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「営業支援」に関する裁判例(39)平成27年 5月20日 東京地裁 平26(ワ)4928号 損害賠償請求事件

「営業支援」に関する裁判例(39)平成27年 5月20日 東京地裁 平26(ワ)4928号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成27年 5月20日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平26(ワ)4928号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  一部認容、一部棄却  文献番号  2015WLJPCA05208006

参照条文
民法632条
民法643条

裁判年月日  平成27年 5月20日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平26(ワ)4928号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  一部認容、一部棄却  文献番号  2015WLJPCA05208006

東京都板橋区〈以下省略〉
原告 X
同訴訟代理人弁護士 外立憲和
同 嶋崎義久
東京都目黒区〈以下省略〉
被告 株式会社Y
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 伊藤周作
同 関矢聡史

 

 

主文

1  被告は,原告に対し,63万円及びこれに対する平成25年10月1日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2  原告のその余の請求を棄却する。
3  訴訟費用は,これを2分し,それぞれを各自の負担とする。
4  この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
被告は,原告に対し,110万2500円及びこれに対する平成25年10月1日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
本件は,原告が被告に対し,被告との間で締結した業務委託契約における被告の債務不履行により既払金相当額の110万2500円の損害を被ったとして,債務不履行に基づく損害賠償請求権に基づき,110万2500円及びこれに対する支払催告の日の翌日である平成25年10月1日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
1  前提事実
当事者間に争いのない事実,後掲の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
(1)  当事者
原告は,公認会計士であり,都内に「a公認会計士事務所」(以下「本件事務所」という。)を開設している。
被告は,営業支援コンサルタント等を業とする株式会社である(甲1)。
(2)  業務委託契約
ア 原告と被告は,平成24年5月18日,以下のとおり,業務委託契約を締結した(甲3,4。以下「本件契約」という。)。
期間 平成24年5月2日から同年10月31日まで
内容 被告は,原告にとっての顧客獲得のためのアポイント(業務の担当者との面会の約束。以下,単に「アポイント」という。)を少なくとも合計15件提供すること等
代金 初期費用 31万5000円
月額固定費 月額15万7500円
(6月から10月までの5か月の合計は78万7500円)
イ 本件契約に係る契約書(以下「本件契約書」という。)には,契約期間に関し,以下の条項がある(但し,括弧内は,条項には記載はない。)。
第4条4項 乙(被告)の責に帰する理由により,前項の期間内(平成24年5月2日から同年10月31日まで)に委託業務を完了することができない場合は,乙(被告)は委託業務を完了するまで契約期間を延長することができる。
(3)  支払
原告は,被告に対し,本件契約に基づき,以下のとおり,合計110万2500円(消費税込み)を送金した。
平成24年5月18日 47万2500円
同年6月26日,7月25日,8月24日,9月25日 各15万7500円
(4)  本件契約における履行状況
被告は,原告に対し,本件契約に基づき,平成24年6月に3件,7月に1件,8月に1件のアポイントを提供した。
(5)  解約申入れ
原告は,被告に対し,平成24年8月21日ころ,本件契約を更新しない旨通知し,被告はこれを承諾した(甲6)。
(6)  催告
原告は,被告に対し,債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償請求等として,平成25年9月27日付け内容証明郵便で110万2500円の支払を催告し(以下「本件催告」といい,本件催告に係る書面を「本件催告書」という。),本件催告書は,同月30日,被告に到達した(甲5の1及び2)。
