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判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(129)平成26年10月24日 東京地裁 平21(ワ)18662号 損害賠償請求事件

判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(129)平成26年10月24日 東京地裁 平21(ワ)18662号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成26年10月24日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平21(ワ)18662号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  一部認容  文献番号  2014WLJPCA10248004

要旨
◆土木工事業者である原告が、原告の従業員であった被告Y3と、原告の孫請会社であった被告Y1社の代表取締役である被告Y2とが共謀の上、原告に対して、ゼネコンに対する架空売上を計上してそれに対応する仕入れを原告から事情を知らない訴外会社に注文させ、同社に被告Y1社に発注させるよう仕向け、被告Y1社は真実は工事・納品を行っていないにもかかわらず、訴外会社に請求することで同社から原告に金銭を請求させ、これによって金銭を詐取したとして、被告らに対し、共同不法行為に基づく損害賠償を求めた事案において、被告Y3、被告Y2の共謀により訴外会社を媒介として、架空内容の工事及び納品を盛り込んだ請求を、被告Y1社が訴外会社に、同社が原告に行うことで金員を詐取したものと認めた上で、架空請求に係る原告の損害額を認定して、請求を一部認容した事例

参照条文
民法709条
民法719条

裁判年月日  平成26年10月24日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平21(ワ)18662号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  一部認容  文献番号  2014WLJPCA10248004

東京都千代田区〈以下省略〉
原告 X株式会社
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 村上孝守
埼玉県所沢市〈以下省略〉
被告 有限会社Y1
同代表者代表取締役 Y2
埼玉県所沢市〈以下省略〉
被告 Y2
被告有限会社Y1,同Y2訴訟代理人弁護士 井澤光朗
東京都江戸川区〈以下省略〉
被告 Y3
同訴訟代理人弁護士 小栗夏生

 

 

主文

1  被告らは,原告に対し,連帯して,5101万5887円,並びにうち4488万8678円に対する平成21年8月1日から,及びうち450万円に対する被告有限会社Y1については同年6月20日から,被告Y2については同月24日から,被告Y3については同年7月4日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  原告のその余の請求をいずれも棄却する。
3  訴訟費用はこれを6分し,その1を原告の,その余を被告らの負担とする。
4  この判決の主文第1項は,仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
被告らは,原告に対し,連帯して,6067万5021円並びにうち5289万3328円に対する平成21年6月1日から,及びうち630万円に対する被告有限会社Y1については同年6月20日から,被告Y2については同月24日から,被告Y3については同年7月4日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
1  本件は,土木工事業者である原告が,原告の従業員であった被告Y3(以下「被告Y3」という。)と,原告の孫請会社であった被告有限会社Y1(以下「被告Y1社」という。)の代表取締役である被告Y2(以下「被告Y2」という。)とが共謀の上,原告に対して,訴外株式会社a(以下「a社」という。)らゼネコンに対する架空売上を計上してそれに対応する仕入れを原告から事情を知らない訴外株式会社b(以下「b社」という。)に注文させ,同社に被告Y1社に発注させるよう仕向け,被告Y1社は真実は工事・納品を行っていないにもかかわらず,b社に請求することで同社から原告に金銭を請求させ,これによって金銭を詐取したと主張して,被告らに対して,共同不法行為に基づく損害賠償として,①架空売上に対する支払分合計5289万3328円,②これら各支払に対する平成19年8月31日から平成21年5月31日までの間に発生した各損害に対する民法所定の年5分の割合による遅延損害金の合計148万1693円と,上記5289万3328円に対する同年6月1日以降支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金,③弁護士費用相当の630万円及びこれに対する訴状送達日の翌日である被告Y1社については同年6月20日から,被告Y2については同月24日から,被告Y3については同年7月4日から,各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事件である。
2  本件の前提となる事実は,次のとおりである(なお,以下,枝番号のある書証について枝番号を特記しないときは,すべての枝番号を含むものとする。)。
(1)  当事者等について
ア 原告は,土木一式工事設計施工,建築一式工事設計施工等を目的とする会社である(争いがない)。
イ 被告Y3は,原告の東京支店営業課長であった(争いがない)。
ウ 被告Y1社は,建築及び土木工事の施工,施工管理並びに建築及び土木工事に関連する材料,機械の販売等を目的とする会社であり,被告Y2は被告Y1社の代表取締役である(争いがない)。
(2)  本件の事実関係について
ア 原告は,下記の各現場について,各ゼネコンから納品ないし工事について仕事を受注した(争いがない。以下,これら工事をまとめて「本件工事」という。)。

