【営業代行から学ぶ判例】crps 裁判例 lgbt 裁判例 nda 裁判例 nhk 裁判例 nhk 受信料 裁判例 pl法 裁判例 pta 裁判例 ptsd 裁判例 アメリカ 裁判例 検索 オーバーローン 財産分与 裁判例 クレーマー 裁判例 クレプトマニア 裁判例 サブリース 裁判例 ストーカー 裁判例 セクシャルハラスメント 裁判例 せクハラ 裁判例 タイムカード 裁判例 タイムスタンプ 裁判例 ドライブレコーダー 裁判例 ノンオペレーションチャージ 裁判例 ハーグ条約 裁判例 バイトテロ 裁判例 パタハラ 裁判例 パブリシティ権 裁判例 ハラスメント 裁判例 パワーハラスメント 裁判例 パワハラ 裁判例 ファクタリング 裁判例 プライバシー 裁判例 プライバシーの侵害 裁判例 プライバシー権 裁判例 ブラックバイト 裁判例 ベネッセ 裁判例 ベルシステム24 裁判例 マタニティハラスメント 裁判例 マタハラ 裁判例 マンション 騒音 裁判例 メンタルヘルス 裁判例 モラハラ 裁判例 モラルハラスメント 裁判例 リストラ 裁判例 リツイート 名誉毀損 裁判例 リフォーム 裁判例 遺言 解釈 裁判例 遺言 裁判例 遺言書 裁判例 遺言能力 裁判例 引き抜き 裁判例 営業秘密 裁判例 応召義務 裁判例 応用美術 裁判例 横浜地裁 裁判例 過失割合 裁判例 過労死 裁判例 介護事故 裁判例 会社法 裁判例 解雇 裁判例 外国人労働者 裁判例 学校 裁判例 学校教育法施行規則第48条 裁判例 学校事故 裁判例 環境権 裁判例 管理監督者 裁判例 器物損壊 裁判例 基本的人権 裁判例 寄与分 裁判例 偽装請負 裁判例 逆パワハラ 裁判例 休業損害 裁判例 休憩時間 裁判例 競業避止義務 裁判例 教育を受ける権利 裁判例 脅迫 裁判例 業務上横領 裁判例 近隣トラブル 裁判例 契約締結上の過失 裁判例 原状回復 裁判例 固定残業代 裁判例 雇い止め 裁判例 雇止め 裁判例 交通事故 過失割合 裁判例 交通事故 裁判例 交通事故 裁判例 検索 公共の福祉 裁判例 公序良俗違反 裁判例 公図 裁判例 厚生労働省 パワハラ 裁判例 行政訴訟 裁判例 行政法 裁判例 降格 裁判例 合併 裁判例 婚約破棄 裁判例 裁判員制度 裁判例 裁判所 知的財産 裁判例 裁判例 データ 裁判例 データベース 裁判例 データベース 無料 裁判例 とは 裁判例 とは 判例 裁判例 ニュース 裁判例 レポート 裁判例 安全配慮義務 裁判例 意味 裁判例 引用 裁判例 引用の仕方 裁判例 引用方法 裁判例 英語 裁判例 英語で 裁判例 英訳 裁判例 閲覧 裁判例 学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例 共有物分割 裁判例 刑事事件 裁判例 刑法 裁判例 憲法 裁判例 検査 裁判例 検索 裁判例 検索方法 裁判例 公開 裁判例 公知の事実 裁判例 広島 裁判例 国際私法 裁判例 最高裁 裁判例 最高裁判所 裁判例 最新 裁判例 裁判所 裁判例 雑誌 裁判例 事件番号 裁判例 射程 裁判例 書き方 裁判例 書籍 裁判例 商標 裁判例 消費税 裁判例 証拠説明書 裁判例 証拠提出 裁判例 情報 裁判例 全文 裁判例 速報 裁判例 探し方 裁判例 知財 裁判例 調べ方 裁判例 調査 裁判例 定義 裁判例 東京地裁 裁判例 同一労働同一賃金 裁判例 特許 裁判例 読み方 裁判例 入手方法 裁判例 判決 違い 裁判例 判決文 裁判例 判例 裁判例 判例 違い 裁判例 百選 裁判例 表記 裁判例 別紙 裁判例 本 裁判例 面白い 裁判例 労働 裁判例・学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例・審判例からみた 特別受益・寄与分 裁判例からみる消費税法 裁判例とは 裁量労働制 裁判例 財産分与 裁判例 産業医 裁判例 残業代未払い 裁判例 試用期間 解雇 裁判例 持ち帰り残業 裁判例 自己決定権 裁判例 自転車事故 裁判例 自由権 裁判例 手待ち時間 裁判例 受動喫煙 裁判例 重過失 裁判例 商法512条 裁判例 証拠説明書 記載例 裁判例 証拠説明書 裁判例 引用 情報公開 裁判例 職員会議 裁判例 振り込め詐欺 裁判例 身元保証 裁判例 人権侵害 裁判例 人種差別撤廃条約 裁判例 整理解雇 裁判例 生活保護 裁判例 生存権 裁判例 生命保険 裁判例 盛岡地裁 裁判例 製造物責任 裁判例 製造物責任法 裁判例 請負 裁判例 税務大学校 裁判例 接見交通権 裁判例 先使用権 裁判例 租税 裁判例 租税法 裁判例 相続 裁判例 相続税 裁判例 相続放棄 裁判例 騒音 裁判例 尊厳死 裁判例 損害賠償請求 裁判例 体罰 裁判例 退職勧奨 違法 裁判例 退職勧奨 裁判例 退職強要 裁判例 退職金 裁判例 大阪高裁 裁判例 大阪地裁 裁判例 大阪地方裁判所 裁判例 大麻 裁判例 第一法規 裁判例 男女差別 裁判例 男女差别 裁判例 知財高裁 