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判例リスト「完全成功報酬|完全成果報酬 営業代行会社」(247)平成22年 7月29日 東京地裁 平20(ワ)29035号 損害賠償請求事件

判例リスト「完全成功報酬|完全成果報酬 営業代行会社」(247)平成22年 7月29日 東京地裁 平20(ワ)29035号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成22年 7月29日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平20(ワ)29035号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2010WLJPCA07298012

要旨
◆原告らが、被告らに対し、詐欺によって未公開株である被告M社株式を購入させられたなどと主張して、不法行為に基づく損害賠償等を請求した事案において、被告W社が原告らの取次ぎとして自ら被告M社株式を購入したと認めた上で、被告W社の代表取締役である被告Y1や被告M社の代表取締役である被告Y2が原告らに対して被告M社株式が近く確実に上場するなどとして欺罔行為を行ったとは認められないし、被告W社が営利の目的でグリーンシート銘柄以外の未公開株である被告M社株式の取次行為を行ったものとはいえないなどとし、不法行為の成立を否定するなどして、請求を棄却した事例

参照条文
民法96条1項
民法703条
民法709条
民法719条
商法502条11号

裁判年月日  平成22年 7月29日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平20(ワ)29035号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2010WLJPCA07298012

当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり

 

 

主文

1  原告らの請求をいずれも棄却する。
2  訴訟費用は原告らの負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
1  被告らは,原告X1(以下「原告X1」という。)に対し,連帯して,2000万円及びこれに対する訴状送達日の翌日(被告株式会社ワールド・クリエイティブ〔以下「被告ワールド」という。〕につき平成20年10月28日,被告Y1〔以下「被告Y1」という。〕につき同年11月11日,被告モバイルキャスト株式会社〔以下「被告モバイル」という。〕につき同年10月23日,被告Y2〔以下「被告Y2」という。〕につき同年11月1日)から,それぞれ支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。
2  被告らは,原告X2(以下「原告X2」という。)に対し,連帯して,800万円及びこれに対する訴状送達日の翌日(被告ワールドにつき平成20年10月28日,被告Y1につき同年11月11日,被告モバイルにつき同年10月23日,被告Y2につき同年11月1日)から,それぞれ支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
本件は,上場を予定しているといわれながら未だこれを果たしていない被告モバイルのいわゆる未公開株を,それぞれその所有者であった被告モバイルの代表取締役たる被告Y2から,被告ワールドを代理人として購入し,その対価を支払ったと主張する原告らが,(1)前記各売買契約は,被告Y2と,被告ワールド代表取締役たる被告Y1の共謀による詐欺(上場見込みがないのにこれがある等と欺罔した行為)によってなされたとする共同不法行為責任(代表者の職務執行に伴う不法行為に関する会社としての損害賠償責任又は悪意重過失で会社の職務行為を行った取締役としての損害賠償責任を選択的に主張),もしくは(2)リスクの高い未公開株を,証券業登録をしていない被告ワールドの売買又は売買代理によって売りつけた行為自体の共同不法行為責任(代表者の職務執行に伴う不法行為に関する会社としての損害賠償責任又は悪意重過失で会社の職務行為を行った取締役としての損害賠償責任を選択的に主張)を主張して,被告らに対し,前記未公開株の各購入代金相当額の損害賠償金の連帯支払を求め,また(3)前記(1)の詐欺を理由とする売買契約取消を前提として,前記購入代金相当額の被告Y2又は被告ワールドに対する不当利得返還請求を行ったのに対し,被告らが,その欺罔行為(虚偽発言)も欺罔の故意も共謀の存在も否定し,また未公開株の売買又は売買代理行為の違法性自体を否定して,その損害賠償責任及び不当利得返還義務を全面的に争った事案である。
第3  前提事実
以下の事実は,当事者間に争いがないか,証拠及び弁論の全趣旨(詳細は本文中の括弧内に示す。なお,争いのない事実であっても,基本的な書証は参照として括弧内に表示した。)によって容易に認定することができる。
1  原告X1(昭和○年○月生)は,大学を卒業後,日立の子会社に入社して海外の駐在員を務めた後,米国ニューヨークの上場会社たるエマーソンレシオに入社してその副社長,次いで香港社長を務め,さらに音響メーカーである山水電気の取締役副会長に2年間就任した後,平成17年ころから,アメリカのメムコープ社のアジア法人(Memcorp Asia Limited)の社長となり,主として香港,中国からオーディオ機器等を買い付けて,アメリカ,カナダに販売するという会社事業の経営にあたっている者である(原告X1,弁論の全趣旨〔被告ワールド及び被告Y1第2準備書面〕)。
原告X1は,平成元年ころから,主に上場株式を中心として,3000万円ないし4000万円程度の規模で,株式取引経験を有している(原告X1)。
2  原告X2(昭和○年○月生)は,大学を卒業後,博報堂,三井物産でそれぞれ数年程度働いた後,自ら米国ニューヨークでレストラン事業を営む会社を経営するようになり,平成7年ころからは日本と米国を行き来するようになる中で,現在では,スポーツ選手等のマネージメント業務等を行うスーパーエージェント社の代表取締役として,その経営にあたるようになった者である(原告X2,丙15,弁論の全趣旨〔被告ワールド及び被告Y1第2準備書面〕)。
原告X2は,過去10年位の間に,インターネットを通じて,100万円以内位の資産規模で,一部上場会社の現物株の売買取引をした経験が少なくとも数回程度はあるほか,平成13年ころには,大学時代の後輩から,良い株だと勧められて未公開株を購入したものの,上場せずに200万円程の損失を被ったという経験がある(原告X2)。
3  被告ワールドは,不動産の売買,賃貸,管理及び仲介業等を目的とする株式会社であり,被告Y1はその代表取締役である(甲24,被告Y1)(以下,被告ワールドと被告Y1を併せて「被告ワールドら」という。)。
被告Y1は,平成17年当時,原告X1の息子である訴外A(以下「A」という。)と,友人として親しく付き合っており(争いなし),Aが代表取締役を務めていた訴外株式会社ゲージデザイン(ゴルフ用品の製造,販売及び輸出入等を目的とした株式会社,以下「ゲージデザイン」という。)において,平成16年7月31日から平成17年2月21日までは監査役を,また同日以降は取締役の一人を務めていた。なお,ゲージデザインは,平成19年5月25日に破産手続開始決定を受け,現在は解散している(甲13)。
4  被告モバイルは,電気通信器械器具の製造・販売等を目的として,平成14年7月15日に設立された株式会社であり,被告Y2はその代表取締役である(弁論の全趣旨〔被告モバイルの履歴事項全部証明書〕)(以下,被告モバイルと被告Y2を併せて「被告モバイルら」という。)。
被告モバイルは,平成17年当時,ブルートゥース(bluetooth)機能(数メートルから数十メートルまでの距離の情報機器間で,電波を使って簡易な情報のやりとりを行う機能)を用いることで,携帯電話機,車載用電話機,パソコン,オーディオ機器等に対するリモート・コントロール機能を備えたワイヤレス・イヤホンや,車載用ハンズフリー機器等といった,ブルートゥース機能を備えた携帯電話機,オーディオ製品等の周辺機器の製造販売を主力事業としていた(乙8,14,15,丙13)。
5  被告モバイルの株式は,同社の設立当初から現在まで上場されたことはなく(争いなし),また日本証券業協会が取引禁止の自主規制の対象外としている,いわゆるグリーンシート銘柄の株式に指定されたこともなく,その取引の気配値も公表されていなかった(甲15の1,2,甲16の1,2,被告Y2,弁論の全趣旨〔原告ら準備書面(5)〕)。
なお,被告モバイルは,株券発行会社ではあるが,その株式の譲渡を行うにあたっては,取締役会の承認を必要とする旨の譲渡制限が付されている(弁論の全趣旨〔被告モバイルの履歴事項全部証明書〕)。
6  原告X1は,被告ワールドとの間で,平成17年4月25日ころ,「株式取得に関する覚書」なる表題を付し,要旨以下の約定の記載を含む契約書を作成し,もって同契約書に基づく契約(以下「X1覚書契約」という。)を締結した(甲1)。
(1)被告ワールドは,原告X1のために,被告モバイルの発行済株式400株を代理として取得するものとする。前記株式の本来の名義人は,出資者である原告X1であり,被告ワールドは原告X1に対して前記株式の株主の名義を貸すものとする。
(2)原告X1は,被告ワールドに対し,前記株式取得の前日までに前記株式の取得価額金2000万円を支払うものとする。
(3)被告ワールドは,前記株式の売却可能な期日到来をもって原告X1の指示によりこれを売却するものとする。ただし,その際名義人の被告ワールドが負担する公租公課及び売却に係わる諸費用の支払額を売却額から差し引いた金額を原告X1に支払うことにより,被告ワールドの原告X1に対する一切の債務を履行したものとする。
7  原告X1は,平成17年4月25日,被告ワールドに対し,X1覚書契約に基づく,被告モバイルの株式400株の取得資金として,2000万円を送金した(丙16の2,甲2,弁論の全趣旨〔訴状,被告ワールドら答弁書〕)。
8  原告X2は,被告ワールドとの間で,平成17年12月28日ころ,「株式取得に関する覚書」なる表題を付し,X1覚書契約と同一の書式で,ただ取得株式数を100株,原告X2が被告ワールドに支払うべき株式の取得価額金額を800万円とする内容の契約書を作成し,もって同契約書に基づく契約(以下「X2覚書契約」という。)を締結した(甲3)。
9  原告X2は,平成17年12月28日ころ,被告ワールドに対し,X2覚書契約に基づく,被告モバイルの株式100株の取得資金として,800万円を送金した(甲6,弁論の全趣旨〔訴状,被告ワールドら答弁書〕)。
10  他方,被告モバイルは,平成17年5月26日ころ,被告ワールドの請求により,2300株分の100株券23枚(株券番号第1-0099~0121号)を新しく発行し,これを被告ワールドに交付したことがあり(被告Y2,被告Y1,乙27~29),被告ワールドは,これらの株券の中から,原告X1に対しては,遅くとも平成19年9月ころ,100株券4枚(株券番号第1-0118~0121号)を交付し,また原告X2に対しては,遅くとも平成18年2月ころ,100株券1枚(株券番号第1-0099)を交付した(甲7の1~4,甲8,原告X1,原告X2)。
第4  当事者の主張
1  請求原因
(1)原告X1に対する詐欺(上場見込みあるものと欺罔させて未公開株取得代金名目で金員を騙取した行為)による共同不法行為責任等
ア 被告Y1は,Aに対し,以下のように発言して,被告モバイルの株式を,Aの実父である原告X1に購入してもらえるよう勧誘した。
(ア)平成17年2月ころ,①被告モバイルは同年6月から10月までの間に確実に上場すること,②被告モバイルは上場基準を満たしていること,③被告モバイルの上場につき主幹事証券会社及び監査法人が決定していること,④主幹事証券会社及び監査法人も,被告モバイルが上場基準を満たしていることを確認していること,⑤被告モバイルが上場すれば,その株価は10倍以上になること等を述べた。
(イ)平成17年3月ころ,①被告モバイルの平成16年(平成17年3月期)の年間売上は30億円から40億円であったこと,②被告モバイルは,自動車レースであるフォーミュラジャパンのスポンサーとして,年間2億円から3億円を支払っているが,この金額は被告モバイルの年間利益の2割から3割程度であること,すなわち,被告モバイルの平成16年(平成17年3月期)の年間利益は10億円以上であったこと,③被告モバイルの商品が売れすぎて,商品の仕入資金が不足している状態であること等を述べた。
(ウ)平成17年4月ころ,①ビックカメラの社長も被告モバイルに投資するので,被告Y1は同社社長と何回も会っていること,②被告モバイルは韓国でも事業展開することが決まっていること等を述べた。
イ 被告Y2は,平成17年2月初めころ,赤坂のホテルで会った際,Aに対し,被告モバイルは同年8月か9月には確実に上場する旨述べた。
ウ Aは,被告Y1及び被告Y2から聞かされた上記ア,イの説明が真実であると思い込み,平成17年2月から4月にかけて,実父である原告X1に対し,その内容をそのまま伝えた。
エ 原告X1は,Aからの前記説明を聞いて被告モバイルに興味を持ち,平成17年2月16日,被告モバイルがウェスティンホテル東京で開催した新商品発表会に参加したところ,その席上で,被告Y1及び被告Y2が,原告X1に対し,被告モバイルは今年(平成17年)中には確実に上場する旨述べた。
