【営業代行から学ぶ判例】crps 裁判例 lgbt 裁判例 nda 裁判例 nhk 裁判例 nhk 受信料 裁判例 pl法 裁判例 pta 裁判例 ptsd 裁判例 アメリカ 裁判例 検索 オーバーローン 財産分与 裁判例 クレーマー 裁判例 クレプトマニア 裁判例 サブリース 裁判例 ストーカー 裁判例 セクシャルハラスメント 裁判例 せクハラ 裁判例 タイムカード 裁判例 タイムスタンプ 裁判例 ドライブレコーダー 裁判例 ノンオペレーションチャージ 裁判例 ハーグ条約 裁判例 バイトテロ 裁判例 パタハラ 裁判例 パブリシティ権 裁判例 ハラスメント 裁判例 パワーハラスメント 裁判例 パワハラ 裁判例 ファクタリング 裁判例 プライバシー 裁判例 プライバシーの侵害 裁判例 プライバシー権 裁判例 ブラックバイト 裁判例 ベネッセ 裁判例 ベルシステム24 裁判例 マタニティハラスメント 裁判例 マタハラ 裁判例 マンション 騒音 裁判例 メンタルヘルス 裁判例 モラハラ 裁判例 モラルハラスメント 裁判例 リストラ 裁判例 リツイート 名誉毀損 裁判例 リフォーム 裁判例 遺言 解釈 裁判例 遺言 裁判例 遺言書 裁判例 遺言能力 裁判例 引き抜き 裁判例 営業秘密 裁判例 応召義務 裁判例 応用美術 裁判例 横浜地裁 裁判例 過失割合 裁判例 過労死 裁判例 介護事故 裁判例 会社法 裁判例 解雇 裁判例 外国人労働者 裁判例 学校 裁判例 学校教育法施行規則第48条 裁判例 学校事故 裁判例 環境権 裁判例 管理監督者 裁判例 器物損壊 裁判例 基本的人権 裁判例 寄与分 裁判例 偽装請負 裁判例 逆パワハラ 裁判例 休業損害 裁判例 休憩時間 裁判例 競業避止義務 裁判例 教育を受ける権利 裁判例 脅迫 裁判例 業務上横領 裁判例 近隣トラブル 裁判例 契約締結上の過失 裁判例 原状回復 裁判例 固定残業代 裁判例 雇い止め 裁判例 雇止め 裁判例 交通事故 過失割合 裁判例 交通事故 裁判例 交通事故 裁判例 検索 公共の福祉 裁判例 公序良俗違反 裁判例 公図 裁判例 厚生労働省 パワハラ 裁判例 行政訴訟 裁判例 行政法 裁判例 降格 裁判例 合併 裁判例 婚約破棄 裁判例 裁判員制度 裁判例 裁判所 知的財産 裁判例 裁判例 データ 裁判例 データベース 裁判例 データベース 無料 裁判例 とは 裁判例 とは 判例 裁判例 ニュース 裁判例 レポート 裁判例 安全配慮義務 裁判例 意味 裁判例 引用 裁判例 引用の仕方 裁判例 引用方法 裁判例 英語 裁判例 英語で 裁判例 英訳 裁判例 閲覧 裁判例 学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例 共有物分割 裁判例 刑事事件 裁判例 刑法 裁判例 憲法 裁判例 検査 裁判例 検索 裁判例 検索方法 裁判例 公開 裁判例 公知の事実 裁判例 広島 裁判例 国際私法 裁判例 最高裁 裁判例 最高裁判所 裁判例 最新 裁判例 裁判所 裁判例 雑誌 裁判例 事件番号 裁判例 射程 裁判例 書き方 裁判例 書籍 裁判例 商標 裁判例 消費税 裁判例 証拠説明書 裁判例 証拠提出 裁判例 情報 裁判例 全文 裁判例 速報 裁判例 探し方 裁判例 知財 裁判例 調べ方 裁判例 調査 裁判例 定義 裁判例 東京地裁 裁判例 同一労働同一賃金 裁判例 特許 裁判例 読み方 裁判例 入手方法 裁判例 判決 違い 裁判例 判決文 裁判例 判例 裁判例 判例 違い 裁判例 百選 裁判例 表記 裁判例 別紙 裁判例 本 裁判例 面白い 裁判例 労働 裁判例・学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例・審判例からみた 特別受益・寄与分 裁判例からみる消費税法 裁判例とは 裁量労働制 裁判例 財産分与 裁判例 産業医 裁判例 残業代未払い 裁判例 試用期間 解雇 裁判例 持ち帰り残業 裁判例 自己決定権 裁判例 自転車事故 裁判例 自由権 裁判例 手待ち時間 裁判例 受動喫煙 裁判例 重過失 裁判例 商法512条 裁判例 証拠説明書 記載例 裁判例 証拠説明書 裁判例 引用 情報公開 裁判例 職員会議 裁判例 振り込め詐欺 裁判例 身元保証 裁判例 人権侵害 裁判例 人種差別撤廃条約 裁判例 整理解雇 裁判例 生活保護 裁判例 生存権 裁判例 生命保険 裁判例 盛岡地裁 裁判例 製造物責任 裁判例 製造物責任法 裁判例 請負 裁判例 税務大学校 裁判例 接見交通権 裁判例 先使用権 裁判例 租税 裁判例 租税法 裁判例 相続 裁判例 相続税 裁判例 相続放棄 裁判例 騒音 裁判例 尊厳死 裁判例 損害賠償請求 裁判例 体罰 裁判例 退職勧奨 違法 裁判例 退職勧奨 裁判例 退職強要 裁判例 退職金 裁判例 大阪高裁 裁判例 大阪地裁 裁判例 大阪地方裁判所 裁判例 大麻 裁判例 第一法規 裁判例 男女差別 裁判例 男女差别 裁判例 知財高裁 裁判例 知的財産 裁判例 知的財産権 裁判例 中絶 慰謝料 裁判例 著作権 裁判例 長時間労働 裁判例 追突 裁判例 通勤災害 裁判例 通信の秘密 裁判例 貞操権 慰謝料 裁判例 転勤 裁判例 転籍 裁判例 電子契約 裁判例 電子署名 裁判例 同性婚 裁判例 独占禁止法 裁判例 内縁 裁判例 内定取り消し 裁判例 内定取消 裁判例 内部統制システム 裁判例 二次創作 裁判例 日本郵便 裁判例 熱中症 裁判例 能力不足 解雇 裁判例 脳死 裁判例 