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「営業ノルマ」に関する裁判例(12)平成24年12月 5日 東京地裁 平23(ワ)35189号 損害賠償請求事件

「営業ノルマ」に関する裁判例(12)平成24年12月 5日 東京地裁 平23(ワ)35189号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成24年12月 5日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平23(ワ)35189号
事件名  損害賠償請求事件
文献番号  2012WLJPCA12058011

裁判年月日  平成24年12月 5日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平23(ワ)35189号
事件名  損害賠償請求事件
文献番号  2012WLJPCA12058011

神戸市〈以下省略〉
原告 X
同訴訟代理人弁護士 中村信雄
同 押久保公人
同 山崎勇人
同 久保潤弥
東京都千代田区〈以下省略〉
被告 Y株式会社
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 間宮順
同 山本和也
同 大井直樹

 

 

主文

1  原告の請求を棄却する。
2  訴訟費用は原告の負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
1  被告は,原告に対し,2000万円及びこれに対する平成23年11月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  仮執行宣言。
第2  事案の概要
1  本件は,証券会社である被告の従業員であったB(以下「B」という。)が,原告に対し,真実はBが個人的な使途で費消する目的であったのに,それを秘して,被告において金融商品を購入して原告の資産運用をするなどと欺罔して,原告から合計9000万円の交付を受け,これをすべて個人的に費消したため,原告が同額の損害を被ったとして,原告が,被告に対し,使用者責任に基づき,損害賠償の内金2000万円及びこれに対する不法行為後である訴状送達日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
2  前提事実(証拠等を掲記したもの以外は当事者間に争いがない。)
(1)  関係者
ア 被告は,証券会社である。
イ Bは,平成14年4月から平成20年10月まで,被告において「営業部バイスプレジデント」の役職で勤務する被告の従業員であった。(甲1,8)
ウ C(以下「C」という。)は,Bが以前勤務していた会社で担当していた顧客として知り合い,Cの妻と原告とは,かつて勤務先の同僚であった。(甲8,10,乙3)
(2)  7000万円の交付等
ア 原告は,平成19年6月22日,B個人名義の預金口座に7000万円を振込送金した。(甲10,弁論の全趣旨)
イ 原告とBとは,同年7月18日付けで,原告を貸主,Bを借主とする7000万円の金銭消費貸借契約書(以下「本件契約書1」という。)を作成した。(甲2,乙1)
(3)  2000万円の交付等
ア 原告は,平成20年10月14日,B個人名義の預金口座に2000万円を振込送金した。(甲10,弁論の全趣旨)
イ 原告とBとは,同日付で,原告を貸主,Bを借主とする2000万円の金銭消費貸借契約書(以下「本件契約書2」という。)を作成した。(甲4,乙1)
(4)  Bは,平成20年7月18日,原告に対し,700万円を交付した。(弁論の全趣旨)
(5)  Bは,平成21年,東京地方裁判所で破産手続開始決定を受けた(同裁判所平成21年(フ)第19265号,以下「Bの破産事件」という。)。(乙1,3)
(6)  原告は,Bの破産事件において,同年11月25日,破産債権届出書を提出し,本件契約書1及び2を添付した上,貸付金として合計9000万円の元金及び利息金の債権を届け出た。そして,同債権に係る配当金として30万3593円を受領した。(乙1,2)
3  争点
(1)  Bの不法行為の成否(争点1―詐欺)
Bの行為は詐欺(不法行為)に当たるか。
(2)  被告の使用者責任(民法715条)の成否(争点2―事業の執行につき)
Bが原告から合計9000万円の交付を受けた行為が,被告の事業の執行につきなされた行為に当たるか否か,すなわち,上記行為が,その外形からみてBの職務の範囲内の行為に属するものとみられるか,また,Bの職務の範囲内でないことを,原告が知り又は重大な過失により知らなかったといえるか。
4  争点に関する当事者の主張
(1)  詐欺(争点1)について
(原告の主張)
Bは,当初から個人的な使途で費消する目的でありながら,これを秘して原告から合計9000万円を交付させて詐取したものであるから,Bの行為は原告に対する不法行為(詐欺)に該当する。
