【営業代行から学ぶ判例】crps 裁判例 lgbt 裁判例 nda 裁判例 nhk 裁判例 nhk 受信料 裁判例 pl法 裁判例 pta 裁判例 ptsd 裁判例 アメリカ 裁判例 検索 オーバーローン 財産分与 裁判例 クレーマー 裁判例 クレプトマニア 裁判例 サブリース 裁判例 ストーカー 裁判例 セクシャルハラスメント 裁判例 せクハラ 裁判例 タイムカード 裁判例 タイムスタンプ 裁判例 ドライブレコーダー 裁判例 ノンオペレーションチャージ 裁判例 ハーグ条約 裁判例 バイトテロ 裁判例 パタハラ 裁判例 パブリシティ権 裁判例 ハラスメント 裁判例 パワーハラスメント 裁判例 パワハラ 裁判例 ファクタリング 裁判例 プライバシー 裁判例 プライバシーの侵害 裁判例 プライバシー権 裁判例 ブラックバイト 裁判例 ベネッセ 裁判例 ベルシステム24 裁判例 マタニティハラスメント 裁判例 マタハラ 裁判例 マンション 騒音 裁判例 メンタルヘルス 裁判例 モラハラ 裁判例 モラルハラスメント 裁判例 リストラ 裁判例 リツイート 名誉毀損 裁判例 リフォーム 裁判例 遺言 解釈 裁判例 遺言 裁判例 遺言書 裁判例 遺言能力 裁判例 引き抜き 裁判例 営業秘密 裁判例 応召義務 裁判例 応用美術 裁判例 横浜地裁 裁判例 過失割合 裁判例 過労死 裁判例 介護事故 裁判例 会社法 裁判例 解雇 裁判例 外国人労働者 裁判例 学校 裁判例 学校教育法施行規則第48条 裁判例 学校事故 裁判例 環境権 裁判例 管理監督者 裁判例 器物損壊 裁判例 基本的人権 裁判例 寄与分 裁判例 偽装請負 裁判例 逆パワハラ 裁判例 休業損害 裁判例 休憩時間 裁判例 競業避止義務 裁判例 教育を受ける権利 裁判例 脅迫 裁判例 業務上横領 裁判例 近隣トラブル 裁判例 契約締結上の過失 裁判例 原状回復 裁判例 固定残業代 裁判例 雇い止め 裁判例 雇止め 裁判例 交通事故 過失割合 裁判例 交通事故 裁判例 交通事故 裁判例 検索 公共の福祉 裁判例 公序良俗違反 裁判例 公図 裁判例 厚生労働省 パワハラ 裁判例 行政訴訟 裁判例 行政法 裁判例 降格 裁判例 合併 裁判例 婚約破棄 裁判例 裁判員制度 裁判例 裁判所 知的財産 裁判例 裁判例 データ 裁判例 データベース 裁判例 データベース 無料 裁判例 とは 裁判例 とは 判例 裁判例 ニュース 裁判例 レポート 裁判例 安全配慮義務 裁判例 意味 裁判例 引用 裁判例 引用の仕方 裁判例 引用方法 裁判例 英語 裁判例 英語で 裁判例 英訳 裁判例 閲覧 裁判例 学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例 共有物分割 裁判例 刑事事件 裁判例 刑法 裁判例 憲法 裁判例 検査 裁判例 検索 裁判例 検索方法 裁判例 公開 裁判例 公知の事実 裁判例 広島 裁判例 国際私法 裁判例 最高裁 裁判例 最高裁判所 裁判例 最新 裁判例 裁判所 裁判例 雑誌 裁判例 事件番号 裁判例 射程 裁判例 書き方 裁判例 書籍 裁判例 商標 裁判例 消費税 裁判例 証拠説明書 裁判例 証拠提出 裁判例 情報 裁判例 全文 裁判例 速報 裁判例 探し方 裁判例 知財 裁判例 調べ方 裁判例 調査 裁判例 定義 裁判例 東京地裁 裁判例 同一労働同一賃金 裁判例 特許 裁判例 読み方 裁判例 入手方法 裁判例 判決 違い 裁判例 判決文 裁判例 判例 裁判例 判例 違い 裁判例 百選 裁判例 表記 裁判例 別紙 裁判例 本 裁判例 面白い 裁判例 労働 裁判例・学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例・審判例からみた 特別受益・寄与分 裁判例からみる消費税法 裁判例とは 裁量労働制 裁判例 財産分与 裁判例 産業医 裁判例 残業代未払い 裁判例 試用期間 解雇 裁判例 持ち帰り残業 裁判例 自己決定権 裁判例 自転車事故 裁判例 自由権 裁判例 手待ち時間 裁判例 受動喫煙 裁判例 重過失 裁判例 商法512条 裁判例 証拠説明書 記載例 裁判例 証拠説明書 裁判例 引用 情報公開 裁判例 職員会議 裁判例 振り込め詐欺 裁判例 身元保証 裁判例 人権侵害 裁判例 人種差別撤廃条約 裁判例 整理解雇 裁判例 生活保護 裁判例 生存権 裁判例 生命保険 裁判例 盛岡地裁 裁判例 製造物責任 裁判例 製造物責任法 裁判例 請負 裁判例 税務大学校 裁判例 接見交通権 裁判例 先使用権 裁判例 租税 裁判例 租税法 裁判例 相続 裁判例 相続税 裁判例 相続放棄 裁判例 騒音 裁判例 尊厳死 裁判例 損害賠償請求 裁判例 体罰 裁判例 退職勧奨 違法 裁判例 退職勧奨 裁判例 退職強要 裁判例 退職金 裁判例 大阪高裁 裁判例 大阪地裁 裁判例 大阪地方裁判所 裁判例 大麻 裁判例 第一法規 裁判例 男女差別 裁判例 男女差别 裁判例 知財高裁 裁判例 知的財産 裁判例 知的財産権 裁判例 中絶 慰謝料 裁判例 著作権 裁判例 長時間労働 裁判例 追突 裁判例 通勤災害 裁判例 通信の秘密 裁判例 貞操権 慰謝料 裁判例 転勤 裁判例 転籍 裁判例 電子契約 裁判例 電子署名 裁判例 同性婚 裁判例 独占禁止法 裁判例 内縁 裁判例 内定取り消し 裁判例 内定取消 裁判例 内部統制システム 裁判例 二次創作 裁判例 日本郵便 裁判例 熱中症 裁判例 能力不足 解雇 裁判例 脳死 裁判例 脳脊髄液減少症 裁判例 派遣 裁判例 判決 裁判例 違い 判決 判例 裁判例 判例 と 裁判例 判例 裁判例 とは 判例 裁判例 違い 秘密保持契約 裁判例 秘密録音 裁判例 非接触事故 裁判例 美容整形 裁判例 表現の自由 裁判例 表明保証 裁判例 評価損 裁判例 不正競争防止法 営業秘密 裁判例 不正競争防止法 裁判例 不貞 慰謝料 裁判例 不貞行為 慰謝料 裁判例 不貞行為 裁判例 不当解雇 裁判例 不動産 裁判例 浮気 慰謝料 裁判例 副業 裁判例 副業禁止 裁判例 分掌変更 裁判例 文書提出命令 裁判例 平和的生存権 裁判例 別居期間 裁判例 変形労働時間制 裁判例 弁護士会照会 裁判例 法の下の平等 裁判例 法人格否認の法理 裁判例 法務省 裁判例 忘れられる権利 裁判例 枕営業 裁判例 未払い残業代 裁判例 民事事件 裁判例 民事信託 裁判例 民事訴訟 裁判例 民泊 裁判例 民法 裁判例 無期転換 裁判例 無断欠勤 解雇 裁判例 名ばかり管理職 裁判例 名義株 裁判例 名古屋高裁 裁判例 名誉棄損 裁判例 名誉毀損 裁判例 免責不許可 裁判例 面会交流 裁判例 約款 裁判例 有給休暇 裁判例 有責配偶者 裁判例 予防接種 裁判例 離婚 裁判例 立ち退き料 裁判例 立退料 裁判例 類推解釈 裁判例 類推解釈の禁止 裁判例 礼金 裁判例 労災 裁判例 労災事故 裁判例 労働基準法 裁判例 労働基準法違反 裁判例 労働契約法20条 裁判例 労働裁判 裁判例 労働時間 裁判例 労働者性 裁判例 労働法 裁判例 和解 裁判例

