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判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(41)平成29年 9月15日 東京地裁 平25(ワ)26392号 損害賠償請求事件

判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(41)平成29年 9月15日 東京地裁 平25(ワ)26392号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成29年 9月15日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平25(ワ)26392号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  一部認容  文献番号  2017WLJPCA09158013

要旨
◆原告X1ないし原告X11が、ファンドを運営していた被告L社及び同社の代表取締役である被告Y1、同社の営業活動を統括していた被告Y2及び原告らに対して出資を勧誘したなどとする被告Y3ないし被告Y11に対し、被告らは運用実態がないファンドについて利益を上げているかのように装い、又はその運用の裏付けについて確認を尽くさないまま投資を勧誘し、原告らに投資をさせて損害を与えたなどとして、共同不法行為に基づき、各損害賠償を求めた事案において、本件スキーム構築及び運営の中心人物である被告Y1には詐欺による不法行為が成立し、被告L社は会社法350条に基づき、原告らの損害を全部賠償する責任を負うとし、被告Y2にも詐欺による不法行為を認めて、原告X1ら8名の損害の一部につき賠償責任を負うとしたほか、被告Y4、被告Y5、被告Y8及び被告Y11につき、注意義務を尽くさずに投資の勧誘を行ったと認め、被告Y10につき擬制自白を認めて、各不法行為責任を認める一方、その余の被告らは投資を勧誘したとは認められないとした上、投資に至った経緯や従前の投資経験等に応じて一定の過失相殺を行い、各請求を一部認容した事例

参照条文
民法709条
民法719条
民法722条
会社法350条

裁判年月日  平成29年 9月15日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平25(ワ)26392号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  一部認容  文献番号  2017WLJPCA09158013

埼玉県所沢市〈以下省略〉
旧姓A
原告 X1(以下「原告X1」という。)
東京都練馬区〈以下省略〉
原告 X2(以下「原告X2」という。)
岐阜県各務原市〈以下省略〉
原告 X3(以下「原告X3」という。)
山口県柳井市〈以下省略〉
原告 X4(以下「原告X4」という。)
神戸市〈以下省略〉
原告 X5(以下「原告X5」という。)
神奈川県鎌倉市〈以下省略〉
原告 X6(以下「原告X6」という。)
さいたま市〈以下省略〉
原告 X7(以下「原告X7」という。)
東京都武蔵野市〈以下省略〉
原告 X8(以下「原告X8」という。)
奈良県橿原市〈以下省略〉
原告 X9(以下「原告X9」という。)
大阪市〈以下省略〉
原告 X10(以下「原告X10」という。)
東京都新宿区〈以下省略〉
原告 X11(以下「原告X11」という。)
原告ら訴訟代理人弁護士 本杉明義
同 堀内岳
原告ら訴訟復代理人弁護士 鏡味靖弘
東京都新宿区〈以下省略〉
被告 株式会社Limit Investage(以下「被告リミット社」という。)
同代表者代表取締役 Y1
東京都文京区〈以下省略〉
被告 Y1(以下「被告Y1」という。)
千葉県大網白里市〈以下省略〉
Bこと
被告 Y2(以下「被告Y2」という。)
千葉県大網白里市〈以下省略〉
被告 Y3(以下「被告Y3」という。)
上記両名訴訟代理人弁護士 佐藤和樹
東京都港区〈以下省略〉
(送達場所 東京都府中市〈以下省略〉)
被告 Y4(以下「被告Y4」という。)
東京都北区〈以下省略〉
被告 Y5(以下「被告Y5」という。)
東京都新宿区〈以下省略〉
被告 Y6(以下「被告Y6」という。)
上記両名訴訟代理人弁護士 霜村大輔
岡山県倉敷市〈以下省略〉
被告 Y7(以下「被告Y7」という。)
同訴訟代理人弁護士 岡田卓巳
東京都江戸川区〈以下省略〉
被告 Y8(以下「被告Y8」という。)
東京都杉並区〈以下省略〉
被告 Y9(以下「被告Y9」という。)
上記両名訴訟代理人弁護士 伊倉秀知
被告Y8訴訟復代理人兼被告Y9訴訟代理人弁護士 諏訪大輔
東京都千代田区〈以下省略〉
被告 Y10(以下「被告Y10」という。)
愛知県清須市〈以下省略〉
被告 Y11(以下「被告Y11」という。)
同訴訟代理人弁護士 小林輝征
同訴訟復代理人弁護士 尾中翔

 

 

主文

1  被告リミット社及び被告Y1は,各自,別紙認容額一覧表第1表の「原告」欄記載の各原告に対し,同「金額」欄記載の各金員及びこれに対する平成25年11月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  被告Y2は,別紙認容額一覧表第2表の「原告」欄記載の各原告に対し,同「金額」欄記載の各金員及びこれに対する平成25年10月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3  被告Y4は,別紙認容額一覧表第3表の「原告」欄記載の原告に対し,同「金額」欄記載の金員及びこれに対する平成25年10月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4  被告Y5は,別紙認容額一覧表第4表の「原告」欄記載の原告に対し,同「金額」欄記載の金員及びこれに対する平成25年10月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
5  被告Y8は,別紙認容額一覧表第5表の「原告」欄記載の各原告に対し,同「金額」欄記載の各金員及びこれに対する平成25年10月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
6  被告Y10は,別紙認容額一覧表第6表の「原告」欄記載の原告に対し,同「金額」欄記載の金員及びこれに対する平成28年3月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
7  被告Y11は,別紙認容額一覧表第7表の「原告」欄記載の原告に対し,同「金額」欄記載の金員及びこれに対する平成25年10月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
8  原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
9  訴訟費用の負担は,原告ら(原告X4を除く。)と被告リミット社及び被告Y1との間では同被告らの負担とし,その余の当事者間については別紙訴訟費用負担割合一覧表記載のとおりとする。
10  この判決の主文第1項ないし7項は,仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
1  被告リミット社,被告Y1,被告Y2及び被告Y8は,原告X1に対し,連帯して,192万8891円及びこれに対する被告リミット社及び被告Y1については平成25年11月4日から,被告Y2については同年10月18日から,被告Y8については同月17日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  被告リミット社,被告Y1,被告Y2及び被告Y9は,原告X2に対し,連帯して,521万9229円及びこれに対する被告リミット社及び被告Y1については平成25年11月4日から,被告Y2については同年10月18日から,被告Y9については同年11月8日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3  被告リミット社,被告Y1,被告Y2及び被告Y11は,原告X3に対し,連帯して,664万6200円及びこれに対する被告リミット社及び被告Y1については平成25年11月4日から,被告Y2及び被告Y11については同年10月18日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4  被告リミット社,被告Y1及び被告Y6は,原告X4に対し,連帯して,1358万4604円及びこれに対する被告リミット社及び被告Y1については平成25年11月4日から,被告Y6については同年10月18日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
5  被告リミット社,被告Y1,被告Y6及び被告Y7は,原告X5に対し,連帯して,407万円及びこれに対する被告リミット社及び被告Y1については平成25年11月4日から,被告Y6については同年10月18日から,被告Y7については同月19日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
6  被告リミット社,被告Y1,被告Y2及び被告Y10は,原告X6に対し,連帯して,99万3446円及びこれに対する被告リミット社及び被告Y1については平成25年11月4日から,被告Y2については同年10月18日から,被告Y10については平成28年3月10日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
7  被告リミット社,被告Y1,被告Y2及び被告Y3は,原告X7に対し,連帯して,27万9400円及びこれに対する被告リミット社及び被告Y1については平成25年11月4日から,被告Y2及び被告Y3については同年10月18日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
8  被告リミット社,被告Y1及び被告Y5は,原告X7に対し,連帯して,132万円及びこれに対する被告リミット社及び被告Y1については平成25年11月4日から,被告Y5については同年10月17日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
9  被告リミット社,被告Y1,被告Y2,被告Y4及び被告Y8は,原告X8に対し,連帯して,499万4000円及びこれに対する被告リミット社及び被告Y1については平成25年11月4日から,被告Y2については同年10月18日から,被告Y4については同月26日から,被告Y8については同月17日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
10  被告リミット社,被告Y1及び被告Y2は,原告X9に対し,連帯して,155万9426円及びこれに対する被告リミット社及び被告Y1については平成25年11月4日から,被告Y2については同年10月18日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
11  被告リミット社,被告Y1,被告Y2及び被告Y9は,原告X10に対し,連帯して,579万0212円及びこれに対する被告リミット社及び被告Y1については平成25年11月4日から,被告Y2については同年10月18日から,被告Y9については同年11月8日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
