【営業代行から学ぶ判例】crps 裁判例 lgbt 裁判例 nda 裁判例 nhk 裁判例 nhk 受信料 裁判例 pl法 裁判例 pta 裁判例 ptsd 裁判例 アメリカ 裁判例 検索 オーバーローン 財産分与 裁判例 クレーマー 裁判例 クレプトマニア 裁判例 サブリース 裁判例 ストーカー 裁判例 セクシャルハラスメント 裁判例 せクハラ 裁判例 タイムカード 裁判例 タイムスタンプ 裁判例 ドライブレコーダー 裁判例 ノンオペレーションチャージ 裁判例 ハーグ条約 裁判例 バイトテロ 裁判例 パタハラ 裁判例 パブリシティ権 裁判例 ハラスメント 裁判例 パワーハラスメント 裁判例 パワハラ 裁判例 ファクタリング 裁判例 プライバシー 裁判例 プライバシーの侵害 裁判例 プライバシー権 裁判例 ブラックバイト 裁判例 ベネッセ 裁判例 ベルシステム24 裁判例 マタニティハラスメント 裁判例 マタハラ 裁判例 マンション 騒音 裁判例 メンタルヘルス 裁判例 モラハラ 裁判例 モラルハラスメント 裁判例 リストラ 裁判例 リツイート 名誉毀損 裁判例 リフォーム 裁判例 遺言 解釈 裁判例 遺言 裁判例 遺言書 裁判例 遺言能力 裁判例 引き抜き 裁判例 営業秘密 裁判例 応召義務 裁判例 応用美術 裁判例 横浜地裁 裁判例 過失割合 裁判例 過労死 裁判例 介護事故 裁判例 会社法 裁判例 解雇 裁判例 外国人労働者 裁判例 学校 裁判例 学校教育法施行規則第48条 裁判例 学校事故 裁判例 環境権 裁判例 管理監督者 裁判例 器物損壊 裁判例 基本的人権 裁判例 寄与分 裁判例 偽装請負 裁判例 逆パワハラ 裁判例 休業損害 裁判例 休憩時間 裁判例 競業避止義務 裁判例 教育を受ける権利 裁判例 脅迫 裁判例 業務上横領 裁判例 近隣トラブル 裁判例 契約締結上の過失 裁判例 原状回復 裁判例 固定残業代 裁判例 雇い止め 裁判例 雇止め 裁判例 交通事故 過失割合 裁判例 交通事故 裁判例 交通事故 裁判例 検索 公共の福祉 裁判例 公序良俗違反 裁判例 公図 裁判例 厚生労働省 パワハラ 裁判例 行政訴訟 裁判例 行政法 裁判例 降格 裁判例 合併 裁判例 婚約破棄 裁判例 裁判員制度 裁判例 裁判所 知的財産 裁判例 裁判例 データ 裁判例 データベース 裁判例 データベース 無料 裁判例 とは 裁判例 とは 判例 裁判例 ニュース 裁判例 レポート 裁判例 安全配慮義務 裁判例 意味 裁判例 引用 裁判例 引用の仕方 裁判例 引用方法 裁判例 英語 裁判例 英語で 裁判例 英訳 裁判例 閲覧 裁判例 学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例 共有物分割 裁判例 刑事事件 裁判例 刑法 裁判例 憲法 裁判例 検査 裁判例 検索 裁判例 検索方法 裁判例 公開 裁判例 公知の事実 裁判例 広島 裁判例 国際私法 裁判例 最高裁 裁判例 最高裁判所 裁判例 最新 裁判例 裁判所 裁判例 雑誌 裁判例 事件番号 裁判例 射程 裁判例 書き方 裁判例 書籍 裁判例 商標 裁判例 消費税 裁判例 証拠説明書 裁判例 証拠提出 裁判例 情報 裁判例 全文 裁判例 速報 裁判例 探し方 裁判例 知財 裁判例 調べ方 裁判例 調査 裁判例 定義 裁判例 東京地裁 裁判例 同一労働同一賃金 裁判例 特許 裁判例 読み方 裁判例 入手方法 裁判例 判決 違い 裁判例 判決文 裁判例 判例 裁判例 判例 違い 裁判例 百選 