オ 原告X1は,上記ウのAの説明及び上記エの被告Y1と被告Y2の説明により,被告モバイルの株式は,平成17年中に確実に上場するものと認識した。
カ そこで原告X1は,平成17年4月25日ころ,被告Y1が代表者を務める被告ワールドとの間で,X1覚書契約を締結し,もって被告ワールドが,原告X1に代理して,株式400株を買い付けることを委任し,前記株式の取得代金として2000万円を被告ワールドに預託した。
キ(ア)被告ワールドは,平成17年5月26日ころまでに,原告X1を代理して,被告Y2との間で,被告モバイルの株式400株を代金2000万円で購入する旨の売買契約(以下「X1売買契約」という。)を締結し,2000万円を被告Y2に支払った。
(イ)仮にそうでないとしても,被告ワールドは,平成17年5月26日ころまでに被告ワールドが被告Y2から購入した被告モバイルの株式400株を,そのころ代金2000万円で原告X1に譲渡した。
ク ところが,上記ア,イ,エの被告Y1又は被告Y2の説明内容はその全部又は少なくともその重要部分が虚偽であり,被告モバイルは,平成17年4月当時,上場に向けた準備行為すら行っておらず,客観的に,同社が同年中に上場できる見込みは全く無かった。
ケ 被告Y1と被告Y2は,被告モバイルに上場見込みがないという事実を知りながら,共謀して,上記ア,イ,エのような虚偽の事実をA又は原告X1に述べてその旨誤信させ,株式取得代金名目で2000万円を騙し取ったものである。
コ 被告モバイルに上場の見込みはなく,その株式は全くの無価値物であるから,原告X1は,被告モバイルの株式400株の取得代金2000万円全額につき,損害を被った。
サ 被告Y1は被告ワールドの代表取締役であり,被告Y1の前記詐欺行為は,被告ワールドがX1覚書契約,X1売買契約を締結し,原告X1のために被告モバイル株式を購入するに際して行われたものである。とすれば,被告Y1の行為は被告ワールドの職務を行うについてなした詐欺行為というべきであるし,同時に被告Y1は,被告ワールドの代表取締役としての職務を行うにつき,悪意又は少なくとも重過失を有していたといえる。他方で被告ワールドは,自ら不法行為の実行行為を行ったものというべきである。
シ また被告Y2は被告モバイルの代表取締役であり,被告Y2の前記詐欺行為は,被告モバイルがその資金調達の一環として,被告Y2が所有していた被告モバイルの株式を売却したX1売買契約の締結又は被告ワールドへの株式譲渡に際して行われたものであり,被告Y2は実際にその売却代金のうちの少なくとも一部を被告モバイルに貸し付けていた。とすれば,被告Y2の行為は被告モバイルの職務を行うについてなした詐欺行為というべきであるし,同時に被告Y2は,被告モバイルの代表取締役としての職務を行うにつき,悪意又は少なくとも重過失を有していたといえる。他方で被告モバイルは,自ら不法行為の実行行為を行ったものというべきである。
ス また原告X1は,原告ら平成20年12月9日付準備書面(1)により,被告ワールド及び被告Y2に対し,詐欺を理由に,X1覚書契約及びX1売買契約をいずれも取り消す旨の意思表示をした。
セ よって,原告X1は,被告らに対し,詐欺行為につき,民法709条,710条の共同不法行為責任に基づき,また選択的に被告Y1及び被告Y2に対しては,平成17年法律第87号(施行日平成18年5月1日)による改正前の商法(以下「旧商法」という。)266条の3にかかる取締役の第三者に対する損害賠償責任として,さらに選択的に被告ワールド及び被告モバイルに対しては,各代表者がその職務を行うにあたり原告X1に損害を与えたことにつき,旧商法261条,78条2項,平成18年法律第50号(施行日平成20年12月10日)による改正前の民法(以下「旧民法」という。)44条1項による会社としての損害賠償責任に基づき,損害金2000万円とこれに対する不法行為の日の後であることが明らかな各訴状送達日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める。
ソ また,原告X1は,被告Y2又は被告ワールドに対しては選択的に,詐欺取消による不当利得返還請求として,法律上の原因なく原告X1の損失において被告Y2又は被告ワールドが保有している利得金2000万円とこれに対する請求後である訴状送達日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。
なお,被告ワールドに対する不当利得返還請求は,時機に後れたものではない。原告らはもともと被告らの詐欺行為の被害者であるから,被告らの内部関係は十分把握できておらず,被告Y2に対する不当利得返還請求を主張した際にも,被告らの内部関係によっては,不当利得返還請求の相手方に変動が生じ得ることを留保していた。そして,被告Y1や被告Y2の本人尋問終了後に検討した結果,被告ワールドの従前の説明が虚偽のものであり,被告ワールドは原告らを代理して被告Y2との間の売買契約を締結したのではない可能性が出てきたために,予備的に被告ワールドに対する不当利得返還請求を追加せざるを得なかったものである。万一時機に後れているとしても,この点の請求原因事実を追加しても,訴訟の完結を遅延させるものとはならないから却下の対象とされるべきではない。また被告ワールドに対する不当利得返還請求は,被告ワールドが,原告らを代理して被告Y2から被告モバイル株を購入するという従前の主張が虚偽であった場合に限り認められ得るものであり,自ら虚偽の説明をして原告らの主張構成を誤らせておきながら,攻撃防御方法の却下を求めることは,信義則に反して許されない。
(2)原告X2に対する詐欺(上場見込みあるものと欺罔させて未公開株取得代金名目で金員を騙取した行為)による共同不法行為責任等
ア 被告Y1は,平成17年2月ころから12月ころにかけて,月に一,二度ゴルフをしたり,週に何度も食事を共にした際などに,原告X2に対し,①被告モバイルは近い時期に確実に上場すること,②被告モバイルは上場基準を満たしていること,③被告モバイルの上場につき主幹事証券会社及び監査法人が決定していること,④主幹事証券会社及び監査法人も,被告モバイルが上場基準を満たしていることを確認していること,⑤被告モバイルが上場すれば,その株価は少なくとも20倍から30倍になること,⑥被告モバイルの平成16年(平成17年3月期)の年間売上は40億円から50億円であったこと,⑦被告モバイルは,自動車レースであるフォーミュラジャパンのスポンサーとして,年間2億円から3億円を支払っているが,この金額は被告モバイルの年間利益の2割から3割程度であること,すなわち,被告モバイルの平成16年(平成17年3月期)の年間利益は10億円以上であったこと,⑧被告モバイルは韓国でも事業展開することが決まっていること,⑨被告モバイルの製品については,既に20万台から30万台の発注を受けていること等を述べて,被告モバイルの株式を購入するよう勧誘した。
イ 被告Y2は,平成17年秋ころに会った際,原告X2に対し,①被告モバイルは近い時期に確実に上場すること,②上場したときの株価を上げるため,テレビや雑誌に広告を出し,被告モバイルの周知性を高めていること,③被告モバイルの平成16年の年間売上は40億円から50億円であったこと,④被告モバイルは,自動車レースであるフォーミュラジャパンのスポンサーとして,年間2億円から3億円を支払っているが,この金額は被告モバイルの年間利益の2割から3割程度であるので,広告費と考えれば安いものであること⑤被告モバイルは,既存の事業に加えて,新規事業(人体の血流が分かるシステムについて特許を取り,事業化するというもの)を立ち上げており,この新規事業についての年間売上が40億円から50億円見込めること,⑥被告モバイルは上場後にフォーミュラワン(F1)のスポンサーになることを述べた。
ウ 原告X2は,上記ア,イの被告Y1及び被告Y2の説明により,被告モバイルの株式は,近い将来確実に上場するものと認識した。
エ そこで原告X2は,平成17年12月28日ころ,被告Y1が代表者を務める被告ワールドとの間で,X2覚書契約を締結し,もって被告ワールドが,原告X2に代理して,株式100株を買い付けることを委任し,前記株式の取得代金として800万円を被告ワールドに預託した。
オ(ア)被告ワールドは,平成17年12月28日,原告X2を代理して,被告Y2との間で,被告モバイルの株式100株を代金800万円で購入する旨の売買契約(以下「X2売買契約」という。)を締結し,800万円を被告Y2に支払った。
(イ)仮にそうでないとしても,被告ワールドは,平成17年5月26日ころまでに被告ワールドが被告Y2から購入した被告モバイルの株式100株を,平成17年12月28日ころ,代金800万円で原告X2に譲渡した。
カ ところが,上記ア,イの被告Y1又は被告Y2の説明内容はその全部又は少なくともその重要部分が虚偽であり,被告モバイルは,平成17年12月当時,上場に向けた準備行為すら行っておらず,客観的に,同社が同年中に上場できる見込みは全く無かった。
キ 被告Y1と被告Y2は,被告モバイルに上場見込みがないという事実を知りながら,共謀して,上記ア,イのような虚偽の事実を原告X2に述べてその旨誤信させ,株式取得代金名目で800万円を騙し取ったものである。
ク 被告モバイルに上場の見込みはなく,その株式は全くの無価値物であるから,原告X2は,被告モバイルの株式100株の取得代金800万円全額につき,損害を被った。
ケ 被告Y1は被告ワールドの代表取締役であり,被告Y1の前記詐欺行為は,被告ワールドがX2覚書契約,X2売買契約を締結し,あるいは原告X2に被告モバイル株式を譲渡するに際して行われたものである。とすれば,被告Y1の行為は被告ワールドの職務を行うについてなした詐欺行為というべきであるし,同時に被告Y1は,被告ワールドの代表取締役としての職務を行うにつき,悪意又は少なくとも重過失を有していたといえる。他方で被告ワールドは,自ら不法行為の実行行為を行ったものというべきである。
コ また被告Y2は被告モバイルの代表取締役であり,被告Y2の前記詐欺行為は,被告モバイルがその資金調達の一環として,被告Y2が所有していた被告モバイルの株式を売却したX2売買契約の締結又は被告ワールドへの株式譲渡に際して行われたものであり,被告Y2は実際にその売却代金のうちの少なくとも一部を被告モバイルに貸し付けていた。とすれば,被告Y2の行為は被告モバイルの職務を行うについてなした詐欺行為というべきであるし,同時に被告Y2は,被告モバイルの代表取締役としての職務を行うにつき,悪意又は少なくとも重過失を有していたといえる。他方で被告モバイルは,自ら不法行為の実行行為を行ったものというべきである。
サ また原告X2は,原告ら平成20年12月9日付準備書面(1)により,被告ワールド及び被告Y2に対し,詐欺を理由に,X2覚書契約及びX2売買契約をいずれも取り消す旨の意思表示をした。
シ よって,原告X2は,被告らに対し,詐欺行為につき,民法709条,710条の共同不法行為責任に基づき,また選択的に被告Y1及び被告Y2に対しては,旧商法266条の3にかかる取締役の第三者に対する損害賠償責任として,さらに選択的に被告ワールド及び被告モバイルに対しては,各代表者がその職務を行うにあたり原告X2に損害を与えたことにつき,旧商法261条,78条2項,旧民法44条1項による会社としての損害賠償責任に基づき,損害金800万円とこれに対する不法行為の日の後であることが明らかな各訴状送達日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める。
ス また,原告X2は,被告Y2又は被告ワールドに対しては選択的に,詐欺取消による不当利得返還請求として,法律上の原因なく原告X2の損失において被告Y2又は被告ワールドが保有している利得金800万円とこれに対する請求後である訴状送達日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。
なお,被告ワールドに対する不当利得返還請求が,時機に後れたものではないことは,原告X1が主張するとおりである。
(3)未公開株取引行為(無登録の被告ワールドによる証券業取引としてのグリーンシート銘柄以外の未公開株の売買又は売買代理行為)自体の違法性を理由とする共同不法行為責任等
ア 被告ワールドは,平成17年当時,銀行その他の金融機関でもないのに,証券業の営業につき内閣総理大臣の登録を受けることなく,有価証券の売買もしくはその媒介,取次,代理等を行う営業(証券業平成18年法律第65号による改正前〔平成19年9月30日施行〕の証券取引法〔以下「証取法」という。〕2条8項1号2号)を行い,もって証取法28条で禁止されている証券業を行っていた。
なお,被告ワールドは商人たる株式会社であるから,同被告が行う行為はすべて営業のためにするものと認められ,また被告ワールドは,原告らのみならず他にも複数の者らに対して被告モバイル株の売買又は売買代理行為を行っていたから,証券業を行っていたことは明らかである。
イ 被告ワールドは,平成17年4月25日ころX1覚書契約を締結し,また同年12月28日ころX2覚書契約を締結し,原告らを代理して,被告モバイルの株式を被告Y2から購入し,あるいは自己が所有していた被告モバイルの株式を,原告らに転売した。
ウ 被告モバイルの株式は,上場しておらず,いわゆるグリーンシート銘柄に指定されたこともない,未公開株式であって,客観的な価値を評価することが極めて困難である。
エ 無登録で証券業を営む者が,グリーンシート銘柄以外の未公開株について,その売買,売買の媒介,取次,代理といった行為を行うことは,それ自体が極めて違法性が高く,公序良俗に反する違法な行為として,それ自体が不法行為にあたる。