裁判例 知的財産 裁判例 知的財産権 裁判例 中絶 慰謝料 裁判例 著作権 裁判例 長時間労働 裁判例 追突 裁判例 通勤災害 裁判例 通信の秘密 裁判例 貞操権 慰謝料 裁判例 転勤 裁判例 転籍 裁判例 電子契約 裁判例 電子署名 裁判例 同性婚 裁判例 独占禁止法 裁判例 内縁 裁判例 内定取り消し 裁判例 内定取消 裁判例 内部統制システム 裁判例 二次創作 裁判例 日本郵便 裁判例 熱中症 裁判例 能力不足 解雇 裁判例 脳死 裁判例 脳脊髄液減少症 裁判例 派遣 裁判例 判決 裁判例 違い 判決 判例 裁判例 判例 と 裁判例 判例 裁判例 とは 判例 裁判例 違い 秘密保持契約 裁判例 秘密録音 裁判例 非接触事故 裁判例 美容整形 裁判例 表現の自由 裁判例 表明保証 裁判例 評価損 裁判例 不正競争防止法 営業秘密 裁判例 不正競争防止法 裁判例 不貞 慰謝料 裁判例 不貞行為 慰謝料 裁判例 不貞行為 裁判例 不当解雇 裁判例 不動産 裁判例 浮気 慰謝料 裁判例 副業 裁判例 副業禁止 裁判例 分掌変更 裁判例 文書提出命令 裁判例 平和的生存権 裁判例 別居期間 裁判例 変形労働時間制 裁判例 弁護士会照会 裁判例 法の下の平等 裁判例 法人格否認の法理 裁判例 法務省 裁判例 忘れられる権利 裁判例 枕営業 裁判例 未払い残業代 裁判例 民事事件 裁判例 民事信託 裁判例 民事訴訟 裁判例 民泊 裁判例 民法 裁判例 無期転換 裁判例 無断欠勤 解雇 裁判例 名ばかり管理職 裁判例 名義株 裁判例 名古屋高裁 裁判例 名誉棄損 裁判例 名誉毀損 裁判例 免責不許可 裁判例 面会交流 裁判例 約款 裁判例 有給休暇 裁判例 有責配偶者 裁判例 予防接種 裁判例 離婚 裁判例 立ち退き料 裁判例 立退料 裁判例 類推解釈 裁判例 類推解釈の禁止 裁判例 礼金 裁判例 労災 裁判例 労災事故 裁判例 労働基準法 裁判例 労働基準法違反 裁判例 労働契約法20条 裁判例 労働裁判 裁判例 労働時間 裁判例 労働者性 裁判例 労働法 裁判例 和解 裁判例

「営業支援」に関する裁判例(28)平成28年12月28日 東京地裁 平27(ワ)28959号 損害賠償請求事件

「営業支援」に関する裁判例(28)平成28年12月28日 東京地裁 平27(ワ)28959号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成28年12月28日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(ワ)28959号
事件名  損害賠償請求事件
文献番号  2016WLJPCA12288008

裁判年月日  平成28年12月28日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(ワ)28959号
事件名  損害賠償請求事件
文献番号  2016WLJPCA12288008

東京都文京区〈以下省略〉
原告 株式会社X
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 鈴木康之
同 光岡健介
同 滝口大志
同 森田匡貴
同訴訟復代理人弁護士 小林大祐
東京都新宿区〈以下省略〉
被告 Y1(以下「被告Y1」という。)
東京都千代田区〈以下省略〉
被告 株式会社Y2(以下「被告会社」という。)
同代表者代表取締役 B
上記両名訴訟代理人弁護士 音羽宏昭

 

 

主文

1  原告の請求をいずれも棄却する。
2  訴訟費用は原告の負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
被告らは,原告に対し,連帯して,649万9521円及び内金589万9521円については平成27年5月19日から,内金60万円については訴状送達日の翌日から,それぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要等
1  事案の概要
本件は,原告の元従業員である被告Y1が,被告会社と共謀の上,労働契約上の誠実義務に違反し,被告Y1又は被告会社の利益を図り,原告に損害を与えることを意図して,原告の顧客に係る情報を被告会社に開示したことによって,原告に①営業上の損害(589万9521円)及び②弁護士費用相当額の損害(60万円)を被らせたとして,原告が,被告Y1に対し,労働契約上の誠実義務の債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償及びこれに対する年5分の割合による遅延損害金の支払を求め,被告会社に対し,共同不法行為に基づく損害賠償及びこれに対する年5分の割合による遅延損害金の支払を求めている事案である。
2  前提事実(以下の事実は,当事者間に争いがないか,掲記の証拠及び弁論の全趣旨により認められる。)
(1)  当事者
