【営業代行から学ぶ判例】crps 裁判例 lgbt 裁判例 nda 裁判例 nhk 裁判例 nhk 受信料 裁判例 pl法 裁判例 pta 裁判例 ptsd 裁判例 アメリカ 裁判例 検索 オーバーローン 財産分与 裁判例 クレーマー 裁判例 クレプトマニア 裁判例 サブリース 裁判例 ストーカー 裁判例 セクシャルハラスメント 裁判例 せクハラ 裁判例 タイムカード 裁判例 タイムスタンプ 裁判例 ドライブレコーダー 裁判例 ノンオペレーションチャージ 裁判例 ハーグ条約 裁判例 バイトテロ 裁判例 パタハラ 裁判例 パブリシティ権 裁判例 ハラスメント 裁判例 パワーハラスメント 裁判例 パワハラ 裁判例 ファクタリング 裁判例 プライバシー 裁判例 プライバシーの侵害 裁判例 プライバシー権 裁判例 ブラックバイト 裁判例 ベネッセ 裁判例 ベルシステム24 裁判例 マタニティハラスメント 裁判例 マタハラ 裁判例 マンション 騒音 裁判例 メンタルヘルス 裁判例 モラハラ 裁判例 モラルハラスメント 裁判例 リストラ 裁判例 リツイート 名誉毀損 裁判例 リフォーム 裁判例 遺言 解釈 裁判例 遺言 裁判例 遺言書 裁判例 遺言能力 裁判例 引き抜き 裁判例 営業秘密 裁判例 応召義務 裁判例 応用美術 裁判例 横浜地裁 裁判例 過失割合 裁判例 過労死 裁判例 介護事故 裁判例 会社法 裁判例 解雇 裁判例 外国人労働者 裁判例 学校 裁判例 学校教育法施行規則第48条 裁判例 学校事故 裁判例 環境権 裁判例 管理監督者 裁判例 器物損壊 裁判例 基本的人権 裁判例 寄与分 裁判例 偽装請負 裁判例 逆パワハラ 裁判例 休業損害 裁判例 休憩時間 裁判例 競業避止義務 裁判例 教育を受ける権利 裁判例 脅迫 裁判例 業務上横領 裁判例 近隣トラブル 裁判例 契約締結上の過失 裁判例 原状回復 裁判例 固定残業代 裁判例 雇い止め 裁判例 雇止め 裁判例 交通事故 過失割合 裁判例 交通事故 裁判例 交通事故 裁判例 検索 公共の福祉 裁判例 公序良俗違反 裁判例 公図 裁判例 厚生労働省 パワハラ 裁判例 行政訴訟 裁判例 行政法 裁判例 降格 裁判例 合併 裁判例 婚約破棄 裁判例 裁判員制度 裁判例 裁判所 知的財産 裁判例 裁判例 データ 裁判例 データベース 裁判例 データベース 無料 裁判例 とは 裁判例 とは 判例 裁判例 ニュース 裁判例 レポート 裁判例 安全配慮義務 裁判例 意味 裁判例 引用 裁判例 引用の仕方 裁判例 引用方法 裁判例 英語 裁判例 英語で 裁判例 英訳 裁判例 閲覧 裁判例 学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例 共有物分割 裁判例 刑事事件 裁判例 刑法 裁判例 憲法 裁判例 検査 裁判例 検索 裁判例 検索方法 裁判例 公開 裁判例 公知の事実 裁判例 広島 裁判例 国際私法 裁判例 最高裁 裁判例 最高裁判所 裁判例 最新 裁判例 裁判所 裁判例 雑誌 裁判例 事件番号 裁判例 射程 裁判例 書き方 裁判例 書籍 裁判例 商標 裁判例 消費税 裁判例 証拠説明書 裁判例 証拠提出 裁判例 情報 裁判例 全文 裁判例 速報 裁判例 探し方 裁判例 知財 裁判例 調べ方 裁判例 調査 裁判例 定義 裁判例 東京地裁 裁判例 同一労働同一賃金 裁判例 特許 裁判例 読み方 裁判例 入手方法 裁判例 判決 違い 裁判例 判決文 裁判例 判例 裁判例 判例 違い 裁判例 百選 裁判例 表記 裁判例 別紙 裁判例 本 裁判例 面白い 裁判例 労働 裁判例・学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例・審判例からみた 特別受益・寄与分 裁判例からみる消費税法 裁判例とは 裁量労働制 裁判例 財産分与 裁判例 産業医 裁判例 残業代未払い 