2  争点
(1)  本件契約において被告に債務不履行があったといえるか。
(原告の主張)
ア 数的不足について
(ア) 本件契約においては,被告は,原告に対し,契約期間中,毎月少なくとも3件ずつ継続してアポイントを提供する義務を負っていた。
(イ) にもかかわらず,前記前提事実(4)のとおり,被告は,6月に3件,7月に1件,8月に1件のアポイントを提供したに留まった。
(ウ) 仮に,(ア)が認められなかったとしても,被告は,原告に対し,本件契約に基づき15件のアポイントを提供する義務を負っていたところ,現在までに5件しか提供していない。
(エ) よって,いずれにしろ,本件契約において,被告には,提供すべきアポイント数の不足という債務不履行があったといえる。
イ 質的不足について
(ア) 本件契約においては,被告は,原告に対し,戦略的な営業支援態勢を構築し,顧客獲得のため質の高いアポイントを提供する義務を負っていた。
原告の契約目的は,会計士・税理士業務における顧問契約等に至る企業を獲得する機会の提供を受けることにあったのであり,その契約目的に照らし,顧客候補は,会計や税務に関して事業上の合理的関心を持ち,相談できる税理士等を探しているなど,一定の合理的需要を伴う者である必要があった。
(イ) にもかかわらず,被告は,戦略的な営業支援態勢を構築せず,また,提供されたアポイントは形ばかりのもので,顧客獲得のための質の高いアポイントといえるようなものではなかった。
(ウ) よって,本件契約において,被告には,提供すべき業務の質の不足という債務不履行があったといえる。
(被告の主張)
ア 数的不足について
(ア) (原告の主張)ア(ア)は否認する。
本件契約においては,被告は,原告に対し,契約期間を通じて合計15件のアポイントを提供する義務を負っていたにすぎない。
(イ) (原告の主張)ア(イ)及び(ウ)は認めるが,本件契約書第4条4項に基づき,本件契約は期間が延長されているところ,被告は,今後,残り10件のアポイントを履行する用意がある。
イ 質的不足について
(ア) (原告の主張)イ(ア)は否認する。
被告は,ウェブページにおいて,「戦略的な営業支援体制を構築」,「質の高いアポイント」等の言葉を使用したが,これらの言葉が,直ちに本件契約の内容になるものではなく,同契約においてアポイントの品質保証はしていない。
(イ) (原告の主張)イ(イ)は否認する。
被告が提供すべきアポイントとは,訪問先の「社名」「住所」「電話番号」「担当名」「訪問日時」「説明内容」の情報を取得した上,訪問先の業務の担当者と面会を約束することであるところ,被告は,原告に対し,上記情報のみならず,訪問先企業の経営規模を示す従業員数や訪問先企業が興味を示した事項などの情報も併せて提供した上で,訪問先企業との面会約束を取り付けた。
ウ そもそも,本件契約において,10件分のアポイントの提供が未了となっている原因は,原告の受領遅滞にある。
本件契約の履行においては,事前の打合せやスケジュール調整など,債権者である原告の協力が不可欠であるところ,被告は,契約期間を通じて,アポイントの提供の意思表示を何度も行ってきたが,原告は,履行済みのアポイント取得につき,顧問契約の締結に至らなかったことを理由に毎回クレームを出してきた上,被告が提供の意思表示をしても,返金を求めるばかりで,上記協力を拒み,被告の履行を拒絶した。
(2)  損害
(原告の主張)
被告の債務不履行により,原告は,本件契約に基づく既払金相当額である110万2500円の損害を被った。
(被告の主張)
ア 原告の主張は否認ないし争う。
イ 初期費用31万5000円に相当するターゲットリストの構築及びアポイント5件は,履行済みであり,また,本件契約は,本件契約書第4条4項により継続しており,未履行の10件分についても,原告は,支払った代金と対価性を有するアポイント取得を被告に請求する権利を有しており,損害は発生していない。
第3  判断
1  事実経過等
前提事実,当事者間に争いのない事実,証拠(後掲のもののほか,甲8,乙8,証人B〔以下「証人B」又は「B」という。〕,原告本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
(1)  本件契約に至る経緯
ア 原告は,平成8年に都内に本件事務所を開設した公認会計士であるが,平成24年4月ころ,被告の従業員であったC(以下「C」という。)からの電話で,税理士・会計士事務所に対して顧客候補になる企業とのアポイントを提供するなどの説明を受け,同月20日,Cと面談した。
