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判例リスト「営業代行会社 完全成功報酬|完全成果報酬」(493)昭和54年11月21日 高松地裁 昭50(ワ)344号 損害賠償請求事件

判例リスト「営業代行会社 完全成功報酬|完全成果報酬」(493)昭和54年11月21日 高松地裁 昭50(ワ)344号 損害賠償請求事件

裁判年月日  昭和54年11月21日  裁判所名  高松地裁  裁判区分  判決
事件番号  昭50(ワ)344号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  一部認容  文献番号  1979WLJPCA11216002

要旨
◆訴外A運転の加害車が、本件工事現場の事故発生場所へ後進して来た際、加害車に積載していた人工大理石の便所用スクリーン6枚が原告X1に崩れ落ちて同人が負傷した本件事故につき、原告X1及びその妻である原告X2が、本件工事を請け負った被告a社及び被告a社から本件工事を下請けし、さらにAに石材製品の運搬を下請けさせた被告b社に対し、民法715条に基づき、損害賠償を請求した事案において、被告b社はAに対し実質上使用者と同視し得る関係にあったとした上で、被告a社は、本件事故を引き起したAの荷降ろし作業及びこれに伴う加害車の後進について、Aを、直接、又は被告b社を通じて間接に、指揮監督すべき立場にあったから、被告a社も、本件事故につき、Aに対し実質上使用者と同視し得る関係にあったとして、原告らの請求の一部を認容した事例

出典
交民 12巻6号1510頁

参照条文
民法711条
民法715条1項

裁判年月日  昭和54年11月21日  裁判所名  高松地裁  裁判区分  判決
事件番号  昭50(ワ)344号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  一部認容  文献番号  1979WLJPCA11216002

原告 西田順一
ほか一名
被告 株式会社ストーンクラフト
ほか一名

 

 

主文

一  被告らは、連帯して、原告西田順一に対し、金五〇三万二六四〇円と、うち金四五三万二六四〇円に対する昭和四八年一月六日から、うち金五〇万円に対する本裁判確定の日から各支払ずみまで、年五分の割合による金員を支払え。
二  被告らは、連帯して、原告西田治子に対し、金一五〇万円と、うち金一四〇万円に対する昭和四八年一月六日から、うち金一〇万円に対する本裁判確定の日から各支払ずみまで、年五分の割合による金員を支払え。
三  原告らのその余の請求を棄却する。
四  訴訟費用は、これを六分し、その五を原告らの負担とし、その余を被告らの負担とする。
五  この判決は、第一、二項にかぎり、仮に執行することができる。

 

 

