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「営業支援」に関する裁判例(106)平成21年 6月16日 東京地裁 平19(ワ)16291号 損害賠償請求事件

「営業支援」に関する裁判例(106)平成21年 6月16日 東京地裁 平19(ワ)16291号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成21年 6月16日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平19(ワ)16291号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2009WLJPCA06168002

要旨
◆洋菓子店のフランチャイジーであった原告らが、フランチャイザーである被告に対し、被告の消費期限切れ原料の使用という債務不履行により閉店に追い込まれたとして、損害賠償請求をした事案について、原告らと被告の間のフランチャイズ契約の解除は、原告らの仕入代金支払債務の滞納を受けてされた債務不履行解除又は合意解除であって、被告の債務不履行を理由としてされた解除ではないから、原告らは被告の債務不履行によって逸失利益の損害を受けたとはいえないとして、請求を棄却した事例

参照条文
民法416条

裁判年月日  平成21年 6月16日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平19(ワ)16291号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2009WLJPCA06168002

茨城県つくば市〈以下省略〉
原告 X1
茨城県つくば市〈以下省略〉
原告 株式会社あおみや
同代表者代表取締役 A
上記2名訴訟代理人弁護士 糸賀良德
同 小西俊一
東京都文京区〈以下省略〉
被告 株式会社不二家
同代表者代表取締役 B
同訴訟代理人弁護士 松嶋英機
同 宮崎信太郎
同 金山伸宏
同 柳田一宏
同 波里好彦
同 髙橋洋行

 

 

主文

1  原告らの請求をいずれも棄却する。
2  訴訟費用は原告らの負担とする。

 

 