脳脊髄液減少症 裁判例 派遣 裁判例 判決 裁判例 違い 判決 判例 裁判例 判例 と 裁判例 判例 裁判例 とは 判例 裁判例 違い 秘密保持契約 裁判例 秘密録音 裁判例 非接触事故 裁判例 美容整形 裁判例 表現の自由 裁判例 表明保証 裁判例 評価損 裁判例 不正競争防止法 営業秘密 裁判例 不正競争防止法 裁判例 不貞 慰謝料 裁判例 不貞行為 慰謝料 裁判例 不貞行為 裁判例 不当解雇 裁判例 不動産 裁判例 浮気 慰謝料 裁判例 副業 裁判例 副業禁止 裁判例 分掌変更 裁判例 文書提出命令 裁判例 平和的生存権 裁判例 別居期間 裁判例 変形労働時間制 裁判例 弁護士会照会 裁判例 法の下の平等 裁判例 法人格否認の法理 裁判例 法務省 裁判例 忘れられる権利 裁判例 枕営業 裁判例 未払い残業代 裁判例 民事事件 裁判例 民事信託 裁判例 民事訴訟 裁判例 民泊 裁判例 民法 裁判例 無期転換 裁判例 無断欠勤 解雇 裁判例 名ばかり管理職 裁判例 名義株 裁判例 名古屋高裁 裁判例 名誉棄損 裁判例 名誉毀損 裁判例 免責不許可 裁判例 面会交流 裁判例 約款 裁判例 有給休暇 裁判例 有責配偶者 裁判例 予防接種 裁判例 離婚 裁判例 立ち退き料 裁判例 立退料 裁判例 類推解釈 裁判例 類推解釈の禁止 裁判例 礼金 裁判例 労災 裁判例 労災事故 裁判例 労働基準法 裁判例 労働基準法違反 裁判例 労働契約法20条 裁判例 労働裁判 裁判例 労働時間 裁判例 労働者性 裁判例 労働法 裁判例 和解 裁判例

判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(54)平成29年 3月10日 東京地裁 平27(ワ)33201号 損害賠償請求事件

判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(54)平成29年 3月10日 東京地裁 平27(ワ)33201号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成29年 3月10日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(ワ)33201号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2017WLJPCA03108011

要旨
◆被告Y1及び被告Y2(被告Y1ら)から本件会社の全発行済株式を購入して企業買収をするに当たり、被告会社との間で企業提携仲介の契約を締結した原告会社が、被告らに対し、主位的に、被告らには本件会社の株式の価値に関する説明義務違反ないし善管注意義務違反があると主張して、債務不履行に基づく損害賠償を求め、予備的に、被告Y1らは事実と異なる説明又は重要な事実の秘匿を行い、被告会社は仲介業者に当然求められる注意を怠ったと主張して、共同不法行為に基づく損害賠償を求めた事案において、本件会社の営業権の評価に関し、被告会社に説明義務違反や善管注意義務違反があるとはいえず、被告Y1らに説明義務違反があるともいえないなどとして、被告らの債務不履行責任を否定した上で、被告Y1らが虚偽の説明をしたり、重要な事実の説明を行わずにこれを秘匿したとはいえず、被告会社が本件提携仲介契約に反して原告会社に誤った情報を提供したともいえないとして、被告らの共同不法行為責任も否定し、請求を棄却した事例

出典
ウエストロー・ジャパン

参照条文
民法415条
民法709条
民法719条

裁判年月日  平成29年 3月10日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(ワ)33201号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2017WLJPCA03108011

東京都港区〈以下省略〉
原告 株式会社研電
代表者代表取締役 A
訴訟代理人弁護士 須田唯雄
中村新
東京都目黒区〈以下省略〉
被告 Y1
東京都目黒区〈以下省略〉
被告 Y2
上記2名訴訟代理人弁護士 淵邊善彦
寺門峻佑
藤井康太
訴訟復代理人弁護士 中山茂
東京都千代田区〈以下省略〉
被告 株式会社日本M&Aセンター
代表者代表取締役 B
訴訟代理人弁護士 河合弘之
白日光
金裕介
木村佐知子

 

 

主文

1  原告の被告らに対する主位的請求及び予備的請求をいずれも棄却する。
2  訴訟費用は原告の負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
(主位的請求)
被告らは,原告に対し,連帯して,1億8433万0500円及びこれに対する平成27年12月5日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
(予備的請求)
被告らは,原告に対し,連帯して,1億8433万0500円及びこれに対する平成24年11月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
