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判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(132)平成26年10月 8日 東京地裁 平25(ワ)19471号 報酬金請求事件

判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(132)平成26年10月 8日 東京地裁 平25(ワ)19471号 報酬金請求事件

裁判年月日  平成26年10月 8日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平25(ワ)19471号
事件名  報酬金請求事件
裁判結果  一部認容  文献番号  2014WLJPCA10088002

要旨
◆弁護士である原告らが、被告に対し、報酬金及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、原告らと被告とは、各金銭請求事件について、訴訟物の価額を基準とした報酬合意をした旨認定した上で、各金銭請求事件の報酬金等を算定し、また、財産分与の関係で原告らの受ける成功報酬については、和解により被告が確保した経済的利益の8パーセントを同成功報酬額として算定するなどして、請求を一部認容した事例

参照条文
民法643条
民法648条

裁判年月日  平成26年10月 8日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平25(ワ)19471号
事件名  報酬金請求事件
裁判結果  一部認容  文献番号  2014WLJPCA10088002

東京都世田谷区〈以下省略〉
原告 X1(以下「原告X1」という。)
大阪市〈以下省略〉
原告 X2(以下「原告X2」という。)
東京都港区〈以下省略〉
被告 Y
同訴訟代理人弁護士 鹿内徳行
同 榮春彦

 

 

主文

1  被告は,原告らに対し,843万0800円及びこれに対する平成25年8月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
3  訴訟費用は,これを3分し,その1を原告らの負担とし,その余を被告の負担とする。
4  この判決は,1項に限り,仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
被告は,原告らに対し,1247万6447円及びこれに対する平成25年8月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
本件は,いずれも弁護士である原告らが,被告に対し,報酬金1247万6447円及びこれに対する訴状送達日の翌日である平成25年8月25日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
1  前提事実(当事者間に争いのない事実並びに弁論の全趣旨及び括弧内に掲げた証拠によって容易に認定できる事実)
(1)  原告らは,いずれも弁護士である。
A(以下「A」という。)と被告とは,平成14,5年から平成22年7月ころまで,内縁関係にあった者である(甲20,21)。
株式会社a(以下「a社」という。)は,被告が代表者を務める会社であり,株式会社b(以下「b社」という。)は,Aが代表者を務め,議決権の過半数を有する会社である。
(2)  Aは,被告に対し,平成22年9月27日,立替金返還請求事件(当庁平成22年(ワ)第36446号事件,以下「本件立替金請求事件」という。)についての訴えを提起した。上記事件は,Aが,① 平成16年8月5日,東京都港区高輪所在のマンションの居室(以下「高輪マンション」という。)を被告と共同で購入するに当たり,被告が負担を約束した購入代金のうち6490万円を支払わないことから,Aがこれを立替え,② 被告が,平成21年11月2日,Aの預金口座から,1340万円を引き出して領得したとして,以上の合計7830万円及び遅延損害金の支払を求めたものであり,被告は,この請求を全面的に争った。(甲24,64,乙1の1)
また,b社は,a社に対し,平成22年12月1日,損害賠償請求事件(当庁平成22年(ワ)第44436号事件,以下「本件損害賠償請求事件」といい,また,同事件と本件立替金請求事件とを総称して,「本件各金銭請求事件」ともいう。)についての訴えを提起した。上記事件は,b社が,a社と間の業務委託契約に基づいて,① 上海c有限公司(以下「上海子会社」という。)の閉鎖に伴う立替金として,平成20年10月7日から同年11月28日までに被告に支払った2438万4800円のうち,通常生じる実費228万4995円を超える2209万8805円は,欺罔によるものであり,② d(大連)有限公司(以下「大連子会社」という。)の出資金として,a社に3250万2700円を支払ったが,大連子会社の設立が履行されていないとして,以上の合計5460万1505円及び遅延損害金の支払を求めたものであり,a社は,この請求を全面的に争った。(甲44,74,乙1の2)
なお,Aは,被告に対し,平成23年9月26日,婚姻無効確認請求事件(東京家庭裁判所平成23年(家ホ)第853号事件,以下「件外無効確認請求事件」という。)についての訴えを提起し,同事件については,平成24年3月22日言渡の被告敗訴判決が確定した(甲25,乙5の10)。
(3)  被告は,原告らとの間で,平成22年11月3日,本件立替金請求事件につき,委任範囲を示談折衝,書類作成,契約交渉,訴訟(一審)とし,原告らの報酬につき,着手金を100万円,報酬金を経済的利益の5パーセント,出張日当を1日2万円とする委任契約を締結した(甲4)。
被告は,a社を代表して,原告らに対し,平成23年1月12日,本件損害賠償請求事件の訴訟遂行を委任し,原告らとの間で,同年4月18日,上記事件につき,委任範囲を示談折衝,書類作成,契約交渉,訴訟(一審(反訴を含む))とし,原告らの報酬につき,着手金を150万円(ただし,50万円は後払とする。),報酬金を本訴について経済的利益の3パーセント,反訴について経済的利益の8パーセント,出張日当及び出廷日当を各1日2万円とする委任契約を締結した(甲7,8。なお,平成23年4月18日締結の上記契約を「本件損害賠償請求事件についての報酬契約」ともいう。)。
(4)  本件立替金請求事件と本件損害賠償事件とは,平成23年6月27日までに併合され,被告は,同年10月1日,自ら又はa社を代表して,B弁護士(以下「B弁護士」という。)にも上記各事件の訴訟遂行を委任した(甲11,12)。