事実及び理由

第1  当事者の求めた裁判
1  請求の趣旨
(1)  被告は,原告X1(以下「原告X1」という。)に対し,8992万2899円及びこれに対する平成19年7月3日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
(2)  被告は,原告株式会社あおみや(以下「原告あおみや」という。)に対し,2億7015万5852円及びこれに対する平成19年5月29日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
(3)  訴訟費用は被告の負担とする。
(4)  仮執行宣言
2  請求の趣旨に対する答弁
主文同旨
第2  事案の概要
本件は,被告との間で洋菓子類の販売等に関するフランチャイズ契約を締結した原告らが,被告の債務不履行(消費期限切れ原料の使用等)によって,原告らの経営する各フランチャイズ店の閉鎖を余儀なくされ,これにより逸失利益等の損害を被ったとして,被告に対し,上記債務不履行に基づき,原告X1については,8992万2899円及びこれに対する支払催告日の翌日である平成19年7月3日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を,原告あおみやについては,2億7015万5852円及びこれに対する支払催告後の日である同年5月29日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
第3  当事者の主張
1  請求の原因
(1)  フランチャイズ契約の締結
ア 原告X1
(ア) 原告X1は,平成8年11月21日,被告との間で,原告X1をフランチャイジー,被告をフランチャイザーとして,不二家ファミリー・チェーン加盟店「谷田部店」(以下「谷田部店」という。)における洋菓子類の販売等に関するフランチャイズ契約(以下「本件フランチャイズ契約(谷田部店)」という。)を締結した。
(イ) 原告X1は,平成10年2月19日,被告との間で,原告X1をフランチャイジー,被告をフランチャイザーとして,不二家ファミリー・チェーン加盟店「つくば桜店」(以下「つくば桜店」という。)における洋菓子類の販売等に関するフランチャイズ契約(以下「本件フランチャイズ契約(つくば桜店)」といい,本件フランチャイズ契約(谷田部店)と併せて「本件各フランチャイズ契約(原告X1)」という。)を締結した。
イ 原告あおみや
(ア) 原告あおみやは,平成14年10月26日,被告との間で,原告あおみやをフランチャイジー,被告をフランチャイザーとして,不二家ファミリー・チェーン加盟店「つくば二の宮店」(以下「つくば二の宮店」という。)における洋菓子類の販売等に関するフランチャイズ契約(以下「本件フランチャイズ契約(つくば二の宮店)」という。)を締結した。
(イ) 原告あおみやは,平成18年5月10日ころ,被告との間で,原告あおみやをフランチャイジー,被告をフランチャイザーとして,不二家ファミリー・チェーン加盟店「守谷駅前店」(以下「守谷駅前店」という。)における洋菓子類の販売等に関するフランチャイズ契約(以下「本件フランチャイズ契約(守谷駅前店)」といい,本件フランチャイズ契約(つくば二の宮店)と併せて「本件各フランチャイズ契約(原告あおみや)」という。)を締結した(以下,本件各フランチャイズ契約(原告X1)及び本件各フランチャイズ契約(原告あおみや)を併せて「本件各フランチャイズ契約」という。)。
(2)  被告の債務不履行
ア 信義則上の保護義務違反
(ア) 一般に,契約関係という緊密な関係にある当事者は,信義則上,相手方の生命,身体及び財産等を侵害しないように配慮すべき義務(保護義務)を負担する。
そうであるのに,被告は,消費期限切れの牛乳を使用したシュークリームその他食品衛生法等の法令に違反する商品を製造し,その客観的安全性に疑問を持たれるような商品を継続的に供給することによって,不二家ブランドに対する消費者の信頼を大きく損なった。
また,上記法令違反は,遅くとも平成18年11月の時点で判明していたものであるところ,この時点で被告が事実関係等を徹底的に調査したうえ,早期にこれを公表し,問題のある商品の自主回収等に努めていれば,消費者の信頼を大きく損なうことはなかったはずであるのに,被告は,これらの対応を怠った。
(イ) 被告による上記各行為は,本件各フランチャイズ契約に基づく保護義務に違反するものであって,原告らに対する債務不履行を構成する。
イ 商品供給義務違反
(ア) 被告は,本件各フランチャイズ契約に基づき,原告らの発注にかかる商品を供給する義務を負担する。
そうであるのに,被告は,平成19年1月11日から同年3月22日までの間,原告らに対し,洋菓子類等の商品を供給しなかった。また,被告は,同年6月9日以降,原告X1に対し,洋菓子類等の商品を供給しなかった。
(イ) 被告による上記各行為は,本件各フランチャイズ契約に基づく商品供給義務に違反するものであって,原告らに対する債務不履行を構成する。
