店舗を運営しなければならず,同所在地以外で不動産業店舗を運営してはならない。
(イ) 帳簿等の提供義務(12条2項(7))
被告は,帳簿,納税申告書控,取引台帳,会計記録等を整備し,要求があり次第,原告に提示しなければならない。
(ウ) 使用可能なドメイン(12条2項(3))
被告は,「センチュリー21規準書」(甲13の2。以下「規準書」という。)に従って,承認店舗を運営しなければならない。
規準書1-10-1では,被告が,独自又はその他のホームページを制作するにあたっては,承認された完全な承認店舗名が含まれる場合,承認店舗名の変形で連続した3文字を含む場合,承認された正式な会社名を含む場合等,限定されたドメイン名のみ使用可能と規定されている。
(エ) 契約解除(19条)
① 被告が本契約に基づく確認事項に対する違反その他の契約条件に違反した場合,催告の上で解除することができる(2項)。
② 本契約を継続することが著しく不都合であると,原告が客観的に判断した場合,催告期間なく解除することができる(10項(4))。
(オ) 解除後の処置(20条)
本契約の解除と同時に,被告は,以下の処置を取らなければならない。
類似名称,マーク等を含む一切の「センチュリー21マーク等」の即時かつ永久的な使用の取りやめ(3項)。
類似名称,マーク等を含む一切の「センチュリー21マーク等」が使用されている全ての名刺,用箋類,契約書式,印刷物及び広告物等の即時破棄(4項)。
あらゆる種類の物件リスト,電話帳及び名簿類,インターネット等の情報システム等に掲載されているセンチュリー21名称の即時抹消手続(10項)。
(3)  本件ドメイン
ア 原告のフランチャイジーであった横浜不動産は,遅くとも平成10年頃から,本件ドメインを登録し,使用していた(甲28,32(枝番含む。以下同じ))。
イ 被告(当時の商号:オンライン不動産販売株式会社)は,平成23年6月21日,本件ドメインを横浜不動産から譲り受け,被告名義で登録した(甲24,弁論の全趣旨)。
ウ 被告は,平成24年3月14日時点で,本件ドメインを使用していた(甲17,31)。
(4)  原告の横浜不動産に対する債権
ア 原告は,横浜不動産との間で,昭和62年7月13日,神奈川県の店舗につきフランチャイズ契約を締結していたが,平成23年11月10日の経過をもって,同フランチャイズ契約は解除された。
原告は,横浜不動産との間で,平成16年11月2日,東京都の店舗についてもフランチャイズ契約を締結していたが,平成23年7月29日,同フランチャイズ契約は合意解除された。
原告は,横浜不動産に対し,上記各フランチャイズ契約に基づき,平成22年3月8日付け支払合意に基づく未払サービスフィー5162万2641円及び同支払合意後に発生した未払サービスフィー370万6534円の合計5532万9175円の債権を有している。
(甲3ないし12)
イ 原告は,本件訴訟において,横浜不動産(及びその連帯保証人)に対し,上記5532万9175円及び遅延損害金の支払を求め,当裁判所は,横浜不動産(ほか1名)に対する弁論を分離した上,平成24年6月29日,横浜不動産に対し上記5532万9175円及び遅延損害金の支払を命じる判決をし,同判決は確定した(当裁判所に顕著)。
3  争点
(1)  本件ドメインについての請求の可否(争点1)
ア 本件フランチャイズ契約に基づく請求の可否(争点1-1)
イ 不正競争防止法に基づく請求の可否(争点1-2)
(2)  被告の法人格が否認されるか(争点2)
第3  争点に対する当事者の主張
1  争点1(本件ドメインについての請求の可否)について
(1)  争点1-1(本件フランチャイズ契約に基づく請求の可否)について
(原告の主張)
ア 本件フランチャイズ契約の終了
(ア) 被告の営業活動においては,以下のとおり,本件フランチャイズ契約違反があった。
① 店舗所在地以外での事業運営
被告は,承認店舗が「東京都渋谷区<以下略>」であるにもかかわらず,遅くとも,平成23年10月以降,原告への通知もないまま,東京都港区<以下略>所在の東京販売センターにおいて,自己の不動産営業活動を行っていた。
そして,原告が,平成23年11月18日,営業状況について変更があるのであれば,その旨報告するよう是正を申し入れたにもかかわらず,その後も,同店舗での営業を漫然と継続するのみならず,他に,横浜市<以下略>所在の横浜販売センター,東京都文京区<以下略>所在の上野販売センター等でも営業を継続してきた。
このような行為は,本件フランチャイズ契約5条1項違反に該当する。
② 取引報告書の未提示
