【営業代行から学ぶ判例】crps 裁判例 lgbt 裁判例 nda 裁判例 nhk 裁判例 nhk 受信料 裁判例 pl法 裁判例 pta 裁判例 ptsd 裁判例 アメリカ 裁判例 検索 オーバーローン 財産分与 裁判例 クレーマー 裁判例 クレプトマニア 裁判例 サブリース 裁判例 ストーカー 裁判例 セクシャルハラスメント 裁判例 せクハラ 裁判例 タイムカード 裁判例 タイムスタンプ 裁判例 ドライブレコーダー 裁判例 ノンオペレーションチャージ 裁判例 ハーグ条約 裁判例 バイトテロ 裁判例 パタハラ 裁判例 パブリシティ権 裁判例 ハラスメント 裁判例 パワーハラスメント 裁判例 パワハラ 裁判例 ファクタリング 裁判例 プライバシー 裁判例 プライバシーの侵害 裁判例 プライバシー権 裁判例 ブラックバイト 裁判例 ベネッセ 裁判例 ベルシステム24 裁判例 マタニティハラスメント 裁判例 マタハラ 裁判例 マンション 騒音 裁判例 メンタルヘルス 裁判例 モラハラ 裁判例 モラルハラスメント 裁判例 リストラ 裁判例 リツイート 名誉毀損 裁判例 リフォーム 裁判例 遺言 解釈 裁判例 遺言 裁判例 遺言書 裁判例 遺言能力 裁判例 引き抜き 裁判例 営業秘密 裁判例 応召義務 裁判例 応用美術 裁判例 横浜地裁 裁判例 過失割合 裁判例 過労死 裁判例 介護事故 裁判例 会社法 裁判例 解雇 裁判例 外国人労働者 裁判例 学校 裁判例 学校教育法施行規則第48条 裁判例 学校事故 裁判例 環境権 裁判例 管理監督者 裁判例 器物損壊 裁判例 基本的人権 裁判例 寄与分 裁判例 偽装請負 裁判例 逆パワハラ 裁判例 休業損害 裁判例 休憩時間 裁判例 競業避止義務 裁判例 教育を受ける権利 裁判例 脅迫 裁判例 業務上横領 裁判例 近隣トラブル 裁判例 契約締結上の過失 裁判例 原状回復 裁判例 固定残業代 裁判例 雇い止め 裁判例 雇止め 裁判例 交通事故 過失割合 裁判例 交通事故 裁判例 交通事故 裁判例 検索 公共の福祉 裁判例 公序良俗違反 裁判例 公図 裁判例 厚生労働省 パワハラ 裁判例 行政訴訟 裁判例 行政法 裁判例 降格 裁判例 合併 裁判例 婚約破棄 裁判例 裁判員制度 裁判例 裁判所 知的財産 裁判例 裁判例 データ 裁判例 データベース 裁判例 データベース 無料 裁判例 とは 裁判例 とは 判例 裁判例 ニュース 裁判例 レポート 裁判例 安全配慮義務 裁判例 意味 裁判例 引用 裁判例 引用の仕方 裁判例 引用方法 裁判例 英語 裁判例 英語で 裁判例 英訳 裁判例 閲覧 裁判例 学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例 共有物分割 裁判例 刑事事件 裁判例 刑法 裁判例 憲法 裁判例 検査 裁判例 検索 裁判例 検索方法 裁判例 公開 裁判例 公知の事実 裁判例 広島 裁判例 国際私法 裁判例 最高裁 裁判例 最高裁判所 裁判例 最新 裁判例 裁判所 裁判例 雑誌 裁判例 事件番号 裁判例 射程 裁判例 書き方 裁判例 書籍 裁判例 商標 裁判例 消費税 裁判例 証拠説明書 裁判例 証拠提出 裁判例 情報 裁判例 全文 裁判例 速報 裁判例 探し方 裁判例 知財 裁判例 調べ方 裁判例 調査 裁判例 定義 裁判例 東京地裁 裁判例 同一労働同一賃金 裁判例 特許 裁判例 読み方 裁判例 入手方法 裁判例 判決 違い 裁判例 判決文 裁判例 判例 裁判例 判例 違い 裁判例 百選 裁判例 表記 裁判例 別紙 裁判例 本 裁判例 面白い 裁判例 労働 裁判例・学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例・審判例からみた 特別受益・寄与分 裁判例からみる消費税法 裁判例とは 裁量労働制 裁判例 財産分与 裁判例 産業医 裁判例 残業代未払い 裁判例 試用期間 解雇 裁判例 持ち帰り残業 裁判例 自己決定権 裁判例 自転車事故 裁判例 自由権 裁判例 手待ち時間 裁判例 受動喫煙 裁判例 重過失 裁判例 商法512条 裁判例 証拠説明書 記載例 裁判例 証拠説明書 裁判例 引用 情報公開 裁判例 職員会議 裁判例 振り込め詐欺 裁判例 身元保証 裁判例 人権侵害 裁判例 人種差別撤廃条約 裁判例 整理解雇 裁判例 生活保護 裁判例 生存権 裁判例 生命保険 裁判例 盛岡地裁 裁判例 製造物責任 裁判例 製造物責任法 裁判例 請負 裁判例 税務大学校 裁判例 接見交通権 裁判例 先使用権 裁判例 租税 裁判例 租税法 裁判例 相続 裁判例 相続税 裁判例 相続放棄 裁判例 騒音 裁判例 尊厳死 裁判例 損害賠償請求 裁判例 体罰 裁判例 退職勧奨 違法 裁判例 退職勧奨 裁判例 退職強要 裁判例 退職金 裁判例 大阪高裁 裁判例 大阪地裁 裁判例 大阪地方裁判所 裁判例 大麻 裁判例 第一法規 裁判例 男女差別 裁判例 男女差别 裁判例 知財高裁 裁判例 知的財産 裁判例 知的財産権 裁判例 中絶 慰謝料 裁判例 著作権 裁判例 長時間労働 裁判例 追突 裁判例 通勤災害 裁判例 通信の秘密 裁判例 貞操権 慰謝料 裁判例 転勤 裁判例 転籍 裁判例 電子契約 裁判例 電子署名 裁判例 同性婚 裁判例 独占禁止法 裁判例 内縁 裁判例 内定取り消し 裁判例 内定取消 裁判例 内部統制システム 裁判例 二次創作 裁判例 日本郵便 裁判例 熱中症 裁判例 能力不足 解雇 裁判例 脳死 裁判例 脳脊髄液減少症 裁判例 派遣 裁判例 判決 裁判例 違い 判決 判例 裁判例 判例 と 裁判例 判例 裁判例 とは 判例 裁判例 違い 秘密保持契約 裁判例 秘密録音 裁判例 非接触事故 裁判例 美容整形 裁判例 表現の自由 裁判例 表明保証 裁判例 評価損 裁判例 不正競争防止法 営業秘密 裁判例 不正競争防止法 裁判例 不貞 慰謝料 裁判例 不貞行為 慰謝料 裁判例 不貞行為 裁判例 不当解雇 裁判例 不動産 裁判例 浮気 慰謝料 裁判例 副業 裁判例 副業禁止 裁判例 分掌変更 裁判例 文書提出命令 裁判例 平和的生存権 裁判例 別居期間 裁判例 変形労働時間制 裁判例 弁護士会照会 裁判例 法の下の平等 裁判例 法人格否認の法理 裁判例 法務省 裁判例 忘れられる権利 裁判例 枕営業 裁判例 未払い残業代 裁判例 民事事件 裁判例 民事信託 裁判例 民事訴訟 裁判例 民泊 裁判例 民法 裁判例 無期転換 裁判例 無断欠勤 解雇 裁判例 名ばかり管理職 裁判例 名義株 裁判例 名古屋高裁 裁判例 名誉棄損 裁判例 名誉毀損 裁判例 免責不許可 裁判例 面会交流 裁判例 約款 裁判例 有給休暇 裁判例 有責配偶者 裁判例 予防接種 裁判例 離婚 裁判例 立ち退き料 裁判例 立退料 裁判例 類推解釈 裁判例 類推解釈の禁止 裁判例 礼金 裁判例 労災 裁判例 労災事故 裁判例 労働基準法 裁判例 労働基準法違反 裁判例 労働契約法20条 裁判例 労働裁判 裁判例 労働時間 裁判例 労働者性 裁判例 労働法 裁判例 和解 裁判例