(3)  損害
ア 原告X1の損害(合計8992万2899円)
被告の上記債務不履行によって,原告X1は,平成19年7月2日,本件各フランチャイズ契約(原告X1)の解除を余儀なくされ,これにより以下の損害(逸失利益)を被った。
(ア) 谷田部店について(3925万0531円)
a 谷田部店の平成15年から平成18年までの4年間の平均売上額は4422万5878円であるところ,仮に,被告の上記債務不履行がなく,本件フランチャイズ契約(谷田部店)が平成19年7月2日に解除されていなければ,原告X1は,同日以降も引き続き年間4422万5878円の売上金を得られていたはずである。
ところが,被告の上記債務不履行によって,原告X1は,本件フランチャイズ契約(谷田部店)の解除を余儀なくされ,それ以降,上記金額の売上金を得られなくなった。
b もっとも,原告X1は,被告の上記債務不履行によって,本来得るべき売上金を得られなかった一方で,本来支出すべき変動費の支出を免れたから,その変動費を上記売上金(逸失利益)から控除しなければならない。そして,この支出を免れた変動費の額は,上記債務不履行によって得られなかった売上金の額に,平常時の変動費割合(売上金に対する変動費の割合。以下同じ。)を乗じることによって,これを算出することができるところ,谷田部店の平常時の変動費割合は,74.9714055パーセントであるから,上記債務不履行によって支出を免れた変動費の額は,3315万6762円(=上記債務不履行によって得られなかった売上金の額4422万5878円×平常時の変動費割合74.9714055パーセント)となる。
したがって,原告X1が被った谷田部店における1年間の逸失利益の額は,1106万9116円(=1年間で本来得るべき売上金の額4422万5878円-その間に支出を免れた変動費の額3315万6762)となる。
c ところで,本件フランチャイズ契約(谷田部店)は,平成8年11月に締結されたものであるところ,本件各フランチャイズ契約は,少なくとも15年間の継続を予定していたものとみるべきであるから,原告X1が被った谷田部店における逸失利益は,少なくとも平成23年11月まで補償されなければならない(契約解除日である平成19年7月2日から起算して少なくとも4年間)。そして,その間の中間利息は,当然これを控除しなければならないから,結局,原告X1が被った谷田部店における逸失利益の額は,同店における1年間の逸失利益の額に,4年のライプニッツ係数である3.54595を乗じることによって,これを算出することができる。
したがって,原告X1が被った谷田部店における逸失利益の額は,3925万0531円(=1年間の逸失利益の額1106万9116円×4年のライプニッツ係数3.54595)となる。
(イ) つくば桜店について(5067万2368円)
つくば桜店の平成15年から平成18年までの4年間の平均売上額は5337万2073円であるところ,原告X1が同金額の売上金を得られなかった一方でその支出を免れた変動費の額は3566万8042円(=上記債務不履行によって得られなかった売上金の額5337万2073円×平常時の変動費割合66.8290363パーセント)であるから,つくば桜店における1年間の逸失利益の額は1770万4031円(=1年間で本来得るべき売上金の額5337万2073円-その間に支出を免れた変動費の額3566万8042円)となる。
また,つくば桜店における逸失利益が補償されるべき期間は,少なくとも本件フランチャイズ契約(つくば桜店)を締結した平成10年2月の15年後である平成25年2月まで(契約解除日である平成19年7月2日から起算して少なくとも5年間)とみるべきであるところ,5年のライプニッツ係数は4.32948であるから,結局,原告X1が被ったつくば桜店における逸失利益の額は5067万2368円(1年間の逸失利益の額1770万4031円×5年のライプニッツ係数4.32948。ただし計算に誤りがある。)となる。
イ 原告あおみやの損害(合計2億7015万5852円)
被告の上記債務不履行によって,原告あおみやは,平成19年5月28日,本件各フランチャイズ契約(原告あおみや)の解除を余儀なくされ,これにより以下の損害(逸失利益,解体費用及び初期投資費用)を被った。
(ア) つくば二の宮店(合計8993万1933円)
a 逸失利益(8711万4573円)
つくば二の宮店の平成15年から平成18年までの4年間の平均売上額は3857万7390円であるところ,原告あおみやが同金額の売上金を得られなかった一方でその支出を免れた変動費の額は2729万5647円(上記債務不履行によって得られなかった売上金の額3857万7390円×平常時の変動費割合70.75555パーセント。ただし計算に誤りがある。)であるから,つくば二の宮店における1年間の逸失利益の額は1128万1743円(1年間で本来得るべき売上金の額3857万7390円-その間に支出を免れた変動費の額2729万5647円)となる。
