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判例リスト「営業代行会社 完全成果報酬|完全成功報酬」(322)平成19年 5月28日 東京地裁 平18(ワ)5714号 手数料請求事件、同反訴請求事件

判例リスト「営業代行会社 完全成果報酬|完全成功報酬」(322)平成19年 5月28日 東京地裁 平18(ワ)5714号 手数料請求事件、同反訴請求事件

裁判年月日  平成19年 5月28日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平18(ワ)5714号・平19(ワ)949号
事件名  手数料請求事件、同反訴請求事件
裁判結果  本訴・反訴請求棄却  文献番号  2007WLJPCA05288020

要旨
◆訴外会社と被告の間の代理店契約について、被告と業務委託契約をした原告が、契約が締結され、手数料の発生要件も被告に生じているとして手数料の支払いを求めた事案において、原告が手数料を求めることができるのは、被告に独占販売権を与える契約が締結された場合であり、本件ではそのような契約が締結されていないとする一方、被告が反訴において返還を求めていた別件の商談に関する手数料については、原告が被告の為に行ってきた交渉業務に対する対価として支払われたものであるから、法律上の原因があるとして、本訴・反訴共に請求を棄却した事例

参照条文
民法643条
民法705条

裁判年月日  平成19年 5月28日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平18(ワ)5714号・平19(ワ)949号
事件名  手数料請求事件、同反訴請求事件
裁判結果  本訴・反訴請求棄却  文献番号  2007WLJPCA05288020

平成18年(ワ)第5714号 手数料請求事件
平成19年(ワ)第949号 同反訴請求事件

東京都港区〈以下省略〉
原告・反訴被告(以下,「原告」という。) 株式会社ステラ・ホールディングス
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 松川雅典
川井一将
長崎市〈以下省略〉
被告・反訴原告(以下,「被告」という。) 株式会社ヴェクト
同代表者代表取締役 B
同訴訟代理人弁護士 山下基之

 

 

主文

1  本訴,反訴各請求を棄却する。
2  訴訟費用は各自の負担とする。

 

 

