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判例リスト「完全成功報酬|完全成果報酬 営業代行会社」(269)平成21年 9月30日 東京地裁 平19(ワ)32274号 報奨金等請求事件

判例リスト「完全成功報酬|完全成果報酬 営業代行会社」(269)平成21年 9月30日 東京地裁 平19(ワ)32274号 報奨金等請求事件

裁判年月日  平成21年 9月30日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平19(ワ)32274号
事件名  報奨金等請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2009WLJPCA09308016

要旨
◆原告が、本件パチンコ店を経営する被告との間で、報奨金条項及び違約金条項を含む本件契約書にあるとおりのコンサルタント契約を締結したとして、被告に対し、同契約に基づき、報奨金3000万円及び違約金1100万円等の支払を求めた事案において、被告と原告ないし原告代表者との間で締結された契約の内容は、本件契約書にあるとおりのものであったとは認められず、本件契約書の作成に応じた被告の社員に、被告を代理して、原告との間で本件契約書を取り交わし、その内容どおりの契約を締結する権限はなく、原告代表者はそのことを知っていたとして、原告の請求を全部棄却した事例

参照条文
民法109条
民法110条

裁判年月日  平成21年 9月30日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平19(ワ)32274号
事件名  報奨金等請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2009WLJPCA09308016

東京都調布市〈以下省略〉
原告 有限会社北陸ピービーシステム
代表者代表取締役 A
訴訟代理人弁護士 李春熙
福島県白河市〈以下省略〉
被告 有限会社百萬弗商事
代表者代表取締役 B
訴訟代理人弁護士 木村博貴
同 直井勇

 

 