① a社
平成18年度相模川流域下水道伊勢原厚木幹線改築工事(以下,当該工事の現場を「a社厚木現場」という。)
② a社
国道20号線新宿地下道工事(以下,当該工事の現場を「a社新宿現場」という。)
③ 訴外c株式会社(以下「c社」という。)
両総農業水利事業松潟支線用水路その2工事(以下,当該工事の現場を「c社現場」という。)
④ 訴外株式会社d(以下「d社」という。)
北総中央農業水利事業1号送水路その2-1工事(以下,当該工事の現場を「d社現場」という。)
イ 本件工事は,原告からb社に発注され,更に,同社から被告Y1社に発注された(争いがない)。
ウ 本件工事の竣工時期と各ゼネコンから原告への工事代金最終支払日は以下のとおりであり,各ゼネコンから原告に対する工事代金は完済されている(弁論の全趣旨)。
① a社厚木現場 竣工時期 平成21年3月15日
最終支払日 平成20年12月26日
② a社新宿現場 竣工時期 平成21年1月20日
最終支払日 平成21年2月5日
③ c社現場 竣工時期 平成21年3月31日
最終支払日 平成21年2月27日
④ d社現場 竣工時期 平成21年3月31日
最終支払日 平成21年4月30日
エ 原告は,b社から,本件工事に対する各工事代金として,下記のとおりの請求を受け,その全額について,平成19年8月31日から平成21年7月31日までの間に,別紙1「原告のb社に対する支払一覧表」のとおり,b社に支払済みである(甲5ないし8,弁論の全趣旨)。
① a社厚木現場分 4289万6423円
② a社新宿現場分 592万9875円
③ c社現場分 347万5500円
④ d社現場分 716万6250円
オ 平成21年4月8日,原告の総務部長であるBが同年3月末の決算後の売掛金のチェックを行った際,本件工事についてゼネコンに対する売掛残が多いことに気付き,担当である被告Y3に電話で説明を求めたところ,そのまま被告Y3は失踪し,同年6月30日に発見されるまで行方不明となっていた(争いがない)。
カ 平成21年4月9日,Bは,原告東京支店営業課長C(以下「C」という。)に調査を指示し,原告の会議室においてb社の担当者であるD(以下「D」という。)も同席の上で被告Y2に対する事情聴取(以下「本件面談」という。)が行われた(争いがない)。
キ その後も原告と被告Y2との面談は続き,平成21年4月16日,被告Y2が持参したメモ(甲64)には,被告Y2から被告Y3に対する金銭の交付について,平成19年5月8日から平成21年1月13日までの間の交付日と,合計額が1572万5000円となる交付金額一覧が記載されていた(争いがない)。
そして同日,被告Y2は,被告Y3と共謀して架空の工事ないし納品を原告からb社に発注させ,原告がb社に支払った仕入代金5946万8052円のうちb社から5882万5977円を受領した旨,及び,これによって原告が被った損害は被告Y1社と被告Y2において弁償する旨が記載された確約書(甲3。以下「本件確約書」という。)に被告Y1社代表者名義及び被告Y2個人名義で署名をした。ただし,原告からは本件確約書に対する押印を求められたものの,被告Y2は,被告Y1社名義でも被告Y2名義でもこれを拒んだ(争いがない)。
第3  争点
本件の争点は,以下のとおりである。
1  被告らは,共謀して,原告からb社に対して,b社の架空売上に対する発注及び支払を行わせることによって,原告から金員を詐取したか,及びその金額(争点1)
2  損害(争点2)
第4  争点に関する当事者の主張
1  争点1(架空売上による金員詐取及びその金額)に関し
(1)  原告の主張
ア 被告らは,共謀して,本件工事について実際に受注した売上に架空の売上を加え,あるいは架空の売上のみを計上して原告に誤信させ,b社に対してその架空売上に対応する発注を行わせ,原告からb社に架空売上に対応する工事ないし商品を被告Y1社に発注するよう仕向け,b社から原告宛に請求書を送付させることによって,原告からb社に架空売上に対する支払を行わせ,b社経由でこの金員を詐取した。
イ 詳細は,別紙2「不法行為一覧表」中の原告の主張及び反論記載部分のとおり。
ただし,上記に加えて,a社厚木現場の平成20年9月分について,FRPM管の販売費として,原告がb社に対して,25万6651円(消費税相当額含む)を支払っており,その全額が被告らの不法行為による損害となる(その結果,a社厚木現場の損害合計額は別紙1「原告のb社に対する支払一覧表」中の「厚木現場」欄の記載との同じく4289万6423円となる。)。
(2)  被告Y3の主張
ア 架空取引を計上するようになったことは認めるが,具体的な内容については記憶になく,原告の主張する金額は過大である。
イ 詳細は,別紙2「不法行為一覧表」中の被告Y3の主張記載部分のとおり。
(3)  被告Y1社及び被告Y2の主張
ア 請求書項目と実際に工事した内容とが異なることがあったとしても,それらはb社より,原告との間で決定済みだとして,b社の注文書どおりの項目で書くよう指示されたため,被告Y1社がこれを変更することはできなかった。
イ しかし,被告Y1社がb社より受領した金員は,全て実際に工事を実施した対価であり,架空の工事ではない。
ウ 詳細は,別紙2「不法行為一覧表」中の被告Y1社・被告Y2の主張記載部分のとおり。
ただし,別紙2「不法行為一覧表」のa社厚木現場の平成19年5月分に関する被告Y1社・被告Y2の主張欄の記載中,
(ア) 「2011年(平成23年)12月5日付被告有限会社Y1社,被告Y2の準備書面で述べたとおり」とある部分の内容は以下のとおりである。
a セグメントのシール貼り工事と坑内点検(同欄に掲げた項目①及び②)
a社厚木現場における被告Y1社の主な工事内容であり,平成20年8月に最終のつなぎ部分の工事を行った際にもセグメントのシール貼りの工事をしている。
シール貼りの作業には有機溶剤取扱作業主任者という資格が必要であり,現場代理人として登録されていた被告Y2か,もしくは主任技術者として登録されたe社のEのいずれかは必ず現場に常駐していなければならなかった。
b 移動式テントの製作・処分(同欄に掲げた項目④)について