事実及び理由

第1  請求
1  本訴請求
(1)被告は,原告に対し,559万3125円及びこれに対する平成18年3月31日(訴状送達の日の翌日)から支払済まで年6%の割合による金員を支払え。
(2)被告は,原告に対し,416万8125円を支払え。
(3)被告は,原告に対し,平成19年3月から平成20年2月まで,毎月末日限り,各162万0937円を支払え。
2  反訴請求
原告は,被告に対し,651万円及びこれに対する平成19年1月25日(反訴状送達の日の翌日)から支払済まで年6%の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
本件は,イスラエルのソフトウェア開発企業と被告との間の代理店契約締結に関する業務について,被告との間で業務委託契約(「本件業務委託契約」)を締結し,当該業務に対する成功報酬である「連動型手数料」を含む報酬支払についての覚書(甲第1号証。「本件覚書」)を取り交わした原告が,被告から委託された業務は,被告を日本における代理店とする契約の締結に向けた業務であり,当該契約が締結され,本件覚書で「連動型手数料」発生の要件とした「商談における売上」も被告に生じた以上,上記成功報酬(「連動型手数料」)支払請求権が発生したとして,被告に対し,その支払を求めた(本訴)のに対し,被告が,本件業務委託契約,本件覚書の趣旨,内容を争い,原告に委託した業務は,被告を日本における独占的販売権のある総代理店とするための業務であり,被告が総代理店とならなかった以上,成功報酬である「連動手数料」の支払義務はないと争い,また,従前に成立した別件の商談に関して支払った手数料も,被告が総代理店とならなかった以上,原告の不当利得となるとして,既払手数料の返還を求めた(反訴)事案である。
1  前提事実
(1)当事者
① 被告(平成18年10月11日変更後の商号。従前は,「株式会社クリエイトパワー」)は,ソフトウェアの開発,販売,保守等を業とする会社であり,自動車教習所向けのソフトウェアについて,日商岩井九州との間に取引関係があった。
② Cは,平成15年6月末日まで日商岩井九州株式会社代表取締役副社長兼長崎支店長,同年7月1日から同年9月末まで同社監査役であり,平成15年10月から平成16年11月まで,水処理プラントメーカーであるイスラエルCQM社の日本代理店である株式会社テクノフロンティアの代表取締役であった。原告は,平成15年11月5日,ソフトウェアの取得,仲介等を業として,Cが,妻Dを代表取締役として設立した会社であり,平成16年10月1日以降,Cの子であるAが代表取締役となっている。
(2)Cによる被告に対するリタリックス社の紹介
① イスラエルのリタリックス社は,ソフトウェア開発等を業とする会社であり,POS関連ソフトウェア製品(小売店等における売上情報管理システム)を開発,保有していた。
② 平成15年4月,日商岩井九州副社長兼長崎支店長であったCは,被告に対し,リタリックス社を紹介し,その後,リタリックス社のアジア営業担当のEとの面談を設定し,同年5月ないし6月,来日したEとC,日商岩井九州におけるCの部下F,被告代表者B,被告副社長Gが面談した。
③ 平成15年8月末から9月初めにかけて,C,F,被告代表者B,被告副社長Gが,イスラエルに赴き,リタリックス社を訪問して,約1週間のワークショップセミナー(商品紹介の講習)に参加し,その後,ロンドンで,リタリックス社のソフトウェアが実際に導入されているイギリスの大手小売業者テスコ社,セインズベリー社を訪問,視察した。
(3)Cの日商岩井九州退職
Cは,平成15年6月末日まで日商岩井九州株式会社代表取締役副社長兼長崎支店長であったが,平成15年7月1日からは同社監査役となっており,平成15年9月末,日商岩井九州を退職した。
(4)日商岩井九州の合併
平成15年10月1日,日商岩井九州は,ニチメン九州株式会社と合併して,ニチメン日商岩井九州株式会社となった(なお,その後,「双日九州株式会社」と商号が変更された。以下,その前後を問わず,原則として「日商岩井九州」と表記する。)。
(5)原告の設立等
日商岩井九州を平成15年9月末退職したCは,平成15年10月から,テクノフロンティアの代表取締役となり,また,リタリックス社との交渉等の上で,被告の「会長」という肩書を使用することとなった(ただし,被告の取締役とはなっていない。)。そして,平成15年11月5日,原告が設立された。