主文

1  原告の請求を棄却する。
2  訴訟費用は原告の負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
被告は,原告に対し,4100万円及びうち3000万円に対する平成18年10月1日から,うち1100万円に対する平成19年10月1日から各支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
本件は,原告が,パチンコ店を経営する被告との間で報奨金及び違約金について定めるコンサルタント契約を締結したとして,被告に対し,同契約に基づき,報奨金3000万円,違約金1100万円及び前者に対する平成18年10月1日から,後者に対する平成19年10月1日から各支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めている事案である。
1  前提となる事実(末尾に証拠等の記載がないものは当事者間に争いがない)
(1)  原告は,遊技場の経営コンサルタントなどを目的とする有限会社である。
(2)ア  被告は,遊技場の経営などを目的とする有限会社であり,真岡市において「ボンビヴァン」(旧店名・パーラー百万弗)及び「ボンビヴァンプラス」(旧店名・ニュー真岡)を経営している。
イ  被告は,家族経営の会社であり,B(以下「B」という。)が代表取締役,その妻であるCが取締役,両名の間の長女であるDが監査役を務め,二女であるEが人事課長,三女であるF(以下「F」という。)が専務,二男であるG(以下「G」という。)が営業部長,四女が総務課長の肩書でそれぞれ被告の経営に係わっている[乙9,弁論の全趣旨]。
(3)  被告を委託者,原告を受託者とする平成13年9月1日付けの経営コンサルタント委託契約書(以下「本件契約書」という。)が存在するところ,その内容は,以下のとおりである[甲3]。
ア 原告が被告に対して行う営業サポート(1条)
店舗の営業計画の立案・実行・点検,店舗のレイアウト・改装計画,スタッフの教育・戦力化,設備・機器の選択・情報の提供等
イ 契約期間(6条)
本契約締結日から1年間とする。ただし,いずれからも別段の申し出がないときは,同一条件で更に1年間更新されるものとし,その後の期間満了についても同様とする。
ウ 報酬(2条)
月額50万円(消費税別)
エ 報奨金(2条)
粗利目標を月平均3000万円とし,目標達成時の報奨金を目標月粗利の1か月分とする。
オ 違約金(5条)
被告において本契約を一方的に解除したときは,被告は,原告に対し,残契約期間に支払うべき報酬の全額を支払う。
2  争点
(1)  コンサルタント契約の成立
(原告の主張)
ア 原告と被告は,平成13年9月1日付けで,被告が経営する「パーラー百万弗」につき,本件契約書にあるとおりの内容の経営コンサルタント契約(以下「本件コンサルタント契約」という。)を締結した。
なお,原告代表者のA(以下「A」という。)は,本件コンサルタント契約の締結に際し,Bに契約書の作成を求めたが,Bが「在日一世を信用してほしい」「絶対に悪いようにはしない」などと述べて拒否したため,契約書の取り交わしはひとまず断念した。
イ(ア) 原告の指導・助言により,平成15年以降,被告の売上・利益とも順調に伸びていったので,Aにおいて,本件コンサルタント契約を書面化する良い機会であると考え,平成16年8月ころ,Fに対し,契約書案2通を交付したところ,Fは,「社長と相談してから回答する」と応じ,2日後,「社長と相談し了承を得た」と述べて,被告の印鑑を押捺した上記契約書案(これが本件契約書である。)のうちの1通をAに交付した。
(イ) Fは,専務の肩書どおり,被告における店舗経営の責任者であり,経営計画の策定や日常の業務遂行について広範な権限を有し,自己の判断で機械業者等の取引業者と契約を締結したり2度にわたるAからの報酬増額要請に応じるなど,店舗経営に必要な契約の締結につき最終決定権を有していた。
本件契約書は,平成13年9月1日付けの本件コンサルタント契約の内容を書面化したものにすぎないが,仮に当初は報奨金及び違約金につき原・被告間に確定的な合意がなかったとしても,Fの上記権限にかんがみれば,同人が報奨金及び違約金について明確に定める同契約書の作成に応じたことにより,原・被告間に前提となる事実(3)記載の報奨金条項及び違約金条項のとおりの合意が成立した。
(ウ) Fに上記権限がなかったとしても,Fは,被告の専務を名乗り,自己の判断で機械業者等の取引業者と契約を締結するなど,被告の経営判断の最終決定権者として振る舞い,また,本件契約書をAに交付する際,「社長と相談し了承を得た」と明言した。
したがって,被告は,民法109条ないし110条により,原告に対し,前提となる事実(3)記載の報奨金条項及び違約金条項どおりの責任を負わなければならない。
(被告の主張)
ア 原・被告が本件コンサルタント契約を締結した事実はない。
