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「営業会社 成功報酬」に関する裁判例(19)平成30年 5月29日 東京地裁 平26(ワ)18405号 損害賠償等請求事件

「営業会社 成功報酬」に関する裁判例(19)平成30年 5月29日 東京地裁 平26(ワ)18405号 損害賠償等請求事件

裁判年月日  平成30年 5月29日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平26(ワ)18405号
事件名  損害賠償等請求事件
文献番号  2018WLJPCA05298014

裁判年月日  平成30年 5月29日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平26(ワ)18405号
事件名  損害賠償等請求事件
文献番号  2018WLJPCA05298014

千葉県大網白里市〈以下省略〉
原告 X
同訴訟代理人弁護士 吉村健一郎
松本佐弥香
東京都港区〈以下省略〉
被告 合同会社Y1
同代表者代表社員 Y2
東京都江東区〈以下省略〉
被告 Y2
神奈川県平塚市〈以下省略〉
被告 Y3
東京都品川区〈以下省略〉
被告 Y4
上記4名訴訟代理人弁護士 瀬戸祐典

 

 

主文

1  原告の被告合同会社Y1に対する主位的請求及びその余の被告らに対する請求をいずれも棄却する。
2  被告合同会社Y1は,原告に対し,1520万円及びこれに対する平成26年1月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3  訴訟費用のうち,原告に生じた分及び被告合同会社Y1に生じた分は被告合同会社Y1の負担とし,被告Y2,被告Y3及び被告Y4に生じた部分は原告の負担とする。
4  この判決は,原告勝訴部分に限り,仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
1  被告合同会社Y1に対する請求
(1)  主位的請求
被告合同会社Y1は,原告に対し,被告Y2,被告Y3及び被告Y4と連帯して,1962万9255円及びうち1760万円に対する平成30年3月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2)  予備的請求
主文第2項と同旨
2  被告Y2に対する請求
被告Y2は,原告に対し,被告合同会社Y1,被告Y3及び被告Y4と連帯して,1962万9255円及びうち1760万円に対する平成30年3月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3  被告Y3に対する請求
被告Y3は,原告に対し,被告合同会社Y1,被告Y2及び被告Y4と連帯して,1962万9255円及びうち1760万円に対する平成30年3月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4  被告Y4に対する請求
被告Y4は,原告に対し,被告合同会社Y1,被告Y2及び被告Y3と連帯して,1962万9255円及びうち1760万円に対する平成30年3月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
本件は,被告合同会社Y1の従業員であった被告Y4が,原告に対し,出資金を被告合同会社Y1からa株式会社の事業に対する投資に拠出するとの虚偽の説明をし,また,利益のみを強調してリスクの説明をせず,さらに,原告の当時の年齢(86歳)から1600万円の出資には適合性がないにもかかわらず,被告合同会社Y1への出資を勧誘し,これにより原告が被告合同会社Y1との間で匿名組合契約を結び出資金合計1600万円を支払ったとして,これが被告Y4の原告に対する詐欺(虚偽の説明),説明義務違反(リスクの説明をせず)あるいは適合性原則違反の不法行為に当たるとして,被告Y4に対し,民法709条所定の損害賠償請求権に基づき,出資金1600万円及び弁護士費用相当額160万円の合計1760万円及びこれに対する最終の出資の日である平成24年7月14日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金のうち,本件の分離前共同被告らとの訴訟上の和解に基づき原告に支払われた解決金の弁済額を控除した残額(その充当計算は別紙計算書のとおりであり,弁済額は全て既発生の遅延損害金に充当された。)である1962万9255円及びうち1760万円に対する平成30年3月31日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の他の被告らとの連帯支払を求め,被告Y2に対し,上記の虚偽の説明に係る詐欺的投資スキームを運営し,被告Y4に対し原告に対する上記の虚偽の説明をさせたとして,民法709条所定の損害賠償請求権に基づき,または,被告合同会社Y1の業務を執行する有限責任社員として,会社法597条所定の損害賠償請求権に基づき,同額の他の被告らとの連帯支払を求め,被告Y3に対し,被告合同会社Y1の業務を執行する有限責任社員として,会社法597条所定の損害賠償請求権に基づき,同額の他の被告らとの連帯支払を求め,被告合同会社Y1に対し,主位的に,上記の虚偽の説明に係る詐欺的投資スキームを担っていたとして,民法709条所定の損害賠償請求権に基づき,または,被用者である被告Y4の不法行為について,民法715条所定の損害賠償請求権に基づき,あるいは,代表社員である被告Y2の不法行為について,会社法600条所定の損害賠償請求権に基づき,同額の他の被告らとの連帯支払を求め,予備的に,上記の投資に係る匿名組合契約を解約したとして,出資金1600万円から約定の解約手数料80万円(5パーセント相当額)を控除した残額1520万円及びこれに対する解約の日(平成25年10月10日)から約定の3か月が経過した平成26年1月11日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めている事案である。
被告Y2,被告Y4及び被告Y3は,いずれも,原告の請求を争っている。
被告合同会社Y1は,原告の請求のうち,主位的請求を争っているが,予備的請求を争わない旨を陳述し,予備的請求に係る請求原因事実を自白した。
(以下,被告合同会社Y1を「被告Y1社」と,被告Y2を「被告Y2」と,被告Y3を「被告Y3」と,被告Y4を「被告Y4」と,a株式会社を「a社」という。)
1  前提事実
(1)  被告Y1社は,平成21年6月18日に設立された投資事業組合の組成及び運用等を目的とする合同会社である。(甲第1号証)
(2)  a社は,平成10年7月30日に設立されたキャラクター商品のデザインの企画,制作及び商品化に関する業務や音楽,演芸その他の興行等を目的とする株式会社であり,被告Y2の長男であるA(以下「A」という。)は,平成23年8月20日にa社の取締役及び代表取締役に就任した。(甲第3号証,第4号証の4,5,第12号証)
(3)  被告Y2は,平成11年2月3日にa社の取締役及び代表取締役に就任し,同年5月31日にa社の取締役及び代表取締役を退任し,平成21年10月20日にa社の取締役及び代表取締役に就任し,平成23年8月20日にa社の取締役および代表取締役を辞任し,また,平成22年2月12日に被告Y1社に業務執行社員として加入し,同日に被告Y1社の代表社員に就任した。(甲第1号証,第4号証の1ないし4)
(4)  被告Y3は,平成22年1月12日に被告Y1社に業務執行社員として加入し,平成25年4月25日に被告Y1社の業務執行社員から退社した。(甲第1,第2号証)
(5)  平成23年11月8日,原告は,被告Y4の勧誘(以下「本件勧誘」という。)を受けて,被告Y1社の間で,次のとおり,被告Y1社が出資者からの出資金をa社に投資し,a社の事業から生じた利益を出資者に配当する旨の匿名組合契約(以下「本件出資契約」という。)を結んだ。(甲第7号証,乙第3号証)(原告と被告Y1社との間においては争いがない。)
ア 匿名組合契約の名称
○○ファンド3号
イ 出資額
1口100万円
ウ 契約期間
契約締結の日から3年間
エ 解約
1年未満の解約は原則不可。
1年経過以降の解約は5パーセントの解約手数料が必要。
(6)  原告は,被告Y1社に対し,本件出資契約に基づく出資として,次のとおり合計1600万円を支払った(以下これらの各支払を「本件出資」という)。(甲第6号証の1ないし11,乙第1号証,第7号証の5ないし11)(原告と被告Y1社との間においては争いがない。)
ア 平成23年11月8日 100万円(甲第6号証の1)
イ 平成23年11月16日 100万円(甲第6号証の2)
ウ 平成24年1月31日 100万円(甲第6号証の3)
エ 平成24年4月3日 100万円(甲第6号証の4)
