判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(156)平成25年12月17日 東京地裁 平24(ワ)27597号 損害賠償請求事件
判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(156)平成25年12月17日 東京地裁 平24(ワ)27597号 損害賠償請求事件
裁判年月日 平成25年12月17日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平24(ワ)27597号
事件名 損害賠償請求事件
裁判結果 請求棄却 文献番号 2013WLJPCA12178017
要旨
◆適法な金融商品ではないモンゴル資源開発ファンドに出資した原告が、被告会社の代表取締役である被告Y1は訴外N社の代表取締役である訴外Aらと共に違法な本件ファンドの組成、販売を行ったから、共同不法行為に基づく損害賠償責任を負い、被告会社は組織的に詐欺商法を共同して行ったから、共同不法行為及び会社法350条に基づく損害賠償責任を負い、被告会社の代表取締役である被告Y2及び同取締役である被告Y3は、会社法429条1項により損害賠償責任を負うと主張して、被告らに対し、連帯しての損害賠償を求めた事案において、訴外N社の原告に対する勧誘については説明義務違反の不法行為が成立するものの、被告Y1及び被告会社が本件ファンドに関与した経緯及び助言した内容等に照らせば、被告Y1及び被告会社に違法行為があったとは認められないとして、原告の請求を棄却した事例
参照条文
会社法350条
会社法429条
民法719条
裁判年月日 平成25年12月17日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平24(ワ)27597号
事件名 損害賠償請求事件
裁判結果 請求棄却 文献番号 2013WLJPCA12178017
埼玉県志木市〈以下省略〉
原告 X
同訴訟代理人弁護士 荒井哲朗
同 平澤慎一
同 五反章裕
東京都港区〈以下省略〉
被告 株式会社日本中央会計事務所
同代表者代表取締役 Y1
千葉県市川市〈以下省略〉
被告 Y1
川崎市〈以下省略〉
被告 Y2
神奈川県鎌倉市〈以下省略〉
被告 Y3
被告ら訴訟代理人弁護士 中村信雄
同 田中裕美子
主文
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は,原告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
被告らは,原告に対し,連帯して733万1050円及びこれに対する被告株式会社日本中央会計事務所については平成24年10月19日から支払済まで,被告Y1については同月20日から支払済みまで,被告Y2については平成24年10月27日から支払済みまで,被告Y3については同月19日から支払済みまで,それぞれ年5分の割合の金員を支払え。
第2 事案の概要
本件は,適法な金融商品ではないモンゴル資源開発ファンド(以下「モンゴルファンド」という。)に出資した原告が,被告Y1(以下「被告Y1」という。)は,A(以下「A」という。)らと共に違法なモンゴルファンドの組成,販売を行ったから共同不法行為に基づく損害賠償責任を負うと主張して,被告株式会社日本中央会計事務所(以下「被告日本会計」という。)は組織的に詐欺商法を共同して行ったから共同不法行為及び会社法350条に基づく損害賠償責任を負うと主張して,被告日本会計の代表取締役である被告Y2(以下「被告Y2」という。)及び被告日本会計の取締役である被告Y3(以下「被告Y3」という。)は,会社法429条1項により損害賠償責任を負うと主張して,被告らに対し,損害賠償を請求した事案である。
以下,引用する書証については,原則として枝番号を含むものとする。
1 前提事実(証拠番号の記載がない事実は争いがない。)
(1) 当事者
ア New Asia Asset Management株式会社(以下「ニューアジア社」という。)は,平成15年3月18日に設立されたソフトウェアの開発及び販売等を目的とする株式会社であり,モンゴルファンドの私募の取扱業者である。
Aは,平成20年7月1日から現在までニューアジア社の代表取締役である。
イ Mongol Asset Management合同会社(以下「モンゴル社」という。)は,匿名組合であるモンゴルファンドの営業者であり,B(以下「B」という。)は,その代表社員である。
ウ 東京プリンシパル・セキュリティーズ・ホールディング株式会社(以下「東京プリンシパル」という。)は,ニューアジア社からモンゴルファンドの私募の取扱業務を受託し,東京プリンシパルの従業員C(以下「C」という。)は,ニューアジア社の名において私募の取り扱い業務を行った(甲5,10,12)。