裁判例 表記 裁判例 別紙 裁判例 本 裁判例 面白い 裁判例 労働 裁判例・学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例・審判例からみた 特別受益・寄与分 裁判例からみる消費税法 裁判例とは 裁量労働制 裁判例 財産分与 裁判例 産業医 裁判例 残業代未払い 裁判例 試用期間 解雇 裁判例 持ち帰り残業 裁判例 自己決定権 裁判例 自転車事故 裁判例 自由権 裁判例 手待ち時間 裁判例 受動喫煙 裁判例 重過失 裁判例 商法512条 裁判例 証拠説明書 記載例 裁判例 証拠説明書 裁判例 引用 情報公開 裁判例 職員会議 裁判例 振り込め詐欺 裁判例 身元保証 裁判例 人権侵害 裁判例 人種差別撤廃条約 裁判例 整理解雇 裁判例 生活保護 裁判例 生存権 裁判例 生命保険 裁判例 盛岡地裁 裁判例 製造物責任 裁判例 製造物責任法 裁判例 請負 裁判例 税務大学校 裁判例 接見交通権 裁判例 先使用権 裁判例 租税 裁判例 租税法 裁判例 相続 裁判例 相続税 裁判例 相続放棄 裁判例 騒音 裁判例 尊厳死 裁判例 損害賠償請求 裁判例 体罰 裁判例 退職勧奨 違法 裁判例 退職勧奨 裁判例 退職強要 裁判例 退職金 裁判例 大阪高裁 裁判例 大阪地裁 裁判例 大阪地方裁判所 裁判例 大麻 裁判例 第一法規 裁判例 男女差別 裁判例 男女差别 裁判例 知財高裁 裁判例 知的財産 裁判例 知的財産権 裁判例 中絶 慰謝料 裁判例 著作権 裁判例 長時間労働 裁判例 追突 裁判例 通勤災害 裁判例 通信の秘密 裁判例 貞操権 慰謝料 裁判例 転勤 裁判例 転籍 裁判例 電子契約 裁判例 電子署名 裁判例 同性婚 裁判例 独占禁止法 裁判例 内縁 裁判例 内定取り消し 裁判例 内定取消 裁判例 内部統制システム 裁判例 二次創作 裁判例 日本郵便 裁判例 熱中症 裁判例 能力不足 解雇 裁判例 脳死 裁判例 脳脊髄液減少症 裁判例 派遣 裁判例 判決 裁判例 違い 判決 判例 裁判例 判例 と 裁判例 判例 裁判例 とは 判例 裁判例 違い 秘密保持契約 裁判例 秘密録音 裁判例 非接触事故 裁判例 美容整形 裁判例 表現の自由 裁判例 表明保証 裁判例 評価損 裁判例 不正競争防止法 営業秘密 裁判例 不正競争防止法 裁判例 不貞 慰謝料 裁判例 不貞行為 慰謝料 裁判例 不貞行為 裁判例 不当解雇 裁判例 不動産 裁判例 浮気 慰謝料 裁判例 副業 裁判例 副業禁止 裁判例 分掌変更 裁判例 文書提出命令 裁判例 平和的生存権 裁判例 別居期間 裁判例 変形労働時間制 裁判例 弁護士会照会 裁判例 法の下の平等 裁判例 法人格否認の法理 裁判例 法務省 裁判例 忘れられる権利 裁判例 枕営業 裁判例 未払い残業代 裁判例 民事事件 裁判例 民事信託 裁判例 民事訴訟 裁判例 民泊 裁判例 民法 裁判例 無期転換 裁判例 無断欠勤 解雇 裁判例 名ばかり管理職 裁判例 名義株 裁判例 名古屋高裁 裁判例 名誉棄損 裁判例 名誉毀損 裁判例 免責不許可 裁判例 面会交流 裁判例 約款 裁判例 有給休暇 裁判例 有責配偶者 裁判例 予防接種 裁判例 離婚 裁判例 立ち退き料 裁判例 立退料 裁判例 類推解釈 裁判例 類推解釈の禁止 裁判例 礼金 裁判例 労災 裁判例 労災事故 裁判例 労働基準法 裁判例 労働基準法違反 裁判例 労働契約法20条 裁判例 労働裁判 裁判例 労働時間 裁判例 労働者性 裁判例 労働法 裁判例 和解 裁判例