ア 原告は,生命保険コンサルタント(生命保険代理店),損害保険代理等を業とする株式会社である。(争いがない)
イ 被告Y1は,平成10年9月1日,原告との間で期間の定めのない労働契約を締結し,原告に入社後,複数の職務を担当した後,直営事業部営業支援チーム部長代理の地位にあったが,平成27年8月31日付けで自己都合退職し,同年9月1日から被告会社で勤務している。(争いがない)
ウ 被告会社は,損害保険及び生命保険の募集業務等を目的とする株式会社である。被告会社の代表者B(以下「被告会社代表者」という。)は,平成14年4月30日に原告を退職した原告の元従業員であり,在職中,同僚であった被告Y1と面識を有していた。(争いがない)
(2)  労働契約上の誠実義務
被告Y1は,原告に対し,労働契約上の誠実義務として,在職中及び退職後も,顧客情報等の業務上知り得た情報を,会社の内外に漏らしたり,自分や第三者の利益のために使用してはならない義務を負っている。(甲3,甲4)
(3)  原告と有限会社aの保険契約
ア 原告と有限会社a(以下「a社」といい,a社の代表取締役Cを「C」という。)は,平成12年7月から現在に至るまで,原告を保険代理店,a社を保険契約者とする取引関係を維持しているところ,被告Y1は,原告におけるa社の担当者として,これまでa社が締結した複数の保険契約の全てに関与していた。(争いがない。弁論の全趣旨)
イ 保険契約に基づき支払われる保険金の総額が,ある限度額を超えることになる場合(以下,当該限度額を「通算加入限度額」という。),更なる保険契約の締結を禁ずる保険業界内における規制が存在するため,営業担当者は,当該保険契約者が保有する通算加入限度額枠を調査の上,営業活動を行う。そこで,被告Y1も,原告の法人部部長代理のD(以下「D」という。)に対し,Cの通算加入限度額枠の確認を依頼するとともに,Cから,同人を被保険者として,保険料が年額約1000万円となる保険プランの作成依頼を受けたことから,新たに締結可能な保険契約の作成を依頼した。(争いがない。甲5)
ウ 平成27年4月13日,被告Y1は,Cに対し,Dが作成した次の内容の保険契約の提案(以下「本件提案」という。)を説明したところ,Cは,より多額の保険料を損金として計上可能な保険契約を締結できないか等,本件提案とは異なった内容の保険契約の締結を希望する旨の意向を示した。(争いがない)
〈表省略〉
エ 上記意向を受けた被告Y1は,Dに対し,本件提案を再検討するように要請し,Dは,次の内容の修正提案(以下「本件修正提案」という。)を作成した。(争いがない。甲6)
〈表省略〉
オ 同年4月17日,被告Y1は,Cに対し,本件修正提案を説明したが,Cは,本件修正提案に基づく保険契約の締結に応じなかった。このため,原告は,a社の保険代理店として,本件修正提案に基づく保険契約を成立させることができなかった。(争いがない)
(4)  被告Y1の退職
ア 平成27年4月24日,被告Y1の上司であるG(以下「G」という。)は,被告Y1に対し,それまで従事していた集客業務からの業務変更を通知するとともに,翌週の月曜日までに業務命令(以下「本件業務命令」という。)に従うか否かを回答するように述べた。(争いがない)
イ 被告Y1は,同月26日,休日出勤していた原告代表者に対し,退職する旨を伝え,同月27日,Gに対しても,退職の意思を伝え,同年5月26日,退職日を同年8月31日とする退職願を原告に交付し,同日付で原告を退職した。被告Y1が原告に出社した最後の日は,同年6月26日であり,以後,同年8月末日まで有給休暇等を取得することについて,被告Y1は原告の了解を得ていた。被告Y1は,原告に対し,退職の理由について,広告発注業務から新店舗開設業務に配置転換とする旨の業務命令への不満が退社の一要因であると述べていた。(被告Y1・9頁及び10頁,弁論の全趣旨)
ウ 同年7月13日,被告Y1は,原告に対し,退職後,被告会社で就労することになった旨報告し,同年9月1日から,被告会社においてa社の担当者として就労している。(争いがない,乙7)
(5)  被告会社を代理店とするa社の保険契約
ア 平成27年5月13日,被告会社は,a社との間で,被告会社を保険代理店,a社を保険契約者とする本件修正提案と同一内容の保険契約を締結した。ただし,本件修正提案の番号3は,株式会社b(以下「b社」という。なお,同社の代表者Hは,被告会社代表者の元同僚であった。)を保険代理店とする契約であった(以下「本件各契約」という。)。(争いがない)
イ Cは,本件各契約の契約書の作成に先立ち,a社内において,医師の健康診断を受診した。(争いがない)
ウ 平成28年7月初旬,原告は,再びCの通算加入限度額を調査したことを契機として,本件各契約の存在を知るに至った。(弁論の全趣旨)
3  争点