オ 平成24年4月5日 100万円(甲第6号証の5)
カ 平成24年4月21日 100万円(甲第6号証の6)
キ 平成24年5月15日 100万円(甲第6号証の7)
ク 平成24年5月28日 400万円(甲第6号証の8)
ケ 平成24年6月5日 100万円(甲第6号証の9)
コ 平成24年7月5日 100万円(甲第6号証の10)
サ 平成24年7月14日 300万円(甲第6号証の11)
(7)  被告Y1社は,原告に対し,平成23年7月25日から平成25年10月21日までの間,本件出資契約を含む出資契約の配当として,合計175万9500円を支払った(以下これらの各支払を「本件配当」という。)。(乙第1号証,第8号証の5ないし11及び13)
(8)  平成25年10月10日,原告は,被告Y1社に対し,本件出資契約を解約する旨及び本件出資に係る出資金の返還を求める旨を内容証明郵便(甲第8号証の1,2)で通知した(以下この通知に係る解約を「本件解約」という。)。(原告と被告Y1社との間においては争いがない。)
2  争点
(1)  被告Y4は,原告に対し,本件勧誘において,本件出資契約に係る出資金を被告Y1社からa社の事業に対する投資に拠出するとの虚偽の説明をしたか
ア 原告の主張
被告Y4は,原告に対し,本件勧誘において,出資金を被告Y1社からa社の事業に対する投資に拠出するとの虚偽の説明をした。
本件出資契約に基づく出資金は,a社の事業に投資されていなかったのであり,本件出資契約は虚偽の説明に基づく詐欺的投資である。
イ 被告らの主張
前記アの原告の主張は否認する。
被告Y1社は,本件出資金をa社の事業に投資していたのであって,被告Y4の説明は虚偽ではなかった。
(2)  被告Y4は,原告に対し,本件勧誘において,出資すれば配当金を受け取るとともに満期の3年後には元本も償還されると説明し,本件出資契約における利益のみを強調してリスクを説明しなかったか(説明義務違反があるか)
ア 原告の主張
被告Y4は,原告に対し,本件勧誘において,本件出資契約における利益のみを強調してリスクを説明しなかったのであって,被告Y4の原告に対する説明義務違反が認められる。
原告は,本件配当を継続的に受け取り,また,本件出資の一部を別の出資の償還金として返還を受け,それをそのまま出資に回していたことから,収益を確定させる機会がないまま,元本が確保された安全で確実な投資取引であると誤信させられ,リスクを理解する機会を与えられていなかった。
イ 被告らの主張
前記アの原告の主張は否認し又は争う。
被告Y4は,原告に対し,本件勧誘において,本件出資契約について記載されたパンフレットや金融商品取引法所定の契約締結前交付書面などに基づいて,元本は保証されない等のリスクの説明をし,原告にこれらの文書等を読んでもらったのであって,原告は,後記(3)イのとおり,投資の経験が豊富でその知識,認識能力,判断能力が優れていることを考え併せると,被告Y4の原告に対する説明義務違反は認められない。
(3)  本件勧誘は,いわゆる適合性の原則から著しく逸脱したものとして違法となるか
ア 原告の主張
本件出資契約当時,原告は86歳という高齢であり,本件出資に係る1600万円は,原告にとって大切な老後の資金であったことから考えて,本件勧誘は,適合性の原則から著しく逸脱したものとして違法となる。
イ 被告らの主張
前記アの原告の主張は否認し又は争う。
原告は,平成18年ころから被告Y4の勧誘を受けて本件出資契約と同様の出資に係る取引をしていたのであって,また,それ以前にも証券会社との間で株式の取引をして相当程度の損失を計上していたことから,投資の経験が豊富でその知識,認識能力,判断能力は優れているといえるのであって,原告が高齢であるからといって本件勧誘が適合性の原則から著しく逸脱したものとして違法になるということはできない。
(4)  本件配当と損害額
ア 被告らの主張
原告が被った損害の額は,本件出資に係る1600万円から本件配当に係る175万9500円を控除した額であると解すべきである。
イ 原告の主張
前記アの被告の主張は否認し又は争う。
本件配当は,前記(1)アのとおり詐欺的投資である本件出資契約において欺罔の手段として支払われたものであって,不法原因給付(民法708条)に当たるから,原告の損害の額において本件出資に係る1600万円から本件配当に係る175万9500円を控除することはできない。
なお,本件配当のうち,62万4800円の配当は,本件出資契約に基づくものではなく,先行する別の匿名組合契約(△△ファンド3号)に基づくものであった。
第3  当裁判所の判断
1  争点(1)について
(1)  証拠(甲第1ないし第3号証,第4号証の1ないし5,第5号証,第6号証の1ないし11,第7号証,第8号証の1,2,第9号証,第10号証の1,2,第11ないし第21号証,第22号証の1ないし4,第23ないし第30号証,第31号証の1ないし3,第32ないし第34号証,第35号証の1,2,第36ないし第41号証,第42号証の1,2,第43ないし第46号証,第47号証の1,2,第48号証,第49号証の1,2,第50号証の1ないし4,第51号証の1,2,第52号証の1,2,第53号証,第54号証の1ないし3,乙第1ないし第6号証,第7号証の1ないし11,第8号証の1ないし13,第9号証,第10号証の1ないし3,第11ないし第20号証,丙第1号証の1ないし3,第2号証の1ないし3,第3号証の1ないし3,第4号証の1ないし3,第5号証の1ないし3,第6ないし第13号証,第14号証の1,2,第15ないし第22号証,第23号証の1ないし3,第24,第25号証,被告本人兼被告代表者Y2尋問の結果及び被告本人Y4尋問の結果)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
ア 平成10年7月27日,Bと日本のb事業協同組合が共同してa社を設立し,B関連の日本国内外のテーマパークや大型トイショップに関するビジネスを展開することとなり,同日,Bは,東京都内で記者会見し,日本の企業とのパートナーシップによるビジネスの展開についての計画を発表した(丙第11,第12号証)。
イ 平成11年2月3日,被告Y2は,a社の取締役及び代表取締役に就任し(甲第4号証の1),B側と接触して関連事業を進めていた。
ウ 平成20年6月16日,関東経済産業局長は,b事業協同組合に対し,中小企業団体の組織に関する法律に基づき,解散を命令し,被告Y2が代表清算人に就任した。(甲第39号証)
エ 平成20年9月12日,ソフトウェアの企画,開発,制作等を目的とする株式会社c(以下「c社」という。)が設立され,平成21年3月19日,Aがその取締役に就任し,平成26年8月11日,被告Y2がその取締役及び代表取締役に就任した(丙第21号証)。
オ 平成20年11月18日,不動産賃貸管理等及び経営コンサルタント業務等を目的とするd株式会社(以下「d社」という。)が設立され,Aは,d社の取締役兼代表取締役を務め,被告Y3は,平成25年4月30日にd社の取締役に就任し,被告Y2は,d社の監査役に就任していたが,平成26年5月8日に監査役を辞任した(甲第14号証,第36,第37号証)。d社は,a社の取引先として,物品販売に従事していた。
カ 平成21年4月28日,c社は,本店の住所を後記コの被告Y1社本店住所に移転した(丙第21号証)。
キ 平成21年6月18日,被告Y1社が設立され,その本店の住所は東京都中野区〈以下省略〉であった(甲第1,第2号証)。被告Y1社(被告Y2)は,外国為替海外取引である△△ファンドの勧誘,販売を,株式会社e(以下「e社」という。)の経営者であるC(以下「C」という。)に委ねた(乙第19号証)。
ク 平成21年7月20日,d社は,本店の住所を後記コの被告Y1社本店住所に移転した(甲第14号証)。
ケ 平成21年8月25日,第二種金融商品取引業等を目的とするf株式会社(以下「f社」という。)(設立時の商号はf1株式会社であり,平成22年7月26日に商号が変更された。)が設立され,その本店の住所は後記コの被告Y1社本店住所であり,被告Y2及び被告Y3はその取締役であったところ,平成24年5月31日,キャラクター商品のデザインの企画,開発,制作等がその目的に追加されるとともに,被告Y2が代表取締役に就任した(丙第20号証)。f社は,a社の取引先として,香港におけるB関連の事業を担っていた。
コ 平成22年2月12日,被告Y2は,被告Y1社の業務執行社員及び代表社員に就任し,翌13日,被告Y1社は,本店の住所を東京都港区〈以下省略〉(以下「被告Y1社本店住所」という。)に移転した(甲第1,第2号証)。
サ 平成22年2月25日,被告Y1社は,○○ファンドの勧誘,販売に備えて,関東財務局長に対し,金融商品取引法所定の適格機関投資家等特例業務に係る届出をし,新たに株式会社gを設立したCに対し,その依頼を受けて,被告Y1社が販売する○○ファンド1号の勧誘,販売を委ねたところ,Cが被告Y1社に○○ファンド1号の出資者からの出資金を送金しなかったことから,被告Y2は,Cに対し,○○ファンドの勧誘,販売を止めさせた(甲第26号証,第30号証,第31号証の1ないし3)。