12  被告リミット社,被告Y1,被告Y6及び被告Y7は,原告X11に対し,連帯して,918万5000円及びこれに対する被告リミット社及び被告Y1については平成25年11月4日から,被告Y6については同年10月18日から,被告Y7については同月19日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
本件は,原告らが,被告らに対し,被告らが,全部又は一部に運用実態がないファンドについて,FX取引で運用して利益を上げているかのように装い,又はその運用の裏付けについて確認を尽くさないまま投資を勧誘し,原告らに投資をさせて損害を与えたなどとして,共同不法行為に基づき,原告らの投資額から配当額を控除した額及び弁護士費用相当額の損害賠償並びに訴状送達の日の翌日から民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払をそれぞれ求める事案である。
1  前提となる事実(当事者間に争いがないか,掲記の証拠又は弁論の全趣旨により容易に認められる事実)
(1)  当事者等
ア 原告ら
(ア) 原告X1,原告X2,原告X3,原告X6,原告X7,原告X8,原告X9及び原告X10(以下「原告X1ら8名」という。)は,平成23年から平成25年までの間,フィリピン法人であるTemecula Financial Resources INC.(以下「タミキュラ社」という。)が運営する「Temecula Alpha FX Fund」という名称のファンド(以下「タミキュラファンド」という。)に出資をした者である。
(イ) 原告X4,原告X5,原告X7及び原告X11は,平成23年から平成25年にかけて,被告リミット社との間で「賃借基本契約書」を作成し,被告リミット社に出資をした者である。
イ 被告ら
(ア) 被告リミット社は,平成22年8月24日に設立され,「Howdy FX Fund」という名称のファンド(以下「ハウディファンド」という。)等のファンドを運営していた株式会社である。
(イ) 被告Y1は,被告リミット社の代表取締役であるとともに,タミキュラファンドを運用していた者である。
(ウ) 被告Y2は,被告Y1と共にタミキュラファンドの組成に関わるとともに,被告リミット社の最高財務責任者(CFO)として同被告の営業活動を統括していた者である。
(エ) 被告Y3は被告Y2と内縁関係にあった者である。被告Y4,被告Y5,被告Y6,被告Y7,被告Y8,被告Y9,被告Y10及び被告Y11は,いずれも,原告らに対し,タミキュラファンド又は被告リミット社を紹介し,又はこれらへの出資を勧誘した者である(以下,被告Y3,被告Y4,被告Y5,被告Y6,被告Y7,被告Y8,被告Y9,被告Y10及び被告Y11を併せて「被告Y3ら」という。被告Y3らと被告リミット社との関係及び原告らに対する具体的な紹介又は勧誘の態様については,争いがある。)。
(2)  原告らのタミキュラファンド又は被告リミット社に対する出資の内容等
ア 原告X1(甲1(枝番を含む。))
原告X1は,タミキュラ社に対し,平成24年11月頃に1万米ドル,平成25年4月30日に1万米ドルを送金し,タミキュラファンドに出資した。
イ 原告X2(甲2(枝番を含む。))
原告X2は,タミキュラ社に対し,平成24年8月23日,600万円を支払い,タミキュラファンドに出資した。
ウ 原告X3(甲3(枝番を含む。))
原告X3は,タミキュラ社に対し,平成25年2月16日に300万円,同年3月16日に200万円,同年5月16日に100万円を支払い,タミキュラファンドに出資した。
エ 原告X4(甲4(枝番を含む。))
原告X4は,平成23年5月頃,月利5%で1年間貸し付ける旨の「賃借基本契約書」を作成して被告リミット社に100万円を出資し,その後契約更新を繰り返すとともに追加出資をして,合計1900万円を被告リミット社に出資した。
オ 原告X5(甲5(枝番を含む。))
原告X5は,平成25年1月23日,月利1%で1年間貸し付ける旨の「賃借基本契約書」を作成して,被告リミット社に400万円を出資した。
カ 原告X6(甲6(枝番を含む。))
原告X6は,タミキュラ社に対し,平成24年11月22日,100万円を支払い,タミキュラファンドに出資した。
キ 原告X7(甲7(枝番を含む。))
(ア) 原告X7は,タミキュラ社に対し,平成23年9月頃,100万円を支払い,タミキュラファンドに出資した。
(イ) 原告X7は,平成24年1月31日,月利5%で1年間貸し付ける旨の「賃借基本契約書」を作成して被告リミット社に600万円を出資し,平成25年1月31日に契約を更新した。
ク 原告X8(甲8(枝番を含む。))
原告X8は,タミキュラ社に対し,平成24年1月頃に100万円,同年3月30日頃に100万円,同年7月18日に400万円を支払い,タミキュラファンドに出資した。
ケ 原告X9(甲9(枝番を含む。))
原告X9は,タミキュラ社に対し,平成24年2月14日に100万円,平成25年2月14日に100万円を支払い,タミキュラファンドに出資した。
コ 原告X10(甲10(枝番を含む。))
原告X10は,タミキュラ社に対し,平成25年1月29日に2万9000米ドル,平成25年4月1日に3万1000米ドルを送金し,タミキュラファンドに出資した。
サ 原告X11(甲11(枝番を含む。))
原告X11は,平成24年12月25日頃,月利1%で1年間貸し付ける旨の「賃借基本契約書」を作成して被告リミット社に300万円を出資し,平成25年1月28日に200万円を追加出資して契約を更新し,同年2月19日に400万円を追加出資して契約を更新した。
(3)  被告リミット社及びタミキュラファンドの破綻
ア 被告リミット社及びタミキュラファンドは,平成25年6月以降,出資者に対する配当金の支払を停止し,事実上破綻した。
イ 証券取引等監視委員会は,平成25年6月26日,被告リミット社に対する検査の結果,同被告が勧誘,運用を行うファンドについて,①架空の収益を計上していたこと,そのため収益からではなく出資金を原資として配当を行っていたこと及びそれらを秘してファンドの勧誘を行っていたこと,②出資金を,出資者に無断で,同被告の経費支払及び複数の無登録業者に対する報酬に流用して出資金を毀損していたこと,③無登録業者と業務委託契約を締結した上で,勧誘資料や同被告の名称が記載された名刺を配布するなどして,ファンドの勧誘を行わせていたこと等の問題点があることを公表し,これを受けて,同日,関東財務局は,被告リミット社に対し,法令違反行為を行ったとして警告書を発した。
2  争点及び当事者の主張
本件の争点は,①原告らのタミキュラファンド又は被告リミット社に対する出資について,被告らが原告らに対し不法行為責任を負うか,②原告らの損害額,③過失相殺の当否である。
(1)  原告らの主張
ア 被告リミット社の実態
(ア) 被告リミット社は,FXトレーダーとしてファンドの運用面を統括する被告Y1及び最高財務責任者(CFO)兼最高顧問として営業面を統括する被告Y2を中心とし,その下に「ブローカー」と呼ばれる営業担当者を階層的に位置づけて被告Y1が運用するタミキュラファンドやハウディファンド等のFXファンド(以下「本件ファンド」という。)への出資の勧誘を行わせ,出資金名下に資金を集め,出資者に対する配当及びブローカーに対するコミッションの支払をするというスキーム(以下「本件スキーム」という。)を構築し,これを組織的に実行していた。
原告らが本件ファンドに投資することになったのも,被告リミット社のブローカーである被告Y3らによる本件スキームに基づく営業の一環としての勧誘によるものである。
(イ) 被告リミット社は,本件ファンドへの投資の勧誘に際し,「FXにおけるスキャルピングトレードを採用し,7年間月ベースでマイナスを出したことがないファンドマネージャーを筆頭に12人のトレーダーが24時間体制で利益を積み上げる毎月決算型のFXファンド」,「年間目標配当率30%」,「全期間,満額配当継続中」などと記載されたパンフレットを用いるとともに,運用実績としてファンド利回りがいずれも10%以上であり,2.5%から5%の配当が得られるなどと説明していた。
そして,被告リミット社は,原告らに対し,当初は月利2.5%以上の配当を支払っていたほか,ブローカーに対する報酬として,顧客の当初出資金額の3.5%ないし4.5%に相当する金額を毎月支払っていた。
(ウ) しかし,被告リミット社は,遅くとも平成24年7月頃以降,FX取引による収益の有無に関係なく,架空の収益を計上し,当該架空の収益から顧客への分配金を控除した額を成功報酬として収受するとともに,顧客への分配も出資金から行うようになっていた。さらに,被告リミット社は,遅くとも平成24年9月頃以降,本件ファンドに出資された出資金を,FX取引の運用及びこれに関連する費用とは関係のない同被告の経費の支払や,本件ファンドの配当の支払に充てるようになった。
その結果,本件ファンドは,平成25年6月に破綻したが,被告リミット社は原告らに対して誠実な対応を一切行わず,原告らは,出資金の返還を受けられなかった。
(エ) また,被告らによる本件ファンドの勧誘は,「第二種金融商品取引業」(金融商品取引法28条2項2号,2条8項9号)に該当するが,ブローカーとして勧誘を行った被告らは,いずれも金融商品取引業の登録を行っていない者であり,本件スキームに基づく被告リミット社の営業行為は,金融商品取引法に違反するものであった。
(オ) 以上の事実に加え,証券取引等監視委員会による調査結果及び被告リミット社,被告Y1及び被告Y2が本件ファンドの運用の仕組み等について何ら具体的・客観的な資料を提出しないことからすれば,本件ファンドは,仮にその一部について運用実態があったとしても,全体としてみれば,常識外の高配当という虚構の事実を宣伝するとともに階層的なブローカーシステムによるマルチ的手法を組み合わせることで高配当が実際の運用に裏付けられたものであると信じた顧客から出資金名下に資金を集め,その一部を配当として還元することで虚構性を隠蔽し,更に勧誘を拡大させて資金の増大を図るという詐欺的なものであったことは明らかである。
イ 被告Y1の責任
被告Y1は,被告リミット社の代表取締役であり,運用を統括する者であったから,本件ファンドの虚構性及び詐欺性を全て認識する立場にあった。また,被告Y1は,本件訴訟において何ら具体的な主張立証をせず,尋問期日にも出頭しないことからすれば,自らの不法行為責任を認めたものというべきである。したがって,被告Y1は,すべての原告らに対し不法行為責任を負う。
ウ 被告リミット社の責任
被告Y1が不法行為責任を負うことからすれば,被告リミット社は,会社法350条に基づき,同様の責任を負う。
エ 被告Y2の責任
被告Y2は,被告Y1と共にタミキュラファンドを組成し,被告リミット社のCFO又は最高顧問と称して同ファンドの営業面を統括するとともに,同ファンドの出資金や配当,ブローカーといった資金面の管理を行っていた。被告Y2のこのような立場からすれば,同被告はタミキュラファンドの運用実態がないことを認識していたのであり,それにもかかわらず,同被告は,同ファンドの営業面を統括して自ら又はブローカーをして出資勧誘を続け,原告X1ら8名から出資金名下に金銭を詐取したのであるから,同原告らに対し不法行為責任を負う。
オ 被告Y3らの責任
(ア) 被告Y3は,本件の首謀者である被告Y2と内縁関係にあった者であり,被告リミット社のブローカー会議の取りまとめも行っていた。被告Y3は,被告リミット社のブローカーとして,原告X7に対し,平成23年8月に開かれたセミナーにおいて,月利4%もの高配当を受けられるなどと説明してタミキュラファンドへの投資を勧誘し,同原告をして出資させた。このことは,原告X7のタミキュラファンドの申込書の紹介者欄に被告Y3の名が記載されていることから明らかである。
