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判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(171)平成25年 5月27日 東京地裁 平23(ワ)38599号 損害賠償請求事件

判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(171)平成25年 5月27日 東京地裁 平23(ワ)38599号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成25年 5月27日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平23(ワ)38599号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2013WLJPCA05278008

要旨
◆原告らが、被告会社との間で締結した組合契約につき、同契約は投資事業有限責任組合契約に関する法律(投責法)所定の投資事業有限責任組合であり、法令及び組合契約上、外国法人に対して投資を行うことは制限されていたにもかかわらず、その業務の執行を担う被告会社は、組合の出資金全額を外国法人の株式取得に充てたから、善管注意義務違反があるなどとして、被告会社及び同社の被告役員らに対し、損害賠償を求めた事案において、原告らは、本件組合契約の締結に際し、その出資金の全額を本件米国法人の株式取得に充てることを合意したものであるから、投責法3条1項11号が規定する事業を営むことを合意したとは認められず、本件組合は民法の組合にすぎないとした上で、本件株式取得は、業務執行組合員である被告会社の権限の範囲を逸脱するものではなく、被告会社の善管注意義務違反は認められないなどとし、請求を棄却した事例

参照条文
投資事業有限責任組合契約に関する法律1条
投資事業有限責任組合契約に関する法律3条
投資事業有限責任組合契約に関する法律7条
投資事業有限責任組合契約に関する法律16条
民法644条
民法671条
会社法429条

裁判年月日  平成25年 5月27日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平23(ワ)38599号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2013WLJPCA05278008

東京都大田区〈以下省略〉
原告 大京建機株式会社
同代表者代表取締役 X1
東京都世田谷区〈以下省略〉
原告 X1
上記両名訴訟代理人弁護士 水成直也
同 經田晃久
東京都千代田区〈以下省略〉
被告 ビッグフィールズ株式会社
同代表者代表取締役 Y1
東京都渋谷区〈以下省略〉
被告 Y1
東京都渋谷区〈以下省略〉
被告 Y2
山形県酒田市〈以下省略〉
被告 Y3
上記4名訴訟代理人弁護士 横山渡

 

 