判例リスト「営業代行会社 完全成果報酬|完全成功報酬」(333)平成19年 1月29日 東京地裁 平17(ワ)9704号 報酬金等請求事件

判例リスト「営業代行会社 完全成果報酬|完全成功報酬」(333)平成19年 1月29日 東京地裁 平17(ワ)9704号 報酬金等請求事件

裁判年月日  平成19年 1月29日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平17(ワ)9704号
事件名  報酬金等請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2007WLJPCA01298010

要旨
◆被告会社が開発した自動車エンジンについて国内外の企業との技術供与契約締結交渉の業務委託を受けた原告コンサルタント会社が、被告会社に対し、中国の会社との間の技術供与契約が締結されたとして、業務委託契約に基づき成功報酬の支払等または同額の損害賠償及び被告代表者から受けた侮辱に対する慰謝料を請求した事案において、本件業務委託契約上、原告会社に成功報酬の請求権が発生するためには、本件基本契約の締結だけでは足りず、「正式契約」が締結されて、その対価が現実に支払われることが必要であると解されるが、正式契約は未だ締結されておらず、もとより、対価も支払われていないのであるから、原告会社に報酬請求権が発生したと認める余地はなく、また被告の発言、メール等も損害賠償を発生させる不法行為を構成するとまでは言えないとした事例

参照条文
民法415条
民法643条
民法648条
民法709条

裁判年月日  平成19年 1月29日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平17(ワ)9704号
事件名  報酬金等請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2007WLJPCA01298010

東京都港区〈以下省略〉
原告 株式会社ジェイシー戦略投資
同代表者代表取締役 X1
東京都品川区〈以下省略〉
原告 X1
原告ら訴訟代理人弁護士 笹原桂輔
笹原信輔
栢割秀和
十亀正嗣
山形市〈以下省略〉
被告 株式会社ワイ・ジー・ケー
同代表者代表取締役 Y1
山形市〈以下省略〉
被告 Y1
被告ら訴訟代理人弁護士 五十嵐幸弘

 

 

主文

1  原告らの請求を棄却する。
2  訴訟費用は原告らの負担とする。

 

 

