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「営業支援」に関する裁判例(37)平成27年10月16日 東京地裁 平26(ワ)8356号 契約代金請求事件

「営業支援」に関する裁判例(37)平成27年10月16日 東京地裁 平26(ワ)8356号 契約代金請求事件

裁判年月日  平成27年10月16日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平26(ワ)8356号
事件名  契約代金請求事件
裁判結果  認容  文献番号  2015WLJPCA10168008

要旨
◆ウェブプロモーション業を営むXが、インターネットショップ事業を営むYに対し、集客支援サービス提供契約に基づく未払代金の支払を求めたところ、Yが、詐欺、錯誤及び公序良俗違反を主張して争った事案において、X提供のサービスがおよそ効果を期待し得ないという証拠はなく、Xに同サービスを提供する意思や能力がなかったとはいえない上、Yに対する勧誘で一定の成果を確約する旨の発言がされたとまではいえず、本件契約締結時に結果保証はしない旨明記された注意事項が被告にメール送信されXの従業員が同注意事項を電話で読み上げて説明し本件契約の締結に至っているほか、本件契約上、Xが講じた具体的な対策内容までYに報告する義務があるとは解されないから、詐欺、錯誤及び公序良俗違反をいうYの主張は認められないとして、請求を全部認容した事例

参照条文
民法90条
民法95条
民法96条1項
民法648条
民法656条

裁判年月日  平成27年10月16日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平26(ワ)8356号
事件名  契約代金請求事件
裁判結果  認容  文献番号  2015WLJPCA10168008

東京都新宿区〈以下省略〉
原告 クレイトエージェンシー株式会社
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 野間啓
塚本亜里沙
横浜市〈以下省略〉
被告 株式会社リビングウエル
同代表者代表取締役 B
同訴訟代理人弁護士 久保木亮介

 

 

