
「営業支援」に関する裁判例(53)平成26年11月26日 東京地裁 平26(ワ)15924号 契約代金請求事件
「営業支援」に関する裁判例(53)平成26年11月26日 東京地裁 平26(ワ)15924号 契約代金請求事件
裁判年月日 平成26年11月26日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平26(ワ)15924号
事件名 契約代金請求事件
文献番号 2014WLJPCA11268036
裁判年月日 平成26年11月26日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平26(ワ)15924号
事件名 契約代金請求事件
文献番号 2014WLJPCA11268036
東京都新宿区〈以下省略〉
原告 クレイトエージェンシー株式会社
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 野間啓
同 塚本亜里沙
横浜市〈以下省略〉
被告 株式会社エイチアールーワールド
同代表者代表取締役 B
主文
1 被告は,原告に対し,50万4000円及びこれに対する平成26年7月2日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は,被告の負担とする。
3 この判決は,1項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1 請求
主文同旨
第2 当事者の主張
1 請求原因
(1) 原告及び被告は,株式会社である。
(2) 被告は,原告に対し,平成25年7月29日,原告が提供する楽天市場専用集客支援サービス「○○」を,次の約定により,契約期間を12か月,税込み利用代金を75万6000円(月額6万3000円の12回)にて申し込み,原告は,これを承諾した(以下「本件契約」という。)。
ア このサービスは,楽天市場内において顧客がショップを検索する検索機能において,予め指定された用語が入力された場合,依頼された商品が検索結果の上位に表示されるよう営業支援を行う商品である。
イ このサービスは,検索結果上での表示位置,表示そのもの,売上等一切の成果を保証するものではない。
ウ 支払期日を過ぎても入金が確認できない場合はサービスを停止する。この場合,契約者は直ちに契約期間に対応するサービス料金全額の支払義務を負う。
エ 契約開始後1か月以内にトップページに1キーワードもランクインしない(増加しないという意)場合は,契約期間を1か月とし,受領した代金全額を返還する。
オ 代金支払期日は,当初2か月分につき契約後直ちに一括して,3か月目(平成25年9月)以降につき毎月27日とする。
なお,本件契約の申込行為をしたのは,被告において,統括顧問との地位を付与され,WEB販売担当者として従事しているCであり,また,本件契約締結に関し,原告がアクセスし,Cとやり取りした際の被告のメールアドレスは,△△hrworld1@□□.ne.jpであって,エイチアールーワールドとの被告の社名を冠するものであり,被告は自ら事業者として,このメールアドレスを用いて一般消費者との商取引を行っていたのだから,被告は,Cに,WEB販売に関連する商取引を行う権限を包括的に与えていた。また,契約成立から支払停止までの4か月間,契約を締結していないとの主張は一切なされていなかった。
(3) 原告は,上記契約に基づき,楽天市場内において,契約上合意された用語で検索された場合に被告の商品が上位に掲載されるよう対策を講じ,その結果,トップページにランクインするキーワードの増加が見られ,上記(2)エの条件は,不成就が確定した。
(4) 平成25年11月27日が経過した。
(5) よって,原告は,被告に対し,契約金残金50万4000円及びこれに対する訴状送達日の翌日である平成26年7月2日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。
2 請求原因に対する認否
(1) 同(2)のうち,被告代表者がその申し込みをしたとの事実を否認する。
本件契約の申込みは,被告のWEB販売担当者であるCが原告の営業担当者とメール上でしたものであって,被告代表者であるBがしたものでも,会社の代表者印を押した契約でもない。
(2) 同(3)につき,契約開始後1か月以内に楽天市場トップページに1キーワードランクインさせるという条件を守ったことは認めるが,契約時に担当者と話したその余の諸条件が守られていない。
第3 当裁判所の判断
1 請求原因について
(1) 被告は,請求原因(1)の事実を争うことを明らかにしないから,これを自白したものとみなされる。
(2) 請求原因(2)について
ア 被告において本件契約の申込行為者がCであることは,当事者間に争いがない。
イ そして,弁論の全趣旨によれば,Cは,被告において統括顧問との地位を付与され,WEB販売担当者としてその業務に従事していたものであり,原告が本件契約締結に関し同人とやり取りした被告のメールアドレスは,△△hrworld1@□□.ne.jpであったこと,また,契約成立から支払停止までの4か月間,契約を締結していないという主張は一切なされていなかったとの事実が認められ,これらの事実によれば,被告代表者は,WEB販売に関連する商取引を行う包括的な権限をCに与えていたものと推認できる。
したがって,上記申し込みをしたのが被告代表者ではなく,また代表者印を押した契約でないにしても,代理人による申し込みとして,その効果は被告に帰属することになる。
ウ その余の請求原因(2)の事実については,被告は,争うことを明らかにしないから,これを自白したものとみなされる。
(3) 請求原因(3)について
当事者間に争いがない。
なお,被告は,契約時に担当者と話したその余の諸条件が守られていない旨主張するが,その余とする条件内容は具体性を欠くという外なく,採用できるものではない。
3 結論
以上によれば,原告の請求は理由がある。
よって,原告の請求を認容し,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第4部
(裁判官 松井英隆)
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