シ 平成22年3月11日,被告Y1社は,株式会社三菱東京UFJ銀行深川支店のa社名義の普通預金口座に1000万円を入金した(丙第5号証の3)。
ス 平成22年8月1日,a社は,本店の住所を被告Y1社本店住所に移転した(甲第4号証の4,5)。
セ 平成23年3月3日,キャラクター商品のデザインに関する企画,制作,販売等を目的とするh株式会社(以下「h社」という。)が設立され,その本店の住所は被告Y1社本店住所であり,Aがその取締役に,被告Y2がその監査役に就任し,平成24年3月8日,Aがその代表取締役に就任した(丙第22号証)。h社は,a社の取引先として,B関連の物品販売に従事していた。
ソ 平成23年,e社の従業員であった被告Y4は,原告に対し,被告Y1社の事業(外貨への投資)に出資し配当を受ける旨の1年満期の匿名組合契約(△△ファンド3号)の勧誘をし,その際,契約概要を記載した金融商品取引法所定の契約締結前交付書面を原告に交付し,また,「元本確保型」「1年満期」「3か月毎に安定した分配金」「1年満期までに年4回分配」「1年未満解約は元本割れが生じる」「元本保証はできないが満期時等に元本を確保する仕組みを作っている」などと不動文字で記載した販売の窓口であるe社が作成した△△ファンド3号のパンフレットを原告に交付して,これらの文書等の内容を原告に説明した(甲第22ないし第24号証,乙第15号証)。
これを受けて,同年4月5日,原告は,被告Y1社との間で,上記の匿名組合契約(△△ファンド3号)(以下「本件先行出資契約」という。)を結び,原告は,被告Y1社に対し,本件先行出資契約に基づく出資として,平成23年4月5日から平成24年7月14日までの間,次のとおり合計900万円を支払った(乙第1号証)。原告は,本件先行出資契約を結ぶ際に,「本申請書裏面の契約内容などを熟読し,了承いたしました。よって自己の責任において契約登録申請をします。」と記載された契約登録申請書(乙第2号証)に署名し,これを被告Y4に交付した。
(ア) 平成23年4月5日 100万円(乙第7号証の1)
番号 1011
償還日 平成24年4月5日
(イ) 平成23年4月21日 100万円(乙第7号証の2)
番号 1017
償還日 平成24年4月21日
(ウ) 平成23年5月26日 400万円(乙第7号証の3)
番号 1030
償還日 平成24年5月26日
(エ) 平成23年7月14日 300万円(乙第7号証の4)
番号 1054
償還日 平成24年7月14日
タ 被告Y1社は,原告に対し,平成23年4月5日,同月21日,同年5月26日,同年7月14日及び平成24年7月5日,本件先行出資契約に基づく運用報告書(乙第8号証の1ないし4及び12)を送付するとともに,平成23年7月25日から平成24年7月27日までの間,本件先行出資契約に基づく配当として,次のとおり合計62万4800円を支払った(これが本件配当の一部に当たる。)(乙第1号証)。
(ア) 平成23年7月25日
2万4440円(番号1011 利率3.05パーセント)
2万4440円(番号1017 利率3.05パーセント)
(イ) 平成23年8月25日
9万7600円(番号1030 利率3.05パーセント)
(ウ) 平成23年10月27日
2万0400円(番号1011 利率2.55パーセント)
2万0400円(番号1017 利率2.55パーセント)
7万3200円(番号1054 利率3.05パーセント)
(エ) 平成23年11月28日
8万1600円(番号1030 利率2.55パーセント)
(オ) 平成24年1月27日
1万6400円(番号1011 利率2.05パーセント)
1万6400円(番号1017 利率2.05パーセント)
6万1200円(番号1054 利率2.55パーセント)
(カ) 平成24年2月27日
6万5600円(番号1030 利率2.05パーセント)
(キ) 平成24年4月27日
1万円(番号1011 利率1.25パーセント)
1万円(番号1017 利率1.25パーセント)
4万4400円(番号1054 利率1.85パーセント)
(ク) 平成24年5月28日
3万3600円(番号1030 利率1.05パーセント)
(ケ) 平成24年7月27日
2万5200円(番号1054 利率1.05パーセント)
チ 被告Y4は,平成23年3月24日,e社を退職し(甲第23号証,第25号証),被告Y1社からの委託を受けてその勧誘等の業務を担い,平成24年6月,被告Y1社に雇用された(甲第23号証,第25号証)。
ツ 平成23年8月20日,被告Y1社とa社は,次の約定の投資契約(乙第9号証,丙第6号証)を結んだ。
(ア) 第1条(目的)
被告Y1社はa社の長期の利殖を目的とする投資を継続して行い,事業運営の円滑な推進を支援する。
a社は事業純利益の一定の割合を被告Y1社に配当し投資金額以上の利益を被告Y1社にもたらすよう努力する。
(イ) 第2条(期間)
平成23年8月20日から平成28年6月30日まで(事業運営の状況により,協議のうえ,書面による合意をした場合は延長が可能)とする。
(ウ) 第3条(利益)
a 被告Y1社は,原則,a社の事業年度を起算してa社の営業利益に対して,3パーセントから10パーセントの利益を期待する。
b a社の判断により,事業年度を起点とせずとも事業利益の有無に関わらず,財務会計における特別分配(元本からの分配)の概念で被告Y1社に支払をすることができるものとする。
(エ) 第4条(報告)
a社の事業年度による財務会計決算書により,被告Y1社への報告を実施するものとする。
(オ) 第5条,第6条(略)
テ 平成23年8月20日,被告Y2は,a社の取締役及び代表取締役を辞任し,Aは,a社の取締役及び代表取締役に就任した(甲第4号証の4,5)。
ト 平成23年8月22日,a社は,本店の住所を被告Y1社本店住所から横浜市青葉区に移転し,さらに,平成23年9月1日,a社は,本店の住所を被告Y1社本店住所に移転した(甲第3号証,第4号証の5)。
ナ 平成23年11月頃,被告Y4は,原告に対し,被告Y1社の従業員であり被告Y1社の提携会社がa社である旨の記載のある自分の名刺(甲第5号証)を交付し,また,○○ファンド3号の募集案内(乙第11号証)を交付して,本件出資契約を勧誘したところ(これが本件勧誘に当たる。),当該募集案内には,次のとおりの記載があった。
(ア) ご案内
「□□グループの合同会社Y1はa社との業務提携により,今回○○ファンドをスタートさせました。今回の企画は,短期回収型投資と長期大型事業による長期回収型投資をリンクさせた安定投資であるとともに,ハイリターンの可能性も大きな画期的投資企画となりました。」
「□□グループは,日本国内海外に拠点,ライセンスを持ち,金融・情報・企画については,業界の中でも最先端を走る企業と言われており,安全安心のスローガンも,広く定着しております。特にFX(トレーダーシステム,ソストウェアシステム開発)においては,老舗であること,業界の認知も高く,多くのお客様から信頼されております。」
「今回の投資対象となる,a社は,急成長するとともに,大型企業となりうる有望企業として,□□グループが認定し,提携となりました。a社においては,現在,日本・中国・韓国・台湾・香港等,各国との業務提携及び各種映像,グッズ等の制作製造予定とともに,既商品の売上も順位に推移している企業であります。」
「この様に,今日の提案は確実,安全,安心の商品であり,皆様方にお喜びいただけると確認しております。」
(イ) 募集要項
商品名 ○○ファンド3号
募集単位 1口100万円,1口以上
募集総額 5億円
募集期間 平成23年7月1日から平成24年6月末
契約期間 3年間
配当目標 最低5.0パーセント,年率20パーセント以上を目標
(ウ) a社の沿革
平成20年7月27日設立
B氏自らが記者発表をし,設立された日本法人
(エ) a社とのコラボレーション
アニメーション(短編映画,長編映画)
CD/DVD(日本人アーティストによる追悼アルバム,「イベント」を収録したライブビデオ)
グッズ展開(コラボレーション・グッズ)
ゲーム製作(モバイルゲーム等の製作),関連書籍の製作
また,被告Y4は,原告に対し,本件出資契約を勧誘する際に,本件出資に係る預かり証(甲第6号証の1ないし10)を入れる封筒(甲第15号証)に,「3年満期(元本確保)」「中途解約は元本割れ注意!」「手数料3%」「年4回の配当」などと手書きで記入し,その旨を原告に説明した上で,原告にこれを交付し,元本保証はいつ解約しても元本が戻るものであるが,今回の元本確保は中途解約や天変地異等の変動リスクがない限り満期時には極力元本を確保して返すようにするものである,と説明した。