また,つくば二の宮店における逸失利益が補償されるべき期間は,少なくとも本件フランチャイズ契約(つくば二の宮店)を締結した平成14年10月の15年後である平成29年10月まで(契約解除日である平成19年5月28日から起算して少なくとも10年間)とみるべきであるところ,10年のライプニッツ係数は7.72173であるから,結局,原告あおみやが被ったつくば二の宮店における逸失利益の額は8711万4573円(1年間の逸失利益の額1128万1743円×10年のライプニッツ係数7.72173)となる。
b 解体費用(281万7360円)
仮に,被告の上記債務不履行がなく,本件フランチャイズ契約(つくば二の宮店)が平成19年5月28日に解除されていなければ,原告あおみやは,つくば二の宮店における営業利益を十分に取得した後で,同店の敷地の賃貸借契約終了時に,同店の建物を解体していたはずである。
ところが,被告の上記債務不履行によって,原告あおみやは,本件フランチャイズ契約(つくば二の宮店)の解除を余儀なくされたため,つくば二の宮店における営業利益を十分に取得できないまま,同店の敷地の賃貸借契約終了時に,同店の建物を解体せざるを得ないことが確実となった(なお,同店の敷地の賃貸借契約は当分終了しないが,将来同契約が終了することは確実である。)。
したがって,原告あおみやは,被告の上記債務不履行によって,つくば二の宮店の建物解体費用(見積額)である281万7360円の損害を被った。なお,同見積額のうち49万6650円に相当する部分は,既にこれを支出のうえ施工済みである。
(イ) 守谷駅前店(合計1億8022万3919円)
a 逸失利益(1億5328万9527円)
守谷駅前店の年間平均売上額は4824万1000円であるところ,原告あおみやが同金額の売上金を得られなかった一方でその支出を免れた変動費の額は3275万5082円(上記債務不履行によって得られなかった売上金の額4824万1000円×平常時の変動費割合67.8988451パーセント)であるから,守谷駅前店における1年間の逸失利益の額は1548万5918円(1年間で本来得るべき売上金の額4824万1000円-その間に支出を免れた変動費の額3275万5082円)となる。
また,守谷駅前店における逸失利益が補償されるべき期間は,少なくとも本件フランチャイズ契約(守谷駅前店)を締結した平成18年5月の15年後である平成33年5月まで(契約解除日である平成19年5月28日から起算して少なくとも14年間)とみるべきであるところ,14年のライプニッツ係数は9.89864であるから,結局,原告あおみやが被った守谷駅前店における逸失利益の額は1億5328万9527円(1年間の逸失利益の額1548万5918円×14年のライプニッツ係数9.89864)となる。
b 解体費用(234万3915円)
仮に,被告の上記債務不履行がなく,本件フランチャイズ契約(守谷駅前店)が平成19年5月28日に解除されていなければ,原告あおみやは,守谷駅前店における営業利益を十分に取得した後で,同店の敷地の賃貸借契約終了時に,同店の建物を解体していたはずである。
ところが,被告の上記債務不履行によって,原告あおみやは,本件フランチャイズ契約(守谷駅前店)の解除を余儀なくされたため,守谷駅前店における営業利益を十分に取得できないまま,同店の敷地の賃貸借契約終了時に,同店の建物を解体せざるを得ないことが確実となった(なお,同店の敷地の賃貸借契約は当分終了しないが,将来同契約が終了することは確実である。)。
したがって,原告あおみやは,被告の上記債務不履行によって,守谷駅前店の建物解体費用(見積額)234万3915円の損害を被った。
c 初期投資費用(2459万0477円)
仮に,被告の上記債務不履行がなく,本件フランチャイズ契約(守谷駅前店)が平成19年5月28日に解除されていなければ,原告あおみやは,守谷駅前店の初期投資費用に見合った営業利益を取得していたはずである。
ところが,被告の上記債務不履行によって,原告あおみやは,本件フランチャイズ契約(守谷駅前店)の解除を余儀なくされたため,守谷駅前店の初期投資費用に見合った営業利益を取得することができず,同初期投資費用を無駄にさせられた。
したがって,原告あおみやは,被告の上記債務不履行によって,守谷駅前店の初期投資費用2459万0477円の損害を被った。
(4)  支払催告
ア 原告X1は,平成19年7月2日,被告に対し,本件訴状の送達をもって,上記債務不履行に基づく損害賠償債務の支払を催告した。
イ 原告あおみやは,平成19年5月28日の前に,被告に対し,上記債務不履行に基づく損害賠償債務の支払を催告した。
(5)  まとめ
よって,原告らは,被告に対し,上記債務不履行に基づき,原告X1については,8992万2899円及びこれに対する支払催告日の翌日である平成19年7月3日(契約解除日の翌日)から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を,原告あおみやについては,2億7015万5852円及びこれに対する支払催告後の日である同年5月29日(契約解除日の翌日)から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。
