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「営業支援」に関する裁判例(123)平成19年 6月26日 東京地裁 平17(ワ)18247号 ロイヤルティ等請求事件

「営業支援」に関する裁判例(123)平成19年 6月26日 東京地裁 平17(ワ)18247号 ロイヤルティ等請求事件

裁判年月日  平成19年 6月26日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平17(ワ)18247号
事件名  ロイヤルティ等請求事件
裁判結果  一部認容  文献番号  2007WLJPCA06268011

要旨
◆運転代行業のフランチャイズチェーンを展開する原告が、フランチャイジーの債務を保証した被告に対し、ロイヤルティ、自動車賃料残額等の支払を求めた事案において、車両の賃貸借契約を裏付けるに足りる証拠はないことから、原告の請求のうち車両賃貸借契約に基づくものは理由がないとし、フランチャイザーは、交渉過程において、契約を締結するかどうかを判断するために重要な事実について可能な限り客観的・正確・適正な情報を開示・提供する義務があるが、原告が加盟店の募集に当たりその誘因の手段として、重要な事項について十分な開示を行わず、又は虚偽若しくは誇大な開示を行ったとは認められないとして、請求を一部認容した事例

参照条文
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律2条9項5号
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律19条
民法90条
民法446条

裁判年月日  平成19年 6月26日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平17(ワ)18247号
事件名  ロイヤルティ等請求事件
裁判結果  一部認容  文献番号  2007WLJPCA06268011

さいたま市〈以下省略〉
原告 アイディーエス株式会社
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 神田孝
同 井嶋倫子
東京都江戸川区〈以下省略〉
被告 Y
同訴訟代理人弁護士 須合勝博
同 菅井紀子

 

 

主文

1  被告は原告に対し,金185万7900円及び内金16万8900円に対する平成16年9月27日から,内金16万8900円に対する同年10月27日から,内金16万8900円に対する同年11月27日から,内金16万8900円に対する同年12月27日から,内金16万8900円に対する平成17年1月27日から,内金16万8900円に対する同年2月27日から,内金16万8900円に対する同年3月27日から,内金16万8900円に対する同年4月27日から,内金16万8900円に対する同年5月27日から,内金16万8900円に対する同年6月27日から,内金16万8900円に対する同年7月27日から,各支払済みまで年14.6%の割合による金員を支払え。
2  原告のその余の請求を棄却する。
3  訴訟費用は被告の負担とする。
4  この判決の原告勝訴部分は,仮に執行することができる。

 

 