事実及び理由

第1  請求
1  被告株式会社ワイ・ジー・ケーは,原告株式会社ジェイシー戦略投資に対し,8480万円及びこれに対する平成17年5月28日(本件訴状送達の日の翌日)から支払済まで年6分の割合による金員を支払え。
2  被告Y1は,原告X1に対し,200万円及びこれに対する平成16年12月17日から支払済まで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
本件は,被告株式会社ワイ・ジー・ケーが開発した自動車エンジンについて,国内外の企業との間の同エンジン技術供与契約締結交渉の業務委託(以下,「本件業務委託」という。)を受けた原告株式会社ジェイシー戦略投資が,被告株式会社ワイ・ジー・ケーに対し,中国の金華欧洲城汽車投資集団有限公司(以下,「金華社」という。)との間の技術供与契約が締結されたとして,本件業務委託契約に基づき,成功報酬8480万円の支払又は同額の損害賠償を求め,また,原告株式会社ジェイシー戦略投資の代表者である原告X1が,被告株式会社ワイ・ジー・ケーの代表者である被告Y1に対し,同被告から電話やメールで侮辱されたとして,慰謝料200万円の支払を求めた事案である。
1  前提事実
(1)当事者
① 原告株式会社ジェイシー戦略投資(以下,「原告会社」という。)は,コンサルタント業等を業とする株式会社であり,原告X1は,その代表取締役である。
② 被告株式会社ワイ・ジー・ケー(以下,「被告会社」という。)は,自動車及び自動車部品の製造,販売,輸出入を主たる業とする株式会社であり,被告Y1は,その代表取締役である。
被告会社は,自動車・発電機・ヒートポンプ用エンジンの設計開発に特化した会社であり,「YR40」,「YR20」等の名称で自動車エンジンを製造している。被告会社が開発したこれらのエンジンは,排気ガス対策,振動の低減,燃費向上対策等で,既存大手メーカーのエンジンより性能が優れているということで業界で注目を浴びている。
(2)本件業務委託契約
被告会社と原告会社は,平成16年3月1日,被告会社が保有するエンジン技術に係る取引業務に関し,次の内容の本件業務委託契約(甲第3号証)を締結した。
「第1条 業務委託の内容
被告会社は,原告会社に対し,原告会社が新規開拓し被告会社が承認した国内外相手先との契約交渉業務を委託する。
第2条 業務報告書
原告会社は,第1条の業務を実施した場合は,その都度,業務詳細を被告会社に対し,口頭又は文書で速やかに報告する。
第3条 業務委託費
被告会社は,原告会社が,第1条の業務を実施するための旅費交通費・通信費・その他経費を含めた委託料として,月額20万円(税込)を毎月15日,当月分を翌月に支払う。
また,業務実施により,契約が締結され,被告会社がその対価を得たとき,その成功報酬を次のとおり支払う。
(1)技術売上対価を得たとき,その金額の5%
(2)技術売上対価を得たとき,株主総会の承認を条件として,その金額の5%をストックオプションとして付与する。
(3)その他の売上対価を得たときについては,別途協議する。
以上は,被告会社が入金を確認した日から15日以内に支払う。支払方法は,いずれも原告会社の指定銀行口座に送金して支払う。
第4条 (略)
第5条 契約期間
本契約締結日より1年間とする。但し,実施中の業務については,清算完了日を満了日とする。また,双方の協議により更新することができる。
契約期間中において,第1条の業務成果を期待できないことが明確になったときは,被告会社は,原告会社に対し,1か月前に文書で通知することにより,本契約を解消することができる。
第6条 (略)」
(3)本件業務委託契約に至る経緯
① 被告会社は,昭和55年6月に被告Y1によって設立された有限会社が平成2年7月に組織変更した会社であるが,平成12年ころから,スポーツカー用エンジン,環境配慮型エンジンの開発に取り組み始め,平成13年7月19日,環境適応型エンジン「YR20」の開発,量産化の事業計画が国の新事業創出促進法の適用認定を受け,V型エンジンの開発,設計,試作に取り組み,平成14年ころから,その所有する技術,特許,製造のノウハウ等の供与先を国内はもとより,東南アジア,米国,中国を販路先とする検討に入っていた。
② 平成15年暮又は平成16年1月初めころ,原告会社代表者である原告X1が,被告会社と産学連携してエンジン開発に取り組んでいた東海大学A教授に対し,中国でレースカー購入の希望があるので営業させていただきたいと依頼し,被告Y1が原告X1と面談することとなった。
その結果,被告会社が原告会社に対し,被告会社の所有する自動車エンジンの技術,特許,製造のノウハウ等について,中国の供与先を探し,被告会社が認める供与先との契約交渉業務を委託することとなり,本件業務委託契約締結に至ったものである。
(4)本件業務委託契約に基づく業務の遂行状況・本件基本契約書の作成
① 平成16年7月ころ,原告X1から被告会社に対し,金華社がYRエンジンの技術供与を受けたい意向である旨の連絡があった。そこで,被告会社は準備作業に入り,同月26日,合意書の文案を作成し,原告X1を通じて金華社に送付した。
② 平成16年8月2日から7日にかけて,原告X1,被告Y1,被告会社取締役Bが金華社を訪問し,協議の結果,契約を締結することが合意された。
③ その後,平成16年9月9日付で,金華社と被告会社との間で,「技術供与基本契約書」と題する本件基本契約書(乙第1号証)が作成された。
本件基本契約書には,要旨,次の記載がある。
「前文 金華社,被告会社双方は,…(中略)…V型エンジンのシリーズ技術に関する供与について,以下のとおりに基本合意に達した。