雨天時には接着剤に対してガスバーナーで溝を乾燥させる必要があるが,この作業中雨を防ぐのに必要な移動式テントについてa社から原告に作成の依頼があった。壊れやすく,途中で損傷があっても製作者側で修繕しなければならなくなるため,被告Y1社は断っていたのだが,断り切れず,従前b社から購入したものがあったためそれを補強して使用した。
c 裏込プラントのミキサーの作動確認(同欄に掲げた項目⑤)について
シール貼り工事が始まる前,キャリブレーション(裏込プラントのミキサーの作動検査)が役所の担当者立会のもと行われるところ,裏込プラントについて熟知している被告Y2が,原告の担当であるF課長と共に作業を行った。
d 止水材の納品(同欄に掲げた項目⑥)について
平成19年11月下旬,坑内の漏水があったが,セグメントの隙間ではなくセグメント自身の不良であったことが判明し,その対策として止水材を納品した。水で膨らむ液体とウレタンとを提案し,両方を手配したが,その際,施主から問題発生が疑われるのを避けるため,「止水材」という名目を用いず違う名目で請求している。
e 中込工事の管理試験(同欄に掲げた項目③)について
シール貼り終了後,a社の立会のもとで,組み立てたセグメントの中にFRPM管を挿入していく工事がなされたが,担当のF課長を手伝う形で中込材の試験を行った。
(イ) 同欄中,甲第64号証を持参した経緯については「後述するとおり」とある部分の内容は以下のとおりである。
a 平成21年4月9日,被告Y2が本件面談に出向いたところ,原告側より,仕事など何もやっていない,仕事の内容と請求書の内容が違う以上詐欺だ,そのお金はどうしたんだと責められた。被告Y2は,本件工事の代金とは関係なく取引先や現場の接待費用,原告の仕入れ業者を変更・排除する際の詫び料に使用するとのことで,被告Y3にお金を渡していた旨説明した。どのくらい渡したのかと問われ,被告Y3から売掛金の不足額が約1500万円になっていると聞かされていたことから,実際の交付額とは異なるが,毎月50万円ずつ2年間渡してきたと答えた。
b 平成21年4月13日,被告Y2が原告に出向いたところ,原告の社長はいきなり被告Y2の自宅付近の写真を見せて質問をしたため,家族らにも危害が及ぶのではないかと畏怖した。本件各現場での被告Y1社の仕事内容を説明すると,「お前は悪くない,Y3が悪い」との発言があり,被告Y3に渡した金を全て明らかにするようにとの指示があったことから,甲第64号証を提出したが,その記載は事実に基づくものではない。間違いを指摘されないよう実際に被告Y2がいたであろう場所を記載し,金額は,上記aの説明に沿うよう記載したに過ぎない。
2  争点2(損害の発生の有無及び額)に関し
(1)  原告らの主張
ア 架空売上に対する原告のb社への支払額は,別紙1「原告のb社に対する支払一覧表」記載のとおり,合計5946万8048円であるが,一方で,このうちの一部について既にa社から原告に対して支払がなされている分があり,その関係で657万4720円分を差し引く必要があるため,その残額は5289万3328円となる。
また,原告による各支払について平成19年8月31日から平成21年5月31日までの間に発生した遅延損害金の合計148万1693円と,5289万3328円に対する平成21年6月1日以降支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。
イ 原告は,上記損害の賠償を被告らに求めるに当たって本件提訴を余儀なくされ,原告代理人弁護士との間に,着手金210万円及び成功報酬420万円を支払う旨の合意をしたから,これら合計630万円は被告らの不法行為との間に因果関係がある。
また,これに対して,訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金が発生している。
(2)  被告Y3の主張
争う。
(3)  被告Y1社及び被告Y2の主張
争う。
第5  当裁判所の判断
1  争点1(金員詐取)について
(1)  架空請求の有無について
ア 証拠によれば,以下の事実経過を認めることができる。
(ア) 被告Y3は,本件工事について,各ゼネコンより受注し,実際に代金を請求した工事内容とは別の売上伝票を作成し,各ゼネコンに対して交付したかのように原告社内に計上した(甲30,31,41,48,52,53,82,証人C,被告Y3本人)。
(イ) 原告は,上記計上に基づいてb社に対して代金を支払ったため,その代金には,原告が各ゼネコンからの受注に従って請求,受領した代金項目には含まれていない項目が多数含まれていた(甲5から8まで,32から34まで,42,43,46,47,50,54)。
(ウ) b社が原告から受領した上記代金は,約2.5%(消費税相当額を除いた価格に対する歩合)の口銭としてb社が受領した以外は全て同社から被告Y1社に支払われた(甲1,2,4,乙1から24まで)。
(エ) 一方で,被告Y1社はb社から受領した額の中からその一部を被告Y3に交付していた(乙70,丙2,被告Y1社代表者兼被告Y2本人(以下,単に「被告Y2本人」という。),被告Y3本人)。
(オ) 被告Y3から被告Y2に対して送付されたメールには,b社を介して工事代金に上乗せさせる旨や,被告Y3の個人的な使途のため金銭を都合するよう依頼する旨の記載がある(甲66,81)。
(カ) 平成21年4月9日,本件工事に関する売掛残について,Bから問い合わせを受けた被告Y3はそのまま失踪したが,乗り捨てられていた車には持出厳禁とされているはずの原告社内資料が多数存在し,また,被告Y3が保管していた印鑑やスタンプには,a社名義のものや,b社名義のものもあり,これを用いて実際に偽造された売掛金残高確認書のコピーが被告Y3の机から発見された(甲10,58)。
(キ) 発見された被告Y3は,原告の社員に対し,本件工事に関して被告Y2と共謀にて架空請求を行ったことや,受け取った金員はギャンブルに費消したことを認めた(甲58,59,証人C)。
(ク) 原告による追及を受けて,被告Y2も被告Y3と共に架空請求に加担した事実を認め,被告Y1社名義及び被告Y2名義で本件確約書に署名した他,被告Y3に交付した金員をまとめたメモ(甲64),実際に実施した工事をまとめたメモ(甲65),被告Y3から受け取ったメール(甲66)を原告に提出または転送した。