裁判例 試用期間 解雇 裁判例 持ち帰り残業 裁判例 自己決定権 裁判例 自転車事故 裁判例 自由権 裁判例 手待ち時間 裁判例 受動喫煙 裁判例 重過失 裁判例 商法512条 裁判例 証拠説明書 記載例 裁判例 証拠説明書 裁判例 引用 情報公開 裁判例 職員会議 裁判例 振り込め詐欺 裁判例 身元保証 裁判例 人権侵害 裁判例 人種差別撤廃条約 裁判例 整理解雇 裁判例 生活保護 裁判例 生存権 裁判例 生命保険 裁判例 盛岡地裁 裁判例 製造物責任 裁判例 製造物責任法 裁判例 請負 裁判例 税務大学校 裁判例 接見交通権 裁判例 先使用権 裁判例 租税 裁判例 租税法 裁判例 相続 裁判例 相続税 裁判例 相続放棄 裁判例 騒音 裁判例 尊厳死 裁判例 損害賠償請求 裁判例 体罰 裁判例 退職勧奨 違法 裁判例 退職勧奨 裁判例 退職強要 裁判例 退職金 裁判例 大阪高裁 裁判例 大阪地裁 裁判例 大阪地方裁判所 裁判例 大麻 裁判例 第一法規 裁判例 男女差別 裁判例 男女差别 裁判例 知財高裁 裁判例 知的財産 裁判例 知的財産権 裁判例 中絶 慰謝料 裁判例 著作権 裁判例 長時間労働 裁判例 追突 裁判例 通勤災害 裁判例 通信の秘密 裁判例 貞操権 慰謝料 裁判例 転勤 裁判例 転籍 裁判例 電子契約 裁判例 電子署名 裁判例 同性婚 裁判例 独占禁止法 裁判例 内縁 裁判例 内定取り消し 裁判例 内定取消 裁判例 内部統制システム 裁判例 二次創作 裁判例 日本郵便 裁判例 熱中症 裁判例 能力不足 解雇 裁判例 脳死 裁判例 脳脊髄液減少症 裁判例 派遣 裁判例 判決 裁判例 違い 判決 判例 裁判例 判例 と 裁判例 判例 裁判例 とは 判例 裁判例 違い 秘密保持契約 裁判例 秘密録音 裁判例 非接触事故 裁判例 美容整形 裁判例 表現の自由 裁判例 表明保証 裁判例 評価損 裁判例 不正競争防止法 営業秘密 裁判例 不正競争防止法 裁判例 不貞 慰謝料 裁判例 不貞行為 慰謝料 裁判例 不貞行為 裁判例 不当解雇 裁判例 不動産 裁判例 浮気 慰謝料 裁判例 副業 裁判例 副業禁止 裁判例 分掌変更 裁判例 文書提出命令 裁判例 平和的生存権 裁判例 別居期間 裁判例 変形労働時間制 裁判例 弁護士会照会 裁判例 法の下の平等 裁判例 法人格否認の法理 裁判例 法務省 裁判例 忘れられる権利 裁判例 枕営業 裁判例 未払い残業代 裁判例 民事事件 裁判例 民事信託 裁判例 民事訴訟 裁判例 民泊 裁判例 民法 裁判例 無期転換 裁判例 無断欠勤 解雇 裁判例 名ばかり管理職 裁判例 名義株 裁判例 名古屋高裁 裁判例 名誉棄損 裁判例 名誉毀損 裁判例 免責不許可 裁判例 面会交流 裁判例 約款 裁判例 有給休暇 裁判例 有責配偶者 裁判例 予防接種 裁判例 離婚 裁判例 立ち退き料 裁判例 立退料 裁判例 類推解釈 裁判例 類推解釈の禁止 裁判例 礼金 裁判例 労災 裁判例 労災事故 裁判例 労働基準法 裁判例 労働基準法違反 裁判例 労働契約法20条 裁判例 労働裁判 裁判例 労働時間 裁判例 労働者性 裁判例 労働法 裁判例 和解 裁判例

「営業会社 成功報酬」に関する裁判例(13)平成30年 9月 5日 東京地裁 平29(ワ)38401号 配当異議請求事件

「営業会社 成功報酬」に関する裁判例(13)平成30年 9月 5日 東京地裁 平29(ワ)38401号 配当異議請求事件

裁判年月日  平成30年 9月 5日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平29(ワ)38401号
事件名  配当異議請求事件
文献番号  2018WLJPCA09058008

裁判年月日  平成30年 9月 5日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平29(ワ)38401号