さらに,被告Y4は,本件出資契約を結ぶに先立って,原告に対し,金融商品取引法所定の契約締結前交付書面(契約概要及び注意喚起情報)(乙第12号証)を交付したところ,当該書面には,次のような記載があった。
(ア) 冒頭部分
「投資に当たっては,本書面をよく読み,ファンドの特徴とリスクを充分理解した上でご検討ください。本契約は,匿名組合員が金銭を営業者の出資し営業者が行う事業から生じる利益を匿名組合委員に配当する事を内容とした契約です。利益の分配や財産を保証するものではありません。営業者が行う事業の状況によっては匿名組合員が出資した金額を下回る恐れがあります。」
(イ) 本匿名組合契約のリスク及び留意点(元本保証がないこと)
「本匿名組合契約においては,出資金の元本の返還は保証されていません。従って,本事業の収益が予想を下回った場合,出資者は出資金の元本の償還を受けられないリスクがあります。すなわち,匿名組合員への利益及び出資金の元本の支払原資は,本匿名組合契約に基づき営業者が行う事業により生じる収入から本事業の実施に伴い発生した費用・損失等を控除した残額であり,かかる費用・損失等には,本事業にかかわる債権者に対する債務の支払が含まれます。従って,予定通りの収入が得られなかった場合,又は予想以上に費用・損失等が膨らんだ場合には,匿名組合員への利益の分配のみならず出資金の元本の償還にまで支障を来すおそれがあります。」
(ウ) 匿名組合契約の内容
「・・・匿名組合員は,営業者に対し,残余財産の返還及び利益(もしあれば)の支払を請求できる権利を有しますが,事業の結果,損失が発生し,残余財産が減少している場合には,その残額のみしか返還されず,最悪の場合には,残余財産の返還が不能になる場合があります。このように,匿名組合契約においては匿名組合員の残余財産の返還が保証されているものではなく,匿名組合員は損失を蒙る可能性もあります。・・・」
(エ) 商品概要
a 利回り安定型運用 1口100万円(期間3年間)
b 配当目標 年5.0パーセント(1口)~10.5パーセント(50口以上)
c 配当支払は年4回(3か月毎)
d 中途解約については5パーセントの解約手数料及び事務手数料が必要となる。ただし,1年未満の契約が原則不可。それ以降は,3か月前までに文書で告知する必要がある。
これを受けて,平成23年11月8日,原告は,被告Y1社との間で,次の約定の匿名組合契約(○○ファンド3号)(甲第7号証,乙第5,第6号証)を結んだ(これが本件出資契約に当たる。)。原告は,本件出資契約を結ぶ際に,「私は,○○ファンド3号の契約締結前交付書面及び販売資料を自身でも熟読した上で,本匿名組合の営業者である合同会社Y1より,私の知識,経験,財産状況及び資産運用の目的に照らし合わせて取引の仕組みや内容,金融商品販売法上の重要事項(リスク等)の説明を受け,本匿名組合出資に関する内容及び投資リスクを充分に理解した上で,出資申込みをいたします。」などと不動文字で記載した出資申込書(乙第3号証)及び「私は,○○ファンド3号への出資に際して,金融商品取引法に基づく開示書類である契約締結前交付書面及び販売資料を受領し,自身でも熟読した上で,本匿名組合の営業者である合同会社Y1より,私の知識,経験,財産状況及び資産運用の目的に照らし合わせて取引の仕組みや内容,金融商品販売法上の重要事項(リスク等)の説明を受け,本匿名組合出資に関する内容及び投資リスクを充分に理解した上で,自身の責任と判断で投資を行います。」と不動文字で記載した出資確認書(乙第4号証)にそれぞれ署名押印し,被告Y4に交付した。
(ア) 第1条 匿名組合契約
組合員である原告は,営業者である被告Y1社がその判断により行う投資(本事業)のため,この契約に従って出資することを約し,営業者である被告Y1社は,本事業からの収入を,この契約に従って契約者に分配することを約した。なお,組合員と営業者の匿名組合契約を総称して○○ファンド3号という。
(イ) 第2条 出資
組合員の本事業に対する出資金額は,100万円からとする(1口100万円を1口以上とする)。
出資金は,営業者が本事業をスタートさせるための資金全般に充当されることとする。ただし,出資金額が著しく低い場合は,営業者は本事業を行わず,受領した金額を組合員に返還することができる(ただし,利息は付さない)。
(ウ) 第3条 営業者と契約者の関係
本契約に基づく営業者と組合員との関係は,商法(535条以下)に規定する匿名組合における営業者と組合員との関係であり,契約者は本事業に係る財産につき所有権を有さず,また,その営業及び意思決定に関与する権限を有しない。
(エ) 第4条 利益又は損失の負担
a 組合員は,払込出資金の残高合計に対する割合(出資割合)に応じて本事業から生じた利益の分配を受け,又は払込出資金額の範囲で損失を負担する。
b 全ての払込出資金総額は,本事業の遂行のために使用される。
c 組合員への配当はa社が行う事業の売上げに応じて,収支より出資金を除いた額の60パーセントをファンド総額(5億円)に対する支払配当総額として,出資金額に比例して配分する。
① 決済後,翌日に(支払日は入金日によって異なる)匿名組合員の指定口座に振り込む。
② 配当利回りを3か月(決済月)0パーセント~5パーセントとする。
(オ) 第5条 営業者の責任
a 営業者は,本契約に従い,善良なる管理者の注意義務をもって本事業を行うものとし,最善の努力を尽くす。
b 本事業への出資に基づき契約者が得る結果については,それがいかなるものであれ,営業者は何らの保証も行わない。
c 営業者は本事業の遂行に際し,必要に応じ弁護士,公認会計士,税理士その他の者を営業者の代理人又は履行補助者として利用することができる。
d 営業者は本事業の目的を遂行するために必要と判断する営業経費を使用することができる。
(カ) 第6条 諸手数料及び営業者の報酬
a 営業者は,本組合の維持管理等にかかる管理手数料として,出資金残高の3パーセント(年)を受領する。
b 営業者は本事業に必要と認められる妥当な諸経費を差し引いた利益から組合員への配当を差し引いた残りの利益を営業者の成功報酬として受領する。
(キ) 第7条 契約期間及び償還と解約
a 本契約締結の日から,3年間(最長で平成27年7月1日まで)継続するものとし,1年毎の自動更新とする。
b 契約より1年未満解約は,原則不可とし,それ以降の解約については,5パーセントの解約手数料及び事務手数料が必要となる。また,解約を希望する場合は3か月前までに,文書にてその旨を通知するものとする。
(ク) 第8条 会計報告
a 本事業の営業年度は,7月1日~6月30日とする。
b 営業者は,本事業の執行に関する全ての取引について明確かつ正確な会計帳簿その他会計に関する記録を作成し保管するものとする。
c 営業者は営業年度終了後3か月以内に,一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して,本事業に関する会計報告(貸借対照表及び損益計算書を含む)を作成し,組合員に送付するものとする。
(ケ) 第9条 本事業の終了及び清算
次の場合には本事業は終了する。
a 事業会社の事業の継続が不可能となった場合
b 営業者が破産し,又はこれと同様の状態に陥った場合
c その他本事業を継続することが著しく困難な事態が生じ,営業者が契約者に本事業の終了を通知した場合
d その他営業者が契約者につきやむを得ない事由があると判断した場合
e 営業者は,本事業の売却を相当と判断するときは,これを売却できるものとする。
(コ) 第10条から第13条まで (略)
ニ 原告は,被告Y1社に対し,平成23年11月8日から平成24年7月5日までの間,本件出資契約に基づく出資として,次のとおり合計1600万円を支払った(これが本件出資に当たる。)。
(ア) 平成23年11月8日 100万円(甲第6号証の1,乙第7号証の5)
番号 ●●1114
償還日 平成26年11月8日
(イ) 平成23年11月16日 100万円(甲第6号証の2,乙第7号証の6)
番号 ●●1118
償還日 平成26年11月16日
(ウ) 平成24年1月31日 100万円(甲第6号証の3)(乙第7号証の7)
番号 ●●1159
償還日 平成27年1月31日
(エ) 平成24年4月3日 100万円(甲第6号証の4)(乙第7号証の8)
番号 ●●1202
償還日 平成27年4月3日
(オ) 平成24年4月5日 100万円(甲第6号証の5)
本件先行出資契約の番号1011の償還金をそのまま出資に回した。
番号 ▲▲1011
償還日 平成27年4月5日
(カ) 平成24年4月21日 100万円(甲第6号証の6)
本件先行出資契約の番号1017の償還金をそのまま出資に回した。
番号 ▲▲1017
償還日 平成27年4月21日
(キ) 平成24年5月15日 100万円(甲第6号証の7)(乙第7号証の9)
番号 ●●1220
償還日 平成27年5月15日
(ク) 平成24年5月28日 400万円(甲第6号証の8)