(イ) 被告Y4は,被告リミット社のブローカーとして営業活動を行っていたところ,平成23年12月以降,原告X8に対し,月利2.5%程度もの高配当を受けられるなどと説明してタミキュラファンドへの投資を勧誘し,同原告をして出資させた。
(ウ) 被告Y5は,被告リミット社のブローカーとして営業活動を行っていたところ,平成23年12月頃,原告X7に対し,被告リミット社に対して金銭を貸し付ける形で月利5%の配当を得る出資ルートがある旨の説明をし,この形態での出資をするよう勧誘し,同原告をして出資させた。
(エ) 被告Y6は,被告リミット社において,被告Y5の取りまとめるグループに所属するブローカーとして営業活動を行っていたところ,平成23年5月には原告X4に対し,平成24年12月には原告X11に対し,平成25年1月には原告X5に対し,いずれも月利2.5%程度もの高配当を受けられるなどと説明して被告リミット社への出資を勧誘し,同原告らをして出資させた。
(オ) 被告Y7は,被告リミット社のブローカーとして営業活動を行っていたところ,平成24年12月頃以降,原告X5及び原告X11に対し,月利2.5%程度もの高配当を受けられるなどと説明して被告リミット社への出資を積極的に勧誘し,同原告らをして出資させた。
(カ) 被告Y8は,被告リミット社のブローカーとして営業活動を行っていたところ,原告X1に対しては,平成24年7月以降,月利3%もの高配当を受けることができる旨を説明し,原告X8に対しては,平成23年12月,被告Y4と共に,月利2.5%もの高配当を受けることができる旨を説明して,いずれもタミキュラファンドへの出資を積極的に勧誘し,同原告らをして出資させた。
(キ) 被告Y9は,被告リミット社のブローカーとして営業活動を行っていたところ,原告X2に対しては平成24年夏頃参加したセミナーにおいて,原告X10に対しては平成25年1月に会った際,いずれも月利2.5%程度もの高配当を受けられるなどと説明してタミキュラファンドへの投資を勧誘し,同原告らをして出資させた。
(ク) 被告Y10は,被告リミット社のブローカーとして,平成24年8月以降,原告X6に対し,月利2.5%もの高配当を受けられるなどと説明してタミキュラファンドへの投資を勧誘し,同原告をして出資させた。
(ケ) 被告Y11は,被告リミット社のブローカーかつグループリーダーの立場にあったところ,原告X3に対し,平成23年頃からタミキュラファンドの勧誘を行い,平成25年1月以降は,3年程度月利10%を下回ることなく運用継続中であり,月利2.5%もの高配当を受けることができる旨を説明して,タミキュラファンドへの出資を積極的に勧誘し,同原告をして出資させた。
(コ) 被告Y3らは,月利2.5%ないし5%もの高配当を受けられる旨の説明及び勧誘を行うに当たり,このような常識外の高配当を実現する原資を確認するなどして当該配当が運用の裏付けのあるものであることを具体的に確認すべき注意義務を負っていたが,そのような注意義務を尽くさず,漫然とタミキュラファンド又は被告リミット社への投資勧誘を続け,被告Y1や被告Y2の不法行為を幇助したのであり,この点において過失があるから,不法行為責任を負う。
カ 共同不法行為
被告リミット社,被告Y1及び被告Y2(タミキュラファンドに係るものに限る。)は,出資金名下に出資者から金員を詐取することを共謀し,被告リミット社と業務委託契約を締結したその余の被告ら(ブローカー)を利用して原告らから金員を詐取したのであるから,原告らに対し共同不法行為責任を負う。ブローカーである被告Y3らは,各被告が勧誘を行った原告に対し,被告リミット社,被告Y1及び被告Y2(タミキュラファンドに係るものに限る。)による不法行為を幇助したことによる共同不法行為責任を負う。
キ 過失相殺をすべきでないこと
原告らが勧誘を受けて投資をした経緯や各被告の本件スキームにおける役割に鑑みれば,原告らに過失はなく,仮に何らかの落ち度があったとしても,過失相殺をすることは著しく正義に反し許されない。
ク 損害
原告らがタミキュラファンド又は被告リミット社に出資するために出捐した金額及び配当金として受領した金額は,原告らそれぞれにつき,対応する別紙出入金一覧表の「出金額」欄及び「入金額」欄記載のとおりである。原告らの被った損害は,出金額合計から入金額合計を控除した金額及びその10%相当の弁護士費用の合計額であり,その金額は別紙出入金一覧表の「損害額合計」欄記載のとおりである。
(2)  被告リミット社及び被告Y1の主張
原告らの主張は,争う。
(3)  被告Y2及び被告Y3の主張
ア 被告Y2について
被告Y2は,平成21年頃,被告Y1に自己資金の国内での運用を依頼していたが,その後,手数料が安い証券会社を探したいとの被告Y1の依頼によりフィリピンの友人を紹介したところ,同被告が個人トレードを行うためのファンドとしてタミキュラファンドが組成され,その運営をするため,フィリピン法人であるタミキュラ社が設立された。被告Y2は,被告リミット社が組成したハウディファンドの営業を被告Y1から依頼され,その営業を行う中でタミキュラファンドの営業も行うようになったが,タミキュラファンドはタミキュラ社が主体となり,被告Y1がファンドマネージャーとして運用していたファンドであって,被告Y2は,その運用状況について直接知る立場にはなかった。
そして,被告Y2は,タミキュラファンドの出資金や配当を管理し,運用状況については被告Y1から報告を受けて確認をしていたが,平成25年6月に被告Y1からタミキュラファンドが破綻しているとの告白を受けるまで,破綻の事実を一切認識することができなかったのであり,被告Y2が,被告Y1や被告リミット社と共謀して原告X1ら8名に対する詐欺行為を行った事実はない。
イ 被告Y3について
被告Y3は,タミキュラファンドとは一切関係がなく,原告X7を同ファンドに勧誘したという事実もない。原告X7のタミキュラファンドの申込書の紹介者欄に被告Y3の名を記載することを了承したこともない。よって,被告Y3は,原告X7に対し,不法行為と評価されるような行為を行っていない。
(4)  被告Y4の主張
原告X8の主張は,争う。
(5)  被告Y5及び被告Y6の主張
ア 被告Y5及び被告Y6は,被告リミット社又は被告Y1の指示に基づき,出資者から預かった出資金を同被告らに渡す行為及び同被告らから預かった配当金を出資者に渡す行為を行っていたにとどまり,本件ファンドの勧誘行為を行っていない。被告Y5及び被告Y6は,原告X4,原告X5及び原告X7が投資を行う際に本件ファンドの内容の説明等を行ったことはあるが,同原告らが積極的に説明を求めてきたため,被告Y1から聞いていた内容を説明したにすぎず,勧誘と評価される行為をしていない。なお,被告Y6が原告X11と知り合ったのは,同原告が本件ファンドに投資してから約1か月後であり,被告Y5はさらにそれより後であって,原告X11が本件ファンドに投資するに当たり被告Y5及び被告Y6が関与したことはない。
そもそも,本件ファンドには運用実態があったのであり,原告らが配当を受けることができなくなったのは,被告Y1が運用に失敗して投資リスクが顕在化した結果にすぎないのであって,被告Y5及び被告Y6が,本件ファンドの運用において詐欺と評価されるような行為に及んだことは一切ない。
イ 仮に本件ファンドに運用実態がなかったと評価される部分があるとしても,被告Y5及び被告Y6は,被告Y1から実際に運用している口座を見せてもらい運用益が出ていることを確認していたし,被告Y1から運用に問題がない旨の報告を受けて実際に運用している様子も確認していたから,過失と評価されるような行為や事情はない。
ウ 仮に被告Y5及び被告Y6の行為が不法行為に当たるとしても,損害の発生との間の相当因果関係を欠く。また,過失相殺がされるべきである。
(6)  被告Y7の主張
ア 被告Y7にはデリバティブ取引に関する知識や経験はなく,被告Y1の様子や被告リミット社の運用レポートなどから本件ファンドに運用実態があると信じており,自らも2000万円前後の金額を投資し,1500万円以上の損失を被っている。そして,被告Y7は,自らが参加した不動産投資セミナーで知り合った原告X5及び原告X11に対し,自分の投資先の一つとして被告リミット社を紹介したところ,同原告らが自らの判断で投資するに至ったことから,その後原告X5及び原告X11と被告Y6との間の連絡役を務めていたにすぎず,同原告らに対し積極的な勧誘を行ったことはない。また,被告Y7は,原告X5に関しては配当金の受け渡しには一切関与していないし,原告X11に関しても同原告が出資した当初のみ被告Y6が作成した契約書の交付及び受領,出資金や配当金の受け渡しを二,三回手伝っただけであり,本件ファンドの内部情報に触れることができる立場にはなかった。よって,被告リミット社らに不法行為が成立するとしても,被告Y7が過失により被告リミット社らを幇助したとはいえない。
イ 仮に被告Y7に不法行為が成立するとしても,原告X5及び原告X11は投資に詳しく,複数の投資先の一つとして自己の責任と判断に基づいて被告リミット社に投資したのであるから,過失相殺がされるべきである。
(7)  被告Y8及び被告Y9の主張
ア 主位的主張
被告Y8及び被告Y9は,被告リミット社らの共謀の内容もタミキュラファンドの運用実態も知らなかったところ,このように事情を知らない者が被告リミット社らを幇助することなどおよそできないから,被告Y8及び被告Y9は「過失の幇助」の責任を負う余地がない。
イ 予備的主張
(ア) 被告リミット社らに不法行為が成立しないこと
タミキュラファンドは被告リミット社ではなくタミキュラ社が運用するものであるが,被告リミット社らはこのことを秘しておらず,タミキュラ社によって本件ファンドが運用されていたことはその報告書の存在から明らかであるから,被告リミット社らが原告らから投資資金を詐取したという事実がそもそも認められない。また,タミキュラファンドは現実に運用されており,被告Y8及び被告Y9による欺罔行為及びそれによって原告X1,原告X8,原告X2及び原告X10が錯誤に陥ったことを示す証拠もない。したがって,被告Y8及び被告Y9の責任の前提となる被告リミット社らの不法行為責任が認められない。
(イ) 被告Y8及び被告Y9に過失がないこと
被告Y8及び被告Y9は,被告Y2からタミキュラファンドの説明を受け,同ファンドが毎月出資金の10%を配当するに足りる運用を継続的に行っていると信じて出資し,出資後においても,タミキュラ社から受領した本件ファンドの運用報告書により,上記のような運用が行われていると信じていた。よって,被告Y8及び被告Y9がタミキュラファンドに運用実態がないのではないかという疑いを持つ理由がなかった。また,仮に被告Y1及び被告Y2が虚偽の運用実態を報告していたという場合には,被告Y8及び被告Y9が被告Y1及び被告Y2に運用実態を問い合わせたとしても真実の運用実態を知ることは全く期待できなかったから,被告Y8及び被告Y9には結果回避可能性が全くなかった。
ウ 損害額
タミキュラファンドの募集要項においては,運用資金元金に対して20%の欠損が生じた場合は顧客に通知することが約束されており,タミキュラ社から通知がないにもかかわらず運用資金元金が20%を超えて失われることはありえないはずであった。よって,運用資金元金の20%を超える損害は,通常生ずべき損害とはいえないところ,被告Y8及び被告Y9も上記約束を信じて出資しており,運用資金元金の20%を超える損害が生ずることを予見することはできなかった。したがって,同被告らは,運用資金元金の20%を超える損害について賠償する責任を負わない。
エ 過失相殺
原告X1,原告X2,原告X8及び原告X10は,いずれも投資経験があり,投資判断を行う思考力も優れており,タミキュラファンドへの出資はリスクが高いことを認識していた。また,同原告らは,タミキュラ社からファンドの運用報告書を受領しており,従前20%もあった運用実績が平成25年3月に5%まで下がったことを確認することができ,この時点で本件ファンドを解約して損害を回避するべきであったのに,解約せずに配当を受領することを選択し,結果的に損害を生じさせるに至った。よって,本件損害の発生には,原告らの過失が大きく寄与しているから,大幅な過失相殺がされるべきである。