本件の争点は,①被告Y1に労働契約上の誠実義務違反があるか否か,②被告Y1及び被告会社に共同不法行為が成立するか否か,③損害の内容であるところ,事実認定上の主たる争点は,被告Y1が,原告に無断で本件修正提案を被告会社に開示するとともに,被告会社と意を通じて,Cに対し,原告ではなく,被告会社との間で本件各契約を締結するように要請したとの事実が認められるか否かである。
第3  争点に対する当事者の主張
1  争点①(労働契約上の誠実義務違反)について
【原告の主張】
被告Y1は,被告会社に対し,遅くとも平成27年5月初旬頃までに,本件修正提案を開示して,被告会社をして,本件各契約にかかる保険代理店としての地位を得させようと考え,a社が,本件各契約を締結する際,被告会社を保険代理店として選定するよう働き掛けを行った上,保険募集に関する各種行為(医療診断の手配及び保険契約等必要書類の作成等の各種サービス)を行い,その結果,被告会社をもって,a社の本件各契約にかかる保険代理店としての地位獲得を成功裏に導き,それを原因として,原告からa社との間における保険代理店としての地位を奪った(以下「本件行為」という。)。本件行為は,労働契約上の誠実義務及び秘密保持義務に違反する行為である。
【被告Y1の主張】
本件行為を否認する。被告Y1は,本件各契約の締結に一切関与していない。
2  争点②(共同不法行為の成否)について
【原告の主張】
被告Y1は,被告会社に対し,被告会社への移籍を申込み,その見返りとして,被告会社に対し,本件修正提案を開示した上,保険募集に関する各種行為を提供することを通じ,被告会社をして,本件各契約に関する保険代理店としての地位を得る機会を提供した。被告会社は,本件修正提案の開示及び保険募集に関する各種行為の対価として,被告Y1の被告会社への移籍を承諾した。すなわち,被告会社は,被告Y1が,原告との間で労働契約上の誠実義務及び秘密保持義務を負い,かつ,被告Y1の被告会社への移籍と引き換えに,原告とa社との間における本件各契約にかかる保険代理店としての取引機会の喪失により原告に損害を与えること(本件行為)を認識しつつ,本件修正提案の開示を受け,被告Y1の計画的かつ積極的な協力のもと,本件各契約の保険代理店の地位を取得した。
以上によれば,被告Y1及び被告会社は,共謀の上,本件修正提案を不正に利用して,原告から,a社との間における本件各契約の保険代理店としての取引機会を奪い,その結果,原告は,営業上の損害を被ったものである。
【被告らの主張】
原告の主張は全て否認する。
本件各契約締結に至る経緯は,次のとおりである。Cは,被告Y1から,平成27年4月13日に本件提案を,同月17日に本件修正提案を提示され,同提案に特に不満は無かったが,複数の代理店を通じて保険契約を締結しておいた方が,自分にとって有益な情報を得られる可能性が高まると考え,被告Y1には,保険契約の締結を見送る旨伝えた。他方で,Cは,同月20日,十年来の付き合いのあった被告会社代表者に対し,原告からの提案であることは伏せ,別の保険代理店から提案された保険契約の内容と同一内容で,被告会社を代理店とした契約を締結することができないか打診し(以下「本件打診」という。),本件修正提案が記載された書面の一部を交付した。被告会社は,Cに対し,本件修正提案の番号3については,自らが保険代理店になることはできないが,他店を紹介することで,本件修正提案と同一内容の保険契約を締結できる旨回答した。同年5月13日,a社において,Cの健康診断を実施し,本件各契約の締結に至った。このように,Cは,被告Y1に対し,本件打診の事実を告げておらず,被告会社代表者に対しても,本件修正提案を作成した保険代理店が原告であることを告げていなかったため,被告会社は,本件修正提案が原告の作成によるものであることを知らなかった。
3  争点③(損害)について
【原告の主張】
本件行為がなければ,原告は,a社との間で本件各契約の保険代理店としての地位を取得し,少なくとも5年間の保険手数料を取得できたはずである。したがって,原告は,5年分の保険手数料相当額である589万9521円の損害を被るとともに,損害賠償を請求せざるを得なかったため,弁護士費用相当額として60万円の損害を被った。
【被告らの主張】
否認ないし争う。
第4  当裁判所の判断
1  はじめに
原告は,被告Y1による労働契約上の誠実義務違反及び被告らによる共同不法行為の具体的行為として,本件行為が存在したとの事実を主張する。
本件行為が存在したことを裏付ける直接証拠は存在しない(むしろ,本件行為を否定する証拠として後記C供述がある)ことから,原告が主張する間接事実をもって,本件行為が存在したとの事実を推認できるか,以下,検討する。
2  原告が挙げる主な間接事実について
(1)  平成27年4月24日の電子メール