主文

1  原告らの請求をいずれも棄却する。
2  訴訟費用は,原告らの負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
1  被告らは,原告X1に対し,連帯して2475万6600円及びこれに対する被告Y1,被告Y2については平成23年12月8日から,被告ビッグフィールズ株式会社については同年12月9日から,被告Y3については同年12月10日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  被告らは,原告大京建機株式会社に対し,連帯して1239万5900円及びこれに対する被告Y1,被告Y2については平成23年12月8日から,被告ビッグフィールズ株式会社については同年12月9日から,被告Y3については同年12月10日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
1  本件は,原告らが,被告ビッグフィールズ株式会社(以下「被告会社」という。)との間で締結した組合契約につき,同契約は投資事業有限責任組合契約に関する法律(以下「投責法」という。)所定の投資事業有限責任組合であり,法令及び組合契約上,外国法人に対して投資を行うことは制限されていたが,それにもかかわらず,その業務の執行を担う被告会社は,組合の出資金全額を外国法人の株式取得に充てたから,善管注意義務違反があり,これにより原告らは各出資金相当額の損害を被ったと主張して,被告会社に対しては同義務違反に基づき,被告会社の役員であるその余の被告らに対しては,会社法429条1項に基づき,損害賠償を求める事件である。
2  前提事実(争いのない事実並びに後掲証拠及び弁論の全趣旨による認定事実)
(1)  当事者等
原告大京建機株式会社(以下「原告会社」という。)は,建設重機のレンタル・販売等を業とする株式会社であり,原告X1(以下「原告X1」という。)は,その代表取締役である。
被告会社は,投資事業組合財産等の運営管理業務等を業とする株式会社であり,被告Y1(旧姓「A」。以下「被告Y1」という。)は,その代表取締役である。
被告Y2(以下「被告Y2」という。)は被告Y1の妻,被告Y3(以下「被告Y3」という。)は被告Y1の父であり,いずれも被告会社の取締役である。
(2)  組合契約の締結
原告らは,平成18年5月上旬頃,被告会社との間で,同年4月7日付け投資事業有限責任組合契約書(甲4,5。以下「本件組合契約書」という。)を取り交わし,組合契約を締結して,被告会社を業務執行者とするIPLCS投資事業有限責任組合(以下「本件組合」という。)の組合員となった(以下,このとき原告らとの間で成立した組合契約を指して「本件組合契約」という。)。
原告X1は,同年5月9日,本件組合契約に基づき,2口分の出資金合計22万米ドル(換金レートは1ドル112.53円。合計2475万6600円。)を被告会社指定の口座に振り込んだ(甲10,11,13)。
原告会社は,同年5月8日,本件組合契約に基づき,1口分の出資金11万米ドル(換金レートは1ドル112.69円。合計1239万5900円。)を被告会社指定の口座に振り込んだ(甲12,13)。
(3)  外国法人の株式取得
被告会社は,原告らを含む本件組合の組合員から集めた出資金の全額である3億3588万1920円を,米国法人であるIPLocks, Inc(以下「IP社」という。)の株式取得に充てた(甲6~8,各枝番を含む。以下「本件株式取得」という。)。
IP社は,データベース・セキュリティ対策ソフトの開発及び販売を主な目的とする米国法人であり,米国,ヨーロッパや日本等の複数の国の市場で営業している。IP社の日本における営業窓口は,IP社の完全子会社であるアイピーロックスジャパン株式会社(以下「IPジャパン」という。)が担っている(乙32,被告Y1本人)。
(4)  法令の定め
ア 投責法1条
投責法1条は,目的について,次のとおり定める。
この法律は,事業者に対する投資事業を行うための組合契約であって,無限責任組合員と有限責任組合員との別を約するものに関する制度を確立することにより,事業者への円滑な資金供給を促進し,その健全な成長発展を図り,もって我が国の経済活力の向上に資することを目的とする。
イ 投責法3条1項及び投責法施行令3条
投責法3条1項柱書は,投資事業有限責任組合契約は,各当事者が出資を行い,共同で同項1号から12号に掲げる事業の全部又は一部を営むことを約することにより,その効力を生ずるとしている。
そして,同項11号は,事業の内容として,外国法人の発行する株式等の取得及び保有であって,政令で定めるところにより,同項1号から10号に掲げる事業の遂行を妨げない限度において行うものを掲げ,投責法施行令3条は,同事業については,上記株式等の取得価額の合計額が,総組合員の出資の総額の50%未満に収まる範囲内において,組合契約の定めるところにより行わなければならないとしている。
ウ 投責法7条
投責法7条は,組合の業務施行の方法について,次のとおり定める。