2  請求の原因に対する認否
(1)  請求の原因(1)(フランチャイズ契約の締結)は認める。
(2)  同(2)(被告の債務不履行)は争う。
原告が主張する被告の各行為が原告との関係においていかなる債務不履行を構成するのか明らかでない。
(3)  同(3)(損害)は争う。その理由は以下のとおりである。
ア 原告X1の損害について
(ア) 原告X1には,もともと本件各フランチャイズ契約(原告X1)に基づく経済的利益が帰属していなかったから,原告X1には,逸失利益を観念することはできない。すなわち,原告X1は,本件各フランチャイズ契約(原告X1)の当事者ではあるが,原告あおみやの確定申告書によれば,谷田部店及びつくば桜店の経営は,原告あおみやが行っており,同店舗に係る経済的利益又は損失は,原告あおみやに帰属していることが明らかである。
(イ) 本件各フランチャイズ契約(原告X1)の解除について
原告X1は,平成19年7月2日,被告の債務不履行に基づき,本件各フランチャイズ契約(原告X1)を解除した旨主張する。
しかし,被告は,原告X1が,本件各フランチャイズ契約(原告X1)に基づく仕入代金支払債務やロイヤルティ支払債務等(以下「仕入代金等支払債務」という。)を滞納したため,原告X1に対する再三の支払催告を経た後,同年5月31日,原告X1に対し,本件各フランチャイズ契約(原告X1)を解除する旨の意思表示をした。なお,上記解除時における仕入代金等支払債務の滞納額は,谷田部店につき496万4196円,つくば桜店につき651万1954円であった。
このように,本件各フランチャイズ契約(原告X1)は,被告の債務不履行に基づき解除されたものではなく,原告X1の債務不履行に基づき解除されたものであるから,原告X1の主張する逸失利益の損害は,被告の債務不履行と相当因果関係のある損害とはいえない。
(ウ) 逸失利益について
原告X1は,谷田部店及びつくば桜店において本来得るべき売上金の額から,その間に支出を免れた変動費の額を控除することによって,その逸失利益の額を算出している。
しかし,谷田部店及びつくば桜店における逸失利益の額を算出するにあたっては,本来得るべき売上金の額から,その間に支出を免れた変動費の額を控除するだけではなく,その間に支出を免れた固定費の額をも控除する必要があるところ,谷田部店は,本件フランチャイズ契約(谷田部店)の解除当時,赤字経営の状態が続いており,営業利益が一切出ていなかったのであるから,本来得るべき売上金の額からその間に支出を免れた変動費及び固定費の額を控除すると,その逸失利益の額はゼロ(正確にはマイナス)となるはずである。
したがって,原告X1は,被告の債務不履行によって,逸失利益の損害を一切被っていない。
イ 原告あおみやの損害について
(ア) 本件各フランチャイズ契約(原告あおみや)の解除について
原告あおみやは,平成19年5月28日,被告の債務不履行に基づき,本件各フランチャイズ契約(原告あおみや)を解除した旨主張する。
しかし,被告は,遅くとも同年4月18日,原告あおみやとの間で,本件フランチャイズ契約(守谷駅前店)を合意解除し,また,遅くとも同年5月16日,原告あおみやとの間で,本件フランチャイズ契約(つくば二の宮店)を合意解除した。また,原告あおみやは,原告X1と同様,本件各フランチャイズ契約(原告あおみや)に基づく仕入代金等支払債務を滞納していたから(上記合意解除時における滞納額は,つくば二の宮店につき242万1511万円,守谷駅前店につき220万4189円であった。),被告としては,原告あおみやの上記債務不履行に基づき,本件各フランチャイズ契約(原告あおみや)を解除することも可能であったが,原告の執ような要請に応じて,上記各契約を合意解除したのである。
このように,本件各フランチャイズ契約(原告あおみや)は,被告の債務不履行に基づき解除されたものではなく,原告あおみやと被告との間の合意に基づき解除されたものであるし,また,本来であれば原告あおみやの債務不履行に基づき解除されるべきものでもあった。したがって,原告あおみやの主張する本件各損害は,いずれも,被告の債務不履行と相当因果関係のある損害とはいえない。
(イ) 逸失利益について
原告あおみやは,つくば二の宮店及び守谷駅前店において本来得るべき売上金の額から,その間に支出を免れた変動費の額を控除することによって,その逸失利益の額を算出している。
しかし,つくば二の宮店及び守谷駅前店における逸失利益の額を算出するにあたっては,本来得るべき売上金の額から,その間に支出を免れた変動費の額を控除するだけではなく,その間に支出を免れた固定費の額をも控除する必要があるところ,つくば二の宮店及び守谷駅前店は,いずれも,本件各フランチャイズ契約(原告あおみや)の解除当時,赤字経営の状態が続いており,営業利益が一切出ていなかったのであるから,本来得るべき売上金の額からその間に支出を免れた変動費及び固定費の額を控除すると,その逸失利益の額はゼロ(正確にはマイナス)となるはずである。
