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判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(191)平成24年11月30日 東京地裁 平23(ワ)25656号 損害賠償請求事件

判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(191)平成24年11月30日 東京地裁 平23(ワ)25656号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成24年11月30日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平23(ワ)25656号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  一部認容  文献番号  2012WLJPCA11308031

要旨
◆証券取引による損害の回復を求めていた原告が、被告Y1からそれが実現するかのように欺罔されて、被告Y1が代表者を務める被告会社との間で調査契約を締結させられ、高額の調査費用を支払わされた旨主張して、被告Y1及び被告会社に対し、共同不法行為に基づく損害賠償を請求し、被告会社の取締役を務めていた被告Y2及び被告Y3に対し、会社法429条に基づき、同額の損害賠償を求めた事案において、被告Y1の行為は、原告の財産権を侵害したものとして、原告に対する不法行為に該当するもので、それは自らが代表者を務める被告会社の行為としての側面も有するものであるから、被告会社も、被告Y1と共同して不法行為責任を負うものというべきであるとする一方、被告Y1らによる上記不法行為が被告Y2らの取締役辞任後にされたものと解される以上、被告Y2らには損害賠償責任はないとして、原告の被告Y1及び被告会社に対する請求のみ認容した事例

裁判経過
控訴審 平成25年 4月17日 東京高裁 判決 平25(ネ)140号 損害賠償請求控訴事件

参照条文
民法415条
民法719条1項
会社法429条1項

裁判年月日  平成24年11月30日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平23(ワ)25656号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  一部認容  文献番号  2012WLJPCA11308031

当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり

 

 