(5)  原告X1は,本件立替金請求事件について,平成22年12月6日から平成23年6月27日までの口頭弁論期日又は弁論準備手続期日に5回出頭し,本件損害賠償請求事件について,同年2月25日から同年6月6日までの口頭弁論期日又は弁論準備手続期日に3回出頭し,また,両事件併合後は,同年8月11日から平成24年11月16日までの本件各金銭請求事件の弁論準備手続期日に11回出頭し,原告X2は,本件立替金請求事件の口頭弁論期日に1回出頭し,また,原告らは,この間,被告との打ち合わせを経つつ,これらの事件などに関する準備書面等による主張,書証や和解資料等の提出などを行い,被告に期日の経過報告などをした(甲14,24,35,36,41の1及び2,甲44,46,47,50ないし56,甲57の1及び2,甲58の1ないし5,甲59ないし65,74,77ないし79,83,乙2の1ないし38,乙3の1ないし11,乙6の24)。
(6)  本件各金銭請求事件については,各当事者本人兼代表者も出頭した平成24年11月16日の第13回弁論準備手続期日(以下「本件和解期日」という。)において,被告は,Aに対し,内縁関係解消に伴う財産分与として,高輪マンションの共有持分2分の1を全部移転し,4項の金員の支払を受けるのと引換えに,その移転登記手続をすること(1項),被告は,Aに対し,平成25年5月31日限り,上記建物を明け渡すこと(3項),Aは,被告に対して,上記財産分与として,平成24年12月17日限り,4300万円を支払うこと(4項),Aは被告に財産分与としてb社の株式37株を譲渡すること(5項),被告は,b社に対し,大連子会社の全株式を譲渡すること(6項),A及びb社は,それぞれその余の請求を放棄すること(9項)などを内容とする訴訟上の和解(以下「本件和解」という。)が成立した(甲14,15)。
(7)  原告らは,被告に対し,平成24年12月13日,本件各金銭請求事件の報酬金として,347万6750円及び171万3338円を支払うよう請求した(甲16,17)。
(8)  平成15年法律第128号による改正前の弁護士法33条2項8号は,弁護士会はその会則中に「弁護士の報酬に関する標準を示す規定」を定めなければならないと,また,同改正前の同法46条2項1号は,弁護士会が規定する弁護士報酬の標準となるものを日本弁護士連合会(以下「日弁連」という。)が会則中に規定しなければならないとし,弁護士会は報酬基準の規定を,日弁連は報酬等基準規程(以下「日弁連旧基準」という。)を制定していたが,上記法改正に伴って,平成16年3月31日をもって,上記規程などは廃止され,日弁連の弁護士の報酬に関する規程(平成16年会規第68号)においては,「弁護士の報酬は,経済的利益,事案の難易,時間及び労力その他の事情に照らして適切かつ妥当なものでなければならない。」(2条)と定められた(これらの事実は,当裁判所に職務上顕著である。)。
2  争点
(1)  報酬合意
(原告らの主張)
ア 本件各金銭請求事件分
原告らは,日弁連旧基準を参考にして,受任事件ごとに個別に弁護士報酬を定めており,報酬額の算定についても経済的利益の額を基準として定めることとし,また経済的利益の額の算定も日弁連旧基準に従うこととし,委任契約書の書式にもその旨の規定を設けていた(ただし,基準の名称は,平成18年日弁連報酬基準としており,日弁連旧基準の正式名称とは異なっている。)。日弁連旧基準では,報酬の基礎となる経済的利益の額は,金銭給付の請求事件の場合は,訴訟物の価額が経済的利益とされ,原告X1は,被告への弁護士報酬の説明にあたっても,日弁連旧基準の定めるこの概念を前提としてこれを行っており,原告X1が「本件は,例え勝訴したとしても,実際の経済的利益がないので,着手金は高めに設定する」などというはずもないことである。
イ 財産分与関係分
原告X1及びB弁護士と被告とは,平成24年7月7日,財産分与に関する手続の弁護報酬を経済的利益の18パーセントとする合意をした。
すなわち,原告X1が財産分与の件の弁護士報酬として提示した18パーセントの報酬案は,原告X1及び原告X2の報酬分とB弁護士の報酬分をそれぞれ9パーセントとするものであり,原告らの報酬分9パーセントは,本件損害賠償請求権の報酬額を3パーセントと極めて低く設定したことの見返として積極的な利益を得たときは8パーセントの報酬を支払うことを約していたことから,それを基礎に1パーセントを加算して9パーセントとしたものであり,これにつき被告から異議は出されなかった。
(被告の主張)
原告らの報酬請求の根拠は不明確であり,過大請求である。
被告は,平成24年7月7日,本件各金銭請求事件の打ち合わせのために,B弁護士の事務所を訪問したところ,事件そのものの打ち合わせは全く行われず,原告X1から「先にお金の話しましょう」などといわれて,一方的な金銭要求の説明ばかりがなされ,報酬の算定率につきあいまいな数字が言われただけで,経済的利益の算定方法についての説明もされていない。
また,財産分与に関係する報酬は,本件損害賠償請求事件についての委任契約における反訴とみなすとか,法律事務所が送達場所等便宜を提供しているなどの説明もなく,被告が原告X1の報酬の説明に同意したとの事実はない。
(2)  報酬額等
(原告らの主張)
委任契約に基づく報酬及びその他の弁護士費用は,次のとおりである。
ア 本件各金銭請求事件分
(ア) 本件損害賠償請求事件の着手金残額
上記事件の着手金残額は,50万円(消費税等相当額2万5000円別)である。
そして,本件損害賠償請求事件の着手金150万円には,反訴についての着手金が含まれるものではなく,また,a社のb社に対する業務委託料についての反訴提起に至らなかったのは,b社が被告の所持するものとは異なる内容の業務委託契約書を書証として提出しており,被告とb社とが所持する業務委託契約書のいずれが偽造されたものであるかが激しく争われたが,被告が,所持する契約書が真正なものであることについて,次第に言葉を濁しはじめ,被告の所持する業務委託契約書の真贋に決着のつく業務委託料請求訴訟の提起を回避したのであり,業務委託料請求の反訴をしなかった原因はもっぱら被告にあったといわなければならない。
(イ) 本件立替金請求事件の成功報酬及び消費税等相当額
経済的利益は,7830万円だから,成功報酬は,その5パーセントである391万5000円(消費税等相当額19万5750円別)である。
なお,Aが平成23年4月11日にした減縮申立ては,頭金の一部については被告が支払ったとした原告ら作成の平成22年12月6日付け被告準備書面(1)における主張を受けて,これに対応して行われたものである。したがって,上記減縮は原告らの委任事務処理の成果であるから,被告の経済的利益の額に影響するものではない。また,Aの請求がもともと根拠が薄いとの依頼者の主観的判断により,報酬金が減額されるものではない。そして,日弁連旧基準によると,訴訟物の価額が7830万円である本件立替金請求事件の着手金は303万9000円であり,報酬は経済的利益の6パーセントに138万円を加えた額であるところ,本件における合意額は,着手金につき100万円,報酬につき経済的利益の5パーセントだから,この報酬請求は過大ではない。
(ウ) 本件損害賠償請求事件の成功報酬及び消費税等相当額