したがって,原告あおみやは,被告の債務不履行によって,逸失利益の損害を一切被っていない。
(ウ) 解体費用について
本件各フランチャイズ契約(原告あおみや)の合意解除及びそれに伴う各店建物の解体は,専ら原告あおみやの経営判断に基づいて行われたものであるから,その解体費用は,被告の債務不履行と相当因果関係のある損害とはいえない。
(エ) 初期投資費用(守谷駅前店)について
本件フランチャイズ契約(守谷駅前店)の合意解除は,専ら原告あおみやの経営判断に基づいて行われたものであるから,守谷駅前店の初期投資費用は,被告の債務不履行と相当因果関係のある損害とはいえない。
また,そもそも,原告あおみやは,本件フランチャイズ契約(守谷駅前店)を合意解除した後,守谷駅前店の建物を株式会社デザイナーズエクステリアに賃貸し,その賃料収入を得ているのであるから,同店の初期投資費用は,何ら無駄になっていない。
また,原告あおみやは,上記初期投資費用の支出を認めるに足りる証拠を提出していない(甲57は単なる固定資産減価償却内訳表にすぎない。)。
(4)  同(4)(支払催告)は認める。
(5)  同(5)(まとめ)は争う。
第4  当裁判所の判断
1  証拠(甲4ないし7,甲11の1,2,甲12ないし16,甲21,甲51,甲65の1,乙1,乙3ないし13,乙15の1,2,証人Cの証言)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる(当事者間に争いのない事実を含む。)。
(1)  本件各フランチャイズ契約の締結
ア 原告X1
原告X1は,被告との間で,平成8年11月21日,本件フランチャイズ契約(谷田部店)を締結し,また,平成10年2月19日,本件フランチャイズ契約(つくば桜店)を締結した。
イ 原告あおみや
原告あおみやは,被告との間で,平成14年10月26日,本件フランチャイズ契約(つくば二の宮店)を締結し,また,平成18年5月10日ころ,本件フランチャイズ契約(守谷駅前店)を締結した。
(2)  消費期限切れ原料使用問題の発覚
ア マスコミ報道及び一時休業
マスコミ各社は,平成19年1月10日,被告がその埼玉工場において消費期限切れの牛乳を使用したシュークリームを製造していた事実等を,一斉に報道した。
これを受けて,被告は,翌11日から,全国の被告の洋菓子工場における製造を一時停止し,また,全国の被告の洋菓子店(フランチャイジーが経営する店舗を含む。)を一時休業させることとした。この一時休業は,同年3月22日まで継続し,翌23日から,順次営業を再開することとなった(原告X1の谷田部店及びつくば桜店は,同日から営業を再開し,他方,原告あおみやのつくば二の宮店及び守谷駅前店は,同日以降も営業を再開しなかった。)。
イ 休業補償等
被告は,上記の事態を受けて,平成19年1月11日から同年4月10日までの間,各フランチャイジーに対し,前年度売上額の約35パーセントに相当する金額の休業補償を行うとともに,同年4月11日から同月30日までの間,各フランチャイジー(営業を再開した店舗に限る。)に対し,前年度売上額と今年度売上額との差額に相当する金額の営業補償を行った。
また,被告は,同年5月1日以降も,各フランチャイジー(営業を再開した店舗に限る。)に対し,その売上額の5パーセントに相当する金額の営業支援を行った。
これらの補償や営業支援によって,原告らは,前年度同期間の営業利益よりも高額の利益を得ることとなった。なお,原告X1の谷田部店,原告あおみやのつくば二の宮店及び守谷駅前店は,同年1月10日の当時,いずれも赤字経営の状態が続いていた。
(3)  本件各フランチャイズ契約の解除
ア 原告X1
原告X1は,平成15年7月以降,本件各フランチャイズ契約(原告X1)に基づく仕入代金等支払債務を度々滞納し,その滞納額は,平成19年1月10日の時点において,谷田部店につき244万3606円,つくば桜店につき301万9784円,同年5月31日の時点において,谷田部店につき496万4196円,つくば桜店につき651万1954円にのぼっていた。そこで,被告は,数度の支払催告を経た後,同年5月31日,原告X1に対し,本件各フランチャイズ契約(原告X1)を解除する旨の意思表示をした。
その後,原告X1は,同年7月2日,被告に対し,本件訴状の送達をもって,本件各フランチャイズ契約(原告X1)を解除する旨の意思表示をした。
イ 原告あおみや
(ア) 守谷駅前店
原告あおみやは,平成19年3月23日以降,守谷駅前店の営業を再開することなく,被告に対し,早急に同店の什器備品や看板等の撤去工事を行うよう求めた。そこで,被告は,原告あおみやに対し,撤去工事を行う前提として,所定の解除申入書を作成・提出するよう求めた。
ところが,原告あおみやは,被告に対し,既に口頭による合意解除が成立しているとして,上記撤去工事を早急に行うよう強く求めた。そこで,被告は,同年4月18日から同年5月9日にかけて,原告あおみやの求める撤去工事をすべて完了した。