被告は,A個人を釘師及びホールの支配人として雇用した。
イ(ア) Fは,平成16年9月ころ,Aから,被告の経理操作をするのに役立つ,大した書類ではないなどと言われて本件契約書への押印を求められ,内容を十分に確認することもBの了解を得ることも怠り,言われるままに会計事務の処理のために使用を許されていた被告の代表者印を押捺した。
(イ) Fは,被告の役員ではなく,本件契約書記載の内容の契約を締結する権限などなかった。
(ウ) 表見代理が成立するとの原告の主張は否認ないし争う。
Aは,本件契約書記載の内容の契約を締結する権限がFにないことを知っていた。
ウ Aは,Fを欺き,本来の契約とは全く内容の異なる本件契約書に被告の代表者印を押捺させた。
被告は,原告に対し,平成20年4月21日の本件口頭弁論期日において,本件契約書の作成により原・被告間に成立した契約を取り消すとの意思表示をした。
(2)  報奨金
(原告の主張)
平成17年10月1日から平成18年9月末日までの事業年度において,被告の機械粗利(売上金額-(交換玉単価×総交換玉数))が4億0338万1843円,景品粗利が4億0707万8874円(売上金額-(交換玉単価×総交換玉数×仕入率))となり,本件契約書2条が定める粗利目標を達成した。
よって,原告は,被告に対し,本件コンサルタント契約に基づき,報奨金3000万円の支払を求める。
(被告の主張)
原告の主張は否認ないし争う。
(3)  違約金
(原告の主張)
ア(ア) 被告が平成14年12月に「ニュー真岡」を改装して「ボンビヴァンプラス」を開店したことに伴い,Aにおいて,同店についてもコンサルタント業務を行うことになったので,報酬を月額100万円に増額してほしいとFに申し入れたところ,「しばらくは75万円で様子を見ることにしてほしい」と回答があり,ここにおいて,原・被告は,本件コンサルタント契約に基づく報酬を平成15年1月分から月額75万円とすることを合意した。
平成15年から平成17年にかけて被告の売上・利益が順調に伸びていったので,Aは,Fに対し,様子見とされていた報酬を同年10月分から月額100万円に増額してほしいと申し入れ,Fは,これを承諾した。
(イ) 本件コンサルタント契約は,平成19年9月1日,契約期間を平成20年8月末日までとして更新された。
イ 被告は,平成19年9月6日,原告に対し,一方的に同月末日をもって本件コンサルタント契約を解除するとの意思表示をした。
ウ よって,被告は,原告に対し,本件コンサルタント契約に基づき,残契約期間である平成19年10月1日から平成20年8月末日までの報酬1100万円を支払わなければならない。
(被告の主張)
ア Fは,被告の会計事務を担当していたが,Aが交通事故で重傷を負ったGの代わりを務めるとしか知らされていなかったこともあり,Aから,報酬を平成15年1月分から月額78万7500円(消費税込み)に増額するよう求められたときも,平成17年10月分から月額105万円(消費税込み)に増額するよう求められたときも,Bの了解済みのことと思い,要求どおりの金額を支払った。
イ Aは,勤務態度が悪く,従業員からも苦情が出ていたが,平成19年5月8日,常連客を「ゴト師」扱いしてトラブルを引き起こし,翌日になっても反省の色が見えなかったので,被告で人事を担当していたEが,Aに対し,解雇する旨を通告した。Aが通告を無視して時々店舗に出てきていたので,更なるトラブルを避けるため報酬だけは支払っていたが,支払を続けるにも限度があったため,CとFは,平成19年9月6日,Aに対し,出勤してもらっては困ると言い渡した。
第3  争点に対する判断
1  コンサルタント契約の成立について
(1)  証拠(甲8,乙1,2,8ないし11,22,証人F,同H,原告代表者本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
ア Bは,「パーラー百万弗」のパチンコ機の釘調整を担当していたが,平成13年3月に受けた前立腺肥大症の手術の術後経過が不良であったうえ,スロット機を担当しつつ同店を実質的に切り盛りしていたGが,同年6月,交通事故で骨盤骨折,両前腕骨折,左上腕骨折の重傷を負い,入院の長期化が予想されたため,同店の営業を続けるためには人員の補充が不可欠となった。
イ(ア) そこで,Bは,スロット機の売買の仲介等を業とする会社を経営する遠縁のH(以下「H」という。)に応援を求め,さらに,二女のEに人事課長,三女のFに専務,四女に総務課長の肩書を与え,被告が経営する店舗の管理・運営業務を分担させた。
(イ) Fは,就職の経験がなく,時に被告が経営する店舗の景品出しを手伝うくらいで,専ら家事に携わっていたが,上記の経緯で専務の肩書で被告の会計事務を処理することになり,登録印ではないものの被告の代表者印の使用を許され,以後,機械業者等との取引においては,これを契約書に押捺していた。