判例リスト「完全成功報酬|完全成果報酬 営業代行会社」(231)平成23年 3月30日 東京地裁 平21(ワ)31904号 報酬金本訴請求事件、不当利得返還反訴請求事件

判例リスト「完全成功報酬|完全成果報酬 営業代行会社」(231)平成23年 3月30日 東京地裁 平21(ワ)31904号 報酬金本訴請求事件、不当利得返還反訴請求事件

裁判年月日  平成23年 3月30日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平21(ワ)31904号・平22(ワ)668号
事件名  報酬金本訴請求事件、不当利得返還反訴請求事件
裁判結果  本訴一部認容、反訴請求棄却  文献番号  2011WLJPCA03308032

要旨
◆原告が、被告らから受託した各業務を遂行したとして、報酬合意又は商法512条に基づき報酬の支払を求めた(本訴)のに対し、被告会社が、原告に委託した移転補償・明渡交渉業務及び報酬支払は非弁行為の禁止に抵触し無効であると主張し、被告Y1が、原告に委託した借入交渉業務に関する報酬支払は出資法4条1項に違反し無効であると主張して、いずれも原告に対し不当利得の返還を求めた(反訴)事案において、原告の請求の一部は報酬合意の成立が認められ、他方、被告会社の主張につき、仮に本件報酬合意が非弁行為であっても既払報酬は不法原因給付であるとされ、被告Y1の主張につき、報酬合意の一部は違法無効とされたが、原告の相殺の抗弁が容れられて、結局反訴請求は棄却された事例

参照条文
民法90条
民法703条
民法708条
商法512条
出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律4条1項
弁護士法72条

裁判年月日  平成23年 3月30日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平21(ワ)31904号・平22(ワ)668号
事件名  報酬金本訴請求事件、不当利得返還反訴請求事件
裁判結果  本訴一部認容、反訴請求棄却  文献番号  2011WLJPCA03308032

平成21年(ワ)第31904号 報酬金本訴請求事件
平成22年(ワ)第668号 不当利得返還反訴請求事件

東京都目黒区〈以下省略〉
本訴原告・反訴被告 株式会社ハートパッシヨン(以下「本訴原告」という。)
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 近藤直子
東京都文京区〈以下省略〉
本訴被告・反訴原告 株式会社城島(以下「反訴原告会社」という。)
同代表者代表取締役 Y2
神奈川県川崎市〈以下省略〉
本訴被告・反訴原告 Y1(以下「反訴原告Y1」という。)
神奈川県川崎市〈以下省略〉
本訴被告 Y2(以下「本訴被告Y2」という。)
上記3名訴訟代理人弁護士 木村眞一

 

 