主文

1  被告は,原告に対し,52万5000円及びこれに対する平成26年4月12日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2  訴訟費用は,被告の負担とする。
3  この判決は,仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
主文同旨
第2  事案の概要
本件は,原告が,インターネットショップにおいて商品を販売する業者である被告に対し,被告との間で締結した,原告が被告に対して集客支援サービスを提供する旨の契約に基づき,未払代金の支払を求める事案であり,被告は,本件契約締結の意思表示は原告の詐欺に基づくものであるから取消事由があるか,被告の錯誤に基づくものであるから無効である,そうでなくとも本件契約は公序良俗に違反するものであるから無効であるなどと主張している。
1  前提事実(証拠を掲記しない項目は,当事者間に争いがない。)
(1)  原告は,ウェブサイトの制作,運営,ウェブプロモーション事業等を営む株式会社,被告は,インターネットショップ「楽天市場」において,婦人服,介護用品等の商品を販売する株式会社である。
(2)ア(ア) 原告は,平成25年12月27日,被告との間で,「アッパーヒットR」と称する,原告が被告に対して楽天市場専用集客支援サービスを提供する旨の契約(以下「本件契約」という。)を締結した。
(イ) 本件契約において原告が被告に提供するサービスは,楽天市場内において一般消費者が店舗を検索する検索機能において,あらかじめ指定されたキーワード(申込キーワード。以下「申込キーワード」という。)が入力された場合,被告の販売する商品が検索結果の上位に表示されるよう営業支援を行うというものである。
本件契約においては,被告が原告に支払うサービス利用代金は総額63万円(消費税分を含む。以下同じ。)とし,平成26年1月8日に10万5000円を支払い,同年2月以降は毎月27日に5万2500円を支払う,契約期間は初回の利用代金の入金日から1年間とする,申込キーワードは「介護 失禁ショーツ」,「介護用品 下着」,「大きめサイズ レディースパンツ」,「裏起毛パンツ」,「厚手 レディースパンツ」,「中綿コート」,「大判ストール」の七つとする旨定められている。
(ウ) 本件契約は,原告が被告に対して申込書の様式に利用規約(以下「本件利用規約」という。)を添付したメールを送信し,被告がこれに返信する方法で締結された。
イ 上記ア(ウ)の原告から被告に送信されたメールには「注意事項」として,次のような記載がある。
(ア) 本サービスは,楽天検索エンジンの「標準」検索結果表示上での表示位置,表示そのもの,対象URLにおける売上等,一切の結果を保証するものではありません。予めご了承ください。
(イ) お支払期日を過ぎてもご入金が確認できない場合はサービスを停止致します。この場合,期限の利益を当然に喪失し,利用代金の残額を直ちにお支払いいただきます。
(ウ) 弊社の責に帰し得ない事由により本サービスの提供を停止又は終了した場合,契約者は,契約期間に対応するサービス利用料金全額の支払義務を負うものとします。なお,既にお支払いいただいた料金につきましては,ご返金致しかねます。
(甲1)
ウ また,本件利用規約中には,次のような趣旨の記載がある。
(ア) サービス利用者は,年間サービスの利用代金として,所定の対策料及びこれに対する消費税等を,原告が指定する期限までに支払うものとする。
サービス利用者が対策料を指定期限までに支払わない場合,原告は本サービスの提供を中断することができる。この場合,契約者は当然に期限の利益を喪失し,利用代金の残額全額を直ちに支払う。
(イ) 申込キーワードの対策作業は,利用契約成立後(初回の対策料の支払が確認できた後)に行う。
(ウ) ウェブサイトの選定,申込キーワードの対策方法等は,原告の裁量で行うものとし,サービス利用者は,ウェブサイトの指定,指示,ウェブサイトに関する情報の開示等を請求することはできないものとする。ただし,原告が特に認めた場合は,この限りではない。
(エ) 利用契約の有効期間は,利用契約成立日(初回の対策料の支払が確認できた日)から起算して1年間とする。
(オ) 本サービスの提供に関する原告の責任は,本サービスにおける申込キーワードの検索エンジン対策に限られるものとし,原告は,以下の各号に定める事由について,何ら保証せず,これらの事由に関連して,サービス利用者に生じる損害について,何ら責任を負わないものとする。
① 本サービスの利用による楽天市場内での商品検索結果の並び順「標準」での検索エンジン上位対策において,URLに関連するウェブサイトの検索結果の順位
(②以下は省略)
(カ) サービス利用者は,契約期間の満了前であっても,契約期間内の残額を支払うことにより,利用契約を解約することができる。
原告は,解約があった場合でも,既にサービス利用者から受領した対策料その他の金銭の払戻し等は一切行わない。
(甲2)
(3)  被告は,平成26年1月7日,原告に対し,本件契約に係る初回の利用代金10万5000円を支払ったが,その後の利用代金の支払をしなかった。
(4)  被告は,被告訴訟代理人に委任して,同年1月28日頃,原告に対し,本件契約は,被告の錯誤によって無効であり,また,原告の行為は詐欺に該当するので取り消す旨の通知をした(乙10)。
2  被告の主張
(1)  詐欺取消し