よって,被告ワールドは,かかる行為によって生じた損害については,当然にその賠償義務を負う。
オ 被告モバイルに上場の見込みはなく,その株式は全くの無価値物であるから,原告X1は,被告モバイルの株式400株の取得代金2000万円全額につき,また原告X2は,被告モバイルの株式100株の取得代金800万円全額につき,損害を被った。
カ 被告Y1は,被告ワールドの代表取締役であり,被告ワールドが行った前記違法な証券業行為を自ら行っていたのであるから,旧商法266条3により,前記行為によって生じた損害につき,その賠償義務を負う。
キ 被告Y2は,被告ワールドが証券業について無登録の会社であること,被告モバイルの株式がグリーンシート銘柄以外の未登録株式であることを認識しながら,被告Y1と共謀して,被告Y2が保有していた被告モバイルの株式を一旦被告ワールドに取得させ,被告ワールドを通じて原告らに売却したものであるから,共同不法行為者として,民法709条,719条によりその損害賠償義務を負う。
また被告Y2は,被告モバイルの職務を行うについて,悪意又は少なくとも重過失があったものであるから,旧商法266条の3により,損害賠償義務を負う。
ク 被告モバイルは,被告Y2が,被告モバイルの資金調達の一環として共同不法行為を行ったのであるから,被告モバイルもまた,共同不法行為者として,民法709条,719条によりその損害賠償義務を負う。
また前示のとおり,代表取締役たる被告Y2が,被告モバイルの職務を行うについて原告らに損害を与えている以上,被告モバイルは,旧商法261条,78条2項,旧民法44条1項による会社としての損害賠償義務を負う。
ケ よって,原告らは,被告らに対し,証取法に違反して,極めて危険性の高いグリーンシート銘柄以外の被告モバイルの未公開株の売買,その代理といった公序良俗違反行為を行ったことにつき,民法709条,710条所定の共同不法行為責任として,また選択的に被告Y1及び被告Y2に対しては,旧商法266条の3にかかる取締役の第三者に対する損害賠償責任として,さらに選択的に被告ワールド及び被告モバイルに対しては,各代表者がその職務を行うにあたり原告らに損害を与えたことにつき,旧商法261条,78条2項,旧民法44条1項による会社としての損害賠償責任に基づき,原告X1につき損害金2000万円,原告X2につき損害金800万円と,それぞれこれらに対する不法行為の日の後であることが明らかな各訴状送達日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める。
2  請求原因に対する被告ワールドらの認否等
(1)請求原因(1)(原告X1への詐欺による共同不法行為責任等)について
被告Y1がAに対して述べたとされる発言内容ア(ア)ないし(ウ)のうち,(ア)③の事実(被告モバイルの上場につき主幹事証券会社及び監査法人が決定していること),(イ)②のうち,被告モバイルが,フォーミュラジャパンのスポンサーをしていること,同③のうち,商品の仕入資金が不足していることを,Aに話したことがあるのは認めるが,その余の発言をした事実及びAを通じて原告X1に対し被告モバイル株の購入を勧誘した事実は否認する。同イ,ウは知らない。同エのうち,平成17年2月16日のウェスティンホテル東京での被告モバイル開催の新商品発表会に原告X1が出席し,被告Y2と数分同席したことがあったのは認めるが,その余は否認する。同オは否認する。同カ(X1覚書契約の締結),キ(ア)のうち,原告X1が2000万円を被告ワールド経由で被告Y2に支払い,被告モバイルの株式400株を取得したことは認める。同クは争う。なお,平成17年当時,被告モバイルの上場につき主幹事証券会社及び監査法人が決定していたことは事実であり,被告Y1は,当時被告モバイルが近く上場するものと期待していた。同ケの事実は否認し,その主張は争う。同コないしスは争う。
なお,請求原因(1)のうち,被告ワールドに対する不当利得返還請求は,時機に後れた攻撃方法として,却下されるべきである。すなわち,原告らは,平成20年10月14日の本訴提起後,1回の口頭弁論期日と12回もの弁論準備手続期日,さらに2回の人証調べのための口頭弁論期日を終え,最終弁論期日が予定されていた平成22年5月17日のわずか1週間程前に,最終の準備書面としてその準備書面(7)を提出するに伴い,初めて被告ワールドに対する不当利得返還請求を追加したものであり,その主張が,本来主張を尽くすべき時機に大きく後れたものであることは明らかである。
(2)請求原因(2)(原告X2への詐欺による共同不法行為責任等)について
被告Y1が原告X2に対して述べたとされる発言内容アは全部否認する。被告Y1は,そもそも原告X2に対し,被告モバイルの株式購入を勧誘したり,これについて説明した事実は全くない。原告X2は,自ら被告モバイルの株式を購入することを希望して,第三者を通じて被告Y1にその買付を依頼してきたものである。同イ,ウは知らない。同エ(X2覚書契約の締結),オ(ア)のうち,原告X2が800万円を被告ワールド経由で売主に支払い,被告モバイルの株式100株を取得したことは認める。ただし,この時点での被告モバイル株式100株の売主は,被告Y2ではなく,Aである。同カは争う。なお被告Y1は,当時,被告モバイルが近く上場するものと期待していた。同キの事実は否認し,その主張は争う。クないしコは争う。
なお,請求原因(2)のうち,被告ワールドに対する不当利得返還請求が,時機に後れた攻撃方法として却下されるべきであることは,原告X1の請求に対する反論において主張したとおりである。
(3)請求原因(3)(未公開株取引自体の違法性を理由とする共同不法行為責任等)について
請求原因(3)アのうち,平成17年当時の被告ワールドが,金融機関でもなく,証券業の営業につき内閣総理大臣の登録を得ていなかったことは認めるが,被告ワールドが証券業を行ったことは否認し,争う。証券業は,単に有価証券の売買やその代理等を行うことのみならず,これらの行為について,営業すること,すなわち,営利目的を有しているという営利目的性と,不特定多数の者を相手に取引を行うという対公衆性の要件を充足して初めて「証券業」にあたると定義されているのであり,そもそも被告ワールドのように,特定少数の面識ある者に対して,手数料や報酬金を得ることなく,有価証券の売買やその代理等といった仲介的行為を行うことは,証券業にはあたらない。被告ワールドが商人であることを理由に,前記取引が営業行為にあたるとする主張は争う。同イのうち,X1覚書契約,X2覚書契約の締結と,被告ワールドが原告X1を代理して被告Y2からモバイル株400株を購入したことは認める。また被告ワールドは,原告X2を代理してモバイル株100株を購入したことはあったが,その売主は被告Y2ではなくAである。同エの主張は争う。同カないしキの各主張は争う。
3  請求原因に対する被告モバイルらの認否
(1)請求原因(1)(原告X1への詐欺による共同不法行為責任等)について
請求原因(1)アは知らない。同イは否認する。同ウは知らない。同エのうち,原告X1が,被告モバイル主催のウェスティンホテル東京で開催した新商品発表会に出席し,その際被告Y2が原告X1と顔を合わせたことは認めるが,その際,被告Y2が原告X1に対し,被告モバイルは今年(平成17年)中に確実に上場する旨述べたことは否認する。なお,仮に被告Y2がかかる趣旨の発言をしたことがあったとしても,当時の被告Y2は,原告X1に被告モバイル株の購入を勧誘したことなどなく,そもそも同原告が被告モバイル株の購入希望者であることすら知らなかったものであり,単に新商品発表会に多数出席していた客の一人に過ぎなかった原告X1に対し,被告モバイルが同年中に上場する旨話したことがあったからといって,それが原告X1に対する欺罔行為となる余地など全くない。同オ,カは知らない。同キ(ア)は否認する。被告Y2は,原告X1との間で被告モバイルの株式400株の売買契約をしたことはないし,被告ワールドが原告X1のためにすることを示して被告Y2との間の売買契約をしたこともない。被告Y2は,あくまでも被告ワールドに対し,平成17年5月26日ころまでに被告モバイルの株式合計2300株を,1株5万円にて,4回位に分けて売却したものに過ぎない。同キ(イ)は知らない。被告ワールドが,被告Y2から購入した株式2300株を,原告X1を含む第三者に対して転売したか否かは知らないし,そもそも被告ワールドからは,最初から転売予定でこれらの株式を購入するものであることは聞かされていなかった。ただし,原告X1からは,その後名義書換の要望が出されたことを契機として,被告ワールドから転売された事実を知っただけである。同クのうち,被告Y2の説明内容が虚偽であったとする点,平成17年4月当時の被告モバイルが上場に向けた準備行為を行っていなかったことは否認し,その余の主張は争う。平成17年4月から平成18年3月期は,被告モバイルの中でも最も売上げが伸び,主幹事証券会社や監査法人と共に上場に向けて最も活発な準備をしていた時期であり,上場の見込みも十分あった。最終的に被告モバイルが上場の機運を逃したのは,平成18年4月以降の売上げが予想した程には伸びず,その時点以降の赤字解消が困難であると判明したころ以降のことである。同ケの事実は否認し,その主張は争う。同コないしスの主張は争う。
(2)請求原因(2)(原告X2への詐欺による共同不法行為責任等)について
請求原因(2)アは知らない。同イのうち,被告Y2が,少なくとも①③④の発言をしたことは否認し,②⑤⑥の発言をしたことを含め,その余の事実は知らない。被告Y2は,平成17年秋ころに,原告X2と会ったか否か自体記憶していない。同ウ,エは知らない。同オ(ア)は否認する。被告Y2は,原告X2との間で被告モバイルの株式100株の売買契約をしたことはないし,そもそも平成17年12月28日ころ,被告Y2が,被告ワールドに対して,被告モバイルの株式を売却したこともない。同オ(イ)は知らない。被告ワールドが,平成17年5月26日ころまでに被告Y2から購入した株式2300株を,原告X2を含む第三者に対して転売したか否かは知らないし,そもそも被告ワールドからは,最初から転売予定でこれらの株式を購入するものであることは聞かされていなかった。被告モバイルらは,原告X2から本訴を提起されるまで,原告X2が被告モバイルの株式を所有していることも知らなかったものである。同カのうち,被告Y2の説明内容が虚偽であったとする点,平成17年12月当時の被告モバイルが上場に向けた準備行為を行っていなかったことは否認し,その余の主張は争う。平成17年4月から平成18年3月期は,被告モバイルの中でも最も売上げが伸び,主幹事証券会社や監査法人と共に上場に向けて最も活発な準備をしていた時期であり,上場の見込みも十分あった。最終的に被告モバイルが上場の機運を逃したのは,平成18年4月以降の売上げが予想した程には伸びず,その時点以降の赤字解消が困難であると判明したころ以降のことである。同キの事実は否認し,その主張は争う。同クないしコの主張は争う。
(3)請求原因(3)(未公開株取引自体の違法性を理由とする共同不法行為責任等)について
請求原因(3)アのうち,平成17年当時の被告ワールドが,金融機関でもなく,証券業の営業につき内閣総理大臣の登録を得ていなかったことは認めるが,被告ワールドが証券業を行ったことは否認し,争う。同イのうち,X1覚書契約,X2覚書契約の締結については知らない。被告ワールドが原告X1及び原告X2を代理して被告Y2からモバイル株400株又は100株を購入したことは否認する。また被告ワールドが,被告Y2から購入した被告モバイルの株式を原告らに売却したことは知らない。同ウのうち,被告モバイルの株式が上場しておらず,グリーンシート銘柄に指定されたことのない未公開株であることは認める。同エの主張は争う。同オないしクの主張については争う。
第5  争点
1  原告X1に対する詐欺による共同不法行為責任等の成否について
(1)原告X1と被告Y2間の売買契約の成否
(2)平成17年2月ないし4月当時の被告Y1によるAを通じての原告X1に対する被告モバイル株購入勧誘の有無及び購入勧誘文言の内容
(3)被告Y1による発言内容の真偽(平成17年4月時点における被告モバイルの上場見込みの有無,程度)
(4)被告Y2らによる欺罔行為の存否
(5)被告Y1における欺罔の故意の存否
(6)被告Y2による共謀の存否
2  原告X1に対する詐欺による共同不法行為責任等の成否について
(1)原告X2と被告Y2間の売買契約の成否
(2)被告Y1による原告X2に対する被告モバイル株購入勧誘の有無及び購入勧誘文言の内容
(3)被告Y1による発言内容の真偽(平成17年12月時点における被告モバイルの上場見込みの有無,程度)
(4)被告Y1における欺罔の故意の存否
(5)被告Y2による欺罔行為の存否
(6)被告Y2による共謀の存否
3  未公開株取引自体の違法性を理由とする不法行為責任等の成否について
(1)被告ワールドは,証券業行為を実施していたか否か。
(2)被告ワールドによるグリーンシート銘柄以外の未公開株の売買又は売買の代理行為はそれ自体が不法行為となり得るか。
(3)被告Y2による共謀の存否
第6  認定事実
前提事実,証拠及び弁論の全趣旨(詳細は本文中に示す。)によれば,以下の事実が認められる
1  被告モバイルは,平成14年7月15日に設立された株式会社であり,平成16年11月15日時点で資本金額が5億9200万円,発行済株式総数が3万4689株(1株あたり資本金額1万7065円)あったが,以後少なくとも平成18年9月30日までの間に,以下のとおり8回にわたり増資をして,同日時点では資本金額17億3200万円,発行済株式総数5万9030株となっている(弁論の全趣旨〔被告モバイルの履歴事項全部証明書〕)。