事件名  配当異議請求事件
文献番号  2018WLJPCA09058008

埼玉県川越市〈以下省略〉
旧商号 株式会社a
原告 X株式会社
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 中島茂ほか
東京都新宿区〈以下省略〉
被告 Y1
同訴訟代理人弁護士 Y2
東京都杉並区〈以下省略〉
被告 Y2
同訴訟代理人弁護士 Y1

 

 

主文

1  東京地方裁判所平成29年(ヲ)第30320号事件につき,平成29年11月9日に作成された別紙「配当表」の「配当実施額(円)」欄のうち,
(1)  被告Y1への配当額2272万4842円とあるのを0円に,
(2)  被告Y2への配当額2241万4760円とあるのを0円に,
(3)  原告への配当額31億3334万4424円とあるのを31億7841万8244円に,
(4)  原告への配当額457万2905円とあるのを463万8687円に,
それぞれ変更する。
2  訴訟費用は被告らの負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
主文第1項と同旨
第2  事案の概要
1  本件は,原告が,東京地方裁判所平成29年(ヲ)第30320号事件について,平成29年11月9日に作成された別紙「配当表」(本件配当表)に記載された被告らの配当要求に係る請求債権はいずれも架空のものであるなどと主張して,本件配当表の「配当実施額(円)」欄のうち,被告らへの配当額を取り消し,これを原告への配当額に加算する旨の変更を求める事案である。
被告らは,いずれもその配当要求に係る請求債権が実在するなどと主張している。
2  前提事実
(1)  原告(平成30年6月20日変更前の商号「株式会社a」)は,昭和52年3月31日に設立された,化粧品の製造,販売等を目的とする株式会社である(記録上明らかな事実)。
被告らは,いずれも東京弁護士会所属の弁護士(修習期63期)である(甲23の1及び2)。
(2)  原告は,平成28年8月12日,株式会社b(b社。甲10)に対して有する執行力ある債務名義正本2通(東京地方裁判所平成25年(ワ)第2760号判決,同裁判所平成28年(モ)第4566号訴訟費用額確定処分)に基づき,b社の有する原告の普通株式55万8735株(本件株式)を差し押さえる旨の株式差押命令(東京地方裁判所平成28年(ル)第5509号,本件株式差押命令事件。甲1)を得た。
本件株式は,競り売り(甲2)により31億8814万1910円に換価された。
(3)  被告Y1(被告Y1)は,平成28年9月29日,本件株式差押命令事件について,b社に対して有する執行力ある債務名義正本(東京法務局所属公証人B作成の平成28年第200号債務承認弁済等契約公正証書(第200号公正証書)。甲7の1ないし3)に基づき,配当要求をした。この配当要求に係る債権の原因及び額は,被告Y1のb社に対する着手金,日当及び実費の元金合計3083万5716円とこれに対する遅延損害金とされていた(甲5)。
また,被告Y2(被告Y2)も,平成28年10月5日,本件株式差押命令事件について,b社に対して有する執行力ある債務名義正本(東京法務局所属公証人B作成の平成28年第202号債務承認弁済等契約公正証書(第202号公正証書)。甲8の1ないし3)に基づき,配当要求をした。この配当要求に係る債権の原因及び額は,被告Y2のb社に対する着手金,日当及び実費の元金合計3041万4960円とこれに対する遅延損害金とされていた(甲6)。
(4)  本件株式差押命令事件に係る配当事件(東京地方裁判所平成29年(ヲ)第30320号)につき,平成29年11月9日,別紙のとおり,本件配当表(甲4)が作成された。
原告は,同日の配当期日において本件配当表のうち被告Y1への配当額,被告Y2への配当額につき異議(甲3)を述べた上,同月13日に本訴を提起し,同月14日に執行裁判所に対し本訴の提起をしたことの証明(民事執行法90条6項)をした(記録上明らかな事実)。