ウ(ア) Bは,Hが,スロット機には詳しいものの,パチンコ機の釘の調整ができなかったので,同人に対し,パチンコ機の釘の調整とホールの管理ができる人物を紹介してほしいと頼んだ。
(イ) Hは,平成13年7月,パチスロメーカーが開催した展示会で,かねて面識のあったAに出会ったので,「パーラー百万弗」の状況を説明して,ホールの管理等ができる人物を紹介してほしいと依頼した。
(ウ) Aは,平成13年8月,「パーラー百万弗」を訪ねて同店の状況を確認したうえ,同月23日,Hの同席のもと,Bと面談し,契約当事者が原告であるかA個人であるか,コンサルタント契約であるか否かはひとまずおいて,A・B間に,Aが同店の少なくとも釘師及びホールの支配人としての業務をこなし,これに対する報酬として被告が月額50万円を支給するとの合意が成立した。なお,このとき,Bは,Aから契約書の作成を求められたが,これまで人を使うに際して契約書の作成を求められたことがなかったので,「今後も含めて契約書は作成しない」と拒否した。
(エ) Aは,平成13年9月中旬以降,「パーラー百万弗」でパチンコ機の釘調整等に携わった。
エ 被告は,平成13年11月末,「パーラー百万弗」を改装して「ボンビヴァン」を開店したが,間もなくGも仕事に復帰し,Hとともにスロット機の管理や同店の運営に係わるようになった。
オ 被告は,平成14年12月,「ニュー真岡」を改装して「ボンビヴァンプラス」を開店し,ほどなくAが「ボンビヴァン」に加えて「ボンビヴァンプラス」のパチンコ機の釘調整等も行うことになったが,Fは,そのころ,Aから,平成15年1月分以降の報酬を月額78万7500円(消費税込み)に増額するよう求められ,これを了承した。平成17年にも,Fは,Aから,同年10月分以降の報酬を月額105万円(消費税込み)に増額するよう求められ,これを了承した。
カ 平成16年8月ないし同年9月,Aは,Fに対し,本件契約書への押印を求め,Fは,Aから受領した2通に会計事務の処理のために使用を許されていた被告の代表者印を押捺し,うち1通をAに交付した。
(2)  Aは,平成13年9月中旬以降,「パーラー百万弗」でパチンコ機の釘調整等に携わっているところ((1)ウ),原告は,原・被告間に同月1日付けで同店につき本件契約書にあるとおりの内容の本件コンサルタント契約が成立したと主張する。
そこで検討するに,(1)認定の事実によれば,原・被告間にAの稼働に係る契約が成立したとすれば,平成13年8月23日のAとBの面談時であったとしか考えられないが,Aの陳述書(甲8)を見ると,「コンサルティングの結果,業績が向上した場合には,成功報酬が発生することになるとはっきりB社長に伝えています。」という記載に続いて,「ただ,B社長が契約書の作成を渋ったこともあって,成功報酬についての条件や金額については,しっかりと協議を行うことができませんでした。私としては,成功報酬についてはっきりと確約をもらうためにも契約書を作っておきたかったのですが,やむをえませんでした。」との記載があり,また,Aは,本人尋問において,成功報酬があるということをBに説明したと供述しながら,原告代理人の「この段階で,具体的に,どういう目標で,幾らということまで決まったんですか。」という質問に対しては,「決まりませんでした。」と供述しており,これらの証拠によっては,同日の面談時に前提となる事実(3)記載の報奨金条項を含む本件契約書にあるとおりの内容の本件コンサルタント契約が原・被告間に成立したと認めることはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。また,本件全証拠をもってしても,平成13年8月23日の面談時に前提となる事実(3)記載の違約金条項ないしこれに関連する事項が話題になったことを認めるに足りない。
以上のとおりであるから,被告において,平成13年8月23日,Aないし原告との間で,Aの「パーラー百万弗」での稼働に係る契約を締結した事実は認められるものの,その契約の内容が前提となる事実(3)記載の報奨金条項及び違約金条項を含む本件契約書にあるとおりのものであったとは認められない。
(3)ア  (1)カ認定のとおり,平成16年8月ないし同年9月,Aは,Fに対し,本件契約書への押印を求め,Fは,Aから受領した2通に会計事務の処理のために使用を許されていた被告の代表者印を押捺し,うち1通をAに交付しているところ,原告は,仮に当初は報奨金及び違約金につき原・被告間に確定的な合意がなかったとしても,Fの権限にかんがみれば,同人が報奨金及び違約金について明確に定める同契約書の作成に応じたことにより,原・被告間に前提となる事実(3)記載の報奨金条項及び違約金条項のとおりの合意が成立したと主張する。