(1)平成16年12月27日
資本金額7億1700万円 発行済株式総数3万9680株
(増加資本金額1億2500万円,増加発行株式数5000株,1株あたり増資額2万5000円)
(2)平成17年1月28日
資本金額7億9700万円 発行済株式総数4万1280株
(増加資本金額8000万円,増加発行株式数1600株,1株あたり増資額5万円)
(3)平成17年3月28日
資本金額9億8200万円 発行済株式総数4万4980株
(増加資本金額1億8500万円,増加発行株式数3700株,1株あたり増資額5万円)
(4)平成17年5月30日
資本金額13億4200万円 発行済株式総数5万0980株
(増加資本金額3億6000万円,増加発行株式数6000株,1株あたり増資額6万円)
(5)平成17年8月31日
資本金額14億9200万円 発行済株式総数5万3980株
(増加資本金額1億5000万円,増加発行株式数3000株,1株あたり増資額5万円)
(6)平成17年9月28日
資本金額15億9200万円 発行済株式総数5万5230株
(増加資本金額1億円,増加発行株式数1250株,1株あたり増資額8万円)
(7)平成18年1月31日
資本金額16億8200万円 発行済株式総数5万7030株
(増加資本金額9000万円,増加発行株式数1800株,1株あたり増資額5万円)
(8)平成18年9月30日
資本金額17億3200万円 発行済株式総数5万9030円
(増加資本金額5000万円,増加発行株式数2000株,1株あたり増資額2万5000円)
2  被告モバイルは,東京証券取引所のマザーズ市場への上場を目指して,平成16年2月26日には,日興コーディアル証券株式会社(以下「日興証券」という。)との間で,有効期間を同年3月1日から平成17年2月末日までとし,一定額の報酬金をもって,上場準備スケジュールの作成に関する助言及び進捗状況の管理など,上場準備に向けた種々のサービス提供を約した「上場準備指導に関する契約書」を取り交わし,併せて同日,平成16年3月期を申請直前期として東京証券取引所に上場することを目的として,日興證券に上記サービス提供等を委託し,その上場を果たした場合には一定額の成功報酬を支払うこと等を約した覚書も作成して,上場準備指導を受けるための契約を締結した(乙2,3)。そして日興証券は,少なくとも平成16年4月には,キックオフミーティング資料を作成し被告モバイルに交付するなどして,被告モバイルの上場に向けた打合せを行ったことがあった(乙6)。
また被告モバイルは,あずさ監査法人との間で,平成16年3月26日,監査事業年度を第2期である平成15年4月1日から平成16年3月31日までとする監査契約を,また同年8月23日,監査事業年度を第3期である同年4月1日から平成17年3月31日までとする監査契約を,それぞれ締結した(乙5)。
なお,マザーズ市場は,もともと高い成長性が見込める企業であれば,その業績や利益に関係なく,上場を可能とすることを予定した市場であると言われている(原告X1,原告X2)。
3  被告モバイルは,創業2年目から,ブルートゥース機能を持つデジタル製品周辺機器の製造販売事業に乗り出したところ,平成16年に道路交通法改正により自動車運転中の携帯電話通話の罰則が強化されたことを受けて,ブルートゥースによるハンズフリー機能は,当時注目されるところとなった。そして被告モバイルは,平成16年10月には,運転中でも手を使うことなく通話を可能にするというハンズフリーカーキット(ワイヤレスハンズフリー・トランスミッター),平成17年2月には型番「MPXシリーズ」と呼称する製品,同年12月にはブルートゥース機能搭載の携帯電話機「FOMA」の1機種「P902i」専用のリモートコントロール機能付きワイヤレス・イヤフォン,平成18年3月には,先のワイヤレス・イヤフォンにつき,ディズニーキャラクターを冠したバージョンなど,特に平成16年から平成18年春先ころまでの間,様々な新製品の発売を行った(丙6,13,乙14)。
また,上記「P902i」専用のワイヤレス・イヤフォンに関しては,元音楽グループ「a」の一員であったBを起用したテレビのスポットコマーシャルを複数種類制作し,少なくとも平成17年12月から平成18年2月ころにかけてオンエアするなどして,宣伝活動に力を入れた時期もあった(乙9~14,16,17,丙6)。
4  また被告モバイルは,遅くとも平成16年3月ころから平成18年までは,自動車レースであるフォーミュラジャパンのスポンサー企業の一つとなり,レーシングチームの一つが被告モバイルの企業名を冠して活動していた。また平成18年には,フォーミュラワンのチームの一つ「bチーム」のオフィシャル・スポンサーにもなった(乙19~22,丙13,弁論の全趣旨〔被告モバイルら第三準備書面〕)。
5  一方で,被告モバイルでは,平成14年7月の設立当初から平成18年3月期までの4期の期間中,その売上高や利益の推移が以下のとおりとなっており,平成17年3月期までの売上高はせいぜい年間2億円から3億円台程度,平成18年3月期に初めて売上高が10億円台にまで伸びたものの,その経常利益は赤字続きで,累積損失額も拡大していた(被告Y2,甲17,乙7)。
(1)平成14年7月15日~平成15年3月末期(初年度)
売上高1億円前後,利益 赤字(当期未処分損失1億4500万円余)
(2)平成15年4月1日~平成16年3月末期(第2期)
売上高3億3100万円余,経常損失7000万円余(当期未処分損失2億1900万円余)
(3)平成16年4月1日~平成17年3月末期(第3期)
売上高2億3200万円余,経常損失8億6300万円余(当期未処分損失12億0200万円余)
(4)平成17年4月1日~平成18年3月末期(第4期)
売上高10億8800万円余,経常損失6億5900万円余(当期未処分損失18億61000万円余)
6  ところで,被告Y1とAは,知人の紹介で平成16年に知り合い,ごく親しい友人関係となって,同年7月31日には,被告Y1が,被告ワールドの代表取締役を務めるまま,Aが経営するゲージデザインの監査役に就任し,次いで平成17年2月21日には取締役の一人に就任した。被告Y1は,少なくともそのころ以降,ゲージデザインから月額60万円程度の報酬を受領し,主に経理関係の仕事を担当するようになって,丁度そのころ上場を目指していたゲージデザインの上場準備に向けた業務の手伝いも行っていた。のみならず,当時の被告ワールドは,ゲージデザインと同じ建物の同一フロアーを分け合うような形で会社業務を行っており,被告Y1とAは,ほぼ毎日顔を合わせる間柄であった。なお,被告ワールドの仕事を手伝っていた訴外C(以下「C」という。)も,そのころ同一の事務所内で稼働していた(前提事実,甲24,証人A,被告Y1)。
7  他方,被告Y1は,平成16年春ころ,Cから,当時の被告モバイルの顧問弁護士を紹介され,同弁護士を通じて,当時の被告モバイルの株主の一人であった訴外株式会社クロスルート(以下「クロスルート」という。)が,被告モバイルの株式600株を売却する相手を捜しているとの相談を受けた(丙4,12)。
8  被告ワールドは,平成16年5月18日,Aほか2名との間で,それぞれ被告ワールドが,Aほか2名のために,被告ワールド名義で,被告モバイルの株式を取得すること,そのための契約締結を条件として,株式取得代金相当額の金員を被告ワールドに預託すること等を約した覚書を,別々に作成し,Aからはモバイル株100株を取得する目的で500万円を,他の2名からは,モバイル株200株,300株を取得する目的で,それぞれ1000万円と1500万円の交付を受けた(丙8の1~丙10の2〔各枝番含む〕)。
そして,被告ワールドは,そのころ,クロスルートから一旦被告Y2名義に移転された被告モバイルの株式600株を,総額3000万円で取得し,これによってAは,そのうち100株分の権利を取得することとなった(証人A,被告Y1)。
9  また被告Y2は,平成17年当時,被告モバイルが商品製造資金を必要とする一方,未だベンチャー企業で,十分な担保も有していなかった同社には,銀行からの融資が望めなかったことから,被告Y2が所有する株式を,被告Y2自身の名義を保持したまま第三者に売却して,その売却金を被告モバイルに貸し付けることで,同社の商品製造資金を捻出することを計画し,被告Y1に,被告Y2が保有する未公開株の売却に関する相談を持ち掛けた。被告Y1と被告Y2は,未公開株売却による資金捻出問題を協議するため,当時は,かなり頻繁に電話や面談等で連絡を取るような間柄となった(丙4,12,被告Y1,被告Y2)。
そして,被告ワールドは,平成17年2月ころから同年5月26日にかけて,複数回に分けて合計1億1500万円を被告Y2に送金し,被告Y2の名義のまま,同被告が所有していた被告モバイルの株式合計2300株を購入した(丙1,被告Y2,弁論の全趣旨〔被告モバイルら第6準備書面〕)。
その際,被告ワールドは,強く要望して,被告モバイルが急遽発行した株券100株券23枚合計2300株相当分を受領した。当該株券は,市販の用紙を用いて,被告モバイルが急遽作成したいわば私製の株券であって,株券番号は,「第1-0099号」から「第1-0121号」までであった(乙27~29,被告Y2)。
なお,前記1億1500万円のうち,6500万円は,平成17年2月3日に被告ワールドから一旦被告モバイルに送金されているが(丙11),その後いかなる経緯かはともかく,この金員が被告Y2に交付された形となり,また前記1億1500万円のうちの2000万円は,平成17年5月2日に被告ワールドから被告Y2に送金されている(丙1)。
10  ところで,原告X1は,その仕事柄,少なくとも平成16年,平成17年当時は香港在住であって,日本に居住するAとは別居生活をしており,Aとは,原告X1が帰国した際顔を会わせる程度であったが,Aは,平成16年4月か5月ころ以降,実父である原告X1に対し,被告モバイルの株式について話題に出すようになり,特に平成17年2月ころから同年4月ころにかけては,被告モバイルが,同年6月ころから10月ころまでの間に必ず上場する等と述べて,その株式購入を勧めるようになった(原告X1,証人A)。
11  平成17年2月16日ころ,被告モバイルは,東京恵比寿のウェスティンホテルで,バンケットルームを5つ位借り切り,銀行関係者やメーカー関係者等を多数集めて新商品の発表会を盛大に開催したところ,丁度香港の旧正月休みで帰国していた原告X1は,Aと共にこの発表会に参加し,被告Y1も別途参加した。被告Y2は,その場の主催者として,多数の来客に応接する立場にあったが,その際原告X1も,被告Y2と,5分か10分程度は会話を交わす機会を得た。また原告X1は,その際被告Y1とも,数十分程度同席する機会を得て,若干言葉を交わした。なお,原告X1が,被告モバイル株を購入する以前に,被告Y2や被告Y1と直接会ったのはこの時だけである(原告X1,証人A,被告Y2,被告Y1)。
12  その後Aは,被告Y1に対し,原告X1が被告モバイルの株式の購入を希望していることを伝え(弁論の全趣旨〔被告ワールドら第2準備書面,原告ら準備書面(4)〕),原告X1と被告ワールドは,平成17年4月25日ころ,X1覚書契約を締結し,原告X1は,同日,被告ワールドに対し,モバイル株400株の取得資金として2000万円を送金しており(前提事実),被告ワールドから被告Y2に同年5月2日付けで送金された前記2000万円は,原告X1が被告ワールドに送金した金員が原資となっている(被告Y1)。
また,被告ワールドは,原告X1の要求により,平成19年9月ころになって,被告モバイルの100株券4枚(株券番号第1-0118~0121号)を原告X1に交付した(原告X1)。
13  その後原告X1は,自ら経営するメムコープ社が,オーディオ製品に関するディズニーのライセンスを有していたため,ディズニー社に伝手(つて)があったのを活かして,被告モバイルのために,ディズニー・ジャパンの担当者を紹介し,被告モバイルがその後ディズニー・キャラクターを活かしたブルートゥース製品を商品化するきっかけを与えたことがあった(原告X1,被告Y2)。
14  一方,被告Y1と原告X2は,共通の友人である訴外D(以下「D」という。)を通じて知り合いとなり,平成17年当時は,少なくとも月に1度や2度位,Dも同行して一緒にゴルフに出かけたり,時々食事を共にする等といった関係にあった(原告X2,被告Y1)。
なお,Dは,被告モバイルの株主の一人であった(被告Y1)。
また,原告X2が経営する会社にマネージメントを委託している野球選手の中の一人にも,被告モバイルの株主であった者がいた(原告X2)。
さらに,平成18年から平成20年途中まで,フォーミュラワンに参戦していた日本のレーシングチーム「cチーム」を率いていたF1ドライバーは,原告X2の友人であったが,被告モバイルは,同チームが平成18年のフォーミュラワン第1戦から第7戦に出場するに際して,そのスポンサーのうちの1社として支援したことがあった(原告X2,丙17の1,2)
なお,原告X2とAも,このころ知り合いとなっている(原告X2,被告Y1)。
15  平成17年秋ころには,原告X2は,被告Y1やDと食事をした際,過去に未公開株を購入して大変な思いをしたことがあるので,未公開株には手を出さないようにしている等と述べたことがあった(原告X2,弁論の全趣旨〔被告ワールドら第2準備書面,原告ら準備書面(4)〕)。