事実

第一  当事者の求めた裁判
一  請求の趣旨
1  被告らは、原告西田順一に対し、各自金三七六二万九七一四円及びうち金三四二〇万九七一四円に対する昭和四八年一月六日から、うち金三四二万円に対する本裁判確定の日から各支払ずみまで、年五分の割合による金員を支払え。
2  被告らは、原告西田治子に対し、各自金二二〇万円及びうち金二〇〇万円に対する昭和四八年一月六日から、うち金二〇万円に対する本裁判確定の日から各支払ずみまで、年五分の割合による金員を支払え。
3  訴訟費用は、被告らの負担とする。
4  仮執行宣言
二  請求の趣旨に対する答弁(被告両名)
1  原告らの請求をいずれも棄却する。
2  訴訟費用は、原告らの負担とする。
第二  当事者の主張
一  請求原因
1  事故の発生
日時 昭和四八年一月六日午前九時三〇分項
場所 香川県木田郡庵治町六九一番地
庵治中学校校舎新築工事現場
加害車 小型貨物自動車(香四り二九八八)
運転者 訴外 大浦宗生
被害者 原告 西田順一(以下、原告順一という)
態様 加害車が事故発生場所へ後進して来た際、加害車に積載していた人工大理石の便所用スクリーン(一枚の大きさが縦一・九メートル、横一メートル、その重さが約六〇キログラム)六枚が原告順一に崩れ落ちて同人が負傷した。
2  責任原因
(一) 訴外大浦の過失
本件事故は、訴外大浦が加害車を後進させた際の積荷の荷崩れによるものであるが、右荷崩れは訴外大浦の過失に基づくものである。
すなわち、大浦が加害車を後進させた際、加害車は荷台右側半分の荷降ろしを終えたいわゆる片荷の状態で、荷台左側半分に積載していた前記人工大理石の石材(テラゾーと称するもので、以下、テラゾーともいう)は既に荷解きを終え、荷台中央の角材にもたせかけただけで固定されてなく、加えて、荷台のあおりはすべて降ろされていた。しかも、事故現場の地面は、未舗装で、工事用車両が頻繁に出入りするため平坦さを欠いていた。
以上の状況のもとで加害車を後進させれば、重量のあるテラゾーの積荷が、わずかの震動で荷崩れを起こすことを、自動車の運転者である訴外大浦において、容易に予想し得たものというべきところ、同訴外人は、テラゾーに再びロープをかけて固定するなど荷崩れ防止の措置を何らとることなく、漫然と加害車を後進させた過失により本件事故を惹起させるに至つたものである。
(二) 被告両名の責任、民法七一五条
請負人は、本来、注文者から独立して自由に仕事ができるが、実際には、請負といつても業種や規模によつて、注文者からの独立の程度は様々に異る。ことに大手企業が公共団体から建設工事を請け負う場合、工程に応じて小企業に細分して請け負わせ、小企業はさらにその工程の一部を下位の業者に、いわばピラミツド型にそれぞれ下請けさせるのが通例で、かかる場合、下請けのピラミツドを下降するほど、元請けの指図は詳細かつ具体的になり、下請人がその請け負つた業務につき自由な裁量によつて処理できる余地は狭くなる。
このような場合、下請人の立場は、名目は請負人であつても、実態は使用者の指揮監督に服従する労働者とほとんど変わらないのであつて、下請人がその業務に関し惹起させた事故につき注文者は民法七一五条に基づく使用者責任を負うべきである。
また、下請人の大半が賠償能力に乏しい我が国建設業界の実態に鑑みると、被害者保護の立場からも、元請人の右使用者責任が肯定されるべきである。
ところで、以上の法理は、本件にそのまま該当する。
すなわち、本件事故は、被告株式会社穴吹工務店(以下、被告穴吹工務店という)が庵治町から請け負つた同町立庵治中学校の校舎新築工事現場において発生しているが、地元の大手企業である被告穴吹工務店は、庵治町から総額一億二〇〇〇万円で右工事(以下、本件工事という)を請け負い、庵治町建設工事執行規則によれば本件工事は同被告の直営工事とされていた。しかるに、被告穴吹工務店は、本件工事を工程に応じて、約二〇社(そのほとんどが、同被告の下請会社のグループである「共栄会」に所属する業者である。)に細分し、石材関係の工事を右「共栄会」に所属する被告株式会社ストーンクラフト(以下、被告ストーンクラフトという)に下請けさせていたが、被告穴吹工務店は、本件工事現場内に現場事務所を設置し、社員二名を常駐させて、本件工事に関する工程及び安全管理のすべてについての指揮監督を行つていた。
そして、被告ストーンクラフトは、本件工事に必要な石材製品を自社工場で製造し、工事現場までの石材製品の運搬を訴外大浦に下請けに出しているが、同被告は自社独自の運搬部門を持たず、製品の運搬を専ら下請けに頼つており、一方、訴外大浦は、本件事故の約三年前から月平均一、二回の割合で同被告からの運搬業務の下請けに応じていたが、同訴外人は、従業員のいない零細運搬業者で、右下請業務については同被告ないしは同被告の元請業者の指揮監督に服していた。
現に、本件事故当日、テラゾーの加害車への積み込みは、被告ストーンクラフトによつて行われ、積み降ろし作業についても、同被告は、社員一名を訴外大浦に同伴させて本件工事現場へ派遣している。そして、訴外大浦は、工事現場に到着後、右被告ストーンクラフトの社員を通じて、被告穴吹工務店の現場事務所常駐員に対し、加害車の停止位置ないしテラゾーの積み降ろし方法などにつき指示を仰いでいる。
以上からすると、本件工事に関し、被告穴吹工務店から被告ストーンクラフトへ、被告ストーンクラフトから訴外大浦へと、順次、いわばピラミツド型に指揮監督関係が成立しており、訴外大浦は、本件工事現場におけるテラゾーーの搬入、積み降ろし作業につき、被告穴吹工務店及び被告ストーンクラフトから重畳的に指揮監督を受けていたものである。
従つて、被告両名は、訴外大浦の実質上の使用者というべく、本件事故に関し、いずれも民法七一五条に基づく使用者責任がある。
3  損害
(一) 受傷、治療経過等
原告順一は、本件事故により骨盤骨折、骨盤骨髄炎、腰推間板損傷等の傷害を受け、左記のとおり入、通院して治療につとめた。