本件は,株式会社である原告が,被告Y1(以下「被告Y1」という。)及び被告Y2(以下「被告Y2」といい,被告Y1と被告Y2を併せて「被告Y1ら」という。)から株式会社シムコ(以下「シムコ社」という。)の全発行済株式を購入して企業買収をするに当たり,被告株式会社日本M&Aセンター(以下「被告会社」という。)との間で企業提携仲介の契約を締結したところ,主位的に,被告Y1らには売主として負っていたシムコ社の株式の価値に関する説明義務違反があり,被告会社には仲介契約に基づいて負っていたシムコ社の株式の価値に関する説明義務及び善管注意義務違反があると主張して,債務不履行に基づき,損害賠償及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求め,予備的に,被告Y1らは事実と異なる説明又は重要な事実の秘匿を行うという違法な行為をし,被告会社は仲介業者に当然求められる注意を怠ったと主張して,共同不法行為に基づき,損害賠償及びこれに対する不法行為の日から支払済みまで民法所定の5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
1  前提事実
(1)  当事者
ア 原告は,昭和33年に設立された電子管,半導体素子,集積回路,液晶表示器,コンデンサ,電池など各種電子部品並びに金属材料,回路部品,化成品,成型材料,シリコーンなど各種電子材料の販売等を目的とする株式会社である。
イ 被告Y1は,昭和62年に設立された通信機器,音響機器及びその部品等の企画,開発,製造,輸出入及び売買業等を目的とする株式会社であるシムコ社において,平成24年11月27日に辞任するまで代表取締役及び取締役の地位にあり,同日までシムコ社の株式500株を有していた者である。
被告Y2は,シムコ社において平成24年11月27日に辞任するまで取締役の地位にあり,同日までシムコ社の株式100株を有していた者である。
ウ 被告会社は,平成3年に設立された企業の買収,合併,会社分割,株式交換・移転,事業譲渡,資本提携,業務提携等の企画立案,斡旋及びその仲介業務並びにそれらに関するコンサルティング業務等を目的とする株式会社である。
(甲1,3,4)
(2)  提携仲介契約の締結
原告と被告会社は,平成24年10月15日,原告が被告Y1らからシムコ社の株式を購入するに先立ち,下記のとおり,企業提携の仲介を目的とする契約を締結した(以下「本件提携仲介契約」という。)。
第1条  目的
原告は,被告会社が情報提供したシムコ社との間の企業提携(以下「本件提携」という。)を実現するため,被告会社に対し,本件提携の仲介に関する専門的な業務を行うことを委託し,被告会社はこれを受託するものとする。
第2条  定義
本件提携仲介契約において,本件提携仲介契約書中に特段の定義を伴わずに用いられる本条各号の用語は,それぞれ本条各号に規定する意味を有する。
①ないし③ (略)
④ 「本件業務」とは,本件提携の仲介に関して行う次条各号に列挙する業務をいう。
第3条  本件業務の範囲
被告会社は,本件提携の仲介に関する以下に列挙する本件業務を,第20条に規定する仲介者の業務を遵守の上,本件提携の進捗等に応じて適宜執り行うものとする。
① 本件提携に必要な情報の収集・調査及び資料の作成
② 原告が行うシムコ社の企業価値判断の参考資料の作成
③ないし⑥ (略)
⑦ 本件提携に必要な企業精査(デューデリジェンス)のセッティング,立会い及び助言
⑧ (略)
第4条  報酬の種類
1項 原告は,被告会社に対し,第5条ないし第7条の規定に基づき,下記各号の報酬を支払うものとする。
① 情報提供料(業務着手金を含む)
② 業務中間報酬
③ 成功報酬
2項 (略)
第5条  情報提供料(業務着手金を含む)
1項 原告は,本件提携に関わる情報提供料(業務着手金を含む)として100万円(消費税別途)を被告会社に支払うものとする。なお,この情報提供料(業務着手金を含む)は,理由のいかんにかかわらず返還されないものとする。
2項 (略)
第6条  業務中間報酬
原告は,被告会社に対し,本件提携に関する基本合意書(以下単に「基本合意書」という。)等締結後直ちに,次条に基づき算定される成功報酬の20%に相当する額と500万円のいずれか高い額を業務中間報酬(消費税別途)として支払うものとする。なお,この業務中間報酬は理由のいかんにかかわらず返還されないが,本件提携が成約した場合は成功報酬に含めるものとする。
第7条  成功報酬
1項 最終契約が締結された場合,原告は,被告会社に対し,成功報酬として,1000万円に消費税相当額を加算した金額を支払うものとする。
2項 原告は,被告会社に対し,最終契約の締結後直ちに,第1項に基づき算定された成功報酬を支払うものとする。なお,第5条に規定する情報提供料(業務着手金を含む)は本条の成功報酬には含めないものとする。
第20条  仲介者としての義務・責任
1項 被告会社は,原告及びシムコ社双方にとって有意義な企業提携を実現することを目的として,善良な管理者の注意をもって,本件提携仲介契約に規定する本件提携の仲介に関する専門的な業務を執り行うものとする。
2項 被告会社は,本件提携の実現を保証するものではなく,原告は,自己の最終的な判断及びその危険負担に基づいて,自己の責任において本件提携に関する意思決定を行うものとする。
3項 原告は,第3条①に基づき被告会社から提供を受ける各種情報,資料等については被告会社がその真実性,正確性,妥当性,網羅性を保証するものではなく,また,その中に将来予測,見込み及び予定等が含まれている場合に,その実現可能性について被告会社は何らの責任を負うものではないことを確認し,原告が自己の費用負担のもとデューデリジェンスを実施し,自己の最終的な判断及びその危険負担に基づいて,自己の責任において本件提携に関する意思決定を行うものとする。