16  また同じく平成17年秋ころには,原告X2は,被告Y1に連れられて,被告モバイルの社屋を訪ね,被告Y2が,数名に対して,今後のヨーロッパ向け新規事業として,レーシングドライバーの心臓部付近の血流の状態等をチェックできる装置を製品化すること等を説明した会合に,参加したことがあった。なお,原告X2が,被告モバイル株を購入する以前に,被告Y2と直接会ったのは,この時だけである(原告X2)。
17  原告X2は,Dを通じて被告Y1に対し,モバイル株の購入を依頼し,原告X2と被告ワールドは,平成17年12月28日ころ,X2覚書契約を締結し,原告X2は,同日ころ,被告ワールドに対し,モバイル株100株の取得資金として800万円を送金した(前提事実)。
また,被告ワールドは,原告X2の要求により,平成18年2月ころ,被告モバイルの100株券1枚(株券番号第1-0099)を原告X2に交付した(前提事実,原告X2)
18  他方,Aは,そのころゲージデザインに資金不足が生じていたことから,被告モバイルの株式100株を売却することを希望し,被告ワールドを通じてこれを他に売却した(証人A,被告Y1)。
被告ワールドは,平成18年2月10日,ゲージデザイン名義の銀行預金口座に300万円を送金し,同月13日には,A名義の銀行預金口座に500万円を送金した(丙2,3)。
19  ところが,携帯電話の新機種におけるブルートゥース機能の採用が遅れたこともあり,被告モバイルでは,少なくとも平成18年4月から平成19年3月期における売上げは期待した程伸びず,この期末でも累積損失は解消できなかった。そして少なくとも平成19年3月期には,監査法人から,継続的企業としての無限定適正意見を取得することができず,同年4月以降は経営自体が極端に厳しいものに陥って上場どころではなくなり,現在に至るも,上場の目途は全く付いていない(乙23,被告Y2,甲21)。
なお,被告モバイルの最終的な資本金は,平成22年3月現在,準備金を含めて25億円位あるが,今後は当該資本金額を約50分の1の5000万円にまで一旦減資した上で,会社の再建を図る予定である(被告Y2)。
第7  判断
1  争点1(1)(原告X1と被告Y2間のX1売買契約の成否)について
(1)原告X1は,まず平成17年5月26日ころまでの間に,被告ワールドが原告X1を代理して,被告Y2との間で被告モバイルの株式400株を2000万円で購入するX1売買契約を締結したと主張するが,被告モバイルらはこれを否定し,被告ワールドらは,原告X1が2000万円を被告ワールド経由で被告Y2に支払って,被告モバイルの株式400株を取得したことは認めるものの,原告X1と被告Y2間での直接の売買契約が成立したか否かについての法的見解については必ずしも明らかにしていない。
(2)検討するに,被告Y2は,最終的に原告X1が取得することとなった100株券4枚(株券番号第1-0118~0121号)にかかる株式を含む,株式2300株については,平成17年5月26日までに被告ワールドに対して売却したとの認識があるだけで,当時原告X1に対して被告モバイル株400株を売却したとの認識は全くなく,その後被告ワールドが原告X1を含めた第三者に対してかかる株式を売却したかどうかも知らない旨述べているところ,現に被告Y2と原告X1間の売買契約の成立を直接示す契約書や念書の類は存在しない。またX1覚書契約の内容自体が,被告ワールドは,原告X1のためにその名義を貸与して,原告X1の代理として被告モバイル株400株を取得する旨合意された契約であって,その契約書上には当該株式の売主の氏名も全く触れられていないし,被告ワールドが原告X1のために株式を取得した後も,当該株式について原告X1への名義書換をすることは予定されておらず,被告ワールドが株式を保有したまま,原告X1の指示があったときにこれを他に売却し,諸費用控除後の残代金を支払い,精算することを予定した内容となっているのだから,その契約は,その契約書を文字通り読む限りでは,商法上の取次ぎ(商法502条11号)や問屋営業(商法551条)における,自己の名をもって他人のために物品の販売又は買入を為す行為にほかならないと解される。
なお被告Y1は,被告Y2に対し,そもそも被告ワールドが被告Y2から被告モバイル株を購入したことはないとか,当初から被告モバイル株を原告X1に売却するものであることを告げた上でその了解を得ていたとか,被告ワールドとしては,単に被告モバイル株の購入者である原告X1を被告Y2に紹介しただけという認識に過ぎない等と述べるが,前示のとおりX1覚書契約自体が,被告Y2に原告X1を「紹介」するという説明とは程遠い被告ワールド自身の権利義務内容を規定した内容となっている上,単に被告Y2に原告X1を紹介したとか,代理人として売買をしたというのであれば,被告Y2と原告X1間での直接の売買契約書や,被告Y2と原告X1代理人としての被告ワールド間での売買契約書を作成するのが当然かつ容易なことであったにもかかわらず,かかる書類は全く作成されていない。また,被告ワールド又は被告Y1から被告Y2に対し,実際の被告モバイル株の購入者,もしくは被告ワールドからの転得者が,原告X1であることを通知したことを示す書面その他の客観的な証拠も一切提出されていない。さらに,後述のとおり被告ワールドは,X1覚書契約と全く同じ書式に基づいて作成されたX2覚書契約を締結した際には,被告Y2からではなく,Aから,その所有するモバイル株100株を原告X2のために購入した旨主張しているところ,その際には,売主とされたAに対しても,また買主とされた原告X2に対しても,株式の売り手又は買い手となった人物の氏名を互いに教えてもいないのである。
かかる事情を総合考慮すれば,被告ワールドは,あくまでも原告X1の取次ぎとして自ら被告Y2から被告モバイル株を購入したものであって,その後も自らは被告Y2に対し,原告X1が真の購入者であることを告知するようなことも,その事前了解を得ることもしていなかったものと解するのが相当である。
(3)その限りでは,被告ワールドは,原告X1とのX1覚書契約に基づき,原告X1の代理人であることを被告Y2に告知することなく,被告ワールド自身の名義をもって,遅くとも平成17年5月26日までに,被告Y2から原告X1のために購入する400株を含め,被告モバイル株2300株を購入したものであって,売買契約が成立したのはあくまで被告ワールドと被告Y2間のことであり,被告Y2と原告X1間においては売買契約は成立していない。さらに言えば被告ワールドと原告X1間でも,単にX1覚書契約に基づき被告ワールドが自ら被告Y2との間で売買契約をしただけであって,その後に改めて被告ワールドから原告X1に対する前記株式の売買契約が締結されたものではないと解すべきである。
2  争点1(2)(平成17年2月ないし4月当時の被告Y1によるAを通じての原告X1に対する被告モバイル株購入勧誘の有無及び購入勧誘文言の内容)について
(1)原告X1は,被告Y1が,平成17年2月から4月にかけて,Aを通じて原告X1に被告モバイル株を購入するよう勧誘されたと主張するのに対し,被告Y1は,そもそも原告X1に対する勧誘行為自体が全くなく,被告モバイル株の購入は,原告X1の方が,Aを通じて申し入れてきたことであると主張する。
しかし,認定事実のとおり,当時被告Y1は,被告Y2から,その所有する株式の売却による資金捻出を依頼されていたところ,他方で被告Y1は,被告ワールドには十分な資力がなく,自ら株式を購入する意思はなかったと主張しているのだから,被告Y2の依頼をかなえるためには,第三者に対して購入を働き掛ける必要があったこと,Aは,平成16年5月ころ被告モバイル株を購入しているものの,その際も被告ワールドが,本件同様に,被告ワールド名義で被告モバイル株を取得することを予定した契約を交わした上でこれを購入したのであり,非上場会社である被告モバイルの株式を購入することは通常困難なのであって,Aがわざわざ実父である原告X1に被告モバイル株の購入を勧める以上は,被告Y1から購入の打診があり,その入手が確実であると考えたことがその前提にあると理解した方が自然であること,そして実際に原告X1が被告モバイル株を購入するにあたっては,被告ワールドとの間でX1覚書契約を締結した上で,その取得費用を被告ワールドに支払っていること等を考えると,その勧誘の程度内容はともかくとして,Aが原告X1に株式購入を勧めたきっかけは,被告Y1の方から被告モバイル株の購入の打診があったためと解するのが相当である。
(2)とはいえ,被告Y1は,Aが被告Y1から発言されたと主張する具体的な勧誘文言については,請求原因(1)ア(ア)③の被告モバイルの上場につき主幹事証券会社及び監査法人が既に決定していること,同(1)ア(イ)②のうち,被告モバイルがフォーミュラジャパンのスポンサーをしていること,同③のうち,被告モバイルは商品の仕入資金が不足している状態であること,を述べた旨自認する点を除けば,その全部を否定している。
なお原告X1が,被告Y1からAが説明されたと主張する,その他の具体的勧誘文言の内容は種々にのぼるが,主として①上場の時期や上場が確実であることについての説明,②被告モバイルの過去の売上高や利益についての説明,③被告モバイルに対する他の投資者(ビックカメラ社長)の存在,④今後の事業展開についての見込み等(商品が売れすぎていること,韓国における事業展開が決定していること)に分けられる。
そしてこのうち,少なくとも過去の売上高や利益額に関する事実(平成17年3月期年の年間売上高30億円から40億円,フォーミュラジャパンのスポンサー費用2億円ないし3億円が,被告モバイルの年間利益の二,三割にあたること)は,前示認定したとおりの客観的事実と矛盾する虚偽の内容である。また,被告モバイルが,最終的には現在に至るまで上場しておらず,少なくとも平成19年3月期には監査法人による監査が通らず,同年4月以降は上場どころではない経営状態となっていることを考えると,被告モバイルの上場時期を平成17年10月までと断定したり,同年2月の時点で,既に被告モバイルが上場基準を満たしているとか,特に主幹事証券会社や監査法人において,その旨を確認しているといった発言があったとすれば,それもまた事実と異なる虚言であったというべきである。
(3)検討するに,被告Y1が,原告主張の具体的勧誘文言を述べたことを立証するための証拠は,基本的にAの供述(証言,陳述書〔甲20〕)しか存在しない。
かかるAの供述の信用性を補強する事情としては,一応,前示のとおり,当時の被告Y1に被告モバイル株の購入を勧誘するたけの動機はあったといえるところ,未公開株を第三者に売却しようとする以上は,通常,当該会社に比較的近い将来における上場見込みがあることを信じさせない限り,その購入を決める者はまずいないと解されること,また未公開株の売買の是非を判断する上では,通常は当該会社の将来性のみならず,過去の業績についてもその経過を知りたいと考えるのが自然であろうから,被告Y1とA間で,被告モバイルの過去の売上高や収益の内容が話題になること自体はむしろ当然ともいえること,他方で被告Y1は,被告Y2から被告モバイル株の売却の相談を受けていた程であるから,被告モバイルの近年の決算書類の内容くらいは,被告Y2からその開示を受けるなどして把握していた可能性は十分あること,ところが実際には,被告モバイルの過去の売上高はさほど高額ではなく,収益はずっと赤字続きだったから,株式購入を依頼する側としては,かかる金額を正直に告げることに抵抗感があってもおかしくはないこと,といった,諸事情の存在を指摘することができる。
(4)しかしながら,他方でAの供述については,以下のような点で,容易に信用しがたい点が多々存在する。
ア すなわち,まずAが,被告Y1から被告モバイル株の勧誘を受けたと主張するその内容は,勧誘の日時場所に関する特定がないというのみならず,話を始めたきっかけや,話の前後関係,被告Y1の発言に対するAの反応等といった,会話の流れやニュアンスが分かるような具体的な経緯,またAが,被告Y1の話を,香港で別居生活を送っている実父の原告X1にまで,なぜわざわざ連絡するつもりになり,その後も被告Y1に原告X1と直接交渉するよう指示するでもなく,何度となく自らその伝達役を買って出て,原告X1に対しモバイル株の購入を勧めるようになったのか,その背景となった事情や心情,その結果としてこれらの会話内容を,原告X1に,どのような機会にどのような言い方で伝え,これに対する原告X1の反応はどのようなものだったのか等といった,被告Y1から受けたはずの株式購入の勧誘以降,その内容を原告X1に伝達するまでの経緯について,何ら具体性,合理性,説得力のある説明をしておらず,単に繰り返し被告Y1から聞かされたという個々の発言内容そのものを,結論として並べ立てただけの,いわば抽象的な説明をしているに過ぎない。
イ そもそも,Aが被告Y1から勧誘文言を聞かされたというのは平成17年2月から4月ころといった相当昔のことであり,その間に相当の記憶の欠落,変容があったとしてもおかしくない(ちなみに平成20年10月14日の本訴提起当初の訴状において主張されていた勧誘文言は,極めて抽象的で限られたものでしかなく,具体的欺罔態様についての釈明を求める当裁判所や被告らからの要望に対しても,原告らがその具体的勧誘文言の内容を明らかにしたのは,訴訟提起から3か月以上が経過した平成21年2月9日付の原告ら準備書面(2)が初めてのことであった。Aや原告X1に,真実,被告Y1による勧誘文言の具体的内容に関する明確な記憶があったのであれば,もっと早期の段階で具体的な主張をすることができたはずではないかと解される。)。