(被告の主張)
Bは,原告との間の個人的な金銭消費貸借取引において,元利金の支払を怠ったにすぎず,Bの行為は不法行為にはならない。すなわち,本件契約書1及び2では,資金使途が全く限定されていないから,たとえBが個人的な使途により費消したとしても,これらの契約書には反しない。原告は,これらの契約書の効力を否定しておらず,同各契約書に基づき,Bに対して支払を求めることができ,原告に損害はない。
(2)  職務の執行につき(争点2)について
(原告の主張)
ア 事実関係
(ア) 原告は,平成19年6月20日ころの午後,コーヒーショップでB及びCと面会した。その際,Bは,被告従業員の肩書の入った名刺を差し出し,被告の従業員として自己紹介した。そして,被告が主に機関投資家及び富裕層向けの投資商品を扱っていることなどを説明し,被告商品の説明や資産運用に関する説明もした上で,複数の投資家から集めた資金を合わせて,被告の取扱商品を購入して資産運用することが可能であること,実際そのようにして被告で資産運用している人たちがいること,具体的な運用条件としては,期間が1年,配当が年1回,配当額が元本の10%であり,どのような商品を購入するかは被告に任せてほしいことなどの説明をした。これを受けて,原告は7000万円を被告で運用してもらうことにした。
(イ) その数日後,原告は再びB及びCと面談し,資産運用の具体的手順等について説明を受け,B名義の口座に7000万円を振り込むよう指示された。その際,Bは,原告から預かった資金は折を見て被告に入れたいので,まずはB名義の口座に振り込んでほしいと述べたため,原告は,Bが被告の営業マンとして月別の営業ノルマ等を課されており,月別の営業成績を調整したいという趣旨と理解した。そこで,同月22日,B個人名義の口座に7000万円を振り込んだ。
原告は,同年7月18日,Bが準備した本件契約書1に署名押印したが,その際,同契約書の契約者名も被告ではなくB個人であることに気付いた。しかし,振込口座がB個人であったことに合わせたのだと理解した。また,その際,Bは原告に対し,被告のB名義の被保険者証コピーを渡した。そのため,原告は,Bが被告の事業の一環として本件契約書1に署名押印しているのだと思った。
(ウ) Bは,平成20年10月ころ,原告に対し,上記7000万円と同様に2000万円を被告で資産運用しないかと持ちかけた。原告は,同様に被告で資産運用してもらえるのであればと思い,同月14日,B名義の口座に2000万円を振り込んだ。そして,翌15日,原告は,Bから差し出された本件契約書2に署名押印した。振込口座がB個人名義の口座であり,本件契約書2の契約者名がB個人になっていたが,原告は,上記7000万円と同じ形式であったため特に疑問に思うことはなかった。
イ 原告は,証券会社である被告の従業員たるBの営業活動に応じて,被告の商品を購入する意思をもって金員を交付したのであり,Bも個人的に原告の資産運用をすることを勧誘したのではなく,被告の商品の購入を勧めたのである。したがって,原告がBに金員を交付したことは,原告とBとの個人的な取引でないことは明らかであり,被告の事業に関連する行為として被告の事業の範囲内であることに疑いはない。
ウ Bが原告に対し,被告の名刺を提示し被告の従業員であると名乗って,被告の商品の紹介をし,その商品の購入を勧めたこと,被告の取扱商品の説明をしたこと,その後のBの原告に対する運用状況の説明内容等にかんがみれば,外形的にBの被告における職務の範囲内であったことは明白である。
エ 原告は,Bに対し個人的に資産運用を委託していたのではなく,被告の事業の範囲内のものであり,かつ,被告の職務の範囲内のものであると信じていた。そして,Bは,言葉巧みに原告を騙したのであり,一般人である原告が金融商品の購入に関する実務的な手続について十分な認識を有することを期待することが困難であることにかんがみると,原告が,Bの職務の範囲内であると信じたことに重大な過失があったとまではいえない。
(被告の主張)
ア Bの行為は,原告との個人的な金銭消費貸借取引にすぎないから,被告の事業の範囲に含まれず,Bの職務の範囲に含まれないことは明らかである。Bが原告から9000万円を借り入れた目的は,CによるCファミリー(Cの個人的な知り合いのうち特に大切な人達の集まり)のメンバーのために行っていた資産運用として,Bが原告から借り入れた金員をCに貸し付け,BがCのためにオプション取引によって当該資金を運用することであった。
イ 被告は,事業として,ファンドの購入の媒介業務のみしか行っておらず,顧客との間でファンドの購入に関する契約を締結することも,顧客からファンドの購入代金を受け取ることも,被告の業務に含まれていない。また,被告が個人顧客に投資勧誘を行う場合,顧客について,投資経験,投資目的及び資力等の観点から要件を設け,その要件を満たす必要があったが,原告は当該要件を満たしておらず,被告が原告に対しファンド購入の勧誘を行うことは許されていなかった。