(8)  被告Y10について
被告Y10は,適式の呼出しを受けながら,口頭弁論期日に出頭せず,答弁書その他の準備書面も提出しない。
(9)  被告Y11の主張
ア 被告Y11は,タミキュラファンドに興味を示して質問してきた原告X3に対して同ファンドの内容を紹介したにすぎず,勧誘行為を行っていない。原告X3は,自主的にタミキュラファンドのセミナーに参加し,運用実績が安定していると判断して自己責任で同ファンドに投資したのであって,被告Y11が同ファンドの運用実績について調査する義務を負っていたということはできない。被告Y11が被告Y2に対して原告X3の出資金を手渡したことはあるが,同原告の依頼により行ったにすぎない。
イ 被告Y11は,タミキュラファンドに高額な投資をしていた一般投資者にすぎず,運用報告会に出席したり毎月送付される運用実績を確認したりして,同ファンドが適正に運用されていると確信していたから,一般投資者としての注意義務違反があったとはいえない。
なお,被告Y11は,被告リミット社等から出資者紹介の依頼を受けておらず,原告X3に対してタミキュラファンドを紹介したことに関して報酬も受けていない。また,被告Y11は,被告リミット社,被告Y1及び被告Y2から一方的に「営業(ブローカー)」や「グループリーダー」の名称を付されていたが,これは,勧誘行為に加担した外観を作出することにより,破綻時に責任追及をさせないようにする意図で付された名称にすぎない。
ウ 過失相殺
原告X3は,投資によるリスクを判断する知識及び経験を十分に有していたにもかかわらず,強固な投資意欲の下にタミキュラファンドに投資したのであるから,原告X3の損害の発生及び拡大については,原告X3に重大な過失があるといえ,少なくとも70%の過失相殺がされるべきである。
第3  当裁判所の判断
1  前記前提となる事実に,掲記の証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば,以下の事実が認められる。
(1)  被告リミット社の実態等(甲49,乙⑦4,6,被告Y2本人のほか,以下の各項に掲記した証拠)
ア 被告Y1は,平成21年頃,個人トレーダーとして自己資金や被告Y2の資金等を運用していたが,日本国内でレバレッジに制限がかかる法整備が予定されていたことを受け,レバレッジ規制のない海外で取引を行うこととし,証券会社と交渉して海外での取引の手数料額を安くするために必要であったことから,ファンドを組成することとした。被告Y1は,平成22年10月,フィリピンにおいてタミキュラ社を設立し,タミキュラファンドを組成した。
イ また,被告Y1は,平成22年8月24日に設立した被告リミット社において,ハウディファンドを組成してその運用を開始するとともに,その営業を被告Y2に依頼した。被告Y1及び被告Y2は,平成23年当時,ハウディファンドについて,FXスキャルピングトレード及びFXシステムトレードにより運用を行う国内ファンドであり,目標配当率は月2.5%,運用期間は1年間で,毎月配当があると説明していた(甲7の2,甲9の1等)。
ウ 被告Y2は,その後,ハウディファンドのみならずタミキュラファンドの営業も行うようになり,両ファンドの営業活動を統括する立場となった。タミキュラファンドの営業活動は,形式的には被告リミット社と無関係であるかのように行われていたが,実際には,被告Y2を始めとする被告リミット社の関係者によって,ハウディファンドの営業と併せて行われたり,同被告の名刺を用いて行われたりしていた(甲7の2,甲8の2,5,甲9の1等)。
エ 被告リミット社におけるファンドの営業は,営業担当者が,被告Y2を頂点とするいくつかのグループに属し,その中でそれぞれ知人等を勧誘する方法によって行われており,自らの勧誘によって出資をするに至った場合には,当該出資額の一定割合の報酬(手数料)が毎月支払われる仕組みになっていた。このような営業担当者は,「ブローカー」と呼ばれており,各グループを統括するブローカーは「グループリーダー」と呼ばれていた。(甲44)
オ タミキュラファンドの営業担当者は,同ファンドについては,ハウディファンドと同様のスキームで運用する海外のファンドであり,毎月配当があること,日本の規制が及ばないため高利回りが実現できること,運用元金が80%を割り込んだ場合には運用者が出資者に連絡をするため,安心であること等を説明していた(甲9の1,甲32,原告X3本人)。タミキュラファンドの配当については,被告Y2を頂点とする複数の営業グループごとに,介在する営業担当者が受領する数%のブローカーフィーの割合について異なる取り決めがされていたため,営業担当者や勧誘時期によって,約定の配当率は月2.5%から4%の間で異なっていた。
カ 被告リミット社は,東京都新宿区内に事務所及びトレーディングルームを設置し,被告Y1が,被告リミット社のトレーディングルームにおいて,タミキュラファンド及びハウディファンド等で集めた資金を用いてFX取引を行っていた。
キ ファンドの運用取引を行う証券口座のIDやパスワードは,被告Y1が管理しており,被告Y2は,当該証券口座の取引履歴を直接確認することができなかったが,定期的に被告Y1からファンドの運用履歴の開示を受けていた。
ク 一方で,被告リミット社は,投資対象であるファンドを特定せず,被告リミット社との間で「賃借基本契約書」を作成して消費貸借契約を締結し,毎月利息名目の配当を支払う形式(以下「消費貸借方式」という。)による出資も受け入れており,被告Y5は,平成23年頃から平成25年までの間,被告Y6及び被告Y7(以下,これら2名と被告Y5を併せて「被告Y5ら」という。)の協力を得ながら,消費貸借方式による投資の勧誘を行っていた。被告Y5らは,消費貸借方式での勧誘を行う際,被告リミット社が運用しているファンドではFXスキャルピングトレードという方法で運用が行われていること,月利が5%であること,被告Y1からこれまで継続して月利10%以上の運用利益を出していると聞いていること,消費貸借方式での投資はタミキュラファンドへの投資とは異なることを説明した。被告Y5らは,消費貸借方式での出資を募る際,当初は,月利5%で1年間貸し付ける旨の「賃借基本契約書」のひな形を用いていたが,平成25年頃から,月利を1%と記載した同様のひな形を用いるようになった。(甲4の3,甲5の2,甲11の2,乙③4,5,乙⑮1)
ケ 被告リミット社は,遅くとも平成24年7月頃以降,FX取引による収益の有無に関わらず,架空の収益を計上して経費に充てるようになっていた上,同年9月頃以降は,ファンドに出資された出資金を被告リミット社の経費やブローカーの報酬に充てるようになった。しかし,被告リミット社のブローカー等の営業担当者は,本件ファンドの運用状況は良好であり,継続的に約定の配当を行うことができている旨述べて出資の勧誘等を行っていた。(甲12)
コ タミキュラ社は,平成24年11月17日,「当ファンドトレーダーのBossによる質疑応答」と題するタミキュラファンドの説明会を開催した。同説明会において,被告Y1は,参加者からの質問に応じる形で,タミキュラファンドの組成の経緯や運用方法について説明し,元本割れのリスクに関しては,信託保全がされているので問題がない,ロスカットが効かなかったとしてもログが残っているので証券会社によっては補填することができ,元本割れのリスクは考えられない,あるなら教えてもらいたいなどと述べた。被告Y2は,同説明会の司会を務め,運用方法についての補足説明を行い,タミキュラファンドの運用成績が良好であることを強調したほか,自分が一番近くで被告Y1の様子を見ているなどと述べ,被告Y1の出退勤時刻を例示しながら被告Y1の業務の様子を説明した。(甲8の6,甲26~29)
サ タミキュラ社は,平成25年5月分まで,タミキュラファンドの投資者に対して約定どおりの配当金を支払っていたが,同年3月以降は,公表している運用成績も急激に低下していたところ,同年6月上旬頃,被告Y1は,被告Y2に対し,今までタミキュラファンドについて運用益が出ていると報告していたが実際には運用元金は欠損し実質的に破綻していたこと,平成24年9月頃からタミキュラファンドの運用元金を配当金に流用していたことを明らかにした。また,被告Y1は,同月,被告Y5,被告Y6ら被告リミット社の営業担当者を招集し,金がない,ドローダウンが起きて大幅なロスカットを行った,などと説明した。(乙③4,5,被告Y5本人)
シ 被告Y2を含むタミキュラファンドの営業担当者らは,平成25年6月14日,新橋のタワーマンションの会議室において,タミキュラファンドの投資者二,三十人を集めて再建計画等についての説明会を開催した(被告Y11本人)。しかしながら,その後,原告X6に対し1万円が返還されたのを除き,原告らに対する出資金の返還は一切行われていない。
(2)  本件ファンドの営業に関する被告Y3らの関与の状況
ア 被告Y3は,被告リミット社が各種ファンドの勧誘を行っていた当時,被告Y2と内縁関係にあり,被告リミット社の執行役員の名刺を用いながら被告リミット社や被告Y2が関係するセミナーや懇親会の手伝いをしたり,タミキュラファンドのブローカーが集まる会議に顔を出したりしていたが,タミキュラファンドの運営や個々の投資者に対する営業活動を自ら行うことはなかった(甲7の2の1,乙⑦5,被告Y3本人)。
なお,被告Y3は,被告Y2主導で「プレステージファンド」という名称のファンドの営業活動を行っていた株式会社ACM(以下「ACM社」という。)の取締役を務めていた。(甲47)
イ 被告Y4は,被告リミット社の名刺を用いて,被告Y8の下で,原告X8に対してタミキュラファンドの営業活動を行い,同原告が出資した後も,同原告に対し配当金の受渡し等を行っていた。(甲8の1の1,甲8の3の1,甲8の5,甲37,原告X8本人)
ウ 被告Y5は,被告リミット社の設立時から同被告に関与していたが,出資金の運用には関与せず,消費貸借方式での投資の営業活動を行っており,出資者を見つけて出資金を集めたり,配当を出資者に渡したりする役割を担っていた。被告Y5は,被告Y1の直属で営業活動を行う立場にあり,被告Y5の下で営業活動を行う複数のブローカー(被告Y6及び被告Y7を含む。)の取りまとめをしていた。被告Y5は,被告Y1から被告リミット社の取引履歴の資料を随時受領していたが,平成25年に入り,被告Y1が資料の開示に消極的となったため,取引履歴を自ら確認することはなくなった。被告Y5は,被告リミット社から,被告Y5が勧誘した出資者の出資額の1%から3%程度の報酬を受領していた。(甲7の4の2,甲7の6,乙③4,被告Y5本人)
エ 被告Y6は,被告Y5及び被告Y7と共に被告リミット社のブローカーとして消費貸借方式での投資の営業活動を行っており,被告リミット社から報酬を受領していた。出資者から集めた出資金及び被告リミット社からの配当については,被告Y5を経由して被告リミット社との間で受渡しをしていた(甲4の1,2,5,甲5の3,4,乙③5,被告Y5本人)。
オ 被告Y7は,平成23年1月頃,被告Y6の紹介により被告リミット社に投資し,その後被告リミット社のブローカーとして消費貸借方式での投資の営業活動を行うようになり,被告リミット社から報酬を受領していた。被告Y7は,原告X5及び原告X11に対し被告リミット社に対する投資案件を紹介し,同原告らが出資するに際し,出資金の受渡し等を行った。(甲5の1,甲11の1,乙⑮1)