経済的利益は,5460万1505円だから,その成功報酬は,3パーセントである163万8045円(消費税等相当額8万1902円別)である。
なお,Aの請求がもともと根拠が薄いとの依頼者の主観的判断により,報酬金が減額されるものではない。また,日弁連旧基準によると,訴訟物の価額が5460万1505円である本件損害賠償請求事件の着手金は232万8045円であり,報酬は経済的利益の6パーセントに138万円を加えた額であるところ,本件における合意額は,着手金につき150万円,報酬につき本訴につき経済的利益の3パーセント,反訴につき8パーセントだから,この報酬請求も過大ではない。
(エ) 本件立替金請求事件の実費
原告らは,平成22年11月10日頃,被告から,Aの愛人とするC(以下「C」という。)の氏名及び旧住所を示すなどして,CがAと同居するマンションの探索を依頼されたことによりにCについての調査を開始し,その過程において,Cの住民票1通,世帯主Dの戸籍謄本1通,Cの住所地の不動産の名義人調査のための不動産登記簿謄本2通を取得した。そして,これらに要した実費は,上記4通につき,申請用紙代金,郵便切手代金,地番・家屋番号調査代金,通信費,封筒代金,人件費込みで各1通3000円の1万2000円であり,また,Cについての課税台帳調査のための23条照会に要した実費は,弁護士会に支払う手数料5300円,人件費,文書作成費用,通信費,出張料込みで1万円である。
原告X2の平成23年1月31日の期日出頭に要した交通費は,2万7000円(山科京都間往復360円及び京都東京間往復2万6640円の合計)である。
これら実費の合計は,4万9000円である。
(オ) 本件損害賠償請求事件の実費
出廷日当は,1日2万円だから,その13日分は,26万円である。
(カ) 以上合計
したがって,以上合計は,666万4697円(消費税等相当額30万2652円込み)である。
イ 財産分与関係分
経済的利益は,金銭についての財産分与額4300万円,b社株について1株50万円の37株分1850万円の合計6150万円だから,成功報酬は,その9パーセントである553万5000円(消費税等相当額27万6750円別)である。
なお,b社株1株当たり価値につき,本件各金銭請求事件では,被告は,上記株50万円を超えていると主張し,Aは,純資産方式により21万1506円としていた。そこで,本件和解においては,b社株式の価格については,東京地方裁判所民事第8部において買取請求価格として決定を仰ぐこととするものとされたものであり,被告が上記決定を求めることなく,555万円でこれを譲渡したとするならば,自らその経済的利益を放棄したものというべきであり,弁護士報酬の算定の基礎となる経済的利益はその影響を受けない。また,その差額は,和解金を和解調書で定められたB弁護士預り口座ではなく,被告に直接支払うことなどの対価とされたものとみなければならない。
また,被告は,高輪マンションにつき2分の1の持分を有しており,その評価額は,約4140万円相当であると主張するが,被告は,上記マンションの頭金2294万7227円を支払ったに過ぎず,上記金額は,その購入代金1億3100万円の20パーセントに満たない。被告は,平成24年5月19日当時,「高輪のマンションは,1000万円と引換えに3か月以内に引き渡す」との不利な和解案についてさえこれを歓迎し,原告X1に謝意を述べていたところ,本件和解により,当初和解案よりも,現金3300万円及び時価2000万円以上の株式という合計5000万円以上も多い財産分与を得たのであり,原告らが「被告の権利利益を実現することを,途中で放棄してしまった」とはいえない。また,被告が求めた和解条件は,時価1億円の高輪のマンションを被告とAが各2分の1の持分により共有するというものであり,これは,被告が財産分与で得た持分をてこに,和解後,Aから5000万円で共有持分を買い取ることにより,高輪のマンションを単独所有することを目論んだものである。しかし,この内容は,共有財産の清算の目的に反しており,Aの譲歩も得られず,裁判官の示した和解案も,被告に上記持分のAへの移転を求めるものであり,被告は,上記持分の取得を断念し,その和解案に同意せざるを得なかったのである。以上の次第であり,被告は和解期日に出頭し,その和解条件を主張し,裁判官の示した和解案について,裁判官の面前で最終的な同意の判断をしたのであり,原告らの言うがままに和解を受け入れたのではないことは言うまでもない。
さらに大連子会社の全株式は,b社又はその代表者であるAの所有であり,これが被告名義となっているのは,被告の名義が無断で使用されたものであり,しかも,同社は,休眠会社であって,財産的価値の乏しいものである。
そして,日弁連旧基準では,事件の内容により30パーセントの範囲内で増減が認められており,渉外的要素も含み,被告の証拠も乏しく,多数の翻訳が必要とされるなど難度の高い事件であるから,原告らの報酬請求が,根拠が不明確かつ過大な請求とはいえない。
(被告の主張)
争う。
Aの女性問題やこの関係のマンションの話も,全て件外無効確認請求事件当時の話題であって,同事件の終結後棚上げにしていたのに,平成24年7月19日付け証拠説明書に写真の女性のことが盛込まれたのは,被告には予想外の展開であった。
本件損害賠償請求事件の着手金残額は,反訴分の着手金であるが,反訴提起をしないままに終わった。
本件立替金請求事件については,平成23年4月11日には,Aの計算違いを理由とした減縮がなされ(減縮額約2294万円,減縮後の請求額約5535万円),平成24年6月4日の当初和解案では支払要求額が約1340万円とさらに減額された。また,本件損害賠償請求事件についても,もともと根拠の薄い請求に過ぎず,上記当初和解案では支払要求額がいきなり零円に減額された。いずれも元来から根拠の薄い請求に過ぎなかったことは,原告X1が「本件は例え勝訴したとしても,実際の経済的利益が得られないので,着手金は高めに設定したい」などと述べていたとおりであり,また,判決を回避しての解決なのだから,上記各事件の訴額をそのまま基礎に用いるのは相当ではない。
また,財産分与についても,本件和解によれば,被告は,4300万円の支払及びb社株37株(約555万円相当)の譲渡を受けたが,反対に高輪マンションの共有持分2分の1(約4140万円相当)及び大連子会社の全株式を譲渡することになっており,通算すれば損失が大きく,経済的利益はなかったに等しい結果になっている。
したがって,成功報酬の請求も理由がない。
(3)  実質的同一性
(原告らの主張)