本件先行出資契約の番号1030の償還金をそのまま出資に回した。
番号 ▲▲1030
償還日 平成27年5月28日
(ケ) 平成24年6月5日 100万円(甲第6号証の9)(乙第7号証の10)
番号 ●●1225
償還日 平成27年6月5日
(コ) 平成24年7月5日 100万円(甲第6号証の10)(乙第7号証の11)
番号 ●●1241
償還日 平成27年7月5日
(サ) 平成24年7月14日 300万円(甲第6号証の11)
本件先行出資契約の番号1054の償還金をそのまま出資に回した。
番号 ▲▲1054
償還日 平成27年7月14日
ヌ 被告Y1社は,原告に対し,平成23年11月8日,同月16日,平成24年1月31日,同年4月3日,同年5月15日,同年6月5日,同年7月5日及び同年12月26日,本件出資契約に基づく運用報告書(甲第11号証,乙第8号証の5ないし10及び12,13)を送付するとともに,平成24年2月20日から平成25年10月21日までの間,本件出資契約に基づく配当として,次のとおり合計113万4700円を支払った(これが本件配当の残額部分に当たる。)。
(ア) 平成24年2月20日
6700円(番号●●1114 利率3.35パーセント)
2万6800円(番号●●1118 利率3.35パーセント)
(イ) 平成24年4月20日
2万6800円(番号●●1159 利率3.35パーセント)
(ウ) 平成24年5月21日
2万0400円(番号●●1114 利率2.55パーセント)
2万0400円(番号●●1118 利率2.55パーセント)
(エ) 平成24年7月20日
1万9600円(番号●●1159 利率2.45パーセント)
2万6800円(番号●●1202 利率3.35パーセント)
1万6400円(番号▲▲1011 利率2.05パーセント)
1万6400円(番号▲▲1017 利率2.05パーセント)
(オ) 平成24年8月20日
1万6400円(番号●●1114 利率2.05パーセント)
1万6400円(番号●●1118 利率2.05パーセント)
2万6800円(番号●●1220 利率3.35パーセント)
6万8800円(番号▲▲1030 利率2.15パーセント)
(カ) 平成24年9月20日
2万6800円(番号▲▲1225 利率3.35パーセント)
(キ) 平成24年10月22日
1万4800円(番号●●1159 利率1.85パーセント)
1万8800円(番号●●1202 利率2.35パーセント)
2万6800円(番号●●1241 利率3.35パーセント)
1万4800円(番号▲▲1011 利率1.85パーセント)
1万4800円(番号▲▲1017 利率1.85パーセント)
4万9200円(番号▲▲1054 利率2.05パーセント)
(ク) 平成24年11月20日
8400円(番号●●1114 利率1.05パーセント)
8400円(番号●●1118 利率1.05パーセント)
1万8000円(番号●●1220 利率2.25パーセント)
5万2800円(番号▲▲1030 利率1.65パーセント)
(ケ) 平成24年12月20日
1万7200円(番号●●1225 利率2.15パーセント)
(コ) 平成25年1月21日
8400円(番号●●1159 利率1.05パーセント)
1万4800円(番号●●1202 利率1.85パーセント)
1万8000円(番号●●1241 利率2.25パーセント)
1万4800円(番号▲▲1011 利率1.85パーセント)
1万4800円(番号▲▲1017 利率1.85パーセント)
4万4400円(番号▲▲1054 利率1.85パーセント)
(サ) 平成25年2月20日
1万4800円(番号●●1114 利率1.85パーセント)
1万4800円(番号●●1118 利率1.85パーセント)
1万4000円(番号●●1220 利率1.75パーセント)
4万3200円(番号▲▲1030 利率1.35パーセント)
(シ) 平成25年3月21日
1万3200円(番号●●1225 利率1.65パーセント)
(ス) 平成25年4月22日
1万円(番号●●1159 利率1.25パーセント)
3600円(番号●●1202 利率0.45パーセント)
8400円(番号●●1241 利率1.05パーセント)
3600円(番号▲▲1011 利率0.45パーセント)
3600円(番号▲▲1017 利率0.45パーセント)
1万8000円(番号▲▲1054 利率0.75パーセント)
(セ) 平成25年5月20日
1万円(番号●●1114 利率1.25パーセント)
1万円(番号●●1118 利率1.25パーセント)
6000円(番号●●1220 利率0.75パーセント)
2万4000円(番号▲▲1030 利率0.75パーセント)
(ソ) 平成25年6月20日
8400円(番号●●1225 利率1.05パーセント)
(タ) 平成25年7月22日
1万円(番号●●1159 利率1.25パーセント)
1万0800円(番号●●1202 利率1.35パーセント)
5200円(番号●●1241 利率0.65パーセント)
1万0800円(番号▲▲1011 利率1.35パーセント)
1万0800円(番号▲▲1017 利率1.35パーセント)
1万5600円(番号▲▲1054 利率0.65パーセント)
(チ) 平成25年8月20日
1万円(番号●●1114 利率1.25パーセント)
1万円(番号●●1118 利率1.25パーセント)
1万0800円(番号●●1220 利率1.35パーセント)
4万3200円(番号▲▲1030 利率1.35パーセント)
(ツ) 平成25年9月20日
1万4000円(番号●●1225 利率1.75パーセント)
(テ) 平成25年10月21日
1万0800円(番号●●1159 利率1.35パーセント)
1万0800円(番号●●1202 利率1.35パーセント)
1万円(番号●●1241 利率1.25パーセント)
1万0800円(番号▲▲1011 利率1.35パーセント)
1万0800円(番号▲▲1017 利率1.35パーセント)
3万円(番号▲▲1054 利率1.25パーセント)
ネ 平成24年1月12日から同年7月10日までの間,被告Y1社は,次のとおり,株式会社みずほ銀行の神田支店のa社名義の普通預金口座に合計6670万円を入金した(丙第5号証の2)。
(ア) 平成24年1月12日 200万円
(イ) 同月16日 200万円
(ウ) 同月17日 200万円
(エ) 同月19日 200万円
(オ) 同月20日 300万円
(カ) 同月24日 200万円
(キ) 同年2月1日 300万円
(ク) 同月6日 250万円
(ケ) 同月20日 300万円
(コ) 同月21日 300万円
(サ) 同月27日 200万円
(シ) 同月28日 200万円
(ス) 同月29日 200万円
(セ) 同年3月14日 200万円
(ソ) 同月15日 200万円
(タ) 同日 300万円
(チ) 同月21日 200万円
(ツ) 同月22日 200万円
(テ) 同月27日 200万円
(ト) 同年4月13日 200万円
(ナ) 同月26日 220万円
(ニ) 同年5月1日 200万円
(ヌ) 同月14日 200万円
(ネ) 同月18日 200万円
(ノ) 同年6月19日 500万円
(ハ) 同月26日 500万円
(ヒ) 同年7月9日 100万円
(フ) 同月10日 200万円
ノ 平成24年8月9日から同年同月11日までの間,被告Y1社は,次のとおり,株式会社ゆうちょ銀行のa社名義の通常貯金金口座に合計2100万円を入金した(丙第5号証の1)。
(ア) 平成24年8月9日 400万円
(イ) 同月10日 900万円
(ウ) 同月11日 800万円
ハ 被告Y1社の平成23年6月1日から平成24年5月31日まで(第3期)の決算報告書(乙第10号証の1)には,次の記載がある。なお,後記ウ’の記入商品取引法違反の被疑事件の捜査を契機として,平成26年11月までの間,被告Y1社銀行取引口座が閉鎖されたため,被告Y1社の第4期(平成24年6月1日から平成25年5月31日まで)の決算報告書(乙第10号証の2)及び第5期(平成25年6月1日から平成26年5月31日まで)の決算報告書(乙第10号証の3)の記載は,被告Y1社の実際の経理を反映しないものとなっている。
(ア) 貸借対照表(平成24年5月31日現在)・資産の部
流動資産のみ5606万9520円
(内訳)現金及び預金15万6167円
短期貸付金5450万円
(内訳)d社に対する貸付金80万円
a社に対する貸付金5370万円
未収入金(売掛金)117万1750円
(内訳)d社に対する未収入金1万7200円
a社に対する未収入金115万4550円
預け金23万1603円
(イ) 貸借対照表(平成24年5月31日現在)・負債の部・流動負債
5562万8300円
(内訳)短期借入金5555万8300円(被告Y2からの借入)
未払法人税等7万円
(ウ) 損益計算書(平成23年6月1日から平成24年5月31日まで)