主文

1  被告株式会社Y4及び被告Y1は,原告に対し,連帯して,404万2500円及びこれに対する平成23年8月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  原告のその余の請求をいずれも棄却する。
3  訴訟費用はこれを2分し,その1を原告の負担とし,その余を被告株式会社Y4及び被告Y1の負担とする。
4  この判決は,主文1及び3に限り,仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
被告らは,原告に対し,連帯して,404万2500円及びこれに対する平成23年8月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
1  事案の骨子
本件は,証券取引による損害の回復を求めていた原告が,被告Y1(以下「被告Y1」という。)からそれが実現するかのように欺罔されて,被告Y1が代表者を務める被告株式会社Y4(以下「被告会社」といい,被告Y1と併せて「被告Y1ら」という。)との間で調査契約を締結させられ,高額の調査費用を支払わされた旨主張して,被告Y1らに対しては,共同不法行為に基づく損害賠償(被告会社に対しては,予備的に当該契約の債務不履行解除に基づく原状回復請求)として,当該費用及び弁護士費用相当額の支払を求め,被告会社の取締役を務めていた被告Y2(以下「被告Y2」という。)及び被告Y3(以下「被告Y3」といい,被告Y2と併せて「被告Y2ら」という。)に対しては,会社法429条(予備的には共同不法行為)に基づき,同額の損害賠償を求める事案である。
2  前提事実
以下の事実は,いずれも当事者間に争いがないか,末尾に掲記した証拠等によって容易に認めることができる(なお,以下の事実は,いずれも原告と被告会社及び被告Y1との間においては争いがない。)。
(1)  原告は,昭和9年○月○日生まれの主婦であって,後記(3)の契約締結当時74歳であり,当時から現在まで夫と二人暮らしである(甲8)。
被告会社は,各種情報の収集処理サービス業務,信用及び生命,身体,財産等の安全に関する調査業務等を目的とする株式会社であって,被告Y1は,被告会社の代表取締役であり,被告Y2及び被告Y3は,少なくとも平成21年5月31日までは被告会社の取締役を務めていた者である(当事者間に争いがない。なお,被告Y2及び被告Y3が同日に被告会社の取締役を退任したか否かは,後記のとおり当事者間に争いがある。)。
(2)  原告は,平成21年1月頃から,「○○」を名乗っていた被告会社ないしその代表者である被告Y1に対し,b株式会社(以下「b社」という。)との証券取引や投資信託等の取引により被った損害(以下「本件証券損害」という。)の賠償請求に関する相談をしていた(甲8,弁論の全趣旨)。
(3)  原告と被告会社は,同年10月27日,担当者を被告Y1として,調査契約(以下「本件契約」という。)を締結した。
この点,同日付け重要事項説明書には,業務内容を所在調査とする旨,所在調査に係る調査費用は,調査に要する経費分を着手金として支払い,対象者発見時に所定の成功報酬を支払う旨,本件における調査費用の予想額は367万5000円である旨の記載があり,本件契約に係る契約書(以下「本件契約書」という。)の「調査事項」欄,「料金内訳」欄及び「契約事項」欄には,以下の記載がある(甲1,2,乙イ2,弁論の全趣旨)。
ア 「調査事項」欄
「A氏の現勤務先及びそれに係わる調査」(同人は原告との取引に係るb社の担当者であり,以下「A」という。),「調査期間2009年10月28日(水)~」,「※成功報酬は14%とする。」
イ 「料金内訳」欄
「調査1件 800,000円」,「成功報酬お預り金 2,700,000円」,「小計 3,500,000円(消費税5% 175,000円) 合計 3,675,000円」
ウ 「契約事項」欄
調査契約料金は,上記「料金内訳」欄記載のとおりとするが,調査申込者が住所,氏名を秘匿する場合は,調査契約料金は調査開始前に全額支払うものとする(その場合の調査期間,時間,必要経費は全て事前に取り決め,その合計を調査契約料金とする。)。
(4)  原告は,平成21年10月29日,本件契約に基づき,被告会社に対して,367万5000円を振込送金した(甲3,弁論の全趣旨)。
3  争点及びこれに関する当事者双方の主張
(1)  被告Y1らの原告に対する不法行為ないし被告会社の債務不履行の成否
(争点1)
(原告の主張)
ア 被告Y1は,被告会社及び自らを「○○」と名乗り,平成21年1月頃以降,原告から本件証券損害の賠償請求に係る相談を受けていたところ,同年10月下旬頃までの間に,原告に対し,「(原告の被害金額の)半分は取り返してあげられる。」,「過去にb社の事件を扱ったことがある。」,「決めちゃいましょうよ。」,「やってよかったと思う時が来ます。」などと述べ,原告をして,被告Y1に依頼すれば本件証券損害を取り戻せるかもしれないと信じ込ませた上で,本件契約書を作成させ,これに基づき,同月29日,被告会社に対して367万5000円を振込送金させた。