イ 以上の事実を総合すれば,被告Y3,被告Y2の共謀により,b社を媒介として,架空内容の工事及び納品を盛り込んだ請求を,被告Y1社がb社に,b社が原告に行うことで金員を詐取し,取り分として分け合ったものと認めることができる。
ウ これに対し,被告Y2本人は,被告Y1社としてはb社に指示されたままに請求書及び注文請書の項目を記載しただけであると供述する。しかし,実際に被告Y1社が行った工事の内容とその記載が異なっていることは明らかに不合理と言わざるを得ないし,原告から受領した金員のうち2.5%の口銭を得るだけのb社自身に,かかる不正を行うだけの動機は乏しい。むしろ,各ゼネコンから原告への発注内容と完全に異なる工事項目であるにもかかわらず,そのまま原告からb社に支払われていること自体が極めて不合理であり,かかる支払を実行するには原告内部の人間が関わる必要があり,それが被告Y3であることや,架空請求による代金のほとんどはb社ではなく被告Y1社が取得していること,かつ被告Y1社が受領した代金の一部が被告Y3に還流していることからすれば,被告Y2と被告Y3との間には,架空請求による原告からの代金の詐取について共謀があったとみるべきであり,被告Y2本人の供述は採用できない。
また,被告Y2本人は,本件確約書について,架空請求に関して共謀などしていないにもかかわらず無理矢理書かされたかのような供述をする。確かに,本件確約書に記載された金額については,後述するとおりの問題があるけれども,少なくとも、実際に行っていない工事・納品について請求していた事実は被告Y2も認めていること,いくら強く責められたとしても,全く関与していないのならば共謀の事実そのものを認めるとは通常考えにくいこと,証人Dも被告Y2自身も架空請求に加担した事実そのものは認めて謝罪していた旨証言していることからすれば,本件確約書の作成について,少なくとも共謀の事実を認めたという範囲では,十分に被告Y2の真意に基づいたものと認められるというべきであり,金額に関する後記の齟齬は上記結論を左右するものではない。
更に,被告らは,被告Y1社から被告Y3に交付した金員について,甲第64号証のメモに記載された額は高額に過ぎるかのような主張をするが,少なくとも,工事内容と異なる架空請求によって取得した金員の一部が被告Y1社から被告Y3に交付されていることは争いがない以上,同メモ記載の額が実態に即していなかったとしても,共謀があったとの事実認定を左右するものではない。
(2)  架空請求の額について
ア 本件確約書について
(ア) 原告は,本件確約書の存在をもってその記載どおりの金額の金員詐取の事実が推定できる旨主張する。しかし,証拠(甲1から4まで,65,81,乙70,71,証人C,被告Y2本人)によれば,①本件確約書に記載された金額は,b社が被告Y1社に対して支払った金額全てを対象にして合計したに過ぎないものであること,②被告Y2としては,その全てが架空取引ではなく,実際に行った作業がある,として,その内容を甲第65号証のメモとして原告に提出していること,③それにもかかわらず,原告側では,実際の作業についての裏付資料が提出されないことを理由に控除を認めなかったこと,④被告Y2としては,架空請求に加担したことを認める意味で本件確約書に署名はしたものの,その後改めて検討し,実際に行った工事分が認められないことに納得がいかなかったことから,押印には応じなかったことという事実経過を認めることができる。
(イ) 一方で,証拠(甲65,乙25から40まで,58から60まで,70,71,被告Y2本人)によれば,被告Y1社は,本件工事における各工事現場に関して,①平成19年の始め頃,ゴム業者と共にセグメントに貼る水膨張ゴムの止水設計をし,その後,a社厚木現場についてb社を介して被告Y1社に発注があった段階ですぐにゴム業者に発注をし,同年7月の工期開始時に間に合わせたこと,②a社厚木現場における被告Y1社のシール貼り工事については,セグメント清掃(錆落とし),接着剤塗布,ゴムの貼り付け,つなぎ目処理,ゴムの押さえという工程を経て1リングとなる作業を,基本的に1日24リング分実施してきたこと,③a社新宿現場について,現場で使用された材料を被告Y1社がゴム業者から仕入れて提供していること,④c社現場について,被告Y1社が現場に赴いていること,⑤d社現場について,被告Y1社が現場に赴いていることをそれぞれ認めることができ,被告Y1社が本件工事の各現場において工事ないし納品を行っていた事実そのものは肯定すべきである。
(ウ) 以上に加え,証人Cが原告側でも実際に何らかの仕事はしているものと思いつつもそれが書類で裏付けられないというだけでの理由で対象から外した旨述べていることや,上記のとおり被告Y2としては本件確約書に署名はしたもののその記載金額には納得していなかったという事実経過を併せ考慮すれば,本件確認書記載の金額は,単純にb社から被告Y1社への支払額を記載しただけであり,実際に被告Y1社が各現場においていかなる作業をしたかを具体的に精査した結果ではなく,本件確約書の存在によって推認できるのは,上記(1)で認定したような架空請求の存在にとどまり,同記載の金額を被告らが金員を詐取したとの事実までを認定することはできない。
イ このように,架空請求の事実は認められる一方で被告Y1社が各現場において実際に工事に従事していた事実が存在する以上,不法行為を構成するのは,b社から被告Y1社に支払った代金から被告Y1社が実際に行った工事・納品に相当する部分を除外した分ということになる。すなわち,被告Y1社がb社を介して原告に請求した工事ないし納品代金の項目のうち,実際には行われていない項目が架空請求ということになるが,その一方で,被告Y1社は,実際に行った作業内容について,全く異なる項目にて請求を立てていた旨主張しているところ,たとえ明示で計上されていない工事項目であろうとも,b社からの発注に基づいて実際に行われ,原告にとっても必要な工事なのであれば,そのための代金を支払うことは原告にとって不合理な結果とはならず,その限度では実質的には架空請求とはならないものとみるのが相当であるから,これを損害賠償の対象から控除することとする。