カ 被告Y8は,平成22年又は平成23年頃,被告Y1及び被告Y2と知り合い,その後自らもタミキュラファンドに投資するとともに,被告Y2からタミキュラファンドを大きくしたいから手伝って欲しいと頼まれ,被告リミット社のブローカーとして,同被告の名刺を用いて出資者を募る業務に携わるようになり,被告リミット社から,被告Y8が勧誘した出資者の出資額の1%から3%程度の報酬を受領していた。また,被告Y8は,ACM社の代表取締役も務めていた。(甲8の2,乙⑯1,被告Y8本人)
キ 被告Y9は,平成23年頃,タミキュラファンドに投資をし,その後,ACM社のCIOを名乗り,投資に関心のある者らにタミキュラファンドを紹介するなどしていた。被告Y9は,原告X2及び原告X10に対し,タミキュラファンドを紹介した。(甲10の1,甲31,39,乙⑱1)
ク 被告Y10は,ACM社の執行役員,弁護士コラボレーターなどと名乗り,タミキュラファンドのブローカーとして営業活動をしていた。被告Y10は,原告X6に対しタミキュラファンドの勧誘を行った。(甲6の1の1・2,甲35,原告X6本人)
ケ 被告Y11は,平成22年頃,ミクシィで知り合った被告Y2に株取引やFX運用について相談するようになり,平成22年6月頃,100万円の運用を依頼し(タミキュラファンドの設立後は同ファンドによる運用の形となっていた。),それ以降毎月3万円の配当金を受け取るようになった。被告Y11は,平成23年5月頃に600万円,同年11月頃に900万円をタミキュラファンドに追加出資し,同年7月以降は毎月28万円,同年11月以降は毎月64万円の配当金を受け取っていた。
被告Y11は,タミキュラファンドの東海圏におけるブローカーとして営業活動を行い,遅くとも平成24年3月頃までに,10人程度の顧客(ブローカーとして活動する者を含む。)を擁する「Y11グループ」のグループリーダーとなった。被告Y11は,毎月東京で開催される報告会に2回に1回程度参加し,運用実績の報告書も毎月受領していた。(乙⑦2,9~11(枝番を含む。乙⑦9の2を除く。),乙〈21〉10,被告Y2本人,被告Y11本人)
(3)  原告らの出資の経緯及び配当の状況
ア 原告X1(甲1の1~4,甲30,乙⑯1,原告X1本人,被告Y8本人)
(ア) 原告X1は,平成24年7月頃に開催された出資セミナーに出席し,講師を務めた被告Y8と知り合い,フェイスブックのメッセンジャーでやりとりをするようになった。被告Y8は,上記セミナーにおいて,タミキュラファンドについて,運用が大体3%還元であり,毎回2万5000円ずつの配当が出ているとの内容の説明をした。
(イ) 原告X1は,平成24年7月20日頃,タミキュラファンドについての別のセミナーに出席した。同セミナーでは,被告Y1及び被告Y2が講師を務め,3%の配当が出続けているとの説明をした。
(ウ) 原告X1は,上記セミナーの後,被告Y8と月1回程度直接会ってタミキュラファンドの勧誘を受けたほか,メッセンジャー及び電話による勧誘も受けた。被告Y8は,原告X1を勧誘した際,タミキュラファンドの運用実績を示す表を交付するなどして,年間目標配当率が30%であり,全期間満額配当を継続しているなどと説明した。
(エ) 原告X1は,FX取引に関心があったものの,当初は旨味のあり過ぎる話であるとして出資するかどうか迷っていたが,被告Y8の話を聞いて出資することを決意し,タミキュラ社に対し,平成24年11月頃に1万米ドル(当時のレートで日本円に換算すると1%の手数料込みで84万2512円),平成25年4月30日に1万米ドル(当時のレートで日本円に換算すると1%の手数料込みで99万2800円)を,手数料と併せて送金し,タミキュラファンドに出資した(送金手数料はそれぞれ3000円)。
(オ) 原告X1は,タミキュラファンドから,平成25年2月15日に1万7731円,同年3月13日に2万1140円,同年4月11日に2万1180円,同年5月15日に2万1724円の配当を受領した。
イ 原告X2(甲2(枝番を含む。),31,乙⑱1)
(ア) 原告X2は,平成24年夏頃,知人の紹介で知り合った被告Y9からタミキュラファンドを紹介され,同年8月23日,600万円を1%の手数料と共に送金してタミキュラファンドに出資し,国際送金料金として2500円を出捐した。
(イ) 原告X2は,タミキュラファンドから,平成24年10月11日に14万5274円,同年11月13日に14万4278円,同年12月11日に15万0691円,平成25年1月11日に16万3361円,同年2月14日に17万1041円,同年3月13日に17万4680円,同年4月11日に18万0916円,同年5月15日に18万7505円の配当金を受領した。
ウ 原告X3(甲3(枝番を含む。),甲32,乙〈21〉10,原告X3本人,被告Y11本人)
(ア) 原告X3は,平成3年に就職したa株式会社の先輩である被告Y11の勧誘に応じ,平成7年頃にはネットワークビジネスであるアムウェイに登録して数か月活動したほか,ワンルームマンション投資を行ったが,Y11から勧誘された「コア」という名称のFX投資ファンドへの投資については,運用実績が乏しいと判断して断り,その他海外の保険や不動産に対する投資案件等も断っていた。また,原告X3は,平成23年5月又は6月頃,被告Y11から,タミキュラファンドについて,月利10%で安定して運用されており,出資者に対して3%の配当を行っていること,被告Y11自身はタミキュラファンドの中心人物と緊密に情報連携できる立場にあり,1%のブローカーフィーを受け取っていること等を説明され,出資を勧められたが,応じなかった。
(イ) 原告X3及び被告Y11は,平成23年9月,他の社員らと共にa株式会社を退職した。原告X3は,平成24年3月頃,被告Y11から,タミキュラファンドにおける被告Y11のグループには10人程度の顧客がおり,グループの運用が順調に拡大していること,ブローカーフィーも従前の1%よりも上がっていることの説明を受けた。
(ウ) 原告X3は,平成25年1月頃から被告Y11と連絡を取るようになり,同年2月8日に開催されたタミキュラファンドに関するセミナーへの参加を勧められて参加し,講師を務めていた被告Y2を紹介されるとともに,同被告によるファンドの実績や運用手法についての説明を聞いた。原告X3は,セミナー終了後,被告Y11及び他のブローカーを含む4名と喫茶店に行き,主に被告Y11から,タミキュラファンドの内容について,元本の80%を割り込んだ場合には連絡があることなどの説明を受けた。
(エ) 原告X3は,タミキュラファンドが長期にわたり安定して運用されていると考えて出資することとし,平成25年2月16日に300万円,同年3月16日に200万円,同年5月16日に100万円を,それぞれ4%の手数料と共に被告Y11に現金で手渡し,タミキュラファンドに出資した。
(オ) 原告X3は,タミキュラファンドから,平成25年4月13日に7万4000円,同年5月14日に12万4000円の配当金を受領した。
エ 原告X4(甲4(枝番を含む。),33,乙③5)
(ア) 原告X4は,平成23年5月,ミクシィにおいて被告Y6から被告リミット社への投資の紹介を受けて興味を持ち,同月9日頃,100万円を月利5%で1年間貸し付ける旨の「賃借基本契約書」を作成して被告リミット社に出資をし,その後契約更新を繰り返すとともに追加出資をして,平成25年5月までに合計1900万円を被告リミット社に対して出資した。
(イ) 原告X4は,被告リミット社から,平成23年7月から平成25年5月までの間に合計720万円の配当金を受領した。
オ 原告X5(甲5(枝番を含む。),34,乙③5,乙⑮1)
(ア) 原告X5は,平成24年12月頃,海外不動産投資セミナーを通じて被告Y7と知り合い,同被告から被告リミット社への投資案件の紹介を受けて興味を持ち,平成25年1月23日,400万円を月利1%で1年間貸し付ける旨の「賃借基本契約書」を作成し,被告リミット社に出資した。同契約書の作成には,被告Y7のほか,被告Y6が立ち会い,出資金は,被告Y7が受け取って被告Y6に交付した。
(イ) 原告X5は,被告リミット社から,平成25年3月から5月までの間に合計30万円の配当金を受領した。
カ 原告X6(甲6の1~7,甲35,原告X6本人)
(ア) 原告X6は,平成24年8月,被告Y10の勧誘を受け,同月19日に開催されたACM社主催のセミナーに参加した。同セミナーでは,被告Y3及び被告Y2が,自らの経験談を交えながら投資全般についての説明をし,その中でタミキュラファンドについての説明も行われた。
(イ) 原告X6は,上記セミナーの後も被告Y10と三,四回会ってタミキュラファンドの勧誘を受けて同ファンドに投資することに決め,平成24年11月22日,出資金100万円を1%の手数料と共に支払い,国際送金料金として2500円を出捐した。
(ウ) 原告X6は,タミキュラファンドから,平成25年2月に2万4813円,同年3月に2万5404円,同年4月に2万6146円,同年5月に2万7004円の配当金を受領した。
(エ) 原告X6は,平成25年6月以降,出資金のうち合計1万円の返還を受けた。
キ 原告X7(甲7の1~6(枝番を含む。),甲36,乙③4,原告X7本人,被告Y3本人,被告Y5本人)
(ア) 原告X7は,ミクシィで被告リミット社及びタミキュラファンドのことを知り,平成23年8月頃,汐留のタワーマンションの一室(以下「汐留のマンション」という。)で三,四十人の参加者を集めて行われた「大人のマネー勉強会」というセミナーに出席した。同セミナーは二部構成であり,第一部では講師である被告Y9が経済の一般的な話をし,第二部では講師である被告Y2が被告リミット社の取り扱うハウディファンドやタミキュラファンドを紹介し,運用が順調である旨の話をする内容であった。被告Y2は,被告リミット社の表看板であるハウディファンドの配当は2.5%であるのに対し,裏で運用する海外ファンドであるタミキュラファンドは,相場の流れに沿って細かく売買を繰り返すスキャルピングという手法で地道に利益を積み上げていく方法で運用しており,3%の利回りが出せると説明した。
(イ) 原告X7は,ミクシィで情報収集した際に月利4%の配当金をもらっている人もいるといううわさを聞いていたため,上記セミナー後の懇親会において,被告Y2に月利4%で申し込むことを希望した。また,原告X7は,上記懇親会において,被告Y3とも知り合った。
(ウ) 原告X7は,後日,被告Y2と2人で会い,同被告からタミキュラファンドの詳しい説明と勧誘を受け,平成23年9月25日,汐留のマンションにおいて,タミキュラファンドに配当率4%で出資する旨の申込書を作成し,「紹介者」欄に被告Y3の名を記載した。
(エ) 原告X7は,平成23年9月頃,タミキュラファンドに100万円を出資し,送金代行手数料として4万円を支払った。なお,被告Y2は,出資金の送金先について,タミキュラファンドのフィリピンの口座に直接送るか,又は被告Y8の国内口座に入金して送金代行を利用することもできる旨説明していた。
(オ) 原告X7は,被告リミット社に金銭を貸し付ける方法で月利5%で投資ができる旨友人から聞いたため,具体的な方法を被告Y5から聞くことにした。原告X7は,平成23年12月頃,スカイプを用いた通話により,被告Y5から,被告リミット社ではこれまで継続して月利10%以上の運用利益を出していること,被告リミット社では役員ごとに営業活動を行っていること,役員である被告Y2は被告Y1と組んでタミキュラファンドへの出資の形で資金を集めているが,被告Y5も被告Y2と同様の立場であり,被告Y1と組んで借用書を交わすパターンで配当率5%で出資を募っていることを説明され,被告Y5の行う方法による出資を勧誘された。原告X7は,平成24年1月31日,被告リミット社において被告Y5との間で,600万円を月利5%で1年間貸し付ける旨の「賃借基本契約書」を作成して被告リミット社に対して600万円を出資し,平成25年1月31日に契約を更新した。