3  争点及びこれに関する当事者の主張
(1)  被告らの配当要求に係る債権の存否
(被告らの主張)
ア 被告らは,C弁護士(C弁護士)と共に,b社との間で,次の(ア)ないし(エ)の委任契約を書面により締結し,その委任事務を履行し,さらに,被告Y1は,次の(オ)の委任契約を書面により締結し,その委任事務を履行した(上記(ア),(イ)の委任契約書上,その消費税率が作成年月日当時の5%ではなく8%とされたのは,これらの契約書が消費税の問題で平成26年4月以降に改めて作成されたためにすぎない。)。
その結果,被告Y1は,次の(ア)ないし(オ)の委任契約に基づき,b社に対し,第200号公正証書記載のとおり,合計3083万5716円の着手金等債権((ア)の着手金2535万4080円,日当55万0800円,実費5万1164円,(イ)の着手金159万4080円,日当25万9200円,実費4万5592円,(ウ)の着手金132万8400円,(エ)の着手金132万8400円,(オ)の着手金32万4000円)を有し(第200号債権),被告Y2は,次の(ア)ないし(エ)の委任契約に基づき,b社に対し,第202号公正証書記載のとおり,合計3041万4960円の着手金等債権((ア)の着手金2535万4080円,日当55万0800円,(イ)の着手金159万4080円,日当25万9200円,(ウ)の着手金132万8400円,(エ)の着手金132万8400円)を有する(第202号債権)。
(ア) 東京地方裁判所平成25年(ワ)第2760号貸金返還請求事件についての平成25年5月9日付け委任契約(乙2の1)
訴額27億5000万円,着手金7606万2240円,日当1日1人3万円
(イ) 東京地方裁判所平成25年(ワ)第27912号損害賠償等請求事件についての平成25年10月1日付け委任契約(乙2の2)
訴額1億円,着手金478万2240円,日当1日1人3万円
(ウ) 東京高等裁判所平成27年(ネ)第1103号損害賠償等請求控訴事件(上記(イ)の控訴事件)についての平成27年3月20日付け委任契約(乙2の3)
着手金398万5200円,日当1日1人3万円
(エ) 最高裁判所平成27年(オ)第1403号,同年(受)第1751号(上記(ウ)の上告兼上告受理申立て事件)についての平成27年6月19日付け委任契約(乙2の4)
着手金398万5200円,日当1日1人3万円
(オ) 弁護士照会請求についての平成25年9月1日付け委任契約(乙2の7)
着手金30万円(消費税別)
イ 被告らは,上記アの委任契約の締結の際,b社からb社の保有する現金が乏しく,その資産の大半が本件株式であって,これを後日売却する予定である旨説明を受けたため,b社との間で,b社が被告らに支払うべき着手金等の弁済期をいずれも本件株式の換価時とする旨合意した。
(原告の主張)
被告らの上記主張はいずれも否認し,争う。
平成25年5月以降のb社には被告らに5000万円超の着手金を支払う資力がなく,また,その総勘定元帳,貸借対照表,勘定科目内訳明細書に第200号債権,第202号債権に係るb社の被告らに対する債務は計上されていなかった。弁護士である被告らにおいても,受任時に受けるべき委任事務処理の対価である着手金の支払を全く受けることなく,長期間にわたり訴訟活動を続けることはあり得ないし,平成25年当時に作成されたはずの上記(ア),(イ)及び(オ)の委任契約書に被告Y1が平成26年4月24日以降に使用していた丸印が押印されていること,上記(ア)の委任契約書の作成年月日である平成25年5月9日時点ではC弁護士の受任がなかったことなどは,これらの委任契約書が後日作成されたことを裏付ける。第200号公正証書,第202号公正証書が作成されたのは,b社が平成28年5月20日に上記(ア)の事件で27億5000万円の支払を命ずる敗訴判決を受け,同年8月12日に原告により本件株式の差押えを受けた直後である同年9月16日のことであり,b社から被告らに成功報酬が支払われないことが確定した後に急きょ作成されたものであった。このような事情によれば,第200号公正証書記載の第200号債権,第202号公正証書記載の第202号債権は存在しない架空のものであった。