まして,被告Y1から,被告モバイル株の購入を勧められたというのは,平成17年2月から4月にかけてという,その期間だけをとっても3か月近い長さに及ぶものであるし,特にAは,その前年の平成16年5月には,自ら被告モバイル株を購入していて,原告X1自身,Aから最初の被告モバイル株の話を聞いたのは,平成17年2月よりずっと以前の,平成16年4月か5月ころのことであったと述べている。とすれば,Aは,自らが被告モバイル株を購入する前後から,その後の平成17年4月に至るまでの間にも,被告モバイルの業績やその上場見込みの有無等について,自ら調査検討したり,被告Y1以外の第三者から種々の情報を入手した可能性は十分にあるものといわなければならない。これら自らあるいは第三者から入手した情報がある場合に,これらと,被告Y1から聞かされたという話の内容とを,Aがあえて峻別して記憶したり,ことさらに被告Y1から聞かされたという話だけを原告X1に伝えるなどということは,却って非常に不自然なことなのであって,Aから原告X1に対して伝えられたという情報の出所のすべてが,被告Y1から聞かされた内容であったというAの説明自体,大いに疑問があるといわざるを得ない。
なお,Aは,例えば平成16年5月に自らが被告モバイル株100株を購入した時には,被告Y1からの種々の勧誘話やその中身などには余り関心がなく,ただ当時親しい友人関係にあった被告Y1の依頼だからという理由だけで,いわば付き合いで被告モバイル株100株分を500万円で購入したように述べたり,被告Y1からの勧誘文言を実父たる原告X1に伝えた際にも,ただ単に被告Y1からのそのまま発言を伝えただけで,原告X1に対し,自ら株式の購入を勧めるつもりは全くなかったとか,原告X1に自分が伝達した被告Y1の話の内容が,真実のものであるか否かは全く気にしたこともないし,自ら調査検討したこともない等と述べるのであるが,これらの説明は,それ自体が余りに不自然であって容易に信用できないものであり,他方で原告X1やA自身,モバイル株についての具体的な話をした日時場所状況も説明できないくらい,何回となくモバイル株の話をしたと述べている点を見ても,当時のAが,原告X1に対し,相当熱心にモバイル株の購入を勧めていたことは明らかで,当時のAは,被告モバイル株につき,近い将来の上場見込みがあることを含め,かなり有望な株式であるとの評価を抱いていたことが窺われる。
ウ また,Aは,平成16年4月ころには,被告Y1から,被告モバイルの事業計画書のような書類を見せられ,その中に平成15年3月期の年次の損益であるとか,平成15年4月から平成16年4月まで,毎月次の損益も明記されていて,それらによって平成15年3月期の売上げが約5億円で利益が黒字であったこと,16年3月期の売上げが約10億円で利益が数千万円出ていたことを確認したとも述べる。しかし,そのような書類が本当に実在したのであれば,そのコピーの交付も要求しなかったということの方がまず不可解であるし,さらに平成17年2月以降,被告Y1の依頼で原告X1に株式の購入を勧める話を伝達する以上は,平成17年3月期についても,その事業計画書や決算書類等を開示するよう要望するのが自然ではないかと思われるのに,これらの書類については一切開示を要求した様子がない。
そもそも,Aが主張するとおりであれば,被告Y1は,平成16年3月期の被告モバイルの売上高や収益について,ことさら虚偽の内容を記した事業計画書を,わざわざ偽造してAに見せたということになるから,明確に意図的に,A,もしくは原告X1を欺罔しようとしたこととなる。しかし,被告モバイルの過去の売上高や収益に関する実績は,仮に被告Y1が,この点についてあえて虚偽の発言をしてAや原告X1をだまそうとしたとしても,Aや原告X1がその気になりさえすれば,その内容が真実であるか否かを調査することが可能であり,かつその場合には,過去の業績に関する客観的な数値の問題であるが故に,容易にその虚言が発覚しかねないというリスクを負った事柄である(少なくとも原告X1の社会的地位や経済力,能力を考えれば,仮に原告X1がその気になれば,被告Y1を通しても通さなくても,伝手を使って被告Y2と直接接触したり,その他の被告モバイル関係者と交渉することも十分可能であったと解されるし,少なくとも虚言によって相手をだまそうと考える者にとっては,そのようなリスクについても,当然慎重に検討するはずである。)。被告Y1は,もともとAとは大変親しい友人関係にあって,その身元も掌握されているのであるから,不特定多数に対する1回的な詐欺行為というわけでもない知人間での株取引を巡って,そのようにリスクの高い偽装工作を行うということ自体,むしろいささか不自然であるともいえる。
(5)他方で,認定事実のとおり,平成16年から平成18年当時の被告モバイルは,当時注目のブルートゥース機能を用いた携帯電話機,オーディオ製品等の周辺機器について,精力的に新製品を発表し,平成17年1月28日から平成18年1月31日までの間だけでも合計6回にわたり,1株5万円から8万円の価格で1万7350株,合計9億6500万円相当の増資を行い,フォーミュラジャパンやフォーミュラワンのレーシングチームのスポンサーとなるなど,少なくとも対外的にはかなり華やかで積極的な事業展開を行っていたことが認められる上,平成17年3月期の売上げは前年より相当ダウンしているものの,同年4月から平成18年3月期にかけては,前年期を4倍以上超える勢いで売上げが伸び,その売上高自体も初めて10億円を超えたものであったから,その経営の実体はなおかなりの赤字状態であったにせよ,当面の赤字を支え続ける資金力があれば,その将来性,成長性という点については,相当の期待が持てると考える余地もあった。
そして,平成17年2月16日には,原告X1自身も,被告モバイルが開催する新商品の発表会に参加して,被告モバイルが手掛けている様々な商品の実物や,多数の取引先,資金提供者等が交流する様子を確認したところである。
そうすると,そもそも平成17年2月ないし4月当時に,Aが被告Y1から聞かされたと主張する種々の勧誘文言が,実際には存在しなかったとしても,そのころAや原告X1において,被告モバイルには相当の将来性,成長性があって,少なくとも上場基準としての企業の将来性,成長性に重要なポイントを置いている東京証券取引所のマザーズ市場には,近い将来上場できる見込みがあるとの認識を持つに至る可能性も,十分あり得るものと解される。
(6)かかる事情を考慮すれば,結局,いくつかの点を除き,原告X1主張の勧誘文言の全部を否定している被告Y1の供述と比較した時,Aの供述の方が真実であるとするに足るだけの信用性があるとは認められず,他に被告Y1が原告X1主張のとおりの勧誘文言を発言したことを認めるに足る証拠もないから,結局被告Y1が自認している「主幹事証券会社及び監査法人が既に決定していること」,「被告モバイルがフォーミュラジャパンのスポンサーをしていること」,「被告モバイルは商品の仕入資金が不足している状態であること」という発言を除き,被告Y1が,その余の勧誘文言を述べたという事実は認めることができない。
3  争点1(3)(被告Y1による発言内容の真偽〔平成17年4月時点における被告モバイルの上場見込みの有無,程度〕)について
(1)ところで,前示の認定事実に照らし,被告Y1が発言したと自認している勧誘文言のうち,平成17年当時,「被告モバイルがフォーミュラジャパンのスポンサーをしていること」,「被告モバイルは商品の仕入資金が不足している状態であること」は事実であるし,「主幹事証券会社及び監査法人が既に決定していること」という発言内容も,少なくともそれが平成17年2月時点での発言であることを前提とすれば,事実であると認められる。
(2)もっとも,未公開株の売買取引やその代理,もしくは取次ぎといった取引をする以上,その目的が当該会社の支配権を取得することであるような特殊な例を除き,通常は,当該未公開株が将来的に上場されるという見込みがあるからこそ,取引対象とされるものであることは明らかであり,それはその売却や仲介をする者にとっても自明のことであると解されるから,確かに取引の時点で,既に客観的に上場可能性がないことを売主又は仲介者等において知っていながら,その事実を告知しないまま取引を行った場合には,黙示的な詐欺が成立する可能性は否定できない。
(3)この点原告X1は,平成17年4月当時においては,実際には上場に向けて何らの準備行為も行っていなかったから,上場の見込み自体,客観的に存在しなかったと主張し,その根拠を縷々(るる)指摘する。
しかし,原告らの主張のうち,少なくとも平成17年4月以降主監事証券会社や監査法人が決定していなかったという点については,確かに既出の契約書(乙2,3,5)上,日興証券との上場準備指導に関する契約やあずさ監査法人と監査契約の契約期間が,遅くとも平成17年3月末にまでには終了する内容のものしか提出されていないものの,それを根拠にその後1年間の契約が更新又は再契約されなかったことが明らかとまではいえないし(前記各書証は,原告X1自身が,かねて平成17年2月の時点で,被告Y1が,主幹事証券会社や監査法人が決まっていると述べたとの主張をしている〔平成21年2月9日付原告ら第2準備書面〕のを受けて提出された書証〔平成21年4月28日第4回弁論準備手続期日提出〕であって,原告X1が,同年4月以降の主幹事証券会社や監査法人が決まっていないことが問題である旨を指摘したのは,最終弁論期日である平成22年5月17日のわずか1週間前に提出された原告ら準備書面(7)が初めてのことであった。),少なくとも被告Y2は,平成17年4月から平成18年3月までの第4期は,主幹事証券会社や監査法人の指導の下での上場準備活動が最も活発化した時期であることを述べているし,現にこの時期は被告モバイルが多額多数回にわたる増資を行い,売上高もこれまでになく急増した時期なのであって,仮に平成17年3月期の時点で,従前契約を交わしていた主幹事証券会社や監査法人から既にその後の契約を打ち切られていたとすれば,以後の上場準備指導を全く受けていなかったとすれば,さすがにかかる情報を全く外部に漏らすことなく,多額多数回の増資による資金調達を続けたり,多額の資金を必要とするレーシングチームに対する支援を継続するといった行動が続けられたとは考えにくく,前記被告Y2の供述が全くの虚言であるとは認められない。
(4)また原告らは,被告Y2が平成17年5月26日ころ被告ワールドに交付したという100株券23枚は,被告モバイルが,当時上場のための必要条件となる株券発行時の要件(印刷会社名と多色細線模様の印刷,社名,社章又は特定の標章の「すかし」の刷り込み,東京証券取引所が認めた特定の印刷会社による印刷)を具備しないまま,安易に発行した「不適合株券」であり,具体的な株式上場前には原則としてこれを回収することが必要であったから,上場の重大な障害となりかねないものであったと主張するところ,証拠(甲21,被告Y2)によれば確かにかかる事実を認めることができる。
しかし,被告Y2自身,平成17年5月当時,原則として株券の発行は差し控えたい気持ちを持っていたが,被告ワールドの強い希望によりやむなく株券発行を行ったものであると述べていて,株券発行会社にもかかわらず,被告モバイルは当時原則として株券を新規発行はしていなかったことがうかがわれ,現に被告ワールドに対して発行した株券の株券番号「第1-0099~0121号」を見ても,平成17年5月26日当時の発行済み株式総数4万4980株に比し,実際に発行された株券の数はかなり限定的なものだったと推認される。とすれば,その発行済株式総数に比較したとき,前記株券は,その発行数自体が僅少で,流通物件としての支障をきたさない程度にとどまるものであり,引き続きこれを回収する努力をすることは求められるにしても,上場日までに必ずこれらの株券を回収することまでは要求されない可能性が十分あった(甲21)と考えられ,前記株券の発行故に,平成17年5月当時の被告モバイルの上場自体が,客観的に不可能であったとはいえない。
(5)その他原告らは,被告Y2が被告モバイルに多額の貸付をしていたこと自体も,当然に上場障害事由になると主張するが,仮に被告Y2による被告モバイルへの貸付行為が上場障害になるとしても,所詮は会社代表者からの貸付金なのだから,本当にそれが唯一の障害事由となって上場が妨げられたり,上場の時期が遅れる位なら,被告Y2の判断として,最後には被告モバイルに対する貸金債権を放棄するとか,あるいは新たに当該貸金を出資金扱いとして増資を図るとか,いずれにせよ経理上,被告モバイルの被告Y2に対する借入債務残高を圧縮させるような方法を見つけることは可能であると解される。
また原告らは,被告モバイルに,上場のために設置されたはずの「公開準備室」が作成した事業計画書が,平成15年7月10日付の1個(丙5)しか作成されていないことは被告Y2も認めているなどとして,それもまた被告モバイルが上場準備をしていなかったことの証左であるようにも指摘するが,被告Y2は,事業計画書自体が1個しかないなどと認めたわけでは全くないし,被告モバイルにおいて,株式上場の準備行為を担当していたのが「公開準備室」なる組織だけだったと認めるに足る証拠もないのであるから,原告ら指摘の事情をもって,平成17年4月以降の被告モバイルにおいて,上場準備行為が全く行われていなかったことが明らかとなったとは到底いえない。
そして,その余の原告ら指摘の諸事情を考慮しても,そもそも平成17年4月以降に,被告モバイルが,株式上場に向けた何らの準備行為もしていなかったことを認めるには足りないし,同年4月の時点で被告モバイルに上場の見込みがなかったことが,客観的に明らかであったとはいえない。
4  争点1(4)(被告Y2らによる欺罔行為の存否)について