(カ) 原告X7は,タミキュラファンドの配当金として,平成23年11月から平成25年5月までの間は毎月4万円,同年6月は2万6000円を受領し,消費貸借方式での出資に係る配当金として平成24年3月から平成25年6月までの間,毎月30万円を受領した。
ク 原告X8(甲8(枝番を含む。),甲37,乙⑯1,原告X8本人,被告Y8本人)
(ア) 原告X8は,平成23年10月頃,同原告が準備をしていた政治関係のセミナーを手伝ってくれる者として被告Y4を紹介された。原告X8は,上記セミナー後の打上げの際,被告Y4から,自らも投資しているタミキュラファンドというファンドが非常にいいからどうですかと勧められ,非常に高利回りで,安定した配当があり,既存のものと違う方法でうまく回しているとの説明を受けた。
(イ) 原告X8は,平成23年11月頃,政治関係の次のイベントの際に再び被告Y4に会い,被告Y4からタミキュラファンドの説明と勧誘を受けた。
(ウ) 原告X8は,被告Y4から,一度被告リミット社の人と話をしないかと誘われたため,平成23年12月21日,被告Y8及び被告Y4と会い,タミキュラファンドについての説明を受け,同ファンドに申込みをした。被告Y4は,被告Y8のことを,被告リミット社の営業の統括をする人である旨説明した。
(エ) 原告X8は,平成24年1月頃に100万円,同年3月30日頃に100万円,同年7月18日に400万円をタミキュラファンドに出資し,それぞれ4%の手数料を支払った。
(オ) 原告X8は,被告Y4を通じ,タミキュラファンドから,平成24年2月に2万5000円,同年3月に5万円,同年4月に2万5000円,同年5月及び6月に5万円,同年7月に10万円,同年8月に5万円,同年9月から翌25年5月までの間に毎月15万円の配当金を受領した。
ケ 原告X9(甲9(枝番を含む。))
(ア) 原告X9は,平成24年1月頃,被告リミット社のCからタミキュラファンドの紹介を受け,同年2月14日に100万円,平成25年2月14日に100万円をタミキュラファンドに出資した。
(イ) 原告X9は,タミキュラファンドから,平成24年4月から平成25年3月まで毎月3万9000円ずつ,平成25年4月及び5月に7万9000円ずつの配当金を受領した。
コ 原告X10(甲10(枝番を含む。),39,乙⑱1)
(ア) 原告X10は,平成25年1月26日頃,知人に紹介された被告Y9からタミキュラファンドの紹介を受け,平成25年1月29日に2万9000米ドル(当時のレートで日本円に換算すると1%の手数料込みで265万7482円),平成25年4月1日に3万1000米ドル(当時のレートで日本円に換算すると1%の手数料込みで288万9510円)を手数料と併せて送金し,タミキュラファンドに出資した。
(イ) 原告X10は,タミキュラファンドから,平成25年3月21日に6万5942円,同年4月18日に6万7710円,同年5月15日に14万9511円の配当金を受領した。
サ 原告X11(甲11(枝番を含む。),40,乙⑮1)
(ア) 原告X11は,平成24年12月頃,海外不動産投資セミナーを通じて被告Y7と知り合い,同被告から被告リミット社への投資案件の紹介を受けて興味を持ち,被告Y6からも電話で説明を受けた上,同月25日頃,月利1%で1年間貸し付ける旨の「賃借基本契約書」を作成して被告リミット社に300万円を出資した。出資金は被告Y7が受け取り,被告Y6に交付した。被告X11〈原文ママ〉は,平成25年1月28日に200万円を追加出資して契約を更新し,同年2月19日にも400万円を追加出資して契約を更新した。
(イ) 原告X11は,被告リミット社から,平成25年2月19日に7万5000円,同年3月28日に12万5000円,同年4月17日及び5月21日に22万5000円ずつの配当金を受領した。
2  被告らの責任について
(1)  被告Y1について
ア 前記認定事実及び弁論の全趣旨によれば,被告Y1は,平成22年にタミキュラ社及び被告リミット社を設立し,タミキュラファンド及び消費貸借方式での投資の勧誘によって集めた出資金を用いてFX取引を行い,これによって得た利益を営業担当者に渡して配当金の分配を行わせていたが,タミキュラファンドについては,被告Y1が自ら運用取引を行う証券口座を管理し,営業を統括する立場であった被告Y2に対してすら取引内容の全体を開示していなかったところ,平成25年6月に突然破綻した旨明らかにしたというのである。また,被告Y1は,消費貸借方式での投資勧誘についても,タミキュラファンドと同時期に突然破綻を明らかにしたところ,その投資先のファンドの詳細は明らかでなく,タミキュラファンド又はハウディファンドとどのような関係にあるのかも不明である。
イ ところで,タミキュラファンドは投資者に月利2.5%から4%の配当金を支払った上,営業担当者にはさらに数%のブローカーフィーを支払うスキームで募集を行っていたのであり,消費貸借方式での投資についても,少なくとも当初は月利5%の配当金を支払うスキームで募集を行い,その後も月利2.5%の配当を支払うスキームで募集を行っていたところ,FX取引によってこのような極めて高率の運用実績を継続的に上げ続けることが現実的に極めて困難であることは明らかである。
また,本来は運営主体が別であるはずのタミキュラファンドと被告リミット社のファンドが,平成25年6月頃同時に破綻していること,被告Y1は,出資者から集めた資金の投資先,運用状況等を現在まで全く明らかにしておらず,投資資金の精算も行っていないことからすれば,被告Y1が,出資者から預かった資金をファンドごとに分別管理して正常に運用していたとは考え難い。そして,前記認定のとおり,被告Y1は,平成24年9月以降は出資金を経費やブローカーの報酬に流用していたにもかかわらず,このことを秘して営業活動を行わせていた上,同年11月17日には,出資者を集め,タミキュラファンドにおいては元本割れのリスクがあり得ないような説明を行っているのである。
ウ 以上のような被告リミット社による出資金の運用の実態,被告Y1が出資者に行っていた説明の内容,被告リミット社の破綻後の同被告の対応等に照らせば,本件のスキーム構築及びその運営の中心人物であった被告Y1は,FX取引により月に約5%を超える極めて高率の利益を継続的に計上し続けることが現実的には極めて困難であることについて,本件ファンドの勧誘を開始した当初から十分認識していたにもかかわらず,これを秘し,営業担当者に対し,継続的に配当金を受領できるファンドであるかのような虚偽の説明をさせ,勧誘を行わせていたものと認められるから,詐欺による不法行為が成立し,原告らが被った損害の全部につき賠償する責任を負う。
(2)  被告リミット社について
前記認定事実及び弁論の全趣旨によれば,タミキュラファンドの勧誘は被告リミット社の関係者によって行われており,被告Y1がこれによって集めた資金を被告リミット社の運営するハウディファンド及び消費貸借方式での投資先ファンドと区別して運用していたとは認められないことからすれば,被告Y1は,被告リミット社の事業としてタミキュラファンドの運用を行っていたものと認められる。また,前記認定事実によれば,消費貸借方式での勧誘については,被告リミット社の事業として行われていたことが明らかである。
以上によれば,被告Y1による上記(1)の不法行為は,被告Y1が,被告リミット社の代表取締役の職務として行ったということができるから,被告リミット社は,会社法350条に基づき,原告らが被った損害の全部につき賠償する責任を負う。
(3)  被告Y2について
被告Y2は,タミキュラファンドの組成及び被告リミット社の設立の当初からこれらの事業に関与し,被告Y1と密接に協力しながら,被告リミット社の営業を統括していたところ,タミキュラファンドの運用スキームが上記(1)判示のとおり極めて高率の利益計上を前提とするものであったことからすれば,被告Y2にとって,約定の配当を継続的に実行するために必要なだけの利益を計上し続けることが現実的には極めて困難であることは,十分に認識可能であったというべきである。また,被告Y2は,被告リミット社の最高財務責任者として,ブローカーに対する報酬の支払事務を統括する立場にあったことからすれば,被告リミット社の財務状況や資金の運用状況の実態を全く知らなかったとは考え難く,タミキュラファンドを含む被告リミット社におけるファンドの運用が実質的に破綻し,出資金を被告リミット社の経費やブローカーフィーの支払に充てていたことを平成25年6月まで知らなかった旨の被告Y2の供述は,にわかに信用することができない。
以上に加え,被告Y2が,タミキュラファンドの元本割れがあり得ない旨被告Y1が説明した平成24年11月17日の説明会で司会を務め,同被告と一体となって同ファンドの運用の実績を強調していることも考え合わせれば,被告Y2は,被告Y1と共謀の上,タミキュラファンドを始めとする被告リミット社のファンドの運用スキームが現実的には継続が極めて困難であることを当初から認識していたにもかかわらず,これを秘して,継続的に配当金を受領できるファンドであるかのような虚偽の説明をし,勧誘を行わせていたものと認められるから,詐欺による不法行為が成立し,原告X1ら8名が被った損害のうちタミキュラファンドに係る損害につき,これを賠償する責任を負う。
(4)  被告Y3について
前記認定事実及び弁論の全趣旨によれば,被告Y3は,タミキュラファンドの運営や個々の投資者に対する営業活動を自ら行っていたとは認められない。
この点に関し,原告X7は,①被告Y3が被告Y2と内縁関係にあったこと,②タミキュラファンドのブローカー会議の取りまとめを行っていたこと,③原告X7に対する勧誘を行ったことを指摘する。しかしながら,①については,被告Y3が被告Y2と内縁関係にあったことから,被告Y3もタミキュラファンドの勧誘を行っていたと直ちにはいえないし,むしろ被告Y2が行う同ファンドの営業の場に,同被告の内妻として顔を出していたにすぎないとも考えられる。②に関して,原告X3は,被告Y3がブローカー会議の司会進行を務めていたと聞いたことがある旨を供述するが,これを裏付ける客観的証拠はなく,他に当該事実を認めるに足りる証拠はない。③については,原告X7は平成23年8月頃に行われたセミナー後の懇親会で被告Y3と知り合ったこと,タミキュラファンドに投資した際の申込書に紹介者として被告Y3の名が記載されていることは前記認定のとおりであるが,原告X7について月利4%の約定となった理由及び申込書の紹介者欄に被告Y3の名が記載されている理由については,原告X7の本人尋問における供述からも判然とせず,かえって,同原告はタミキュラファンドの説明を被告Y3から聞いたことはない旨供述していることからすれば,被告Y3が原告X7に対してタミキュラファンドへの投資を勧誘したとは認められない。
以上によれば,被告Y3が原告X7に対し不法行為責任を負うとはいえない。
(5)  被告Y4について
前記認定事実によれば,被告Y4は,被告リミット社のブローカーとして,政治関係のイベントの際に知り合った原告X8に対し,非常に高利回りで安定した配当があるファンドであるなどと説明してタミキュラファンドへの投資を勧誘し,さらに被告Y8を紹介して勧誘を行い,原告X8に同ファンドへの投資をさせている。このように,原告X8は,被告Y4の勧誘によって初めてタミキュラファンドへの投資を検討し,これを行うに至ったといえるところ,タミキュラファンドのスキームが上記(1)判示のとおり極めて高率の利益計上を前提とするものであって,その運用の継続が現実には極めて困難であることが明らかであったことにかんがみれば,被告Y4は,特段の事情のない限り,原告X8に対し,被告リミット社の営業として上記のような勧誘を行うに際し,タミキュラファンドを継続的に運用するために必要な利益を計上する見込みがあるかどうかを確認した上,その利益を上げる仕組みやリスクについて十分に説明すべき注意義務を負っていたというべきである。