事実及び理由

第1  請求
被告は原告に対し,金192万9020円及び内金16万8900円に対する平成16年9月27日から,内金16万8900円に対する同年10月27日から,内金16万8900円に対する同年11月27日から,内金16万8900円に対する同年12月27日から,内金16万8900円に対する平成17年1月27日から,内金16万8900円に対する同年2月27日から,内金16万8900円に対する同年3月27日から,内金16万8900円に対する同年4月27日から,内金16万8900円に対する同年5月27日から,内金16万8900円に対する同年6月27日から,内金16万8900円に対する同年7月27日から,各支払済みまで年14.6%の割合による,内金7万1120円に対する同年8月24日から支払済みまで年6%の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
1  事案の要旨
本件は,運転代行業のフランチャイズチェーンを展開する原告が,フランチャイジーの債務を保証した被告に対し,保証債務の履行(主債務・平成16年10月分以降平成17年8月分までのロイヤルティ・広告宣伝費用負担金とその支払期日の翌日から支払済みまで消費者契約法の制限の範囲内である年14.6%の割合による遅延損害金,自動車賃料残額7万1120円及びこれに対する平成17年8月22日付け準備書面送達の日の翌日である同月24日以降商事法定利率年6分の割合による遅延損害金)を求める事案である。
2  基本的事実関係(争いがないか,各所記載の証拠及び弁論の全趣旨により認められる。)
(1)  原告は,運転代行業を行う「アイ代行サポート21」フランチャイズチェーンを展開する株式会社である。
(2)  原告は,平成15年12月9日,B(以下「B」という。)との間で,以下の約定で原告をフランチャイザー,Bをフランチャイジーとする運転代行業のフランチャイズ契約(以下「本件フランチャイズ契約」という。)を締結した。
ア 原告は,フランチャイジーとして,運転代行業務を営むBに対し,原告の有する運転代行業務に関して継続的に,フランチャイズシステムとノウハウの使用許諾,商標等の使用許諾,経営指導,助言,相談を行う。
イ Bは,原告に対し,ロイヤルティ月額13万8900円,翌月分を当月26日限り支払う。
ウ 原告は,Bを含む加盟者全体の繁栄を図るために広告宣伝を行う。
エ Bは,原告に対し,上記広告宣伝費用負担金として,月額3万円,翌月分を当月26日限り支払う。
オ Bが,上記ロイヤルティ,広告宣伝費用負担金の支払を怠ったときは,弁済期の翌日から支払済みまで年18%の遅延損害金を支払う。
(3)  被告は,平成15年12月9日,原告との間で,Bが本件フランチャイズ契約上,原告に対して負担する一切の債務につき保証するとの合意をした(以下「本件保証契約」という。)。
(4)  なお,原告は,フランチャイジーに対し,開業から3か月につき,合計200万円の売上保証をしていた。
(5)  Bは,平成17年1月14日到達の書面をもって,原告に対し,「様々な債務不履行」を理由に,本件フランチャイズ契約を解除する旨の意思表示をした。
3  争点
(1)  車両の賃貸借契約について被告が保証債務を負うか
(2)  原告に説明義務違反があるか
第3  争点に関する当事者の主張
1  争点(1)(車両の賃貸借契約について被告が保証債務を負うか)
【原告の主張】
(1) 原告はBに対し,平成15年12月17日,原告所有車両(登録番号大宮〈省略〉。以下「本件車両」という。)を,賃料1日1123円,期限・Bが公安委員会による運転代行の認定を取得するまでとの約定で賃貸する旨の合意をし,これを引き渡した。
(2) Bは,平成16年3月6日までの81日間の賃料8万9840円から,原告がBに負っていたクーポン清算金債務を控除した7万1120円の支払義務を負い,被告も保証人として同額の支払義務を負う。
2  争点(2)(原告に説明義務違反があるか)
【被告の主張】
(1) フランチャイズ契約においては,フランチャイザーとフランチャイジーは形式的には独立した共同事業の主体であるが,実際上は,フランチャイザーの方が,フランチャイジーに対し,経済的にも,情報量においても,圧倒的に優位な立場にある。
その結果,契約締結過程は,フランチャイザーがフランチャイジー希望者を集めて説明会を行った後,フランチャイザーが一方的に作成した定型的で,フランチャイザーに優位な契約を締結せざるを得ない性格を有している。
したがって,フランチャイザーは,①フランチャイズ事業に関する情報・知識を有するのであるから,そのような知識を有しないフランチャイジー希望者に,当該事業に関する客観的・正確・適正な情報を開示・提供する義務があり(積極的情報開示提供義務),②少なくとも虚偽の情報をフランチャイジーに提供してはならず,相手方が情報内容について誤解している場合にはその誤解を解く義務がある(消極的情報開示提供義務)。