(1) 入院 七三二日間
昭和四八年一月六日から昭和四九年三月八日まで穴吹外科医院(四二七日間)
昭和四九年三月八日から昭和五〇年一月六日まで県立中央病院(三〇五日間)
(2) 通院 実日数四八日間
昭和五〇年一月七日から同年二月一五日まで
県立中央病院(実日数四〇日間)
昭和五〇年四月四日から同年七月九日まで
米沢外科病院(実日数八日間)
(二) 後遺症
原告は、右治療を受けたが、完治に至らず、昭和五〇年一〇月二〇日、自賠責保険に基づく後遺症六級の認定を受けたが、坐位不能及び左股関節強直等の後遺症により、日常の起居動作に著しい支障をきたし、衣服の着脱、入浴等にも介添えを要するうえ、性的能力も失い、実質上、廃人に等しい状態となつた。
(三) 治療関係費
(1) 治療費 四二一万七四五三円
前記入、通院により、穴吹外科病院に対し一八一万三四八八円、県立中央病院に対し二四〇万三九六五円の合計四二一万七四五三円の治療費を要したが、被告穴吹工務店の労災保険により全額支払ずみにつき請求しない。
(2) 入院付添看護費 三八万七二〇〇円
前記入院期間中、穴吹外科医院において九〇日間、県立中央病院において八六日間の合計一七六日間付添看護を要し、原告順一の妻原告西田治子(以下、原告治子という)が付添つたが、原告治子は、当時、日給二二〇〇円の収入を得ていたから、一日二二〇〇円の割合による一七六日分三八万七二〇〇円が付添看護費用としての損害となる。
(3) 入、通院雑費 三七万八〇〇〇円
前記入院期間中、一日五〇〇円の割合による入院雑費として七三二日分三六万六〇〇〇円を要し、さらに、前記通院期間中、交通費を含む通院雑費として一日二五〇円の割合による四八日分一万二〇〇〇円を要した。
(四) 逸失利益 二四六六万四五一四円
(1) 休業損害 三七一万三二五九円
原告順一は、本件事故当時、満四九歳で、石材工事の据え付け職人として独立して営業を営み、一日平均三六〇五円の収入を得ていたが、本件事故により、昭和四八年一月六日から昭和五〇年一二月三一日まで休業を余儀なくされ、その間、次の算定式のとおり、三七一万三二五九円の収入を失つた(但し一年間の稼働日数を三一三日、賃金上昇率を年一〇パーセントとして算定する。)。
昭和48年分 3,605円×307日=110万6735円
昭和49年分 3,605円×313日×1.1=124万1202円
昭和50年分 3,605円×313日×1.12=136万5322円
合計 371万3259円
(2) 将来の逸失利益 二〇九五万一二五五円
原告順一は、前記後遺症のため、その労働能力を一〇〇パーセント喪失したところ、同人の就労可能年数は昭和五一年一月一日から一一年間と考えられるから、将来の逸失利益を年別のホフマン係数(小数点第三位以下四捨五入)により年五分の割合による中間利息を控除して算定すると、次の算定式のとおり、二〇九五万一二五五円となる(但し、年間稼働日数及び賃金上昇率は前同様。)。
昭和51年分 3,605円×313日×1.13×0.95=142万5689円
昭和52年分 3,605円×313日×1.14×0.91=149万9146円
昭和53年分 3,605円×313日×1.15×0.87=158万0501円
昭和54年分 3,605円×313日×1.16×0.83=165万7681円
昭和55年分 3,605円×313日×1.17×0.80=176万0249円
昭和56年分 3,605円×313日×1.18×0.77=185万9320円
昭和57年分 3,605円×313日×1.19×0.74=197万0577円
昭和58年分 3,605円×313日×1.110×0.71=207万4950円
昭和59年分 3,605円×313日×1.111×0.69=221万8930円
昭和60年分 3,605円×313日×1.112×0.67=237万3854円
昭和61年分 3,605円×313日×1.113×0.65=253万0358円
合計 2095万1255円
(五) 慰藉料
(1) 原告順一の慰藉料 一一七八万円
原告順一の前記入、通院による精神的慰藉料として、入院一か月につき一五万円、通院実数一か月につき七万五〇〇〇円の割合による総額三七八万円が相当であり、さらに、前記後遺症による精神的慰藉料として八〇〇万円が相当である。
(2) 原告治子の慰藉料 二〇〇万円
原告順一は、本件事故により、前記のとおり廃人に等しい後遺症を負い、右後遺症は死亡と同視できる程度のものであつて、同人の妻原告治子の精神的慰藉料として二〇〇万円が相当である。
(六) 弁護士費用
(1) 原告順一の弁護士費用 三四二万円
原告順一は、本件訴訟の提起と追行を弁護士たる原告ら訴訟代理人に委任し、着手金及び成功報酬として三四二万円の支払を約した。
(2) 原告治子の弁護士費用 二〇万円
原告治子も、原告順一と同様、原告ら訴訟代理人に本件訴訟の提起等を委任し、二〇万円の支払を約した。
4  損害のてん補 三〇〇万円
原告順一は、自賠責保険より三〇〇万円(但し、後遺症分二五〇万円を含む)を受領した。
5  結論
よつて、本件事故による損害賠償として、原告順一は、被告らに対し、各自、前記損害の項目中、(三)の(2)、(8)、(四)の(1)、(2)、(五)の(1)及び(六)の(1)の合計四〇六二万九七一四円から損害てん補を受けた三〇〇万円を控除した三七六二万九七一四円とこのうち弁護士費用を控除した三四二〇万九七一四円に対する本件事故発生日の昭和四八年一月六日から、うち弁護士費用の三四二万円に対する本裁判確定の日から各支払ずみまで、年五分の割合による遅延損害金の、原告治子は、被告らに対し各自、前記損害の項目中、(五)の(2)及び(六)の(2)の合計二二〇万円とこのうち弁護士費用を除く二〇〇万円に対する右同様昭和四八年一月六日から、うち弁護士費用の二〇万円に対する本裁判確定の日から各支払ずみまで、年五分の割合による遅延損害金の各支払を求める。
二  請求原因に対する認否ないし反論(被告両名)