原告は,平成23年11月18日,被告に対し,同フランチャイズ契約に基づくサービスフィーの支払が正規になされているかを検査するため,取引報告書を提出することを書面にて請求したものの,被告からは,平成23年11月以降の取引報告書4通が開示されたに過ぎず,帳簿その他の資料は何ら提供されなかった。
被告が,平成23年11月以前から自社名義での活動をしていたことは明らかであり,平成23年11月以前の報告及びその他帳簿類を提出しなかったことは,本件フランチャイズ契約12条2項(7)違反である。
③ 未承諾での本件ドメイン取得
被告は,本件ドメインを自社で登録している。しかし,被告からは,同ドメイン取得にあたって,原告に対する何ら事前の相談も通知もなく,原告の許諾も受けていない。
規準書1-10-1では,被告が,自社独自またはその他のホームページを制作するにあたっては,承認された完全な承認店舗名が含まれる場合,承認店舗名の変形で連続した3文字を含む場合,承認された正式な会社名を含む場合等,限定されたドメイン名のみ使用可能とされている。すなわち,規準書では,本件ドメインである「CENTURY21.CO.JP」のような,「センチュリー21」を含む一般的なドメインの使用は許可されていない。
したがって,被告が無断で本件ドメインを登録すること,被告が横浜不動産に本件ドメインを使用させ,横浜不動産のホームページを立ち上げること,被告自身のホームページを立ち上げること等全て,規準書に違反するものであり,本件フランチャイズ契約12条2項(3)に違反する。
被告は,原告が横浜不動産には本件ドメインの使用を承諾していたのに,被告に対してのみ違法とするのは権利濫用であって許されないと主張する。しかし,もともと横浜不動産は原告の許諾等もないまま勝手に本件ドメインを取得したものであり,原告と横浜不動産との間のフランチャイズ契約に違反するものであった。そのため,原告は,横浜不動産に対し,本件ドメインの使用中止を申し入れていたものであって,原告の被告に対する請求が権利濫用となるものではない。
④ 本契約を継続することが著しく不都合である事情
原告が,被告と本件フランチャイズ契約を締結したのは,被告が,横浜不動産とは,資本関係も,従業員等の人的関係も,営業活動に関しても全く独立した別個の会社であるとの,被告代表者の言を信じたからである。すなわち,当時,原告としては,横浜不動産の原告に対する未払金が多額に上っていたため,被告が,横浜不動産の債務逃れ等を目的とする新会社か否かを,繰り返し確認し,完全に独立した別会社であるとの申し入れを信じて,契約を締結したのである。
しかしながら,実際には,被告は,横浜不動産と営業所・ホームページ等の物的資源を共通で利用し,従業員等の人的資源も共通で利用し,営業を行ってきたものである。
平成23年9月頃からは,横浜不動産の売上入金などを被告名義の口座において行うなど,横浜不動産の原告に対する未払金の回収を妨げる行為を共同で行っている。
原告が被告に対し,帳簿書類等の提出を求め,会社設立からの経緯を問い合わせたのに対し,被告は,平成23年11月29日には,「平成23年11月から活動を開始したにすぎない」「(横浜不動産の)A社長については,当社に入社させる気は全くない」「(横浜不動産と被告とは)完全な独立である。」等を報告した。しかしながら,実際には,その後も,被告は横浜不動産と共同で,新規の従業員を募集し,同一営業所での営業活動も継続していた。
平成23年12月8日,被告代表者であるBは,横浜不動産(当時はオンライン不動産)の会社説明会において,横浜不動産の就職希望者に対して「入社すれば,しばらく私の配属になって面倒をみさせていただきます。」と申し向け,横浜不動産との関係を対外的にも示している。また,横浜不動産代表者であるAも,オンライン不動産の資料を提示しながら,「グループのオンライン不動産販売の会社……中身的には一緒」と述べているなど,両社の代表者が,自ら,両社は一体的なものであることを説明していた。
このような事情を鑑みれば,本件フランチャイズ契約をこれ以上,継続することは著しく不都合であることは客観的に明らかである。
(イ) 原告は,平成23年12月15日,被告に対し,本件フランチャイズ契約5条1項違反,12条2項(7)違反,12条2項(3)違反,19条10項(4)を理由として,10日以内に対応がなければ本件フランチャイズ契約を解除する旨の解除予告通知書(甲30の1)を送付し,同通知書は,平成23年12月17日被告に到達した。被告は,その後も,承認店舗以外での営業を停止するなど上記条項違反を是正することもなく,10日を経過した。