「営業アウトソーシング」に関する裁判例(59)平成24年12月19日 東京地裁 平23(ワ)33747号 損害賠償請求事件

「営業アウトソーシング」に関する裁判例(59)平成24年12月19日 東京地裁 平23(ワ)33747号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成24年12月19日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平23(ワ)33747号
事件名  損害賠償請求事件
文献番号  2012WLJPCA12198016

裁判年月日  平成24年12月19日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平23(ワ)33747号
事件名  損害賠償請求事件
文献番号  2012WLJPCA12198016

東京都豊島区〈以下省略〉
原告 株式会社X
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 淵邊善彦
同 戸田謙太郎
埼玉県川口市〈以下省略〉
被告 Y

 

 

主文

1  被告は,原告に対し,16万0702円及びこれに対する平成23年11月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  原告のその余の請求を棄却する。
3  訴訟費用はこれを100分し,その6を被告の負担とし,その余を原告の負担とする。
4  この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

 

事実

第1  当事者の求めた裁判
1  請求の趣旨
(1)  被告は,原告に対し,256万8311円及びこれに対する平成23年11月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2)  訴訟費用は被告の負担とする。
(3)  仮執行宣言
2  請求の趣旨に対する答弁
(1)  原告の請求を棄却する。
(2)  訴訟費用は原告の負担とする。
第2  当事者の主張
1  請求原因
(1)  原告は,システムコンサルティング,システム構築,運用・保守,ネットワークサービス,システム導入,アウトソーシングサービス,WEBサイト・MOBILEサイト制作等を主な事業内容とする株式会社である。
(2)  原告は,ウェブサイトを利用した仮想店舗事業(以下「本件事業」という。)を立ち上げるために被告を雇用することとし,被告に本件事業の立ち上げを要請したところ,被告は,平成22年8月3日,時給800円で平日8時間のフルタイム勤務をするという条件で原告の要請に応じた。そこで原告と被告は平成22年8月16日付けで雇用契約を締結した。被告は平成22年8月16日に原告に入社してから同年12月ころまで原告の従業員として本件事業の運営を担当した。
本件事業を立ち上げるにあたり仮想店舗として使用するウェブサイト(以下「本件サイト」という。)においてアカウントIDを取得するには中国国内の銀行に銀行口座を有していることが必要であった。そこで原告は,中国籍であり,中国国内の銀行の銀行口座を保持している被告を従業員として雇い,本件事業を運営するためのアカウントIDを被告名義で取得した。
被告は,原告との雇用関係を否認する。しかし原告は被告に対し,平成22年8月16日から同年12月までの給与を支払っている。給与支払期間中には被告が中国渡航期間中のものもあるが,これは被告が中国に帰国したついでに本件事業のために現地の調査や関係者との話し合いをしてくると話していたこと及び原告の好意によりその期間中も被告の給料を保障することを約束したからである。また,原告は平成22年8月19日に被告に対して,労務処理のために履歴書の提出を電子メールにて求めたところ,被告はこれに応じて同月23日にパソコンで作成した履歴書を原告に送付している。さらに被告は,本件事業の運営担当として,仕入れ業務や顧客への発送業務を行っていたほか,原告の本件事業の担当者としてヤマトグローバルロジスティクスジャパン株式会社東京支社のBに対して中国への国際運送にかかる料金の見積りを問い合わせたり,株式会社共同フレイタースに対して輸出にかかる諸経費の見積りを問い合わせたりしている。さらに被告は,原告が東京商工会議所宛に作成した貿易関係証明申請者登録台帳に原告のマネージャーである旨を記載している。また被告は,原告のメールアカウントを使用しており,被告の電子メールの署名欄には被告が原告の事業企画開発推進部の一員である旨の記載がある。これらの点からすれば,原被告間に雇用関係が存在したものといえる。なお,雇用契約に関する書面等は,被告の希望により作成されていない。
(3)  被告は,本件事業の運営に関し,その売上金を中国建設銀行のC名義の預金口座(番号〈省略〉。以下「本件管理口座」という。)にて管理するとともに,本件サイトのアカウントIDとパスワードを管理していた。本件サイトのアカウントID取得に際し,被告は原告に対し,原告が中国の銀行において口座を開設した後に本件サイトのアカウントIDを原告名義に変更することが可能であるとの説明を行った。そのため原告は,自身が当時中国の銀行に口座を有していなかったこともあり,とりあえず被告名義でアカウントIDを取得させた。
被告は,原告の本件事業の運営に関して本件サイトのアカウントID及びパスワードの管理をしていた。したがって,原告が管理者に対して直接アカウントIDとパスワードの開示請求又は変更請求ができるか否かにかかわらず,被告は原告からの本件サイトのアカウントIDやパスワードの開示請求を拒むことはできない。
(4)  被告は,本件事業にかかる仕入業務について,事前に一括して仕入れを行っており,仕入業務に関する費用は原告の費用を使っていた。