1  請求原因1の事故発生の事実については、事故態様の事実を争い、その余の事実は認める。
2  請求原因2の(一)の訴外大浦の過失についての事実のうち、大浦が加害車を後進させた際、加害車は荷台半分の荷降ろしを終えた状態で、積載していた積荷(テラゾー)は荷解きをしたままで固定されておらず、加えて、荷台のあおりはすべて下ろされていた事実は認めるが、その余の事実ないし主張は争う。
本件事故は、事故現場において、原告順一の指揮のもとに、訴外大浦が一旦加害車を停車させ、積荷の半分を降ろした後に、加害車を約五メートル程後進させて再度荷降ろしをしようとしていたところ、原告順一が、訴外大浦に対し、さらに加害車をわずかに後進させるよう指示し、右指示に従つて訴外大浦が加害車を後進させた直後、荷台上のテラゾーが荷崩れを起こしたため発生したものである。
しかも、原告順一は、右荷崩れの際、加害車の荷台付近に駆け寄り、積荷(テラゾー)を身体で支えようとしたが、これを到底支えきれず、身をひるがえして避けようとしたところへ、右積荷が落下し、これが地面ではねかえり原告順一に衝突したものである。
そうすると、訴外大浦は、原告順一の指示に従い加害車を後進させたに止まるもので、右事故状況に照らせば、訴外大浦には過失はなく、本件事故は、あげて原告順一の過失によるもので、自損事故というべきである。
3  請求原因2の(二)の被告両名の責任についての事実のうち、被告穴吹工務店が庵治中学校校舎新築工事の本件工事を庵治町から請け負い、そのうち石材関係工事を被告ストーンクラフトに請け負わせ、被告ストーンクラフトが訴外大浦に石材製品(テラゾー)の工事現場への運搬を請け負わせた事実は認めるが、その余の事実ないし主張は争う。
仮に、訴外大浦に何らかの過失があるとしても、被告両名は、同訴外人を指揮、監督すべき立場にはなく、従つて、同訴外人の不法行為につき使用者責任を負うものではない。
すなわち、被告穴吹工務点は、被告ストーンクラフトに本件庵治中学校校舎新築工事のうち石材関係工事を請け負わせたが、右石材関係工事については、被告ストーンクラフトが全面的に請負契約上の完成義務を負つており、被告穴吹工務店が右工事につき被告ストーンクラフトを使用し、もしくは、指揮、監督すべき立場にはなかつた。
また、被告ストーンクラフトは、石材製品の本件工事現場への運搬を訴外大浦に請け負わせたが、同訴外人は大浦商店名義で石材運送業を営む独立自営の業者であり、本件の石材製品の運搬についても同訴外人の計算と責任のもとに、同訴外人所有の加害車を用いて行つたもので被告ストーンクラフトや、さらには被告穴吹工務店が、同訴外人を使用し、もしくは、指揮監督すべき立場にはなかつた。
なお、被告ストーンクラフトは、石材加工業者であつて、訴外大浦とは営業種目を全く異にしており、同訴外人に時折自社商品の運送を依頼することがあつたが、両者の関係は、単なる運送請負契約上の注文者と請負人との関係にすぎず、訴外大浦が被告ストーンクラフトの下請関係にあつたものではなく、まして同被告の専属的下請業者であつたものではない。
また、被告穴吹工務店が本件工事現場に現場事務所を設置し、訴外大浦が本件事故の際、積荷の荷降ろしにつき同被告の現場代理人に指示を仰いだ事実があるとしても、運送請負人として注文者の意向を確認したまでのことであつて、これをもつて使用者としての指揮監督と目することはできない。
さらに、被告ストーンクラフトの従業員が、本件の積荷の積み込み、積み降ろしに関与しているとしても、訴外大浦を好意で手伝つたものにすぎず、同被告の訴外大浦に対する指揮監督とは無関係である。
以上、要するに原告主張の事実をもつては、被告両名が訴外大浦を指揮監督していたとは到底いえない。
4  請求原因3の損害の事実のうち、(一)、(二)の事実は不知。(三)の治療費関係のうち、(1)の治療費についての事実を認め、その余は不知、(2)、(3)の事実は争う。(四)の逸失利益、(五)の慰藉料については、いずれも争う。(六)の弁護士費用については不知。
5  請求原因4の損害てん補の事実は認める。
三  抗弁(被告両名)
1  過失相殺
仮に、被告両名に本件事故につき責任があるとしても、本件事故の発生については原告順一にも前記のとおり過失があり、その程度は訴外大浦の過失より重大で、過失割合は八割を下ることはないから、その分について過失相殺がなされるべきである。
2  損益相殺
原告順一は、自賠責保険から前記三〇〇万円の支給を得ているほか、労災保険から次のとおり保険金の給付を得ているので、損益相殺されるべきである。
(一) 治療費 四二一万七四五三円
ただし、昭和四八年一月六日から昭和四九年三月八日までの穴吹外科医院分一八一万三四八八円及び昭和四九年三月八日から同年一一月三〇日までの県立中央病院分二四〇万三九六五円の合計
(二) 休業補償金 一七六万六三八五円
ただし、昭和四八年三月八日から昭和五〇年二月一五日までの分
(三) 障害特別支給金 一〇〇万円
(四) 障害補償年金 二八七万三六四一円
ただし、昭和五〇年三月一日から昭和五二年一〇月三一日までの分
四  抗弁に対する認否及び損害てん補の主張
1  抗弁1の過失相殺の主張は争う。
2  抗弁2の損益相殺の事実のうち、(一)ないし(二)の事実は認め、(四)の事実は一九五万四八四八円の限度において認め、その余は否認する。被告主張の障害補償年金のうち、九一万八七九三円は、自賠責保険調整額につき支給されていない。
3  損害のてん補
労災保険から、右の支給金の他、次のとおり支給を得ている。
(一) 休業補償金 七万〇四六〇円
(二) 付添看護料及びコルセツト代 八万二九〇〇円
(三) 障害補償年金 三六七万四八〇八円
ただし、昭和五二年一一月から昭和五三年八月まで合計一八五万九九〇四円及び昭和五三年一一月から昭和五四年八月まで合計一八一万四九〇四円
五  損害てん補の主張に対する認否(被告両名)
四の3の損害てん補の事実はこれを認め、利益に援用する。
第三  証拠〔略〕