a社は,平成4年6月9日,被告により設立されたものであり,被告が唯一の株主であり,そうでないとしても広義の一人会社である。同社の登記には,平成25年7月8日当時,被告,A及びEの3名が平成15年1月5日に取締役に就任した旨の登記がなされたままとなっている。しかし,A及びEは,取締役ではなく,取締役は被告のみである。すなわち,Aは,平成15年の上記登記の頃は被告と内縁関係にあったが,平成22年7月頃には,被告との内縁を解消しているだけではなく,同年9月27日には,本件立替金請求事件を,また,同年12月1日には,Aが代表者を務めるb社が,a社に対する本件損害賠償請求事件を提起したが,いずれの訴訟においても,いずれの当事者からもAがa社の取締役である旨の主張がなく,Aの取締役就任の事実は存在しなかったものといわざるを得ない。また,Eは,被告の子であるが,勤務医であり,取締役就任の事実も疑わしいものであり,そうでなくとも名ばかりの取締役であった。そして,他に取締役はいないから,a社の取締役は被告のみであり,同社は被告が実質的に支配している会社である。
a社の本店として登記されている東京都千代田区〈以下省略〉は,被告が所有し,第三者に賃貸しているマンションの1室であり,事業活動の拠点たり得ないものであり,専従の従業員の常駐はなく,常時業務に携わっている役職員もいないから,営業の実体がない。
a社の業務は,株式会社e及びその後身であるb社から受けた業務委託に限られているが,その月額75万円ないし50万円の報酬は,実質的には被告の所得であり,被告は,a社の売上げたる業務委託料につき,すべていかなる手続を踏むことなく被告個人の所得として処分していてa社には残されてはおらず,被告とa社は,業務及び財産を全般的かつ継続的に混同している。
a社は,実質的な会計帳簿を作成しておらず,財産を示す証拠は,a社名義の通帳しかなく,その預金残高は,a社の資本金1500万円と比して,極めて僅少な金額にとどまっており,これは,全般的かつ継続的な被告とa社との間の財産の混同の結果である。また,被告は,平成21年11月2日に自己の銀行口座に入金した1340万円について,同月4日,被告購入のマンションの住宅ローンの繰上返済資金に充てているところ,被告は,上記入金をb社からa社への支払であると主張してa社と被告は実質的には同一人格であると主張し,住宅ローンの返済資金として多額の財産を混同させている。
a社は,事実上の一人会社であり,被告が唯一の取締役であり,株主総会は開催されたことはなく,議事録も作成されておらず,取締役会設置会社でありながら,取締役には,代表取締役である被告しか選任されておらず,合議機関としての取締役会は設置されていない。
被告は,a社を被告とする本件損害賠償請求訴訟の着手金の一部を被告名義での振込により支払い,a社と原告X1との間の電子メールについても,a社代表者との肩書を付さない個人名義で行っおり,原告X1に対しても,a社と被告個人を区別して応接したことはない。また,被告は,B弁護士との間の紛議調停の申立につき,東京弁護士会に提出した「経緯ご説明」なる書面において,本件和解におけるAから被告への内縁解消に伴う財産分与を和解金とした上で,「和解金4,300万円=MSの頭金2,295万円+業務委託未払金の一部2,005万円」と説明しており,財産分与額には,a社に属するはずの未払業務委託料が含まれると理解し,被告個人の財産とa社の財産及び業務を混同している。
このように,a社は,会社の形態をとってはいるが,その実質において,被告が経営する個人企業と何ら異なるものではなく,その法人格は形骸にすぎないものであり,本件の報酬請求権との関係では,a社の法人格を否認し,実質的に唯一の株主でありかつ代表者である被告にa社と同様の責任を負担させるべきである。
(被告の主張)
争う。
第3  争点に対する判断
1  争点(1)(報酬合意)について
(1)  本件各金銭請求事件分
ア 原被告間における本件各金銭請求事件に関する各報酬合意の内容については,前提事実(3)で見たとおりである。
イ 他方,証拠(甲4,7)及び弁論の全趣旨を総合すれば,上記各報酬合意の書面である甲4,7には,「平成18年日弁連弁護士報酬基準の定めを参照した」旨の定めがあると認められる一方,平成16年3月31日をもって,報酬額の基準を規定していた日弁連旧基準は廃止され,その後の報酬等基準規程は,報酬額の具体的な基準を定めたものではないことは,前提事実(8)でみたとおりである。
しかしながら,そもそも,裁判所で確定される以前の権利関係については,一方の当事者において権利があると考えていても,他方の当事者から争われる限り,その権利は実現せず,また,逆に一方の当事者において義務がないと考えていても,他方の当事者から争われる限り,その義務が不存在として定まるものではなく,判決又は和解によりその存否が確定することによって,はじめてその存在又は不存在が一定の価値として実現されることから,判決等に至った事件処理によりその分の利益が確保されたと一般に考えられるところ,このことは,日弁連旧基準の引用を待つまでもなく明らかである(なお,被告の供述及び陳述書(乙7)の中には,原告X1に,勝訴したとしても実際の経済的利益はない,本件は実際的な経済的利益で言えば,反訴分だけだなどと言われたとする部分がある。しかしながら,この供述等は,上記一般の理解とは異なるものである上,上記各報酬合意においては,積極的な利益が生じうる反訴分に限定られることなく,被告とされた本件各金銭請求事件の分についても成功報酬の合意が現になされて存在していることの意義を否定するだけの合理性を有しないものであって,採用できるものではない。)。
ウ 以上によれば,原告らと被告とは,本件各金銭請求事件について,それぞれ,訴訟物の価額を基準とした報酬合意をしたとの事実が認められる。
(2)  財産分与関係分
ア 前提事実(1)ないし(3),(5)及び(6)の事実に証拠(後掲証拠,甲85,原告X1)及び弁論の全趣旨を総合すれば,次の事実が認められる。
(ア) 本件各金銭請求事件における各報酬合意には,いずれも,委任契約における本件事件等が上訴等により受任範囲とは異なる手続に移行し,引き続き受任する場合は,その新たな委任契約の協議の際に再度協議するものとするとの合意(2条ただし書)がある。
(イ) 件外無効確認請求事件は,平成24年3月22日言渡の判決により確定した。
そして,本件各金銭請求事件の各当事者は,同年4月20日の弁論準備手続期日において,和解案を検討するとの意向を表明し,それ以降,双方代理人は,本件各金銭請求事件の訴訟物の扱いにとどまらず,A及び被告の財産分与問題の解決に向け,和解に向けた主張や資料の提出などを重ね,同年11月16日,前提事実(6)のとおり本件和解が成立した(甲41の1及び2,甲42,53,54,56,甲57の1及び2,甲58の1ないし5,甲59,65,78ないし81,乙2の14,乙6の14ないし20,22及び23)。
(ウ) また,原告ら及びB弁護士と被告とは,平成24年4月20日から上記和解に至るまでの間,和解の条件やその資料の提出などにつき,種々の協議などを行うとともに,原告X1及びB弁護士と被告とは,同年7月7日,財産分与に関する報酬についての協議を行った(上記(イ)の証拠の外,甲13,36ないし39,62,63,82ないし84)。