(6)被告とリタリックス社との間の代理店契約
被告とリタリックス社との間では,リタリックス社のソフトウェア販売等に関し,平成15年11月7日付ソフトウェア代理店契約(甲第6号証,乙第3号証の1。「本件代理店契約」)が締結された。
なお,本件代理店契約書の取り交わしに至るまでの経過は,まず,平成15年11月7日付契約書(乙第1号証)が暫定的にEとの間で取り交わされたが,その後の修正を経て,平成15年12月24日付契約書(乙第2号証)が取り交わされ,その後,平成16年1月,日付を当初契約日とした本件代理店契約書が取り交わされたものである。
① 本件代理店契約には,契約期間を2年間とし,3年目から5年目末まで自動更新され,その後は,毎年自動更新される旨の条項がある。
② また,本件代理店契約には,本件リタリックス社は,被告の書面による事前承諾を条件として,日本国内の顧客に対し,ソフトウェアの使用許諾をすることができる旨の条項がある。
(7)被告からC又は原告に対する月額30万円の支払
① Cと被告とは,平成16年1月から,被告が月額30万円を支払うことを合意した。
② 被告は,平成16年1月から平成17年1月まで13か月間にわたり,合計390万円を支払った(なお,被告は,これらは本件覚書の「固定手数料」に相当するものであり,本件覚書では12か月間支払うこととされているが,実際には13か月間支払ったと主張し,原告は,このうち,平成16年1月に支払われた30万円は,C個人に対する報酬であって,本件覚書の「固定手数料」とは別であると主張する。)。
(8)原告が本件報酬請求の根拠とする平成16年4月1日付本件覚書(甲第1号証)の記載
別紙のとおりであり,本件覚書の前文には,原告と被告は,リタリックス社のPOS関連ソフトウェア製品の被告による日本における「総代理権取得(以下「代理権取得」)に際して,原告が被告に提供したコンサルテーション業務,諸関係者との調整業務及びその他支援業務に関し,以下のとおり合意した。」として,本件覚書に定める報酬の対価である業務が既に提供されたかのように,過去形で記載されており,また,第一条も,「原告の業務」について,原告は,「(1)案件推進に関わる全般的な業務支援,コンサルティング,(2)被告とリタリックス社,その他関係者との調整業務,(3)契約書締結,それに関わる業務」を「提供した」と過去形で記載されており,さらに,第二条も,被告は,原告の「提供した業務への対価として」と過去形の記載をした上で,「固定手数料」,「連動型手数料」を支払う旨記載されている。
(9)Cの被告監査役就任
平成16年6月,Cが,被告の監査役となった。
(10)ドラッグイレブンとの契約成立
平成16年12月16日,売主双日九州と買主ドラッグイレブンとの間で,ソフトウェア納入,使用許諾,開発にかかる契約(甲第8号証)が成立した。
(11)平成16年12月16日付販売代理店契約修正契約
上記(10)のドラッグイレブンとの契約が成立したことを踏まえて,Eと被告との間で,リタリックス社が被告に対し,独占的,譲渡可能な権利を付与すること,契約期間を5年間とし,その後1年毎に自動更新すること,ただし,平成17年1月末のリタリックス社の取締役会の承認が得られて初めて効力を生ずることが規定された平成16年12月16日付販売代理店契約修正契約(乙第6号証の1)が取り交わされた。
(12)ドラッグイレブンとの契約に関する原告に対する報酬支払
平成17年6月5日,被告は,原告に対し,651万円を支払った。
上記651万円との金額は,1億円の5%である500万円と6000万円の2%である120万円の合計620万円に消費税を加算して算出されている。
(13)Cの被告監査役・会長退任等
平成17年6月,Cは,被告の監査役を退任し,平成17年9月,被告の「会長」を退任した。
(14)Hの被告会長就任
平成17年9月,Hが被告の会長に就任した。
(15)全日食との契約成立
平成18年2月13日,リタリックス社が開発,保有するソフトウェアにつき,リタリックス社,その日本の販売代理店である被告,双日九州と全日本食品株式会社(「全日食」)との間で,ソフトウェア使用許諾契約(甲第2号証)が成立した。