(2) 原告の説明義務違反
ア 費用に関する説明義務違反
原告従業員は,本件フランチャイズ契約締結の際,Bに対し,初期費用として加盟金200万円,車両購入費70万円,月額費用としてロイヤルティ13万8900円,広告宣伝費用分担金3万円,保険料3万3220円,燃料費,人件費がかかるのみで,この他の経費は一切かからない旨説明した。
しかし,Bが,原告に対し,加盟金を支払った後,正式に契約書を作成する段階になって初めて,それまでに何らの説明も無かった,名刺代1万2000円,看板代12万6000円,シール代3万1500円,伝票代(50枚)1000円等の経費が必要になることが判明し,自己負担しなければならないことになった。
イ 売上げ予測に関する説明義務違反
原告従業員は,Bに対し,本件フランチャイズ契約の際,パネルに記載された「月間モデル収支」を示しながら,3か月間の売上げ保証期間経過後も月90万円の売上げが最低でも確保できるとの説明をした。
しかし,Bは,月に90万円の売上げを確保することはできず,上記ロイヤルティ,宣伝広告費,保険料,燃料代,人件費等の支払を差し引くと売上げと支出がほぼ同額か,売上げよりも支出が上回る状況が続いた。
ウ 営業支援に関する説明義務違反
原告従業員は,本件フランチャイズ契約締結の際,Bに対し,顧客を本部から紹介したり,加盟店が対応できない顧客を本部が対応する等のバックアップや定期的な営業指導を行う旨の説明をした。
しかし,原告は,Bに対し,売上保証期間経過後は,上記営業支援を行わず,かえって加盟店の待機地点から遠距離にいる不適切な客を無理に配車してきた。
(3) 原告がBに対して本件フランチャイズ契約締結に際し,説明義務に違反した勧誘行為を行っており,これは詐欺的行為と言うべきで,独占禁止法19条,2条9項5号に反し,社会的相当性を逸脱した違法なもので,これにより締結された本件フランチャイズ契約自体,公序良俗に反し無効である。
(4) そうでないとしても,被告は原告に対し,第2の2基本的事実関係(5)記載のとおり,本件フランチャイズ契約について,債務不履行による解除の意思表示をした。
【原告の主張】
(1) 被告主張の説明義務違反について
ア 費用に関する説明義務違反について
原告従業員はBと,本件フランチャイズ契約締結に至るまで複数回にわたって面談し,業務内容や経費についてあらかじめ説明している。
また,原告は,Bの希望に応じ,一日業務体験をさせており,Bは制服,名刺,伝票の必要性は認識していた。フランチャイジーは独立した事業者である以上,これらの費用を負担することは当然予想できる。
また,本件フランチャイズ契約の契約書にも,本件伝票等(伝票,名刺,制服)の代金,数量は別途定めると規定され,費用の発生は明示され,原告従業員は,本件フランチャイズ契約締結前に,その内容を読み聞かせている。
イ 売上げ予測に関する説明義務違反について
「月間モデル収支」はあくまでモデルであってBの個別の売上げを保証するものではなく,最低限発生する費用を示したものにすぎない。
ウ 営業支援に関する説明義務違反について
そもそも,本件フランチャイズ契約において,営業支援が義務づけられているわけではない。本部が必要と認めた場合にフランチャイジーとの間で会議又は研修を行うこと(12条1項),フランチャイジーの要請があった場合に有償で研修・指導を行うこと(同条2項)が定められているだけである。
また,原告は,フランチャイジーに対し,本部に入った注文を紹介したり,フランチャイジーが対応できないフランチャイジーの顧客からの注文を本部で対応するサービスを行っているが,これはあくまでサービスであって,義務ではない。また,本部に入った注文のフランチャイジーに対する配車は,GPS配車システムを使用して機械的に行っており,恣意的な配車がされるわけではない。
したがって,原告従業員のBに対する説明義務違反はない。
(2) 被告は,説明義務違反から直ちに公序良俗違反による本件フランチャイズ契約自体の無効という結論を導き出しており,極論である。
第4  争点に対する判断
1  事実経過(甲3,乙3,証人C,同Bのほか,各所掲記のもの)
(1)  Bは,財団法人の役員等を務めていたが退職し,平成15年11月22日ころ,大阪で開催されていた独立開業フェアを訪れ,原告ブースに立ち寄り,Cが対応した。原告ブースには「月間モデル収支」と題するパネル(乙9。以下「本件パネル」という。)が設置してあり,本件パネルには「売上高(1日3万円×30日) 900,000円」,月間経費として「燃料費 30,000円」,「保険料 12,220円」,「ロイヤルティ 138,900円」,「広告宣伝費分担金 30,000円」,「経費合計 232,120円」との記載があり,さらにその下に上記売上高及び経費よりも大きなフォントで「営業収益(オーナー利益額) 667,880円」とそれぞれ記載されていた。
(2)  Bは,契約に至るまで,さらに2回原告方を訪れ,Cから説明を受けた。