よって,以下では,各工事現場ごとに,①まず,被告Y1社がb社を介して原告に請求した工事代金の項目ごとに,当該内容の工事を実際に行ったか否かを判断することで架空の工事をピックアップすることをベースとしつつ,②その上で,当該請求項目には現れなかったものの,被告Y1社が実際には別途行っていた工事についてその代金相当額を具体的に認定して,これらを別紙1「原告のb社に対する支払一覧表」記載の支払額から控除することによって,損害賠償の対象となる架空請求額を判断することとする。
(3)  a社厚木現場について
ア 請求書上の項目について
(ア) シール工費,シール接着剤及びシール材(平成19年7月分~平成20年4月分)について
a シール工費について
原告がb社に対して支払ったシール工費の合計は,1498万7862円(消費税相当額込み)である。
そして,証拠(甲65,乙25から28まで,70,71,被告Y2本人)及び弁論の全趣旨によれば,a社厚木現場においてセグメントに対するシール貼り工事を担当した業者は被告Y1社のみであり,被告Y1社が当該工事を担当したことは明らかであるから,ここでの問題は,その工事内容がどれだけの単価でどれだけの数量を行ったのかという点にある。
(a) 数量について
この点,a社から原告への注文書(甲26の1)によれば,a社厚木現場について正式に発注されたセグメントシール工事の数量は,平成19年7月18日から平成20年3月31日までを工期として,2000mm×900mmのリングを1312リング,2000mm×450mmのリングを83リング,2000mm×300mmのリングを135リングという内容で,合計1530リングであったものと認められる。
これに対し,被告Y1社からb社への注文請書,請求書(乙2,乙3)によると,最初に平成19年8月8日の注文請書によって同年6月から平成20年3月までを工期として2000mm×900mmのリングを1312リング,2000mm×450mmのリングを83リング,2000mm×300mmのリングを135リングという内容で,合計1530リングのシール貼りを受注し,その全部について平成19年11月までの間に工事代金を受領済みであるにもかかわらず,同年12月17日付けの注文請書において,同年11月から平成20年3月までを工期として再度全く同数の発注がなされた上で,平成19年12月から平成20年3月までに2000mm×900mmのリングを合計1440リング施工したことになっており,上記に認定したa社から原告への発注内容と比較して明らかに不合理である。
むしろ,証拠(乙70)及び弁論の全趣旨によれば,被告Y1社自身も延べ日数70日間の作業によって合計1530リングのシール貼りを施工した旨述べており,a社による原告への発注内容と合致するから,実際の数量はこれが正しいものと認められる。そして,現場には被告Y1社以外に原告からの下請業者もいたものの,弁論の全趣旨によれば,ゴムをセグメントに貼るまでは全て被告Y1社が担当し,別業者はそれを地下に運搬して組み立てる過程を担当したものと認められ,a社から原告に発注されたシール貼り工事の数量は全て被告Y1社において施工されたものといえる。
そうであれば,これを超える請求分は全て架空であって,b社から被告Y1社への注文のうち実際の施工内容に合致するのは当初のもののみであり,これに再度同じ発注があったものと偽装することで本来の受注額より倍額以上に水増しさせたものとみるべきであるから,実際に被告Y1社が施工した数量は,a社から原告に発注のあったとおりの内容の合計1530リングにとどまるものというべきである。
(b) 単価について
上記のとおり,被告Y1社からb社への注文請書のうち,平成19年8月8日付けのもの(乙2の1)だけは,本来のa社から原告への発注内容をベースに正規のものとして作成されたものとみることができるが,そこでは,2000mm×900mmのリングを単価3652円,2000mm×450mmのリングを単価3000円,2000mm×300mmのリングを単価2700円で受注している旨が記載されている。この単価であれば,a社から原告への発注内容における単価が,2000mm×900mmのリングを単価4235円,2000mm×450mmのリングを単価3339円,2000mm×300mmのリングを単価3041円であること(甲26の3)と比較しても一応合理的な額といえるし,被告らの行った架空請求の手段が,数量の水増しという方法だったと考えれば,当該注文における単価自体は相当であったとみることは十分に可能である。
この点,被告Y2本人は,当該注文請書の記載はb社の指示に従ったに過ぎず,かかる単価では通常請け負えないなどと供述するけれども,そもそもb社からの指示という説明自体を信用することができないし,仮に被告Y3との共謀の中でいくらか安価に設定されたのだとしても,少なくとも当該単価をもって注文を受けた形をとっている以上は,明らかに不合理な数値でない限りこれをもって相当額と認定するのが妥当である。
(c) 以上のとおりであるから,原告がb社に対して支払わされたシール貼り工事費用合計1498万7862円のうち,被告Y1社が実際に施工した工事代金相当分として控除できるのは,b社から被告Y1社への当初の注文請書(乙2の1)のとおりの567万5170円(消費税相当額含む)である。
更に,当該工事についてもb社を介して発注されている関係で,前提事実にて認定したとおり,同社の口銭として,同金額から消費税相当額を除いた代金の2.5%が発生していることになるため,13万5123円も架空請求部分から控除されてしかるべきであり,これらの合計は581万0293円となる。
(d) 一方,証拠(甲33の2から9まで,甲33の11,甲34の2から9まで及び11)によれば,本件において原告が架空請求だと主張していたa社厚木現場におけるシール貼り工事費用についてa社から原告に合計630万円が支払われている事実(いずれも割戻し後の額)が認められ,原告は,本件において請求分から,当該支払分に対応する部分として657万4720円を減額している。
(e) 以上を総合すると,証拠上,被告Y1社の施工分に相当する額は581万0293円となるものの,その一方,シール貼り工事費用としてa社から原告に支払われた分の対象はまさに被告Y1社が施工した当該工事であることは明らかであって,原告は既に当該被告Y1社施工分に相当する代金を回収済みということになるため,結局,原告が請求を減縮したとおり,上記支払額を含めた657万4720円分を控除するのが妥当である。。