(1)さらにAは,平成17年2月初めころ,赤坂のホテルで1度被告Y2と会って話した際,被告Y2自身が,被告モバイルは同年8月か9月には確実に上場する旨述べたと主張するが,被告Y2はこれを否定しており,その供述を排斥して,Aの供述の方が信用できると認め得るだけの証拠もないから,この点のAの供述を採用することはできない。
(2)なおAは,当日の経過について,被告Y1が被告Y2と会うという話が出た際に,たまたま同席していたAも同行することとなって,ホテルのバーか何かで初めて被告Y2に会ったが,話の詳細は記憶にないものの,被告Y1が,被告モバイルは上場しますよね,などと話しかけた際に,被告Y2もこれ肯定する返事をした,というのである。かかる程度の会合や会話であれば,単に被告Y2が記憶していないというだけで,そのような事実も確かにあったのかもしれない。
しかしながら,被告Y2の前記発言は,株式購入希望者に対する会社状況の説明会等といった公式の場における公的な発言でもなく,単に日頃からの友人との飲酒の席において,自身が経営する会社の上場見込みにつき,軽く話題になった際の相づち程度の話でしかない。しかもその際の被告Y2が,知人である被告Y1の友人として初めて会ったはずのAについて,Aやその実父である原告X1が,被告モバイル株の購入を希望もしくは検討しているか否かなどということは,通常は全くあずかり知らないことである。そのような友人らとの飲酒の席では,自分の意気込みや夢を語る上で,自ら経営する会社のことについては多少調子の良いことを話したり,相手の話に合わせて簡単に頷いたりすることは実際よくあることなのであって,そもそもこのような飲酒の場での言葉の端々をとらえて,それがAや原告X1に対する欺罔行為であるなどと評価すること自体が,余りにも強引なこじつけとしか思えないものであり,仮にAが述べたような経緯で被告Y2による発言がなされたことがあったとしても,それがAや原告X1に対する欺罔行為にあたり得るとは到底評価することができない。
(3)また原告X1は,平成17年2月16日ころ,被告モバイル開催の新製品発表会で,被告Y2や被告Y1に会った際にも,被告Y2や被告Y1が,被告モバイルは同年中には確実に上場する旨発言したと供述する。しかし,同被告らは,かかる発言内容を否定しており,その供述と比べて原告X1の供述の方が信用できるとするだけの証拠もないから,この点の原告X1の供述も採用できない。
(4)なお,この日の会話について,原告X1は,被告モバイル主催の新製品発表会において,まさにその社長として,多数の参列客を出迎え,饗応する役目を担っていた被告Y2が,多数の参列客と言葉を交わしたりする中で,ほんの5分か10分位,原告X1やAの下に立ち寄って言葉を交わした際に,被告モバイルは今年中の上場する等と述べ,被告Y1もこれに同調したというのである。
しかしながら,このような会社主催のパーティーで,将来的な顧客や取引先やスポンサー候補者が多数集まっている席上において,株式上場を狙おうという会社の社長であれば,仮に実際には上場に向けた様々な障害が待ち受けている場合であっても,上場に向けた意気込みを示すためにも,あえて「年内に上場する」等といった発言をするということは,また十二分にあり得るところである。だからといって,もともとこのような会話の場面においては,投資の是非に関する正確な情報提供や,厳密や情勢判断といった,厳格な状況説明を求められるような状況とはいえない。
仮にこのような席上において,原告X1が主張するような会話が交わされたことがあったとしても,それが原告X1やAに対する欺罔行為であるなどと評価すること自体,到底できないことというべきである。
5  争点1(5)(被告Y1における欺罔の故意の存否)及び争点1(6)(被告Y2による共謀の存否)について
(1)以上によれば,被告Y1や被告Y2は,結局何ら原告X1に対し,事実と異なる虚言を述べたことがあったとは認められず,また被告モバイル株について客観的に上場の可能性がないことを知りながら,かかる事実を隠したまま,被告モバイル株の購入の取次ぎ,もしくは売却をするといった消極的欺罔行為についても,これを行ったと認めるには足りないから,結局かかる被告らにおいて,詐欺の故意や,詐欺に向けた共謀があったと認めることはできない。
(2)なお,さらに検討するに,もともと被告Y1は,平成17年2月ないし4月当時,Aの親しい友人であった上でに,Aが代表者を務めるゲージデザインの取締役の一人として,同社から少なくとも月額60万円の報酬金をもらっていた身であり,原告X1はそのAの実父であったから,常識的に考えれば,当時の被告Y1において,Aや原告X1は,そもそも虚言を弄してまで,意図的に損害を与えようといった害意を抱くような相手ではなかったと解される。
また被告Y1は,X1覚書契約によって,原告X1のために被告ワールドの名義で被告モバイル株400株を取得するにあたり,原告X1から受領した取得代金2000万円を,そのまま被告Y2に送金したことが認められ,この時点での取次ぎ行為それ自体からは,被告ワールドらは何らの利益も得ていない。ただX1覚書契約においては,将来的に取得したモバイル株の売却が可能となった時点で,被告ワールドは,原告X1の指示に従いこれを他に売却するものとし,その際,売却代金から公租公課や売却に係わる諸費用を控除した残金を原告X1に交付することで,売却代金引渡義務を履行終了することとされており,ここで差し引くべき「諸費用」が何であるのか明記はないから,将来的に売却益が生じた場合には,「諸費用」名目で何らかの手数料や報酬金を取得できた可能性が高い。とはいえ,これもX1覚書契約によって買い付けた被告モバイル株が,実際に上場して他に転売できる状態が生じない限り,何ら現実化するものでもないから,もともと被告Y1が,上場する見込みの全くない株式を,原告X1に売り付けようとする動機とはなりがたい。
なお,原告らは,被告ワールドが,第三者から資金を集めるなどして被告Y2から買い付けた被告モバイル株1億1500万円について,その全額が被告モバイルに貸し付けられたとは認められず,少なくとも2500万円相当額が被告Y2の下に留保されたはずであるとして,被告Y1は被告Y2から前記金員の分配を受けた旨主張するが,かかる主張を裏付け得る証拠はなく,その主張は何ら根拠のない推測に過ぎないものであって,採用する余地はない。
そうすると,そもそも被告Y1には,被告モバイルの株式に上場見込みがないことを知りながら,あえて上場確実である旨Aや原告X1をだましてまで,被告モバイルの株式を原告X1に購入させようとするだけの動機があるとは考えにくのであって,かかる見地からしても,被告Y1において,原告X1に対する欺罔の故意があったとは認めがたいところである。
(3)また被告Y2については,前示のとおり,そもそも被告ワールドと原告X1との間のX1覚書契約の存在を知らないまま,被告ワールドとの間で,平成17年2月ころから5月26日までの間に被告モバイル株2300株を1株5万円(合計1億1500万円)で売却したものであって,少なくとも総額1億1500万円の購入資金の中で,2000万円が原告X1の出捐によるものであったことを気付いていたと認めるにも足りないから,被告Y1や被告ワールドが,原告X1との間で,一体どのような取引を行ったのかどうかについても認識していなかったと解されるのであって,原告X1と被告ワールド間で行われた取引内容について,あらかじめ被告Y1と共謀していたとは到底認めることができない。
6  以上によれば,原告X1の請求のうち,被告Y1と被告Y2,またそれぞれが経営する被告ワールドや被告モバイルが共謀して,上場見込みもない被告モバイルの株式につき,平成17年10月までに確実に上場する等と欺罔した上,これを誤信した原告X1から,株式取得金名目で2000万円を交付させてこれを騙取したことを前提とする損害賠償請求には理由がない。
また,そもそも原告X1と被告Y2は,X1売買契約を締結したとは認められないし,被告Y1や被告Y2による欺罔行為が存在しない以上,これを理由にX1覚書契約を取り消した意思表示も有効とはいえないから,原告X1が,被告Y2又は被告ワールドに対する不当利得返還請求にも理由がない。
なお,被告ワールドは,被告ワールドに対する不当利得返還請求が,時機に後れたものとしてその却下を求めるところ,確かに被告ワールドに対するこの点の請求は,時機に後れたものというべきであるものの,その追加請求によって本件訴訟の完結時期に遅滞を生じさせるものとはならなかった以上,これを却下するまでもないと判断したところである。
7  争点2(1)(原告X2と被告Y2間のX2売買契約の成否)について
次いで原告X2は,平成17年12月28日,被告ワールドが原告X2を代理して,被告Y2との間で被告モバイルの株式100株を800万円で購入するX2売買契約を締結したと主張するが,被告らはいずれもこれを否認しており,むしろ被告ワールドらは,平成16年5月18日に,クロスルートからAが購入した被告モバイル株100株を,Aが他に売却することを希望したため,被告ワールドがその指示を受けてこれを売却することとし,Aと原告X2間で売買契約が締結されたもののように主張する。
検討するに,原告X2と被告ワールドの間で締結されたX2覚書契約は,X1覚書契約の際に交わされたものと全く同じ書式に基づく契約であることを考えると,これもまた,商法上の取次ぎや問屋営業における,自己の名をもって他人のために物品の販売又は買入を為す行為にほかならないと解される。
そして,被告Y2が,平成17年12月28日ころ,原告X2はもちろん,被告ワールドに対しても,被告モバイル株を売却したことはなかったと主張するのみならず,被告ワールドは,この時購入した株式は,被告Y2が所有していたものではなく,Aが所有していたものであると説明している。そしてAも,平成16年5月18日に購入した被告モバイルの株式100株を,他に売却したことは認めている上,現に平成18年2月10日と13日には,現に被告ワールドから,300万円がゲージデザインの口座に,また500万円がA個人の口座に,それぞれ送金されているところであって(丙2,3),これらは原告X2から株式取得資金として交付された800万円を,Aの指示に従って,そのまま個人と会社の双方の口座に分けて支払ったものと解するのが最も自然である(なお,Aは,被告モバイル株100株を売却して得た金額は500万円のみであったとして,前記送金のうちの300万円が,株式売買代金の一部であることを否認するが,2件の送金時期が互いにごく近接しているのに対し,個人名義口座に振り込まれた500万円のうちの300万円が,被告ワールドからの借入金であって,これを個人保証するためにA名義の口座に一端振り込まれたものである等とするAの説明は,それ自体不合理なもので容易に信じがたい上に,その裏付証拠も何もないことを考えると,この点に関するAの説明は容易に信用することができない。)。
なお,原告X2は,同原告が受領した株券の株券番号が,平成17年5月26日ころ,被告モバイルが発行した23枚の100株券の中の1枚であることを理由に,同株式の売主はやはり被告Y2であると主張するようだが,およそ株式取引については,個々の株券番号を明記しての特定物売買がなされるものではないし,被告ワールドは,被告Y2から交付された被告モバイルの株券については,基本的に全部まとめて自らが保管し,特に株券の引渡要求のあった株主に対してしか当該株券を交付していなかったことが認められるから,原告X2からの株券引渡の要求に対して,たまたま交付した株券が,平成17年5月26日ころ被告Y2から受領した株券の1枚であったということに過ぎず,原告X2に交付された株券が平成17年5月26日ころ発行されたものであるからといって,それを理由に,原告X2のため被告ワールドが購入した株式の売主が,Aではなく被告Y2であったと認めることはできない。
以上によれば,平成17年12月28日ころ,原告X2のために被告ワールドが購入した被告モバイル株100株は,被告Y2が所有していた株式ではなく,Aが所有していた株式であったと認めるべきであり,原告X2と被告Y2との間で,X2売買契約が成立したと解する余地はない。
8  争点2(2)(被告Y1による原告X2に対する被告モバイル株購入勧誘の有無及び購入勧誘文言の内容),争点(3)(被告Y1による発言内容の真偽)及び争点(4)(被告Y1における欺罔の故意の存否)について
(1)原告X2は,被告Y1が,平成17年2月から12月にかけて,被告モバイル株を購入するよう勧誘し,かつその際には,主幹事証券会社や監査法人が既に上場させることを決定している等として,被告モバイルが,近い時期に確実に上場する旨聞かされたのを初めとして,上場後の株価の見通し(20倍から30倍になること)や,被告モバイルの過去の売上高や利益についての説明,④被告モバイルの今後の事業展開についての見込み等(商品の受注が20万から30万台あること,韓国における事業展開が決定していること)等について,事実と違う説明をされ,その旨欺罔されたと主張するが,被告Y1は,そもそも原告X2に対しては,被告モバイル株を購入することについて勧誘したことがないのはもちろん,原告X2との間で,被告モバイル株のことを話題にしたこともほとんどなく,最終的に被告ワールドがX2覚書契約を締結して,Aが所有する株式を原告X2が取得できるよう計らったのは,むしろ周囲の友人から被告モバイル株の購入を勧められた原告X2の方から,Dを通じて被告Y1に対し,被告モバイル株の購入ができないか,依頼してきたからに過ぎないと主張する。