その後,被告は,同月17日,原告あおみやに対し,再度,所定の解除申入書を作成・提出するよう求めた。これに対して,原告あおみやは,同月28日,被告に対し,解除申入書(ただし所定の書式ではない。)を提出した。
(イ) つくば二の宮店
原告あおみやは,平成19年3月23日以降,つくば二の宮店の営業を再開することなく,被告に対し,早急に同店の什器備品や看板等の撤去工事を行うよう求めた。そこで,被告は,原告あおみやに対し,撤去工事を行う前提として,所定の解除申入書を作成・提出するよう求めた。
その後,原告あおみやは,守谷駅前店の上記撤去工事が完了するまでの間,被告に対し,つくば二の宮店の撤去工事を行うよう求めることはなかったが,守谷駅前店の上記撤去工事が完了した直後である同月12日,守谷駅前店の上記撤去工事を施工した株式会社不二工房(以下「不二工房」という。)に対し,早急につくば二の宮店の撤去工事も施工するよう求めた。
そこで,被告は,同月17日,原告あおみやに対し,再度,所定の解除申入書を作成・提出するよう求めた。これに対して,原告あおみやは,同月28日,被告に対し,解除申入書(ただし所定の書式ではない。)を提出した。
その後,被告は,同年6月10日から同月12日にかけて,原告あおみやの求める撤去工事をすべて完了した。
(ウ) 仕入代金等支払債務の滞納
なお,原告あおみやは,平成15年7月以降,被告に対する仕入代金等支払債務を度々滞納し,その滞納額は,平成19年1月10日の時点において,守谷駅前店につき206万2074円,つくば二の宮店につき227万4513円,同年5月28日の時点において,守谷駅前店につき216万4189円,つくば二の宮店につき241万1511円にのぼっていた。
(4)  新規事業の展開
ア 原告X1
本件各フランチャイズ契約(原告X1)の解除後,谷田部店の建物においては,定食屋「東京厨房 つくば店」が経営され,つくば桜店の建物においては,コインランドリー「AQUA PARK つくば桜店」が経営されている。
イ 原告あおみや
本件各フランチャイズ契約(原告あおみや)の解除後,つくば二の宮店の建物においては,ブティックショップ「RAINBOW つくば桜店」が経営され,守谷駅前店の建物においては,エクステリア専門店「マームガーデン 守谷・取手店」が経営されている。
2  原告X1の請求について
(1)  損害(請求原因(3))について
ア 前記認定事実によれば,被告は,原告X1が本件各フランチャイズ契約(原告X1)に基づく仕入代金等支払債務を滞納したため,数度の支払催告を経た後,平成19年5月31日,原告X1に対し,本件各フランチャイズ契約(原告X1)を解除する旨の意思表示をしたことが認められる。
そうすると,本件各フランチャイズ契約(原告X1)は,被告の債務不履行に基づき解除されたものではなく,原告X1の債務不履行に基づき解除されたものと認められるから,原告X1の主張する逸失利益の損害は,被告の債務不履行と相当因果関係のある損害とは認められない。
イ これに対して,原告X1は,仕入代金等支払債務の滞納が続いたのは,被告の債務不履行によって谷田部店及びつくば桜店の一時休業を余儀なくされたことに起因するのであるから,被告による上記解除権の行使は,権利の濫用にあたる旨主張する。
しかし,前記認定事実によれば,原告X1は,被告から休業補償等を受けることによって,前年度同期間の営業利益よりも高額の利益を得ていたことが認められるから,仕入代金等支払債務の滞納が上記一時休業に起因すると認めることはできない。
したがって,原告X1の上記主張は理由がない。
(2)  小括
よって,原告X1の本件各請求は,その余の点を検討するまでもなく,いずれも理由がない。
3  原告あおみやの請求について
(1)  損害(請求原因(3))について
ア 本件各フランチャイズ契約(原告あおみや)の解除について
原告あおみやは,被告の債務不履行によって,本件各フランチャイズ契約(原告あおみや)の解除を余儀なくされ,これにより逸失利益等の損害を被った旨主張する。
しかし,前記認定事実に照らせば,本件各フランチャイズ契約(原告あおみや)は,原告あおみやと被告との間の合意によって解除されたものと認めるのが相当であるし,また,前記認定事実によれば,その当時,原告あおみやは,本件各フランチャイズ契約(原告あおみや)に基づく仕入代金等支払債務を,つくば二の宮店及び守谷駅前店の各店舗につき,それぞれ200万円以上滞納していたことが認められるから,上記合意解除がされなければ,被告は,積極的に,原告あおみやに対し,上記債務不履行に基づく解除の意思表示をしていたであろうことが容易に想定されるところである。
したがって,本件各フランチャイズ契約(原告あおみや)が,原告あおみやの主張する逸失利益の発生期間内に存続していた蓋然性は極めて低いものといわざるを得ず,そうである以上,本件各損害は,被告の債務不履行と相当因果関係のある損害とは認められない。
イ 逸失利益について