しかしながら,被告Y4は,本件口頭弁論期日に出頭せず,タミキュラファンドの運用の状況を確認し得たかどうか等について何らの具体的反論をしないところ,前記のとおり,原告X8に対し,非常に高利回りで安定した配当があるファンドであるなどとしてタミキュラファンドへの投資を勧誘しているのであるから,前記注意義務を尽くしたと認めることはできない。
よって,被告Y4は,原告X8に対し,不法行為に基づく損害賠償義務を負う。
(6)  被告Y5について
前記認定のとおり,被告Y5は,被告リミット社に設立当初から関与する営業担当者として,タミキュラファンドとは異なる消費貸借方式での投資の勧誘を行っており,被告Y6及び被告Y7などのブローカーを取りまとめていたところ,原告X7に対して消費貸借方式での出資を勧誘し,投資させている。
被告Y5が上記のような立場にあったことに加え,消費貸借方式での投資先である被告リミット社のファンドのスキームが上記(1)判示のとおり極めて高率の利益計上を前提とするものであって,その運用の継続が現実には極めて困難であることが明らかであったことに照らせば,被告Y5は,被告リミット社の営業として上記のような勧誘を行うに際し,同被告が運用していたファンドにおいて約定の配当を継続するための利益を計上する見込みがあるかどうかを確認した上,その利益を上げる仕組みやリスクについて十分に説明すべき注意義務を負っていたというべきである。
それにもかかわらず,被告Y5は,前記認定のとおり,被告Y1から取引履歴の資料を随時受領していたのみで,そのような利益を継続して計上することができる見込みがあるかどうかを確認することもなく,原告X7に対し,漫然と,継続的に配当金を受領できる投資であるかのような説明をして投資の勧誘を行ったのであるから,前記注意義務を尽くしたものとは認められず,原告X7に対し,消費貸借方式での投資の勧誘について,不法行為に基づく損害賠償義務を負う。
(7)  被告Y6及び被告Y7について
被告Y6は,原告X4,原告X5及び原告X11に対し,被告Y7は原告X5及び原告X11に対し,消費貸借方式での被告リミット社への投資について説明を行ったことが認められる。
しかしながら,甲4の1によれば,被告Y6は,原告X4に対し,同原告の質問に応じて,自らが行っている投資として被告リミット社への投資案件の紹介を行ったことは認められるものの,そのような紹介を超えて積極的に勧誘を行ったことを認めるに足りる証拠はない。また,証拠(甲5の3,乙③5)によれば,被告Y6は,原告X5に対し,同原告が出資を決めた後,その契約に際し説明を行ったことが認められるが,何らかの勧誘行為を行ったことを認めるに足りる証拠はない。さらに,証拠(甲11の1,乙③5)によれば,被告Y6は,原告X11に対し,被告リミット社への投資案件の説明を行ったことは認められるものの,何らかの勧誘行為を行ったことを認めるに足りる証拠はない。
一方,被告Y7についてみれば,証拠(甲5の1,甲11の1,甲34,40,乙⑮1)によれば,被告Y7は,被告リミット社とは無関係の投資セミナーにおいて知り合った原告X5及び原告X11に対し,種々の投資案件に関する情報交換の一つとして,自らが投資している被告リミット社への投資案件を紹介したり,同原告らの質問に答えたりしたことは認められるものの,そのような情報交換の域を超えて,同原告らに対し被告リミット社への投資を勧誘したことを認めるに足りる証拠はない(甲34〔原告X5の陳述書〕には,被告Y7から積極的な勧誘を受けた旨の記載があるが,反対尋問による検証を経ていないものであることを考慮すると,直ちに採用することはできない。)。
以上によれば,被告Y6及び被告Y7は,原告X4,原告X5及び原告X11(被告Y7については原告X5及び原告X11)の質問に応じ,あるいは投資に関心のある者同士の情報交換として,被告リミット社への投資案件についての紹介,説明を行ったという限度で上記原告らの被告リミット社への投資に関与したことが認められるにすぎず,被告リミット社の営業として投資を積極的に勧誘したとまでは認められない。このことに,被告Y6及び被告Y7は,被告Y5の下で営業活動を行っていたにすぎず,被告リミット社におけるファンドの運用実態を確認できる立場にあったは認められないことも考慮すれば,被告Y6及び被告Y7が,原告X4,原告X5及び原告X11に被告リミット社への投資案件を紹介するに当たり,その運用実態を確認すべき義務を負っていたとまでは認められないというべきである。
したがって,被告Y6及び被告Y7が,原告X4,原告X5及び原告X11に対し不法行為責任を負うとはいえない。
(8)  被告Y8について
ア 前記認定事実によれば,被告Y8は,タミキュラファンドの営業を統括していた被告Y2から営業の手伝いを直接頼まれ,遅くとも平成23年頃以降,営業活動を行っていたところ,平成24年7月頃,出資セミナーで知り合った原告X1に対し,メッセンジャー,電話及び数回の面談によりタミキュラファンドへの出資を勧誘し,投資させている。また,被告Y8は,被告Y4が勧誘した原告X8に対し,被告リミット社の営業の統括をする立場の者として面談して勧誘を行い,タミキュラファンドへの投資を決断させている。
被告Y8が上記のような立場にあったことに加え,タミキュラファンドのスキームが上記(1)判示のとおり極めて高率の利益計上を前提とするものであって,その運用の継続が現実には極めて困難であることが明らかであったことに照らせば,被告Y8は,被告リミット社の営業として上記のような勧誘を行うに際し,同被告が運用していたファンドにおいて約定の配当を継続するための利益を計上する見込みがあるかどうかを確認した上,その利益を上げる仕組みやリスクについて十分に説明すべき注意義務を負っていたというべきである。
それにもかかわらず,被告Y8は,運用報告書を受領して確認するだけで(被告Y8本人),上記注意義務を尽くすことなく,原告X1及び原告X8に対し,継続的に配当金を受領できるファンドであるかのような説明をして漫然と投資の勧誘を行ったのであるから,同原告らに対し,不法行為に基づく損害賠償義務を負う。
イ なお,被告Y8は,被告Y1及び被告Y2が虚偽の運用状況を報告していた以上,被告Y8には注意義務の前提としての結果回避可能性がなかったと主張するが,そのように断定すべき根拠はないし,仮に運用状況を十分に確認できないのであれば,勧誘を行わないか,あるいはそのことによるリスクについても十分に説明した上で勧誘をすべきなのであるから,被告Y8の主張は採用することができない。
(9)  被告Y9について
原告X2及び原告X10は,被告Y9から勧誘を受けてタミキュラファンドに投資をしたと主張するが,被告Y9はこれを否定している上(乙⑱1),原告X2及び原告X10の上記主張に沿う証拠としては,それぞれの陳述書(原告X2につき甲31,原告X10につき甲39)があるのみであり,裏付けとなる適切な証拠は見当たらない。
よって,被告Y9が原告X2及び原告X10に対してタミキュラファンドに対する投資の勧誘をしたと認めることはできないから,被告Y9は,原告X2及び原告X10に対して不法行為責任を負うとはいえない。
(10)  被告Y10について
被告Y10は,適式の呼出しを受けたにもかかわらず,本件口頭弁論期日に出頭せず,答弁書その他の準備書面を提出しないから,原告X6の請求原因事実を自白したものとみなす。そうすると,被告Y10は,被告リミット社の運営する全部又は一部について運用実態のないファンドについて,そのブローカーとして運用状況を確認することが可能であったのに,確認することなく,原告X6に対して投資を勧誘して投資させたのであるから,投資事業を仲介する者としての注意義務に違反したと認められ,不法行為責任を負う。
(11)  被告Y11について
前記認定のとおり,被告Y11は,平成22年頃から,被告Y2に投資資金を預けており,平成24年3月頃までには,「Y11グループ」のグループリーダーとして,主として東海圏においてタミキュラファンドの営業活動を行っていたところ,原告X3に対し,タミキュラファンドが月利10%で安定して運用されており,出資者に3%の配当を行っているファンドであること,原本の80%を割り込んだ場合には連絡があることなどを説明して,同ファンドへの投資を勧誘し,その結果原告X3をして同ファンドに出資させるに至ったものである。
被告Y11が上記のようにタミキュラファンドの東海圏での営業活動における中心的立場にあったことに加え,タミキュラファンドのスキームが上記(1)判示のとおり極めて高率の利益計上を前提とするものであって,その運用の継続が現実には極めて困難であることが明らかであったことに照らせば,被告Y11は,被告リミット社の営業として上記のような勧誘を行うに際し,同被告が運用していたファンドにおいて約定の配当を継続するための利益を計上する見込みがあるかどうかを確認した上,その利益を上げる仕組みやリスクについて十分に説明すべき注意義務を負っていたというべきである。
それにもかかわらず,被告Y11は,原告X3に対し,上記注意義務を尽くすことなく,継続的に配当金を受領できるファンドであるかのような説明をして漫然と投資の勧誘を行ったのであるから,原告X3に対し,不法行為に基づく損害賠償義務を負う。
(12)  被告らの共同関係について
以上に判示したところによれば,タミキュラファンド関係については,被告Y1,被告Y2及び各営業担当者の共同不法行為となり,消費貸借方式の投資関係については,被告Y1及び各営業担当者の共同不法行為となる。そして,被告リミット社の責任は被告Y1との不真正連帯関係となる。
3  原告らの損害について
原告らは,投資した金額及び各種手数料の合計から配当金又は被害回復目的金として受領した金額を控除した額の損害が生じたと主張するところ,前記認定事実によれば,原告ら各自に生じた損害(弁護士費用を除く。)は次のとおりである。また,認容額の1割に相当する額の弁護士費用を原告らの損害と認める。
なお,被告Y8は,タミキュラファンドの募集要項において運用資金元金の20%の欠損が生じた場合は顧客に通知することが約束されていた旨指摘し,運用資金元金の20%を超える損害は通常生ずべき損害とはいえないと主張する。しかしながら,実際にそのような通知が行われたことをうかがわせる証拠はなく,被告Y1あるいは被告Y2においてそのような約束を履行する意思があったかどうかは疑問であるし,そもそもタミキュラファンドの運用スキーム自体が継続困難であることは上記判示のとおりであり,当該スキームに含まれる約定の内容によって損害の範囲が限定されるのは不合理であるから,被告Y8の主張は採用できない。
(1)  原告X1の損害
175万3537円(別紙出入金一覧表(原告X1)の①欄記載のとおり)
(2)  原告X2の損害
474万4754円(別紙出入金一覧表(原告X2)の①欄記載のとおり)
(3)  原告X3の損害
604万2000円(別紙出入金一覧表(原告X3)の①欄記載のとおり)
(4)  原告X4の損害
1180万円(別紙出入金一覧表(原告X4)の出金額欄記載の金額のうち,証拠上認められない交通費及び手数料を除く1900万円から入金額720万円を控除した金額)
(5)  原告X5の損害
370万円(別紙出入金一覧表(原告X5)の①欄記載のとおり)
(6)  原告X6の損害
90万3133円(別紙出入金一覧表(原告X6)の①欄記載のとおり)
(7)  原告X7の損害
ア タミキュラファンド関係
25万4000円(出資額及び手数料の合計104万円から配当78万6000円を控除した金額)
イ 消費貸借方式での投資関係
120万円(出資額600万円から配当480万円を控除した金額)
(8)  原告X8の損害
454万円(別紙出入金一覧表(原告X8)の①欄記載のとおり)
(9)  原告X9の損害
141万7660円(別紙出入金一覧表(原告X9)の①欄記載のとおり)
(10)  原告X10の損害