イ Cは,資料を示しながら,被告の業務内容や費用体系などを説明した。同資料には,「アポイントには“ランク”があり,受注につながりにくいものほどそのランクは低くなります。」「現在,テレマーケティングにはアポイントの数とともに,“アポイントの質”も求められているのです。」等の記載があった。
ウ 原告は,Cの説明を受け,また,被告のウェブサイト(甲2の1及び2)を確認し,会計士・税理士業務における顧問契約等に至る顧客を獲得する機会の提供を受けるべく,本件契約の申込みを行った。
(2)  本件契約締結
ア 原告の申込みを受け,被告は,原告に対し,本件契約書(甲3)及び注文書(甲4。以下「本件注文書」という。)を郵送し,原告はこれに記名,押印して返送した
イ 本件契約書において,アポイントの定義は,社名,住所,電話番号,担当者(担当部署),訪問日時,説明内容をターゲット企業よりヒアリングしたものをいうとされ,また,被告が同内容を原告に報告した段階で,アポイントの取得本数として計上された(本件契約書第2条2項)(甲3)。
ウ また,本件注文書の摘要欄には「当プランは,実施期間中,月額3件のアポイント取得を保証するプランです。」(以下「本件注文書記載」という。)等の記載がされていた(甲4)。
(3)  本件契約締結後の履行状況等
ア Cは,原告から,顧客候補に関する希望及び原告のセールスポイント等を聴取し,リストを作成した(乙3)。
イ また,被告の従業員D(以下「D」という。)は,原告に対し,インターネット上のGoogleカレンダーに都合の悪い日時を入れておけば,被告が空いている日時にアポイントを取得し,取得した当日あるいは翌日には報告する旨連絡し,原告は,これを受け,Googleカレンダーに書き込みをした。
ウ 被告は,上記リストに基づき,平成24年6月11日からアポイント取得を開始し,顧客候補へ架電し,原告との商談の日時についてスケジュール調整を行っていった。
エ 被告は,原告に対し,平成24年6月20日,最初のアポイントを取得した旨連絡し,続いて,2件のアポイントを取得した旨連絡した。
オ 原告は,被告に対し,平成24年6月22日,訪問の前にアポイントの確認の要否を問い合わせ,被告から提供された情報のみで,話が進むのか不安である旨伝えた(乙6)
カ 原告は,上記アポイントに基づき,以下のとおり,顧客候補と面談を行った。
(ア) 顧客候補 (株)b
面談日時 平成24年7月3日午前10時から1時間程度
面談内容 (株)bの担当者は,原告に対し,電話で話していた,会社にとってのメリットのある提案とは何かと尋ね,原告が返答に窮する中で話を聞くと,銀行借入の実現についての助言等を求めていることが判明した。
(イ) 顧客候補 c(株)
面談日時 平成24年7月3日午後2時から30分程度
面談内容 c(株)の担当者は,同社の情報を出していないのにどうして会計・税務業務の営業の電話が来たのか知りたかったから会うことにしたとし,原告は,本件契約について説明するも,情報源についてはわからないとすると,面談終了に至った。
(ウ) 顧客候補 (株)d
面談日時 平成24年7月5日午後2時から1時間程度
面談内容 (株)dの担当者は,「本当に来たんだ。」と驚き,税理士を代える気はないと言っているのに電話でしつこく営業されたので,仕方なく面談を了承したとし,これに対し,原告は,月次決算のメリット等を説明したが,古くから付き合いのある税理士を代えるわけにはいかないと言われ,面談終了に至った。
キ 上記3件のアポイントを終え,原告は,被告に対し,平成24年7月6日,アポイントの相手方の状況や被告からの事前の情報提供がないことへの不満を伝えた上で,顧客獲得に成功したという税理士事務所はどうやって顧客を開拓したのか,直接話を聞かせて欲しいと伝え(乙7),また,アポイント取得経緯等についての情報提供を希望した(乙2)。
Dは,同月13日,本件事務所を訪れ,税理士の成功事例があるとしたため,原告も様子を見ることにした。
ク 被告は,原告に提供する情報やアポイント取得過程で訪問先企業に伝える原告のセールスポイントなど,原告の要望に従い,随時修正をしながら,リストを改良するなどし,改良後のリストを原告にも送付した。
ケ その後,原告は,被告から,2件のアポイントの提供を受け(乙1),以下のとおり,顧客候補と面談を行った。
(ア) 顧客候補 (株)e
面談日時 平成24年7月19日午後5時から1時間程度
面談内容 (株)eの担当者は,原告に対し,会社にとってのメリットのある提案とは何かと問い,原告は,話を聞きながら提案を試みようとしたが,会計・税務上の不安や不満,興味はないとして,面談終了に至った。
(イ) 顧客候補 (株)f
面談日時 平成24年8月28日午前9時30分から1時間程度
面談内容 (株)fの担当者は,公認会計士というのでどういう人が来るのか見てみたかったと言い,原告が話を聞くも,現状で特段の相談はないとされ,面談終了に至った。