東京プリンシパルは,平成19年1月11日,適法な手続により顧客への周知を図ることなく臨時株主総会において証券業の廃止を決定してその旨の届出を行ったとして,関東財務局から,同月12日,証券取引法第56条1項の規定に基づく業務改善命令及び金融先物取引業の登録の取消の行政処分を受け,その後,代表取締役社長及び監査役は,証券取引等監視委員会の検査官による検査を拒否したり,証券業に関する書類をシュレッダーで裁断するなどして更に第1種金融商品取引業の登録取消の行政処分を受けた会社であった(甲24,25,29)。
エ 被告日本会計は,平成14年1月9日に設立され,生命保険の募集に関する業務等を目的とする会社である。
被告Y1は,公認会計士であり,同年2月5日から被告日本会計の代表取締役の地位にある。
被告Y2は,同年2月5日から被告日本会計の代表取締役の地位にある。
被告Y3は,平成19年6月1日から被告日本会計の取締役の地位にある。
(2) 原告は,平成21年8月31日,Cからモンゴルファンドへの出資の勧誘を受け,Cに対し,モンゴルファンド101口,1010万円を出資し,契約事務手数料として10万6050円を支払う旨記載したモンゴルファンドの出資申込書を提出して,匿名組合営業者であるモンゴル社と金融商品取引契約(以下「本件取引契約」という。)を締結してモンゴルファンドへの出資申込をし(甲9,10),同年9月8日,モンゴル社の銀行預金口座へ1020万6050円を送金した(甲11)。
(3) 原告は,平成21年10月15日,モンゴル社からモンゴルファンドの返還金名目で353万5000円の返金を受けた(弁論の全趣旨)。
(4) 関東財務局は,平成21年9月11日,金融商品取引業登録のない東京プリンシパルに私募の取り扱いを行わせたこと等を理由として,ニューアジア社に対し,金融商品取引業の取消し及び業務改善命令の行政処分をした。
2 争点
(1) モンゴルファンドの違法性
(原告の主張)
ニューアジア社は,モンゴルファンドについて,出資金をモンゴル国内での資源開発における重機等のリース運用等に供し,そのリース運用等により生じた収益を出資者への配当に充てる,年間11.6%の配当があり,2年間のファンドの終了時には元本を全額返還する,途中で失敗することはあり得ないと顧客に説明していたにもかかわらず,ファンド開始直後に出資金の25%を東京プリンシパルの販売委託報酬として支払い,第1回目の配当から蛸足配当を行うなど,出資金の相当部分を本来の用途等とは異なる使途に充てることを前提にモンゴルファンドの販売を行っていたのであって,出資者に適切に損益を帰属させる前提を欠いた金融商品であったが,そのような事実を秘して,原告に対し,モンゴルファンドのリスクなどについて誤信させる説明をした。このように,ニューアジア社によるモンゴルファンドの販売には,詐欺,説明義務違反,断定的判断の提供という違法行為があったから不法行為が成立する。
(被告らの主張)
事実の主張については不知。法的主張は争う。
(2) 被告Y1及び被告日本会計にモンゴルファンドに関する違法行為が認められるか。
(原告の主張)
被告Y1は,平成20年3月ころ,Aからモンゴル国内での金の採掘資金を集めてファンドとして運用する事業について助言を求められ,ニューアジア社がファンドの販売管理を行い,別に設立する合同会社がファンドの営業をして採掘業者に投資し,同採掘業者が重機のリース料を合同会社に支払うような形を取るように助言した。
被告Y1は,東京プリンシパルが金融商品取引業の登録を受けておらず,それまでにも行政処分を受けるなど問題を起こしている会社であることを認識しながら,モンゴルファンドの販売を委託する会社として,Aに対して東京プリンシパルを紹介した上,東京プリンシパルの従業員がニューアジア社の従業員として活動するのであれば,東京プリンシパルにモンゴルファンドの販売を委託しても問題ないとの助言をし,東京プリンシパルに対して出資金の25%の報酬を支払っても問題ないと述べ,また,被告日本会計は,ニューアジア社との税務顧問契約に基づき,ニューアジア社から報告された決算や帳簿の内容について,少なくとも配当ができるだけの売上げが実際にあったのかを調査確認すべき義務があったにもかかわらず,これを怠った。
このように,被告Y1は,A,Bと共に,違法なモンゴルファンドを組成し,東京プリンシパルにモンゴルファンドの販売を行わせたから,共同不法行為責任がある。被告日本会計は,組織的に詐欺商法を共同して行ったから共同不法行為責任を負い,取締役である被告Y1が職務について行った違法行為については会社法350条に基づき,従業員が職務について行った違法行為については民法715条に基づく損害賠償責任を負う。
(被告らの主張)