a 売上総利益0円
b 販売費及び一般管理費(営業損失)△127万3500円
(内訳)支払手数料1万0500円
地代家賃120万円(d社に支払う家賃)
支払報酬料6万3000円
c 営業外収益117万1837円
(内訳)受取利息87円
雑収入117万1750円
d 営業外費用(為替差損)△19万1430円
ヒ a社の平成23年7月1日から平成24年6月30日まで(第14期)の決算報告書(丙第2号証の1,第3号証の1,第4号証の1,第7号証)には,次の記載がある。
(ア) 貸借対照表(平成24年6月30日)・資産の部
a 未収入金(売掛金)144万7487円
(内訳)i社に対する売掛金4万5250円
d社に対する未収入金118万9487円
f社に対する未収入金25万8000円
b 前渡金(仮払金)5070万0050円
(内訳)j株式会社(権利金頭金)5000万円
D弁護士(弁護士費用)43万5450円
k社(ホームページ用)26万4600円
c 短期貸付金6732万5000円
(内訳)d社に対する貸付金5532万5000円
f社に対する貸付金1200万円
d 関係会社株式(固定資産)125万円
h社の株式25株(平成23年3月3日出資)
(イ) 貸借対照表(平成24年6月30日)・負債の部
a 短期借入金7812万0294円
(内訳)被告Y2からの借入金739万0294円
Aからの借入金703万円
被告Y1社からの借入金6370万円
b 未払金(買掛金)(被告Y1社)115万4550円(支払利息)
(ウ) 損益計算書(平成23年7月1日から平成24年6月30日まで)
a 売上高(売上総利益)35万1323円
b 販売費及び一般管理費△839万0413円
(内訳)外注費472万5000円
荷造運賃1万7318円
広告宣伝費16万2750円
旅費交通費18万2000円
支払手数料3万0345円
地代家賃135万円(d社に支払う家賃)
支払報酬料192万3000円
c 営業外収益144万7559円
(内訳)受取利息72円
雑収入144万7487円
d 営業外費用(支払利息)△115万4550円
e 経常損失・税引前当期純損失△774万6081円
f 当期純損失△792万6081円
フ 平成23年7月1日から平成25年6月30日までの間,a社は,株式会社iに対する売掛金を合計129万8195円計上した(丙第1号証の1,2)。
ヘ 平成23年10月31日から平成26年6月30日までの間,a社は,d社に対する業務委託料,被告Y1社に対する業務委託料その他の外注費を合計7057万3668円計上した(丙第23号証の1ないし3)。
ホ 平成24年7月14日,株式会社l(以下「l社」という。)は,a社に対し,Bアニメーションプロローグ制作費合計1388万6250円を請求し(丙第13号証),a社は,l社に対し,同年同月24日に600万円を,同年9月10日に788万6250円の合計1388万6250円を支払った(丙第24号証)。
マ 平成24年7月30日,アニメーションの企画,制作等を目的とするm株式会社(以下「m社」という。)が設立され,その本店の住所は被告Y1社本店住所であり,被告Y2が代表取締役に就任し(丙第15号証),被告Y2は,m社の業務として,B関連のアニメーションの製作に従事していた。
ミ 平成24年12月16日,a社は,沖縄で開催されたダンスイベントの協賛スポンサーとなった(丙第16号証)。
ム 平成25年1月,被告Y1社は,○○ファンドが募集制限枠に達したこと,アニメーション事業が順調に進展し資金を着実に運用していること,被告Y1社のグループ会社であるc社で○○ファンドの新たな募集枠を設け販売する運びとなったことなどを記載した文書(甲第32号証)を原告を含む出資者らに送付した。
メ 平成25年2月1日,f社(代表取締役は被告Y2)は,第三者割当増資に係る募集株式(普通株式1000株まで,1株5万円,払込期日平成25年4月30日,増資5000万円)及び社債(2億5000万円)の募集をし,平成25年2月26日,原告は,被告Y4の勧誘を受けて,社債100万円を購入した(甲第33,第34号証,第35号証の1,2)。
モ 平成25年6月20日,c社は,本店の住所を被告Y1社本店住所から東京都港区〈以下省略〉に移転した(丙第21号証)。
ヤ 平成25年6月26日付けで,a社は,B遺産管理財団との打合せを重ね,日本におけるB肖像権利の管理,監督並びにその正常化と,新たなBの肖像イメージとメッセージのアニメーションでの展開について準備を重ねてきたこと,日本,中国及び米国での配信におけるアニメーション数話分が完成し,付随するマーチャンダイズ商品開発を進行させ,公開に向けて進展中であることなどを記載した文書(甲第17号証)を,原告を含む出資者らに送付した。
ユ a社の平成24年7月1日から平成25年6月30日まで(第15期)の決算報告書(丙第2号証の2,第3号証の2,第4号証の2,第8号証)には,次の記載がある。
(ア) 貸借対照表(平成25年6月30日)・資産の部
a 前渡金(仮払金)5043万5450円
(内訳)j株式会社(権利金頭金)5000万円
D弁護士(弁護士費用)43万5450円
b 短期貸付金1億1327万4198円
(内訳)d社に対する貸付金7471万8978円
f社に対する貸付金1870万円
h社に対する貸付金1370万円
m社に対する貸付金615万5220円
c 未収入金(売掛金)533万0369円
(内訳)d社に対する未収入金(利息)398万5432円
f社に対する未収入金(利息)91万8050円
h社に対する未収入金(利息)29万4550円
m社に対する未収入金(利息)13万2337円
d 関係会社株式(固定資産)825万円
(内訳)h社の株式25株125万円(平成23年3月3日出資)
m社の株式140株700万円(平成24年7月30日出資)
(イ) 貸借対照表(平成25年6月30日)・負債の部
a 短期借入金1億7009万9614円
(内訳)被告Y2からの借入金1739万0294円
Aからの借入金290万9320円
被告Y1社からの借入金6370万円
c社からの借入金500万円
b組合からの借入金7990万円
Eからの借入金120万円
b 未払金(買掛金)1878万6150円
(内訳)被告Y1社に対する未払金1867万8650円
c社に対する未払金10万7500円
(ウ) 損益計算書(平成24年7月1日から平成25年6月30日まで)
a 売上高(売上総利益)94万6872円
b 販売費及び一般管理費△4290万7398円
(内訳)外注費4046万7668円
広告宣伝費56万7920円
支払手数料1万9310円
地代家賃180万円(d社に支払う家賃)
支払報酬料5万2500円
c 営業外収益388万3281円
(内訳)受取利息399円
雑収入388万2882円
d 営業外費用(支払利息)△263万1600円
e 経常損失・税引前当期純損失△4070万8845円
f 当期純損失△4088万8845円
ヨ 平成25年6月30日,l社は,m社に対し,Bアニメーション制作費合計1784万0813円を請求し,平成25年8月30日から同年12月27日までの間,m社は,l社に対し,1900万円を支払った(丙第14号証の1)。
ラ 平成25年7月8日当時,a社は,B関連のデザインやロゴの入ったネックレス,ストラップやシャツなどを製造し販売していた(丙第17号証)。
リ 平成25年8月23日,l社は,m社に対し,Bアニメーション制作費合計1793万7413円を請求し,同年10月8日,l社は,m社に対し,再度同じ請求をし,平成24年12月26日から平成25年7月17日までの間,m社は,l社に対し,うち1757万3000円を支払った(丙第14号証の1)。
ル 平成25年7月1日から平成26年6月30日までの間,a社は,f社に対するロゴ使用料に係る売掛金及び株式会社nに対する売上げを合計1433万7037円計上した(丙第1号証の3)。
レ 平成25年9月20日,大磯警察署から,電話で,被告Y1社について金融商品取引法違反の嫌疑で捜査をしているので原告の話を聞きたい旨の連絡があり,原告は,被告Y1社との取引に不安を覚え,本件出資契約を解約することを決めた(甲第53号証)。
ロ 平成25年10月1日付けで,被告Y1社は,投資先であるa社において順調に事業が進捗し,中国での配信等の事業が決定し,インド,アジア各国との配信事業の展開も進んでいること,出資者からの3年計画の協力が具体的事業と共に見えてくることも必至の状況に近づいていることなどを記載した関係者宛ての文書(甲第18号証),a社が作成した会社案内(甲第19号証)及びパンフレット(甲第20号証)を同封して,出資者らに送付したところ,上記の会社案内には,a社がコンサート,商品,アニメーションなどでBの名称やイメージを使用する版権を取得していること,Bのアニメーションを日本国内及び米国(ハリウッド)で制作することを予定し,これに関連して大手メーカー等からアニメ製品の展開についてオファーを受けていることなどが記載され,上記のパンフレットには,「全世界独占でBの肖像・名前を使ったアニメ制作が出来るのは世界で私達だけです。」と記載されていた。