ア 被告は,平成25年11月から何回か,毎回30分から長い時には1時間以上にわたり,電話で,原告の営業担当従業員であるCから,楽天のアルゴリズムに侵入して1キーワード1万円で商品を上位に表示させることができるとの勧誘を執拗に受けるようになり,同年12月27日には,電話口でCから代わった女性従業員から「自信があります。任せて下さい。」,「私たちの対策によって売上げが上がったところが沢山あります。」などと強く説得を受けた。これらの原告従業員による勧誘,説明において,上位ランキングは保証できない旨の説明は一切なかった。これらの勧誘により,被告は,本件契約を締結すれば,原告においてしっかりキーワード対策の仕事を行い,かつその内容を報告してもらえるであろうし,楽天市場において自社製品が確実に検索上位に表示され顧客の購買につながると信じて,本件契約を締結した。
イ しかし,その後,被告は,インターネット上や新聞紙上で,原告が契約者と多数の紛争を抱え,訴訟に発展している事案もあること,報道で問題視されている勧誘方法が自身の受けた勧誘方法と似通っていること,被害を訴えている者が皆,原告から契約後まともなサービスを提供されていないと述べていることなどの事実を認識するに至り,原告に対し,自らの懸念を表明し,二,三日に一度の定期的な作業報告を求めたが,原告からは具体的にどのような作業を行ったかは明らかにされず,原告従業員は,前記1(2)ウ(ウ)の本件利用規約の条項を引用するなどして,業務の報告を拒否した。また,地方紙において,「基本的に検索結果は外部から操作できない」と楽天が指摘している旨を被告が原告に指摘したことに対して,原告は,「ここでいう『基本的に検索結果は外部からは操作できない。』とは,外部リンクなどによる外部対策では検索結果に影響しないことを指しております。確かに外部リンクでは楽天内検索結果に影響はございません。弊社対策は全てにおいて御社のサイトにダブルアカウントでログインして御社がサイトを作られるように,楽天のアルゴリズムに合わせ正しくサイト構築をする内部対策のみしかしておりません。」などと述べるに至った。これにより,被告は,「内部対策」すなわち業務が実施されたのかどうかも,実施された内容を知ることもできない契約を結ばされたことを認識するに至った。
ウ 以上によれば,原告は,本件契約においてまともなサービスを提供するつもりも,業務を実施したかどうかや実施した業務内容の報告をするつもりも一切ないという真意を隠し,被告に63万円もの高額の利用料に値するだけの充実したサービスを受けられるものと誤信させて,本件契約を締結させたものである。
エ 本件契約は準委任契約であるところ,準委任契約においては,受任者は委任の本旨に従い善管注意義務を負うとともに,事務処理の内容を委任者に報告する義務を負っている。委任者は,業務内容の報告を受けなければ受任者が善管注意義務を履行しているかどうかを確認することができないから,上記の報告義務は準委任契約における本質的義務である。
しかしながら,原告の主張によれば,本件契約においては,受任者は実施した業務内容につき報告義務を負わないというにほかならない。すなわち,原告が被告の商品管理ページにログインしたからといって,その事実と,ログインした後どのような検索エンジン対策をしたのかとは全く別の事柄であるし,検索結果が上位に上がったからといって,それが検索エンジン対策の結果によるものとは限らないから,検索結果が上位に上がったことの報告も,これによって検索エンジン対策をしたことの報告にはならないのであるから,後記3(1)イで原告が主張する報告の内容は,報告の名に値するものではなく,報告義務を否定しているに等しい。本件契約において,被告は高額の報酬(63万円)を支払うにもかかわらず,善管注意義務を果たして業務を実施したかどうかを確認することができないという,極めて特殊でリスクのある契約関係に入ることになるのであるから,原告は,契約締結段階における信義則上の義務として,口頭及び契約書面上,業務内容の報告義務がないことを誤解の余地のないように明確に被告に伝える義務を負っている。被告においては,前記1(2)ウ(イ)の本件利用規約の条項の文言から,申込キーワードについてどのような対策作業を行ったかについての報告を受けられると期待するのが当然であり,他方で同(ウ)の条項の文言からは,原告から実施した業務内容(対策の内容)自体の報告を受けられないと認識することは困難であって,契約書面上,原告が報告義務を負わないことが明記されているとはいえないし,原告従業員による勧誘においても,業務内容について報告義務を負わないとの説明は一切なかった。
被告は,原告から実施した業務内容(対策の内容)を報告してもらえないと知らされていれば,本件契約を締結することはなかった。
オ したがって,被告による本件契約締結の意思表示は,被告の詐欺に基づくものであり,取消事由がある。
(2)  錯誤無効
被告は,原告による上記(1)の行為により,契約内容の重要な部分につき錯誤に陥り,本件契約締結の意思表示をしたものであるから,この意思表示は無効である。
(3)  公序良俗違反による無効
上記(1)のように契約の重要な基本的内容を偽り,執拗な勧誘により被告に本件契約締結の意思表示をさせた原告の行為は,社会的相当性を著しく逸脱している。また,契約に基づく債務の履行状況につき債務者から必要な報告を受けること(債務者の報告義務)は,あらゆる契約における大前提であり,債権者への報告義務を否定する契約は,契約の名に値しない。
上記のような本件契約の締結の経緯及び内容に照らすと,本件契約は公序良俗に反し無効である。