被告Y1は,被告日本会計が税務顧問をしていた不動産会社の株主の紹介でAと知り合った。被告Y1は,平成20年3月ころ,Aから,新しくファンドを組成したいが,第2種金融商品取引業者(以下「2種取引業者」という。)の登録がないので登録をしたいという連絡あり1回面談をした。その際,Aは,被告Y1に対し,モンゴルで金を採掘する会社が発行する社債券をニューアジア社が購入して投資家に販売するファンドを組成したいと述べた。被告Y1は,投資家保護の観点から,投資資金の使い途が決まっているのであれば,採掘重機等をリースするファンドにすることも考えられるとアドバイスをした。
被告Y1は,同年8月1日,東京プリンシパルから海外ファンドを販売してくれる2種取引業者を紹介して欲しいとの要望を受けていた。被告Y1は,Aから2種取引業者への登録の準備ができたという連絡を受けたため,東京プリンシパルに対して,東京プリンシパルの海外ファンドを販売する会社としてニューアジア社を紹介することとし,同年9月,東京プリンシパルの事務所でAとニューアジア社の従業員を東京プリンシパルの代表者らに紹介した。
被告Y1が,モンゴルファンドに関与したのは前記の2点のみであり,被告Y1及び被告日本会計は,違法なモンゴルファンドを組成したことも,東京プリンシパルにモンゴルファンドの販売を行わせたこともない。
また,日本中央税理士法人(以下「訴外法人」という。)は,ニューアジア社及びモンゴル社と税務顧問契約を締結し,税務申告上必要な会計処理がされているか確認をしたが,モンゴルファンドの運営等について相談を受けたことはなく,税務顧問の立場としてリース料の回収や配当の実施方法について助言をしたことはない。
したがって,被告Y1及び被告日本会計は,不法行為責任を負わない。
(3) 被告Y2及び被告Y3は,会社法上の責任を負うか。
(原告の主張)
被告日本会計の代表取締役である被告Y2は,同社の営業が適法なものとなるように業務執行を行うべきであったのに違法な商法を行い,その注意義務を怠ったことについて重過失があり,被告日本会計の取締役である被告Y3は,代表取締役の違法な業務執行を監督し,違法な商法をさせないようにするべき義務があったのにこれを怠ったから,会社法429条1項により損害賠償責任を負う
(被告らの主張)
事実については否認し,法的主張は争う。
第3 争点に対する判断
1 争点(1)(モンゴルファンドの違法性)について
甲6,8~10によれば,ニューアジア社は,原告に対してモンゴルファンドへの投資を勧誘する際,モンゴル国内で金及びその他の鉱物を掘削し生産するモンゴルの現地法人に対してリースする車両,重機及び宿舎等に出資金を投資し,現地法人とのリース契約による賃貸料収入を配当原資として,少なくとも年11.6%の配当を予想しており,奇数月の10日に配当をすること,顧客が負担すべき手数料は,①管理手数料・年間元本の3.6%,②事務手数料・契約時に元本の1%であること,費用の中には合理的な額の弁護士費用,監査報酬等,ファンドの創立・発行にかかわる費用,管理事務手数料,調査費用等が含まれ,事業の営業の開始,遂行及び清算にかかる一切の費用を①及び②の手数料から支弁し,出資者に超過分の負担を求めることはできないことなどをパンフレット,契約締結前交付書面,契約締結時交付書面を交付して説明し,原告は,このようなニューアジア社の説明等を受けて,ニューアジア社との間で本件取引契約を締結したことが認められる。
他方,甲12によれば,ニューアジア社は,平成21年7月28日,ファンドの収益金口座に入金されていた約3000万円をグループ会社の借入金の返済に充て,同年1月から同年7月までの間に,リース料の入金がないにもかかわらず,ファンドの配当金として出資者に支払うなどしており,投資者の出資金が本来の用途等とは異なる使途に充てられていることを知りながらモンゴルファンドの販売を行っていたことが認められる。
しかしながら,ニューアジア社は,原告に対し,モンゴルファンドへの出資の勧誘に当たり,出資金をそのまま出資者への配当として支払ったり,モンゴルファンドと無関係な借入金の返済に充てたこともあるなど出資金を契約締結時交付書面等と異なる用途に使用したことを説明したと認められる証拠はない。
そうすると,ニューアジア社には原告に対する勧誘に際し,投資するか否かの判断に重大な影響を及ぼす説明義務違反があったと認められるから,この点のみを以てしても,ニューアジア社には不法行為が成立する。
2 争点(2)(被告Y1及び被告日本会計の違法行為の有無)について
(1) 原告が,被告Y1又は被告日本会計の違法行為として問題としているのは,①モンゴルファンドの販売を委託する会社として,Aに対して東京プリンシパルを紹介した上,東京プリンシパルの従業員がニューアジア社の従業員として活動するのであれば,東京プリンシパルにモンゴルファンドの販売を委託しても問題ないとの助言をしたこと,②ニューアジア社が東京プリンシパルに対して出資金の25%の報酬を支払っても問題ないと述べたこと,③ニューアジア社から報告された決算や帳簿の内容について,少なくとも配当ができるだけの売上げが実際にあったのかを調査確認すべき義務があったにもかかわらずこれを怠ったことの3点であると認められるので,以下,検討する。