ア 平成27年4月24日,被告Y1が,Cに対し,題名に「こちらにご返信ください」と記載し,本文に「C社長 お世話になっております。PDF添付してご返信ください。よろしくお願いいたします。」との電子メールを送信したこと,これに対し,Cが,PDFファイルを添付して,「Y1さま よろしくお願いします。 a社C」と返信したこと,これに対し,被告Y1が,「C社長 早々にありがとうございます。拝見させていただきます。 Y1」と返信したこと,これらの電子メール(以下「本件電子メール」という。)は,被告Y1が原告社内で利用していた会社のパソコンの電子メールの受信トレイ及び削除済みフォルダから削除されていたことが認められる。(甲7,甲15から甲18まで)
イ 原告は,上記事実に加え,被告Y1は,本件電子メール受信した直後にこれを被告会社代表者に転送している(以下「本件転送」という。甲23)から,被告Y1とCとの間で,事前に電話等において,本件各契約の締結に当たり,Cから被告Y1に送付する必要性のある書類内容を確認後,改めて,被告Y1から,Cに対し,必要書類をPDF化して,それを添付ファイルにして送信するように要請していたこと及び当該事実を被告会社代表者との間で共有していたことが推認できると主張する。
ウ しかしながら,原告が,本件転送の事実を裏付ける証拠として提出するログ(甲23)は,原告において編集したログデータの一部をプリントアウトしたものであり,編集前のログの一覧や原データの一覧等を確認できるものではないことからすると(乙9の1及び2),甲23のログを,客観証拠として位置付けることは困難であり,被告Y1及び被告会社代表者は,いずれも本件転送の事実はない旨供述していること(被告Y1・6頁及び7頁,被告会社代表者30頁及び31頁)を併せ考慮すれば,当該ログをもって,本件転送の事実を認めることはできない。
また,被告Y1は,a社(C)の担当者であり,同人とPDFファイルを添付した電子メールのやり取りをすること自体は業務内容として不自然ではないこと,証拠上,PDFファイルの内容は不明であり,被告Y1及びCは,明確に記憶しているわけではないが,海外の保険内容について,やり取りをした覚えがある旨,同旨の供述をしていること(被告Y1・6頁及び7頁,証人C・40頁及び41頁)に照らせば,上記アの事実をもって,本件行為を推認することはできない。
(2)  被告会社が本件修正提案と同一内容の保険契約を独自に作成することは不可能であること
ア 原告は,本件修正提案は,被告Y1がCより聞き取った意向を踏まえ,Dが独自に作成したものであって,それ以前にa社と取引が無い被告会社が,本件修正提案と同一内容の保険契約を作成することは,ほぼ不可能であり,このことから,被告Y1が本件行為に及んだことが推認できると主張する(訴状15頁及び16頁)。
イ しかしながら,Cによる本件打診があれば,被告会社において,本件修正提案と同一内容の本件各契約を締結することは可能であって,被告Y1による本件行為が不可欠のものとはならないから,本件各契約と本件修正提案の内容が同一であるとの事実をもって,本件行為を推認することはできない。
この点について,原告は,Cによる本件打診の可能性を想定せず,訴状において,前提事実として上記アの事実を挙げ,これを重要な間接事実と位置づけていたが(原告は,「a社(C)の関与等の有無については想像もせず,被告Y1以外の関与者が存在する場合,それらの者が,同人からの強い要請に抗うことができなかったものであると想像していた」(原告作成の平成28年2月10日付け準備書面9頁及び15頁)と主張している。),Cが自認している本件打診があれば,本件各契約を締結することは可能である以上,上記アの事実を被告Y1が本件行為に及んだとする重要な間接事実と評価することはできない。
(3)  原告内におけるa社の担当者であり,本件修正提案をCに説明していた被告Y1が,原告を退職後,a社と本件各契約を締結した被告会社に就職したこと
ア 平成27年5月13日,被告会社は,a社との間で,本件修正提案と同一内容である本件各契約を締結したこと,被告Y1は,同年4月26日,原告代表者に退職の意向を伝え,同年5月26日,退職願を提出し,同年8月31日付けで原告を退職し,同年9月1日から被告会社で就労を開始し,a社(C)の担当者となっていることが認められる(上記第2.2)。
イ 原告は,上記アの事実をもって,被告Y1が,被告会社に対し,同社での就業等の利益の見返りとして,本件修正提案を開示したものと強く推認できると主張する(訴状12頁)。
確かに,a社(C)との間で,本件修正提案と同一内容の本件各契約を締結した被告会社に,原告内において,a社(C)を担当し,本件修正提案を説明していた当人である被告Y1が就職したという事実は,本件修正提案の内容を被告会社に開示した人物が,被告Y1であることを一定程度推認させるといえる。