(ア) 組合の業務は,無限責任組合員がこれを執行する(同条1項)。
(イ) 無限責任組合員が投責法3条1項に掲げる事業以外の行為を行った場合は,組合員は,これを追認することができない(同条4項)。
エ 善管注意義務
無限責任組合員は,投資事業有限責任組合の業務執行に際し,善管注意義務を負う(投責法16条,民法671条,同法644条)。
(5)  本件組合契約書の記載
本件組合契約書6条12号では,投責法3条1項11号及び投責法施行令3条と概ね同様に,外国法人等への投資が制限されている。
また,本件組合契約書19条1項は,「無限責任組合員は,別紙1記載の投資ガイドラインに従い,組合財産を本契約第6条の目的のために運用するものとする。」と規定し,同ガイドライン「2.投資制限」は,「外国の未公開会社等への投資は,出資金総額の20%を上限といたします。」と規定している。
3  争点及び当事者の主張
(1)  原告らの主張
ア 被告会社の善管注意義務違反
本件組合の無限責任組合員であり,業務執行者である被告会社は,その業務執行に際し,組合員である原告らに対して善管注意義務を負っている(投責法16条,民法671条,同法644条,本件組合契約書13条)。そして,被告会社には,本件組合の業務を執行するに際し,次の内容の善管注意義務違反があった。
(ア) 無権代理行為
被告会社は,本件組合契約書上出資金総額の20%内との制限があるにもかかわらず,それを遙かに超える出資金全額を外国法人であるIP社に出資したことで,投責法3条1項1号ないし10号の事業を妨げ,投責法及び本件組合契約に違反する投資事業を行った。かかる行為は,投責法3条1項11号並びに本件組合契約書6条12号及び19条1項に違反するものであるから,本件組合の組合員が追認することのできない無権代理行為であり,善管注意義務に違反するものである。
(イ) 調査義務,経営又は技術指導義務違反
被告会社は,IP社への出資に際し,同社の実情等を十分に調査しなかったし,本件組合契約書19条2項の規定に則って投資契約を締結しなかった。また,被告会社は,組合員に対して,本件組合契約書23条に基づき出資先に対する経営又は技術指導をする義務を負っていたが,被告Y1は,一度もIP社の株主総会に出席せず,漫然とその経営を放置しており,何らIP社に対する経営又は技術指導を行っていない。
このような被告会社の対応は,善管注意義務に違反する。
イ 被告らの責任
被告会社は,上記アの善管注意義務違反により,原告らに生じた損害を賠償する義務を負う。また,同義務違反は,被告会社の代表取締役である被告Y1の悪意又は重過失によるものであるから,同人は,会社法429条1項に基づき,損害賠償責任を負う。被告Y2及び被告Y3についても,被告会社の取締役として,被告Y1の任務懈怠行為を監視する義務があったがこれを怠ったものであるから,会社法429条1項に基づき,損害賠償責任を負う。
ウ 被告らが賠償すべき原告らの損害
被告会社が,投責法及び本件組合契約書の定めに違反して外国法人に出資金全額を投資していることからすれば,本件組合がその本来の目的を達成し得ないことは明らかであり,本件組合全体が瑕疵を帯びているといわざるを得ない。そうであれば,原告らの出資額(原告X1は2475万6600円,原告会社は1239万5900円)全額が,上記アの善管注意義務違反により原告らが被った損害と解すべきである。
(2)  被告らの主張
ア 次のとおり,被告会社に善管注意義務違反はない。
(ア) 被告会社は,米国での上場を目指すIP社への投資に際し,同社から投資事業有限責任組合の形式による投資の要望を受けたことで,本件組合を組成した。すなわち,本件組合契約締結後にIP社への投資が行われることになったのではなく,同社への投資をすることを目的として本件組合は組成された。そして,原告らは,本件組合契約締結の際,外国法人へ投資を行うという上記本件組合の目的を知っていた。
被告会社は,原告らに対し,IP社への投資の前後において,同社の事業報告書や会計報告書等を開示するなどして,投資の内容やIP社の事業内容等を説明しているから,説明義務は果たしているし,原告らからは,本件組合への出資の前後を問わず,外国法人に投資することや法令違反及び本件組合契約違反などの指摘は受けていない。
なお,本件組合は,広く投資家を募るような性質のものではなかったから,その組成に際し,契約書等の書類を新たに作成することはせず,既存の投資事業有限責任組合における書式等を流用したもので,本件組合契約書は,このような流用書面にすぎない。
したがって,被告会社が外国法人たるIP社へ出資金全額の投資を行ったことは,形式的には法令及び本件組合契約書の定めに抵触するとしても,実質的には被告会社の原告らに対する善管注意義務違反にならないことは明らかである。
(イ) 被告会社は,IP社への投資に当り,同社の実情を十分に調査している。そして,いかなる方法により経営又は技術指導を行うかは無限責任組合員の裁量により決定される(本件組合契約書23条2項)ものであるし,実際に,IP社に対しては,被告会社と被告Y1の人脈を利用した販売支援を行っている。そもそも,IP社は技術系の会社であるから,被告会社による技術的な指導は行えない。したがって,この点に関する被告会社の善管注意義務違反も認められない。