なお,ニューアジア社がファンドの販売管理を行い,別に設立する合同会社が投資家から集めた出資金を使用してリース用の重機等を購入して,これを採掘業者にリースし,採掘業者から重機のリース料を受領し,そのリース料という収益から出資者に配当を,ニューアジア社に販売管理に対する報酬を支払ってファンドを営業するというスキーム自体に違法性があったとの主張立証はない。
(2) 甲13,20,29,乙1~7,被告Y1本人尋問及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
ア 被告Y1は,平成19年ころ,税務顧問をしていた不動産会社の株主から不動産ファンドを組成したいという相談を受けた際,一緒に事業をする予定の者であるとして,当時投資顧問会社の代表者であったAの紹介を受けた。その後,当該不動産会社の業績が悪化して税務顧問契約も解除されたことから,不動産ファンド組成の話は立ち消えになった。
被告Y1は,平成20年3月ころ,Aから,新しくファンドを組成したいが,2種取引業者の登録がないと販売ができないので登録の申請手続を教えて欲しいという相談を受けた。
Aは,同年5月中旬,被告Y1と面談し,被告Y1に対し,不動産ファンドの他,モンゴルで金を採掘する会社の社債券を取得するファンドを組成したいと話した。被告Y1は,海外での新規事業に対するファンドは実績が見えにくく,投資家保護の観点から問題があると考えたことから,Aに対し,投資資金の使途を尋ねたところ,Aは,モンゴルの採掘会社が採掘用の重機等を購入する原資とする予定であると話した。被告Y1は,Aに対し,投資資金の使い途が採掘用の重機等の購入と決まっているのであれば,出資金で購入した重機や設備などをリースして,リース料として得られる収益を分配するファンドも考えられると助言した。そして,被告Y1は,Aとの面談の場に,被告日本会計に税理士として勤務していたD(以下「D」という。)を呼んで,Dに対し,Aがモンゴルで金の鉱業権を持っている会社と提携して金の採掘量に応じて利益を分配するファンドをやりたいと言っているが,投機性の高いものは2種取引業者の登録が通りづらいと思うがどう思うかと意見を求め,Dは,被告Y1及びAに対し,難しいと思うと意見を述べた。被告Y1は,Aに対し,モンゴルでリースを行うためには,現地での支店登記や貸金業の許認可が必要になるかもしれないから現地の会計事務所や法律事務所に相談して欲しい,リースでやるのであれば,Dがリース会社出身なので適任である旨話した。
イ Aは,同年6月上旬ころ,Dに対し,被告Y1からアドバイスを受けたようにリースファンドでやりたい旨の連絡をした。
ニューアジア社と訴外法人は,平成20年6月20日,ニューアジア社が,訴外法人に対し,①モンゴルファンドの契約書の作成,②モンゴルファンドの契約締結前交付書面の作成,③ニューアジア社の2種取引業者の登録のための作業補助の業務を報酬63万円で委託する旨の業務委託契約(以下「本件業務委託契約」という。)を締結した。
Dは,Aに対し,ニューアジア社をリース事業の営業者とすると,ニューアジア社が他の事業で負債等を抱えて倒産した場合などに,リース物件を差し押さえられる可能性があることから,そのようなリスクを回避するためにリース事業のみを行う特定目的会社を設立する必要があると説明し,特定目的会社が出資金でリース物件を購入し,これをモンゴルの採掘業者にリースし,採掘業者から支払われるリース料で配当金を支払い,ニューアジア社は,特定目的会社から委託を受けてモンゴルファンドの販売・管理を行い,特定目的会社から報酬を受領する枠組みとするように助言した。
Aは,Dの指導に従い,同年6月中旬ころ,特定目的会社であるモンゴル社を設立した。
Aは,Dに対し,モンゴルファンドの配当利率を当初は年7~8%程度にしたいと話していたが,同年12月初め頃には,12~13%程度にしたいと話すようになった。また,Dは,一般的に事業を軌道に乗せて利益を上げるために短くても5年程度必要であると考えていたことから,Aに対し,出資金の償還期間を5年間とすることを提案したが,Aは1年間を希望した。Dは,Aに対し,償還期間が1年間では2種取引業者の登録が難しいと説得したところ,Aは,モンゴルの採掘業者は知人の会社だから中古の重機を高く買い取ってくれるので大丈夫であるなどと言うため,償還期間を3年間として申請用の書類を作成することにした。Dは,Aに対し,事務の手間を考えて配当金の支払は年1回又は半年に1回とするよう提案したが,Aから毎月配当したいと主張され,Aに対し,2種取引業者の登録が難しいと説得して,申請用の書類には3か月に1回の配当と記載することで妥協した。