b シール接着剤,シール材
そもそも,シール貼り工事という請負契約である以上,それに必要な材料は受注者側で用意するのが通常であって,原告のa社への受注内容(甲26の1から3まで)においても,被告Y1社のb社からの受注内容(乙2の1)においても,セグメントシール工事の単価は,シール材,接着剤に施工費を加えて算出されている。
よって,上記aにおいて認定したシール工費の中に材料費は既に含まれているのであるから,これを別途計上することは許されず,原告がb社に支払ったシール接着剤,シール材の代金はその全額が架空請求となり,控除対象はない。
(イ) セグメントテント(平成19年7月分)について
証拠(甲26の1,乙70,被告Y2本人)によれば,①シール貼り工事の際,雨天時には接着剤に対してガスバーナーで溝を乾燥させる必要があるが,この作業中雨を防ぐのに移動式テントが必要となること,②a社・原告間では,原告の側の負担にて設置することに決まっていたこと,②これを受けて,原告から被告Y1社に対して,テントの設置の指示があったが,壊れやすく,途中で損傷があった際の修繕までが負担となるため被告Y1社はこれを断ったこと,③しかし,どうしても被告Y1社の側で設置しなければならないということになり,たまたま従前b社から購入していたものを所持していたことから,被告Y1社において,それを使用したことをそれぞれ認めることができ,原告・b社ないし被告Y1社の間で,その設置費用をどちらが負担することに決まったのかについては,明確な合意もなく曖昧なまま,なし崩し的に被告Y1社が設置を強いられたというのが実態といえる。そうであれば,被告Y1社としてその費用をb社を通じて原告に請求したこと自体は社会通念上も格別不合理とは思われない。少なくとも,原告としては,いずれが負担すべきか明示の合意もなかった状況にある以上,未だ交渉の余地は十分にあったはずであるにもかかわらず,なんら疑問を呈することもなく支払に応じたというのであるから,これを架空請求と判断するのは困難であり,その代金31万5000円(甲5の2)全額を控除する必要がある。
(ウ) 発進エントランスリング,ブラケット,パッキン,運搬費,風管及び運搬費(平成19年5月分),防音ハウス看板(同年10月分),アングル,コマ及び搬入運賃(平成20年2月分),バンド及び防止材,固定バンドゴム板付(同年3月分,6月分,7月分,8月分),枕木費及び運賃(同年4月分,5月分),レンガ,セメント,砂及び雑材(同年6月分),防水セメント(同年6月分から8月分まで),端角(同年7月分及び8月分)について
これらについては,被告Y1社からも当該工事,納品を実施した旨の主張は一切なく,被告Y2作成の実施作業内容メモ(甲65)にも記載されていないことから,被告Y1社において施工,納品したものではないものと認められ,これらの代金はその全額が架空請求とみるべきであり,控除対象はない。
(エ) 中込プラント及び運賃(平成20年5月分),中込プラント及び中込台車(同年8月分及び9月分),FRPM管(同年9月分),中込プラント返納整備費,中込台車返納整備費及び搬出運賃(同年10月分)について
中込作業の関連やプラントの関連については,被告Y2作成の実施作業内容メモ(甲65)に「キャリブレーション・プラント設置」や「中込試験」との記載があり,被告Y1社も,中込工事の管理試験及び裏込プラントのミキサーの作動確認を行ったと主張しているけれども,同メモ上の代金はそれぞれ「7万6000円」,「22万800円」に過ぎず,実際にb社に請求した金額と余りに異なること,テクノプラントの原告に対する平成20年5月分の請求書(甲5の18)上では「損料」と記載されていることや,平成20年10月分のテクノプラントの原告に対する請求書(甲5の25),原告社内の売上伝票(甲30の21)及び被告Y1社のb社に対する請求書(乙20の2)のいずれにも「返還整備費」との記載があることからすれば,当該請求において対象となっているのは,中込プラント及び中込台車を被告Y1社において第三者から調達することに伴って発生したレンタル費用とみるのが相当であって,上記した被告Y1社の主張内容とは明らかに異なっている。したがって,標記の中込プラント及び中込台車関連の売上げについて,被告Y1社が実際に工事,納品を行ったとは認められず,これらの代金はその全額が架空請求とみるべきであり控除対象はない(なお,平成20年9月分のFRPM管については別紙2「不法行為一覧表」には計上されていないが,原告は,これに相当する代金の支払にも応じているものと認められるため,架空請求として認定したものである。)。
イ 請求書に計上されていない実際の作業内容について
(ア) 坑内点検(別紙2「不法行為一覧表」のa社厚木現場の平成19年5月分に関する被告Y1社・被告Y2の主張欄の項目②)について
実際に被告Y1社において行った作業であるとしても,シール貼り工事の作業過程の一部と評価すべきであり,点検のみを別途の請負代金発生根拠とするのは困難である。
(イ) 裏込プラントのミキサーの作動確認(同欄の項目⑤)及び裏込材の納品立会(同欄の項目⑥)について
被告Y2作成の実施作業・納品内容メモ(甲65)には「a社・厚木キャリブレーション・プラント設置」との記載があることに加え,証拠(乙70,被告Y2本人)によれば,被告Y1社において,シール貼り工事が始まる前,キャリブレーション(裏込プラントのミキサーの作動検査)が役所の担当者立会のもと行われるところ,裏込プラントについて熟知している被告Y2が,原告の担当であるF課長と共に作業に従事したとの事実を認めることができ,その作業代金については,証拠(甲65)及び弁論の全趣旨により,7万6000円をもって相当というべきであり,これに消費税相当分として3800円及びb社口銭分として1900円を加えた8万1700円を控除すべきである。
これに対し,裏込材の納品立会については,原告Y2作成の陳述書(乙70)にもその作業内容は記されておらず,上記の作動確認とは別途に報酬が発生するものであるかは不明確なままであり,原告として支払う必要があったものであるとの認定は困難である。
(ウ) 止水材の納品(同欄の項目⑥)について