まず,原告は,Fが,本件契約書をAに交付する際,「社長と相談し了承を得た」と述べたと主張し,Aの陳述書(甲8)にはこれに沿う記載があるが,この記載は,平成13年8月23日にAの「パーラー百万弗」での稼働に係る契約が成立したとき,契約書の作成を求めるAに対して,Bが,これまで人を使うに際して契約書の作成を求められたことがなかったので,「今後も含めて契約書は作成しない」と拒否した事実((1)ウ)に照らし,にわかに信用することができず,他にFが本件契約書の作成につきBの承諾を得たこと及び同契約書をAに交付する際に「社長と相談し了承を得た」と述べたことを認めるに足りる証拠はない。
次に,原告は,Fは,専務の肩書どおり,被告における店舗経営の責任者であり,経営計画の策定や日常の業務遂行について広範な権限を有し,自己の判断で機械業者等の取引業者と契約を締結したり2度にわたるAからの報酬増額要請に応じるなど,店舗経営に必要な契約の締結につき最終決定権を有していたと主張する。
なるほど,Fは,登録印ではないが被告の代表者印の使用を許され,機械業者等との取引においては,これを契約書に押捺し,また,2度にわたってAの報酬増額要請に応じている((1)イ及びオ)。しかしながら,他方,Fは,就職した経験もなく,時に被告が経営する店舗の景品出しを手伝うくらいで,専ら家事に携わっていたところ,Gが交通事故で長期間の入院を余儀なくされたことなどから,「パーラー百万弗」の営業を継続するための人的な手当てとして,専務の肩書で被告の会計事務を担当することになったものであって((1)イ),かかる経緯に照らせば,Fが専務を称してから本件契約書に被告の代表者印を押捺するまでに3年余が経過しているが,この間にパチンコ店の経営に必要な契約の締結について最終決定できるだけの知識が身に付いたとはにわかに信じ難い。また,機械業者等との取引における契約書の作成であるが,大きな比重を占める遊技機の導入についていえば,Fは,遊戯機につき格別の知識はなく,A,G及びHらが導入すべき機種を選択し,その選択に従って契約書を作成していたにすぎない(乙8ないし11,証人F,同H)。Aの報酬増額要請に応じた件についても,平成15年1月分以降の78万7500円(消費税込み)への増額については,Fは,Aから,「社長には自分から話しておく」などと言われ,Bの了解があるものと思い込み,増額に応じたことが認められ(乙9,証人F),平成17年10月分からの105万円(消費税込み)への増額については,脱税を意図してAから架空の領収証を受け取ったことへの後ろめたさがあったため,Bに相談できないまま増額に応じたことが認められ(乙9,12ないし16,20,証人F),Aに支給する報酬額の決定権限がFにあったとは認められない。これらの事実に照らして考えると,機械業者等との取引においてFが被告の代表者印を契約書に押捺していたなどの事実から,Fが,被告における店舗経営の責任者であり,店舗経営に必要な契約の締結につき最終決定権を有していたことを推認することはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。
したがって,Fには,被告を代理して,原告との間で,本件契約書を取り交し,その内容どおりの契約を締結する権限はなかったものであり,Fが同契約書の作成に応じたことにより,原・被告間に本件契約書にあるとおりの内容の本件コンサルタント契約が成立したとも,前提となる事実(3)記載の報奨金条項及び違約金条項のとおりの合意が成立したとも認めることはできない。
イ  原告は,Fに,被告を代理して,原告との間で,本件契約書を取り交し,その内容どおりの契約を締結する権限がなかったとしても,Fは,被告の専務を名乗り,自己の判断で機械業者等の取引業者と契約を締結するなど,被告の経営判断の最終決定権者として振る舞い,また,本件契約書をAに交付する際,「社長と相談し了承を得た」と明言しているので,被告は,民法109条ないし110条により,原告に対し,前提となる事実(3)記載の報奨金条項及び違約金条項どおりの責任を負わなければならないと主張する。
しかし,Aは,Fが本件契約書に被告の代表者印を押捺した平成16年8月ないし同年9月時点まで,被告が経営するパチンコ店の運営に約3年係わってきたものであって,その間,Fの仕事ぶりを間近で見てきたのであるから,Fに,被告を代理して,原告との間で,本件契約書を取り交し,その内容どおりの契約を締結する権限がなかったことを知っていたといわざるを得ない。
したがって,被告が,民法109条ないし110条により,原告に対し,前提となる事実(3)記載の報奨金条項及び違約金条項どおりの責任を負うことはない。
2  以上によれば,前提となる事実(3)記載の報奨金条項及び違約金条項を含む本件契約書にあるとおりの内容の本件コンサルタント契約が原・被告間に成立したと認めることはできないから,その余の点について検討するまでもなく,原告の請求は理由がない。
よって,主文のとおり判決する。
(裁判官 大島淳司)

 

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