ニューアジア社は,Dの助言等に基づいて,2種取引業者の登録申請書類を作成し,Dは,書類に記載すべき事項に漏れがないかどうかの確認作業を行ったが,書類の記載内容が2種取引業者の登録の許可をするために適正であるか否かの判断は申請書類を受領した関東財務局がチェックするため,書類の内容の確認は,本件業務委託契約に基づく訴外法人の業務の範囲外であった。
被告Y1は,同年8月28日,Aに対し,金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針を添付して,ニューアジア社は,同指針を守る必要があるとのメールを送信した。
Dは,同年9月11日,Aと共に,2種取引業者の登録申請を行った。
ウ 被告Y1は,被告Y1の著作等を読んだ東京プリンシパルのE(以下「E」という。)から,組成したファンドに投資した投資家の税金に関する相談を受けたことを契機として,Eと知り合った。
その後,被告日本会計と当時証券会社であった東京プリンシパルとの間で,被告日本会計が東京プリンシパルからメールなどでの税務に関する相談を受けて,被告日本会計が助言をするという相談顧問契約が締結され,東京プリンシパルは月額5万円の顧問料を被告日本会計に支払っていた。なお,被告Y1は,専らEから相談を受けていたため,東京プリンシパル代表者のF(以下「F」という。)とは1回会って名刺交換をしたのみで話したこともなかった。
被告Y1は,平成19年1月,Eから,東京プリンシパルが関東財務局から金融先物取引業の許可取消及び業務改善命令という行政処分を受けた旨の話を聞いた。
Eは,同年6月下旬ころから,被告Y1に対し,今後金融商品取引法についてどのように対応すれば良いか,東京プリンシパルが販売している海外社債券に投資する既存のファンドの管理をどのようにすれば良いかとの相談をするようになり,平成20年3月にも,既存の顧客には2種取引業者の登録がなくても東京プリンシパルが既存のファンドを販売しても大丈夫かと問い合わせをした。被告Y1は,Eに対し,2種取引業者の登録がない東京プリンシパルがファンドを販売することは一切できないという回答をしたため,同年8月1日,Eから,ファンド販売網を拡大するために2種取引業者を紹介してもらうことが可能かという依頼をメールで受けた。
被告Y1は,東京プリンシパルに対し,2種取引業者の登録がある会社を2社紹介したところ,東京プリンシパルから,もう1社くらい紹介をして欲しいと言われたため,同年9月ころ,Dに対し,ニューアジア社に紹介したい会社があるが,Aに会社の紹介を受ける気持ちがあるか聞いて欲しいと依頼し,Aは,Dに対し,話だけなら聞いても良いと回答した。
被告Y1は,同月,東京プリンシパルの事務所において,A及びニューアジア社の従業員をF及びEらに紹介し,東京プリンシパルは,Aらに対し,東京プリンシパルが取り扱っているファンドの説明をして,ファンドを売ってくれる2種取引業者を探していると話した。Aは,ニューアジア社の業務を紹介する際,今後モンゴルファンドを作って売る予定であると話したところ,東京プリンシパルがモンゴルファンドについて面白そうなファンドであると興味を示したため,被告Y1は,東京プリンシパルはファンドを販売することはできないと述べ,従前から言っているように東京プリンシパルの従業員にファンドを販売させるためには2種取引業者の登録を持っている会社に出向して,2種取引業者の登録業者の従業員にならなければならないと説明した。
エ Dは,平成20年11月ころ,Aから,東京プリンシパルに出資金の25%を支払うことになったが,リース料がどの程度であれば配当が可能かという問い合わせを受けた。Dは,本来であれば,モンゴル社と採掘業者との間で採掘業者の収支を予測して支払い可能なリース料を設定し,その中からニューアジア社がモンゴル社から受け取ることのできる報酬額を予測し,その範囲内で東京プリンシパルと交渉をすることが筋であり,順序は逆であると考えながらも,顧客であるAからアドバイスを求められた以上回答する義務があると考えた。一般的なリース料がリース物件の価格の2~10%であるのに対し,リース物件の価格の40%をリース料として設定する必要があるとのシュミレーションの結果が出たことから,Dは,Aに対し,リース料の設定が通常より高額になることを説明した。さらに,Dは,Aに対し,東京プリンシパルへの報酬は出資金から支払うことはできず,ニューアジア社がモンゴル社から受け取る成功報酬の中から支払う必要があること,支払方法も2年間の分割払いとした方が良いとのアドバイスをした上,大丈夫なのかと尋ねたところ,Aは,採掘業者は知り合いの会社なので大丈夫であると述べていた。
また,Dは,同年11月末ころ,Aから,重機のガソリン代もリースに組み入れ可能か相談を受け,Aに対し,リース事業に密接に関連する費用なので,重機のメンテナンス費用を支出しても許されるという考えを示したが,リース事業に必要な経費以外の費用には支出してはならないと説明した。Dは,Aに対し,メンテナンスリース契約を締結することも可能であり,一例として,重機のリースに投資する金額とメンテナンス費用のリースに投資する金額を75%と25%と投資金額を振り分けることなどを助言したが,実際の割合は,リース物件の価格や実際に使用するガソリンの数量等によって定めるべきことであるため,ニューアジア社が採掘業者と交渉して定めるだろうと考えていた。