主文

1  反訴原告Y1は,本訴原告に対し,299万4774円及びこれに対する平成21年9月12日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2  本訴原告の反訴原告Y1に対するその余の本訴請求並びに反訴原告会社及び本訴被告Y2に対する本訴各請求をいずれも棄却する。
3  反訴原告らの反訴各請求をいずれも棄却する。
4  訴訟費用は,本訴反訴を通じ,本訴原告に生じた費用の2分の1と反訴原告会社に生じた費用の12分の11を反訴原告会社の,本訴原告に生じた費用の6分の1と反訴原告Y1に生じた費用の2分の1を反訴原告Y1の,その余を本訴原告の負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
1  本訴請求
(1)  反訴原告会社は,本訴原告に対し,121万9000円及びこれに対する平成21年9月12日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
(2)  反訴原告Y1は,本訴原告に対し,784万0577円及びこれに対する平成21年9月12日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
(3)  本訴被告Y2は,本訴原告に対し,361万1000円及びこれに対する平成21年9月12日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2  反訴請求
(1)  本訴原告は,反訴原告会社に対し,1475万7269円及びこれに対する平成22年1月14日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
(2)  本訴原告は,反訴原告Y1に対し,200万円及びこれに対する平成22年1月14日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
1  事案の要旨
本件は,
(1)  本訴請求
株式会社である本訴原告が,本訴被告らから受託した各業務を遂行したとして,報酬合意又は商法512条に基づき,①反訴原告会社に対し,訴訟案件処理報酬157万5000円(消費税込み)から既払金35万6000円を控除した121万9000円及びこれに対する本訴状送達日の翌日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を,②反訴原告Y1に対し,農地売却報酬758万8577円及び賃貸借処理報酬25万2000円(消費税込み)並びにこれらに対する本訴状送達日の翌日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を,③本訴被告Y2に対し,借入交渉報酬420万円(消費税込み)から既払金58万9000円を控除した361万1000円及びこれに対する本訴状送達日の翌日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を
それぞれ求めるのに対し,
(2)  反訴請求
本訴原告に対し,①反訴原告会社が,本訴原告に委託した移転補償・明渡交渉業務及び報酬支払は弁護士法72条(非弁行為の禁止)に違反し無効などと主張して,不当利得(民法703条)に基づき,利得金1475万7269円及びこれに対する反訴状送達日の翌日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を,②反訴原告Y1が,本訴原告に委託した借入交渉業務に関する借入金の10%相当額の報酬支払は出資法4条1項(媒介手数料の制限)に違反し無効などと主張して,不当利得(民法703条)に基づき,利得金200万円及びこれに対する反訴状送達日の翌日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を
それぞれ求めている事案である。
2  前提事実(認定事実は末尾に証拠等を示す。)
(1)  本訴原告は,芸能プロダクションの経営,教育コンサルタント業務,不動産の売買,賃貸,仲介,斡旋及び管理等を目的として平成18年5月17日に設立された株式会社であり,A(以下「A」という。)はその代表取締役である(甲1)。
(2)  反訴原告会社は,建設工事等に関する調査,企画,設計監理及びコンサルティング業務,不動産の売買,賃借及びその仲介,管理等を目的とし,平成19年12月11日,有限会社アーモンド商事の商号変更及び移行により設立された株式会社である(以下,組織変更の前後を通じて「反訴原告会社」という。)。本訴被告Y2は,反訴原告会社の代表取締役であり,反訴原告Y1の妻として,その所有不動産の管理処分に関する代理人も務めていた(甲2,乙5,本訴被告Y2本人)。
(3)  本訴被告Y2は,反訴原告Y1代理人として,本訴原告に対し,遅くとも平成18年9月ころまでに,反訴原告Y1が所有する福岡県柳川市a町字○○所在の農地(分筆前の地番81番3。以下「柳川農地」という。)を売却するためのコンサルティング業務を委託し,その後,「販売価格」が3000万円以上の場合の「コンサルタント料」を販売価格の15%(諸経費別)とする旨合意した(甲4の1,乙9の1ないし7,10)。
(4)  反訴原告会社は,本訴原告に対し,平成18年10月ころ,東京都が実施する北区田端二丁目付近土地区画整理事業の対象区域中に反訴原告会社が所有する借地権付建物(bビル)につき,①反訴原告会社及び②同建物301号室及び402号室の占有者である同社従業員Bに対する各移転補償額に関する東京都との交渉業務を委託した(以下「bビル移転補償交渉業務」という。)。
(5)  本訴被告Y2は,反訴原告Y1代理人として,本訴原告に対し,平成19年春ころ,反訴原告Y1が所有する福岡県柳川市所在の賃貸建物「cハイツ」(以下「柳川貸室」という。)につき,新たな管理委託先を探す相談をした。本訴原告は,本訴被告Y2に対し,同年4月ころ,新たな管理委託先として山田不動産ことC(以下「C」という。)を紹介し,反訴原告Y1とCとの間で管理委託契約が締結された同年5月以降,毎月Cから収支状況報告書を受領した上で,本訴被告Y2に報告していた(甲11の1,11の4,乙10)。
(6)  本訴原告は,反訴原告Y1の代理人である本訴被告Y2から,平成19年2月ころ,2000万円の借入交渉業務を受託し,反訴原告Y1のために融資先を探し,筑邦銀行と借入交渉をした(以下「筑邦借入交渉業務」という。)。
(7)  本訴原告は,本訴被告Y2から,平成19年ころ,資金借入先の調査及び借入交渉を受託し,新生プロパティファイナンスと借入交渉をした(以下「新生借入交渉業務」という。)。