原告あおみやは,その逸失利益を算出するにあたって,つくば二の宮店及び守谷駅前店の本来得るべき売上金の額から,その間に支出を免れた変動費の額のみを控除している。
上記計算方法は,具体的には,売上げが増加する際に新たに必要となる変動費(仕入れのための費用,包装費,ロイヤルティ等)を基にして「限界利益率」(売上げが増加する度に獲得できる利益)なるものを観念し,売上げが減少した場合に,その減少部分に対応する「限界利益」を逸失したと考えて,逸失利益を計算する方法である(甲63,証人D)。したがって,上記計算方法は,減少した売上部分に関わらない部分でその主張する固定費(人件費,地代,減価償却費等)を既に回収していることを前提とするものである。
しかし,本件のように,原告あおみやが上記各店舗を完全に閉鎖して固定費の支出を免れている場合には,固定費を回収する売上部分がそもそも存在しないのであるから,逸失利益の額を算出するにあたっては,本来得るべき売上金の額から,その間に支出を免れた変動費の額を控除するだけではなく,その間に支出を免れた変動費以外の費用(固定費)の額をも控除する必要があることは明らかである。そして,前記認定事実によれば,つくば二の宮店及び守谷駅前店は,いずれも,本件各フランチャイズ契約(原告あおみや)の解除当時,赤字経営の状態が続いており,営業利益が一切出ていなかったのであるから,本来得るべき売上金の額からその間に支出を免れた変動費及び固定費の額を控除すると,その逸失利益の額はゼロ(正確にはマイナス)となる。
要するに,原告らの主張は,つくば二の宮店及び守谷駅前店は赤字経営ではあったが,営業を続けていれば,損失を少なくすることができ,その少なくすることができたはずの損失部分が逸失利益であるという主張に等しいのである。この主張を採用することができないことはいうまでもない。
したがって,原告あおみやは,被告の債務不履行によって,逸失利益の損害を被ったとは認められない。
ウ 解体費用について
(ア) 原告あおみやは,被告の債務不履行によって,本件フランチャイズ契約(守谷駅前店)の解除を余儀なくされ,これにより,守谷駅前店における営業利益を十分に取得できないまま,同店の敷地の賃貸借契約終了時に,同店の建物を解体せざるを得ないことが将来確実となったから,同建物の解体費用(見積額)は,被告の債務不履行と相当因果関係のある損害である旨主張する。
しかし,一般に,敷地の賃貸借契約が終了すれば,当然,その敷地上の建物を解体しなければならないのであるから,同建物の解体費用は,被告の債務不履行の有無にかかわらず,将来当然に原告あおみやが負担するはずの費用である。
したがって,上記建物の解体費用は,被告の債務不履行と相当因果関係のある損害とは認められない。
(イ) これに対して,原告あおみやは,単に守谷駅前店の建物を解体せざるを得なくなったことが損害なのではなく,同店における営業利益を十分に取得できないまま同店の建物を解体せざるを得なくなったことが損害である旨主張する。
しかし,守谷駅前店における営業利益を十分に取得できないまま同店の建物を解体せざるを得なくなったことによる損害は,本来,その十分に取得できなかった営業利益(すなわち逸失利益)の賠償によって回復されるべき性質の損害であって,同建物の解体費用の賠償によって回復されるべき性質の損害ではない。
したがって,被告の上記主張は理由がない。
エ 初期投資費用について
(ア) 原告あおみやは,被告の債務不履行によって,本件フランチャイズ契約(守谷駅前店)の解除を余儀なくされ,これにより,守谷駅前店の初期投資費用を無駄にさせられたから,同初期投資費用は,被告の債務不履行と相当因果関係のある損害である旨主張する。
しかし,守谷駅前店の上記初期投資費用は,被告の債務不履行(消費期限切れ原料を使用した商品の製造等)の有無にかかわらず,当然に原告あおみやが負担していたはずの費用である。
したがって,上記初期投資費用は,被告の債務不履行と相当因果関係のある損害とは認められない。
(イ) これに対して,原告あおみやは,単に守谷駅前店の上記初期投資費用を支出したことが損害なのではなく,同店における営業利益を十分に取得できなかったのに上記初期投資費用を支出したことが損害である旨主張する。
しかし,守谷駅前店における営業利益を十分に取得できなかったのに上記初期投資費用を支出したことによる損害は,本来,その十分に取得できなかった営業利益(すなわち逸失利益)の賠償によって回復されるべき性質の損害であって,上記初期投資費用の賠償によって回復されるべき性質の損害ではない。
したがって,被告の上記主張は理由がない。
(2)  小括
よって,原告あおみやの本件各請求は,その余の点を検討するまでもなく,いずれも理由がない。
4  結語
以上のとおり,原告らの本件各請求は,いずれも理由がないからこれを棄却することとし,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 綿引穣 裁判官 佐藤重憲 裁判官 金洪周)

 

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