イ 本件株式取得により,IP社の株式は実質的に本件組合に共有的に帰属しており,同社及び各組合員から株式の帰属が否定されたことは一切ない。また,IP社につき,経営危機等の事実は全く存しない。
なお,投資対象の会社が結果的に倒産等したからといって,そのことによって損害賠償の問題が発生するものでもない。
したがって,仮に被告会社に善管注意義務違反があったとしても,同義務違反によって,原告らに損害が生じたとは認められない。
第3  当裁判所の判断
1  認定事実
前記前提事実に加え,証拠(後掲)及び弁論の全趣旨からすると,次の事実が認められる。
(1)  勧誘時の状況
ア IP社は,平成18年4月27日,東京都千代田区〈以下省略〉の会議室において,投資家向けの事業説明会(以下「本件説明会」という。)を開催した。IP社の当時の社長であるB(以下「B」という。)は,本件説明会に出席した投資家に対して,IP社の事業の概要,今後の事業計画,同社の製品であるデータベースのセキュリティシステムの特徴などを説明した。
IPジャパンの社長であるC(以下「C」という。)は,本件説明会において,Bの上記説明終了後,IP社及びIPジャパンの事業説明として,IP社の技術や事業の将来性,成長性などの補足説明をするとともに,上記事業に対する投資方法について説明をした。
原告X1は,本件説明会において,Cによる上記説明が始まる頃に出席したため,Bの説明は聞かなかったものの,Cの上記説明及び被告Y1からの個別の説明により,①IP社及びIPジャパンはデータベース・セキュリティ対策ソフトの開発,販売を事業とし,日本や米国を含め複数の国で営業していること,②米国法人のIP社がデータベース・セキュリティ対策ソフトを開発して販売していたところ,今後日本で情報漏えいに関する法律(いわゆるJSOX法)が成立することをきっかけとして日本法人であるIPジャパンが日本の金融機関等に販売,営業を拡大する計画であること,③IP社は米国証券市場に上場し,上場会社として資金調達を目指して準備していること,④IP社に対する投資の方法としては,組合を組成して組合員からの出資金を取り纏めた上で,その出資金によりIP社の株式を取得する計画であることを認識した。
(甲14,乙17,32,原告X1本人p19~22,被告Y1本人p2)
イ 原告X1は,本件説明会の場で投資を決定せず,一度持ち帰って検討することにした。被告Y1は,本件説明会の後,原告X1に対して,更にIP社への投資を勧誘し,これにより原告X1は,原告会社とともにIP社への投資をすることに決め,原告らの署名押印がされた本件組合契約書を被告Y1の事務所に持参した。
(甲14,原告X1本人)
ウ 原告X1は,被告Y1から,本件組合契約書の条項などの中身について,詳しい説明はされなかったが,被告会社が最初のセットアップフィーとして出資総額の3%を受領するとともに,さらに株式売却の場合は純益の20%を成功報酬として,管理報酬として事業年度毎に組合純資産額の3%を受領することになっていることの説明を受けた。
また,原告らは,「ご出資にあたっての留意点―リスク等確認書(個人用)」と題する書面を交付され,その内容を確認した上で,各々,署名押印したところ,上記確認書には,「1.投資先の企業は,証券取引所に上場されている企業や日本証券業協会に登録されている企業等に比較して,設立して間もないもの,収益基盤が確立されていないもの,財務体質が脆弱な状態となっているもの等であり,非常に高いリスクを有しています。本組合は,こうしたリスクの高い企業に投資しますので,出資額の元本を割り込み,または出資額の全てを失うことがあります。」との記載がある。
(甲14,乙30~32,原告X1本人)
エ 原告X1及び被告Y1は,本件組合契約の締結時において,①法令上,投資事業有限責任組合は外国法人の発行する株式を取得及び保有することが制限されていること,②本件組合契約書において,上記①と同様の制限のほか,外国の未公開会社等への投資が出資総額の20%を上限とする旨の記載がされていることを知らなかった(原告X1本人p20,被告Y1本人p5)。
(2)  本件組合の組成後の事情
ア 被告会社は,本件組合によるIP社の株式取得のために,受取人(WILSON SONSINI GOODRICH AND ROSATI TRUST ACCOUNT USA)の口座に,平成18年5月10日に180万米ドル,同月12日に75万2000米ドル,同月26日に44万米ドルの計299万2000米ドルを送金し,本件株式取得を実行した(乙19~25,被告Y1本人)。
イ 被告Y1は,本件組合の組成後,原告らを含む本件組合の組合員に対して,IP社の事業報告書,決算報告書等を開示し,IP社から被告会社宛に株主説明会の案内等の資料が送付された場合は,原告らを含む組合員らに対して,メールの転送や郵送などにより当該資料を送付した(乙1~16,各枝番を含む。)。