4項 被告会社は,最終契約の成立後において,当事者が最終契約上の義務を履行すること並びに当事者が最終契約において表明・保証した事項の真実性を保証するものではなく,また,本件提携に係る将来予測,見込み及び予定等について保証するものではない。
5項 被告会社は,本件提携に関し,故意又は重過失がない限り,原告及びその他の者に対して損害賠償を含む一切の責任を負わないものとし,原告は被告会社を免責する。なお,故意又は重過失によって被告会社に損害賠償の責が生じた場合の支払額は,被告会社が本件提携仲介契約第5条ないし第8条に基づき受領した金額を限度とするものとする。
(乙B2)
(3)  原告と被告Y1らとの間におけるシムコ社の株式譲渡契約
被告Y1らは,平成24年11月27日,原告との間で,以下の内容によりシムコ社の株式を譲渡する旨の契約を締結した(以下「本件株式譲渡契約」という。)。
第2条  定義
本件株式譲渡契約において,契約書中に特段の定義を伴わずに用いられる本条各号の用語は,それぞれ本条各号に規定する意味を有する。
一 「対象株式」とは,シムコ社の発行済株式のうち,下記記載の売主らが所有する合計600株の株式をいう。
被告Y1 500株
被告Y2 100株
二 (略)
第3条  株式譲渡
1項 被告Y1らは,原告に対し,平成24年11月27日,本件株式譲渡契約に規定する条件に基づき,対象株式の全部を譲渡するものとし,原告は,被告Y1らからこれを譲り受ける。
2項 原告及び被告Y1らは,本件株式譲渡契約締結日において,以下の契約締結条件を充足していることを当事者双方が相互に確認することを条件として,本件株式譲渡契約を締結し,株式譲渡を実施する。
一 被告Y1らが,第9条各号で表明保証した事項が本件株式譲渡契約締結日において真実かつ正確であること。
二 (略)
3項 (略)
第4条  譲渡価額
原告は,対象株式の譲渡代金として,被告Y1らに対し,それぞれ下記記載の金員(1株当たり33万3334円,合計2億0400円)を支払う。
被告Y1 1億6666万7000円
被告Y2 3333万3400円
第9条  被告Y1らの表明及び保証
被告Y1らは,本件株式譲渡契約締結日において,以下の事項を表明し,保証する。
1号ないし9号 (略)
10号 財務諸表
基本合意書第5条による調査の結果判明した別紙1(略)記載のものを除き,シムコ社が,原告に対して交付したシムコ社の貸借対照表及び損益計算書(試算表を含む。)は,日本において一般に公正妥当と認められている会計基準に従って作成されており,各作成基準日時点におけるシムコ社の財政状態及び経営成績を概ね適正に示していること。
11号以下 (略)
第10条  譲渡後の原告の義務
1項 (略)
2項 退職慰労金の支給
原告は,本件株式譲渡後速やかに,シムコ社をして,下記の者に対し,退職慰労金を支給させるものとする。
被告Y1 6000万円
被告Y2 4000万円
第11条  譲渡後の被告らの義務
1項 譲渡後の支援
被告Y1らは,本件株式譲渡契約後,原告がシムコ社の経営を行うに当たり,別途定めるところにより,原告に対して対象事業の引継ぎ及び経営における助言等の支援を行う。
2項 競業避止義務
被告Y1らは,本件株式譲渡契約後20年間は,シムコ社と競業関係に立つ業務を行わず,又は第三者をしてこれを行わせない。
第12条  シムコ社役員の辞任届
1項 被告Y1は,本件株式譲渡契約締結日をもって,シムコ社の取締役及び代表取締役を辞任する。
2項 被告Y1は,本件株式譲渡契約締結日までに,被告Y2を含むシムコ社の他の取締役から,辞任届を取りまとめるものとする。
(甲2)
(4)  シムコ社における取締役会設置会社及び監査役設置会社の定めの廃止
シムコ社は,取締役会設置会社及び監査役設置会社として平成18年5月1日にその旨の登記をしたが,平成24年6月11日,その旨の定めを廃止し,同年9月6日,その旨の登記をした。(甲3,17)
(5)  原告の被告会社に対する本件提携仲介契約に基づく支払
原告は,被告会社に対し,本件提携仲介契約に基づき,以下のとおり情報提供料及び仲介手数料合計1155万円を支払った。
平成24年10月15日 情報提供料105万円
平成24年11月27日 仲介手数料1050万円
(被告会社との関係では争いがない。被告Y1らとの関係では甲5ないし8)
2  争点
(1)  被告らの説明義務違反ないし善管注意義務違反の有無
(原告の主張)
ア 被告Y1らの説明義務違反
本件株式譲渡契約における譲渡代金は,被告会社がシムコ社の営業権の価値を1億4300万円と見積もった上で作成した修正貸借対照表に基づき,2億円とされた。上記営業権の評価は,被告Y1が,シムコ社の平成24年度(平成24年4月から平成25年3月まで)の売上げの見込みが4億円,経常利益が4000万円から5000万円に上り,サンパ血液検査ソフトの平成24年度の売上げを1億円から1億5000万円と見込んでいる,Awaiba社製C-Mosセンサーの受注が99%決定しているなどと説明したことを基礎としている。しかし,かかる説明は事実に反するものであり,シムコ社は,平成24年3月末日時点及び平成25年3月末日時点における営業権の相続税評価額が0円であり,平成24年度の経常利益が7471万0423円の赤字,平成25年度の経常利益が1795万5670円の赤字,平成26年度の経常利益が1774万6114円の赤字となっていた。