(8)  新生プロパティファイナンスは,本訴被告Y2に対し,平成19年3月7日に3000万円,同年11月19日に5000万円を貸し付けた。本訴被告Y2は,本訴原告に対し,新生借入交渉業務の日当等として58万9000円を支払った。
(9)  反訴原告会社は,本訴原告との間で,平成19年4月9日ころ,bビル移転補償交渉業務につき,補償額の総額は7000万円未満の場合はその額の10%(消費税・諸経費別),補償額の総額が7000万円以上の場合はその額の15%(消費税・諸経費別)を支払う旨合意をした(甲4の2)。
(10)  反訴原告会社は,平成19年夏ころ,bビルの敷地所有者兼賃貸人から建物収去土地明渡訴訟(以下「bビル敷地明渡訴訟」という。)を提起され,本訴原告に対し,反訴原告会社訴訟代理人弁護士との打合せへの同席,裁判への同行等を求めた(甲17,乙5)。
(11)  反訴原告会社は,本訴原告に対し,平成19年7月25日,bビル移転補償交渉業務報酬として1470万4769円(消費税込み)のほか,bビル1階の賃借人である有限会社コダカの建物明渡しに伴う交渉(以下「bビル1階明渡交渉」という。)代金として5万2500円(消費税込み)を支払った(甲9,乙1,2)。
(11)  反訴原告Y1は,柳川農地の分筆及び宅地への地目変更後の各買主との間で,平成19年10月15日に2号地(地番81番16。231.41m2)を1020万円で,同年12月24日に5号地当初分(地番81番19。198.36m2)を949万5000円で,平成20年5月9日に5号地追加分(地番81番20。9.92m2)を48万円で,平成21年5月8日に3号地(地番81番17。210.38m2)を636万4000円で,同年8月13日に7号地(地番85番18。281.00m2)を935万円で,1号地(地番81番15。288.70m2)を平成22年2月14日につき916万9650円で,それぞれ売買契約を締結した。しかし,6号地(地番81番21。270.95m2)は,同年11月時点で売却されていない(乙7,9の1ないし9の7)。
(12)  反訴原告会社は,平成20年7月ころ,bビル敷地明渡訴訟に関し,敷地所有者から1000万円の和解金を受領し,同年8月5日までに,本訴原告に対し,反訴原告会社訴訟代理人弁護士との打合せへの同席,裁判所への同行の日当等として合計35万6000円を支払った。
(13)  反訴原告会社は,本訴原告に対し,遅くとも平成20年8月5日までに,柳川農地のうち2号地及び5号地当初分の各売却価格の15%相当額の報酬として,それぞれ153万円及び142万4250円を支払った。
(14)  反訴原告Y1は,平成20年7月28日,筑邦銀行から2000万円を借り入れ,同年8月5日,本訴原告の請求に応じ,筑邦借入交渉成功報酬として借入額の10%に相当する200万円から他の債権を控除した154万5000円を支払った(甲5の3,乙3)。
(15)  本訴状は,本訴被告らに対していずれも平成21年9月11日に送達された。また,反訴状は,本訴原告に対して平成22年1月13日に送達された。
3  当事者の主張
(1)  本訴被告らと本訴原告との間の包括的報酬合意の成否
ア 本訴原告の主張
本訴被告らは,本訴被告Y2を通じ,本訴原告との間で,平成18年7月ころ,本訴原告に委託する個々のコンサルティング業務につき,業務の目的の価格の15%(実費・日当・消費税別)の成功報酬を支払う旨合意した(以下「本件包括報酬合意」という。)。
イ 本訴被告らの主張
否認する。
業務委託時の報酬合意の有無及び内容は,個別案件毎に異なる。
(2)  反訴原告会社に対する本訴請求(bビル敷地明渡訴訟に関する報酬請求)について
ア 本訴原告の主張
本訴原告は,bビル敷地明渡訴訟につき,事実関係の調査及び整理,訴訟代理人弁護士との打合せ,裁判への同行等の事務処理を遂行したから,反訴原告会社に対し,本件包括報酬合意又は商法512条に基づき,和解金1000万円の15%相当額に消費税分を加えた成功報酬157万5000円から既払金35万6000円を控除した121万9000円の支払請求権を有する。
イ 反訴原告会社の認否及び抗弁(弁護士法違反)
争う。
反訴原告会社は,bビル敷地明渡訴訟に関し,事前に成功報酬を支払うとの合意はしていない。商法512条に基づく相当額の報酬請求も,非弁護士が報酬を得る目的で他人の法律事件につき法律事務を取り扱うことを禁止した弁護士法72条に違反し無効である。仮に相当額の報酬請求が可能としても,反訴原告会社が本訴原告から日当等の名目で請求を受けて支払った金員は,同業務の対価として十分な額である。
ウ 本訴原告の再反論
弁護士法違反の主張は否認し,争う。
(3)  反訴原告Y1に対する本訴請求1(柳川農地売却業務報酬)について
ア 本訴原告の主張
本訴原告は,柳川農地売却に関し,宅地造成による高値売却のためのプランニングを受託し,調査検討・連絡調整や本訴原告の支払保証による造成費用の一部後払い化などを遂行した。したがって,本訴原告は,反訴原告Y1に対し,柳川農地売却業務に関する個別報酬契約又は商法512条に基づき,遅くとも最初の区画の売買完了時(平成20年1月11日)までに,柳川農地のうち①5号地追加分の販売価格48万円の15%相当額7万2000円及び②未売却分4区画(1号地,3号地,6号地及び7号地)の総売出価格4770万1451円(=坪単価15万円×地積合計1051.34m2÷1坪3.306m2)の15%相当額751万2977円に消費税分を加えた合計758万8577円の成功報酬請求権を取得した。
仮に個別報酬契約中の「販売価格」が実際の売却価格の趣旨としても,本訴原告は,反訴原告Y1に対し,土地の売買契約成立を停止条件とする同額の成功報酬請求権を有する。
イ 反訴原告Y1の認否及び抗弁
(ア) 反訴原告Y1の認否
柳川農地売却業務の遂行内容は不知。その余は否認し,争う。
個別報酬契約中の「販売価格」は実際の売却価格の趣旨であり,個々の売買契約成立前には成功報酬請求権は発生しない。
(イ) 抗弁1(債務不履行解除)
反訴原告Y1は,平成20年8月5日ころ,本訴原告に対し,①事前合意のない多額の報酬の一方的請求が度重なったこと,②本訴原告が5号地追加分売却代金を受領した事実を隠して虚偽の説明をしたこと,③第三者から本訴原告代表者のセクハラ行為につき相談を受けたこと,④本訴原告が全区画を平成19年末までに売却するとの約束を履行しなかったことなどを理由とする債務不履行又は信頼関係破壊に基づき,柳川農地の売却業務委託契約を無催告解除するとの意思表示をした。したがって,その後に売却された1号地,3号地及び7号地並びに未売却の6号地について成功報酬請求権は発生しない。
(ウ) 抗弁2(民法651条1項に基づく解除)