(2)検討するに,前示のとおり,平成17年12月当時の被告Y1は,被告Y2からその所有する被告モバイル株についての買取りを打診されたわけではなく,現に原告X2のために被告ワールドが購入した被告モバイル株も,被告Y2が所有していたものではなく,Aが所有していた株式なのであるから,この時期の被告Y1については,被告モバイル株の購入を,第三者に勧めて回る程の必要性は特になかったと言わざるを得ない。しかも,原告X2は,被告Y1も同席する場で,原告X2自身が,かつて未公開株を購入して損失を出したことがあったため,未公開株に手を出すつもりはない旨発言したこともあったというのであるから,仮に被告Y1において,積極的に被告モバイル株の売却先を探す必要があったとしても,わざわざ原告X2をその相手に選んで勧誘する必要もないように思われる。
一方,原告X2は,Dを始めとして,現に被告モバイルの株主であった者や,あるいは被告モバイルから,自らが率いるレーシングチームの支援を受けている者と,友人として交流していたのであるから,これらの友人達を通じて,被告モバイルについての情報を得た可能性は否定できない。
また前示のとおり,平成17年当時の被告モバイルは,ブルートゥース機能を用いた携帯電話機,オーディオ製品等の周辺機器について,精力的に新製品を発表し,1株が5万円から8万円といった金額で,多数回多額に及ぶ増資を行い,現にフォーミュラジャパンやフォーミュラワンのレーシングチームのスポンサーとなるなど,華やかで積極的な事業展開を行っていたし,特に平成17年4月から平成18年3月期の売上高は,前年期を4倍以上超える勢いで伸びているといういわば最も勢いのある時期だったと解され,同年12月中からは,被告モバイルの新商品についてのテレビコマーシャル放映も始まったところであったから,これらの情報に接した者であれば,被告モバイルの将来性,成長性を大きく評価して,株式上場の見込みがあると考える余地も十分あったと考えられる。
さらに原告X2は,平成17年秋ころには,被告モバイルの社屋を訪ねて被告Y2が少人数向けに行っていた新規事業の取り組みを説明するような会合に参加したことがあるところ,その事業内容は,レーシングドライバーの心臓部付近の血流の状態等をチェックできる装置の製品化だったというのであるから,その事業内容自体の独自性,将来性も,また魅力的なものと評価し得るものだったであろう。
他方,原告X2は,被告Y1から,平成17年2月から12月までという長期間にわたり,度々被告モバイル株購入に向けた勧誘を受けたと述べるものの,その実際の状況については,各勧誘時における日時場所が特定されていないだけでなく,そのような話題が出された経緯やこれに対する原告X2自身の反応,心情等についても,何ら具体的,説得的説明がなく,抽象的な結論のみを述べるにとどまるものであるし,かかる勧誘を受けていた期間自体が,10か月以上にもわたる長期間だったというのであるから,その間に,前示のとおり被告Y1以外の友人らから被告モバイルに関する様々な情報を入手できた可能性は十分あったと解され,平成17年2月ころから12月ころという,相当以前の時期における被告Y1からの具体的勧誘文言について,正確な記憶を有しているのか否かにも疑問が残る。
かかる事情を総合考慮すれば,原告X2に対しては,被告モバイル株の購入を勧めたことは全くなく,原告X2の方からその購入を希望してきたとする被告Y1の供述も,あながち排斥することはできないのであって,これと対比した時,被告Y1から被告モバイル株を購入するよう何回となく勧誘を受けたとする原告X2の供述は,なお信用するに足りない。
(3)そうすると,被告ワールドは,X2覚書契約を締結し,原告X2のためにAから株式100株を購入したものであるが,かかる被告ワールドや被告Y1の行動自体は,原告X2自身の依頼に基づくものとして,何ら違法性ある行為ではないというべきである。
また,原告X2は,平成17年4月以降の被告モバイルは,上場準備行為も行っておらず,客観的に上場ができる見込みは全くなく,被告Y1はこれを知りながら,モバイル株を購入させたようにも主張するが,争点1(3)についての判断で述べたとおり,被告モバイルについては,平成17年12月当時においても,主幹事証券会社や監査法人が決まっていなかったとはいえないし,被告モバイルによる「不適合証券」の発行が,直ちに上場の障害になるともいえず,その他の原告らが主張する事実をもってしても,平成17年12月当時の被告モバイルについて,上場することが客観的に不可能であったとも認めがたいところであるから,被告Y1が,上場不可能なことを知りながら,原告X2のために被告モバイル株の売買の取次ぎをしたと認めることもできない。
そうすると,被告Y1について,原告X2に対する欺罔の故意があったということもできない。
9  争点2(5)(被告Y2による欺罔行為の存否),同2(6)(被告Y2による共謀の存否)について
(1)原告X2は,平成17年秋に,前示のとおり被告モバイル社屋に出向いて少人数向け説明会のような会合に参加した際に,被告Y2自身からも,被告モバイルは近い時期に確実に上場することや,被告モバイルの平成16年の年間売上が40億円から50億円であったこと,被告モバイルがフォーミュラジャパンのスポンサーとして支払っている年間2億円から3億円の費用が,被告モバイルの年間利益の2割から3割程度にあたること等を直接聞かされたというのであるが,被告Y2は,かかる説明内容について完全に否定しているというのみならず,そもそも前記説明会のような会合を開いたことがあったのか否か,その会合に原告X2が参加していたのか否かについても明確な記憶がない旨述べるにとどまる。確かに被告Y2は,被告モバイルの経営者として,平成17年秋当時には,様々な人物と会合を持ったり,新規事業の説明会を開いたりということも日常業務の一環として頻繁にこなしていたであろうから,ある特定の会合におけるその内容や参加者について,記憶がないというのも不自然なことではない。
一方,被告Y2との会話内容についての原告X2の主張を裏付けるものは,同原告自身の供述しかない(原告X2,甲19)。そして原告X2によれば,少人数での説明会が終わった後,その場における雑談のような形で,被告Y2との間でかかる会話が持たれたというのであるが,その際の具体的な状況については,やはりその場で原告X2が問い掛けた内容について,被告Y2が原告X2主張のとおりの回答をしたというだけの,抽象的な説明をするものでしかない。
ところで,原告X2が主張する勧誘文言のうち,少なくとも被告モバイルの平成16年の年間売上額に関する話や,その収益に関する話は,客観的事実に反する虚偽の事実であるが,被告Y2は,前示のとおり,原告X2に対してその所有する被告モバイル株を売却したものではないし,被告Y1がAから被告モバイル株100株を購入したことについても何らかの具体的な関与をしたとは認められない。そもそも被告Y2は,原告X2が前示の説明会に参加した時点で,同原告が被告モバイル株の購入を希望,検討しているか否かということ自体も,これを認識していたとは認めがたいところである。とすれば,被告Y2が,説明会に参加した客の一人に過ぎなかった原告X2に対し,過去の被告モバイルの売上高や収益額について,あえて明らかな虚偽発言をするという必要性自体が認めがたいところである。
かかる事情を併せ考えると,原告X2に対して,被告モバイル株の購入を勧めたことも,またそのために特段虚偽の発言をしたこともないとする被告Y2の供述に対比して,原告X2の供述の方が信用できると認めるには足りないから,平成17年秋ころの説明会の会場の場において,被告Y2から上場が確実であることや,被告モバイルの過去の売上高,収益等に関する虚偽発言を含む欺罔文言を聞かされたとする原告X2の主張は,容易に信用することができない。
(2)そうすると,被告Y1及び被告Y2については,いずれにせよ原告X2に対する被告モバイル株購入のための勧誘行為があったと認めることができないのだから,欺罔の故意や共謀についても,これを認定することはできない。
10  以上によれば,原告X2の請求のうち,被告Y1と被告Y2,またそれぞれが経営する被告ワールドや被告モバイルが共謀して,上場見込みもない被告モバイルの株式につき,近く確実に上場する等と欺罔した上,これを誤信した原告X2から,株式取得金名目で800万円を交付させてこれを騙取したことを前提とする損害賠償請求には理由がない。
また,そもそも原告X2と被告Y2も,X2売買契約を締結したとは認められないし,被告Y1や被告Y2による欺罔行為が存在しない以上,これを理由にX2覚書契約を取り消した意思表示も有効とはいえないから,原告X2による被告Y2又は被告ワールドに対する不当利得返還請求にも理由がない。
なお,被告ワールドに対する不当利得返還請求が時機に後れたものであるにせよ,これを却下するに至らなかったことについては,前示のとおりである。
11  争点3(1)(被告ワールドは証券業行為を実施していたか否か)について
被告ワールドが,証取法による証券業のための内閣総理大臣による登録を得ていないことは当事者間でも争いがないところ,原告らは,被告ワールドが行ったX1覚書契約,X2覚書契約を含む,被告モバイル株の複数回の売買もしくは売買代理行為等が,証券業に該当するとして,違法であると主張する。
しかし,証券業とは,有価証券の売買や,売買の媒介,取次ぎ又は代理等といった証取法2条8項所定の行為を行う営業を指すものであり,当該行為についての営利目的性が必要である。原告らが指摘するとおり,被告ワールドは商人たる株式会社であるから,確かにその行為については営業のためにするものとする推定が働くとはいえ,X1覚書契約,X2覚書契約の経過を見ても分かるように,被告ワールドは,これまでの被告モバイル株の売買やその取次ぎ行為を行うにあたっては,実際に具体的な利益を得たことはなかったものと認められるから,むしろそれは,「営業」のためにする行為ではなかったものというべきであって,証券業にはあたらない。
なお,仮に被告ワールドの行為が,「証券業」に該当するものであったとしても,証取法の規制に反して登録を受けないまま証券業行為を行ったからといって,かかる取締り法規違反だけを理由に,当該取引が当然にその相手方に対する不法行為になるとか,取引自体が違法無効になるものとはいえない。
12  争点3(2)(被告ワールドによるグリーンシート銘柄以外の未公開株の売買又は売買の代理行為はそれ自体が不法行為となり得るか)について
原告らは,被告ワールドが,グリーンシート銘柄以外の未公開株である被告モバイル株についての売買や,その代理(取次ぎ)行為を行ったこと自体が,取引の相手方に対する不法行為を構成する違法な行為であると主張する。
しかし,前示のとおり,被告ワールドは,自らの営利の目的でX1覚書契約やX2覚書契約を締結したり,これに基づく被告モバイル株の取次行為を行ったものとはいえないし,原告X1が購入した際の1株5万円,原告X2が購入した際の1株8万円という取引価格自体も,平成17年4月もしくは12月当時において,被告モバイルが行っていた増資手続における1株あたり増資額と等しい金額であって,相場自体が存在しない未公開株の取引として,一見して不当に高額な取引であることが明らかともいえないこと,そして前示のとおり,X1覚書契約もしくはX2覚書契約締結に至る過程において,被告Y1が,虚言を用いた勧誘であるとか,特段強引な勧誘を行ったというような事実は認められないし,他方で被告モバイル株の購入を決めた原告らは,それぞれが相当な社会経験を重ね,自ら代表取締役としてそれぞれの会社を経営し,また原告X1についてみれば既に20年以上前から3000万円位の規模で専ら上場株とはいえ株取引を続けてきたという経験を有し,また原告X2についてみても100万円程度の金額ではあるがこれまで何度か上場株の取引経験があるほか,過去には後輩に勧められるままに未公開株を購入して200万円位もの損失を計上した経験もあったというのであるから,それぞれが相場のある取引はもちろん,相場のない未公開株取引については,一層のリスクがある取引であることは十分に理解していたものと認められる。とすれば,最終的に株式上場に向けた思惑が外れて損失が生じたとしても,それは自らの投資判断の結果として,自らが負うべき損失というべきなのであって,グリーンシート銘柄以外の未公開株取引だったからといって,それが当然に,その取次ぎを行った被告ワールドによる不法行為になる余地はないというべきである。
とすれば,その余の争点(被告Y2による共謀の存否)について判断するまでもなく,グリーンシート銘柄以外の未公開株取引であること自体を不法行為として,最終的に生じた損失の賠償責任を,被告らに対して求めるとする原告らの請求はいずれも採用することができない。
第8  結語
以上の次第で,原告らの被告モバイル株取得に至る過程での被告Y1及び被告Y2に,原告らに対する欺罔行為や欺罔の故意があったとはいえないし,未公開株の売買の取次ぎを行った行為自体が違法行為になるともいえないから,いずれにしても原告らの被告らに対する損害賠償請求には理由がない。
(裁判官 荻原弘子)

 

別紙
当事者目録
東京都世田谷区〈以下省略〉
原告 X1
東京都世田谷区〈以下省略〉
原告 X2
原告ら訴訟代理人弁護士 西川三男
同 生田宗久
同 西川将史
(商業登記簿上の本店所在地)
東京都新宿区〈以下省略〉
(送達場所)東京都渋谷区〈以下省略〉
被告 株式会社ワールド・クリエイティブ
同代表者代表取締役 Y1
東京都狛江市〈以下省略〉
被告 Y1
上記被告2名訴訟代理人弁護士 赤坂俊哉
同 坂元夏子
(商業登記簿上の本店所在地)
東京都港区〈以下省略〉
(送達場所)東京都中央区〈以下省略〉
被告 モバイルキャスト株式会社
同代表者代表取締役 Y2
東京都目黒区〈以下省略〉
被告 Y2
上記被告2名訴訟代理人弁護士 寺井勇人
以上

 

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