したがって,被告Y1らは,本件株式譲渡契約に先立ち,虚偽の内容により,又は重要な事実を秘匿しつつ,シムコ社の営業権の評価に関わる事項を原告に説明したから,被告Y1らは,原告に対し,債務不履行に基づく損害賠償責任を負う。
また,被告Y1は,本件株式譲渡契約後も,シムコ社と顧問契約を締結したが,その後,シムコ社の売上げ及び経常利益は激減している。その理由は,被告Y1が委任の趣旨に背いて営業活動を怠り,若しくは競業活動を行いシムコ社の顧客に対する売上げを殊更に減少させたか,本件株式譲渡契約に先立つ被告Y1の売上げ及び利益の見込みに関する説明が虚偽であり,同契約の締結前からシムコ社の経営基盤が既に傾いていたとしか考えられない。被告Y2も,被告Y1と同様,本件株式譲渡契約後も,シムコ社の顧問に就任し,経理等社内業務全般を取り仕切っていた。
イ 被告会社の説明義務違反ないし善管注意義務違反
企業のM&Aの仲介契約は,準委任契約の性質を有し,仲介業者は,対象企業の適正な譲渡代金を把握する専門的知識や能力を有しない依頼者に対し,善管注意義務の内容として,高度な専門的知識により,情報提供,適切な助言・指導を行う義務を負う。
しかるに,被告会社は,①シムコ社の営業権を不当に高額に見積もり,かつ,営業権を実質的利益の5年分まで広げた案を提示し,②繰延税金資産を純資産に含め,③シムコ社の修正後の株式評価額を原告より先に被告Y1らに示し,原告に対する利益調整及び説明を怠り,④原告は,シムコ社が取締役会設置会社及び監査役設置会社であることを買収の必須の条件としていたのに,シムコ社の取締役会及び監査役設置の定めを廃止する前の定款を交付するにとどめている,という説明義務違反ないし善管注意義務違反があるから,原告に対し,債務不履行に基づく損害賠償責任を負う。
(被告Y1らの主張)
ア 原告の主張のうち,被告Y1らが虚偽の内容の説明をし,重要な事実を秘匿したことは否認する。被告Y1がC-Mosセンサーについて「99%受注が決定」したと述べた事実はない。仮に,シムコ社の平成24年度の売上げについて何らかの金額が当事者間で確認されたとしても,その時点における現実の売上げに基づく合理的な予測であって,虚偽の説明には当たらない。被告会社によるシムコ社の企業価値の算定は,過去の実績に基づいて算定されており,血液検査システムソフト(サンバ)の将来の売上げの見込みやAwaiba社製C-Mosセンサーの受注は考慮されていない。
イ シムコ社が監査役設置会社でないことは,被告Y1らから当時原告の常務取締役であり本件株式譲渡契約に伴いシムコ社の代表取締役に就任したC(以下「C」という。)に説明済みである。
ウ 被告Y1は,本件株式譲渡契約締結後も,シムコ社を適切にサポートしており,シムコ社の業績の悪化は,Cが適切に事業活動を行っていなかったことが主要な原因である。
(被告会社の主張)
ア 原告の主張のうち,本件株式譲渡契約書に添付された修正貸借対照表に記載されたシムコ社の営業権の評価額が1億4300万円であるという限度で認め,平成24年度及び平成25年度の現実の経常利益は不知,その余の事実は否認し,法的主張は争う。
イ 被告会社が本件提携仲介契約に基づいて原告に負っていた債務は,原告がシムコ社の企業価値を判断するための参考資料の作成であり,シムコ社の企業価値に係る評価が適正であるか否かの判断は,原告においてその責任の下に行うべき事柄である。
ウ 被告会社は,シムコ社の企業価値を算定するに当たり,時価純資産額に営業権を考慮する方法を採用し,営業権の算定に当たっては,シムコ社の超過収益に将来持続する年数を乗じる手法を採用しており,かかる評価方法に不合理な点はないし,その後の説明及び助言も適切に行っている。
エ 基本合意書締結から本件株式譲渡契約締結までのスケジュールは,原告が定めたものであり,被告会社が原告に熟慮期間を与えなかった事実は存しない。
オ 被告会社は,本件提携仲介契約に基づき,デューデリジェンスのセッティング,立会い及び助言を行っている。
カ 被告会社は,本件株式譲渡契約に際し,原告から,シムコ社の取締役会や監査役の設置の定めについて質問を受けたことはないし,かかる点を含めてシムコ社に関する情報を十分に提供している。
(2)  被告らによる共同不法行為の成否
(原告の主張)
争点(1)で主張したとおり,被告Y1らは,原告に対し,事実と異なる説明をし,あるいは重要な事実を秘匿するという違法な行為を行い,被告会社は,仲介業者に当然求められる注意を怠り,被告らの行為には少なくとも客観的関連共同性が認められるから,被告らは,原告に対し,共同不法行為責任を負う。
(被告らの主張)
原告の主張事実は否認し,法的主張は争う。
(3)  原告の損害
(原告の主張)
原告は,被告Y1らに本件株式譲渡契約に基づく譲渡代金2億円を支払い,被告会社に情報提供料及び仲介手数料として1155万円を支払い,その合計額は2億1155万円になる。しかし,本件株式譲渡契約が締結された平成24年11月27日時点におけるシムコ社の全発行済株式の価値は,平成24年及び平成25年の各3月末日時点でのシムコ社の純資産額を相続税評価額に即して計算した額の平均値である2721万9500円を上回るものではない。したがって,原告は上記2億1155万円から2721万9500円を控除した1億8433万0500円の損害を被った。