ウ IP社は,IPジャパンを通じて,平成19年6月14日(乙2の2),同年11月20日(乙5の2),同年12月7日(乙6の1),平成20年5月23日(乙8の2,10の2),平成23年7月28日(乙16)等に,日本国内において,株主説明会や事業説明会を開催した。
原告X1は,上記説明会のほぼ全てに出席したが,本件組合が出資金を米国法人であるIP社の株式取得に充てたことについては,説明会で質問することはなかったし,説明会後に被告Y1に対して特に異議を述べることもなかった。
(乙32,原告X1本人,被告Y1本人)
エ IP社は,本件組合組成時に予定していた売上を実現することができず,平成19年1月頃から業績が悪くなり始め,結局,米国での上場を実現することはできなかった。
被告Y1は,平成19年12月頃,本件組合員に対して,本件組合を解散し本件組合が保有するIP社の株式を組合員に渡す旨の提案をしたところ,原告X1から反対を受けたため,結局,本件組合は解散しなかった。
原告X1は,平成20年頃,被告Y1から,IP社が海外事業と資産を第三者に売却した旨の報告を受けた。
(乙32,被告Y1本人p25)
2  無権代理行為による善管注意義務違反について
(1)  前記前提事実(4)のとおり,投責法3条1項柱書は,投資事業有限責任組合契約につき,各当事者が出資を行い,同項各号に掲げる範囲内で共同の事業を行うことを約することによって,その効力を生じる旨を定めているから,同契約の本質は,これらの出資及び合意にあるものと解される。このことに加え,投責法1条を始めとする各条項の文言やその趣旨を考慮すれば,投資事業有限責任組合の制度目的は,各当事者が出資をして,投責法3条1項各号に掲げる範囲内で共同の事業を営むことを約する組合契約が成立することを前提として,その組合契約に無限責任組合員と有限責任組合員との別を設ける場合の組合制度の規律を確立することによって,国内事業者への円滑な資金供給を促進することにあるといえる。そうすると,当事者間で組合契約を締結するに際し,投責法所定の投資事業有限責任組合契約としてその効力が発生し,当該組合契約が投責法の定める規律に服するものとするためには,当該組合契約において,まずはその目的が投責法3条1項各号に掲げる事業を営むことであることについて明確な合意をしなければならないものと解される。そして,投責法は1条で,我が国の経済活力の向上に資することが投責法の目的であると規定し,投責法2条1項でも,事業者の定義から外国法人を除外していることのほか,投責法3条1項11号及び投責法施行令3条の規定振りに照らせば,専ら外国法人を対象とした投資事業は,投責法3条1項11号に掲げる事業には当たらないと解するのが相当である。
(2)ア  本件についてこれをみると,まず,前記前提事実(2)及び認定事実(1)ア及び後掲証拠によれば,①原告X1は,ⅰ本件説明会の際,IP社とIPジャパンという二つの会社があって,両者は別個の企業であり,データベース・セキュリティ対策ソフトの製品を開発しているIP社は,米国において営業し,IPジャパンは,上記製品を日本において拡大販売することを計画していること,ⅱ投資対象企業は米国の証券市場への上場を目指していることを認識していたこと,②原告らは,本件組合契約に基づく出資金の支払につき,米国ドルを用いた外国送金の方法により行っていること,③被告会社が本件組合契約成立後に原告らに送付した資料には,投資対象企業はIP社であり,所在地が米国にあることが記載され(甲6の1・3),株主説明会等においては投資対象の企業はIP社であることを前提とした説明がされていたが,原告X1は,同説明会においてその説明に疑問を呈することがなく,説明会後,被告Y1に対して投資対象企業がIP社であることについて特に異議を述べていないことが認められる。
イ  ところで,投資の対象となる企業の情報は,投資を決定する上で極めて重要な事項であり,投資後に予定していた企業と異なる企業への投資であることが判明したのであれば,当然に異議を述べるなどの行動に出るはずである。
しかし,上記アのとおり,原告X1は,本件説明会の時点において,IP社とIPジャパンを区別し,投資先企業が米国証券市場への上場を目指す計画であることを認識していた上,本件組合契約締結後に送付された資料や株主説明会等での説明を確認した際も,投資の対象がIP社であることについて何ら異議を述べていないし,原告X1の供述によれば,同人は本件組合契約締結時から,IP社が米国証券市場に上場するか否かに重大な関心を寄せていたことが窺えるから,原告X1は,本件組合契約締結の時点で,本件組合の投資対象が米国法人であるIP社であること自体は認識していたというべきである。