この点,本件契約書の「調査事項」欄には,「A氏の現勤務先及びそれにかかわる調査」との記載があるが,そもそもAの勤務場所調査は原告の本件証券損害の回復にとって意味がないこと,被告Y1は,本件契約締結前における原告とのやりとりの中で,相手の言いなりになってしまう原告の性格や法的事項に関する知識の低さを認識していたこと,367万5000円との費用額は,勤務場所調査のための費用としては,社会通念上も被告会社の料金体系との比較においても極めて高額であること(しかも,被告会社における通常の支払方法と異なり,前払いとされている。)に鑑みれば,被告Y1は,原告に対しては本件証券損害の回復を約束しつつ,弁護士法違反にならないような外形を作出すべく,損害回復のためにはAの勤務場所調査が必要であるかのように述べ,原告をその旨信じさせた上で,上記のような記載のある本件契約書を作成したものであることが明らかである。
ところが,被告Y1は,原告が上記のとおり振込送金した後,突然に原告との連絡を絶ち,その後現在に至るまで,原告に対し,本件証券損害の回復に係る調査はもちろん,「A氏の現勤務先及びそれにかかわる調査」の結果すら報告していない。
イ 被告Y1は,弁護士ではなく,b社との和解その他の法律事務を行うことができないのであるから,原告の本件証券損害の回復を図る手段を持たず,かつ,その意思もなかったにもかかわらず,上記アのとおり,原告に対し,損害を取り返せるなどと繰り返し述べて欺罔し,その旨信用させた上で,本件証券損害の回復のための費用名目により367万5000円を支払わせたものである。
かかる被告Y1の行為は,それ自体が原告に対する詐欺行為であるとともに,弁護士法72条及び74条2項にも違反する行為であって,原告に対する不法行為を構成することは明らかであるから,被告Y1は,原告に対し,原告による上記支払額及び弁護士費用(36万7500円)相当額の損害賠償責任を負う。また,被告Y1の上記行為は,被告会社の代表者としての行為でもあるから,被告会社も同様に原告に対する不法行為責任を負う。
ウ 仮に,被告Y1らの上記アの行為が原告に対する不法行為を構成しないとしても,被告会社は,原告に対し,本件契約に基づく債務を何ら履行していないことから,原告は,予備的に被告会社に対し,平成23年8月22日に送達された本件訴状をもって,本件契約を解除する旨の意思表示をした。
よって,原告は,被告会社に対し,契約解除に基づく原状回復請求権として,原告が被告会社に支払った金員の返還及び弁護士費用相当額の支払を求める。
(被告Y1らの主張)
ア 本件契約は,契約書記載のとおりAの勤務場所調査を受任内容とするものであり,被告Y1は,契約締結に先立ち,契約書及び重要事項説明書の全ての項目を読み上げて説明し,被告会社の受任内容が契約書記載のとおりであることの了承を得た上で,原告の署名を受けたものである。そして,被告会社は,原告から送金を受けた後直ちに調査に着手し,平成22年2月頃にAの勤務場所が判明したので,同月4日午後4時頃に原告の指定場所(原告の自宅近くのc信用金庫d支店前)に赴き,口頭により15分程度かけて調査の経緯や結果を報告している。
イ 原告は,本件契約に基づく調査費用が高額であるなどと主張するが,本件契約締結前の原告からの聴き取り調査において,原告がb社に苦情を申し立てた直後にAが九州方面に転勤になったことなどを聴取し,同社の規模からして経費や人件費だけでも相当な額を要することが予想された上,調査を行っていることを知られないようにしつつ,わずかな本人状況に基づいて調査しなければならないという特殊性があったことから,通常の勤務場所調査よりも高額となり,かつ,その総額につき前払いを求めることとなったものである(なお,被告会社の料金体系の「行方調査1件50,000円から」とは,事前の情報が確実なものであって遠方への出張等を伴わず,1日以下で完了するような調査を対象としている。)。現にAは,原告からの事前情報とは異なる場所(神戸)に勤務していたため,予想どおり大変な調査となった。
(2)  被告Y2らの会社法429条1項に基づく損害賠償責任ないし共同不法行為責任の有無(争点2)
(原告の主張)
ア 被告Y1らの上記(1)の不法行為は,本件における原告の被害態様や,東京都行政書士会の被告Y2に対する処分(甲7の1)の原因となった事件の被害態様等に照らせば,被告Y1が偶発的に行ったものではなく,被告会社の営業方針ないし営業姿勢に起因する組織的,構造的な現象であることは明らかである。被告Y2らは,取締役として被告会社の事業につき適法かつ適切に業務遂行する義務があったにもかかわらず,平成21年1月頃から開始されていた被告Y1の原告に対する勧誘行為につき,取締役会で問題視することなく放置したことにより,原告は被告会社に多額の金員を振込送金するに至っているのであるから,被告Y2らにつき,その職務を行うについて悪意又は重過失があったことは明らかである。