ウ しかしながら,原告と被告会社は,いずれも東京都内で事業を行う保険代理店であるところ,被告Y1が,保険代理店での勤務経験を生かすため,同じ地域の同業他社に転職することは合理的な選択であり,かつての上司が代表者を務める被告会社に就職すること自体が不自然であるということはできない。また,被告Y1が,原告を退職することになった経緯をみると,同年4月24日,Gが,被告Y1に対し,本件業務命令を伝えたという原告側の事情が契機となっており,被告Y1は同月26日には原告代表者に退職の意向を伝えている(上記第2.2)。さらに,被告Y1が同年8月31日に原告を退職することになったのは,原告の了承の下,有給休暇等の消化に伴うものであって(被告Y1・9頁及び10頁),同日付で退職したことに特に不自然な点はなく,原告を退職する際,a社の引継ぎを殊更行わなかったなどの事実を認めるに足りる証拠もない。加えて,被告Y1が,Cに対し,本件提案を説明したのが同年4月13日,本件修正提案を説明したのが同月17日,本件業務命令がなされたのが同月24日であるのに対し,被告Y1が原告代表者に退職の意向を伝えたのは,同月26日であるところ(上記第2.2),被告Y1が,被告会社に対し,同社での就業等の利益の見返りとして本件修正提案を開示したのであれば,被告Y1が原告を退職することに決めたときには,既に被告会社での就職及び本件各契約の締結が事実上決まっていたことになる。しかし,そうだとすると本件修正提案からわずか10日間で,被告Y1において,Cに,それまで取引関係のなかった被告会社を紹介し,同社との間で本件各契約の締結することの了解を得て,その協力を得ることが必要になるが,Cが被告Y1の提案に積極的に協力する合理的な理由が見当たらないことを踏まえれば,時間的に難しい面があるというべきである。Cが被告Y1の要請に応じた理由について,原告は,「被告Y1から原告が同人を不当に扱っている等の誹謗中傷を聞かされ,それに同情したCが被告らからの要請に応ずる形で本件が実施された」旨(同書面38頁)主張するが,本件業務命令の前後を含め,被告Y1がCに対し,原告から不当な扱いを受けている旨誹謗中傷していたことを認めるに足りる的確な証拠はない上,本件業務命令に対する不満を契機として,本件行為を計画したのであれば,被告Y1は,原告代表者に退職の意向を伝えるまでのわずか2日間で,Cの上記協力を得る必要があるが,時間的に一層困難なものというべきである。
エ 以上のとおり,被告Y1が原告を退職する経緯に不自然な点は見当たらないこと,Cが被告Y1の提案に積極的に協力する合理的な理由が見当たらず,短期間で本件行為を実行することが難しいことからすれば,上記アの事実をもって,本件行為を推認するには足りないというべきである。
(4)  その他の間接事実について
ア 原告は,①原告とa社との間の取引関係を踏まえると,a社が,原告以外の保険代理店との取引を新たに開始する事情は存在しない,a社が締結している複数の保険契約が相互に連動する仕組みとなっており,作業の効率化のためには単一の保険代理店がすべての保険契約を取り扱うべきである,②被告会社が取扱うことのできない保険会社(東京海上日動あんしん生命)の代理店をわざわざ紹介しているのが不自然である,③被告会社から有益な情報が得られることはなく,現に被告会社に対して本件修正提案を上回る有益な情報を求めておらず,Cが被告会社を保険代理店として取引を開始する動機が不合理である,④Cが本件修正提案を断った直後の同月24日に被告Y1に対し,「海外の保険商品」に関する質問をして,何らかの資料をPDFファイルで送信することは不自然である,⑤本件行為の存在が窺われる期間の電子メールを被告Y1が削除していたことは不自然であると主張する。
イ しかしながら,上記①について,Cにおいて,原告以外の保険代理店との取引を新たに開始する事情は存在しないのであれば,被告Y1による本件行為があったとしても,Cは被告Y1の要請を断り,本件各契約を締結しないことも十分考えられる。上記②について,被告会社代表者は,Cの希望が本件修正提案と同一の内容での保険契約が可能か否かという打診であったことから,b社を紹介した旨述べているところ(被告会社代表者4頁から6頁まで,24頁及び25頁),顧客の要望を尊重して,自社が取り扱っている保険商品を紹介しなかったことをもって,不自然であるということはできない。また,本件行為が存在したならば,むしろ,被告会社の利益になるように,本件修正提案をさらに修正して,b社を紹介することなく,被告会社で取り扱っている別の保険商品を紹介することも考えられる。上記③について,Cは,本件修正提案の内容に特に不満はなかったが,複数の代理店を通じて契約していた方が,有益な情報を得られる可能性が高まるのではないかと考えた旨述べているところ(後記C供述),仮にCが原告以外の保険代理店と取引をすることが,経済的合理性に沿わない面があったとしても,顧客であるCの判断で,保険契約の内容が同じであれば,どこの代理店を通しても変わらないものであり,複数の代理店と取引をした方が,有益な情報を得られる可能性が高まると考えることも理解できるところであり,その動機が不合理であるということはできない。上記④について,Cは,本件修正提案の内容に特に不満はなかった旨述べていることからすれば,本件修正提案を断りつつも,担当者である被告Y1に対し,他の保険商品について問合せることが不自然であるとはいえない。上記⑤について,原告の主張によっても,被告Y1が,電子メールを削除していた期間は,平成27年3月24日から同月29日まで,同月31日から同年4月25日まで,同月29日から同年5月19日まで,同月22日から同月25日まで,同月27日から同年6月14日まで,同月16日から同月30日までと不定期であり,本件行為の存在が窺われる期間だけではなく,被告Y1がCに本件提案を説明していた時期や本件各契約締結後の時期も含んでいる。このように,本件各契約に関連する時期のみが,集中的かつ大量に削除されていると認めることはできず,当該削除の事実をもって,本件行為の存在を推認させるような不自然な行為であるということはできない。