ウ  このような原告X1の認識に加え,前記認定事実(1)によれば,本件組合契約の締結に際し,原告らは,その出資金の全額を米国法人であるIP社の株式取得に充てることを合意したもので,本件組合がその余の事業を行うことについては何ら意図しておらず,そもそも原告ら及び同契約締結の業務を担った被告Y1のいずれもが,投責法の存在及び内容を知らず,それゆえ,投責法3条1項各号に掲げる範囲内の事業を共同して行うとの意識におよそ欠けていたものと認められる。また,確かに本件組合契約書においては,本件組合が外国法人に投資することが一定範囲で制限される旨の記載があるが,原告X1は,本件組合契約締結時にはそのような記載の存在を認識しておらず(前記認定事実(1)エ),被告Y1は,本件組合契約書については,他の投資の際に使用した書式を流用して形式を整えるだけのものという認識であった(被告Y1本人p5,6)ところ,上記のとおり原告らは,本件組合契約書の取り交わしとは別に,出資金の全額を米国法人の株式取得に充てることについて明確に合意をしているのであるから,少なくとも外国法人への投資制限の点については,本件組合契約書をもって,その旨の合意があったと認めることはできないというべきである。
エ  以上のとおり,原告らは,本件組合契約の締結に際し,その出資金の全額を米国法人の株式取得に充てることを合意したものであるから,投責法3条1項11号が規定する事業を営むことを合意したとは認められず,その他同項各号に掲げる範囲内の事業を行うことの合意が成立したとも認められないから,投責法所定の投資事業有限責任組合契約は成立していないというべきである。
したがって,本件組合は投資事業有限責任組合ではなく,実態としては,原告ら及びその他出資者が,出資による共同の事業(IP社のデータベース・セキュリティ事業への投資)を営むことを約して組成した民法上の組合(民法667条)にすぎないと解される。
(3)  そうすると,本件組合契約書上でも組合の業務執行を担うものとされる被告会社は,実態としては業務執行組合員(民法670条,674条,671条,644条)であり,本件株式取得は,特にこれを制限する法令及び合意はないから,業務執行組合員である被告会社の権限の範囲を逸脱するものではない。
したがって,本件株式取得は,原告ら本件組合員に対する無権代理行為ではなく,この点に関する被告会社の善管注意義務違反は認められない。
3  経営又は技術指導義務違反について
(1)  原告らは,被告会社が,組合員に対して,本件組合契約書23条に基づき出資先に対する経営又は技術指導をする義務を負っているにもかかわらず,一度もIP社の株主総会に参加せず,漫然と経営を放置し,何らIP社に対する経営又は技術指導を行っていないとして,無限責任組合員としての善管注意義務違反が認められると主張する。
(2)  しかし,前記2(2)の検討結果に照らせば,原告X1は,本件組合契約書の各条項の内容を認識した上で,本件組合契約を締結したものではないと認められるし,本件組合契約書の規定上,業務執行組合員の善管注意義務の内容として,投資先に対する具体的な経営又は技術指導の内容や方法は何ら定められていない。そうすると,具体的にいかなる指導をすべきか,本件組合契約書上から直ちに特定することはできず,その他具体的な経営又は技術指導の内容に関する合意を認めるに足りる事情もない。
したがって,被告会社に経営又は技術指導義務違反があるとは認められない。
4  調査義務違反について
(1)  原告らは,被告Y1が,本件株式取得にあたり,IP社との投資契約の内容について一切確認することがなく,また,同社の実態についても正確に把握せずに投資を行っていることから,無限責任組合員としての善管注意義務に違反する旨主張する。
(2)  しかしながら,前記2(2)で認定説示したとおり,本件組合は,組成前からIP社への投資だけを目的として組成され,その目的に従った株式取得が実行されることが組成前から計画されており,原告らもこの目的や計画を十分に認識し理解していたと認められるから,本件組合の投資計画において,被告会社が投資先企業としてIP社を選定せずに,本件組合の出資金を他の方法で運用することは元々予定されていなかったというべきである。
そうすると,被告会社が,本件組合の組成後に,業務執行組合員として投資先を選定するための何らかの調査をすべき義務を観念することはできず,したがって,投資先の選定に関して被告会社の無限責任組合員としての善管注意義務違反があるとする原告らの上記主張は,採用することができない。
5  なお,原告らは,IP社への投資が米国法人への投資であると認識していたのであれば,その投資は行わなかった旨主張するが,前記2(2)で認定したとおり,原告X1は,本件組合の投資先が米国のIP社であることを認識していたのであるから,原告らの上記主張も採用することができない。
6  以上のとおり,被告会社の原告らに対する善管注意義務違反は認められない。したがって,被告Y1,被告Y2及び被告Y3らの役員責任も認めることはできない。
第4  結論
よって,原告らの請求はいずれも理由がないから,これらを棄却することとして,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 戸田久 裁判官 石井義規 裁判官 中野雄壱)

 

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