被告Y2作成の実施作業・納品内容メモ(甲65)には「止水材」との記載があることに加え,証拠(乙70,被告Y2本人)によれば,①平成19年11月下旬,坑内の漏水があり,被告Y1社の調査によって,セグメントの隙間ではなくセグメント自身の不良であったことが判明したこと,②その対策として,被告Y1社において,止水材として,水で膨らむ液体とウレタンとを提案し,その両方を手配したこと,③その際,施主から問題発生が疑われるのを避けるため,「止水材」という名目は用いず別の名目で請求したことをそれぞれ認めることができ,その納品代金については,証拠(甲65)及び弁論の全趣旨により,5万2000円をもって相当というべきであり,これに消費税相当分として2600円及びb社口銭分として1300円を加えた5万5900円を控除すべきである。
(エ) 中込工事の管理試験(同欄の項目③)について
被告Y2作成の実施作業・納品内容メモ(甲65)には「中込試験」との記載があることに加え,証拠(乙70,被告Y2本人)によれば,第1期のシール貼り工事が終了した平成19年9月ころ,a社の立会のもとで,組み立てたセグメントの中にFRPM管を挿入していく工事がなされた際に,被告Y1社が担当のF課長を手伝う形で中込材の試験を行ったとの事実を認めることができ,その作業代金については,証拠(甲65)及び弁論の全趣旨により,22万8000円をもって相当というべきであり,これに消費税相当分として1万1400円及びb社口銭分として5700円を加えた24万5100円を控除すべきである。
(オ) 以上より,a社厚木現場における請求書に計上されない実際の作業相当分として合計38万2700円を控除すべきである。
ウ 以上のとおりであるから,a社厚木現場における架空請求は,別紙1「原告のb社に対する支払一覧表」記載の「厚木現場」欄の合計額4289万6423円から,シール貼り工事費用として657万4720円,セグメントテント費用31万5000円,請求書に計上されない実際の作業相当分として合計38万2700円を控除した結果,3562万4003円となる。
(4)  a社新宿現場について
ア 請求書上の項目について
(ア) シール,接着剤(平成20年1月分)について
被告Y2作成の実施作業・納品内容メモ(甲65)には「シール材料費」,「接着剤」との記載があることに加え,証拠(乙70,被告Y2本人)によれば,被告Y1社において,a社新宿現場に合致する材料を選定するべく山口県のゴム業者にまで出向き,検査の上で材料を発注してきたとの事実を認めることができ,当該項目については,請求書の記載通りの納品を行ったものというべきである。
(イ) コンクリート打継材,コンクリート防水剤(平成20年9月分及び10月分)
被告Y2作成の実施作業・納品内容メモ(甲65)には「打継材」「ネオコーク」との記載があることに加え,証拠(乙70,被告Y2本人)によれば,地下水がわき上がるのを防いでほしいとの要請を受け,被告Y1社において,ゴム業者を通じて手配したとの事実を認めることができ,当該項目については,請求書の記載通りの納品を行ったものというべきである。
イ このように,a社新宿現場については,請求書上の項目どおりの納品が被告Y1社によってなされており架空請求は存在しないことになり,その全てが控除される。
(5)  c社現場について
ア 請求書上の項目について
中込プラント損料,FRPM台車損料,中込配線工事,プラント設置費,搬入運賃(平成20年12月分)のいずれについても,被告Y1社から当該工事・納品を実施した旨の主張は一切なく,被告Y2作成の実施作業内容メモ(甲65)にも記載されていないことから,被告Y1社において施行・納品したものではないものと認められ,これらの代金として原告がb社に支払った合計347万5500円はその全額が架空請求に対するものとみるべきであり,控除対象はない。
イ 請求書に計上されていない実際の作業内容について
被告Y2作成の実施作業・納品内容メモ(甲65)には「現場管理」との記載があることに加え,証拠(乙70,被告Y2本人)によれば,c社現場において,被告Y1社は,現場の確認,現場監督業務,実際に工事を施工するエリグチ産業への指示,材料搬入,及び止水工事を行ったとの事実を認めることができ,その作業代金については,証拠(甲65)及び弁論の全趣旨によれば,64万8000円をもって相当というべきであり,これに消費税相当分として3万2400円及びb社口銭分として1万6200円を加えた69万6600円を控除すべきである。
ウ 以上のとおりであるから,c社現場における架空請求は,別紙1「原告のb社に対する支払一覧表」記載の「c社」欄の合計額347万5500円から,請求書に計上されない実際の作業相当分として合計69万6600円を控除した結果,277万8900円となる。
(6)  d社現場について
ア 請求書上の項目について
中込プラント,濁水処理装置,FRPM管台車,バキューム装置(平成21年1月分及び3月分),搬入運賃,配線工事費(同年1月分),バッチャプラントレンタル費,組立工事費,配線試運転調整費,搬入運賃,濁水プラントレンタル費,PH処理装置,配線工事費,搬入運賃(同年2月分)のいずれについても,被告Y1社から当該工事・納品を実施した旨の主張は一切なく,被告Y2作成の実施作業内容メモ(甲65)にも記載されていないことから,被告Y1社において施行・納品したものではないものと認められ,これらの代金として原告がb社に支払った合計716万6250円はその全額が架空請求に対するものとみるべきであり,控除すべきものはない。
イ 請求書に計上されていない実際の作業内容について
被告Y2作成の実施作業・納品内容メモ(甲65)には「現場管理」との記載があることに加え,証拠(乙70,被告Y2本人)によれば,d社現場において,被告Y1社は,現場責任者として材料の検査,作業の管理,作業日程の調整,納品物の管理,資材の発注,FRPM管配管の手伝い,中込材注入の手伝い及び水密検査を行ったとの事実を認めることができ,その作業代金については,証拠(甲65)及び弁論の全趣旨によれば,63万3000円をもって相当というべきであり,これに消費税相当分として3万1650円及びb社口銭分として1万5825円を加えた68万0475円を控除すべきである。
ウ 以上のとおりであるから,c社現場における架空請求は,別紙1「原告のb社に対する支払一覧表」記載の「c社」欄の合計額716万6250円から,請求書に計上されない実際の作業相当分として合計68万0475円を控除した結果,648万5775円となる。