したがって,遅くとも,平成23年12月27日の経過をもって,本件フランチャイズ契約は終了した。
イ 本件ドメインの使用差止請求権
被告は,本件ドメインを利用して自己の営業をホームページ上で宣伝広告している。すなわち,被告は,本件フランチャイズ契約が終了したにもかかわらず,「センチュリー21マーク等」を現在においても,自己の不動産取引業務の宣伝広告のために使用している。
本件フランチャイズ契約20条4項は,契約終了後,フランチャイジーがフランチャイザーの名称等を継続使用して未だにフランチャイジーであるかのような外観を残存させることを禁止するものであり,禁止の対象として本件ドメインの使用が含まれることは明らかである。
したがって,原告は,被告に対し,本件フランチャイズ契約20条4項に基づく「センチュリー21マーク等」の使用差止請求権として,本件ドメインの使用差止請求権を有している。
ウ 本件ドメインの登録抹消請求権
本件フランチャイズ契約20条10項も,契約終了後,フランチャイジーがフランチャイザーと関係を有するような外観を残存させることを禁止するため書類等の廃棄を求めるものであり,廃棄の対象として本件ドメインの抹消が含まれることは明らかである。
したがって,原告は,被告に対し,本件フランチャイズ契約20条10項に基づく「センチュリー21名称」の即時抹消手続請求権として,本件ドメイン登録の抹消手続請求権を有している。
(被告の主張)
ア 原告の主張アのうち,原告の解除予告通知(甲30の1)が到達したことは認め,その余はいずれも否認し,争う。
① 被告は,10名以上の従業員を引き受ける事務所も借りていない状況で横浜不動産から従業員を引き継がなければならなくなったことから,とりあえず横浜不動産が使用していた事務所と同所において個別マンションの販売センターを設け,逐次事業の準備を整えていったものである。上野販売センターは平成23年12月12日時点で閉鎖していた。
② 被告は,平成23年12月1日,オンライン不動産販売設立後の経緯(甲20)及び取引報告書4通(甲21)を提出した。実際に平成23年10月までは売上もなかった。
③ 原告は,横浜不動産が本件ドメインを使用することを認めていた。本件ドメインは,横浜不動産から無償で正当に譲り受けたものである。被告に対してのみ違法とするのは権利濫用となり許されない。
④ 被告と横浜不動産とは経営主体を異にした別会社である。被告は,被告代表者がスバル無線電機株式会社の出資を受けて設立したものであって,横浜不動産とは資本を全く異にする。
イ 原告の主張イ,ウは争う。
原告は,本件フランチャイズ契約20条4項及び20条10項に基づき,ドメインの使用差止請求権,即時抹消手続請求権があると主張する。しかし,20条4項は「類似名称,マーク等を含む一切の「センチュリー21マーク等」が使用されている全ての名刺,用箋類,契約書式,印刷物及び広告物等の即時廃棄。」と規定されており,その廃棄対象は紙媒体の文書等である。ここにドメインは含まれない。また,20条10項についても,「電話帳及び名簿類,インターネット等の情報システム等に掲載されているセンチュリー21名称の即時抹消手続。」と規定するのみで,情報内にセンチュリー21のフランチャイズ店であると表記する情報媒体からの同名称の削除を求めるものであり,ここにドメインの削除まで含まれるとの解釈は同契約文書からは導かれない。
(2)  争点1-2(不正競争防止法に基づく請求の可否)について
(原告の主張)
ア 被告は,規準書において,本件ドメイン(「CENTURY21.CO.JP」)のような,「センチュリー21」を含む一般的なドメインの使用は許可されていないにもかかわらず,原告に無断で本件ドメインを登録した。その上で,何ら関係なく独立したものと述べていた横浜不動産に本件ドメインを利用させ,その後は,本件ドメインを利用したホームページにおいて,自社と横浜不動産との宣伝広告等を混然一体とした状況で行っていた。
そして,平成23年12月27日の経過をもって本件フランチャイズ契約が終了すると,自己の商号を「センチュリー住宅販売」と原告と関連するかのような商号に変更するとともに,本店所在地を変更した上で,本件ドメインを利用して営業を継続している。このような行為を見れば,被告には,原告の「センチュリー21」という表示が有する顧客吸引力にフリーライドして不正の利益を得る目的があることは明白である。