526万3829円(別紙出入金一覧表(原告X10)の①欄記載のとおり)
(11)  原告X11の損害
835万円(別紙出入金一覧表(原告X11)の①欄記載のとおり)
4  過失相殺について
(1)  総論
タミキュラファンド及び消費貸借方式での投資の運用スキームが上記2(1)のとおり極めて高率の利益計上を前提とするものであることを原告らにおいても認識していたことにかんがみれば,そのような運用を維持することが現実的に極めて困難であることは,原告らにおいても認識可能であったというべきであり,その運用実態を確認することなく投資をした原告らに軽率な面があったことは否定できない。したがって,投資に至った経緯や従前の投資経験等に応じ,一定程度の過失相殺を行うべきである(ただし,故意の不法行為責任を負う被告リミット社,被告Y1及び被告Y2との間で過失相殺を行うのは相当ではなく,また,過失相殺の主張をしない被告Y4及び被告Y10との関係では過失相殺を行わない。)。
(2)  原告X1について(被告Y8関係)
原告X1本人及び弁論の全趣旨によれば,原告X1は,本件以前には1年ほど株式の購入を行ったことがあるだけで,投資経験が豊富であったとはいえないが,自ら投資セミナーに参加するなど投資に対する強い意欲を有していたことが認められる上,セミナー後,被告Y8からの説明を複数回受けながら,数か月の考慮の末に投資を決めるなど,最終的な投資判断は自らの意思で行っていたことが認められる。また,原告X1は,1回目の投資の半年後に2回目の投資を行っているところ,これが被告Y8の積極的な勧誘によるものであることを認めるに足りる証拠はなく,かえって,原告X1本人によれば,自らが設定した目標金額に到達させるために自らの意思で投資額を増額させたことが認められる。
これらの事情のほか,本件に顕れた諸般の事情を考慮すれば,原告X1については,6割の過失相殺を行うのが相当である。
(3)  原告X3について(被告Y11関係)
原告X3本人及び弁論の全趣旨によれば,原告X3は,ネットワークビジネスに関与していたことがあるほか,ワンルームマンション投資の経験があるなど,投資に一定程度の関心を有していたこと,被告Y11から当初タミキュラファンドへの投資を勧誘された際には出資を断っており,最終的に投資することになったのは,運用実績が十分であると自ら判断した結果であることが認められる。また,原告X3は,最初にタミキュラファンドに投資した後,2回にわたって追加出資を行っているところ,これらについて被告Y11が積極的に関与したことをうかがわせる証拠はない。
以上の事情に,原告X3は,自ら積極的に投資先を探していたわけではなく,専ら,職場の先輩であった被告X3〈原文ママ〉の勧誘によってタミキュラファンドに出資するに至ったものであることその他本件に顕れた諸般の事情を考慮すれば,原告X3については,5割の過失相殺を行うのが相当である。
(4)  原告X7について(被告Y5関係)
原告X7本人及び弁論の全趣旨によれば,原告X7は,本件以前に投資信託や株式を購入したことがあること,FX取引に関する投資をしたことはないが,ミクシィでタミキュラファンドについての情報収集をした上で自ら被告Y2が講師を務めたセミナーに参加し,被告Y2及び被告Y3に対して月利4%での申込みができないか自ら聞いた上でタミキュラファンドに投資していること,その後も知人から月利5%になる方法があると知り,被告Y5から話を聞いた上で,消費貸借方式による出資を行うに至ったことが認められる。
上記のとおり原告X7が一定の投資経験及び知識を有しており,被告Y5の勧誘を受ける以前から自ら積極的に投資に関する情報を収集するとともに,自らの意思でタミキュラファンドに投資し,被告Y5に対しても自ら働きかけて勧誘を受けるに至ったことに加え,その他本件に顕れた諸般の事情を考慮すれば,原告X7については,7割の過失相殺を行うのが相当である。
(5)  原告X8について(被告Y8関係)
原告X8本人及び弁論の全趣旨によれば,原告X8は,本件以前に約8年間,株式を中心とした投資を行っていたこと,FX取引を行ったことはなく,大学院を卒業して政治活動を行っていたが,政治関係のセミナーで知り合った被告Y4からタミキュラファンドへの投資を勧誘されたことで,出資に至ったことが認められる。また,原告X8は,最初にタミキュラファンドに投資した後,2回にわたって追加出資をしており,特に3回目の出資額はこれまでの4倍に上る400万円であるところ,これらの追加出資について,被告Y8が具体的な勧誘を行ったことを認めるに足りる証拠はなく,かえって,原告X8は,その本人尋問において,被告Y4が羽振りが良いのを見て自分も出資した方が得だと思って出資した旨の供述をしており,自らの意思で追加出資をしたものと認められる。
以上の事情に加え,原告X8は,自ら積極的に投資先を探していたわけではなく,投資とは無関係のセミナーで知り合った被告Y4から投資を勧誘されたことからタミキュラファンドに出資するに至ったものであることその他本件に顕れた諸般の事情を考慮すれば,原告X8については,5割の過失相殺を行うのが相当である。
5  損害額のまとめ
原告X1,原告X3,原告X7及び原告X8について上記4のとおり過失相殺を行い,原告ら全員について弁護士費用を加えた損害額は,次のとおりである。
(1)  原告X1の損害
ア 被告Y8の関係
77万1555円
(過失相殺後の損害額(弁護士費用を除く。)は70万1414円。弁護士費用を7万0141円と認める。)
イ 被告Y8以外の関係
192万8891円
(弁護士費用を17万5354円と認め,合計額は別紙出入金一覧表(原告X1)の「①+②」欄記載のとおりである。)
(2)  原告X2の損害
521万9229円
(弁護士費用を47万4475円と認め,合計額は別紙出入金一覧表(原告X2)の「①+②」欄記載のとおりである。)
(3)  原告X3の損害
ア 被告Y11の関係
332万3100円
(過失相殺後の損害額(弁護士費用を除く。)は302万1000円。弁護士費用を30万2100円と認める。)
イ 被告Y11以外の関係
664万6200円
(弁護士費用を60万4200円と認め,合計額は別紙出入金一覧表(原告X3)の「①+②」欄記載のとおりである。)
(4)  原告X4の損害
1298万円
(弁護士費用を118万円と認める。)
(5)  原告X5の損害
407万円
(弁護士費用を37万円と認め,合計額は別紙出入金一覧表(原告X5)の「①+②」欄記載のとおりである。)
(6)  原告X6の損害
99万3446円
(弁護士費用を9万0313円と認め,合計額は別紙出入金一覧表(原告X6)の「①+②」欄記載のとおりである。)
(7)  原告X7の損害
ア タミキュラファンド関係
27万9400円
(弁護士費用を2万5400円と認める。)
イ 消費貸借方式の投資関係
(ア) 被告Y5の関係
39万6000円
(過失相殺後の損害額(弁護士費用を除く。)は36万円。弁護士費用を3万6000円と認める。)
(イ) 被告Y5以外の関係
132万円
(弁護士費用を12万円と認める。)
(8)  原告X8の損害
ア 被告Y8の関係
249万7000円
(過失相殺後の損害額(弁護士費用を除く。)は227万円。弁護士費用を22万7000円と認める。)
イ 被告Y8以外の関係
499万4000円
(弁護士費用を45万4000円と認め,合計額は別紙出入金一覧表(原告X8)の「①+②」欄記載のとおりである。)
(9)  原告X9の損害
155万9426円
(弁護士費用を14万1766円と認め,合計額は別紙出入金一覧表(原告X9)の「①+②」欄記載のとおりである。)
(10)  原告X10の損害
579万0212円
(弁護士費用を52万6383円と認め,合計額は別紙出入金一覧表(原告X10)の「①+②」欄記載のとおりである。)
(11)  原告X11の損害
918万5000円
(弁護士費用を83万5000円と認め,合計額は別紙出入金一覧表(原告X11)の「①+②」欄記載のとおりである。)
7  結論
以上によれば,本件の結論は次のとおりである。
(1)  原告X1について
原告X1の被告リミット社,被告Y1及び被告Y2に対する請求は,いずれも理由がある。原告X1の被告Y8に対する請求は,77万1555円及びこれに対する平成25年10月17日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める限度で理由があり,その余は理由がない。
(2)  原告X2について
原告X2の被告リミット社,被告Y1及び被告Y2に対する請求は,いずれも理由があるが,被告Y9に対する請求は理由がない。
(3)  原告X3について
原告X3の被告リミット社,被告Y1及び被告Y2に対する請求は,いずれも理由がある。原告X3の被告Y11に対する請求は,332万3100円及びこれに対する平成25年10月18日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める限度で理由があり,その余は理由がない。
(4)  原告X4について
原告X4の被告リミット社及び被告Y1に対する請求は,1298万円及びこれに対する平成25年11月4日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める限度で理由があり,その余は理由がない。原告X4の被告Y6に対する請求は理由がない。
(5)  原告X5について
原告X5の被告リミット社及び被告Y1に対する請求は,いずれも理由があるが,被告Y6及び被告Y7に対する請求は理由がない。
(6)  原告X6について
原告X6の被告リミット社,被告Y1,被告Y2及び被告Y10に対する請求は,いずれも理由がある。
(7)  原告X7について
ア タミキュラファンド関係
原告X7の被告リミット社,被告Y1及び被告Y2に対する請求は,いずれも理由がある。
イ 消費貸借方式の投資関係
原告X7の被告リミット社及び被告Y1に対する請求は,いずれも理由がある。原告X7の被告Y5に対する請求は,39万6000円及びこれに対する平成25年10月17日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める限度で理由があるが,その余は理由がない。
(8)  原告X8について
原告X8の被告リミット社,被告Y1,被告Y2及び被告Y4に対する請求は,いずれも理由がある。原告X8の被告Y8に対する請求は,249万7000円及びこれに対する平成25年10月17日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める限度で理由があるが,その余は理由がない。
(9)  原告X9について
原告X9の被告リミット社,被告Y1及び被告Y2に対する請求は,いずれも理由がある。
(10)  原告X10について
原告X10の被告リミット社,被告Y1及び被告Y2に対する請求は,いずれも理由があるが,被告Y9に対する請求は理由がない。
(11)  原告X11について
原告X11の被告リミット社及び被告Y1に対する請求は,いずれも理由があるが,被告Y6及び被告Y7に対する請求は理由がない。
よって,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第16部
(裁判長裁判官 谷口安史 裁判官 安江一平 裁判官 丹野由莉)

 

別紙1
認容額一覧表
第1表(被告リミット社,被告Y1)
〈表1〉
第2表(被告Y2)
〈表2〉
第3表(被告Y4)
〈表3〉
第4表(被告Y5)
〈表4〉
第5表(被告Y8)
〈表5〉
第6表(被告Y10)
〈表6〉
第7表(被告Y11)
〈表7〉
別紙2
訴訟費用負担割合一覧表
〈表8〉
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