ウ 原告とBとの間では,二度にわたり金銭消費貸借契約が締結されており,本件契約書1及び2は,いずれも金銭消費貸借契約書として存在し,その文言は平易で容易に理解できるものであり,Bの肩書を含め被告について一切言及されておらず,B個人が署名押印し,資金使途として被告での資金運用又は被告商品による資金運用等一切言及されていない。また,原告は,Bとの面会,契約締結,契約書の取り交わしが,いずれも被告の営業所ではなくコーヒーショップで行われ,被告と全く関係のないCが同席しており,合計9000万円の振込先口座はいずれもB個人口座であり,被告名義の預り証や領収書を一切受け取っていないことなどの事実を自認している。
また,原告は,平成20年7月18日に,本件契約書1に記載された1年分の利息700万円を受領している。Bの破産事件では,同人に対する貸付金として9000万円の元本及び利息を届け出て,証拠書類として本件契約書1及び2を提出しており,不法行為債権として届け出ていない。そして,平成23年11月25日,貸付金として届け出た債権の回収として30万円余を受領している。
さらに,原告は,Bに金銭を交付したとする平成19年6月22日から本件訴訟の提起まで4年以上の間,原告,B又はC名義での投資ファンドの購入がなかったかについて,一度も被告に問い合わせをしていない。
上記事実関係からすれば,被告の事業の範囲に含まれないこと又はBの職務の範囲に含まれないことについて,原告の悪意又は重過失も明らかである。
第3  当裁判所の判断
1  争点2(職務の執行につき)について
(1)  証拠(甲8,乙3,4)及び弁論の全趣旨によれば,被告の業務及びBの職務につき次の事実が認められる。
すなわち,被告は,主に,ファンドの開発・組成や投資商品を大手証券会社や機関投資家に媒介する仲介業務を行う登録証券会社であり,顧客について本人確認を行い顧客カードは作成するものの,顧客勘定を有しておらず,顧客の取引口座を開設したり,顧客との間で有価証券取引に関する契約を締結したりすることはない。また,被告がファンド発行会社等を代理してファンドの購入申込みを承諾したり,顧客から購入代金を受領することもない。
Bは,被告の従業員であった期間中を通じ,営業部バイスプレジデントの肩書を有しており,被告の取り扱うファンドについて,機関投資家,証券会社等の顧客に対し,運用報告に関する質問を受けたり,追加投資の勧誘を行ったり,潜在的な顧客に対し投資の勧誘を行うことなどをその職務としていた。
(2)  民法715条にいう「事業の執行について」とは,被用者の職務の範囲内にあるか,又は職務行為と密接に関連しており,当該行為の外形から観察してあたかも被用者の職務の範囲に属するものと認められる場合を含むものと解される。
原告は,Bの行為について,原告のほか複数の投資家から集めた資金を合わせて,被告の取扱商品を購入して資産運用すると説明して,原告からB個人名義の口座へ合計9000万円を振り込ませ,かつ,原告とB個人との間で金銭消費貸借に係る本件契約書1及び2を交わしたと主張する。しかし,原告の主張するBの行為を前提にしても,顧客との間で投資商品購入に係る契約を締結し,顧客から投資商品購入代金を預かるなどの行為は,外形的,客観的に見て明らかに被告の業務の範囲外であるから,Bの職務の範囲外であることも明らかである。また,これらの契約締結や代金受領は,投資商品の媒介業務とは別の取引行為であるといわざるを得ず,両者が密接に関連しているともいえないというべきである。
加えて,本件では,前記前提事実のとおり,契約の締結及び金員の振込みに当たり,原告がB個人との間で金銭消費貸借に係る本件契約書1及び2を交わし,B個人名義の口座に金員を振り込んでおり,原告もこのようなB個人との間で契約締結及び代金支払をしたという客観的事実を正当に認識しているところであって,被告名義の領収書,預り証等を受領したことをうかがわせる事情も見当たらない(原告の誤信は,その主張によれば,主として,Bが原告から受領した金員を投資商品の購入に充てることなく,もっぱら個人的に費消した点にあるということができる。)。そうすると,契約の締結や金員の振込みに当たってBが言葉巧みに原告を騙したなどの事実を勘案しても,行為の外形からみれば,これらは被告の業務の範囲内の行為とはいえず,Bの職務の範囲内の行為ともいえないというべきであって,あたかも被用者の職務の範囲に属するものと認められるものということはできない。
2  結論
そうすると,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求はいずれも理由がないから,棄却することとする。
(裁判官 浅岡千香子)

 

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