(2)  被告らの配当要求に係る債務名義の有効性
(被告らの主張)
b社は,Dに第200号公正証書,第202号公正証書の作成についての代理権を授与し,公証人によりこの代理権の存在が確認されているから,第200号公正証書,第202号公正証書は,無権代理によるものではなく,有効なものである。
(原告の主張)
被告らの上記主張は否認し,争う。
Dはb社の監査役であり,監査役は会社の代理人となることができないから,代理人となることができないDがb社の代理人として作成された第200号公正証書,第202号公正証書は,無権代理によるものであって,無効である。
第3  当裁判所の判断
1  前提事実,証拠(後記各書証)及び弁論の全趣旨によれば,b社と被告ら,C弁護士との間の訴訟委任,その委任事務の遂行状況,第200号公正証書,第202号公正証書の作成経緯等について,次の事実が認められる。なお,C弁護士の証人尋問,被告らの当事者尋問は,当裁判所の求釈明に対し,当事者双方がこれを申請しない旨明示的に回答したため,実施されなかった。
(1)  b社は,原告が平成25年2月5日付けで提起した貸金27億5000万円及びこれに対する約定遅延損害金の支払を求める貸金返還訴訟(東京地方裁判所平成25年(ワ)第2760号貸金返還請求事件。乙3の1)に応訴するため,同年5月10日,この訴訟追行を被告らのみに委任する旨の訴訟委任状(甲15)を東京地方裁判所に提出し,実際の訴訟活動上も,b社の訴訟代理人として被告らのみが同日の第2回の口頭弁論期日,同年7月5日の第3回口頭弁論期日に出頭し(甲16の2及び3),被告らの作成に係る準備書面(1),証拠説明書(甲14の1及び2)を陳述ないし提出していた。
(2)  上記(1)の貸金返還請求訴訟につき平成25年5月9日付けで作成された委任契約書(乙2の1)は,平成26年4月1日以降の消費税率(8%)を前提とする記載があったほか,東京弁護士会の弁護士職印登録及び印鑑証明等手続規則(甲26)上,職印の登録は弁護士会員一人につき1個に限ると定められていた職印につき,上記委任契約書(乙2の1)の作成に使用された被告Y1の職印が,平成26年4月7日まで使用されていた角印(甲14の1ないし19)ではなく,平成26年4月24日以降に使用されるようになった丸印(甲14の20ないし67,乙3の1及び2。これに対し,写しであるにすぎない乙11の1及び2は上記認定を妨げるものではない。)であったなど,実際には少なくとも平成26年4月24日以降に作成されたものであった。また,上記委任契約書(乙2の1)の受任弁護士欄には,被告らのほかに第一東京弁護士会所属のC弁護士(修習期33期。甲23の3)も加えられていたが,C弁護士は被告らによる上記(1)の主張立証活動に加わっておらず,C弁護士が上記貸金返還訴訟の訴訟追行に加わったのは,b社からC弁護士に52万5000円の振込送金があった日(平成25年8月28日。甲19の18頁)に近接する平成25年8月23日の第4回口頭弁論期日以降のことであった(甲14の3ないし5,甲14の8ないし13,甲14の18及び19,甲14の22ないし24,甲14の27,甲14の30,甲14の35ないし37,甲14の41ないし43,甲14の48,甲14の52ないし54,甲14の58,甲16の4,乙3の1及び2)。