イ 原告は,不動産業者向けフランチャイズチェーンの事業本部(フランチャイザー)であり,全国に773店舗(平成24年2月末日現在)のフランチャイジーを有して事業展開をし,当該フランチャイズチェーンにおいては,「センチュリー21」ないし「CENTURY21」その他の標章が,原告の業務に係る標章その他役務を表示するものとして利用されてきた。すなわち,「CENTURY21」は原告の特定商品等表示である。
ウ 被告は,本件ドメインを自社にて登録して保有し,現在も使用しているところ,原告の特定商品等表示と同一若しくは類似のドメインを取得し,使用していることも明らかである。
エ 以上によれば,被告が本件ドメインを保有し,使用する行為は不正競争防止法2条1項12号の不正競争行為に該当する。
オ 被告は,本件ドメインを保有し使用することにより不正競争行為を継続している。そして,当該不正競争行為により,一般顧客は,被告が原告のフランチャイジーまたは原告の関連事業者であるかのように誤認することは明らかであり,原告の営業上の利益が現に侵害されまたはそのおそれがある。
したがって,原告は,被告に対し,不正競争防止法3条に基づき,本件ドメインの使用差止め及び登録抹消手続請求権を有する。
カ 被告の不正競争行為により,原告は,少なくとも,本件フランチャイズ契約7条に基づき,最低保証額として得るべきサービスフィー月5万円の損害を被っている。
したがって,原告は,被告に対し,不正競争防止法2条1項12号,4条,5条3項4号に基づく損害賠償請求権として,本件フランチャイズ契約の解除日の翌日である平成23年12月28日から本件ドメインの登録抹消済みに至るまで,月5万円の割合による損害賠償請求権を有している。
(被告の主張)
原告の主張はいずれも争う。
被告は,原告とのフランチャイズ契約継続中に横浜不動産から本件ドメインを譲り受けたものである。また,被告は,フランチャイズ契約終了後は,原告のフランチャイジーが使用する独特のロゴ(Century21と家をかたどった図柄)を使用しておらず,センチュリー21のフランチャイズであるとの表示も行っていない。被告には,不正競争防止法2条1項12号にいう「不正の利益を得る目的」も「他人に損害を加える目的」も存在しない。
2  争点2(被告の法人格が否認されるか)について
(原告の主張)
(1) 被告と横浜不動産とは,形式的には別個の法人であるが,被告の法人格はその濫用といわざるを得ず,横浜不動産と同一視されるべきものである。
ア 被告横浜不動産による支配
被告と横浜不動産との間には,以下のような関係がある。
① 主たる営業所が同一であること
横浜不動産の東京店は東京都港区<以下略>であるが,平成23年10月1日に,同店(当時の商号はオンライン不動産)にモニター客が訪問したところ,対応したスタッフは被告(当時の商号はオンライン不動産販売)の名刺を有するCであった。
また,平成23年10月15日に,モニター客が,被告の承認店舗である東京都渋谷区<以下略>(当時の本店所在地)に電話をし,店舗訪問したい旨を申し入れると,案内されたのは,東京都港区<以下略>(現在の本店所在地)の横浜不動産の東京店(当時はオンライン不動産の東京店)であり,同場所で対応したスタッフは,被告(当時の商号はオンライン不動産販売)の名刺を有するDであった。
このように,両社は,遅くとも平成23年10月には,同一場所で営業を行っており,現在は,被告の本店が横浜不動産の東京店所在地に変更されているのであって,両社の営業所が同一であることは明白である。
② 両会社は共同で従業員募集を行っていたこと
平成23年12月8日,横浜不動産(当時の商号はオンライン不動産)は,東京都港区勤労福祉会館において会社説明会を行ったが,同会社説明会上で,被告代表者のBと,横浜不動産代表者のAが共に出席し,両社は一緒である(当時は,両社の商号は,それぞれオンライン不動産とオンライン不動産販売であり,グループ会社であると説明していた)旨を述べて会社説明をしていた。
③ 両会社のホームページが混然一体としていること,従業員が共通であること
平成23年11月頃,被告は,自社で登録していた本件ドメインを横浜不動産のホームページとして利用していたが,その中では,横浜不動産と被告の表記(当時は,両社の商号は,それぞれオンライン不動産とオンライン不動産販売であった)が混然一体として利用されていた。
また,その後,平成23年12月頃には,本件ドメインは被告(当時はオンライン不動産販売)のホームページと改訂されたが,スタッフの紹介は,横浜不動産(当時はオンライン不動産)のホームページであったときと同一内容であり,両社の従業員は共通であった。
④ 被告代表者のBが,横浜不動産の元従業員であること