オ ニューアジア社は,平成20年12月4日,2種取引業者の登録を得た。
カ ニューアジア社が2種取引業者の登録を得た後,被告日本会計又は訴外法人は,ニューアジア社及びモンゴル社との間で,税務申告書作成を受託する税務顧問契約を締結した。
キ Dは,平成21年1月初めころ,Aから,配当日の支払期日が迫っているがリース料がまだ入っていない,どうしたらよいかという相談を受け,Aに対し,今回は出資者への配当を止めるか,どこかから配当金の原資を借り入れるしかないという助言をした。
Dは,同年3月のニューアジア社の決算期に,Aから,同年1月と同年3月に支払われるべきリース料が未収となっていると聞いたため,Aに対し,リース料を回収できなければ出資者に説明しなくてはならないと助言をした。
ク ニューアジア社は,証券取引等監視委員会の検査の結果,法令違反が認められるとして,平成21年9月11日,同委員会より行政処分を求める勧告が行われ,関東財務局より,①2種取引業者の登録を取り消す,②顧客へ出資金の返還をする方法を策定し,実施する等の改善をし,その結果を同月18日までに書面で報告するようにとの業務改善命令を受けた。
ニューアジア社及びモンゴル社は,モンゴルファンドの投資家向けに「証券取引等監視委員会及び関東財務局の検査に対する事実報告」と題する書面(甲13,以下「本件事実報告書」という。)を作成し,投資家に対して送付した。本件事実報告書中には,被告日本会計のアドバイスにより東京プリンシパルとの業務委託契約を締結したこと,被告日本会計からニューアジア社が赤字ではいけないから成功報酬の先取りをして良いと言われたこと,被告日本会計から,決算前までにリース料の集金ができていればリース料が入る前に配当をしてよいと指示されたこと,広告も被告日本会計の指示通り掲載していたこと,2種取引業者の登録を受ける前の平成20年7月に出資金を受け入れたのも被告日本会計の指示に基づいてされたことなど,ニューアジア社の問題行動は全て被告日本会計の助言や指導に基づいてされたかのような記載がされていた。
ケ 被告Y1は,ニューアジア社が行政処分を受けたことを行政処分の数日後にインターネットで知っていたが,平成21年9月下旬ころ,Fから,ニューアジア社が投資家に対して本件事実報告書を送付していることを知らされた。
被告Y1は,担当者であったDに対し,本件事実報告書を示し,被告日本会計の助言や指導によってニューアジア社が問題行動をしたかのような記載がされていることについて説明を求め,Dは,被告Y1に対し,本件事実報告書に記載されたようなアドバイスや指示をしたことはないと回答した。
コ 被告Y1は,平成21年9月下旬頃,Aに対し,本件事実報告書について,事実と異なる記載がある旨異議を申し入れ,同月29日,A及びFと面談した。Aは,被告Y1に対し,投資家宛に訂正文を送付することを約束し,同月30日,モンゴルファンドの出資者宛の「詳細な事実確認及び法廷措置に至っていない段階で,企業名をあげて報告してしまった事をお詫び致します。」と記載した「お詫びと訂正」と題する書面(乙4の2,以下「本件訂正文」という。)を作成して,被告Y1にメールで送付した。
被告Y1は,本件訂正文の内容が不十分であると考え,G弁護士(以下「G弁護士」という。)に対し,詳細な経緯の調査を依頼した。
G弁護士とニューアジア社代理人のH弁護士(以下「H弁護士」という。)との間で交渉の結果,本件事実報告書に関する合意が成立し,訴外法人,ニューアジア社及びモンゴル社の間で,平成21年12月21日,合意書(乙3の2,以下「本件合意書」という。)を取り交わした。本件合意書には,ニューアジア社及びモンゴル社が本件事実報告書に行政処分の責任が訴外法人にあるかのような記載をしたことを訴外法人に対して謝罪し,金融庁及び関東財務局に訂正文書を差し入れること,モンゴルファンドの私募の取扱について訴外法人が行った助言及び指導等に問題はなく,ニューアジア社及びモンゴル社は,訴外法人が行政処分や出資者への出資金返還について責任を負わないことを約束すること等が記載され,ニューアジア社とモンゴル社は,本件合意書に基づき,十分な事実確認を行わずに被告日本会計のアドバイスに問題があるかのような記載をしたことをお詫びするとの訂正文を金融庁及び関東財務局に対して送付した。
(3) なお,Aらは次のとおり,別件の民事訴訟において,前記認定事実と異なる供述等をしている。