 

 

理由

一  事故の発生
昭和四八年一月六日午前九時三〇分頃、香川県木田郡庵治町六九一番地庵治中学校校舎新築工事現場において、訴外大浦宗生が石材を積載した小型貨物自動車(加害車)を後進させた際、荷崩れが起こり、付近に居た原告順一が受傷したことは、当事者間に争いがない。
二  事故の態様
訴外大浦が加害車を後進させた際、加害車は荷台半分の荷降ろしを終えた状態で、積載していたテラゾーは荷解きしたままで固定されておらず、荷台のあおりはすべて下ろされていた事実については当事者間に争いがなく、右事実に、成立に争いのない甲第二号証、乙第一号証、第二号証の一、二、第一一号証、原告順一本人尋問の結果により成立を認める甲第八号証、証人大浦宗生、同新上三治郎、同渡辺熊太郎の各証言、原告順一本人尋問の結果(ただし、後記措信し難い部分を除く)及び被告ストーンクラフト代表者本人尋問の結果並びに弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。
1  本件事故現場は、庵治町立庵治中学校の校舎新築工事現場の北側添いの幅員六メートルの道路で、地面は舗装されておらず、必ずしも平坦といえない状態であつたこと
2  訴外大浦は、本件工事現場に石材製品を搬入すべく、加害車に右製品を積載して本件事故現場に到着したが、加害車は、石材製品運搬専用の二トン車で、荷台中央部に縦に角材を一本取り付け、これに両側から石材製品をもたせかけてロープで固定し、運搬する要領になつていたこと
3  本件事故の際、訴外大浦が加害車に積載していた石材製品は、本件工事に用いる便所用スクリーン板で、大理石の砕石をセメントで固めたテラゾーと称する人工石であり、大板と小板の二種類あつて大板テラゾーは、一枚が縦一・九メートル、横一メートル、重量約一二〇キログラムのものであつたこと
4  訴外大浦は、本件事故現場に到着後、積荷の荷降ろしを始めたが、これには、被告ストーンクラフトから派遣された同社社員新上三治郎と石材の据え付け職人として同被告から仕事を請け負い本件現場に来ていた原告順一及び同人が同行して来た下手間職人二名の合計四名が応援に当つたこと
5  訴外大浦は、加害車を現場に停車させた後、荷台両側のあおりを下ろすとともに、前記角材に固縛していたテラゾーのロープを解き、右四名の手伝いを得て、まず荷台右側半分の積荷(大板、小板のテラゾー)をほぼ降ろし終え、ついで荷台左半分の積荷のうち小板のテラゾーを全部降ろし終えたこと、そして、加害車の荷台左側半分に大板のテラゾー六枚位が残つた段階で、最初の停車位置付近が荷降ろししたテラゾーで一杯となつたため、被告ストーンクラフトの社員新上が原告順一に、これ以上荷降ろしできない旨進言し、これを受けて原告順一が右新上を通じ訴外大浦に加害車の後退を指示したこと
6  そこで、訴外大浦は、加害車の荷台左半分に前記大板のテラゾー六枚位を積載したまま、加害車を約四メートル程後進させたが、このとき、原告順一は、加害車の左後方付近に位置し、訴外大浦が加害車を約四メートル程後進させて停車させたのを見るや、加害車の左前方付近に居た右新上に対し、さらに約三〇センチメートル位加害車を後進させるよう合図を送り、これを受けて、新上が訴外大浦に加害車の再度の後進を指示したこと
7  しかして、訴外大浦が再び加害車を後進させたが、約三〇センチメートル程後進させたところで、前記位置に居た原告順一が、新上に対し急に「よつしや」と右手をあげて停車の合図を送り、これによつて、新上が大浦に急拠停車を指示したため、大浦は加害車を急停車させたこと
8  このとき、加害車の荷台左半分に積載していた前記大板のテラゾーが荷崩れを起こし、荷台中央の角材にもたせかけてあつたその上端部分が半回転して地上に落下し始めたが、原告順一は、加害車左後方付近に居て、これを認めるや、石材製品の破損を避けんとする職業的責任感から、突嗟に、その落下地点に駆け寄り、両手をさしのべて落下してくるテラゾーを支えようとしたけれども、結局、その重量に抗しきれず、順次落下してきた大板テラゾー三、三枚の下敷きになつて受傷するに至つたこと
以上の事実が認められ、原告順一本人尋問の結果中、右認定に抵触する部分は、前掲各証拠に照らすとにわかに措信し難く、右認定を覆すに足りる証拠はない。
三  責任原因
1  訴外大浦の過失
本件事故の態様は、前記認定のとおりであり、これによると、本件事故は、訴外大浦が、未舗装の必ずしも平坦といえない道路上において、荷台左側半分に一枚約一二〇キログラムの重量の大板テラゾー六枚をいわゆる片荷の状態で積載し、しかも、これらの大板テラゾーを荷台中央の角材にもたせかけたまま、ロープ等で何ら固定せずに加害車を後進させたため、積荷の安定性を著しく失し、これがため、急停車による僅かの衝撃によつて荷崩れを引き起こしたものであり、右荷崩れについて、加害車の運転者訴外大浦に、未然に右荷崩れを防止すべき注意義務を怠つた過失があることは明らかである。
2  訴外大浦の過失と原告順一の受傷との因果関係
前認定のとおり、本件事故は、加害車の荷崩れを目撃した原告順一が、石材製品の破損を避けんとする職業的責任感から突嗟に大板テラゾーの落下地点に駆け寄り、これを両手で支えようとして発生したものであり、加害車の荷崩れと原告順一の受傷との間には、原告順一の右行為が介在しているところである。しかしながら、原告順一は、右石材製品の据え付けを請け負つていた者であり、かつ、当日の荷降ろしを応援し、加害車の後進を指示していた者であることを考慮すれば、荷崩れの至近距離に居た同原告が、その職業的責任感から、突嗟に右の行為に出ることは、加害車の運転者訴外大浦において必ずしも予見することのできない特別の事情とみることはできず、従つて、訴外大浦の前記過失と原告順一の受傷の間には、相当因果関係があるものというべきである。