2  原告の主張
(1)本訴請求原因
① 原告代表者Aの父Cと被告は,平成15年4月ころ,イスラエルのリタリックス社のPOS関連ソフトウェア製品の販売(「リタリックス事業」)について,被告がリタリックス社の日本における代理店の権利を取得することに関し,次の内容の合意をした。
Cは,被告をリタリックス社の日本における代理店とするにつき,その推進に関わる全般的な業務支援とコンサルティング,調整業務,契約締結業務等のサービスを提供する。
② Cは,上記サービスを提供し,平成15年11月7日,被告とリタリックス社との間に,本件代理店契約が締結された。
③ Cがした上記業務に対する対価として,被告が,Cが指定した原告に対し,次の報酬を支払うことが平成16年4月1日付本件覚書により合意された。
固定手数料 360万円
連動型手数料 被告の売上の5%(被告の受領日から30日以内に支払う。)
④ 被告は,平成18年2月13日,被告と全日食,双日九州との間で,リタリックス事業のソフトウェアライセンス料金総額6億1500万円(消費税別),弁済期は,1億1775万円(消費税別)につき平成18年2月末,8775万円(消費税別)につき平成18年12月末,4億0950万円(消費税別)につき平成19年1月末から同年12月末まで毎月3412万5000円ずつとし,被告と双日九州との間の内部的な売上比率を被告95%,双日九州5%とする契約が成立した。
⑤ よって,原告は,被告に対し,本訴請求記載の金員の支払を求める。
(2)本件覚書作成の事情
① 被告は,被告とリタリックス社の代理店契約締結にかかる業務は,日商岩井九州として行っていたことであり,Cが個人として関わるはずがないと主張するが,当初は,日商岩井九州として関わっていたものの,中途で,Cの退職という事態となったため,退職が現実化した平成15年9月ころから,退職後も,本件業務を成功に導くために,C個人として,本件業務を遂行し,平成15年11月7日にリタリックス社と被告との代理店契約が締結され,その後修正があったものの,平成16年3月末には一応の終了をみたため,平成16年4月1日,成功報酬契約書である本件覚書を作成したものである。
② 本件覚書記載の報酬は,被告をリタリックス社の総代理店にすることやその後の業務提供の対価として定めたものではなく,商法543条所定の商行為の媒介による報酬であり,原告がリタリックス社と被告との間の代理店契約締結を仲立し,同契約が成立した以上,報酬請求権があるというべきである。
3  被告の認否,反論
(1)本訴請求原因①について
否認する。
① そもそも,リタリックス事業は,日商岩井九州が新規ビジネスとして検討していたものの一つであり,日商岩井九州が,同社主導で,被告に対し,共同での事業展開を売り込んできたものであって,両社間で業務委託契約書(乙第15号証)の作成を検討し,イスラエルのリタリックス社視察等の費用や視察の報酬も日商岩井九州が負担した(乙第16号証の1ないし3,第17,第18号証)のである。
② 被告は,上記視察後,日商岩井九州と共同でリタリックス事業に取り組むことを決意し,上記業務委託契約締結の詰めに入ったが,折から,日商岩井九州がニチメン九州との合併問題のため,同社主導による事業計画を変更するに至り,平成15年10月ころ,被告がリタリックス社の代理店となり,日商岩井九州が顧客の開拓,営業,契約締結のサポート等を行うという事業計画となった。被告は,日商岩井九州,日商岩井の支援を受け,平成15年11月7日,リタリックス社との間で,本件代理店契約を締結し,日商岩井九州との間で,顧客開拓,営業,契約締結サポート業務等の対価として,被告の販売価格の5%を支払う旨の合意をした。
③ Cは,平成15年6月末までは,日商岩井九州副社長兼長崎支店長として,平成15年7月1日から9月末までは同社監査役として,日商岩井九州の上記業務に関わったものであり,イスラエルのリタリックス社視察等も,日商岩井九州の費用負担で,同社の業務として行っていたものである。Cは,リタリックス社と被告との交渉を個人として行っていたかのように述べるが,日商岩井九州の役員であったCが,個人としてそのようなことを行うことは競業避止義務に違反するものであり,日商岩井九州の取締役会の承認もない。