被告代表者のBは,横浜不動産の元従業員であり,横浜不動産が経営不振に陥っていたことから,横浜不動産(当時はオンライン不動産)から独立して新規事業を行いたい旨を申し入れて,本件フランチャイズ契約を締結したものである。もっとも,Bの従前の説明とは裏腹に,被告は,横浜不動産とは全く関係ない独立した会社でなどなく,Bも自ら横浜不動産の会社説明会で,「(当時のオンライン不動産販売について説明するとの前置きの上で)代表といっても組織上は部長とか課長とかそんな形」と説明するなど,横浜不動産の隠れ蓑として活動していたのであり,被告が横浜不動産の支配下にあることは明白である。
⑤ 売上金等の処理も共通化されていたこと
横浜不動産は,平成23年9月2日付け社内メール(甲22)で,横浜不動産の仲介手数料等の入金先を,横浜不動産自身ではなく,被告の口座に変更するように指示をした。
また,横浜不動産は,平成23年10月26日にも,横浜不動産の取引口座を被告の口座に変更する旨の社内メール(甲23)を配信している。
⑥ 小括
以上のとおり,被告と横浜不動産は,営業所の施設設備やホームページ等の物的設備を共通で利用し,従業員スタッフも共通であり,さらに,売上金等も共同して運用していた。そして,横浜不動産の元従業員であるBが被告の代表者として活動していること,両社の代表者が自ら両社は一体のグループであることを説明していること等をみれば,被告が横浜不動産の支配下で運営されていることは明白である。
イ 横浜不動産に詐害意図があること
① 被告の設立時期など
横浜不動産は,平成23年1月5日の時点で,合意書(甲9)に基づく支払いが滞り,5000万円を超える原告に対する債務があった。
被告は,平成23年4月11日に「オンライン不動産販売」として設立され,同年6月21日に原告と本件フランチャイズ契約を締結したものの,登録店舗での営業実体は認められず,専ら,横浜不動産東京店で営業を継続していたものであり,係る営業状態からみて,横浜不動産の受け皿として被告が用いられたことは明白である。
② 資金の移転がなされていること
横浜不動産が,社内メールで,横浜不動産の仲介手数料等の入金先等を,被告の口座に変更するように指示をしたことは繰り返し述べたとおりであり,被告が横浜不動産の資金の受け皿となっていることも明白である。
③ 小括
以上より,横浜不動産はその債務を免れ,債権者である原告を害する目的で,被告を設立したことは明白である。
ウ まとめ
以上のとおり,横浜不動産は被告を支配し,債務を免れるという違法な目的で被告を利用しているのであって,被告の法人格の利用はそれ自体濫用であるから,被告は背後者である横浜不動産と同一視されるべきものである。よって,被告は,横浜不動産の債務を連帯して負担すべきである。
(2) まとめ
以上より,被告は,横浜不動産が原告に対して負担する未払サービスフィー支払債務合計5532万9175円につき,横浜不動産と連帯して支払う義務がある。
(被告の主張)
(1) 法人格否認の法理が認められるには,①法人格が支配者により意のままに道具として支配されており(支配要件),かつ,②支配者が違法又は不当な目的を有すること(目的要件)が必要である(最高裁昭和48年10月26日判決・民集27巻9号1240頁)。
この場合の支配者は,株式会社においては,支配株式を有する者を指す。
(2) 横浜不動産は,そもそもEが株式の大半を所有する会社であり,取締役の多くもEの親族が占めていた。被告の代表取締役であるBは住友不動産販売を退職後平成17年4月に横浜不動産(当時はオンライン不動産)に入社したものであり,Eとは何らの関係も有していない。
そしてEは被告をいかなる意味においても支配していない。Eは被告とは無関係である。
(3) 被告と横浜不動産の資本は全く別であり,商号も同一ではない。会社経理が混同したこともない。
被告は,横浜不動産を退職した従業員を雇用したが,役員等を承継したこともない。
引継ぎのため,事務所を一時期同じ場所に置かざるを得なかったが,看板は別に掲げ,事業が混同したこともない。
甲22のメールは,従業員が被告の売掛金を誤って横浜不動産の口座に振り込まないよう,被告の売掛金は,被告の口座に振り込むよう指示したものにすぎない。甲23のメールも,被告の物件の火災保険は被告に振り込むよう指示したものにすぎない。
ホームページは,被告が横浜不動産から約100万円で買い取ったものである。その後,徐々に内容を変更していったため,一時ホームページ上に両社の記載が混在したことがあったが,これをもって両社の経営が混然一体となっていたということはできない。