3  原告の主張
(1)ア  本件契約は,一般にSEO対策と言われ,楽天市場のサイト内において,一般消費者が申込キーワードで検索した場合に,特定の商品が上位に表示されるように対策を行うというものであり,事業者(本件では被告)が楽天との契約において管理する形となっている商品管理ページに原告が直接アクセスし,そのページの商品紹介のコメントなどを変更するという手法を採っている。商品管理ページとは,上記事業者がパスワードを用いて入るページであり,原告は契約した事業者(顧客)からこのパスワードをあらかじめ教えてもらい,当該顧客が登録している商品について,「商品名」,「PC用キャッチコピー」,「PC用商品説明文」,「PC用販売説明文」等の欄につき,それぞれ申込キーワードが検索において入力された際に上位に表示されやすいように,表現を工夫し,また繰り返し入力内容を変更しつつ改訂を繰り返すものであり,これを「内部対策」と称している。本件契約においては,原告は,初回の利用代金の入金直後から複数回,被告の商品管理ページにログインして作業を行っており,その結果,ほどなくして被告の商品が検索上位に表示されたことが確認されているから,原告が対策を実施していたことは明らかである。
イ  本件契約においては,報告についての具体的な回数,内容,態様の定めはなく,個々の対策内容について詳細な報告をすべき旨の合意もない(前記1(2)ウ(ウ))から,原告において被告が主張するような報告を行うべき義務を負っているとはいえない。
原告が被告の商品管理ページにログインした日時は被告において確認することができ,本件契約における対策の内容が上記アのようなものであるから,原告がログインした後のホームページそれ自体が原告の作業の結果であり,原告が業務を実施したかどうかはこれによって確認することができる状態である。また,原告は作業を行った年月日と検索上位への表示の状況については少なくとも月1回程度,メール等で顧客に報告しており,被告に対しても,被告の商品が検索上位に表示された事実を連絡しているし,月1回程度,ログイン日については報告する予定であった。
具体的にどのキーワードに関して原告がどのような対策を施したかという点は,業務のノウハウの根幹に関わる情報であるし,原告が契約する楽天出店業者との申込キーワードは一つではない上,各業者の商品ページの数も商品の数だけあるので,それらのページの対策箇所を逐一全て報告せよというのは,原告に過大な負担を強いるものであって,事業者同士の契約に過ぎない本件において,そのような報告義務が課されるというのは社会通念上合理的な意思解釈とはいえず,原告が実施した業務内容(対策の内容)まで被告に報告する義務はなく,そのような報告義務がない旨まで説明しなければならない根拠もない。
ウ  したがって,本件契約において,原告がまともなサービスを提供するつもりも,業務報告をするつもりも一切ないとの被告の主張は理由がない。
原告従業員が自社のサービスに自信を持って宣伝することは当然のことであり,原告との契約により売上げが上がった会社も実際にあり契約も継続しているのであるから,そういった顧客がいるとの説明も行っているが,絶対確実に売れるといった断定的な説明や結果保証をするような説明は一切行っていない。原告従業員による勧誘は,いずれも電話によるもので,平成25年11月は,同月5日と同月20日の2回であり,前者については30分程度,後者については,原告担当者が電話を架けたところ被告代表者は不在で折り返し被告代表者から架けてきたもので,時間にして12分程度であって,同年12月は契約に至った同月27日のみであり,被告に対して執拗に勧誘を繰り返したという事実もない。
(2)  以上によれば,原告が被告を欺罔したり,被告が錯誤に陥ったりしたことはなく,本件契約が公序良俗に反するような事情もない。
第3  当裁判所の判断
1  前提事実のほか,証拠(甲1~6,7の1・2,乙1~9,12の1,乙13,証人D,被告代表者)によれば,次の事実が認められる。
(1)  本件契約において原告が被告に提供することとされているサービスは,楽天市場内において一般消費者が店舗を検索する検索機能において申込キーワードが入力された場合,被告の販売する商品が検索結果の上位に表示されるよう営業支援を行うというものである。楽天市場においては,商品を販売する事業者の商品管理ページがあり,事業者においてパスワード(このパスワードは定期的に変更するものとされている。)を入力して同ページにログインし,「商品名」,「PC用キャッチコピー」,「PC用商品説明文」,「PC用販売説明文」などの所定の欄に入力することとされているところ,本件契約においては,原告がこのパスワードを被告から教えてもらい,原告において,被告の商品管理ページにログインし,楽天の検索機能のルール(アルゴリズム)の分析に基づき,検索機能において申込キーワードが入力された場合に被告の販売する商品が上位に表示されやすいように,商品管理ページの上記の所定の欄の入力内容(申込キーワードの含有量や文字列の配列など)に変更を加える作業を行う,上記のアルゴリズムは変動するものであるから,契約期間中,継続的に上記作業を行っていく,というものである。
(2)  原告は,被告から本件契約に基づく初回の利用代金の入金がされた平成26年1月7日の翌日である同月8日から同月10日までの毎日,被告から教えられたパスワードを入力して被告の商品管理ページにログインした。