反訴原告Y1は,平成20年8月5日ころ,本訴原告に対し,イ(イ)の①ないし④の事情による信頼関係破壊という原告の帰責事由(民法648条3項)又はやむを得ない事由(民法651条2項ただし書)により,柳川農地の売却業務委託契約を解除するとの意思表示をした。
ウ 抗弁に対する本訴原告の再反論
否認し,争う。
反訴原告Y1主張の事情のうち,①報酬請求は報酬合意に基づくもので正当であり,②精算の遅れも許容の範囲内である。本訴原告が処理済みの個別案件についての報酬請求権が,その後の反訴原告Y1の一方的解約により失われることはない。
(4)  反訴原告Y1に対する本訴請求2(柳川貸室処理業務報酬)について
ア 本訴原告の主張
本訴原告は,反訴原告Y1の代理人である本訴被告Y2から,平成19年ころ,柳川貸室の管理改善のほか収益改善のための賃貸借処理業務を受託し,管理者の変更を仲介したほか,同年5月から平成20年4月までの1年間,新管理者から賃貸状況の報告を受けて本訴被告Y2に報告するなどの業務を遂行した。報酬合意又は商法512条に基づく報酬額としては,1か月当たり2万1000円(消費税込み)の12か月分に相当する25万2000円が相当である。
イ 反訴原告Y1の認否
柳川貸室の管理改善を委託したことは認め,その余は否認し,争う。
反訴原告Y1と本訴原告との間に報酬合意はなく,実費請求があればその都度支払ってきた。本訴原告は,新管理者であるCとの契約締結を媒介し,C作成の収支状況報告書を毎月本訴被告Y2に持参したにすぎず,相当額の報酬請求を認める実質的内容に乏しい。
(5)  本訴被告Y2に対する本訴請求(新生借入交渉業務報酬請求)について
ア 本訴原告の主張
本訴原告は,本訴被告Y2に対し,新生借入交渉業務につき,包括報酬合意又は商法512条に基づき,少なくとも出資法4条1項の上限(借入額の5%)にあたる成功報酬420万円(消費税込み)から既払金58万9000円を控除した361万1000円の支払請求権を有する。
イ 本訴被告Y2の認否及び抗弁(貸金業法違反)
否認し,争う。
成功報酬の支払合意はなく,日当等につき事後的に請求を受けて合計58万9000円を支払ったにすぎない。また,無登録で業として行う金銭消費貸借の媒介につき成功報酬を得る合意は貸金業法に違反し,全体として無効である。
ウ 本訴原告の再反論
貸金業法違反の主張は否認し,争う。
本訴原告は,本訴被告Y2の立場で借入交渉をしたにすぎず,借入の媒介はしていない。
(6)  反訴原告会社の反訴請求(bビル移転補償交渉業務・bビル1階明渡交渉業務の弁護士法違反に基づく不当利得返還請求)について
ア 反訴原告会社の主張
(ア) 本訴原告は,bビル移転補償交渉業務に関し,「報酬を得る目的で」「業として」東京都区画整理事業組合から反訴原告会社が受けるべき移転補償額及びその前提として反訴原告会社が有する権利の内容という「法律事件」(法律上の権利義務に争いや疑義があり又は新たな権利義務関係の発生する案件)につき,補償交渉の成立という「法律事務」(法律上の効果を発生,変更する事項の処理)を行い,その報酬として1470万4769円を反訴原告会社に請求し,同額を受領した。この受領行為は,弁護士法72条(非弁行為の禁止)及び民法90条(公序良俗)に反し無効であり,法律上の原因がないから,不当利得(民法703条)にあたる。
(イ) 本訴原告は,bビル1階明渡交渉業務に関し,同様に報酬を得る目的で,業として,建物賃借人との間で明渡条件(保証金返還額)を定める法律事件につき,建物明渡条件の確定という法律事務を行い,その報酬として5万2500円を反訴原告会社に請求し,同額を受領した。この受領行為も,弁護士法72条及び民法90条に反し無効であり,法律上の原因がないから,不当利得(民法703条)にあたる。
イ 本訴原告の認否及び抗弁
(ア) 本訴原告の認否
否認し,争う。
bビル1階賃借人と直接交渉を行ったのはbビルの管理会社(赤木不動産)であり,本訴原告は,反訴原告会社と赤木不動産との間の連絡業務に対する報酬を受領したにすぎない。移転補償金及び保証金返還額の交渉は,算定の基礎となる資料及び事実関係等を可能な限り提示して折衝することに尽きるから「法律事件」にあたらない。最初の業務であるから「業として」にもあたらない。
(イ) 本訴原告の抗弁(不法原因給付)
仮に区画整理事業の補償交渉に関する本訴原告の行為が弁護士法に違反するなら,既払報酬は不法原因給付(民法708条)となり,反訴原告会社が返還を求めることはできない。
ウ 抗弁に対する反訴原告会社の認否
否認し,争う。
弁護士法72条の趣旨に照らせば,違法性が問われるのは報酬を受領した本訴原告であり,依頼して報酬を支払った本訴被告Y2は保護の対象・被害者であって,返還請求は否定されない。
(7)  反訴原告Y1の反訴請求(筑邦借入交渉業務報酬の出資法・貸金業法違反に基づく不当利得)について
ア 反訴原告Y1の主張
(ア) 本訴原告は,反訴原告Y1に対し,筑邦借入交渉業務報酬として借入額の10%に相当する200万円を請求し,同額を受領した。しかし,十分な担保もある上での5回の電話の報酬としては高額にすぎる上,業として金銭の貸借の媒介を行うことは貸金業法1条1項(無登録貸金営業)違反,これにより5%を超える手数料を得る合意は出資法4条1項違反となり,公序良俗(民法90条)に反して私法上も無効となるから,法律上の原因がなく,不当利得(民法703条)にあたる。
イ 本訴原告の認否
否認し,争う。
本訴原告は,多数の金融機関が融資に消極的な中,通常担保に適しない未売却の柳川農地への担保設定につき筑邦銀行の譲歩を得るなど筑邦借入交渉業務に労力を要しており,報酬額は相当である。本訴原告は,反訴原告Y1の立場で融資先を探したもので,貸主と借主との間に介在して金銭消費貸借を媒介したものではないから,借入額の10%相当額の報酬請求及び受領は,貸金業法・出資法に違反しない。
(8)  反訴請求債権による相殺の可否
ア 反訴原告らの主張
反訴原告らは,本訴原告に対し,平成23年2月16日の第9回口頭弁論期日において,反訴請求債権と本訴請求債権とを対当額をもって相殺するとの意思表示をした。
イ 本訴原告の認否
争う。
第3  当裁判所の判断
1  本件包括報酬合意の成否について
本件包括報酬合意の成否につき,本訴原告代表者は,平成18年夏ころ,bビル及び柳川農地の各案件を依頼された際,本訴被告Y2に対し,紹介者であるD(以下「D」という。)を通じ,仕事でやる以上報酬が15%以下なら受託したくない旨伝え,了承を得た旨Dから聞いた旨供述する。