第1条 被告会社は,その所有するV型エンジンのシリーズ技術,それに関する特許技術,製造ノウハウを金華社に供与する。金華社は,その技術を使って,金華社の工場でV型エンジンに合格する製品を製造し,使用,販売する。供与される技術のデータは,本田同型の製品との比較表のもので,添付する資料1のとおりである。
第2条 (略)
第3条 供与される技術は,YR20,YR20(ハイブリッド),YR16,YR14,YR25,YR30といったV型シリーズエンジンの6機種である。具体的な供与の開発のスケジュールは,資料2のとおりである。
第4条 YR20の技術供与費用は,8.8億円である。支払は,双方が正式契約を締結し,発効後,金華社が被告会社へ視察,確認後,まず,1.32億円を支払う。次に,車両搭載試作機が約束された基準を合格したことを確認したときに,1.76億円を支払う。また,金華社が,量産化の過程において,30台目の量産品を製造し,約束された基準を合格したことを確認した時点で,2.2億円を支払う。残りの3.52億円は,3回に分けて支払う。
金華社が,YR20ハイブリッドエンジン量産化の過程において,30台目の量産品を製造し,約束された基準を合格したことを確認した時点で,0.704億円を支払い,YR16量産化の過程において,30台目の量産品を製造し,約束された基準を合格したことを確認した時点で,1.408億円を支払い,YR14量産化の過程において,30台目の量産品を製造し,約束された基準を合格したことを確認した時点で,1.408億円を支払う。
(一) YR20を基礎にモジュール化する製品の開発費用と支払方法は,以下のとおりである。
1  YR20ハイブリッドエンジンの開発費用は,0.8億円であり,支払方法は,金華社,被告会社が正式契約を締結し,発効後,金華社が被告会社へ視察,確認後,まず,0.12億円を支払う。次に,車両搭載試作機が約束された基準を合格したことを確認したときに,0.16億円を支払う。また,金華社が,量産化の過程において,30台目の量産品を製造し,約束された基準を合格したことを確認した時点で,0.2億円を支払う。残りの0.32億円は,金華社が量産化後180日の時点で支払う。
2  YR16の開発費用は,1.6億円であり,支払方法は,金華社,被告会社が正式契約を締結し,発効後,金華社が被告会社へ視察,確認後,まず,0.24億円を支払う。次に,車両搭載試作機が約束された基準を合格したことを確認したときに,0.32億円を支払う。また,金華社が,量産化の過程において,30台目の量産品を製造し,約束された基準を合格したことを確認した時点で,0.4億円を支払う。残りの0.64億円は,金華社が量産化後180日の時点で支払う。
3  YR14の開発費用は,0.96億円であり,支払方法は,金華社,被告会社が正式契約を締結し,発効後,金華社が被告会社へ視察,確認後,まず,0.144億円を支払う。次に,車両搭載試作機が約束された基準を合格したことを確認したときに,0.192億円を支払う。また,金華社が,量産化の過程において,30台目の量産品を製造し,約束された基準を合格したことを確認した時点で,0.24億円を支払う。残りの0.384億円は,金華社が量産化後180日の時点で支払う。
4  YR25の開発費用は,3.2億円であり,支払方法は,YR20,YR20(ハイブリッド),YR16,YR14といったエンジンが供与され,量産化した後に,金華社が被告会社に対して書面による確認後,まず,0.48億円を支払う。次に,車両搭載試作機が約束された基準を合格したことを確認したときに,0.64億円を支払う。また,金華社が,量産化の過程において,30台目の量産品を製造し,約束された基準を合格したことを確認した時点で,0.8億円を支払う。残りの1.28億円は,金華社が量産化後180日の時点で支払う。
5  YR30の開発費用は,1.6億円であり,支払方法は,YR20,YR20(ハイブリッド),YR16,YR14といったエンジンが供与され,量産化した後に,金華社が被告会社に対して書面による確認後,まず,0.24億円を支払う。次に,車両搭載試作機が約束された基準を合格したことを確認したときに,0.32億円を支払う。また,金華社が,量産化の過程において,30台目の量産品を製造し,約束された基準を合格したことを確認した時点で,0.4億円を支払う。残りの0.64億円は,金華社が量産化後180日の時点で支払う。
(二) (略)
(三) 金華社が生産したYRシリーズエンジンを自社以外に販売する場合,被告会社に対し,1台につき,ライセンス料として,1万2000円を支払う。支払期間は,機種ごとの量産開始時から14年間とし,月ごとに精算し,翌月に支払う。ただし,金華社が自社グループ内の企業あるいは資本関係のある関連企業に販売するときはライセンス料は発生しないものとする。
(以下,中略)
第11条 本契約書を締結後,金華社,被告会社が直ちに正式契約書のことを準備する。
(以下,略)」
④ その後,平成16年10月20日ころ,また,同月27日,原告X1から被告会社に対し,金華社一行が同年11月3日又は9日に来日したい旨の連絡があり,被告会社は,金華社一行の来日ビザ取得のため,招聘理由書等を作成して郵送したが,金華社一行は来日しなかった。
⑤ 平成16年11月6日,被告会社において,原告X1と被告Y1,被告会社管理部長Cとの間で話合が行われた。
(5)本件業務委託料の支払と本件業務委託契約の解除
① 被告会社から原告会社に対する本件業務委託料月額20万円は,平成16年11月分まで支払われた。
② 被告会社は,原告会社に対し,平成16年12月17日付内容証明郵便(甲第4号証)により,「当社と平成16年3月1日付で締結した業務委託契約に基づき,現状案件についても具体的な進捗が見られず,再三にわたりその推進を促したものの成果が期待できないと判断いたしました。よって,平成16年12月15日を以て業務委託契約を解消することを通知する。」旨の通知をした。