3  被告両名の使用者責任
被告穴吹工務店が庵治中学校校舎新築工事の本件工事を庵治町から請け負い、そのうち石材関係工事を被告ストーンクラフトに請け負わせ、被告ストーンクラフトが訴外大浦に石材製品の本件工事現場への運搬を請け負わせた事実は、当事者間に争いがなく、右事実に、成立に争いのない甲第三ないし第六号証、乙第二号証の二、証人稲沢一男(第一、第二回)、同大浦宗生、同新上三治郎、同岸本高好、同朝倉泰雄の各証言、原告順一本人尋問の結果(ただし、後記措信し難い部分を除く)及び被告ストーンクラフト代表者本人尋問の結果並びに弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。
(一)  被告穴吹工務店は、地元の大手建設業者であり、訴外庵治町から本件工事を一億一八七〇万円で請け負い、昭和四七年七月一日、香川県木田郡庵治町六九一番地の本件工事現場において、工事に着工したこと
(二)  本件工事は、庵治町建設工事執行規則に従うこととされており、同規則三四条に基づき、請負人は現場代理人を常駐させ、工事現場の取締及び工事に関する一切の事項を処理することを義務づけられていたところ、被告穴吹工務店は、本件工事現場に事務所を設け、社員の稲沢一男を現場代理人として、同朝倉泰雄を同補助者として、それぞれ常駐させ、本件工事全般の工程、品質及び安全管理に当らせていたこと、右稲沢らは、工事期間中、一日に数回、工事現場を巡回し、下請人の工事について、工程、品質及び安全の管理に当り、下請人の危険な作業や行為についても注意を与えるべき立場にあつたこと
(三)  前記庵治町建設執行規則三〇条によれば、本件工事につき、請負人は、工事の全部又は大部分を一括して第三者に委任し又は請け負わせてはならず、ただし、町長の承認を得た場合はこの限りでないとされていたところ、被告穴吹工務店は、本件工事について、その工種の大半を下請業者に請け負わせており、便所の仕切り、階段の手摺、玄関の床石などの石材関係工事を被告ストーンクラフトに三二〇万円で請け負わせたこと、被告穴吹工務店は、学校校舎の建設につき多数の実績を有する建設会社であるところ、石材関係部門を持たず、この部門を専ら被告ストーンクラフトを含めた下請業者に依存していたもので、一方、被告ストーンクラフトは、被告穴吹工務店の下請業者のグループである「共栄会」なる団体の構成員で、被告穴吹工務店とは本件事故の約二年前から継続的取引関係があつたこと
(四)  被告ストーンクラフトは、昭和四一年ころ設立され、従業員数二三名位(当時)の石材加工、販売会社であるが、被告穴吹工務店から請け負つた石材関係工事のうち、便所の仕切り板(スクリーン)の据え付け工事を、原告順一に請け負わせ、さらに、右据え付け工事に必要な石材製品(テラゾー)の本件工事現場への運搬を訴外大浦に請け負わせたこと
(五)  原告順一は、被告ストーンクラフトの元社員で、その後独立していわゆる一人親方として石材の据え付け業を営んでいた者であり、被告ストーンクラフトから前記工事を一平方メートル当り一五〇〇円、総額約一五万六〇〇〇円で請け負い、事故当日下手間職人二名を同行して本件工事現場に赴いていること
(六)  訴外大浦は、大浦商会の名称で、石材運搬業を営んでいた者であるが、運転助手さえいない個人零細業者であり、被告ストーンクラフトは、運搬部門を持たない関係上、石材の運搬を専ら訴外大浦と他の一社の運送業者に依存していたもので、本件事故当時ころ、訴外大浦に対しては月一、二回の割合で継続的に石材の運搬を請け負わせ、その報酬は一か月毎に精算していたこと
(七)  本件事故当日朝、被告ストーンクラフトの工場において、原告順一の請け負つた据え付け工事用の石材製品(テラゾー)が加害車に積み込まれ、この際、製品の点検などのために原告順一もこれに立ち会つているが、右積み込み作業は、被告ストーンクラフトの機械を用い、同被告の管理と責任のもとに行われていること、ところが、本件工事現場における右石材製品の積み降ろし作業には、被告ストーンクラフトからは、積み降ろし作業の補助要員として前記新上三治郎が派遣されただけで、現場監督的立場の係員は一名も派遣されておらず、右作業は訴外大浦と原告順一らによつて行われたこと、そして、被告穴吹工務店と被告ストーンクラフトの間において、右石材製品の搬入時刻や積み降ろし場所についての具体的打ち合わせは行われておらず、右積み降ろし作業に被告穴吹工務店側の係員も立ち会つていなかつたこと
以上の事実が認められ、原告順一本人尋問の結果のうち、右認定に抵触する部分は前掲各証拠に照らすとにわかに措信し難く、右認定を覆すに足りる証拠はない。
右認定事実によれば、まず被告ストーンクラフトは、訴外大浦を直接雇傭した者ではないが、自らの営業の一部門である石材製品の運搬を、個人零細企業の訴外大浦に、継続して下請けさせていたものであり、両者の規模ないし請け負いの具体的態様に照らせば、右下請けにかかる訴外大浦の運搬業務について、被告ストーンクラフトは、直接指揮監督をなすべき立場にあつたというべきである。そして、本件事故は、右下請業務の過程で発生したものであるから、被告ストーンクラフトは訴外大浦に対し実質上使用者と同視し得る関係にあつたというべきである。