ワ 平成25年10月9日付けで,原告は,被告Y1社に対し,本件出資契約に基づく合計1600万円を解約する旨及び解約金を同月22日までに株式会社千葉銀行大網支店の原告名義の普通預金口座に振り込むよう依頼する旨の内容証明郵便(甲第8号証の1)を発送し,同月10日,同郵便は原告に到達した(甲第8号証の2)(これが本件解約に当たる。)。
ヲ 平成25年10月15日付けで,被告Y1社は,a社の事業については売上,利益予想計画は長期にわたる利益予想が見込まれ,3年計画の事業構築における現時点での進捗状況は,a社において,アニメーション制作やグッズ製作等に出資された資金を充てて,リターン利益の仕掛けを数多く行い,さらなる仕掛けをしているところであり,中国国内での配信等の事業が決定し,インド,アジア諸国との配信事業展開も推進していること,出資者においては未発表の内容も多く一連の詐欺的な事件もあり,満期まで継続することに不安を抱く方もいると思うが,利益を生み出す前の事業途中段階で撤退すると計画事業の性格からどうしても元本を下回ってしまうことなどを記載した文書(乙第13号証)を原告を含む出資者らに送付した。
ア’平成25年10月16日,被告Y4とAは,原告の自宅を訪問し,本件出資契約の継続を要請したが,原告は,被告Y4及びAに対し,解約の意思は強く継続を望まない,早急に解約手続を進めてほしいと言ったことから,被告Y1社は,本件解約に係る手続を進めることとした。
イ’平成25年10月23日,被告Y1社は,原告に対し,本件解約に伴う返還金は時価評価額に係る償還原資898万5900円から管理手数料(契約金の3パーセント)及び解約違約金(契約金の5パーセント)を控除した770万5900円になるとの事前通知書(甲第54号証の1,2,乙第14号証)を送付した。
ウ’平成26年1月29日,神奈川県警察及び富山県警察の合同捜査本部は,e社を経営していたC並びに被告Y1社の代表取締役であった被告Y2及び被告Y1社の従業員であるAを,e社において金融商品取引法所定の登録を受けないで本件先行出資契約に係る△△ファンド3号(金融商品)を意思を通じて勧誘したという同法違反の被疑事実で逮捕した(甲第9号証,第10号証の1,2)。
エ’原告訴訟代理人吉村健一郎弁護士と被告Y1社の代理人であったF弁護士は,被告Y1社から原告への弁済に関する合意の調整を進めていたが,前記ウ’のとおり被告Y2が逮捕されたことを受けて,平成26年1月30日付けで,F弁護士は,原告訴訟代理人吉村健一郎弁護士に対し,被告Y1社による弁済の履行が不可能になった旨及び自分は代理人を辞任する旨をファクシミリ(甲第9号証)で連絡した。
オ’平成26年4月30日の時点において,被告Y1社は,適格機関投資家等特例業務届出に係る関東財務局からの報告命令に応じていなかった(甲第13号証)。
カ’a社の平成25年7月1日から平成26年6月30日まで(第16期)の決算報告書(丙第2号証の3,第3号証の3,第4号証の3,第9号証)には,次の記載がある。
(ア) 貸借対照表(平成26年6月30日)・資本の部
a 売掛金1345万2800円
(内訳)f社に対する売掛金1205万2800円
◎◎カフェに対する売掛金140万円
b 前渡金(仮払金)5043万5450円
(内訳)j株式会社(権利金頭金)5000万円
D弁護士(弁護士費用)43万5450円
c 短期貸付金6469万3542円
(内訳)d社に対する貸付金3593万6042円
f社に対する貸付金1405万7500円
h社に対する貸付金1470万円
d 未収入金889万2000円
(内訳)d社に対する未収入金(利息)636万4514円
f社に対する未収入金(利息)162万2336円
h社に対する未収入金(利息)90万5150円
e 関係会社株式(固定資産)1425万円
(内訳)h社の株式25株125万円(平成23年3月3日出資)
m社の株式260株1300万円(平成25年9月11日増資・120株600万円)
(イ) 貸借対照表(平成26年6月30日)・負債の部
a 短期借入金(流動負債)1848万0133円
m社に対する借入金
b 未払金(買掛金)(流動負債)729万0235円
(内訳)被告Y1社に対する未払金(支払利息・業務委託費)641万7750円
c社に対する未払金(支払利息)60万7500円
m社に対する未払金(支払利息)26万4985円
c 長期借入金(固定負債)1720万円
(内訳)Eからの長期借入金120万円
Gからの長期借入金600万円
Hからの長期借入金1000万円
d 受託金(固定負債)1億3560万円
(内訳)c社からの受託金500万円
被告Y1社からの受託金5070万円
b組合からの受託金7990万円
(ウ) 損益計算書(平成25年7月1日から平成26年6月30日まで)
a 売上高(売上総利益)1433万7037円
b 販売費及び一般管理費△2783万8340円
(内訳)外注費2538万円
広告宣伝費2020円
支払手数料8420円
地代家賃180万円(d社に支払う家賃)
支払報酬料64万7900円
c 営業外収益(雑収入)369万3968円
d 営業外費用(支払利息)△373万1419円
e 経常損失・税引前当期純損失△1353万8754円
f 当期純損失△1371万8754円
キ’平成26年8月27日,関東財務局は,被告Y1社に対し,金融商品取引法所定の登録を受けないで金融品取引業を行っていたこと及び投資者保護上問題のある行為(適格機関投資家からの出資を受けずに自己募集業務をしていた,出資対象事業収益から配当するとしているところ収益が出ていないにもかかわらず配当を実施していた)を行っていることが認められるものとして,警告書を発出した(甲第16号証)。
ク’平成26年10月20日,横浜地方裁判所小田原支部は,被告Y2に対する前記ウ’に係る金融商品取引法違反被告事件(横浜地方裁判所小田原支部平成26年(わ)第39号)において,e社が業として被告Y1社が運用する本件先行出資契約に係る△△ファンド3号への出資の勧誘を取り扱っていた,△△ファンド3号の顧客情報等の被告Y1社における管理状況等やe社と被告Y1社との間での△△ファンド3号に関係する金銭の動きから,e社が業として被告Y1社が運用する△△ファンド3号への出資の勧誘を取り扱うにつき被告Y1社の関係者とe社の関係者との間で意思の連絡があったものと強く推認されるなどとして,被告Y2が,e社の従業員らに対し被告Y1社が運用する△△ファンド3号への出資の勧誘を取り扱わせ,もって無登録で第二種金融商品取引業を営んだことを認定し,有罪判決を言い渡したところ,同判決は同年11月5日に確定した(甲第21号証)。
ケ’被告Y1社の平成24年6月1日から平成27年5月31日までの残高試算表(乙第16号証)には,次の記載がある。
(ア) 貸借対照表
a 前渡金(流動資産)
繰越0円
借方3000万円
残高3000万円
b 短期貸付金(流動資産)
繰越1億3597万0335円
借方3億3350万2098円
貸方△2億4895万6454円
残高2億2051万5979円
c 未収入金(流動資産)
繰越1107万9186円
貸方△641万7750円
残高466万1436円
d 営業権(無形固定資産)
繰越0円
借方6481万4815円
残高6481万4815円
e 買掛金(流動負債)
繰越0円
借方7000万円
貸方△7000万円
残高0円
f 短期借入金(流動負債)
残高△214万8326円
借方214万8326円
残高0円
g 未払金(流動負債)
繰越△2448万0149円
借方2860万4069円
貸方△412万3920円
残高0円
h 長期借入金(固定負債)
残高△1億3649万3311円
借方1300万円
貸方△3億3900万6689円
残高△4億6250万円
(イ) 損益計算書
a 営業損益(販売管理費)
繰越0円
貸方△8746万5583円
残高△8746万5583円
(内訳)旅費交通費1700万円
通信費2万3414円
支払手数料2400円
地代家賃2万4300円
支払報酬料7020万9525円
雑費20万5944円
b 営業外費用(支払利息)
繰越0円
借方△3042万3400円
残高△3042万3400円
c 当期純損益△1億1788万8983円
コ’被告Y1社の平成26年6月1日から平成27年5月31日まで(第6期)の決算報告書(乙第17号証)には,次の記載がある。
(ア) 貸借対照表(平成27年5月31日現在)・資産の部
資産の部合計3億2871万8517円
a 流動資産2億6390万3711円
(内訳)
現金及び預金1630円
前渡金3000万円
短期貸付金2億2051万5979円
(内訳)被告Y2に対する貸付金1億3508万1259円
f社に対する貸付金609万0315円
c社に対する貸付金707万4070円