④ 原告は,リタリックス事業について,平成15年4月ころ,C個人として被告との間で契約をしたと主張するが,あり得ないことである。
原告の上記主張は,Cが競業避止義務違反となる契約を自ら締結したとする内容であって,その意味でもあり得ないと考えられる。また,前記のとおり,日商岩井九州は,初めは,同社主導で,被告に対し,共同でリタリックス事業に取り組むことを提案していたのであり,被告がこれに応ずることとしたのは,平成15年9月のことである。被告自身がリタリックス社の代理権取得を目指すようになったのは,平成15年10月のことであって,原告がC個人と被告とが契約をしたと主張する平成15年4月ころという時期は,日商岩井九州が新規ビジネスとして,リタリックス社のソフトウェアの事業の調査,企画を検討していたにすぎず,被告に対する売り込みすらされていない。
(2)本訴請求原因②について
平成15年11月7日,被告とリタリックス社との間に,本件代理店契約が締結されたこと,本件代理店契約締結につき,Cの働きがあったことは認めるが,それによって,原告主張の報酬請求権が発生することは争う。
(3)本訴請求原因③について
本件覚書が作成されたことは認めるが,その趣旨は争う。
① 本件覚書は,既に終了したCの業務に対する報酬支払を約したものではなく,被告とリタリックス社との間で,被告が,リタリックス社の日本における総代理店となる契約を締結するための交渉業務を原告に委託し,被告がリタリックス社の日本における総代理権を取得した場合に所定の報酬を支払うことを約した成功報酬契約である。
② 平成16年4月前,被告は,リタリックス社と交渉していたCから,被告が総代理権を取得することができると聞き,また,リタリックス社からも,被告が日本における顧客第1号を獲得した段階で総代理権を取得させてもよいと口頭で言われていた。そこで,被告は,原告との間で,固定手数料月額30万円を支払うほかに,総代理権を取得した場合に備えて,平成16年4月1日,総代理権取得業務の対価として,成功報酬を支払う旨約し,その証として本件覚書を作成したのである。
③ 本件覚書作成の時点では,総代理権は取得することができていなかったのであり,本件覚書は,総代理権を取得した場合に備えて,これを取得した際に,原告が被告に提供したコンサルテーション等の業務に対する対価として,成功報酬である連動型手数料を支払うことを約したものであって,同作成時点で,既に被告が原告に対して固定手数料の支払を開始しており,また,原告も委託された業務を開始していたため,過去形が用いられたにすぎない。
④ 本件覚書で合意された連動型手数料率が売上の5%という非常に高額なものとされ,しかも,全商談の売上に対するものとして合意されたのは,原告が被告に総代理権を取得させること,原告が被告のために顧客を獲得する業務を行うことの対価だからであり,総代理権取得と業務遂行を前提として初めて理解することができる。
⑤ また,本件覚書で,契約期間が5年間とされたのは,後に締結された平成16年12月16日付販売代理店契約修正契約(乙第6号証の1)のように,総代理店契約の契約期間を5年間とすることを想定していたからであり,既に成立していた平成15年11月7日付の本件代理店契約(甲第6号証,乙第3号証の1)では,契約期間が2年間とされているのであるから,本件覚書が本件代理店契約を前提としたものではないことは明白である。
⑥ なお,原告の本訴請求の内容は,平成15年11月7日付の本件代理店契約締結により原告のすべき業務は全て終了しており,平成21年3月31日まで,原告は,何の業務も行うことなく,被告が顧客を獲得して契約を締結する毎に売上の5%を取得するという法外な内容のものであり,原告の本訴請求に理由がないことは明らかである。
⑦ なおまた,原告は,平成17年3月以降,被告から委託された業務を行わないのみならず,むしろ,被告からの委託の趣旨に反する行為を行ってきたものであって,その点からも,原告は,被告に対し,連動型手数料を請求することはできないというべきである。