コ 上記(株)fとの面談に先立ち,原告は,被告に対し,平成24年8月21日ころ,「今日現在で未消化案件が5件ありますね?」「内容も期待した物ではありません」「契約ですから今月,来月と支払いはしますが,それ以降の契約更新は考えていません。」とするメールを送信し,Cは,上記メールを引用し,「下記の件,了解しました。残りの期間もよろしくお願いいたします。」と返信した(甲6)。
(4)  被告担当者の退職
Cは,平成24年10月ころ,病気を理由に被告を退職するに至り,Cに代わり原告の担当になったとして,Bは,同年11月に入って,原告に連絡をとり,Cの急病によりアポイントが取得できなかった旨伝えた。
(5)  その後の経過
ア 以後,原告は,被告に対し,本件契約に係る既払金相当額の返金又は減額を求めたが,被告は,引き続きアポイントを提供したい旨申し出た。
イ 被告は,原告に対し,平成25年6月10日,「ご連絡ありがとうございます。いつもご不在なので毎度ながらメールいたしますが」「改めて5通目のメールさせていただきます。」「いつでも面談を取る準備は出来ております」等記載されたメールを送信した(乙5)。
ウ 原告は,被告に対し,平成25年9月27日付け本件催告書を送付した。
2  争点(1)(本件契約において被告に債務不履行があったといえるか。)について
(1)  数的不足について
ア 原告は,本件契約において,被告には,契約期間中,毎月少なくとも3件ずつ継続してアポイントを提供する義務があった旨主張する。
(ア) そして,前記認定のとおり,本件注文書には,「当プランは実施期間中,月間3件のアポイント取得を保証するプランです。」との本件注文書記載があり,このような文言からすれば,原告主張事実が認められる。
実際,本件契約書において,月額固定費の支払について,「2012年7月分預かり金として金15万7500円(税込)を,2012年6月25日までに支払う」とあるように(本件契約書第5条(2)③),月額固定費の支払は,アポイント3件分に相当するものとして計上されていることも,原告主張を裏付けるものといえる。
(イ) 以上に対し,被告は,本件注文書記載について,月間3件のアポイントを取得することを目標として示したに過ぎず,被告は,契約期間を通じて合計15件のアポイントを提供すれば足りる旨主張するが,「保証する」との文言に明らかに反し,同主張は採用できない。
被告は,月間3件のアポイントが取得できなかった場合の精算条項が定められていないことは原告主張と整合性を欠くとし,また,アポイント取得という関係者のスケジュール調整を要する債務の特殊性からして,1か月間のアポイント取得数で精算を行うということは合理性を欠くと主張する。しかしながら,前者については,債務不履行についての精算の方法が条項として定められている必要性は必ずしもなく,後者については,そもそも,アポイントの取得本数は,社名,面談日時等を原告に報告した段階で計上されるとされており(本件契約書第2条2項),被告の上記主張は失当といわざるを得ない。
さらに,被告は,Cにおいて,本件契約締結前に「当月で3件のアポイント取得ができなかった場合は,翌月以降に持越しで提供いたします。当初の契約期間を過ぎても,アポイントを15件提供するまでは,こちらはアポイントの取得を続けます。」と説明し,原告の承諾を得た旨主張するが,同主張を裏付ける的確な証拠はなく,仮に同趣旨の説明をしたとしても,それは,原告の希望があれば,持越しで提供を継続するという意味合いにすぎないというべきである。
(ウ) よって,本件契約において,被告は,1か月に少なくとも3件ずつ継続してアポイントを提供する義務を負っているところ,前提事実記載のとおり,平成24年6月に3件,7月に1件,8月に1件提供したに留まるから,この点において,債務不履行責任を免れない。
イ(ア) もっとも,原告は,前記認定のとおり,被告の債務履行状況に不満を述べながらも上記債務不履行が明らかになった以降も,本件契約を解除することなく月額固定費を支払っており,このような経過からすると,原告において,最終的には,契約期間満了までに15件のアポイントの提供がされれば許容する意向も看取し得なくはない。
しかしながら,前記認定のとおり,原告は,既に,平成24年8月21日ころに本件契約の解約を申し入れているところ,同契約終了時において,15件中の10件が未履行であるから,いずれにしろ,被告は債務不履行責任は免れない。
(イ) この点,被告は,本件契約書第4条4項を根拠に,本件契約の継続を主張するが,同条項の記載文言は,そのままでは,債務の不履行につき帰責性のある当事者が一方的に契約を延長できることとなり,取引観念に照らし著しく不合理であり,「乙」と「甲」の誤記あるいは「責めに帰する理由」と「責めに帰さない理由」の誤記と解するほかなく,本件契約書の作成経緯に照らしても,本件訴訟係属後に至って同条項を根拠に,被告が本件契約の継続を主張することは許されないというべきである。