しかし,①本訴原告代表者の供述によるも,本訴被告Y2との合意の方法は,Dを通じた間接的かつ口頭のものにすぎず,その後に契約書が作成された柳川農地売却(甲4の1)及びbビル移転補償交渉(甲4の2)はともかく,将来の全案件につき包括的に報酬額を15%と定める申込みが正確に伝えられたか大いに疑問がある上,②本訴被告Y2はDからそのような話は聞いていないと供述していること,③その時点で包括的業務委託契約書は作成されず,Aがその後も契約書作成の必要性を感じていたとしながら作成に至らなかったこと(本訴原告代表者),④15%の成功報酬との根拠も,本訴原告が会計士と相談の上決めたというものの,多種多様な個別案件に対する一律の報酬割合としては相当疑問があること,⑤その他の業務委託についても,必ずしも報酬額15%での請求がされているわけでもないこと(甲5の1,5の2)などに照らせば,本件全証拠によるも,本訴原告と反訴被告らとの間で,将来の業務委託案件全てについて包括的に成功報酬を15%とするとの明確な合意があったと認めるに足りない。
したがって,本件包括報酬合意に関する本訴原告の主張には理由がない。
2  反訴原告会社に対する本訴請求(bビル敷地明渡訴訟処理報酬請求)について
(1)  本件包括報酬合意に基づく請求について
前記のとおり,本件包括報酬合意はこれを認めるに足りないから,同合意に基づく反訴原告会社に対する請求は理由がない。
(2)  個別報酬合意又は商法512条に基づく請求について
証拠(甲5の3,本訴原告代表者,本訴被告Y2本人)及び弁論の全趣旨によれば,本訴原告が,反訴原告会社とbビル敷地所有者との間のbビル敷地明渡訴訟につき,平成19年夏ころから平成20年夏ころまでの間,事実関係の調査及び整理,本訴被告Y2訴訟代理人弁護士との打合せへの同席,裁判への同行等を行ったことは認められる。
しかし,本訴原告によるbビル敷地明渡訴訟の上記事務処理につき,本訴被告Y2が和解金額を基準とした個別の成功報酬合意をしたとの主張立証はなく,仮にかかる合意があったとしても,弁護士資格を有しない者が報酬を得る目的で他人の法律事件につき法律事務を取り扱い又は周旋をすることを禁じた弁護士法72条の趣旨に照らし,無効といわざるを得ない。
そして,証拠(甲5の3,本訴原告代表者)及び弁論の全趣旨によれば,本訴原告は,反訴原告Y1に対し,bビル敷地明渡訴訟に関し,平成20年7月8日の弁護士との立会い,同月14日及び同月24日の裁判所への同行等につき1日当たり3万円の日当等を請求し,これらを含めて同年8月5日までに合計35万6000円の支払を受けていることが認められるところ,本訴原告が反訴原告会社の訴訟案件につきその訴訟代理人弁護士との連絡を補助し,実費程度の金員を受領する限りにおいては,直ちに弁護士法72条に違反し無効となるとまではいえないとしても,本件全証拠によるも,本訴原告がbビル敷地明渡訴訟に関して行った行為につき,既払金額を超えた報酬額を請求できる事情は見出し難い。
(3)  したがって,反訴原告会社に対する本訴請求は理由がない。
3  反訴原告Y1に対する本訴請求1(柳川農地売却業務報酬請求)について
(1)  個別報酬合意に基づく報酬請求権の成否
本訴原告は,コンサルタント契約書(甲4の1)で受託した業務は,柳川農地をできる限り高値で売却するためのプランニングであり,「販売価格」との文言に照らしても,その報酬請求権は,柳川農地を宅地造成して売出しを開始した時点で全区画につき発生した旨主張するので検討する。
前記前提事実に証拠(後記のもののほか,甲17,19,乙5,8,9の1ないし9の7,10,本訴原告代表者,本訴被告Y2本人)及び弁論の全趣旨を総合すると,柳川農地につき,①本訴被告Y2は,反訴原告Y1代理人として,本訴原告に対し,平成18年夏ころに柳川農地の有効利用方法を相談し,同年10月ころまでに同地の「売却に関するコンサルティング業務」を委託し,柳川農地の「販売価格」が3000万円以上の場合はその15%(諸経費別),3000万円以下の場合はその10%(諸経費別)の「コンサルタント料」を支払う旨合意したこと(甲4の1),②本訴原告は,自ら又は知人を通じ,現地調査も踏まえて種々の売却方法を検討した上,同年9月25日ころ,知人から紹介されたCに対して買取りを打診する一方,他の知人にも助言を請うなどして調査検討を進め,最終的に宅地造成により高値売却を図ることにしたこと,③反訴原告Y1は,Cに対し,平成19年7月,宅地造成に関する行政許認可申請及び工事を1557万円で注文し,本訴原告が工事代金債務の連帯保証人となったこと(甲9),④平成19年10月22日に田から宅地への地目変更登記及び分筆登記がされたこと,⑤2号地は平成20年1月に,同5号地当初分は同年2月に各買主から売買代金が支払われ,反訴原告Y1は,本訴原告に対し,遅くとも同年8月5日までに各売買代金の15%相当額の報酬を支払ったこと(乙7),⑥本訴原告は,平成20年5月12日,Cから,5号地追加分売買代金48万円から仲介手数料・実費を控除した45万5000円を受領したが,直ちには反訴原告Y1に引き渡さなかったこと(乙4の1,4の2,7),⑦反訴原告Y1は,平成20年8月5日,筑邦借入交渉成功報酬名目の200万円等から5号地追加分売買代金未受領分45万5000円等を控除した154万5000円を支払うとともに,全業務委託を解除するとの意思表示をしたこと(甲5の3,6,乙3),⑧3号地,7号地及び1号地は,平成21年5月以降に売買契約が成立して売買代金が支払われたことが認められる。
以上の事実経過に加え,宅地建物取引資格のない本訴原告は不動産売買の媒介自体を受任する立場にないこと,反訴原告Y1の代理人である本訴被告Y2自身は柳川農地の有効転用策につき具体的な調査検討や関係者との交渉等を行う能力がなかったと認められること,一方,委託者の合理的意思解釈として,必ずしも当初の売出価格以上の価格で売却できる保障もなく現に売買代金も受領していない段階で「販売価格」の10%ないし15%もの報酬を支払うことに合意したとは考え難いことを総合すれば,柳川農地の売却に関するコンサルティング業務契約(甲4の1)は,本訴原告が,柳川農地を転用してできる限り高値の方法で売却する手法の調査検討,助言及び業者との連絡調整等を行い,反訴原告Y1が,個々の区画の売買契約の成立及び代金受領を停止条件として,売買代金総額に応じてその15%又は10%を支払うとの合意であったと認めることが相当である。
そして,上記のとおり,本訴原告は,現地調査を含む種々の調査検討の末,Cに対して宅地造成工事を請け負わせ,地目変更の上分筆して売却する方法を反訴原告Y1に提案し,造成工事・地目変更・分筆登記を経て売出しまでの連絡調整等をしたことにより,契約上予定された業務を一応遂行したと認められるから,個々の区画の売買契約の成立及び売買代金受領を停止条件とし,その総額に応じて代金の15%又は10%の報酬支払請求権が発生したと認められる。
(2)  債務不履行解除の抗弁の当否