ウ 以上のとおり,原告が挙げる他の間接事実を総合考慮したとしても,本件行為の存在を推認するに至らない。
エ なお,原告は,①被告Y1が平成27年6月以降は有給休暇等を取得し,出社する日を設けない旨を一方的に宣言した,②被告Y1が原告を退職する際,a社の業務引継を怠るという不自然な行動をとった,③本件各契約に係る健康診断を担当した医師が,健康診断に被告Y1と同一と思われる女性が立ち会っていた旨述べていると主張する。しかし,上記①について,被告Y1は,同年8月末日まで有給休暇等を取得することについて原告の了解を得ていたと認められ(被告Y1・9頁及び10頁),上記②について,被告Y1が,a社の引継ぎを殊更怠っていたことを認めるに足りる証拠はなく(乙7,被告Y1・14頁),上記③について,これを裏付ける証拠は一切提出されていないことからすれば,上記①から③の間接事実は認められない。
3  C供述の信用性
上記1のとおり,本件では,本件行為を否定する証拠として後記C供述がある。C供述の信用性が一応肯定できるのであれば,本件各契約は,本件打診に基づくものと一応認められるから,原告が主張する本件行為が存在したとの事実を認めるには合理的な疑いが残ることになる。そこで,以下,C供述の信用性について検討する。
(1)  供述内容の概要(以下「C供述」という。乙1,証人C)
本件各契約の締結に当たって,被告Y1が関与したという事実は一切存在しない,Cは,平成27年4月13日,被告Y1から本件提案の説明を受け,同月17日には本件修正提案の説明を受けた,提案内容に特に不満はなかったが,複数の代理店を通じて契約していた方が,節税等保険のメリットについて,新しい有益な情報を得られる可能性が高まるのではないかと考え,被告Y1には保険契約の締結を断ることとし,かねてから付き合いのあった被告会社代表者に原告が作成したものであることは伏せた上で,本件修正提案と同一内容で,被告会社を代理店とした契約を締結することができないか打診した(本件打診),Cは,同月20日,被告会社代表者と会い,本件修正提案の写しを交付した,被告会社代表者から,本件修正提案の番号3は,被告会社での取扱いが無い旨の説明を受け,これを取り扱っているb社を紹介してもらった,Cは,同年5月13日,被告会社代表者及びb社の取締役であるIの立会の下,本件各契約を締結した,Cは,同年7月22日及び同年8月10日,Dや原告代表者と面談したが(以下「本件面談」という。),被告Y1が本件各契約の締結に関与したことを肯定したことは一切無い。
(2)  C供述の信用性が一応肯定できること
ア 客観証拠及び前提事実との整合性
一件記録上,C供述と矛盾する客観証拠及び前提事実は見当たらない。
イ 虚偽供述をする動機の不存在
本件訴訟提起後,原告は,Cに対し,被告Y1による本件行為は,背任罪(一種の詐欺罪)に該当するものであり,被告Y1はCを犯罪に巻き込んでいる旨,刑事告訴も辞さない旨,犯罪行為を行う者を庇うことが正しい行為ではない旨記載した電子メールを送信している(甲14,乙4)。Cは,当該電子メールに対して,「非常に不愉快です。」,「近日中に書面にて,私の考えを伝えます。」と返信しているところ,Cは,現在も原告を保険代理店とする本件各契約とは別の保険契約を複数有している上(弁論の全趣旨),被告Y1は,かつて原告内でa社を担当していた一営業担当者にすぎないのであって,Cが,偽証罪の制裁を受けてまで,原告の主張によると背任罪に該当する可能性のある本件行為に及んだ被告Y1を庇い,原告に不利な内容の虚偽供述をする動機は見当たらない。かえって,Cは,自らに何らかの責任が生じるかもしれないリスクを認識した上で,本件修正提案を被告会社に開示したのは,自分である旨,自己に不利益な内容の証言をしているのであって,その証言は相応の信用性を有するというべきである。
ウ 本件訴訟提起前における供述内容との変遷について
(ア) Cは,本件訴訟が提起される前の本件面談において,本件各契約に被告Y1が全く関与していない旨明確に述べず,被告Y1が関与したかは,肯定もしないし否定もしない旨,原告と被告Y1の内部問題である旨,被告Y1を庇っていない旨述べていた。(甲19,甲20)