なお,被告らは,上記受任の際,b社から,b社の資金が乏しく(客観的にも,b社の預金残高は,平成25年5月当時,0円となったことがあり(甲19の17頁),また,b社の損益計算書(甲9の2の2)上も,平成25年4月1日から平成26年3月31日までの間に約1470万円の営業損失,約9341万円の当期純損失が発生していた。),その資産の大半が本件株式である旨の説明を受けており(なお,本件株式は譲渡制限株式であり,その価値は1株当たりの純資産額を基準としても,約41億7151万円にとどまる。乙8の1),b社が上記貸金返還訴訟に敗訴した場合,本件株式が原告により差し押さえられることは容易に想定し得たのに,被告らはもとより,C弁護士においても,本件株式の換価時を支払時期と定めたというb社からの着手金等の支払を確実にするために特段の措置を講ずることはなかった。
(3)  また,b社は,被告ら及びC弁護士に委任して,平成25年10月18日付けで,原告の会計業務等を担当するc税理士法人,その代表社員であり,原告の代表取締役でもあるA,c税理士法人の社員であるEの3名に対し,損害賠償金1億円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める損害賠償等請求訴訟を提起した(東京地方裁判所平成25年(ワ)第27912号損害賠償等請求事件。乙4の1)。
上記損害賠償等請求訴訟につき平成25年10月1日付けで作成された委任契約書(乙2の2)も,同年5月9日付け委任契約書(乙2の1)と同じく,平成26年4月1日以降の消費税率(8%)を前提とする記載があったほか,その作成に用いられた被告Y1の職印が平成26年4月24日以降に使用されるようになった丸印(甲14の20ないし67,乙4の1及び2)であったなど,少なくとも平成26年4月24日以降に作成されたものであった。また,被告ら及びC弁護士は,この受任の際も,b社の財務状況が好転したわけではないのに,本件株式の換価時を支払時期と定めたというb社からの着手金等の支払を確実にするために特段の措置を講ずることはなかった。ただし,被告Y1が,b社から,同年9月6日に104万5000円,同年10月22日に22万円の振込送金を受けたことはあった(甲19の18頁,19頁)。
(4)  なお,b社は,被告ら及びC弁護士に委任して,平成26年4月3日付けで,F,Gに対し,不当利得金各1785万3500円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める不当利得返還等請求訴訟を提起した(東京地方裁判所平成26年(ワ)第8392号不当利得返還等請求事件。甲14の16)。
上記不当利得返還等請求訴訟につき平成26年4月2日付けで作成された委任契約書(乙2の5)においても,平成25年5月9日付け委任契約書(乙2の1)や同年10月1日付け委任契約書(乙2の2)と同じく,着手金等の支払時期を本件株式の換価時とする旨定められていたが,被告ら及びC弁護士は,この受任の際も,b社の財務状況が好転したわけではないのに,b社からの着手金等の支払を確実にするために特段の措置を講ずることはなかった。
(5)  b社は,平成27年1月28日,上記(3)の損害賠償等請求訴訟につき,b社の請求をいずれも棄却する旨の第1審判決(乙4の3)の言渡しを受けたため,被告ら及びC弁護士に委任して,同年2月10日付けで,控訴を提起した(東京高等裁判所平成27年(ネ)第1103号損害賠償請求控訴事件。甲14の38,乙5の1及び2)。
b社は,同年6月3日,b社の控訴をいずれも棄却する旨の控訴審判決(乙5の3)の言渡しを受けた際にも,被告ら及びC弁護士に委任して,上告を提起し,上告受理の申立てをしたものの,同年11月5日,上告棄却兼不受理の決定を受けた(最高裁判所平成27年(オ)第1403号,同年(受)第1751号。甲14の55及び56,乙6の1ないし3)。
被告ら及びC弁護士は,これらの受任の際も,b社の財務状況が好転したわけではないのに,本件株式の換価時を支払時期と定めたというb社からの着手金等の支払を確実にするために特段の措置を講ずることはなかった。