すなわち,平成17年3月当時,被告は,リタリックス社ソフトウェア中ストアラインの販売権しか有していなかったが,更にサプライチェーンソフトの販売権取得も当然に予定していたのである。しかるに,原告代表者Aは,全米に50%以上のシェアをもつサプライチェーンソフトの販売権を原告が取得したいと被告に申し出るに至った。原告は,被告との契約上,被告の利益のために行動すべき義務を負う立場にあり,被告から委託された業務の遂行によって得た情報等を利用して,被告の利益を犠牲にして,自己の利益を図ることは許されないことは当然であるのに,水面下で,リタリックス社に対し,サプライチェーンソフトについて自己が代理店となることを働きかけた。原告代表者Aが,平成17年10月にリタリックス社との交渉のため,イスラエルに出向いたのは,被告のための行動ではなく,原告自身が代理権を取得しようとした行動の一環であり,被告から委託された業務などといえるものではない。
(4)本訴請求原因④について
本訴請求原因④の契約が締結されたことは認めるが,Cは,同契約締結に向けた業務を行っていない。
① 平成15年11月に(乙第19号証)被告の会長となったHは,全日食のI社長と20年来の親交があったため,被告は,H会長を通じて,全日食に対し,リタリックス事業の提案をしたものの,平成17年8月当時,全日食は,本部システムの再構築を優先課題としており,リタリックス事業の検討は進まず,価格交渉すらできない状況であった。
② その後,平成17年10月ころから,H会長と被告代表者とが,全日食のI社長との間で,直接,価格交渉等を行い,同年末に至って漸く成約に至ったものであり,Cは,上記契約締結に向けた業務を行っていない。もとより,原告も,原告代表者Aも,上記契約締結に向けた業務を行っていない。
③ したがって,原告には,被告に対する連動型手数料の支払請求権はない。
4  反訴請求原因
(1)平成16年4月1日,原告と被告は,平成15年11月ころ締結した業務委託契約を確認した上で,原告が,被告のために,契約期間である平成16年4月1日から平成21年3月31日までの5年間にわたり,①案件推進に関わる全般的な業務支援,コンサルティング,②被告とリタリックス社,その他関係者との調整業務,③契約書締結,それに関わる業務を行うことを約し,その対価として,被告が,原告に対し,固定額である月額30万円の業務委託手数料のほか,リタリックス社の日本における総代理権を取得することを停止条件として,次のものを追加することを合意した。
① リタリックス社ソフトウェアライセンス:被告の売上の5%
② ST-インプリメント費用:被告の売上の2%
(2)被告は,原告に対し,平成17年6月5日,上記停止条件が成就したものとして,上記合意に基づき,651万円を支払った。
すなわち,被告は,平成16年12月16日,ドラッグイレブンとの間でリタリックス社ソフトウェア納入,使用許諾,開発にかかる契約(甲第8号証)を締結したため,Eとの間で,平成16年12月16日付販売代理店契約修正契約(乙第6号証の1)を締結し,上記停止条件が成就したものとして,原告に対し,651万円を支払ったのである。
(3)しかし,平成16年12月16日付販売代理店契約修正契約には,リタリックス社の取締役会の承認によって効力が発生するとの条項があり,リタリックス社においては,取締役会の承認は得られなかった。なお,平成18年3月には,リタリックス社の日本法人であるリタリックス・ジャパンがリタリックス社の日本における総代理店として営業を始め,上記承認が得られる見込はなくなっている。
(4)被告が原告に支払った上記651万円は,停止条件が成就していないことから,法律上の原因なく,被告の損失において原告が利得しているものであるから,原告には,被告に対し,上記金員を不当利得として返還すべき義務がある。
(5)よって,被告は,原告に対し,反訴請求記載の金員の支払を求める。
5  反訴請求原因に対する認否
反訴請求原因中,停止条件に関する事実及び主張は争う。
第3  当裁判所の判断
1  前提事実に甲第1,第2号証,第3,第4号証の各1,2,第5ないし第21号証,乙第1,第2号証,第3ないし第7号証の各1,2,第8ないし第19号証,証人Cの証言(後記採用しない部分を除く。),証人Fの証言,被告代表者尋問の結果(後記採用しない部分を除く。)並びに弁論の全趣旨を総合すると,次の事実が認められる。
(1)ソフトウェアの開発,販売,保守等を業とする被告と日商岩井九州との間には,被告が開発,販売している自動車教習所向けのパッケージソフトウェアについて,日商岩井九州が顧客を開拓し,顧客と被告との契約を仲介する業務を行う取引関係があった。