イ そして,証拠(甲13)及び弁論の全趣旨を総合すれば,原告X1は,平成24年7月12日,被告から,上記ア(ウ)の同月7日になされた「お金」のことについての話について,もう一度でメールで知らせるよう求められると,同月13日,「B弁護士を含めて3者で合意したのは,財産分与の件については,B・X1両弁護士との間で,別途委任契約を締結し,成功報酬の金額は,両弁護士の分を併せて18パーセントとするということ」であった旨をメールで回答したのに対し,被告は,同月19日の上記メールの返信メールにおいては,特に上記合意を否定する趣旨の記載をしてはいなかったとの事実が明らかである。そして,これらの事実に原告X1の陳述書(甲85)及び同本人尋問の結果を総合すれば,被告は,財産分与問題についてのB弁護士分を含めた成功報酬を,18パーセントとするとの合意をしたとの事実が認められ,被告の供述及び陳述書(乙7)の中のこの認定に反する部分は採用できない。
なお,原告X1の供述中には,上記18パーセントの成功報酬の対象となるのは,受け取った場合の利益であって,このような積極的利益と受け取らなくても利益がある経済的利益との相異についてはきちんと説明したとする部分があるところ,財産分与においては,両者の関係継続中において形成された実質的共有財産の清算が中心となるし,その形成財産の存否,評価,寄与度などが争いとなることが多く,そのような財産についての分与が得られるのであれば,当該当事者には,その分の利益が生じることは明らかである。しかしながら,上記原告X1の供述にある利益の内容につき,経済的利益と異なる積極的利益であると説明したとの部分については,原告らの主張(平成26年2月13日の弁論準備手続期日において陳述した原告ら準備書面(1)15頁)中には,上記話し合いの中で,原告X1は,「財産分与に関する報酬は,本件損害賠償事件における反訴とみなし,これを経済的利益の8パーセントとする旨を伝えた」とする部分もあって必ずしも判然としない。しかも,財産分与にあたっては,共有の可及的解消などの考慮から,実質的共有財産の清算にとどまらず,特有財産性や評価などにつき争いのない財産分をも含めた一括な清算解決がなされることもあるところ,利益の説明が積極的利益又は経済的利益のいずれであったとしても,その利益の算定上,上記のような一括解決を図る関係から,依頼者が譲渡することとなった特有財産であって,その特有財産性や評価額などにつき争いのない財産の流出分を考慮しないとの趣旨までが明確なものであったとは認められないから,被告との間において,上記のような趣旨においていわば代償財産とされた特有財産の流出分を考慮しないとする内容の合意がなされたとは認められない。
また,原告X1の陳述書(甲85)や供述中には,原告X1らの報酬が8パーセントプラス1パーセントの計9パーセント,B弁護士の報酬と併せて18パーセントとなることは,被告に再三再四にわたり説明したとする部分があるところ,B弁護士の報酬と併せて18パーセントとなるとの約定がなされたと認められることについては,上記認定のとおりである。しかしながら,原告X1らの報酬が9パーセントとされたかについては,原告らの上記平成26年2月13日の主張には,被告との上記話し合いの中で,原告X1は,「B弁護士についても,原告X1よりも経験が豊富であり,同率の8パーセントとし,法律事務所が送達場所などの便宜を提供していることから2パーセントを上乗せするとの説明をした。」とした部分があり,また,証拠(乙2の39ないし42)及び弁論の全趣旨を総合すれば,平成23年10月のB弁護士の本件各金銭請求事件受任後にあっては,原告ら及びB弁護士の受送達場所とされていたのは,B弁護士の事務所であったとの事実が認められるところであって,これらの事実に照らせば,単に内部関係のみならず,被告との関係においても,原告らの取得する成功報酬については,これを8パーセントとするものとされたとの事実が認められる。
ウ したがって,財産分与の関係で原告らの受ける成功報酬については,経済的利益の8パーセントとする旨の合意があったと認められる一方,一括解決を図る関係から,依頼者が譲渡することとなった係争性のない特有財産の流出分を考慮しないとの特約があったとの事実は認められない。
2  争点(2)(報酬額等)について
(1)  本件各金銭請求事件分
ア 本件損害賠償請求事件の着手金残額
(ア) 後掲証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば,次の事実が認められる。
a 被告は,原告X1に対し,a社が,平成22年12月1日,b社から,本件損害賠償請求事件を提起されると,a社とb社との間の業務委託契約書を示して,b社から支払を受けるべき業務委託料が未払のままであるとの説明をした(甲85,乙7。なお,未払とする業務委託料については,原告X1は,平成22年12月当時,1200万円に上るとの説明を受けたとする一方,被告は,平成19年3月分から平成23年2月まで48か月分,合計2400万円であるとする。)。
b 原告X1は,被告に対し,本件損害賠償請求事件についての報酬契約の締結に先立つ平成23年4月17日,着手金については,業務委託料の請求訴訟(反訴)を除き,100万円とし,反訴については,後払で結構なので,別途着手金50万円を請求したいと考えおり,また,成功報酬は,本訴につき経済的利益の3パーセント,反訴(業務委託料)につき8パーセントを請求したいと考えているが,以上の報酬は,概算では,弁護士の標準報酬よりもかなり低い(おそらく半額に近い)ものと思い,当日,参考となる標準報酬をお示しする旨をメールで伝えた(乙6の24)。
c 原告X1は,被告に対し,同年6月6日,a社の事件を和解に含めるとなると,例の業務委託料の請求を,直ちに反訴として提起するようを勧める旨などのメールを,また,同年7月23日,包括的な和解に向けての主な準備の一つは,a社の業務委託料の請求であるなどとしたメールを送った(乙6の7及び8)。
d Aの側から,本件各金銭請求事件についての同年8月11日の弁論準備手続期日において,被告側が本件立替金請求事件において同年5月23日提出した業務委託契約書(当該事件の乙8)が偽造であるとして,作成日が同一である別内容の契約書(当該事件の甲27。なお,本件損害賠償請求事件においては,甲1として,写しで提出されたもの。)が提出された(乙2の6,8,28及び34,乙3の3,8及び10,乙6の9)。
e a社の業務委託料についての反訴提起は,結局,なされなかった。
(イ) そして,前提事実(2)の事実に上記(ア)の事実を総合すれば,本件損害賠償請求事件についての報酬契約においては,上記(ア)bのとおり,着手金を本訴分100万円,反訴分50万円との説明の元なされたものであること,被告がa社の業務委託の根拠とする契約書に真偽ついては,本件各金銭請求事件で攻防がなされたことの事実が認められる。
そして,これらの事実によれば,本件損害賠償請求事件についての報酬契約においては,着手金につき,本訴分と反訴分とを明確に分ける合意があったし,また,a社の業務委託については,本件各金銭請求事件における攻撃防御方法と重なる問題であって,本件損害賠償請求事件については必要がなく,反訴についてのみ必要となるような内容の弁護活動は,反訴状の作成やその関連作業以外には考え難いところ,被告が,原告らに対し,反訴の提起に着手するよう依頼したという状況を窺わせる証拠は存しない。