上記損害は,被告らそれぞれの債務不履行(主位的請求)又は共同不法行為(予備的請求)に起因するものであるから,被告らは,原告に対し,連帯して上記損害を賠償する義務を負う。債務不履行に基づく損害賠償の遅延損害金は,訴状送達の日の翌日である平成27年12月5日が起算点となり,利率は商事法定利率の年6分である。不法行為に基づく損害賠償の遅延損害金は,不法行為の日(本件株式譲渡契約の日)である平成24年11月27日が起算点となり,利率は民法所定の年5分である。
(被告Y1らの主張)
原告の主張事実は否認し,法的主張は争う。継続企業の株式の価値を純資産額のみから算定することは通常あり得ない。
(被告会社の主張)
原告の主張事実は否認し,法的主張は争う。相続税評価額による営業権の評価は,M&Aに際して通常用いない手法である。また,本件提携仲介契約に基づく情報提供料及び仲介手数料は,被告会社に買収の仲介を依頼したことそれ自体から発生するものであるから損害に当たらないし,とりわけ,情報手数料は,本件提携仲介契約においていかなる理由によっても返還されないことが合意されている。
第3  当裁判所の判断
1  認定事実
後掲各証拠によれば,以下の事実が認められる。
(1)  原告代表者A(以下「A」という。)は,平成24年6月頃,Aの子であるCから,シムコ社の代表取締役を務めている被告Y1とかねてから懇意にしているが,被告Y1に子がなく後継者もいないことから,シムコ社の株式を売却することを考えていると聞いた旨伝えるとともに,原告による買取りを打診した。Aは,Cによるシムコ社の説明を聞き,シムコ社の買収を検討するようになった。
(2)  原告は,平成24年9月上旬,原告のメインバンクである北陸銀行から紹介を受けた被告会社にシムコ社の情報提供と株式売買の仲介を依頼することとし,平成24年10月15日,被告会社との間で,本件提携仲介契約を締結した。(甲19,乙B2)
(3)  原告は,本件提携仲介契約に先立つ平成24年9月中旬,被告会社から,「簡易評価額算定結果サマリー」と題するシムコ社に係る参考資料の提出を受けた。これによれば,修正貸借対照表及び修正損益計算書に基づく時価純資産価格1億3378万円に営業権の評価額(「修正後」税引前当期純利益から期待利益を差し引くことによって算定できる超過利益金額に複利年金現価係数を乗じたもの)1年分(3007万9000円)を加算した額である1億6385万9000円から3年分(8696万2000円)を加算した額である2億2074万2000円までが評価額レンジとされており,原告における買収担当者であったC及び当時の常務取締役D(以下「D常務」という。)がその内容を確認の上,Aに対し,およそ2億円程度が目安になると報告した。(甲19,乙B1)
(4)  被告会社は,平成24年10月2日,シムコ社に対し,提携仲介契約書3通,請求書1通,必要資料や質問事項を記載した用紙等を送付した。これに対し,シムコ社は,同月5日,被告会社に対し,提携仲介契約書1通を返送するとともに,定款,商業登記簿謄本,株主名簿,直近期期末及び直近月の商品棚卸明細等を送付した。(乙A1,2)
(5)  原告は,本件提携仲介契約締結後の平成24年10月中旬,被告会社から,本件提携仲介契約第3条②に基づき,「株式評価額算定結果サマリー」と題するシムコ社に係る参考資料として前記(3)の「簡易評価額算定結果サマリー」を改訂したものの提出を受けた。同資料によれば,時価純資産価格を5721万2000円とし,被告Y1らに支給する退職慰労金を1億円とした上で,これらの合計額に営業権の評価額1年分(3123万円)を加算した額である1億8844万2000円から,3年分(9032万円)を加算した額である2億4753万2000円,5年分(1億4518万4000円)を加算した額である3億0239万6000円までが評価額レンジとされた。(甲19,乙B3)
(6)  被告会社において執行役員営業本部金融法人部長として本件提携仲介契約に基づく業務を担当していたE(以下「E」という。)は,平成24年10月24日,被告Y1と面談し,「株式評価額算定結果サマリー」に基づき,シムコ社の株式評価額の内容を説明するとともに,希望売却額を尋ねたところ,被告Y1は,本来の希望は4億円であるが,少なくとも3億円であれば売却でき,3億円とする場合はうち1億円を退職慰労金として支払を受けることについても問題はなく,Cにも取引先に対する引継ぎを含めた株式譲渡のスケジュールを伝えていると回答した。そこで,被告会社(E)は,平成24年10月25日,原告(CとD常務)に,スケジュール案,「株式評価額算定結果サマリー」及び基本合意書の草案を送付し,その後,株式譲渡価格を2億円,役員の退職慰労金を1億円とすることについて了承を得た。(乙B17)
(7)  原告は,上記経過を経て,平成24年10月31日,被告Y1との間で株式譲渡に係る基本合意書を交わした。同合意書は,①被告Y1が,自ら及び被告Y2の所有するシムコ社の全発行済株式600株を原告に対し1株当たり33万3334円(合計2億0400円)で譲渡すること,②原告は,シムコ社の事業及び財務内容の実在性・妥当性等,株式譲渡を実行するに当たり原告において必要となる事項を検証・調査するために,原告又は原告の指定する第三者によるシムコ社の調査(事業計画の検証,実地調査,環境調査,インタビュー,会計帳簿その他の書類の閲覧,調査を含む。)を実施すること,③被告Y1は,シムコ社をして,同合意書において別段の定めのある場合及び原告の事前の承諾を得た場合を除き,株式譲渡が実行されるまで,善良なる管理者の注意をもってシムコ社の業務を運営させるものとし,シムコ社に,その資産・財務内容に重大な変更を生じさせる行為を行わせてはならないものとすること,④原告は,株式譲渡後,シムコ社をして,被告Y1に6000万円,被告Y2に4000万円を支給させるものとすること,⑤被告Y1らは,株式譲渡後,原告がシムコ社の経営を行うに当たり,別途定めるところにより,原告に対してシムコ社の事業の引継ぎ及び経営における助言等の支援を行うことなどを内容とするものだった。(甲19,乙B4,17)