(4) 原告は,甲22,23のメール,ホームページを被告が利用したこと,会社説明会を利用したこと,横浜不動産を退職した従業員を引き受けたこと等の間接事実をもって法人格の濫用である旨を主張するが,最も重要である資本の混同の有無,実質的支配が具体的に誰により行われているのか明らかにされていない。このような原告の主張する間接事実のみでは,法人格否認は認められない。
第4  当裁判所の判断
1  争点1(本件ドメインについての請求の可否)について
(1)  原告は,本件ドメインの使用差止め及び登録抹消については,本件フランチャイズ契約に基づく請求と不正競争防止法に基づく請求とを選択的に請求しているが,損害賠償請求については,専ら不正競争防止法4条,5条に基づく不法行為としての損害賠償を請求しており,本件フランチャイズ契約の債務不履行としての損害賠償は請求していない。
そこで,争点1-1(本件フランチャイズ契約に基づく請求の可否)の判断に先立ち,争点1-2(不正競争防止法に基づく請求の可否)について判断する。
(2)  特定商品等表示性
甲13及び弁論の全趣旨によれば,原告は,米国法人であるセンチュリー21・リアルエステートLLCから,「センチュリー21」の名称を含む商標サービスマークの再使用許諾権を与えられ,日本国内において,原告及びそのフランチャイジーが,建物の賃貸の媒介,建物の売買の媒介,土地の賃貸の媒介,土地の売買の媒介等の役務に,「センチュリー21」「CENTURY21」等の標章を使用していることが認められる。
そうすると,「CENTURY21」は,原告の標章その他の役務を表示するものであり,原告の特定商品等表示であると認められる。
(3)  類似性
被告の保有する本件ドメイン「CENTURY21.CO.JP」は,原告の特定商品等表示「CENTURY21」と類似する。
(4)  不正の利益を得る目的
ア 被告による本件ドメインの保有及び使用に「不正の利益を得る目的」が認められるか検討する前提として,本件フランチャイズ契約が有効に解除されたか否か判断する。
(ア) 被告が,本件フランチャイズ契約上,東京都渋谷区<以下略>所在の承認店舗において不動産業店舗を運営しなければならず,同所在地以外で不動産業店舗を運営してはならない義務を負っていたことは,前提となる事実(2)イ(ア)のとおりである。
(イ) しかるに,被告は,遅くとも平成23年10月以降,原告の書面による承認がないのに,東京都港区<以下略>所在の店舗(東京販売センター),横浜市<以下略>所在の店舗(横浜販売センター),東京都文京区<以下略>所在の店舗(上野販売センター)において不動産業を営んでいたこと,平成23年12月15日付け契約解除予告通知書(甲30の1)が被告に到達した後10日が経過しても,契約違反状態が是正されることはなかったことが認められる(甲15ないし20,30,31,弁論の全趣旨)。
(ウ) そうすると,上記契約解除予告通知書が被告に到達した10日後である平成23年12月27日の経過をもって,本件フランチャイズ契約は有効に解除されたものと認められる。
イ 被告は,本件フランチャイズ契約が解除され,類似名称,マーク等を含む一切の「センチュリー21マーク等」の使用を禁止された(前提となる事実(2)イ(オ))後も,原告の特定商品等表示である「CENTURY21」に類似する本件ドメイン「CENTURY21.CO.JP」を保有し,少なくとも平成24年3月14日時点まで不動産業に使用していた(甲24,31,証人F)。また,平成24年1月25日には被告の商号を「オンライン不動産販売株式会社」から,原告の特定商品等表示「センチュリー21」と一部共通する「センチュリー住宅販売株式会社」に変更している(甲2の1)。
被告は,少なくとも本件フランチャイズ契約が終了した平成23年12月28日以降は,原告の特定商品等表示である「CENTURY21」の顧客吸引力にフリーライドして不当に自己の利益を図る目的で本件ドメインを保有しているものと認めるのが相当であり,被告には「不正の利益を図る目的」が認められる。
(5)  以上によれば,被告による本件ドメインの保有及び使用は,不正競争防止法2条1項12号の不正競争に該当する。
したがって,原告は,被告に対し,同法3条に基づき,本件ドメインの使用差止め及び登録抹消を求めることができる(証人Fによれば,本件ドメインは現在も被告が保有し,本件ドメインを入力すると被告とは別会社のウェブサイトにジャンプするようになっているとのことであるが,被告が不動産業の役務の提供に関し本件ドメインを使用して原告の営業上の利益を侵害するおそれは継続しているものといわざるを得ない。)。