(5)  原告は中国に渡航し,中国の銀行において口座を開設した。そして原告が中国の銀行に口座を取得したことから,被告名義のアカウントIDを原告名義に変更し,原告口座を使用するよう被告に指示したが,被告は被告名義から原告名義に変更することはできないと突如言い出し,また,原告名義のアカウントIDに変更すると実績が重んじられる中国では売れない等と主張し,原告の指示に従わなかった。
(6)  原告は,平成22年12月ころ,被告が原告を退職することとなった際,被告に対し,本件管理口座の明細の開示,本件事業によって生じた売上金全額(以下「本件売上」という。)の原告への支払,本件サイトのアカウントIDとパスワードの開示及びアカウントの廃止(退会)手続を行うよう要求した。しかし被告は,原告の要求に一切応じようとはせず,原告からのメールや電話での催告に対して曖昧な返答を繰り返すのみであった。また被告は,原告退職後,本件サイトのアカウントID及びパスワードを原告の許可なく変更したうえ,アカウントID及びパスワードの開示要求に応じなかった。
原告は,平成23年4月22日付け「通知書」や平成23年7月12日付け「通知書」記載のとおり被告に対して再三に亘り本件管理口座の明細の原告への開示,本件売上の原告への支払,本件サイトのアカウントIDとパスワードの開示及び同アカウントの廃止(退会)手続を行うよう要求したが,被告は何らの対応をしない。
(7)  原告は,被告の不法行為により,以下の損害を被った。
ア 原告は本件売上を取得することができたはずであるにもかかわらず,被告による横領行為により本件売上を得ることができなかった。
平成22年(2010年)12月27日時点での本件売上は4万2076元であり,平成23年10月17日のレートで換算すると51万0381円となる。
イ 本件サイトのアカウントIDとパスワードが得られないことにより,原告は,本件サイトの訪問者の履歴情報及び本件サイトにおいて物品を購入した顧客の顧客情報(以下,これらを併せて「本件顧客情報等」という。)にアクセスすることができず,原告の本件事業の遂行は重大な支障をきたしており,その損害は甚大である。
本件顧客情報等は,少なくともそれを収集するのに要した費用と同額の価値を有していることからすれば,原告は被告が本件サイトのアカウントIDとパスワードを開示しないという不法行為により,少なくとも本件事業を行うにあたって支出した費用(専従者給与,事務用品代等)と同額の205万7930円の損害を被った。
この損害は,被告が原告の許可なく本件サイトのアカウントID及びパスワードを変更したうえ,原告からの開示要求に応じなかったことにより生じているものであるから,被告の不法行為との因果関係が認められる。
(8)  よって,原告は被告に対し,不法行為に基づく損害賠償請求として256万8311円及びこれに対する訴状送達日の翌日である平成23年11月23日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による金員の支払を求める。
2  請求原因に対する認否
(1)  請求原因(1)の事実は知らない。
(2)  請求原因(2)の事実は否認する。
ア 被告が原告に雇用された事実はなく,原告に従業したこともない。貿易関係証明申請者登録名簿は,実務上は必要がないものの融資を受ける目的で金融機関に差し出すため必要であると原告から請われて名前を貸しただけである。また,被告が本件事業担当者として商品発送業務を行っていたとする書証も,事業実態を作るために原告から協力を求められて作成されたものである。また,被告は,原告からの要請に基づき,被告が支出した費用等に関する領収書等を原告に差し入れた。したがって,これらの書類を根拠に,被告が原告の本件事業に関して支出をしたものとはいえない。被告は,原告の事務所の一部を使用させてもらっていたという立場上,原告からのこれらの要求を断ることはできなかった。
被告は平成22年8月31日から同年9月17日まで中国に帰国していたところ,原告が主張する被告への給与支払の内容では被告が中国に帰国していた期間中にも被告に対して給与が支払われていることとされており,原告の主張及びその裏付けとして提出する証拠(甲2号証)は虚偽あるいは誤認を含んでいる。
イ 本件サイトは被告が登録,利用していたウェブサイトであり,被告が平成22年8月以前からごく小規模に商取引を行っていたものである。本件サイトが原告の所有又は利用契約を締結しているウェブサイトであれば,原告自らが管理者へ直接アカウントIDとパスワードの開示請求又は変更請求をすれば足りる。
中国国内の銀行口座を開設するのに中国籍である必要はなく,原告は中国へ渡航しているのであるから中国国内銀行の口座開設ができたはずである。
仮に被告が原告に従事していたとしても,いずれの日か退職してしまうおそれのある者の取得したアカウントID及び他人の個人銀行口座を用いて重大な事業を行うよりも,原告の名で管理,運営をするよう運用していくことが商人としての自明の理である。
さらに原告は,被告が従業していたとする同じ時期に,被告と同じ中国籍をもつDという者を雇用していた。
(3)  請求原因(3)の事実は否認する。
本件管理口座は被告の父名義の口座であり,なぜ原告が他人の個人口座を用いて商行為を行う必要があるのか理由がない。
(4)  請求原因(4)の事実は否認する。
(5)  請求原因(5)の事実は否認する。
(6)  請求原因(6)の事実は否認する。
(7)  請求原因(7)の事実は否認する。
被告は,原告に対し,自身が運営する事業の紹介として本件サイトを見せたことがあり,その運営方法を教えたことがある。その際,原告は興味を示し,原告も同様の事業を行いたいと話していた。しかし被告はその後の原告の動向を知らない。原告が実際に本件サイトを用いて本件事業を運営していた事実はなく,不法行為は存在しない。原告が主張する損害と被告の行為との因果関係はない。