2 原告ら主張の請求原因
(1)原告会社の被告会社に対する業務委託料の請求原因
① 原告会社は,本件業務委託契約に基づき,金華社との間で,交渉を行い,その結果,平成16年9月9日,被告会社と金華社との間で,技術供与に関し,骨子次の内容の本件基本契約が締結されたのである。
a 被告会社は,金華社に対し,V型エンジンのシリーズ技術,それに関する特許技術,製造ノウハウを供与する。
b 供与される技術は,YR20,YR20(ハイブリッド),YR16,YR14,YR25,YR30のV型エンジン6機種とする。
c 金華社は,被告会社に対し,次の対価を支払う。
(a) YR20の技術供与費用 8.8億円
(b) YR20ハイブリッドエンジン開発費用 0.8億円
(c) YR16の開発費用 1.6億円
(d) YR14の開発費用 0.96億円
(e) YR25の開発費用 3.2億円
(f) YR30の開発費用 1.6億円
(以上合計) 16.96億円
② 原告会社には,被告会社と金華社との間で本件基本契約を締結させたことにより,本件業務委託契約3条に基づく成功報酬として,被告会社に対し,上記費用計16億9600万円の5%にあたる8480万円の報酬請求権が発生した。本件基本契約3条にいう「技術売上対価を得たとき」とは,報酬請求権の発生要件を定めたものではなく,報酬の支払時期を定めたものにすぎない。
③ 被告会社は,本件基本契約が,予約にすぎないとか,仮契約であるとか主張するが,その内容は,詳細に約定内容を特定して合意されたものであり,細部について個別の契約を予定した基本契約であって,正式契約前の手順として締結されるいわゆる仮契約とは異なる。なお,被告会社は,自社の会社案内(甲第1号証)にも,本件基本契約をもって,「平成16年9月『YR20』中国にて特許権使用の許諾契約締結」と自ら記載しているのである。
④ 被告会社は,金華社の来日が遅れたことから本件業務委託契約を解除したと主張するが,被告会社の上記解除は,被告会社の一方的理由によるものである。すなわち,金華社がビザ取得の関係で来日が遅れている間,被告会社は,日本国内で,鉄鋼大手JFE子会社との間で技術供与契約を締結し,あるいは,その締結の見込みが確実になり,その技術供与費用額が,本件より遙かに高額であったため,本件技術供与費用額が安価に過ぎると感じ,本件基本契約を一旦白紙に戻し,再度,金額を設定し直そうとして,被告会社担当者Dをして,原告X1に対し,平成16年12月1日,メールで,「金華社との契約の見直しを考えている。事前に契約案を送信する。」として,技術供与する対象をYR20だけに限定した上,技術供与費用を15億円に増額し,有効期限を5年間に限定するという新契約案を送付させた。原告X1は,同日,川崎市の被告会社事務所を訪れ,Dに対し,このような提案を金華社が受け入れるはずがないと忠告したが,Dは,本件基本契約による技術供与費用は安価過ぎるとして譲らなかった経過がある。金華社はビザも取得していたが,被告会社が来日を拒否するような契約修正案を示したものというべきである。
⑤ したがって,仮に,本件基本契約締結の事実のみでは原告会社に報酬請求権が発生しないと仮定しても,正式契約締結,対価取得が実現しなかったのは,被告会社自身が一方的に契約を破棄したためであり,信義則上,被告会社には,原告会社に対する報酬支払義務があるというべきである。
⑥ なお,本件業務委託契約は,委任の性質を有するところ,被告会社による解除の意思表示は,原告会社に不利な時期にされたものであるから,民法651条により,被告会社には,原告会社に対する上記報酬相当額の損害賠償責任がある。
(2) 原告X1の被告Y1に対する慰謝料請求の請求原因
① 被告Y1は,原告X1に対し,次のような暴言を吐くなどして,原告X1を侮辱し,原告X1に精神的苦痛を与えた。
a 平成16年11月16日,被告Y1は,原告X1の携帯電話に電話をかけ,「お前は中国人,泥棒行為で,日本では通用しない。中国大使館に通告する。」旨の暴言を吐いた。
b 平成16年12月17日午前3時15分,被告Y1は,原告X1に対し,次の内容のメールを送信した。
「X1さん,盗っ人猛々しいとは貴方のことです。E執行委員より,本件に関わる期限・待遇通告を知るや,当社の技術顧問であるA先生の一本釣りを試みる等,貴方の行動は,常軌を逸しているばかりか,貴方との業務契約目的に反する違法行為である事を知るべきです。貴方の取っているゲリラ戦法は,中国では通用しても,この日本では,産業関連の中に於いて罪悪であることを知るべきです。E執行委員をはじめ,A技術顧問との当社の関係を甘く判断した自分自身を恥じるべきです。」
② 原告X1が被った精神的苦痛に対する慰謝料は200万円をもって相当とする。
3 被告らの反論
(1)被告会社の反論
① 本件業務委託契約にいう「契約」は成立していないから,原告会社には報酬請求権は発生していない。
a 被告会社と金華社との間の本件基本契約書は,中国語版(乙第16号証)では「意向書」と記載されており,その内容は,「YR20の技術供与費用は,8.8億円である。支払は,正式契約を締結し,発効後,金華社が被告会社へ視察,確認後,まず,1.32億円を支払う。」といった内容であって,正式契約の締結が後に予定されたいわば予約的なもの,仮契約的なものにすぎない。
b 平成16年8月12日,原告X1から,金華社一行が同年9月6日に来日したいとの連絡があり,来日ビザ取得のため,招聘書等を作成して郵送したが,金華社は来日せず,その後,電子メール,郵便で,原告X1とやりとりした後,確定した仮契約書2通に,被告会社の記名押印をして郵送し,金華社から,代表者がサインをしたものが返送されて,本件基本契約書が作成された。