ウ なお,被告は,10件分の未履行につき,本件契約期間を通じ,原告に対し,事前の打合せ等の連絡をしたにもかかわらず,原告がこれを拒否し,受領遅滞があった旨主張するが,証人Bも,Cの病気でアポイントが提供できなくなったことを認める旨供述しており,本件全証拠によっても,被告が履行の意思を明らかにしていると認められるのは,本件契約の終期である平成24年10月末日を半年以上経過した平成25年6月10日付けメールにおいてであるから,この点に関する被告の主張も採用できない。
(2)  質的不足について
ア 原告は,本件契約において,被告には,質の高いアポイント,すなわち,顧問契約につながるような合理的需要のあるアポイントを提供する義務があった旨主張する。
(ア) そして,テレフォンアポイントを業務委託した場合の受託業者の中には,強引にアポイントをとることで委託料を徴収する業者がいることも考えられるところ(甲9),前記認定のとおり,被告作成の資料においても「アポイントには“ランク”があ」るとしており,そのような中で,被告はウェブページにおいて「質の高いアポイント」を謳っている以上,本件契約におけるアポイントの提供は,当然の前提として,顧客候補において面談に応じた動機等を問わないものではなく,委託者の目的を踏まえたものである必要があるというべきである。
(イ) この点,被告は,本件契約において,「質の高いアポイント」は保証するものではない旨主張するとともに,少なくとも営利を目的とする企業である顧客候補が,時間を割いて原告との面談に応じている以上,顧客候補は,会計や税務に関し,事業上の合理的関心を持ち,一定程度,原告との提携関係の構築に興味をもっていたことは明らかであり,合理的需要をうかがわせるものである旨主張するが,前者については,本件契約に至る経緯等から,当然の内容となっているというべきであり,また,後者については,上記(ア)のとおり,アポイントの質に差があること自体,被告が自認するところであるから,およそ,アポイント取得をもって,合理的需要をうかがわせるものということはできない。
イ(ア) そして,前記認定のとおり,本件契約に基づくアポイントのうち,(株)c及び(株)dを顧客候補とするものは,面談内容に照らし,自社の情報源の確認のためであったり,架電営業の執拗さに応じたにすぎないものであったりして,委託者である原告の目的を踏まえて面談に応じたものとはいえず,これらのアポイントをもって,本件契約における債務を履行したとは評価できない。
(イ) この点,前記認定の面談内容につき,被告は,原告が本件契約の当初から金銭の返還を要求していることから,その陳述書記載及び供述は信用できない旨主張するが,原告の陳述書記載等は,顧客候補の固有名詞をも挙げた具体的なものである上,同陳述書記載等に反する証拠もなく,前記認定を左右するものではないというべきである。
ウ よって,上記2件のアポイントについても,被告は,債務不履行責任を免れない。
3  争点(2)(損害)について
(1)  原告は,被告の債務不履行により,本件契約に基づく既払金相当額の損害を被った旨主張する。
(2)ア  そして,前記認定,説示のとおり,アポイントの未履行分10件及びアポイントを履行したと評価できない2件分(顧客候補が(株)c及び(株)dのもの)については,原告は,これに相当する代金相当(5万2500円×12件=63万円)の損害を被ったといえる。
イ  他方,その余の既履行分については,その面談内容に照らし,顧客候補は,専門家である原告に一定の関心を有し,助言を求めていたものといえるから,債務の履行はされているといえ,これに相当する代金額(5万2500円×3件=15万7500円)は損害とは認められない。
ウ(ア)  初期費用についても,既に同費用に相当するリストは作成され,最終的には原告にも交付されている以上,債務の履行はされたものといえ,これに相当する代金額(31万5000円)も損害とは認められない。
(イ) この点,原告は,15件履行されることを前提としたリスト作成であるところ,実際には,10件が未履行であり,5件についても履行したと評価できないこと等から,初期費用相当額も損害である旨主張する。
しかしながら,前記認定のとおり,被告は,原告の意向を聴取してリストを作成しているところ,数百社に及ぶリストにおいては,顧客候補に個別に聴取しなければ判明しないような,会計士に対する不満等の合理的需要まで反映させたものである必要はなく,企業規模等の外形的条件でリストアップされたもので足りるというべきであるから,被告は,この点の履行は果たしたものというべきである。
4  以上より,被告には,本件契約における債務不履行が認められ,同不履行により原告に発生した損害は,63万円と認められる。
第4  結論
よって,主文のとおり判決する。
(裁判官 野中伸子)

 

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