ア Aの別件の民事訴訟における本人尋問調書添付の反訳書(甲3,17)には,平成20年春被告日本会計の被告Y1に相談してファンドを組成して,同年6月,モンゴル社を設立し,同年10月ころ被告Y1に営業力が強いということで東京プリンシパルの紹介を受け,東京プリンシパルに対する業務委託販売の形でやれば問題ないとアドバイス受けた,被告Y1はFの個人資産も管理している様子であった,東京プリンシパルが2種取引業者の登録を持っていないことは知らなかった,被告日本会計が作った契約書で契約した,ニューアジア社の名刺で勧誘するというのも被告Y1が言い出した,Cがニューアジア社に出向する形を取っていたのは知らなかった,株式会社ランドマーク・ニッポンという会社は良く分からない,ニューアジア社は同年12月に2種取引業者の登録を取得して,モンゴルファンドの販売を開始した,被告日本会計に東京プリンシパルへの報酬の割合も相談した,リース料がモンゴルから入金されたのは平成21年7月からだが,被告Y1から成功報酬の先取りという会計をやるので決算までにお金が入ればそれでよいと言われた旨の記載がある。
Bの別件の民事訴訟における本人尋問調書添付の反訳書(甲4)には,被告Y1からもリース料をまとめて送金してもらっても良いと言われたために先に配当しても大丈夫だと思って配当した,平成21年7月ころに同年1月~7月分のリース料が支払われ,同年8,9月分が9月に支払われたが,その後はリース料の支払はない旨の記載がある。
Fの別件の民事訴訟における本人尋問調書添付の反訳書(甲16)には,平成20年8月ころ,Cが仕事をさせて欲しいと言って東京プリンシパルの事務所を訪ねて来たが,東京プリンシパルではファンドの販売ができないので,Cが2種取引業者の登録を持っている会社に勤務する形でルミナスというファンドを販売することを考えた,Eが従前から付き合いのある被告日本会計に対し,2種取引業者があれば紹介して欲しいと依頼して,被告Y1からニューアジア社他数社の紹介を受けた,被告Y1と会ったのは,ニューアジア社の紹介を受けたときが初めてである,被告Y1からニューアジア社が2種取引業者の免許を取った際には出向社員として営業をやってくれという話が出たため,東京プリンシパルがファンドの販売業務を受託し,東京プリンシパルは自分でファンドの販売ができないので,株式会社ランドマーク・ニッポンに再委託して同社の社員をニューアジア社に出向させる形を取った,東京プリンシパルの報酬はAとFとCで決めた,東京プリンシパルは一切販売に関与していない,Cは,当初,ニューアジア社でルミナスというファンドを販売する予定であったが,次第にモンゴルファンドの販売に力を入れるようになった旨の記載がある(以下,これらのA,B及びFの別件民事訴訟の本人尋問における各供述を単に供述という。)。
イ しかしながら,先ず,Aが,被告Y1からモンゴルファンドを委託販売する業者として東京プリンシパルの紹介を受けたかのような供述については,被告Y1は,東京プリンシパルに対し,2種取引業者の登録がないのでファンドを販売してはいけないとの指導をしていたのであって,ニューアジア社を東京プリンシパルに紹介したのは,Eから被告Y1へ送信されたメールからも明らかなとおり,2種取引業者の登録がない東京プリンシパルのファンドを2種取引業者であるニューアジア社に販売してもらうためであったと認められるところ,被告Y1が,東京プリンシパルをニューアジア社に紹介した時点で,2種取引業者の登録がない東京プリンシパルに対してモンゴルファンドの販売を委託したらよいと勧めるような合理的な理由があったとは認められない。Fも,前記アのとおり,Cが出向社員として東京プリンシパルのファンドであるルミナスを販売できるように2種取引業者の登録がある会社の紹介を求めていたと供述しており,被告Y1が,東京プリンシパルにモンゴルファンドを販売させることを目的としてニューアジア社を紹介したとは認められない。そうすると,被告Y1が,東京プリンシパルが行政処分を受けた内容が悪質であったことを認識していたとしても,前記(2)ウのとおり,Eは,東京プリンシパルが再度違法行為をしないために,被告Y1に対して指導や助言を仰ぎ,2種取引業者の登録がある会社の紹介を求めていたとの経緯に鑑みれば,被告Y1が,東京プリンシパルをニューアジア社に紹介すれば東京プリンシパルが違法にモンゴルファンドの販売する可能性があると認識していたとは認められない。なお,被告Y1は,ニューアジア社に東京プリンシパルを紹介した際に,東京プリンシパルの従業員を2種取引業者の登録業者に出向させてファンドの販売をさせることは可能である旨の発言をしたことが認められるが,被告Y1及びEは,東京プリンシパルの従業員を2種取引業者の登録業者に出向させて,登録業者によるルミナスの販売を意図していたことが認められるから,東京プリンシパルに対してモンゴルファンドの販売を委託できると助言したとは認められず,被告Y1の同発言をもって,過失によりニューアジア社等の不法行為を幇助したとは認められない。