この点,被告Y2らは,本件契約締結当時既に取締役を辞任していた旨主張するが,かかる事実を裏付ける客観的証拠を欠いていることに加え,取締役退任登記のための登録免許税はごく少額であるにもかかわらず,その登記手続を行っていないことからすれば,被告Y2らの主張は信用できない。
よって,被告Y2らは,原告に対し,会社法429条1項に基づく損害賠償責任を負う。
イ 仮に,被告Y2らが,被告Y1らの原告に対する不法行為の前に被告会社の取締役を辞任していたとしても,原告に対し,被告Y1らと共同して不法行為責任を負うものと解すべきである。
すなわち,詐欺的商法を組織的常態として行っていた会社において,いったんこれに加功した者は,同社を退職するなどして詐欺的商法から離脱したとしても,離脱に際して積極的に結果発生を防止する措置を講じない限り,加功と損害との間の因果関係が遮断されたとみるべきではなく,離脱後の行為についても共同不法行為責任を負うものと解される。
これを本件についてみると,被告Y2らは,「○○」事業が被告会社を使った弁護士法違反の不法行為スキームであることを認識していたのであるから,被告会社の取締役を辞任するに際しては,他に弁護士法違反のおそれのある事案がないかどうかを確認し,かかる事案があれば直ちに止めさせるなどして,被害防止に向けた措置を講ずべきであった。しかるに,被告Y2らはかかる措置を講ずることなく辞任したのであるから,被告Y2らの辞任前の関与と原告の損害との間に因果関係を認めるのが相当である。
(被告Y2らの主張)
ア 被告会社は,平成21年3月,第二東京弁護士会非弁護士取締委員会から,「○○」事業について事情聴取を受けた際,被告会社が当該事業の契約主体となることにつき弁護士法との関係で疑義がある旨の指摘を受け,被告会社の顧問的立場にあった弁護士からも本件事業を廃止した方がよいとの助言を受けたことから,当該事業を廃止することとし,これに伴い,被告会社自体を縮小することとした。
もともと被告Y2らは,「○○」事業に必要であったために被告会社の取締役に就任していたことから,当該事業の廃止に伴い,同年5月31日付けで取締役を辞任することとなった。同時に,被告会社は,縮小後の被告会社の実態に合った機関設計として,被告会社の取締役会及び監査役を置く旨の定款の定めを廃止することとし,同日に開催された臨時株主総会においてその旨の決議がされた。
以上のとおり,被告Y2らは,平成21年1月頃以降の原告と被告Y1とのやりとりについては全く知らないし,その後間もなく被告会社の取締役を辞任したのであるから,本件契約締結及びこれに基づく原告の被告会社に対する振込送金につき,取締役としての責任を負うものではない。
なお,被告Y2らは,被告Y1に対し,何度か取締役退任登記及び定款の定めの廃止登記を行うよう求めたが,被告会社において登録免許税及び司法書士報酬(合計すると10万円を超えることになる。)の捻出が困難との理由から,現在までその登記手続は行われていない。
イ 原告は,刑法上の共犯関係からの離脱の理論により,被告Y2らは責任を免れない旨主張するが,当該理論は,刑法上の構成要件的結果の実現に向けた共謀ないし共犯者の故意の共同の存在が前提となるところ,被告Y2らはかかる故意を有していないのであるから,かかる理論によって被告Y2らの責任を認めることはできない。また,そもそも被告会社は詐欺的商法を組織的常態として行っていた会社ではないのであるから,かかる意味においても原告の主張は失当である。
第3  当裁判所の判断
1  争点1について
(1)  前記前提事実のとおり,原告が,平成21年1月頃から,被告会社ないしその代表者である被告Y1に対して本件証券損害の賠償請求に関する相談をしていたこと,同年10月27日に被告会社との間で本件契約を締結したことは,いずれも原告と被告Y1らとの間に争いがないところ,その間の経緯に関し,原告は,被告Y1らは上記相談の過程で,本件証券損害を取り戻せるなどと繰り返し述べ,原告をその旨信用させて本件契約を締結させたものであり,本件契約書の記載も弁護士法違反を免れるために被告Y1らが外形を作出したにすぎない旨主張し,同旨の陳述(甲8)をするのに対し,被告Y1らは,被告会社の受任内容がAの勤務場所調査であることは本件契約書に記載されているし,本件契約締結に際して原告にその旨を十分に説明した旨主張し,被告Y1も同旨の供述ないし陳述(乙イ1,8)をする。