 

理由

1  請求原因について
(1)  証拠(甲1,4,5,7,9ないし12,16ないし18,20,21,乙1,4,原告代表者,被告本人。ただし書証は枝番を含む。)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
ア  原告は,ネット通販を用いた海外事業展開を検討していたところ,被告から,原告が使用できる未使用のWEB店舗(本件サイト)があるとの話を聞いた。また,本件事業を営むために原告が新たに○○サイトを利用するためには原告名義の中国の銀行の口座が必要であったが,当時原告は中国の銀行の口座を保有していなかった。そこで原告は,平成22年8月16日,本件サイトを利用した本件事業を営むために,本件サイトの開設名義人である被告とIT知識を有するDを雇い入れるとともに,当面の間の決裁のために本件管理口座を利用する許諾を被告から得た。(甲20,原告代表者)
イ  原告は,本件サイトを利用して,別紙取引一覧表記載の取引を行った。この取引のうち,取引が完了したものの代金額の合計は別紙取引一覧表の入出金欄の確定入金額欄記載のとおり1万3670元であり,購入者の商品受領確認待ちとなっている取引にかかる代金額の合計は2万1674元である。(甲1)
ウ  △△システムを利用した電子決済サービスでは,買い手側から電子決済により金銭を一旦預かり,商品の授受が適正に行われた旨の双方からの通知をもって,電子決済により売り手側が指定する銀行口座に代金が送金される仕組みが採用されている。(乙1)
エ  平成22年8月16日以降,被告が原告を退職した平成22年12月15日までの間,被告は原告の従業員として,以下の対応をした。(甲20,原告代表者)
(ア) 被告は,原告が東京商工会議所に提出する貿易関係証明に関する書類の貿易登録担当者欄に,原告のマネージャーとしての役職で名前を自署した。(甲7,被告本人)
(イ) 商品購入者に対して商品を発送する際,原告に雇用される以前は被告自身の住所を依頼者欄に記載して商品を発送していたが,原告に雇用された後は原告の住所を依頼者欄に記載して商品を発送した。また,発送費用にかかる領収書を原告名義で取得した。(甲9ないし12,乙4)
(ウ) 原告の担当者として,原告のメールアカウントを利用した電子メールにて,運送業者に対して中国への商品の発送に関する費用の問い合わせを行った。(甲16ないし18)
オ  原告は,平成23年4月26日,被告に対し,同年5月16日までに本件売上を原告に支払うとともに,本件管理口座の明細の開示,本件サイトのアカウントIDとパスワードの開示及びアカウントの廃止(退会)手続を行うよう要求した。(甲4)
また,原告は原告訴訟代理人である淵邊善彦弁護士及び戸田謙太郎弁護士を代理人として,平成23年7月19日,被告に対し,本件管理口座の平成22年10月から現在までの口座明細を同弁護士に送付すること,本件売上及び本件事業を行うにあたって要した費用の合計額である258万3213円を支払うこと,本件サイトの訪問者の履歴情報及び本件サイトにおいて物品を購入した顧客の顧客情報を原告に開示し,引き渡すか,それができない場合には同情報の価値相当額である205万7930円を支払うこと,原告立ち会いのもとで本件サイトのアカウントの廃止(退会)手続を行うことを要求した。(甲5)
カ  本件訴訟の口頭弁論終結時における中国元から日本円への交換レートは,1元に対して12.85円である。(甲21)
(2)  本件売上にかかる損害について
ア  上記認定事実によれば,原告は被告から本件サイト及び本件管理口座の使用を許諾されており,かつ,本件サイトで取り扱う商品の仕入れや販売した商品の配送を原告の費用と責任において行っているものと評価できるから,原告は本件サイトを利用して原告の事業として本件事業を行っていたものといえる。