c 本件基本契約は,直ちに正式契約を締結することを予定しており,被告会社におけるエンジン開発スケジュールからいっても,平成16年10月には,金華社に現地視察,確認をしてもらわなければならないことは,原告X1も,十分承知していた。しかるに,同年10月20日ころ,また,27日にも,原告X1から被告会社に対し,金華社一行が同年11月3日又は9日に来日したい旨の連絡があり,被告会社は,金華社一行の来日ビザ取得のため,招聘理由書等を作成して郵送したものの,金華社一行は来日しなかった。同年11月6日,原告X1に業務報告をしてもらうために,被告会社に来てもらい,午前11時ころ,また,午後1時ころ,被告Y1,被告会社C管理部長が,原告X1に対し,業務状況,交渉状況を文書等で,その都度報告するよう要請し,また,金華社との交渉が進展しないのでは困る,このままでは,原告会社の業務には信憑性がなくなり,本件業務委託契約を維持できない旨伝え,早急に金華社との正式契約交渉を進展させるよう促した。
d 同年11月9日にも,原告X1から,同年11月22日から24日に,金華社一行が来日予定との連絡があったが,これも実現しなかった。
e そこで,C管理部長は,同年11月24日,原告X1に対し,具体的な進展がないまま待つことはできない旨メールで送信した。すると,原告X1から,同年11月25日,金華社一行が同年12月9日か16日に来日予定との連絡があり,被告会社から招聘書等を送付したが,これも実現しなかった。
f 以上のとおり,原告X1は,金華社が直ぐ来日するようなことを繰り返し述べていたのに,正式契約が実現しないまま経過し,被告会社では,原告X1が真に動いているのかすら不審に思わざるを得ず,被告Y1,被告会社のF専務,C管理部長からも,再三,正式契約推進を求めたにもかかわらず,原告X1は,きちんとした回答をせず,本件業務委託契約2条に定める業務報告もせず,さらに,A教授に近づき,同教授を引き抜こうとする動きすらみせた。
g そこで,被告会社は,本件業務委託契約2条,5条後段に基づき,本件業務委託契約を解除したものである。
h なお,原告会社は,JFE子会社との間の技術供与契約について云々するが,同社との契約は,汎用エンジンに関するものであり,かつ,原告会社主張の時点では未締結であったし,Dは,同契約には関係しておらず,その詳細を承知していない者であり,原告会社主張のようなことを言った事実はない。被告会社が金華社との契約内容見直しを提案したことは事実であるが,これは,金華社との合意が何一つ進展しない中で,多品種エンジンに関する長期計画から,単一エンジンの短期計画に変更することで事業を推進することができないか原告X1に相談したにすぎず,この案が金華社に伝えられたのか否かすら,原告X1からは何の報告もなかった。
② また,本件業務委託契約3条には,原告会社の「業務実施により,契約が締結され,被告会社がその対価を得たとき,その成功報酬を」「支払う」ことが合意されているのであり,「技術売上対価を得たとき」でなければ,報酬請求権は発生しない。その支払時期については,被告会社が「入金を確認した日から15日以内に支払う」旨明記されており,「技術売上対価を得たとき」が支払時期を定めたものにすぎないと解することはできない。
③ なお,本件業務委託契約の解除は,前記のとおりの経過に基づくものであり,被告会社には,原告会社に対する損害賠償責任はない。
(2)被告Y1の反論
被告Y1の電話による発言,メールが原告X1に対する不法行為を構成するとの主張は争う。
第3  当裁判所の判断
1  前提事実に甲第1ないし第6号証,第8ないし第11号証(第10,第11号証の記載中後記採用しない部分を除く。),乙第1号証,第2号証の1,2,第3ないし第17号証,原告本人兼原告会社代表者尋問の結果(後記採用しない部分を除く。),被告本人兼被告会社代表者尋問の結果並びに弁論の全趣旨を総合すると,次の事実が認められる。
(1)被告会社は,昭和55年6月に被告Y1によって設立された有限会社が平成2年7月に組織変更した会社であるが,平成12年ころから,スポーツカー用エンジン,環境配慮型エンジンの開発に取り組み始め,平成13年7月19日,環境適応型エンジン「YR20」の開発,量産化の事業計画が国の新事業創出促進法の適用認定を受け,V型エンジンの開発,設計,試作に取り組み,平成14年ころから,その所有する技術,特許,製造のノウハウ等の供与先を国内はもとより,東南アジア,米国,中国を販路先とする検討に入っていた。
(2)平成15年暮又は平成16年1月初めころ,原告会社代表者である原告X1が,被告会社と産学連携してエンジン開発に取り組んでいた東海大学A教授に対し,中国でレースカー購入の希望があるので営業させていただきたいと依頼し,被告Y1が原告X1と面談することとなった。その結果,被告会社が原告会社に対し,被告会社の所有する自動車エンジンの技術,特許,製造のノウハウ等について,中国の供与先を探し,被告会社が認める供与先との契約交渉業務を委託することとなった。
(3)平成16年3月1日,被告会社と原告会社との間で,被告会社が保有するエンジン技術に係る取引業務に関し,被告会社が原告会社に対し,原告会社が新規開拓し被告会社が承認した国内外相手先との契約交渉業務を委託する本件業務委託契約(甲第3号証)が締結された。
本件業務委託契約の内容は,前提事実記載のとおりであり,第2条には,「業務報告書」と題して,「原告会社は,第1条の業務を実施した場合は,その都度,業務詳細を被告会社に対し,口頭又は文書で速やかに報告する。」との約定があるが,原告会社が被告会社に対し業務報告書によって,業務の報告をしたことはなかった。