(6)  b社は,上記(1)の貸金返還請求訴訟につき,平成28年5月20日,原告に対して貸金27億5000万円及びこれに対する約定遅延損害金の支払を命じ,かつ,訴訟費用はb社の負担とする旨の第1審判決の言渡しを受け(乙3の3),その後,同判決は確定した。
そこで,原告は,この確定判決及び訴訟費用額確定処分を執行力ある債務名義として,平成28年8月12日,本件株式差押命令(甲1)を得た(なお,b社への送達日は同月29日であった。甲24の1及び2)。原告の請求債権総額は,申立時点で既に約40億6100万円を超えており,配当期日までの遅延損害金により更に増額されることが見込まれていた。
(7)  b社の説明により,本件株式差押命令があり,本件株式についての競売手続が進行中であることを知った被告らは,本訴で主張する第200号債権(元本合計3083万5716円),第202号債権(元本合計3041万4960円)があるとの前提に立って公正証書を作成し,本件株式命令差押事件につき配当要求しようと考え(乙9),平成28年9月16日,第200号公正証書,第202号公正証書を作成し(甲7の1ないし3,甲8の1ないし3。ただし,その別紙の「支払期日」という記載は「委託契約日」の誤記であった。乙1の1及び2),被告Y1は同月30日に,被告Y2は同年10月6日に,それぞれ配当要求するに至った(甲4ないし甲6)。
これに対し,b社から上記(2)の振込送金以外の支払を受けたことはなかったC弁護士は,被告らとは異なり,本件株式命令差押事件につき配当要求することはなかった。
なお,b社の総勘定元帳(甲21の1の1及び2,甲21の2ないし4),貸借対照表(甲9の2の1,甲9の3ないし5),勘定科目内訳明細書(甲22の1及び2)に第200号債権,第202号債権に関係するb社の被告らに対する債務は全く計上されていなかった。
(8)  本件株式の換価額が約31億8814万円(甲2)であったのに対し,手続費用及び原告の請求債権の総額は(平成29年11月9日の配当期日までの遅延損害金が加算された結果,)約46億1461万円に達したため,本件配当表上の被告らへの配当実施額は被告Y1につき2272万4842円,被告Y2につき2241万4760円にとどまった。
(9)  なお,b社は,株主の一人から,b社の役員が被告らと通謀してb社の財産を流出させた可能性が高いことなどを理由に検査役選任の申立てを受け(甲12),平成29年6月20日,会社法358条2項により,b社の業務及び財産の状況を調査させるため,検査役が選任された(甲13)。
2  争点(1)(被告らの配当要求に係る債権の存否)について
(1)  上記1で認定した事実によれば,被告らが第200号債権,第202号債権の発生原因であると主張する委任契約によると,b社は委任時に支払うべき委任事務処理の対価である着手金を全く支払う必要はなく,逆に,被告らは受任時に支払を受けるべき委任事務処理の対価である着手金の支払を受けることも,委任事務処理の都度支払われるべき日当の支払を受けることもなく,かえって,委任者であるb社のために実費を立て替えた上で長期間にわたり訴訟活動を行うことを強いられるなど,その着手金額が弁護士一人当たり3000万円前後の高額なものであったことを考慮しても,受任者である弁護士のみが委任者の無資力の危険を一方的にかつ無条件に負担することとされており,法律の専門家である被告らはもとより,特に弁護士として相応の経験を有していたであろうC弁護士において,このように自らに一方的に不利な契約内容を甘受したとは考え難い。