次に被告穴吹工務店は、本件工事の元請人であり、工事現場に事務所を設置して係員二名を常駐させ、本件工事全般の管理を行つていたものであつて、本件工事現場における作業に関し、下請人又は再下請人に対してもその安全管理につき直接又は間接に指揮監督をなすべき立場にあつたというべきである。ところで、本件事故は、被告穴吹工務店からみた場合、下請人の被告ストーンクラフトがさらに下請けさせた再下請人の訴外大浦の過失に基づき発生したものであるが、本件事故が、訴外大浦の本件工事現場への運搬途中において発生したものなら格別、本件工事現場(正確には、前認定のとおり本件工事現場の北側添い道路上であるが、その位置関係(乙第二号証の一の図面参照)からして本件工事現場と同視して差し支えない。)において発生しており、被告穴吹工務店は、本件事故を引き起した訴外大浦の荷降ろし作業及びこれに伴う加害車の後進について、訴外大浦を、直接、又は被告ストーンクラフトを通じて間接に、指揮監督すべき立場にあつたというべきである。従つて、被告穴吹工務店も、本件事故につき、訴外大浦に対し実質上使用者と同視し得る関係にあつたというべきである。
なお、前記認定のとおり、本件事故発生の際、事故現場には、被告ストーンクラフト及び被告穴吹工務店の現場監督者は立ち会つておらず、加害車からの積荷の荷降ろし作業は、訴外大浦と原告順一らによつて行われ、加害車の後進につき原告順一が指示を与えているけれども、原告順一の本来の下請け業務の範囲に右荷降ろし作業が含まれていたとみるのは疑問であり、右作業の実態のみから訴外大浦の指揮監督関係を判断するのは相当でない。むしろ、石材製品の荷降ろし作業という業務の危険性と運搬業者である訴外大浦が運転助手さえいない零細個人業者であつたことに鑑みれば、訴外大浦の元請人である被告ストーンクラフトとさらにその元請人である被告穴吹工務店とが相互に十分連絡をとり合い、少なくとも被告両名のいずれか一方の現場監督員が本件事故現場に立ち会い、荷降ろし作業を指揮監督すべきであつたというべきであつて、このように解してこそ、利益の存するところに責任を帰せしめるべしとする民法七一五条のいわゆる報償責任の法意に適うといわなければならない。
以上の次第で、被告穴吹工務店及び被告ストーンクラフトは、共に本件事故に関する訴外大浦の過失について民法七一五条に基づく使用者責任を負うものである。
四  損害
成立に争いのない乙第七号証及び第八号証の各一、第九、第一〇号証、原告順一、原告治子の各本人尋問の結果並びに弁論の全趣旨によれば、原告順一は、本件事故により、頭部外傷、頭部挫創、顔面・両手指擦過傷、左肩甲骨骨折、両股関節骨骨折、骨盤骨折等の傷害を負い、昭和四八年一月六日から昭和四九年三月八日まで四二七日間、穴吹外科医院に、同年三月八日から同年一一月三〇日まで二六八日間、県立中央病院に、それぞれ入院した(入院総日数は六九四日)が、完治に至らず、昭和五〇年八月八日症状固定し、同年一〇月三日、左股関節の用廃、左膝関節の著しい障害、荷重機能障害、神経障害により、自賠責保険後遺障害別等級表六級の認定を受けたこと、原告順一は、右後遺症により、歩行不能はもとより座位不能となり、日常の起居動作をはじめ生活上著しい不便を強いられており、性的能力も喪失した事実が認められる。
1  原告順一の損害 二八九九万九二七八円
(一)  治療費 四二一万七四五三円
原告順一が、前記入院により穴吹外科医院に対し一八一万三四八八円、県立中央病院に対し二四〇万三九六五円の合計四二一万七四五三円の治療費を要したことは当事者間に争いがない。
(二)  入院付添看護費 三五万二〇〇〇円
原告順一、原告治子各本人尋問の結果並びに弁論の全趣旨によれば、原告順一は、前記入院中、一七六日を下回らない期間付添看護を要し、その間、妻の治子が付添つたことが認められ、このため一日当り二〇〇〇円の合計三五万二〇〇〇円の損害を蒙つたものと推認するのが相当である。
(三)  入院雑費 三四万七〇〇〇円
前記認定の原告順一の受傷の部位、程度等によれば、入院期間(六九四日)中、一日五〇〇円の割合による雑費として、三四万七〇〇〇円の損害を蒙つたと推認できる。
なお、通院雑費(交通費)については、これを認めるに足りる証拠がない。
(四)  休業損害 二六八万二一二〇円
成立に争いのない甲第一号証及び原告順一本人尋問の結果によれば、原告順一は、本件事故当時において、満四九歳の健康な男子であつたところ、本件事故により、前記傷害を受け、その治療のため、事故発生日の昭和四八年一月六日から症状固定時の昭和五〇年八月八日まで二年七か月の間(端数の日数は切り捨て)、全く稼働できなかつた事実が認められる。
ところで、成立に争いのない乙第四号証の二及び原告順一本人尋問の結果によれば、原告順一は、本件事故当時、石材工事の据え付け職人として独立して営業を営み、一か月平均八万六五二〇円(一日当りの平均収入を三六〇五円、一か月当りの平均稼働日数を二四日として算定を下回らない収入を得ていた事実が認められ、右認定を覆すに足りる証拠はない。
そうすると、原告順一の本件事故による休業損害は、次の算定式のとおり二六八万二一二〇円と推認するのが相当である。
31月×8万6520円=268万2120円
なお、原告順一は、収入の上昇率を年一〇パーセントと主張するが、本件全証拠によるも、これを認めるに足りる証拠はない。
(五)  労働能力喪失による逸失利益 一一四〇万〇七〇五円
原告順一は、前叙のとおり、左股関節の用廃、左膝関節の著しい障害、荷重機能障害等の後遺症を負い、歩行はもとより坐位も不能となつており、右後遺症の部位、程度からすれば、その労働能力を全廃したものと推認して差し支えない。原告順一は、自賠責保険後遺障害別等級表六級の認定を受けていること前叙のとおりであるが、これをもつて、右労働能力全廃の認定を左右するものではない。
そうすると、原告順一の労働能力喪失による逸失利益は、月収を前認定の八万六五二〇円、稼働年数を症状固定時の五二歳から六七歳までの一五年とし、中間利息の控除につきホフマン係数を適用すると、次の算定式のとおり、一一四〇万〇七〇五円となる。
(8万6520円×12)×10.9808=1140万0705円