証拠(甲6,乙2)及び弁論の全趣旨によれば,本訴被告Y2は,本人及び反訴原告らの代表者又は代理人として,平成20年8月5日ころ,本訴原告に対し,請求を受けた筑邦借入交渉報酬200万円ほかその他の日当等の合計222万0630円から5号地追加分売買代金45万5000円ほか2件の債権を控除した残金154万5000円を振り込むとともに,これ以上支払っていけないのでこれですべて解約とする旨記載した手紙を送付したことは認められる。
しかし,手紙の文言に照らしても,これを債務不履行に基づく解除の意思表示と認めることは困難である。仮に5号地追加分の売買代金引渡しにつき履行遅滞があったとしても,本訴原告は,反訴原告Y1との間で他の債権と後で清算する旨合意していたと弁解しており,これを排斥するに足りる証拠もないことからすれば,無催告解除を正当化する事情を認めるに足りず,債務不履行解除の抗弁は理由がない。
(3)  委託契約の即時解除の抗弁
前記前提事実に証拠(甲4の2,6,乙2,本訴被告Y2)及び弁論の全趣旨を総合すると,反訴原告Y1代理人でもある本訴被告Y2作成の平成20年8月5日付け手紙(甲6)は,委託者である反訴原告Y1らが,受託者である本訴原告に対し,委託解除権留保付きの柳川農地売却業務委託契約を含む全委託契約につき,民法651条1項所定の即時解除をする意思表示とみることができる。しかし,同日時点で5号地追加分報酬は既に発生し,1号地,3号地及び7号地分の報酬も停止条件としての売買契約成立前であったから,同条2項により,反訴原告Y1は,本訴原告に不利な時期に委託の解除をしたものとして,「やむを得ない事由があったとき」を除き,これらの報酬債権に代わる損害賠償義務を負うと解される。
そこで,「やむを得ない事由」の有無を検討するに,③本訴被告ら主張のセクハラ疑惑についてはその真偽自体が不明であり,柳川農地売却に関する委託契約との関連性も不明であること,④本訴原告が平成19年末までに全区画を売却するとの債務を負担していたと認めるに足りないこと,①合意のない報酬請求があったとしても,権利義務を明確にした上で相当と認めるもののみを支払う方策も考えられたこと,②5号地追加分売却代金の入金状況につき,反訴原告Y1らが直接Cに照会して本訴原告が受領済みと確認した事実は認められるものの,前記のとおり他の報酬債権と清算する予定であったとの弁解を排斥するに足りないことなどを考慮すると,反訴原告代理人本件被告Y2による解除の意思表示自体は有効であるとしても,本件全証拠によるも「やむを得ない事由」があったと認めるに足りない。
したがって,即時解除の抗弁も理由がない。
(4)  以上によれば,本訴原告は,反訴原告Y1に対し,柳川農地売却に関する個別報酬契約に基づき,5号地追加分代金48万円,1号地代金916万9650円,3号地代金636万4000円,7号地代金935万円の合計2536万3650円の15%相当額380万4547円に消費税相当額を加えた399万4774円及びこれに対する本訴状送達日の翌日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払請求権を取得したと認められる。
4  反訴原告Y1に対する本訴請求2(柳川貸室処理業務報酬請求)について
(1)  前記前提事実に証拠(甲11の1,11の4,乙10)及び弁論の全趣旨を総合すると,①反訴原告Y1は,平成19年ころ,柳川貸室の管理を委託していた第一不動産に不満を抱き,本訴原告に対し,新しい管理委託先の紹介を相談したところ,②本訴原告は,同年4月ころ,反訴原告Y1にCを紹介した上,管理委託のための交渉を行ったこと,③反訴原告Y1とCとの間で新たに管理委託契約が締結された後の同年5月以降,毎月,Cから毎月入出金状況報告書を受領し,本訴被告Y2に報告するなどしたことは認められる。
(2)  しかし,証拠(甲9)及び弁論の全趣旨によれば,反訴原告Y1は,本訴原告に対し,その請求によりCの紹介に関する日当及び交渉代として10万円を支払済みであること,本訴提起に至るまで,本訴原告から毎月の収支状況報告書の送付等に関する業務報酬請求はなかったことが認められ,これらを勘案すれば,本件全証拠によるも,報酬合意又は商法512条に基づき既払金以上の報酬請求を認める程の業務遂行があったと認めるに足りない。
(3)  したがって,柳川貸室管理業務に関する反訴原告Y1に対する本訴請求は理由がない。
5  本訴被告Y2に対する本訴請求(新生借入交渉業務報酬請求)について
(1)  本件包括報酬合意による請求について
前記のとおり,本件包括報酬合意はこれを認めるに足りないから,同合意に基づく反訴原告会社に対する請求は理由がない。
(2)  個別報酬合意又は商法512条に基づく請求について
前記前提事実のとおり,①本訴原告は,本訴被告Y2から,平成19年ころ,資金借入先の調査及び借入交渉を受託し,新生プロパティファイナンスと借入交渉をしたこと,②新生プロパティファイナンスは,本訴被告Y2に対し,同年3月7日に3000万円,同年11月19日に5000万円を貸し付けたことは認められる。
しかし,③本訴被告Y2は,本訴原告に対し,請求により新生借入交渉業務の日当等として58万9000円を支払ったところ,本件全証拠によるも,それ以上に借入額に応じた成功報酬を支払うとの合意があったと認めるに足りず,上記業務に関する相当報酬額が既払金額を上回ると認めるに足りる証拠もない。
(3)  したがって,本訴被告Y2に対する本訴請求は理由がない。
6  反訴原告会社の反訴請求(bビル移転補償交渉業務・bビル1階明渡交渉業務の弁護士法違反に基づく不当利得返還請求)についての当否
(1)  前記前提事実に後記の証拠及び弁論の全趣旨を総合すると,①反訴原告会社は,本訴原告に対し,平成18年10月ころ,東京都が実施する北区田端二丁目付近土地区画整理事業の対象区域中に反訴原告会社が所有する借地権付建物(bビル)につき,反訴原告会社及び同社従業員Bに対する各移転補償額に関する東京都との交渉業務を委託し,同年4月9日ころ,移転補償額の総額が7000万円以上の場合は,本訴原告に対し,その額の15%(消費税・諸経費別)を支払う旨合意したこと(甲4の2),②東京都は,同年6月19日ころ,反訴原告会社に対し,同社所有のbビルの移転に伴う損失補償額を合計9206万3615円と算定した旨通知し,同年9月までの間に,反訴原告会社との間で仮換地指定に伴う建築物等移転補償契約を締結したこと(甲14,15),③本訴原告は,反訴原告会社に対し,同年6月14日,bビル1階賃借人の「退室時精算金交渉代(赤木不動産との交渉)」との名目で5万2500円(消費税込み)を請求し(乙1),さらに同月26日,「bビル区画整理事業に伴う建物等の損失補償交渉に関するコンサルタント料並びに代行料」及び「301号・402号B様退室補償交渉代行料」との名目で補償額合計9336万3615円の15%相当額に消費税額を加えた1470万4769円を請求したこと(甲8),④反訴原告会社は,本訴原告に対し,同年7月25日,上記5万2500円及び1470万4769円を各支払ったこと(乙2)が認められる。