(ウ) したがって,上記事実関係のもとにあっては,反訴分50万円の着手金が後払とされていたのは,その支払時期を被告による反訴依頼時とする趣旨と認められるところ,上記依頼があったとは認められないから,被告は,その支払義務を負わないということになる。
イ 本件各金銭請求事件の成功報酬
(ア) 前提事実(2)及び(6)の事実に証拠(甲44,乙2の11)及び弁論の全趣旨を総合すれば,被告ないしa社は,本件各金銭請求事件の請求を全て争ったこと,本件各金銭請求事件における被告の主張は,b社による大連子会社に対する出資は,b社の経営判断によりなされたものであり,その株主が被告となっているのは,外国民間人独資という中国独自の企業形態を採用した関係で被告の名義を借用した結果と推測するほかない形式的なものであり,b社代表者であるAが大連子会社の代表者を兼任しており,株券発行会社ではない一人会社である大連子会社にとっては株主の問題は容易に解決しうるとするものであったこと,また,本件和解には,財産分与とは異なる給付として,被告がb社に対し,大連子会社の全株式を譲渡する旨(6項)や,A及びb社が,それぞれその余の請求を放棄する旨(8項)の約定があることの事実が認められる。
(イ) そして,上記事実関係によれば,被告が本件和解により譲渡した大連子会社の全株式については,被告自らが自己に属するものではないとしていたものであり,また,被告及びa社は,本件和解により,本件各金銭請求事件につき,そのような株式の譲渡をもって,その余の請求の放棄を受けたのだから,被告ないしb社としては,本件和解によって上記各事件の訴訟物の価額相応の経済的利益を確保したということになる。
この点,被告は,平成23年4月11日の本件立替金請求事件についての請求の減縮や平成24年6月4日の当初和解案でのA側の大幅な譲歩から,これらの請求がいずれも根拠の薄いものであったなどと主張する。しかしながら,前提事実(2)及び(4)の事実に証拠(甲64,乙2の3及び33,乙6の4)及び弁論の全趣旨を総合すれば,上記の減縮は,原告らが,平成22年12月6日,本件立替金請求事件口頭弁論期日における被告による頭金の支払に関する主張立証を契機としてA側が再確認した結果なされたものであること,また,平成24年6月4日までの間には,相当回数の期日や主張立証が重ねられていたことが認められるところであって,被告主張の減縮や譲歩の事実は,上記確保した経済的利益の判断を左右するものではなく,また,和解解決だから訴額をそのまま基礎に用いるのは相当ではないとの被告の主張も理由がない。
(ウ) そして,本件各金銭請求事件についての報酬約定内容については,前提事実(3)及び前記1(1)でみたとおりだから,成功報酬額は,本件立替金請求事件につき,経済的利益7830万円の5パーセントである391万5000円(消費税等相当額19万5750円別),本件損害賠償請求事件につき,経済的利益5460万1505円の3パーセントである163万8045円(消費税等相当額8万1902円別)であることになる。
ウ 本件立替金請求事件の実費
(ア) 書類取得費
前提事実(2)の事実に証拠(甲50ないし56,甲57の1及び2,甲58の1ないし5)及び弁論の全趣旨を総合すれば,原告らは,平成22年11月11日,被告の求めを受けてCの居住するマンションに関する調査を開始し,Cの住民票1通,その世帯主であるDを筆頭者とする戸籍謄本1通,A住所地及びC住所地の各不動産の名義調査のための不動産登記事項証明書2通を取得し,また,Cについての課税台帳調査のための23条照会を所属弁護士会に求めたこと,上記平成22年11月11日当時,本件損害賠償請求事件や件外無効確認請求事件は,未係属であったこと,原告らは,被告に対し,平成24年5月17日,AがCに贈与したマンションを計上したA及び被告の財産目録を取りまとめて,確認を求めるため送付したこと,被告は,同年6月5日,原告X1に対し,AとCが2人で撮った写真を打ち合わせ時に持参する旨を連絡し,また,Cのマンションであるとする建物の不動産登記情報を取得したことの事実が認められる。
したがって,上記事実によれば,Aの女性の問題やこの関係でのマンションの問題については,被告が件外無効確認請求事件係属前及び事件終局後を通じて問題としていた事柄であると認められることになるから,これと異なり,件外無効確認請求事件終局後棚上げとなっていたとの被告の主張は採用できない。
そして,原告ら主張の書類取得についての実費(23条照会申出につき1通1万円,その余は1通3000円)については,諸経費込みのものとして相当額と認められるから,上記実費の合計は,2万2000円と認められることになる。
(イ) 交通費
証拠(乙2の4)及び弁論の全趣旨を総合すれば,原告X2は,平成23年1月31日の本件立替金請求事件の口頭弁論期日に出頭したこと,京都東京間の往復交通費は2万6640円であることが認められる。
そして,山科駅が京都市内駅としてJRが指定した駅であり,また,京都東京間のような長距離乗車券にあっては,京都方は京都市内発着として発券され,京都駅で途中下車しない限り,山科京都間の運賃を要せず山科駅での乗下車が可能なことは,公知の事実である。
したがって,平成23年1月31日の交通費については,上記2万6640円の限度において,原告X2の出頭に要した交通費と認められることになる。
(ウ) 出廷日当
本件損害賠償請求事件についての報酬合意には,出張日当及び出廷日当を各1日2万円とする合意があるとこは,前提事実(3)のとおりである。そして,上記合意によれば,出張の場合のみならず,出廷の場合にも1日2万円の日当を受けるとするものであることは明らかである。
そして,原告らの本件損害賠償請求事件の期日出頭日数が13日分を超えることは,前提事実(5)のとおりだから,出廷日当は,26万円と認められる。
(以上の合計は,613万9337円である。)
(2)  財産分与関係分
ア Aと被告とは,本件和解において,内縁関係の解消に伴う財産分与として,被告は,Aに対し,内縁関係解消に伴う財産分与として,高輪マンションの共有持分2分の1を全部移転し,4項の金員の支払を受けるのと引換えに,その移転登記手続をすること(1項),被告は,Aに対し,平成25年5月31日限り,上記建物を明け渡すこと(3項),Aは,被告に対して,上記財産分与として,平成24年12月17日限り,4300万円を支払うこと(4項)を合意したことは,前提事実(6)でみたとおりである。
イ そして,b社株の評価については,証拠(甲41の1及び2,甲42)及び弁論の全趣旨によれば,上記和解成立に至る過程において,被告側は,収益還元法による1株当たり価値52万1805円とする一方(平成24年9月7日付け準備書面),A側は,これを純資産法による21万1506円としていたこと(同年10月15日付け書面)が認められる。そして,本件和解が成立したのは,平成24年11月16日(前提事実(6))であって,その後間もない時期だから,上記株式については,少なくともA主張の程度の経済的価値を有していたものと推認できる。