2  争点2(損害)について
(1)  上記のとおりであるから,本件工事の各現場について,被告らの共謀による架空請求に対して原告が代金名目で金銭を支出したことにより,原告が被った損害は,a社厚木現場で合計3562万4003円,c社現場で合計277万8900円,d社現場で合計648万5775円となり,これらの合計は4488万8678円となる。
(2)  また,当該損害に対する遅延損害金は,理論上は原告に損害が生じた時点から発生したことになるところ,上記認定のとおり,原告の支払った額の一部については原告が負担すべきものとして損害に計上できないものと判断されることから,それが実際になされた各支払のうちのいずれから控除するのかについて検討する必要がある。
ア a社厚木現場について
(ア) シール貼り工事費用について
前記1(3)ア(ア)aにおいて認定したとおり,657万4720円を控除する必要があるが,別紙1「原告のb社に対する支払一覧表」中の各支払のうち,a社厚木現場について,シール貼り工事費用として支払われたものは,同表「書証」欄中の「甲5の3」,「甲5の5」,「甲5の5」,「甲5の6」,「甲5の7」,「甲5の9」,「甲5の10」,「甲5の12」,「甲5の13」の一部,「甲5の14」,「甲5の16」に該当するものであるから,これらについて,古いものから順に657万4720円に達するまでは架空請求に当たらない請求分と判断することができる。その結果,同表の番号2,番号3,番号7,番号9,番号10,番号12,番号13の全額と,番号15のうちの62万9159円分については,原告の損害に計上できないことになる。
(イ) セグメントテントについて
前記1(3)ア(イ)において認定したとおり,セグメントテントの費用は架空請求ではなく,これに該当する支払は,別紙1「原告のb社に対する支払一覧表」中の各支払のうちの「書証」欄中の「甲5の2」に該当するものであるから,その結果,同表の番号1及び番号6については,原告の損害に計上できないことになる。
(ウ) 請求書に計上されていない作業について
前記1(3)イにおいて認定したとおり,請求書に計上されない作業分として38万2700円相当が認められるところ,これらは原告による支払項目に該当している訳ではないため,どの支払に対応させるかが問題となるが,本判決では,各作業が行われた時期を特定した上で,その直後になされたa社厚木現場分の支払のうち,上記(ア)及び(イ)を除いたものから控除する方法を採ることとする。
そして,①裏込プラントのミキサー作動確認は,シール貼り工事が始まる前に実施していること,②止水材の納品は平成19年11月下旬であること,③中込工事の管理試験は同年9月ころであることを踏まえれば,上記①に相当する8万1700円分は別紙1「原告のb社に対する支払一覧表」中の各支払のうち番号4から,上記②に相当する5万5900円分は同表中の番号8から,上記③に相当する24万5100円分は同表中の番号8から,それぞれ控除するのが相当である。
イ a社新宿現場について
架空請求を認めることはできないから,別紙1「原告のb社に対する支払一覧表」中の各支払のうち,a社新宿現場に相当する支払は全て損害として計上されない。
ウ c社現場について
前記1(5)イにおいて認定したとおり,請求書に計上されない作業分として69万6600円相当が認められるが,別紙1「原告のb社に対する支払一覧表」中,c社現場に関する支払は番号46及び番号47のみであり,これら支払は同日なされているから,ここから控除するとみることで充分である。
エ d社現場について
前記1(6)イにおいて認定したとおり,請求書に計上されない作業分として63万3000円相当が認められるが,これらはc社現場での作業全般に関わるものであるため,その作業終了時期はd社建設現場終了時である平成21年3月31日とみることができるから,別紙1「原告のb社に対する支払一覧表」中の各支払のうち番号48から控除するのが相当である。
オ 以上を踏まえて,被告らの不法行為によって発生した損害賠償請求権について生じる遅延損害金を計算すると,平成21年7月31日までに発生した分の合計は別紙3「遅延損害金明細」のとおり162万7209円となり,更に,上記損害金合計に対する同年8月1日以降支払済みまで年5分の割合にて発生しているものである。
(3)  弁護士費用
原告は,上記損害の賠償を被告らに求めるに当たって本件提訴を余儀なくされたものであるが,これに要した弁護士費用のうち450万円について,被告らの不法行為との間に相当因果関係を認めるのが相当である。
そして,原告は,弁護士費用分の損害賠償請求権に対する遅延損害金について訴状送達の翌日から請求しているので,その起算点は,被告Y3については平成21年7月4日から,被告Y1社については同年6月20日から,被告Y2については同月24日からとなる。
3  結論
以上のとおりであるから,原告は,被告らに対し,連帯して,b社に対する支払による損害4488万8678円,これに対して平成21年7月31日までに生じた遅延損害金162万7209円,弁護士費用による損害450万円の合計5101万5887円と,うち4488万8678円に対する同年8月1日から,うち450万円に対する被告Y1社については同年6月20日から,被告Y2については同月24日から,被告Y3については同年7月4日から,各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めることができる(なお,450万円に対する遅延損害金については,被告らはそれぞれ各起算日以降の限度で連帯関係に立つ。)。
第6  結語
よって,原告の請求は,上記第5,3に記載の限度で理由があるからこれを認容し,その余は理由がないからこれを棄却し,訴訟費用について民事訴訟法64条本文,65条1項ただし書,仮執行の宣言について同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 松村徹 裁判官 清水克久 裁判官 粟津侑)

 

〈以下省略〉

 

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