そのうち1回は,Bが強く希望して,代行車両に試乗した上,5,6時間の説明を受けている。
説明の場には,本件パネルが置いてあった。
(3)  本件フランチャイズ契約締結の際は,Cが,夕方から午後11時ころにかけて,本件フランチャイズ契約の条項を読み上げた。
2  争点(1)(車両賃貸借契約について被告が保証債務を負うか)について
(1)  車両の賃貸借契約の存在を直接裏付けるに足りる証拠はない。
(2)  自動車運転代行業を営もうとする者は,自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律4条により,同法3条のいずれにも該当しないことについて都道府県公安委員会の認定を受けなければならない。原告においては,その間に開業したい場合は本部車両をフランチャイジーに預け,これを用いて営業することが行われており(甲3),原告主張の車両賃貸借契約は,これを指すものである可能性はある。
しかし,原告は,当初「貸与車両保険料」名目で請求をし,入金明細書・相殺明細書(甲4の1・2)でも「車両レンタル保険料」名目で処理されており,賃貸借契約の成否に関しては疑問の余地がある。
根本的には,このようなかたちでの処理がされることについて,本件フランチャイズ契約の契約書及びその付属書面(甲1)に記載がなく(「本部が加盟者に対し供給するアイパッケージ車…の代金」(13条3項)と解するのも無理がある。これは同条6項との対比上,フランチャイジーが購入する車両を予定した規定と解されるからである。),被告による保証の範囲外である(本件フランチャイズ契約の36条にいう「本契約に基づき」負担する一切の債務に該当しない)といわざるを得ない。
したがって,原告の請求のうち,車両賃貸借契約に基づく債務を主債務とするものは理由がない。
3  争点(2)(原告に説明義務違反があるか)
(1)  フランチャイズ・システムにおいて,フランチャイザーは,事業全体を企画し,遂行してきたものであるから,当該事業全体の動向や既存のフランチャイジーの経営状況について豊富な情報を有しているのに対し,フランチャイジー希望者はフランチャイザーから提供される情報に頼らざるをえず,これをもとに継続的契約関係に入っていくものである。
したがって,フランチャイザーは,契約締結のための交渉過程において,信義則上の保護義務として,フランチャイジー希望者に対し,当該事業に関して,契約を締結するかどうかを判断するために重要な事実について可能な限り客観的・正確・適正な情報を開示・提供する義務があり,また,虚偽の情報をフランチャイジーに提供してはならず,相手方が情報内容について誤解している場合にはその誤解を解く義務がある。そして,こららの義務の内容及び義務違反の有無は,提示すべき情報をどの程度具体的に確定することが可能か,フランチャイジー希望者の理解能力及び具体的認識等を総合して,判断されるべきである。
(2)  費用に関する説明について
ア 甲3,証人Cによれば,Cは,本件フランチャイズ契約締結前に,Bに対し,費用として,本件パネルに記載されているものの外,フランチャイジーの個別事情によるため額をあらかじめ確定することが困難な費用(駐車場代,人件費,通信費用)を要することも説明していることが認められる。
B自身,証人尋問において,本件パネルを見た時点で,駐車場代,人件費,通信費用が含まれていないのがおかしいと思ってCに説明を求め,応答を得た旨供述するところである(もっとも,説明を受けたのが本件フランチャイズ契約締結後であるかのように供述する部分もあるが,Bは自ら希望して体験乗車をし,その当日約5時間も説明を受けたりしているところからすれば,同契約締結前に説明を受けていると認められる。)。
イ 本件フランチャイズ契約締結当日より前に,Bが原告の従業員からその他の費用について個別具体的に説明されていたことを認めるに足りる十分な証拠はない。
しかし,Bは一日業務体験の際に代行車両に同乗しているのであるから,制服,名刺,伝票の必要性は認識可能であり,フランチャイジーは従業員でなく事業者であるから,Bがこれらの費用を負担することについても予想できる。
仮にBが,これらが加盟金に含まれると誤認していたとしても,それを原告従業員が誘発したとは認められず,また,甲1によれば,本件フランチャイズ契約の契約書にも,アイパッケージ車及び本件伝票等(伝票,名刺,制服等)の代金,数量は別途定めると規定されているから費用の発生は明らかであり,本件フランチャイズ契約と一体をなして無線機等の賃貸借契約も締結されている。加えて,上記のとおりCは,本件フランチャイズ契約締結の際に,その内容を読み聞かせている。
これらの事実を総合すれば,原告にBの意思決定を誤らせるような説明義務違反があるとは認められない。
(3)  売上予測に関する説明について