b組合に対する貸付金7277万0335円
未収入金(売掛金)466万1436円(b組合に対する未収入金)
預け金2万5000円
仮払消費税等869万9666円
b 固定資産6481万4816円
(内訳)車両運搬具(有形固定資産)1円
営業権(無形固定資産)6481万4815円
(イ) 貸借対照表(平成27年5月31日現在)・負債の部
負債の部合計4億6257万円
(内訳)未払法人税等(流動負債)7万円
長期借入金(固定負債)4億6250万円(小口取引先)
(ウ) 損益計算書(平成26年6月1日から平成27年5月31日まで)
a 売上総利益0円
b 販売費及び一般管理費(営業損失)△8746万5583円
(内訳)旅費交通費1700万円
通信料2万3414円
支払手数料2400円
地代家賃(d社に支払う家賃)2万4300円
支払報酬料7020万9525円
c 営業外収益(支払利息)3042万3400円
サ’被告Y1社が△△ファンド3号及び○○ファンド3号により原告を含む出資者らから出資を受けた金額は合計それぞれ950万円及び4億6900万円であり,ここから解約等による償還金額を控除した残額はそれぞれ550万円及び4億5700万円であり,その合計額である4億6250万円(乙第18号証)が前記コ’のとおり被告Y1社の第6期の決算報告書(乙第17号証)において長期借入金(固定負債)4億6250万円(小口取引先)として計上されている。
シ’平成28年10月頃,Bの遺産(商標)を管理する団体は,被告Y2らに対し,Bの肖像等の使用権を争う民事訴訟を提起したところ,被告Y2は,適式な呼出しを受けたが,既に前記ウ’ク’の刑事手続を経ることにより,B関連の事業がとん挫してしまう状況に至ったことなどから,当該訴訟の口頭弁論期日に出頭せず,主張,反論等をしなかった。
(2)  前記(1)で認定したところによると,平成10年にB関連の日本国内を中心とする事業のためにa社が設立され,翌年には被告Y2がその代表取締役に就任し,さらに,平成20年以降,a社を設立したb事業協同組合が清算手続に入り,a社の当該事業を進めるために,その進捗状況に応じて,関連する企業(c社,d社,f社,h社)が設立され,これらの企業がa社からの委託を受け,あるいは,資金の拠出を受けるなどして,B関連の事業の一部を担うとともに,事業資金の出資を募るために,被告Y1社が設立され,被告Y2がその代表社員に就任したこと,被告Y2は,被告Y1社における△△ファンド(外国為替海外取引)の勧誘,販売をe社の経営者であったCに任せ,平成23年4月,原告は,e社の従業員であった被告Y4の勧誘を受けて,被告Y1社との間で本件先行出資契約を結び,合計900万円を出資して,平成24年7月までの間に合計62万4800円の配当を受け取ったこと,平成23年8月20日,被告Y1社は,a社との間で投資契約を結び,a社の代表取締役が被告Y2からAに代わり,被告Y1社において○○ファンド3号の勧誘,販売を始め,同年11月,原告は,被告Y4の勧誘(本件勧誘)を受けて,被告Y1社との間で,本件出資契約を結び,合計1600万円を出資して(そのうち900万円は本件先行出資契約の償還金をそのまま出資に回した。),平成25年10月までの間に合計113万4700円の配当を受け取ったこと,平成25年に入り,a社の事業は,未だ収益が上がるまでには至っていないものの,B関連のアニメーションの制作作業が進み,日本その他の国での配信に向けた準備を進めていたところ,平成25年秋頃から,上記のe社による△△ファンド3号の勧誘,販売が金融商品取引法所定の登録をしないでしたという同法違反の被疑事実による警察の捜査が始まり,これを受けて原告は本件解約をし,翌年1月には被告Y2は当該被疑事実により警察に逮捕され,被告Y2を中心に進めてきたB関連の事業はとん挫するに至ったことが認められる。このように,a社その他の企業グループにおいて,必ずしも順調な進捗ではなく,収益は上がっていなかったものの,被告Y1社からの投資を受けるなどして,B関連の事業を進め,アニメーションの展開については一定の目途が付いたところ,アニメーションの事業の展開を担っていた被告Y2がe社の金融商品取引法違反の嫌疑で逮捕されるに至り,事業がとん挫するに至ったというのであり,これによれば,本件出資契約の時点では,その出資金がB関連の事業に投資されていたことが推認されるのであって,本件出資契約を結ぶに当たって被告Y4が原告に説明した本件出資契約の内容に虚偽があったということはできない。
もとより,前記(1)でみたところによれば,現時点においては,本件出資に係る金員がどのようにB関連の事業に投資されていったのかという具体的な金員の動きを検証することはできず,また,a社と関連企業との間の取引の内容や金員の流れについても,明確な情報を得ることはできない状況にあるが,前記(1)でみた経緯を踏まえれば,そうであるからといって,本件出資に係る金員がa社によるB関連の事業に投資されなかったとか,そのような投資が原告を含む出資者を欺罔するための虚偽のものであったとまでいうことはできない。
また,前記(1)で認定したとおり,被告Y1社が本件配当のうち本件出資契約に基づく配当をした時期(平成24年2月20日から平成25年10月21日まで)における被告Y1社及びa社の財務状況並びにa社の事業の展開状況をみると,a社は未だB関連の事業で収益を上げている状況にはなく,被告Y1社においては配当の原資となる利益を得ていなかったことが認められ,被告Y1社は,利益がないのに上記の配当を続けていたことになるが,だからといって,被告Y1社が原告に対しa社の事業への投資を仮装するために上記の配当をしていたとまでいうことはできない。
2  争点(2)について
前記1(1)で認定したところによれば,本件勧誘に当たり,被告Y4は,原告に対し,安定投資である旨を強調する記載のある募集案内(乙第11号証)を交付したが,一方で,元本の償還が受けられない等のリスクがある旨の記載のある契約締結前交付書面(乙第12号証)も交付し,さらに,預り証を入れる封筒(甲第15号証)に手書きで元本確保や中途解約の場合に元本割れになる旨を記入して,元本確保に努めるがいつ解約しても元本が償還される元本保証ではない旨を説明し,これを受けて,原告は,リスクの説明を受け理解した旨の記載のある出資申込書(乙第3号証)及び出資確認書(乙第4号証)に署名押印し被告Y4に交付したというのであって,これによれば,被告Y4は,本件勧誘において,原告に対し,元本は保証されないという本件出資契約のリスクを説明し,原告もこれを理解して本件出資契約を結んだというほかはなく,被告Y4の原告に対する説明義務違反があるということはできない。
なお,原告の陳述書(甲第53号証)には,本件勧誘の際,被告Y4は,投資した方が有利で配当が受け取れると言っただけで損をする話をしなかった,中途解約しなければ元本割れはないと説明したとの陳述部分があるが,一方で,被告Y4の本人尋問の結果中には,本件勧誘において,被告Y4は,原告に対し,中途解約しなければあらゆる方法を用いて満期時には元本を確保するようにする商品であると説明したとの供述部分があり,損失の補填をしてまでも元本を保証するかどうかについて,上記の陳述部分とは必ずしも整合しないところ,前記1(1)で認定した契約締結前交付書面,出資申込書及び出資確認書には元本が保証されない等のリスクがあることが明記されていたことに鑑みると,上記の原告の陳述部分から被告Y4に説明義務違反があったと認めることはできない。
3  争点(3)について
前記1(1)で認定したところを踏まえると,本件勧誘は,原告の意向と実情に反して,明らかに過大な危険を伴う取引を積極的に勧誘するなど適合性の原則から著しく逸脱したものとまでいうことはできない。
原告は,本件出資契約当時86歳という高齢であった,本件出資に係る1600万円が老後の資金であったと主張するが,前記2で原告も被告Y4の説明を理解して本件出資契約を結んだと認められることも併せて考えると,そのような事情のみによっては,本件勧誘が適合性の原則から著しく逸脱したものであるとまでいうことはできない。
4  そうすると,本件勧誘について不法行為責任が成立する余地はないといわなければならないから,争点(4)について判断するまでもなく,被告Y2,被告Y4及び被告Y3に対する請求並びに被告Y1社に対する主位的請求は理由がないことに帰する。
5  被告Y1社に対する予備的請求の請求原因事実(前記第2の1(5)(6)(8)の各事実)は,当事者間に争いがない。
6  以上によれば,被告Y2,被告Y4及び被告Y3に対する請求並びに被告Y1社に対する主位的請求は理由がなく,被告Y1社に対する予備的請求は理由がある。
東京地方裁判所民事第48部
(裁判長裁判官 氏本厚司 裁判官 長井清明 裁判官 鈴木実里)

 

〈以下省略〉

 

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