(2)  仮に東京地方裁判所平成25年(ワ)第2760号貸金返還請求事件についての平成25年5月9日付け委任契約(乙2の1)がその作成日付の時点で実際に作成されたものであるとすれば,被告ら及びC弁護士に約7606万円もの着手金を支払う義務を負うこととなったb社において,その支払原資に充てるべき現金や預貯金を保有しておらず,b社の資産の大半を構成する本件株式も,b社が上記貸金返還請求訴訟において敗訴した際には原告によって差し押さえられ,競売手続によるとその時価を大幅に下回って換価されることも容易に想定された以上,上記のような高額な着手金債権が完全な満足を得る見込みは極めて低いものであった。それにもかかわらず,被告らはもとより,C弁護士でさえb社からの支払を担保する措置を全く講じていなかったことは著しく不自然かつ不合理なことであるから,むしろ,そのような担保措置を講じてしかるべき着手金債権はもともと存在していなかったのではないかという疑いを払拭することができない。また,上記貸金返還請求訴訟において,b社からC弁護士への授権を証する委任状が当初提出されず,b社の当初の訴訟活動が被告らのみによって行われていたことは,被告らが共同受任したはずの先輩弁護士であるC弁護士を無視して独断専行していたなどというよりは,当初はC弁護士が共同受任していなかったと考える方が自然であり,そうであるとすれば,上記委任契約(乙2の1)は,受任者という委任契約上の重要な要素を正しく反映していないものであって,その証拠価値は低いと評価せざるを得ない。また,b社からC弁護士や被告Y1への振込送金も,各契約書に記載された契約内容とは異なり,いくばくかの着手金が受任の際に支払われていたのではないかとの疑いを生じさせるものである。
その他,その後に締結された平成25年10月1日付け委任契約(乙2の2),平成27年3月20日付け委任契約(乙2の3),平成27年6月19日付け委任契約(乙2の4),平成26年4月2日付け委任契約(乙2の5),平成25年9月1日付け委任契約(乙2の7)上も,当初締結された平成25年5月9日付け委任契約(乙2の1)に関して生ずる疑問や不自然さを解消し得るに足りるような措置は講じられておらず,かえって上記疑問や不自然さを助長することとなっている。
(3)  このような事情を総合すれば,被告らが第200号債権,第202号債権の発生原因であると主張する委任契約が実際に各作成日付の時点で各契約書に記載された内容で締結されたものとは考え難く,他に第200号債権,第202号債権の発生を基礎付ける主張立証のない本件においては,被告らの配当要求に係る請求債権はいずれも存在しないものといわざるを得ない。
したがって,本件配当表の「配当実施額(円)」欄のうち,被告らへの配当額を取り消し,これを原告への配当額に加算するのが相当であり,具体的には,配当表の「配当実施額(円)」欄のうち,①被告Y1への配当額2272万4842円とあるのを0円に,②被告Y2への配当額2241万4760円とあるのを0円に変更した上,③原告への配当額31億3334万4424円とあるのを31億7841万8244円(31億3334万4424円+(2272万4842円+2241万4760円)×45億3754万0137円/(45億3754万0137円+662万2234円))に,④原告への配当額457万2905円とあるのを463万8687円(457万2905円+(2272万4842円+2241万4760円)×662万2234円/(45億3754万0137円+662万2234円))に変更することとなる。
3  以上と異なる被告らの主張は,上記1で認定し,上記2で判示したところに照らして,いずれも採用することができない。
第4  結論
よって,原告の請求は,その余の点(争点(2) 被告らの配当要求に係る債務名義の有効性)について判断するまでもなく,理由があるから,これを認容することとして,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第39部
(裁判官 田中秀幸)

 

〈以下省略〉

 

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