(イ) Cは,本件訴訟提起後に,被告Y1が本件各契約に関与していない旨明確に述べるようになっており,この点の供述が,訴訟提起前後で変遷している。その理由について,Cは,原告との保険取引関係が長く続いていたため,原告以外の保険代理店に変更することについて,後ろめたい部分があった旨,本件各契約を締結したという個人情報をなぜ原告が全部知っているのか驚くと同時に,裁判になったら保険金が戻らなくなるという脅しとも思える言葉を言われて非常に腹が立ち,原告とはもう話をしたいとは思わなかった旨,本件提案を作成した原告に対し,本件修正提案の作成まで依頼しておきながら,原告以外の代理店を通して,本件修正提案と同一内容の保険契約を締結することについて,後ろめたい気持ちがあった旨述べている(証人C・8頁,9頁及び45頁)。Cは,本件面談段階では,本件修正提案を被告会社に開示した人物が自分であることを秘しており,原告側も,Cを疑っていなかったことからすれば,あえて自分の関与を認めることはせず,原告側から被告Y1の関与を認めるように促されても,肯定も否定もしないというあいまいな態度に終始していたとしても理解できるものである。
(ウ) この点に関して,原告は,本件面談において,Cは,「肯定も否定もしない」と繰り返し述べていたが,被告Y1が一切関与していないのであれば,その旨明確に関与を否定する回答をすればよく,何ら差し支えはないはずである,「仮に被告Y1の関与が明確になれば,原告は,a社(C)への責任追及を不問に付す所存であった。」(平成28年2月10日付け原告準備書面16頁)等と主張するが,裏を返せば,Cが,被告Y1の関与を明確に否定すれば,a社への責任追及が生じる可能性がある以上,被告Y1の関与について,肯定も否定もしない旨回答することも十分理解できるものであって,本件訴訟提起前後においてC供述の内容が変遷しているとしても,C供述の信用性を否定する事情にはならないというべきである。
(エ) なお,本件面談において,Cが「うん」等と発言している点は,全体として見れば,原告の言い分を聞き,単に相づちを打っているにすぎないと評価すべきであり,積極的に原告の言い分(本件各契約に被告Y1が関与していること)を肯定したものと評価することはできない。
エ 小括
以上のとおり,C供述の信用性は一応肯定できるといえる。
(3)  被告Y1及び被告会社代表者の供述の信用性
ア 供述の概要(乙6,乙7,被告Y1,被告会社代表者)
被告Y1は,本件行為を行っておらず,本件打診にも一切関与していない旨,同年4月17日,被告Y1が,本件修正提案の説明をしたところ,Cは,「見込み違いがあった。」等と述べて,本件修正提案に消極的な態度を示したこと,再度訪問するためのアポイントを取るため,同年5月7日,Cに電話をした際,Cは,「今期は見送りたい(本件修正提案の保険契約を締結しない)。」旨の意向を示したため,以後,Cに対し,本件修正提案の営業を行わなかった旨,被告Y1と被告会社代表者は,1年に1回か2年に1回の頻度で複数の人と一緒に食事に行く関係にあったところ,平成27年6月12日,被告Y1は,被告会社代表者に電話連絡し,同月16日,被告会社代表者と面談して,就職先の紹介を依頼した旨,同年7月11日,他社の紹介ではなく被告会社への入社意向を確認され,同月13日,被告会社に入社することが決まった旨述べる。
被告会社代表者は,本件各契約を締結するに至った経過について,概ねC供述と同じ内容を,被告Y1が被告会社に入社した経緯について,概ね被告Y1と同じ内容を述べる。
イ 供述の信用性
被告Y1及び被告会社代表者の各供述内容は,客観証拠や前提事実に矛盾するものではなく(なお,本件各契約が締結された直後の平成27年5月16日に被告Y1と被告会社代表者が,同じ食事会に参加していたことが認められるが(甲25),両名は,一緒に食事をする関係にあったこと自体は認めているのであって,当該事実をもって,上記アの供述全体が虚偽であると認めることはできない。),信用性を一応肯定できるC供述に沿う内容であるからすれば,三者の供述内容はそれぞれの供述の信用性を支えるものということができ,結局のところ,C供述の信用性を否定する証拠とはならない。
4  小括
以上のとおり,原告が挙げる間接事実から本件行為が存在したとの事実を推認することはできないこと,C供述の信用性を否定することはできず,むしろ,その信用性を一応肯定することができる以上,本件行為が存在したとの事実を認めるには合理的な疑いが残るというべきであって,本件行為が存在したとの事実を認めることはできない。したがって,本件行為が存在したことを前提とする原告の請求は,いずれもその余の点につき判断するまでもなく理由がない。
第5  結論
よって,原告の請求は,いずれも理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第19部
(裁判官 堀田秀一)

 

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