(6)  また,被告には,平成23年12月28日以降の本件ドメインの保有,使用につき不正競争の故意が認められるから,原告は,被告に対し,不正競争防止法4条,5条3項4号に基づき,本件ドメインの使用に対し受けるべき金銭の額に相当する金銭を損害賠償として請求することができる。
甲13及び弁論の全趣旨によれば,本件ドメインの使用に対し受けるべき金銭の額は,月額5万円と認めるのが相当である(原告の被る損害は,本件ドメインが被告の役務に使用されているか,別会社のウェブサイトにジャンプすることによって別会社の役務に使用されているかによって異ならないから,被告が本件ドメインを自己の役務に使用していないとしても,被告が本件ドメインの登録を抹消するまで使用料相当損害金は発生し続けるものというべきである。)。
したがって,原告は,被告に対し,平成23年12月28日から本件ドメイン登録抹消済みまで,1か月5万円の割合による損害賠償を求めることができる。
2  争点2(被告の法人格が否認されるか)について
(1)  原告は法人格濫用による法人格否認を主張しているところ,被告が法人格を濫用しているものと認めるためには,①法人格が支配者により意のままに道具として支配されており(支配要件),②支配者が違法又は不当な目的を有すること(目的要件)が必要であると解される。
(2)  これを本件についてみるに,証拠によれば,以下の事実が認められる。
ア 被告は,平成23年4月11日,商号を「オンライン不動産販売株式会社」(平成24年1月25日「センチュリー住宅販売株式会社」に商号変更),本店所在地を「東京都渋谷区<以下略>」(平成24年1月20日「東京都港区<以下略>」に本店移転,その後,千葉県船橋市<以下略>,東京都港区<以下略>に順次本店移転),目的を「不動産の売買,賃貸,仲介及び管理業」等,唯一の役員(取締役兼代表取締役)をBとして設立された会社であり,発起人はスバル無線電機株式会社(代表取締役:G)であった(甲2の2,乙1,当裁判所に顕著な事実)。
イ 横浜不動産は,昭和54年6月19日設立された会社であり,被告が設立された平成23年4月11日時点での商号は「オンライン不動産株式会社」である(平成23年11月18日「横浜不動産株式会社」に商号変更)。平成23年4月11日時点での本店所在地は「横浜市<以下略>」であり,目的は「不動産の仲介及び売買業」等,同時点での役員は,代表取締役がE(平成23年7月4日Aに変更),取締役がE,Aほか3名,監査役が1名であり,被告の代表取締役・取締役・発起人となった者はいない(甲1の1)。
ウ 被告の代表取締役となったBは,横浜不動産の従業員であった者である(甲14)。
被告は,平成23年12月12日時点で,横浜不動産の横浜販売センター,東京販売センター,上野販売センターの平成23年11月7日時点での従業員42名のうち,東京販売センターの4名を除く38名については,横浜不動産から同一営業所・同一役職で引き継いでいた(甲17,26)。
被告代表者は,原告に対し,オンライン不動産からは営業譲渡を受けるという話になっていた旨説明していたが(甲19),実際に営業譲渡が行われたことやそのための対価が支払われたことは,本件全証拠に照らしてもこれを認めることはできず(被告によれば,横浜不動産の代表者であるAよりBに対して営業譲渡の話があったが,金額が折り合わず,営業譲渡契約は成立しなかった,という。被告第1準備書面5頁),被告は,何らの対価の支払なく,横浜不動産の営業資産等を使用しているものと認めるのが相当である。
また,被告代表者は,原告に対しては横浜不動産の代表者であるAを入社させる気は全くないなどと述べながら(甲19),実際には,Aを被告の営業本部長として入社させ,会社説明会における会社説明をさせていた(甲29)。
エ 被告の株主はBほか4名であるが(乙2,弁論の全趣旨・被告第1準備書面8頁),両社の資本関係に共通性があるという証拠はない。
オ 前記1(4)ア(イ)のとおり,被告は,遅くとも平成23年10月以降,原告の書面による承認がないのに,東京都港区<以下略>所在の店舗(東京販売センター),横浜市<以下略>所在の店舗(横浜販売センター),東京都文京区<以下略>所在の店舗(上野販売センター)において不動産業を営んでいたと認められるところ,これらはいずれも横浜不動産の販売センターのあった店舗であり,店舗によっては,横浜不動産の営業と被告の営業,横浜不動産の従業員と被告の従業員とを明確に区分せず混然として営業していた(甲15ないし20,31,弁論の全趣旨)。