(8)  原告(D常務ほか2名)は,上記のとおり基本合意書を締結した後,デューデリジェンスの準備を始め,本件株式譲渡契約に先立つ平成24年11月11日,シムコ社の会議室で,被告会社担当者2名及び新日本有限責任監査法人担当者3名立合いの下,5時間余りかけて,シムコ社のデューデリジェンスを行い,被告Y1は,原告担当者3名との間で行われた会議において,シムコ社の現金・預金,借入金,為替先物予約,商品在庫,売上総利益率,売掛金,社長個人保証,出資金,未払金及び車両運搬具についての説明及び確認を行うとともに,シムコ社の退職慰労金の算定方法は明文化されておらず,被告Y1がその都度業績を考慮して決めていること,平成24年度上期の売上げが1億9000万円,経常利益が3000万円,通期の売上げが4億円前後,経常利益が4000万円から5000万円である見込みであることを説明した。また,被告Y1は,海外取引先とのパイプを一手に有していたことから,原告に株式を譲渡した後もシムコ社に残り,少なくとも1年間は経営をサポートすることが確認された。(甲11,19,乙B5,原告代表者)
(9)  原告(D常務)は,平成24年11月14日,被告会社(E)との間で,原告の行ったデューデリジェンスに基づき最終的な検討を行い,原告(C,D常務)は,被告会社の提供した資料との間で想定外の大きな相違点は出なかったと判断し,その旨被告会社に告げた。そこで,被告会社(E)は,原告と被告Y1らに譲渡代金を再度確認した上,株式譲渡契約書の内容を確定させ,これにより,原告と被告Y1らは,平成24年11月27日,本件株式譲渡契約を締結し,同日,シムコ社は,被告Y1との間で,年俸額を1000万円と定めて,経営をサポートするための雇用契約を締結し,平成25年11月27日及び平成26年11月27日には,同じく年俸額を1000万円と定めて,顧問契約を締結した。(甲18の1ないし3,甲19,乙B6)
(10)  原告(A)は,本件株式譲渡契約の締結に当たり,Cをシムコ社の代表取締役に就任させ,その経営を一任していた。しかし,Cは,シムコ社の代表取締役に就任してから1年くらい後から,余り出社しないようになり,原告(A)は,帳簿及び伝票を調査させるために原告の監査役をシムコ社に派遣したが,Cは調査を拒絶し,原告からの役員派遣やシムコ社を監査役設置会社にすることも拒絶した。Aは,Cが自らの子であり,将来的には原告の経営を委ねるつもりだったことから,当面はCを信用することにしたが,実際には,本件株式譲渡契約の締結においてシムコ社に在籍していた従業員は,1,2年位のうちに全員が退職し又は退職させられていた。
その後,平成27年6月になって,Cがシムコ社の代表取締役を辞任してAとの連絡を絶ったため,Aが改めてシムコ社に原告の監査役を派遣したところ,シムコ社の売上げ及び経常利益が想定していた水準より低いことが判明し,改めて監査法人をしてシムコ社の財務状態の監査をさせたところ,不適切な会計処理を修正した場合,同年3月末の時点におけるシムコ社の純資産は約1100万円のマイナスであり債務超過になることなどが報告された。(甲19,20,原告代表者,被告Y1)
(11)  原告が,平成27年11月頃,シムコ社の平成24年度から平成26年度までの財務状況の検討等を税理士に依頼したところ,平成24年及び平成25年の3月末日時点での営業権相続税評価額はいずれも0円であり,経常利益は,平成24年度(平成25年3月期)で7471万0423円の赤字,平成25年度(平成26年3月期)で1794万5670円の赤字,平成26年度(平成27年3月期)で1774万6114円の赤字,相続税評価額による純資産価格は,平成24年3月末日時点で1350万5000円,平成25年3月末日時点で4093万4000円という報告がされた。また,原告が,平成28年2月,シムコ社の得意先別売上実績を集計したところ,平成23年度から平成24年度にかけて,売上げが1000万円以上減少した得意先が6社あり,減少額は,1000万円台から5000万円台にまで及ぶものがあるという結果になった。(甲9,10,12ないし15)
2  争点(1)被告らの説明義務違反ないし善管注意義務違反の有無
(1)  原告は,被告会社がシムコ社の営業権を不当に高額に評価したと主張する。
しかし,前記認定のとおり,原告は,自らが選任した監査人を通じてデューデリジェンスを行い,被告会社から提供を受けた「株式評価額算定結果サマリー」と想定外の大きな相違点はないと判断したのであるから,被告会社による営業権の評価を理解した上でその評価が不合理でないと判断したことが明らかであり,営業権の評価も,被告Y1による口頭の説明を考慮したものではないから,かかる経緯からみれば,被告会社がシムコ社の営業権の評価を誤ったとは考え難い。
また,原告は,シムコ社の営業権の相続税評価額が0円であることを根拠に,被告会社による営業権の評価額は不当に高額であるという趣旨の主張をする。しかし,相続税評価額に基づいて営業権を評価することが相当であると解すべき根拠が明らかでなく,同主張は採用できない。