ア 証拠(証人C)に弁論の全趣旨を総合すれば,原告の運転代行業務は,店舗も設置せず営業エリアも特定せずにされるため,売上予測をたてるのが困難であることが認められ,この点について積極的情報提供義務を認めることはできない。
イ 被告は,原告従業員が,Bに対し,本件フランチャイズ契約の際,パネルに記載された「月間モデル収支」を示しながら,3か月間の売上げ保証期間経過後も月90万円の売上げが最低でも確保できるとの説明をした旨主張する。
しかし,Bは,証人尋問において,Cは本件パネルをあえて取り上げて説明しようとはせず,またその額を保証するわけではないと言っていた旨,また,モデル収支なのだから平均的なものだと思った旨供述するところであって,売上げの最低保証として90万円が提示されたとか,Bがそのように理解して本件フランチャイズ契約を締結したと認めることはできない。
ウ もっとも,本件パネルの月90万円との記載は,何らの補足的な説明がされないとすれば,フランチャイジー希望者に,標準的にはこの売上は確保できるとの印象を与えるとはいえる。そして,本件パネルに記載された90万円という額は,平成8年当時の直営店の実績で,月30日稼働することを前提とするものであるから(証人C),標準的にこの売上げが確保されるとの理解がされれば,誤解を招いたということになる。
しかしながら,甲3,証人Cによれば,Cは,売上保証期間の3か月200万円(1か月約67万円)を基礎に,開業当初はそのような額から増やして行き,90万円の売上げを目指すことになる,週1回は休みを取ってもよいが,組織化し,シフトを組んで休まなければ現金売上げが上がる旨説明したことが認められる。明示的に保証された売上保証期間中の売上高から出発した説明であって,合理的であり,また,このような説明がされれば,本件パネルが置いてあったとしても,売上保証期間後の売上高が自動的に平均月90万円に達すると通常人が誤解するとはいえない。一方,90万円の売上は月30日の稼働が前提となっていることは,本件パネル自体に記載され,認識可能である。本件フランチャイズ契約の付属規則によれば,週1日の定休日とされてはいるが,定休日の稼働には時間制限を設けないとしており,月30日の稼働が禁じられているわけではない(甲1)。
Bは,売上保証期間後は,月70万円から80万円の売上げを上げており(証人B),これは,原告のフランチャイズシステムのフランチャイジーの開業1年以内の売上額(月75万円から85万円。証人C)と大差がない。そしてBは,本件フランチャイズ契約締結から1年も経たない平成16年秋には並行して運送業を営むようになっており(証人B),運転代行業の売上げが伸長しなかった要因になったものと推認される。
以上を要するに,本件の事実関係のもとで,原告がBに対し,標準的に月90万円の売上げが確保されるという不合理な説明をしたとか,そのような誤解を放置したと認めることはできない。
(4)  営業支援について
ア 被告は,営業支援に関する説明義務違反を主張するが,その実質は,情報提供がされなかったこと,ないし誤った情報が提供されたことではなく,営業支援が行われなかったことを問題とするものである。
イ 開業後の営業支援に相当するものについて,本件フランチャイズ契約に直接規定されているのは,本部が必要と認めた場合(12条1項),又は加盟者の申請に基づく有償指導(12条2項)のみであり,原告従業員は,12条2項に基づき月1回の回報を行っている(甲3,5(枝番を含む),証人C)。
ウ Cは,Bに対し,GPSを用いた車両位置管理システムを利用して,加盟店に配車をしたり,加盟店の対応できない顧客の注文を本部で対応する旨の話はしていることが認められる(甲3,弁論の全趣旨)。これは,GPSを用いた車両位置管理システムを利用して,加盟店の車両位置を管理し,顧客からの注文があった際には,原則として,その顧客に近い車両に対して機械的に配車を指示するというものであるが(証人C,甲9の1ないし3),具体的な配車数の約束がされているわけでもなく,上記システムに基づく機械的配車の結果がBの満足のいくものでなかったとしても,債務不履行の問題が生じるとはいえない。
エ そのほか,原告は,平成16年5月から6月にかけて,Bのフリーダイヤルの入ったチラシを飲食店に配布するなどしている(甲5の2ないし7,6の1・2)。
オ 以上によれば,合意によるものにせよ,信義則上のものにせよ,原告に営業支援義務違反は認められないというべきである。
(5)  上記説示に鑑みれば,原告が加盟店の募集に当たりその誘因の手段として,重要な事項について十分な開示を行わず,又は虚偽若しくは誇大な開示を行ったとは認められず,独占禁止法2条9項,19条違反の問題は生じない(少なくとも公序良俗違反の問題を生じる余地はない。)。
また,説明義務違反又は営業支援義務違反に基づく解除も認められない。
4  結論
よって,原告の請求は,主文の限度で理由がある。
(裁判官 本吉弘行)

 

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