他方,原告らは,本件和解においては,上記価値について,東京地裁民事第8部における買取請求価格の決定を得る旨の合意がなされていたから,この手続によらなかったとすれば利益放棄であって,弁護士報酬の算定の基礎となる経済的利益はこれによる影響を受けないと主張する。しかしながら,証拠(甲14)及び弁論の全趣旨を総合すれば,本件和解において,b社株の処理につき合意されたのは,Aは,被告に対し,財産分与として,b社の株式37株を譲渡し,できるだけ早くその旨のb社の取締役会の承認を得ること,被告は,b社の取締役会の承認が得られた後6か月以内に当該株式の第三者への譲渡についてb社の承認を求めるものとすることの2点であることが認められるところであって,その旨の和解調書の記載と対比した場合,被告の第三者に対するb社株の譲渡方法を原告ら主張のものに限定するとまでの合意があったことやb社株1株当たりの評価が21万1506円を上回ることを認めるに足りる証拠は他にもない。他方,被告において,A側主張の上記評価額を下回る価格をもって処分することにつき,その合理性を肯定すべき証拠もない。
したがって,b社株については,1株当たり21万1506円の37株分782万5722円をもって相当評価額と認められる。
ウ(ア) 次に,被告は,本件和解により,高輪マンションの共有持分2分の1(評価額約4140万円相当)を失ったと主張するところ,後掲証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば,本件和解に至る経緯については,次のとおり認められる。
a 高輪マンションについては,平成16年8月5日,A及び被告の持分を各2分の1とする取得登記がなされていたものの,本件立替金請求事件において,同事件原告であるAの側が,Aと被告が同日これを共同で購入し,A名義で借り受けた住宅ローンの返済につき,被告が毎月30万円を負担する合意があったと主張するのに対し,同事件被告である被告の側は,上記購入及び借入については,Aが単独で決断したことであり,被告は,頭金の一部2294万7227円を支払ったものの,ローン債務の2分の1の負担を約したことはなく,登記名義が共有となったのは,Aが生活費を負担せずに被告が専ら負担しており,また,将来にわたる内助の功を金銭的に評価するならば,頭金の3分の2近くを負担した被告が,その所有権の2分の1を取得するのが当然のことというべきだからであるなどと主張して,Aの請求を争っていた(甲20,64,乙1の1)。
b 被告は,平成24年5月18日,本件和解に向けて,A側から,① 被告側に対し,高輪マンションは,1000万円と引き換えに3か月以内に明け渡す,② 大連子会社の株式をA側に引渡す,③ a社に対する請求は取り下げると和解案(1340万円の件については言及しなかった)の提案があった旨の報告をB弁護士から受けた。そして,被告は,原告X1に対し,同月19日,上記報告があった旨及び「本件は,本当にX1先生のお陰で,私達にとって,いい方向へ向けつつあるように思います。引続き先生のお力を頂きたく思いますので,よろしく お願いします。」との謝意を伝えた。(甲65)
c A側は,本件和解に向けて,同年10月15日,高輪マンションの頭金の一部2294万6387円及び60万円の合計2354万6387円を被告が支払ったとして,被告のAに対する同マンション持分の移転を前提として,Aの被告に対する支払額には上記支払分を含めた金員を支払う用意がある旨の提案をした(甲42。なお,Aは,これに先立つ平成23年4月11日,上記被告の負担した頭金分の請求減縮をしたことは,上記(1)イ(イ)でみたとおりである。)。
d 原告X1は,被告及びB弁護士に対し,平成24年11月7日,高輪マンションにつき,購入代金の負担に基いて寄与度を試算すると,被告に不利な内容となるので,細かな計算を避け,高輪マンション購入の寄与率50パーセントとして折半する案を提出するか,いずれの立場で臨むか検討するよう伝えた(乙6の22)。
e 被告は,原告X1及びB弁護士に対し,同月9日,被告は,高輪マンションの所有権持分2分の1をAに移転するについて,納得できないと同時に被告の本意ではないことをご理解いただきたく存じる旨述べたメールを,また,同月10日,被告側和解案から,被告が高輪マンションの持分2分の1をAに移転するとの部分を削除したものに書類をすり替えるようお願いする旨述べたメールをそれぞれ送信した(甲62,乙6の23)。
f B弁護士は,被告に対し,同月12日,書類の差し替えは,裁判所との関係でも良い印象を維持することにならないので期日に被告の要求を口頭でお話しする旨,マンション所有権の問題をAが裁判外で認めたと言うことが和解案でもそのまま認められることにはならないと考えられ,今回の和解交渉では,A側の弁護士からは,そのような和解案が提案されていないので,むしろ所有権を移転しないという意向と考えざるを得ない旨,被告の要望では,所有権の移転に加えて,さらに何を希望されるのか,それらの法的根拠をどのように考えておられるのか,お示しできるようであれば,ご返答されたい旨,無理な要望をしていると,和解交渉が決裂し,判決では,本件各金銭請求事件につき,被告に不利な判断となり得る危険も考えおかれたい旨,原告X1と当職は,そうした判断で被告の利になるよう最善策を模索して,今回の和解を乗り切ろうとしているので,よろしくご考慮の上ご連絡願う旨述べたメールを送付した(乙6の23)。
g 被告は,原告X1及びB弁護士に対し,同月14日,高輪マンションの所有権につき,いきなり,Aに移転するとなっていたので,動揺してしまったが,Aの側が所有権の移転をしないという意向であると理解とのことであれば,問題はなく,被告も所有権移転の意向はなく,その2分の1所有権については,当方の一貫した主張であり,Aを含めた全ての関係者が認めているところであるなどと述べたメールを送付した(甲37,乙6の23)。
h 原告X1は,被告に対し,同月15日,原告X1ら代理人の戦略を説明するので,先日示した和解案の賛否の検討を再度願いたい旨,被告となっている本件各金銭請求事件は,財産分与の件で和解することにより,全面勝訴し,財産分与において譲歩しても,訴訟事件に勝訴する方が依頼者に多くの利益になると考えている旨,Aは,和解について,厳しい条件を突き付けて,被告が和解を破壊したという形で,判決を得ようと必死の努力をしており,目に見えぬ死闘が繰り広げられており,最良の戦術として提案したのが,Aの主張の大部分を受け入れるとの今回のB弁護士の和解案であり,この案はAが拒否すると予想しており,和解破壊の原因をAに負わせるという戦略である旨のメールを送付した(乙6の23)。