(2)  そこで検討するに,前記前提事実,証拠(甲8,乙イ1)及び弁論の全趣旨によると,原告は,上記のとおり被告会社ないし被告Y1に相談を持ちかけていた中,同年6月頃に証券・金融商品あっせん相談センターに対して本件証券損害につき相談ないしあっせん申立てを行ったが,あっせん委員の提示した600万円との和解金額に納得がいかず,その後に再び被告会社ないし被告Y1と連絡をとるようになった中で本件契約を締結するに至ったことが認められるところ,かかる経緯に鑑みれば,原告は,本件証券損害の回復として,あっせん委員の提示した和解金額を上回る金額を得られるとの判断に基づいて本件契約を締結したことが推認される。
また,本件契約に基づく調査費用額(367万5000円)は,Aの勤務場所調査のための費用としては,社会通念に照らしても,また,被告会社の料金体系(甲9)に照らしても高額にすぎることに加え(被告Y1らは,Aの勤務場所調査の困難性等についてるる主張するが,被告会社が現に行った調査の内容については何ら主張せず,被告Y1もその点についての供述を拒んでいることからすると,かかる主張を採用することはできない。),仮に被告会社の調査によってAの勤務場所が判明したとしても,そのことによって直ちに本件証券損害が回復するわけではないことからすれば,原告が,本件契約の対象となる役務がAの勤務場所調査のみであると認識して本件契約を締結し,上記金員を支払ったものとは到底解されない。
以上の事実と,本件契約書の「※成功報酬は14%とする。」との記載とを併せ考えれば,被告Y1らは,本件契約締結に際し,原告に対し,被告会社ないし被告Y1において本件証券損害を回復することができる旨を説明し,具体的な回復見込額を提示した上で,その14パーセント相当額を本件契約に基づく成功報酬額(本件契約書記載の成功報酬預り金270万円又はこれに着手金80万円を加えた350万円)としたものと解するのが相当である(なお,原告の陳述書記載の損害額(原告名義で少なくとも2000万円,原告の夫名義で500万円の合計2500万円)の14パーセント相当額が350万円となる。)。被告Y1はこれを否認する供述をするが,他方で,「※成功報酬は14%とする。」との記載の意味に関してあいまいな供述を繰り返していることに照らせば,この点に関する被告Y1の供述は信用することができない。
(3)  一方,証拠(乙ロ1,乙ハ1,被告Y1,被告Y2)及び弁論の全趣旨によると,被告Y1は,遅くとも本件契約締結時には,被告会社が本件証券損害の回復に係る契約の主体となることが弁護士法に牴触するおそれがあることを認識していたものと解される上,実際上も,被告会社ないし被告Y1が本件証券損害を回復する手だてを有していたとは解されない。
また,被告Y1の陳述書(乙イ8)によると,被告Y1は,本件契約締結に先立ち,原告から,原告がb社担当者にキャッシュカードを預け,自己の口座から同社の口座への入金まで任せていたこと,同社に1億円以上を預託したまま,同社担当者に言われるまま押印するなど運用を任せきりにし,原告自身は投資先すら認識していなかったこと,本件証券損害発生後,同社から開示を受けた取引明細の一部のみによって同社への預託額を計算すべく,30万円もの報酬を支払って公認会計士に計算を依頼したことなどを聴取し,かかる原告の行動につき内心あきれ返るなどしていたというのであるから,被告Y1は,かかる原告の過去の行動やそこからうかがわれる性向等を認識した上で本件契約締結に至ったものといえる。
以上の事実に,被告Y1が原告に対し,本件契約書の記載内容や被告会社の料金体系(甲9)に反して,調査費用の全額を前払いさせていることや,仮に,被告Y1らの主張するように,被告Y1らが原告に対してAの勤務場所を報告した事実が存在したとしても,多額の調査費用の支払を受けながら調査報告書を作成せず,路上における口頭報告にとどめること自体が,探偵業者の行動としておよそ考え難いものであることなどの事情を併せ考えると,被告Y1は,原告から調査費用名目で多額の金員を詐取することをもくろみ,上記(2)のとおり原告に本件証券損害の回復を持ちかけ,その回復見込額を基準とする成功報酬額を提示しつつ,契約上の受任内容については巧みに調査業務にすり替えた上で本件契約を締結し,被告会社によって本件証券損害の回復がされるものと信じた原告から金員の支払を受け,これを領得したものと推認することができる。
そうである以上,かかる被告Y1の行為は,原告の財産権を侵害したものとして,原告に対する不法行為に該当するものというべきであるし,それは自らが代表者を務める被告会社の行為としての側面も有するものであるから,被告会社も,被告Y1と共同して不法行為責任を負うものというべきである。
(4)  以上によると,原告は,被告Y1らに対し,不法行為に基づく損害賠償請求権として,被告会社への支払額と同額である367万5000円及び原告の本訴提起に係る弁護士費用36万7500円(当該弁護士費用も,被告Y1らの上記不法行為と相当因果関係のある損害と認められる。)並びにこれに対する不法行為の後の日である平成23年8月23日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の請求権を有する。