(3)  被告は,同年1月10日までに,新聞紙上に,原告と思われる業者に関して,本件契約と同様の契約を締結した事業者から検索結果が向上しないなどと訴えられる紛争が多発し,訴訟に発展する例もあるといった記事が掲載されていることや,インターネット上でも同様の指摘があることを知って不安を抱き,同月10日,本件契約において被告の勧誘に当たった原告の従業員Cに対し,二,三日に一回程度作業内容の報告をするようメールで求めた。
(4)  原告のサポートチームに所属するDは,同年1月15日,被告に対し,本件契約と同様の契約において原告が一般にどのような作業を行っているか,参考例を挙げて説明した上,楽天の検索機能のアルゴリズムが変わるごとに週二,三回被告の商品管理ページにログインして修正していく旨をメールで伝えたところ,被告は,参考例ではなく,本件契約において実際にどのような作業を行ったかの報告を求める旨原告にメールで訴えた。これに対し,Dは,同年1月17日,被告に対し,前記第2,1(2)ウ(ウ)の本件利用規約を引用して,本件契約において作業内容の開示は行わない点は本件利用規約に記載されていること,具体的な作業内容を開示してしまえば,顧客において独自に対策ができてしまうことになるのでサービスの存在意義がなくなってしまうことなどをメールで指摘して,被告に理解を求めた。
(5)  原告は,同年1月17日まで被告の商品管理ページにログインしたが,その後被告の商品管理ページにログインするパスワードが変更になり,原告においてログインすることができなくなったため,同月20日,被告に対し,その旨を伝えて確認を求めたが,被告からは新たなパスワードの通知はされなかった。
(6)  本件契約における七つの申込キーワードによる検索結果は,同年1月7日の時点ではいずれも被告の商品が楽天のトップページからの検索では1ページ目に表示されたものはなかったが,同月21日の時点では「厚手 レディースパンツ」のキーワードにより被告の商品が1点,1ページ目に表示されることになった。
2(1)  以上で認定した事実を勘案すると,原告は,平成26年1月8日から同月17日までの間,被告の商品管理ページにログインして,申込キーワードによる検索により被告の販売する商品が上位に表示されるべく一定の作業を行っていたことが推認され,本件契約において原告が被告に提供するサービスが,この点においておよそ効果を期待し得ないものと認めることのできる証拠はなく,原告が被告に対して上記サービスを提供する意思や能力がなかったと認めることもできない。
(2)  そして,前記認定事実及び証拠(甲7の1・2,乙12の1)によれば,本件契約に先立つ原告従業員から被告に対する勧誘においては,原告の行う対策の有効性を強調する発言は見られるものの,一定の成果を確約する旨の発言がされたとまでは認め難く,本件契約締結に当たり原告から被告に送信されたメール(前記第2,1(2)イ)の注意事項中にも結果保証はしないことが明記されており,原告の従業員がこの注意事項を電話で読み上げて被告に説明した上,本件契約の締結に至っていることが認められる。
(3)  また,本件契約において,原告が具体的にどのような対策を講じたかについては,少なくともこれを被告に開示,報告すべき旨の定めはないし,原告従業員による勧誘の際にも,原告が被告に報告すべき内容について話題になったことも,被告がこの点を重視していたことも,証拠上認められない。具体的な対策内容といった事項は,楽天市場の検索機能のアルゴリズムの分析といった技術に関わる事項として営業上の秘密に属することでもあり,また,被告が被告の商品管理ページにログインすれば,前記の所定の欄に原告によってどのような変更が加えられているかを確認することは可能であること(証人D,被告代表者),申込キーワードによる検索結果の推移については平成26年1月21日に報告が行われていることからすれば,本件契約上,原告において講じた具体的な対策内容まで被告に報告する義務を負っていると解することはできない。そして,以上のような状況において,そのような報告義務を負わない旨を原告が被告に殊更説明すべき義務を負っているということもできず,被告においてそのような報告が受けられるものと誤信したために本件契約を締結したものとも認め難い。
(4)  被告は,原告従業員による勧誘が執拗であったとも主張するけれども,証拠(甲7の1・2,乙12の1)によれば,原告従業員による被告に対する勧誘は,実質的には平成25年11月5日,同月20日及び同年12月27日の3回で,いずれも電話での勧誘であり,同年12月27日の際には契約内容の説明も含まれていること,その会話の時間や発言内容に照らしても,勧誘の方法、態様が社会通念に照らし格別不相当なものであったと認めることもできない。
(5)  以上によれば,被告による本件契約締結の意思表示が原告の詐欺に基づくものであるとか,被告の錯誤に基づくものであると認めることはできず,本件契約が公序良俗に反するものと認めることもできない。したがって,前記第2,2の被告の主張は,いずれも採用することができない。
3  そうすると,本件契約に基づき,被告は,原告に対し,本件契約の利用代金の残額52万5000円及びこれに対する本件訴状が被告に送達された日の翌日である平成26年4月12日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金を支払う義務を負っている。
よって,原告の請求は理由がある。
(裁判官 加藤正男)

 

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