i 被告は,原告X1及びB弁護士に対し,同月15日,判決を得ようとは単なる戦術だとAが口滑らしていた旨,当方は全面勝訴したですよね,判決でも別に悪いことではないじゃないかと思いますがとの旨,また,一日でも早く終わらせるため,被告側和解案のAへの移転はしない代わり,Aの支払額からAと以前合意した2分の1所有権分5000万円を控除することとし,b社株37株分については株ではなく,現金でいただきたい旨などを述べたメールを送付した(甲63)。
j 被告は,原告X1及びB弁護士に対し,本件和解期日の翌日である同月17日,昨日の一連の流れを振り返り,一連の疑問が残っており,昨日の和解はペンディングにできないものでしょうか,できるか,できないかだけでも教えていただきたく存じる旨述べたメールを送付した(乙6の23)。
(イ) そこで,前提事実(6)の事実に上記(ア)の事実を総合すれば,被告が高輪マンションにつき,2分の1の持分を有するものかについては,Aと被告との間において争いがあり,Aは,本件立替金請求事件においては,当初,その旨の前提に立つかのような主張をしていたものの,被告が住宅ローン債務の負担義務を否定して争うなどしたとの経過もあって,A側の和解案は,被告が上記持分をAに移転することを前提として,被告が上記マンションにつき負担した2354万6387円などを支払うとするところの被告が上記負担分は別として,高輪マンションの持分そのものを有するのではないことを前提としたものであったこと,他方,被告は,原告X1ないしB弁護士に対し,上記持分をAに移転することについては納得できない,あるいは反対であるといった意向を明確にしてはいたものの,B弁護士からは,平成24年11月12日,書類の差し替えは,裁判所との関係でも良い印象を維持することにならないので期日に,被告の要求を口頭でお話しする旨や無理な要望をしていると,和解交渉が決裂し,判決では,本件各金銭請求事件につき,被告に不利な判断となり得る危険も考え置かれたい旨などを伝えられ,また,同月16日の本件和解期日には,被告本人自らも出頭して和解に応じ,翌17日のメールにしても,問題点を明確にすることなく,一連の疑問が残っており,昨日の和解は,ペンディングにできないものかを問い合わせるにとどまるものであって,B弁護士は,被告の要求を期日に口頭で裁判所に伝える旨上記(ア)fのとおり明らかにしていたのだから,そのような対応を欠いたのであれば当然被告が問題とすべきこの点についての指摘を欠くものであったということになる。そして,これらの事実関係によれば,高輪マンションの持分については,上記負担額2354万6387円分はともかくとしても,持分2分の1そのものが被告に帰属することについては争いがあったものであり,被告としては,これをAに移転することについては不満を有しながらも,自らが出頭した和解期日において,その当日のやり取りなどをも踏まえた上で,上記持分の移転をも内容とした本件和解を承諾したものと認められることになり,この認定に反する被告の供述や陳述書(乙7)は,採用することができない。
エ そして,以上の事実によれば,被告は,本件和解により,4300万円及びb社株37株(782万5722円相当)の合計5082万5722円分の給付を受ける一方,高輪マンション持分につき,Aに移転登記手続することになったところ,本件和解時においては,高輪マンションの被告持分については,その登記が実態を反映したものであるかについては当事者双方の見解が異なっていた一方,被告がその取得等につき2354万6387円を負担したことについては,当事者間に争いがなく,Aにおいても,その負担分のAの被告に対する給付額への加算を容認していたことになる。そうすると,被告としては,本件和解によって,5082万5722円分の財産を取得した一方,高輪マンションの持分のAに対する移転については,同持分登記が実態を反映したものであるかについては当事者双方の見解が異なるままであって,その確定には至らなかった以上,その移転によって,被告が当該持分相当の利益を失ったとは認められないものの,争いのない被告負担額2354万6387円分については,持分移転登記がなされることを前提とし,実質的には,この分がAから被告への給付額に加算されたのであって,被告は,高輪マンションについて,本件和解前においては,上記争いのない負担額の限度においては,いわば特有財産に類する実質的経済的な利益を有していたことにつき当事者間に争いがなかったとみうるところ,本件和解において,この分を含めた一括解決としての清算合意をすることにより,その分を失ったと評価できるから,本件和解により被告が確保した経済的利益については,前記給付を受けることが確定した分5082万5722円から,争いのない被告負担分2354万6387円を控除した2727万9335円と認められることになる(なお,内縁期間中におけるAの退職金や分割払分に対する被告の寄与については,上記期間に形成した実質的共有財産の清算の問題であって,争いのない特有財産を含めた一括解決の問題ではないから,それによる分与分は,財産分与により被告の得たものとして,本件和解により確保された利益であるということになる。また,被告が大連子会社の株式につき権利を有するとは認められないことは,上記(1)イ(イ)にみたとおりだから,この分の控除もされるものではない。)。
また,財産分与関係分に係る原告らとの間の報酬約定内容については,前提事実(3)及び前記1(2)でみたとおりだから,その成功報酬額は,上記経済的利益2727万9335円の8パーセントである218万2346円(消費税等相当額10万9117円込みで229万1463円)であることになる。
3  争点(3)について
(1)  証拠(甲2,71ないし76,乙1の2)及び弁論の全趣旨を総合すれば,a社は,被告により設立された会社であって,実態のある取締役は,被告の外にはなく,また,a社の本店として登記されている場所も,被告が第三者に賃貸しているマンションの1室であって,事業活動の拠点たり得るものではなく,また,その財産関係についても,被告のものとa社のものとに混淆があり,取締役の選任等についても会社法ないし平成17年法律第87号による削除前の商法所定の手続が取られていないとの事実が認められる。
(2)  したがって,上記事実関係からすれば,本件損害賠償請求事件についての報酬請求との関係においては,a社の法人格は形骸と言うべきであるから,これを否認し,その代表者である被告については,a社と同様の責任を負担すべきことになる。
4  以上によれば,原告らの請求は,被告に対し,843万0800円及びこれに対する本件和解の成立によって受任事務が終了した日の後であり,訴状送達日の翌日である平成25年8月25日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度において理由があり,その余は理由がない。
よって,主文のとおり判決する。
(裁判官 松井英隆)

 

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