また,本件業務委託契約書第3条には,業務委託費について,「第1条の業務を実施するための旅費交通費・通信費・その他経費を含めた委託料として,月額20万円(税込)を毎月15日,当月分を翌月に支払う。」との約定があり,上記委託料は,平成16年11月分まで支払われている。
さらに,同条には,「業務実施により,契約が締結され,被告会社がその対価を得たとき,その成功報酬を次のとおり支払う。(1)技術売上対価を得たとき,その金額の5%(2)技術売上対価を得たとき,株主総会の承認を条件として,その金額の5%をストックオプションとして付与する。(3)その他の売上対価を得たときについては,別途協議する。」との約定がある。
また,本件業務委託契約書第5条には,「契約期間中において,第1条の業務成果を期待できないことが明確になったときは,被告会社は,原告会社に対し,1か月前に文書で通知することにより,本契約を解消することができる。」との約定がある。
(4)平成16年7月ころ,原告X1から被告会社に対し,金華社がYRエンジンの技術供与を受けたい意向である旨の連絡があった。そこで,被告会社は準備作業に入り,同月中に合意書の文案を作成し,原告X1を通じて金華社に送付した。そして,平成16年8月2日から7日にかけて,原告X1,被告Y1,被告会社取締役Bが金華社を訪問し,協議の結果,契約を締結することが合意された。
(5)その後,被告会社は,原告X1から,金華社一行が同年9月5日に来日予定との連絡を受け,来日ビザ取得のため,平成16年8月12日付の招聘書等(乙第7ないし第9号証)を作成して郵送したが,金華社は来日しなかった。
(6)他方,被告会社は,書面による合意を調えるべく,原告X1との間で,電子メール等によりやりとりした後,確定した本件基本契約書案2通に,被告会社の記名押印をして郵送し,金華社から,代表者がサインをしたものが返送されて,平成16年9月9日付で,本件基本契約書(乙第1号証〔日本語版〕,乙第16号証〔中国語版〕)が作成された。表題は,日本語版では「基本契約書」,中国語版では「意向書」と記載されている。その経緯は,被告会社では,なるべく確定的な契約にしたいと希望していたものの,原告X1から示された金華社側の合意案は,当初,「趣意書」とされており,その後,「意向書」と変更されたものである。
本件基本契約の内容は,被告会社が開発したV型シリーズエンジンの6機種(YR20,YR20〔ハイブリッド〕,YR16,YR14,YR25,YR30)の技術の金華社への供与に関する合意であり,対価の額,支払方法等についても,前提事実記載のとおり具体的に約定されているが,後日「正式契約」を締結することが明記され,また,金華社が被告会社を視察して,試作品等の確認を行うことを予定することも明記されている。本件基本契約第4条には,随所に上記記載があり,第11条には,直ちに正式契約書の準備に入る旨の約定が記載されている。また,その後のスケジュールについて,本件基本契約書には,別紙のとおり定められている。
本件基本契約締結まで,金華社は,上記各エンジンの実物,試作品等を見分していなかったのであり,金華社が正式契約を締結するには,来日してもらい,被告会社を視察し,エンジンの現物,試作品等を確認してもらう必要があり,別紙記載のスケジュールによれば,遅くとも平成16年10月には,金華社に視察,確認をしてもらわなければならず,そのことは,原告X1も十分承知していた。
(7)しかるに,金華社が被告会社を視察し,試作品等を確認する来日は,結局,実現しなかった。
平成16年10月,原告X1から被告会社に対し,金華社一行が同年11月3日又は9日前後に来日予定である旨の連絡があり,被告会社は,金華社一行の来日ビザ取得のため,平成16年10月19日付招聘理由書等(乙第3,第4号証,第10ないし第12号証)を作成して郵送したが,金華社一行は来日しなかった。
平成16年11月6日,被告会社において,原告X1と被告会社管理部長Cあるいは被告Y1との間で話合が行われ,被告会社側から,原告X1に対し,金華社の来日,正式契約締結交渉を進展させること,業務状況,交渉状況を文書等によりその都度報告することを要請し,このままでは,原告会社の業務には信憑性がなくなり,本件業務委託契約を維持することができない旨伝えた。
原告X1は,同年11月9日,被告会社に対し,同月22日から24日に金華社一行が来日する予定と連絡したが,これも実現しなかった。金華社の来日が実現しない理由の詳細について,原告X1が被告会社に対し,書面によって報告したり,金華社からの連絡文書等の裏付を示して説明したりしたことはなかった。
そこで,被告会社のC管理部長は,同年11月24日,原告X1に対し,繰り返し来日予定が実現せず,理由も明確でない状況にあることを指摘し,具体的な進展がないまま待つことはできない旨メールで送信した。これに対して,原告X1は,同年11月25日,金華社一行が同年12月9日か16日に来日する予定であると連絡し,原告X1の求めに応じて,被告会社から,被告会社の登記簿謄本,滞在予定表(乙第15号証)が再度送付されたが,これも実現せず,被告らは,原告らに対する信頼感を失ってしまった。
なお,この間,平成16年12月1日には,被告会社から原告X1に対し,金華社との契約をYR20エンジンのみに限定する契約としてはどうかとの提案をしているが,これは,本件基本契約による6機種のエンジンに関する技術供与契約では規模が大きすぎるために金華社の対応が遅れているのであるとすれば,規模を限定することによって契約を推進し易くなるのではないかとの配慮によるものであった。