2  争点2について
(1)  証拠(甲7の1及び2,甲12,乙イ3ないし5,8,9,乙ロ1,2,乙ハ1,被告Y1,被告Y2)によると,以下の事実を認めることができる。
ア 行政書士であった被告Y2は,被告会社から書面作成等の依頼を受けるなどして,また,ウェブ製作会社の代表者を務めていた被告Y3は,被告会社のホームページについての相談を受けるなどして,それぞれ被告会社と関わっていたところ,平成17年頃,被告会社が調査業務と行政書士による書面作成業務を併せて提供する事業(「○○」事業)を発案し,これを被告会社の事業として行うこととなったため,被告Y2が行政書士として,被告Y3が広告宣伝に関するアドバイザーとして,それぞれ当該事業に関わるようになり,さらに被告Y2らは,被告Y1の依頼により,平成19年6月までに被告会社の取締役に就任した(ただし,被告Y2らは,被告会社から取締役報酬の支払は受けていなかった。)。
イ その後,被告会社は,「○○」事業を展開していたが,平成21年3月頃,第二東京弁護士会非弁護士取締委員会から,被告会社が当該事業の契約主体となることにつき弁護士法との関係で疑義がある旨の指摘を受け,さらに被告会社の顧問的立場にあった弁護士からも本件事業の廃止を助言されたことから,被告会社は,同月には「○○」事業を廃止することとなった。
ウ 被告Y2らは,もともと「○○」事業の展開のために取締役に就任したものであったことから,いずれも当該事業の廃止に伴って被告会社の取締役を辞任することで被告Y1の了解を得,平成21年5月31日付けで辞任することとなった(なお,原告は,辞任に伴う登記手続がされていないことをもって辞任の事実を争うが,前掲証拠に照らすと,この点に関する原告の主張は採用し得ない。)。同時に,被告会社は,取締役会及び監査役を置く旨の定款の定めを廃止することとし,同日に開催された臨時株主総会においてその旨の決議がされた。
(2)  ところで,上記1において認定した被告Y1らの原告に対する不法行為は,被告Y2らの取締役辞任に先立つ平成21年1月頃からの,被告Y1ないし被告会社に対する本件証券損害の賠償請求に関する相談を契機とするものであるが,被告会社における「○○」事業の廃止ないし被告Y2らの取締役辞任より前から,被告Y1らによる上記不法行為ないしその一部がされていたことを裏付けるに足りる的確な証拠はなく,かえって,上記事業廃止に伴い収入源を失うこととなったために上記不法行為に及ぶに至ったものと解するのが自然であるといえる。
上記のとおり,そもそも被告Y1らによる上記不法行為が被告Y2らの取締役辞任後にされたものと解される以上,被告Y2らには,「職務を行うについて悪意又は重大な過失」(会社法429条1項)を認めることはできず,被告Y2らが同条項に基づく損害賠償責任を負う旨の原告の主張は失当である。
(3)  また,原告は,仮に,被告Y2らの取締役辞任後に被告Y1らによる上記不法行為がされたとしても,被告Y2らが被害防止に向けた措置を講ずることなく辞任した以上,被告Y2らの辞任前の関与と原告の損害との間に因果関係が認められ,被告Y1らと共同で不法行為責任を負う旨主張する。
しかしながら,上記1に認定したとおり,本件における被告Y1らによる不法行為は,被告会社における「○○」事業の廃止及び東京都行政書士会の被告Y2に対する処分(甲7の1及び2)の対象となったいわゆる非弁行為ではなく,むしろ詐欺行為ともいうべきところ,被告会社が被告Y2らの取締役辞任前から同様の詐欺行為を行い,かつ,被告Y2らがこれに関与していたことを認めるに足りる的確な証拠はない(独立行政法人国民生活センターの回答書(甲11)によっては,かかる事実を認定することはできない。)。そうである以上,被告Y1らの上記不法行為につき被告Y2らが共同不法行為責任を負う根拠を欠くものというべきであるから,原告の上記主張を採用することはできない。
(4)  よって,原告の被告Y2らに対する請求は理由がない。
3  結論
以上のとおり,原告の本訴請求のうち,被告Y1らに対する請求については理由があるからこれを認容し,被告Y2らに対する請求については理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。
(裁判官 日景聡)

 

別紙
当事者目録
東京都大田区〈以下省略〉
原告 X
同訴訟代理人弁護士 荒井哲朗
同 浅井淳子
同 太田賢志
同 佐藤顕子
同 五反章裕
横浜市〈以下省略〉
被告 株式会社Y4
同代表者代表取締役 Y1
三重県伊勢市〈以下省略〉
被告 Y1
東京都中央区〈以下省略〉
被告 Y2
横浜市〈以下省略〉
被告 Y3
以上

 

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