なお、原告順一は、収入の上昇率を年一〇パーセントと主張するが、本件全証拠によるも、これを認めるに足りる証拠はない。
(六)  慰藉料 一〇〇〇万円
前記認定にかかる本件事故の態様、原告順一の受傷の部位、程度、入、通院期間等治療の経過、後遺症の内容、程度、その他諸般の事情を考慮すると、原告が本件事故によつて蒙つた精神的苦痛を慰藉するには、一〇〇〇万円をもつて相当と認める。
(七)  損害の合計 二八九九万九二七八円
前記(一)ないし(六)の原告順一の損害を合計すると二八九九万九二七八円となる。
2  原告治子の損害 二〇〇万円
原告順一の本件事故による受傷及び後遺症の内容、程度は、前認定のとおりであり、前掲甲第一号証及び原告治子本人尋問の結果によれば、原告治子は、原告順一の妻であり、原告順一の受傷及び後遺症によつて、原告順一が生命を害された場合にも比肩すべき、または右場合に比して著しく劣らない程度の精神的苦痛を受けたことが認められ、原告治子の右精神的苦痛を慰藉するには二〇〇万円をもつて相当と認める。
五  過失相殺
前記二で認定した本件事故の態様の事実に照らすと、原告順一にも、本件事故の発生について、加害車の後進ないし停車を訴外大浦に指示し、かつ、荷崩れの落下地点に駆け寄り、大板テラゾーを両手で支えようとした点に過失が認められ、原告が前認定のとおり従来から石材の据え付け工事に従事していた者で、石材製品の重量など荷崩れ事故の危険について予見し得た筈であることを考慮すると、右過失の程度は軽微とはいえない。
しかしながら、前記三で叙上ないし認定した事実に照らせば、原告は本件事故現場において積荷の荷降ろし作業に従事しているけれども、右作業は、原告順一の本来の下請け業務の範囲内に属するものかは疑問であり、むしろ、右作業には被告ストーンクラフト又は被告穴吹工務店の現場監督人が立ち会いすべきところ、これか得られず、しかも、被告ストーンクラフトが運搬を請け負わせた訴外大浦は個人零細業者であつて、作業現場に助手も同行して来なかつたことから、事実上、原告順一が右積荷の荷降ろし作業につき指示を与えていたに過ぎないと認められ、また、原告順一が荷崩れの落下地点に駆け寄つた点についても同人の職業的責任感から突嗟に右行為に出たものと認めるのが相当で、この点について原告順一を強く責めることは酷に過ぎるといわなければならない。
以上の諸点を考慮すると、過失相殺としては原告の側の過失を三割、被告の側の過失を七割と認めるのが相当である。
六  損害のてん補 一五七六万六八五四円
原告順一が、次のとおり、合計一五七六万六八五四円の損害のてん補を得ている事実は、当事者間に争いがない。
1  自賠責保険関係 三〇〇万円
2  労災保険関係 一二七六万六八五四円
(一)  治療費 四二一万七四五三円
ただし、穴吹外科医院分一八一万三四八八円と県立中央病院分二四〇万三九六五円の合計四二一万七四五三円
(二)  付添看護料及びコルセツト代 八万二九〇〇円
(三)  休業補償金 一八三万六八四五円
(四)  障害特別支給金 一〇〇万円
(五)  障害補償年金 五六二万九六五六円
ただし、昭和五〇年三月から昭和五二年一〇月までの分一九五万四八四八円と昭和五二年一一月から昭和五四年八月までの分三六七万四八〇八円の合計五六二万九六五六円
なお、被告らは、昭和五〇年三月から昭和五二年一〇月までの労災保険の障害補償年金として、右当事者間に争いのない一九五万四八四八円の他に九一万八七九三円が原告順一に支給されている旨主張し、成立に争いのない乙第五号証には右主張に副う記載部分があるが、成立に争いのない甲第九号証によれば右九一万八七九三円は、自賠責調整額として控除され、原告順一には支給されていない事実が認められるので、右金額は、損害のてん補に繰り入れないこととする。
七  損害のまとめ
1  原告順一 四五三万二六四〇円
原告順一の前記四の1の損害二八九九万九二七八円から、過失相殺として三割を減じ、さらに右損害てん補分を控除すると、次の算定式のとおり、残損害額は、四五三万二六四〇円(ただし、円未満切り捨て)となる。
2899万9278円×(1-0.3)-1576万6854円=453万2640円
2  原告治子 一四〇万円
原告治子の前記四の2の損害二〇〇万円から、過失相殺として三割を減ずると、次の算定式のとおり、残損害額は、一四〇万円となる。
200万円×(1-0.3)=140万円
八  弁護士費用
本件事案の内容、審理経過、認容額等に照らすと、原告らが被告両名に対して、本件事故による損害として賠償を求め得る弁護士費用の額は、原告順一において五〇万円、原告治子において一〇万円とするのが相当と認める。
九  結論
よつて、被告両名は、使用者責任に基づき、連帯のうえ、原告順一に対し、五〇三万二六四〇円及びうち弁護士費用を除く四五三万二六四〇円に対する本件事故発生日である昭和四八年一月六日から、うち弁護士費用の五〇万円に対する本裁判確定の日から各支払ずみまで、年五分の割合による遅延損害金を、原告治子に対し、一五〇万円及びうち弁護士費用を除く一四〇万円に対する前同日から、うち弁護士費用の一〇万円に対する本裁判確定の日から各支払ずみまで、年五分の割合による遅延損害金を、それぞれ支払う義務があり、原告らの本訴請求は右の限度で正当であるからこれを認容し、その余の請求は理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九二条、九三条、仮執行の宣言につき同法一九六条をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 佐藤武彦)

 

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