(8)平成16年12月16日ないし17日,被告Y1は,A教授から,原告X1が面談を求めてきて,A教授に対し,中国の自動車企業と直接の取引をしないかと持ちかけたとの話を聞き,原告X1に対する不信感をつのらせた。
(9)以上の経過により,被告会社は,原告X1が,被告会社に対し,業務の遂行状況,金華社の対応,具体的事情等について,その都度,資料を添えるなどして具体的,詳細に報告を行うことをしなかった上,金華社が直ぐに来日するかのように繰り返し述べていたのに,金華社の来日が結局実現せず,正式契約の締結交渉が何ら進展しないまま経過し,交渉の遅延等について納得し得るだけの理由の説明もなかったため,原告X1が実際に金華社との交渉を進めているのか否かすら不審に思うようになり,さらに,原告X1が,A教授に接触して,中国側企業との直接契約を打診するなどしたため,本件業務委託契約2条,5条後段に基づき,平成16年12月17日付内容証明郵便(甲第4号証)で本件業務委託契約を解除する旨の意思表示をした。
以上の事実が認められ,甲第10,第11号証の記載及び原告本人兼原告会社代表者尋問の結果中,上記認定に反する部分は,前掲各証拠に照らし採用しない。
なお,原告会社は,上記解除の意思表示が被告会社の一方的理由によるものであり,その原因が,被告会社がJFE子会社との間で高額の対価による技術供与契約の合意ができたため,金華社との契約金額をつり上げようして果たさなかった結果であるなどと主張するが,被告本人兼被告会社代表者尋問の結果によると,JFE子会社との契約は,本件各エンジンと異なる汎用エンジンに関するものであり,かつ,原告会社主張の時点では未締結であったことが認められ,原告会社主張の事実を認めるに足りる的確な証拠はない。
2  上記認定事実に基づいて原告会社の被告会社に対する請求について判断するに,まず,本件業務委託契約上,原告会社に成功報酬である同原告主張の報酬請求権が発生するためには,本件基本契約が締結されただけでは足りず,「正式契約」が締結されて,その対価が現実に支払われることが必要であると解される。すなわち,本件業務委託契約の当該条項の記載は,「業務実施により,契約が締結され,被告会社がその対価を得たとき,その成功報酬を次のとおり支払う。(1)技術売上対価を得たとき,その金額の5%(2)技術売上対価を得たとき,株主総会の承認を条件として,その金額の5%をストックオプションとして付与する。(3)その他の売上対価を得たときについては,別途協議する。」というものであり,技術売上対価の金額の5%の報酬を「技術売上対価を得たとき」支払う旨の記載は,支払時期を約すにすぎないものではなく,支払請求権の発生要件を定めたものと解するのが相当である。同条項の他の規定,すなわち,(2)の技術売上対価の金額の5%のストックオプションについて,「技術売上対価を得たとき,株主総会の承認を条件として」,(3)の「別途協議」は「その他の売上対価を得たとき」との各規定も,それぞれの要件を満たしたときに支払請求権が発生する趣旨であることが明白であり,原告主張の上記条項も,これと異なる趣旨と解することはできない。
そして,前記認定のとおり,正式契約は未だ締結されておらず,もとより,対価も支払われていないのであるから,原告会社に報酬請求権が発生したと認める余地はない。
なお,原告会社は,被告会社による解除の意思表示について,被告会社の一方的理由によるものであると主張し,原告会社に不利な時期にされたものであるから,民法651条により,被告会社には,原告会社に対する上記報酬相当額の損害賠償責任があるとか,信義則上,原告会社に対する報酬支払義務があると主張するが,被告会社が解除の意思表示をした経緯は,前記認定のとおりであり,原告らが,被告会社に対する業務報告,特に,金華社の来日が遅れ,正式契約締結への手続が進捗しないことについて,根拠を明示するなどして,被告会社が納得し得るだけの具体的な説明をしないまま経過して,被告会社の信頼を失った結果,被告会社が本件業務委託契約上の約定解除権を行使したものであって,原告会社の上記主張は採用することができない。
3  次に,原告X1の被告Y1に対する請求についてみるに,被告本人兼被告会社代表者尋問の結果,弁論の全趣旨によれば,本件各種エンジンの開発にかかわってきた東海大学のA教授に対し,原告X1が,中国の自動車企業と直接の取引をしないかと持ちかけたことを知って,被告Y1が原告X1に対する不信感をつのらせた結果,原告X1を詰った事実があることが認められるが,前記認定の事実経緯に照らせば,原告X1主張の発言,メール記載があったとして,その当否はともかく,これらが原告X1に対する損害賠償義務を発生させる不法行為を構成するとまではいうことができない。
4  よって,原告らの請求は,いずれも理由がない。
(裁判官 松本光一郎)

 

〈以下省略〉

 

*******

関連記事一覧

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。


Notice: Undefined index: show_google_top in /home/users/1/lolipop.jp-2394bc826a12fc5a/web/www.bokuore.com/wp-content/themes/rumble_tcd058/footer.php on line 296

Notice: Undefined index: show_google_btm in /home/users/1/lolipop.jp-2394bc826a12fc5a/web/www.bokuore.com/wp-content/themes/rumble_tcd058/footer.php on line 296