また,平成23年11月10日時点では,被告の保有する本件ドメインにおいて,被告の営業と横浜不動産の営業とを明確に区分せず混然と使用していた(甲25)。
カ 前提となる事実(4)アのとおり,横浜不動産は,平成23年7月29日及び同年11月10日に原告とのフランチャイズ契約を解除されているところ,平成22年3月8日時点で,横浜不動産は原告に対し6338万1705円の未払サービスフィー債務があり(甲9),平成23年2月以降,その分割金の支払が滞っていた(甲11)。
キ 平成23年9月2日,横浜不動産の従業員であった(証人F)Hは,Iら横浜不動産の従業員(その後被告の従業員となる。甲17,26)に対し,横浜不動産の契約済みの案件の決済方法を変更し,買主手数料・ローン事務手数料等は現金で受け取り,営業担当者が被告に振り込む方法による,売主手数料・紹介料等は,現金の場合は買主手数料等と同様とする,売主から直接振込みの場合,(横浜不動産でも被告でもなく)「オンライン住販」(オンライン住宅販売。甲36)の口座に振り込む方法による,火災保険については従前と同様に横浜不動産の口座を使用するが,今後,被告でも代理店業務を行う場合は変更になることがある旨のメール(甲22)を送付した。
ク 平成23年10月26日,被告の従業員である(横浜不動産の従業員でもあった。甲17,23,26)Jは,Iら被告の従業員(横浜不動産の従業員でもあった。甲17,26)に対し,火災保険の振込先が平成23年10月1日から被告の口座に変更になった旨のメール(甲23)を送付した。
ケ 横浜不動産の代表者であり,被告の営業本部長であったAは,被告の代表者であるBに対し指示,命令を出せる立場にあった(甲33,35,36,証人F)。
(3)  以上を前提に判断する。
ア 上記事実によれば,横浜不動産が原告に対する5000万円を超える債務の返済を滞らせた(上記(2)カ)直後に被告が設立され(上記(2)ア),特段の契約関係や対価の支払いを伴うことなく営業所や従業員を引き継ぎ(上記(2)ウ,オ),横浜不動産が契約した案件の手数料等や横浜不動産が代理店として契約した案件の火災保険料の振込先を横浜不動産の口座から被告の口座に変更するよう指示があった(上記(2)キ,ク)というのであるから,被告は,横浜不動産の資産を移転し,原告の横浜不動産に対する強制執行を妨害するという違法不当な目的のために設立されたものと認めるのが相当である。
イ また,横浜不動産の代表者であったAは,被告の代表者であるBに指示,命令を出せる立場にあったというのであるから(上記(2)ケ),被告は,Aにより意のままに道具として支配されているものと認めるのが相当である。
この点,横浜不動産と被告とは商号や役員を異にし(上記(2)ア,イ),資本的なつながりも認められない(上記(2)エ)が,役員構成が同一か否か,株式を所有する者は誰かということは,会社の背後にある者がその会社を道具として利用し得る支配的地位にあるか否かを判断するための材料の一つにすぎず,それだけで支配的地位の有無が決せられるものではなく,上記事実は法人格否認を認める妨げとなるものではない(平15(ワ)80号宇都宮地裁大田原支部平成16年1月21日判決・民集59巻6号1750頁,控訴審・東京高裁平成16年6月23日判決・民集59巻6号1763頁,上告審・最高裁平成17年7月15日第二小法廷判決・民集59巻6号1742頁参照)。
(4)  そうすると,被告は,横浜不動産による法人格の濫用であり,法人格否認の法理により,横浜不動産と別個の法人格であることを主張することができないから,原告は,被告に対し,原告が横浜不動産に有する平成22年3月8日付け支払合意に基づく未払サービスフィー5162万2641円及び同支払合意後に発生した未払サービスフィー370万6534円,並びに,これらに対する訴状送達の日の翌日である平成24年3月31日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めることができる。
3  結論
以上によれば,原告の請求はすべて認められる。
なお,主文第2項については仮執行宣言は相当でないのでこれを付さない。
よって,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 大須賀滋 裁判官 西村康夫 裁判官 森川さつき)

別紙
ドメイン名目録
CENTURY21.CO.JP

 

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