(2)  そこでまず,本訴原告が,反訴原告会社から,東京都とのbビル移転補償交渉に関し,補償額の15%相当額の報酬として1470万4769円を請求・受領したことが弁護士法72条・民法90条違反として無効となり,不当利得返還請求が認められるか検討する。
前記のとおり,本訴原告は,bビルの移転補償交渉に関わるコンサルタント料として,補償額総額が7000万円以上の場合はその額の15%(消費税・諸経費別)を支払う旨合意しており,「報酬を得る目的」があったことは明白である。次に,東京都都市計画事業田端二丁目付近土地区画整理事業における借換地指定に伴うbビルの移転補償は,東京都が,その定めた補償基準に基づき,建物所有者である反訴原告会社との間で,賃貸借契約書等の申告書の提出を受けた上,建物移転料,移転雑費等の補償項目毎に算定した補償額を提示し,移転保証金及び移転期限の合意に至る手続であり,新たな権利義務関係の発生する「法律事件」に該当する可能性は否定できない。また,本訴原告代表者であるAは,東京都との移転補償交渉に際し,反訴原告会社から部長の肩書を使用することの了承を得ていたものの(甲3),別法人であり親子会社の関係にもない本訴原告にとっては「他人」の法律事件につき移転保証金及び移転期限の合意成立という法律上の効果発生を伴う「代理その他の法律事務」に該当するとも言い得る。
しかし,本訴原告は,他に報酬を得る目的で同様の移転補償交渉をしたことがあると認めるに足りる証拠はなく,反復的に又は反復継続する意思をもって「業と」して法律事務を取り扱ったと認めるに足りない。仮に,弁護士法72条違反として報酬合意が無効となり得るとしても,既払報酬は民法708条の不法原因給付に該当するというべきである。
そして,反訴原告会社は,本訴原告に対して積極的に移転補償交渉を委託し,事前に報酬支払も同意し,部長の肩書使用も了承していたこと,事件性及び反復業務性が必ずしも明らかでないことに照らせば,同条違反の帰責性は本訴原告及び反訴原告会社の双方にあるといえ,「不法な原因が受益者についてのみ存したとき」(民法708条ただし書)にはあたらず,反訴原告会社は,bビル移転補償に関する既払報酬の返還を求めることはできないと解される。
したがって,bビル移転補償交渉に関する反訴原告会社の不当利得返還反訴請求には理由がない。
(3)  次に,本訴原告が,反訴原告会社から,bビル1階賃借人に対する保証金返還に関し,赤塚不動産との「交渉代」名目で5万2500円を請求・受領したことが弁護士法72条・民法90条違反として無効となり,不当利得返還請求が認められるか検討する。
本訴原告は,bビル賃借人と直接交渉したのは管理会社である赤木不動産であり,反訴原告会社と赤木不動産との間の連絡を代行したことについて受領したにすぎない旨主張するところ,本訴原告がこれを超えて,業として弁護士法72条に違反する法律事務等を取り扱ったと認めるに足りる証拠はない。
したがって,bビル1階明渡交渉に関する反訴原告会社の不当利得返還請求にも理由がない。
8  反訴原告Y1の反訴請求(筑邦借入交渉報酬の貸金業法・出資法違反に基づく不当利得返還請求)の当否
(1)  前記前提事実のとおり,本訴原告は,反訴原告Y1から,筑邦借入交渉報酬として借入額2000万円の10%に相当する200万円を受領したことが認められるところ,これが無登録貸金業の禁止(貸金業法11条1項)・媒介手数料の制限(出資法4条1項)に反し公序良俗違反として無効となるか検討する。
本訴原告は,他人である反訴原告Y1と筑邦銀行との金銭の貸借に介在して契約成立に尽力したものと認められるが,「業として」反復継続して貸金業を営んだと認めるに足りる証拠はないから,貸金業法11条1項違反とまでは認められない。しかし,業としてされたか否かを問わず,他人間の金銭消費貸借に介在して得る手数料の上限を定める出資法4条1項の趣旨に照らし,借入額の10%相当額の報酬支払は上限5%の100万円の限度で有効と解され,その余の100万円の支払は公序良俗(民90条)に反し無効となり,本訴原告は,その限度で反訴原告Y1の損失により法律上の原因なく利得したものと認められる。
なお,出資法4条1項の上限を超える媒介手数料の受領は不法原因給付(民法708条)となるかはともかく,その趣旨に照らせば「不法な原因が受益者についてのみ存したとき」(同条ただし書)にあたり,不当利得返還請求は否定されない。
(2)  したがって,反訴原告Y1の反訴不当利得返還請求は,その限度で理由がある。
8  相殺の可否
反訴原告Y1が,本訴原告に対し,平成23年2月16日の第9回口頭弁論期日において,反訴不当利得返還請求権100万円及びこれに対する反訴状送達日の翌日(平成22年1月14日)から支払済みまで年6分の割合による遅延損害金と柳川農地売却に関する本訴請求債権399万4774円及びこれに対する本訴状送達日の翌日(平成21年9月12日)から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金請求権とを対当額で相殺するとの意思表示をしたことは当裁判所に顕著な事実である。
したがって,相殺の遡及効により,反訴原告Y1に対する本訴請求債権は,被告に対し,299万4774円及びこれに対する本訴状送達日の翌日(平成21年9月12日)から支払済みまで年6分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があることになり,反訴原告Y1の反訴請求は理由がないことになる。
9  以上によれば,本訴原告の反訴原告Y1に対する本訴請求は主文の限度で理由があるからこれを認容し,その余の本訴各請求及び反訴各請求はいずれも理由がないから棄却することとし,仮執行宣言については相当でないからこれを付さないこととする。
(裁判官 押野純)

 

*******

関連記事一覧

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。


Notice: Undefined index: show_google_top in /home/users/1/lolipop.jp-2394bc826a12fc5a/web/www.bokuore.com/wp-content/themes/rumble_tcd058/footer.php on line 296

Notice: Undefined index: show_google_btm in /home/users/1/lolipop.jp-2394bc826a12fc5a/web/www.bokuore.com/wp-content/themes/rumble_tcd058/footer.php on line 296