次に,AやBが,被告Y1からリース料が入る前に出資者に配当しても良いと聞いたと供述している点について検討するに,被告Y1は,本人尋問において,Dに対してニューアジア社の2種取引業者の登録申請業務を任せた後は,Aからの問い合わせ等はDが担当し,税務顧問関係についても別の担当者がいて,被告Y1がニューアジア社及びモンゴル社と直接やり取りはしたことはない等と述べており,担当者であったDは,詐欺,金融商品取引法違反被疑事件の被疑者として検察官の取り調べを受けた際に,Aから配当期日までにリース料の入金がないとの相談を受けて,出資者への配当を止めるか,どこかから配当金の原資を借り入れるしかないという助言をしたと具体的に供述している。これに対し,A及びBは,被告Y1からリース料の入金前に配当をしても良いと聞いたと結論を供述するのみで,いつ,どこで,どのように被告Y1に相談し,被告Y1からどのような言葉で助言があったのかという具体的な状況については全く供述していない上,A及びBの前記供述を裏付けるような証拠はない。なお,Aは,かつて投資顧問会社の代表者を務めて不動産ファンドの組成を計画し,モンゴルファンドの組成を発案してスキームを検討し,その後,モンゴルファンドの販売管理をしていたニューアジア社の代表者であったから,ファンド組成や運営について相当程度の知識を有しているはずであるにもかかわらず,Aの供述は,配当金支払の点を含めて何も考えずに全て被告Y1のアドバイスに従ってモンゴルファンドの運営をしたかのような発言に終始し,東京プリンシパルが2種取引業者の登録業者でないことも知らなかったと述べるなど,自己の責任を回避しようとする態度が明らかであり,このように,Aが自己の責任を回避しようとする態度は,Aが作成した本件事実報告書においても顕著であるところ,本件事実報告書の内容については前記(2)コのとおり,ニューアジア社が委任した弁護士が検討した上で撤回がされている。しかも,Aは,肝心の被告Y1から各アドバイスを受けた状況については,何ら具体的な供述をしておらず,関連するメールや書類なども全く提出されていないのであり,その供述は,全体的に信用性に乏しいと言わざるを得ない。
また,Aは,被告日本会計に対して東京プリンシパルへの報酬の割合を相談したと供述するが,Fは,前記ア記載のとおり,AとCの3人で報酬を決めたと述べているし,Dは,被疑者として検察官の取調べを受けた際に,検察官に対し,ニューアジア社が東京プリンシパルに出資金の25%を支払うことになったがリース料がどの程度であれば配当が可能かという問い合わせをAから受けて,Aに対し,リース物件の価格の40%という高額な金額をリース料として設定する必要があるが大丈夫なのかと尋ねた上,東京プリンシパルへの報酬はニューアジア社がモンゴル社から受け取る成功報酬の中から支払う必要があること,支払方法も2年間の分割払いとした方が良いとのアドバイスをしたと具体的に述べている。F及びDの前記供述によれば,Aは,C,Fとの間でニューアジア社が東京プリンシパルに対して支払う報酬を決めた上で,Dに対して,リース料について相談をしたと認められるし,本件業務委託契約上も訴外法人にニューアジア社が東京プリンシパルへ支払う報酬の割合を了承する権限があったとは認められず,前記DのAに対する助言は,ニューアジア社が出資金の25%を東京プリンシパルへ報酬を支払うことを問題ないものとして被告日本会計が了承したとは認められない。
(4) 被告日本会計及び被告Y1がモンゴルファンドに関与した経緯及び助言した内容等は前記(2)認定事実のとおりであり,前記(3)において検討したように,被告Y1が東京プリンシパルにモンゴルファンドの販売を委託しても問題ないと助言した事実及び東京プリンシパルに出資金の25%の報酬を支払っても問題ないと発言した事実自体があったとは認められない。
また,被告日本会計が決算や帳簿の内容を調査すべき義務を怠ったとの原告の主張についても,そもそも,ニューアジア社及びモンゴル社の平成20年度の決算報告書及び帳簿なども証拠として全く提出されておらず,決算書記載の内容と現実の収支との間にどのような齟齬があったのか明らかではないし,被告日本会計とニューアジア社及びモンゴル社との間で締結された税務顧問契約における被告日本会計の業務の範囲は不明であり(更に言えば,税務顧問契約の相手方が被告日本会計であるかも不明である。),被告日本会計が,ニューアジア社及びモンゴル社との税務顧問契約上,帳簿等に記載された売上げが実際にあったのか否かを調査すべき義務を負っていたのにこれを怠ったとは未だ認められない。なお,ニューアジア社が虚偽のリース料収入を記載して投資家に送付した「匿名組合損益計算書」(甲12)の作成に被告日本会計が関与したと認めるに足りる証拠はない。
(5) 以上のとおり,被告日本会計及び被告Y1に違法行為があったとは認められないから,その余の点について検討するまでもなく,原告の請求は理由がない。
3 よって,主文のとおり判決する。
(裁判官 小川理津子)
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