なお,本件株式譲渡契約に伴い,シムコ社から被告Y1らに合計1億円の退職慰労金が支払われているが,前記認定事実のとおり,実質的な譲渡代金を3億円とした上で,そのうち1億円を退職慰労金とするという法形式をとったものであるから,退職慰労金の額それ自体が不当に高額であるとはいえない。
原告は,被告Y1が,シムコ社の売上げ,経常利益,受注に関する見込みについて,事実に反する発言をしたことが,営業権の時価が高額に見積もられた理由であると主張する。しかし,原告の主張によっても,被告Y1の発言は将来の見込みにすぎないものであるし,前記のとおり,被告会社が行ったシムコ社の営業権の時価評価は,修正貸借対照表及び修正損益計算書に基づく時価純資産額等を基礎に試算したものであり,その過程において被告Y1の発言ないし意見が考慮されたと認めるに足りる証拠はないから,原告の上記主張は採用できない。
したがって,シムコ社の営業権の評価に関し,被告会社に説明義務違反や善管注意義務違反があるということはできないし,被告Y1らに説明義務違反があるということもできない。
(2)  原告は,被告会社において,シムコ社の時価純資産額の算定に当たり,繰延税金資産を考慮したことが不当であるという主張もするが,繰延税金資産が修正貸借対照表に計上されていることは「株式評価額算定結果サマリー」の添付書類に明記されており(乙B3),原告が株式譲渡代金を検討するための資料の提供が不当だったとはいえない。
(3)  原告は,シムコ社が取締役会設置会社及び監査役設置会社であることがシムコ社買収の条件だったという趣旨の主張をする。
しかし,そのような事柄は,本件株式譲渡契約の締結に当たり,シムコ社の登記事項証明書を確認すれば直ちに判明するものであるが,原告においてかかる確認をした様子はないこと,原告は,本件株式譲渡契約によってシムコ社の全発行済株式を入手した時点で,定款変更をして監査役設置会社の定めを設けることも可能であったのに,Cが拒否したことによりかかる措置をとっていないことに鑑みれば,原告においてシムコ社が取締役会設置会社及び監査役設置会社であることを買収の条件と考えていたと解することはできないし,取締役会設置会社及び監査役設置会社であることが本件株式譲渡契約において重要な要素であると解すべき客観的な事情が存在していたともいえないから,原告の上記主張は採用できない。
(4)  原告は,本件株式譲渡契約後,シムコ社の売上げが著しく減少したことは,被告Y1らがシムコ社の顧問に就任した後の行動が原因であるという趣旨の主張をする。
原告の主張する事由は,本件株式譲渡契約における説明義務違反と直接関係するものとは考え難いが,本件訴訟に係る紛争の原因が,本件株式譲渡契約締結後に,シムコ社の業績が悪化したことにあると考えられることに鑑みて,なお念のため判断するに,証拠(甲19,21,22)によれば,被告Y1は,平成28年の時点で,一般社団法人日本インダストリアルイメージング協会(JIIA)の代表理事を務め,LED照明機器グループ,FA機器グループ及びヘルスケアグループを事業内容とする株式会社イマックに所属していたことが認められるが,そのことがシムコ社の売上げや営業利益が減少したことの原因であると認めるに足りる証拠はない。
また,証拠(甲25)によれば,原告に対し,被告Y1には,シムコ社の顧問を務めるようになってから,毎年数百万円の海外への旅費交通費が支払われていたという報告がされたことが認められる。しかし,同報告がいかなる資料に基づいて作成されたのかは明らかでないし,顧問の立場にある被告Y1が自らの意思のみに基づいて上記費用の支給を受けることができるとは考え難い。
そして,前記認定のとおり,本件株式譲渡契約の締結に伴いシムコ社の代表取締役に就任したCが,1年後位から余り出社しないようになり,その後,Cは,原告(A)の要請にもかかわらず,原告の監査役によるシムコ社の監査や,シムコ社を監査役設置会社にすることを拒否し,本件株式譲渡契約の締結からシムコ社に在籍していた従業員が1,2年位のうちに全員退職し,又は退職させられたこと,Cは,平成27年6月シムコ社の代表取締役を退任し,以後,Aからも連絡をとることができない状態になっているという一連の事実経過からすれば,本件株式譲渡契約の締結後にシムコ社の売上げが著しく減少したことは,Cの経営に問題があったと解するのが自然である。
したがって,本件株式譲渡契約の締結後にシムコ社の売上げが著しく減少したことが,被告Y1らの行為に起因するものと認めることはできず,原告の上記主張は採用できない。
3  争点(2) 被告らによる共同不法行為の成否
原告の主張は,争点(1)と同一の事実関係を基礎に,被告Y1らが虚偽の説明を行い,あるいは重要な事実を秘匿し,被告会社は,仲介業者に求められる注意を怠ったことによる共同不法行為が成立すると主張する。
しかし,争点(1)において判断したとおり,被告Y1らが虚偽の説明をしたり,重要な事実の説明を行わずにこれを秘匿したということはできず,被告会社が本件提携仲介契約に反して原告に誤った情報を提供したということもできないから,共同不法行為の主張にも理由がない。
4  結論
よって,原告の被告らに対する請求にはいずれも理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第23部
(裁判官 酒井良介)

 

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