被告は,原告に雇用されたことはなく,本件サイトは被告が運営していたものである旨主張する。しかしながら,被告は,上記エ記載のとおり原告に雇用されていることをうかがわせる各種行動をとっている。そして,被告がこのような行動をとった理由として説明する内容は客観的な裏付けがないか,合理性のないものであって採用できない。また,本件サイトのアカウントID等及び本件管理口座が被告管理にかかるものであることは,上記認定事実に照らして被告が本件サイトを運営していたことを裏付ける根拠とはならず,その他に被告が本件サイトを運営していたことを認定するに足りる証拠はない。その他に被告が主張する点は,不合理な内容であるか,証拠関係と整合しないものであって採用できない。
したがって,この点に関する被告の主張は採用できない。
イ  そこで損害について検討すると,上記認定事実によって認められる△△の決裁システムを前提とすれば,本件サイトを利用した取引が完了し,その代金が本件管理口座に入金されているにもかかわらず原告に引き渡されていない金額が原告の損害と評価できる。
原告は,別紙取引一覧表のうち,取引状態欄に「相手の商品受取り確認待ち」と記載された取引についても本件事業による売上げであるから原告の損害に含まれる旨主張する。しかしながら,これらの取引については,買い手側に商品が配達されているか否かが不明な状態である以上,買い手側から契約関係を解除される等の可能性が否定できない。したがって,これらの取引について原告の売上げが確定しているとは評価できないから,これらを損害に算定することはできない。
したがって,原告の損害は,別紙取引一覧表の入出金欄のうち,確定入金額欄記載の合計1万3670元から,出金額欄記載の1164元を差し引いた1万2506元となる。これを口頭弁論終結時の為替レートで換算すると,16万0702円(1円未満切り捨て)となる。
(3)  本件顧客情報等にかかる損害について
ア  上記認定事実によれば,原告は,被告から本件サイト及び本件管理口座の使用を許諾されていたにすぎないものと評価できる。そして,本件サイトの名義や登録情報が原告に変更されたといった事情が証拠上認められないことからすれば,本件サイト及び本件管理口座の管理権限は,被告が原告を退職した時点では,なお被告に存在したものと評価できる。
そうすると,被告は,原告に対して本件サイトのアカウントIDやパスワードを開示する義務を負わないから,被告がこれらを開示しなかったとしても原告に対する不法行為は構成しない。
イ  また,原告は,本件顧客情報等は,少なくともそれを収集するのに要した費用と同額の価値を有している旨主張し,その金額の裏付け資料として甲3号証を提出する。しかし,本件事業を前提とした場合に,本件顧客情報等が,これを収集するのに要した費用と同額の価値を有していると評価するに足りる証拠はなく,仮にこの点を措くとしても,甲3号証には本件事業との関連性が不明確な書類が多数存在しているから,この証拠をもって損害を算定することはできないというべきである。
したがって,いずれにしても,この点に関する原告の主張は採用できない。
2  結論
以上によれば,原告の請求は16万0702円及びこれに対する平成23年11月23日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を請求する限度で理由があるからこれを認容し,その余の請求は理由がないからこれを棄却することとして,訴訟費用の負担につき民事訴訟法64条1項本文,61条を,仮執行宣言につき同法259条1項を適用して主文のとおり判決する。
(裁判官 藤倉徹也)

 

〈以下省略〉

 

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