(2)日商岩井九州は,平成14年11月ころ,スーパーマーケットを経営する株式会社フジから,POSシステムの紹介を求められ,当時日商岩井九州副社長兼長崎支店長であったCが,イスラエルのリタリックス社のPOSシステムを紹介したのを切っ掛けとして,自らの新規事業としてリタリックス事業を行うことを検討するようになり,被告に対し,ソフトウェアの技術的側面について被告の調査等の協力を求めるとともに,日商岩井九州がリタリックス社の日本における代理店となる構想のもとに,被告との共同事業とする提案をし,平成15年4月,被告に対し,リタリックス社を紹介した。その後,リタリックス社のアジア営業担当のEとの面談が設定され,同年5月ころ,来日したEとC,日商岩井九州におけるCの部下F,被告代表者B,被告副社長Gが面談した。
(3)その後,平成15年8月末から9月初めにかけて,C,F,被告代表者B,被告副社長Gが,イスラエルに赴き,リタリックス社を訪問して,約1週間のワークショップセミナー(商品紹介の講習)に参加し,その後,ロンドンで,リタリックス社のソフトウェアが実際に導入されているイギリスの大手小売業社テスコ社,セインズベリー社を訪問,視察した。これらに要した費用は,全て日商岩井九州が負担した。
(4)上記リタリックス事業については,前記のとおり,当初,日商岩井九州は,自社がリタリックス社の代理店となり,ソフトウェアの開発,販売,保守等を業とする被告に調査等の協力を求めるなどにとどまっていたが,折から,ニチメン九州との合併が近づき,新規投資が困難な状況となったため,平成15年9月以降,リタリックス社の代理店となるのを被告とし,日商岩井九州は,顧客を開拓し,顧客と被告との契約を仲介する業務を行う構想に転換し,被告も,これに応ずることとなった。
(5)この間平成15年6月末日までは,Cは,日商岩井九州の代表取締役副社長兼長崎支店長として,平成15年7月1日からは同社監査役として,上記事業計画の検討,推進に関わってきたが,平成15年9月末,日商岩井九州を退職した。Cが日商岩井九州に在職中に行った上記事業に関する活動は,日商岩井九州としての活動であり,Cが個人として日商岩井九州と別個に行った活動ではない。
(6)平成15年10月1日,日商岩井九州は,ニチメン九州株式会社と合併して,ニチメン日商岩井九州株式会社となった(なお,その後,「双日九州株式会社」と商号が変更された。以下においても,原則として「日商岩井九州」と呼ぶことは前記のとおりである。)。
(7)平成15年9月末に日商岩井九州を退職したCは,平成15年10月から,テクノフロンティアの代表取締役となる一方,リタリックス社と交渉する上で,被告の「会長」という肩書を使用して,被告のために活動することとなった。
(8)平成15年11月7日,被告とリタリックス社のEとの間で,暫定的に,同日付ソフトウェア代理店契約書(乙第1号証)が取り交わされた。
なお,被告とリタリックス社との間のソフトウェア代理店契約の内容については,その後,修正されて,平成15年12月24日付契約書(乙第2号証)が正式な契約書として取り交わされたが,契約関係が平成15年11月7日から生じていたことから,平成16年1月,日付を当初契約日とした本件代理店契約書(甲第6号証,乙第3号証の1)が取り交わされたものである。
① 本件代理店契約には,契約期間を2年間とし,3年目から5年目末まで自動更新され,その後は,毎年自動更新される旨の条項がある。
② また,本件代理店契約には,リタリックス社は,被告の書面による事前承諾を条件として,日本国内の顧客に対し,ソフトウェアの使用許諾をすることができる旨の条項がある。
(9)上記②の条項は,逆にいうと,リタリックス社は,被告の書面による事前承諾を得なければ,日本国内の顧客に対し,ソフトウェアの使用許諾をすることができないことを意味するが,同条項によっては,必ずしもリタリックス社の有するソフトウェアについて,被告が日本における独占的権利を有することになるわけではなく,本件代理店契約によって被告がリタリックス社の日本における「総代理店」となったわけではない。
このような条項となったのは,リタリックス社としては,契約交渉過程における日商岩井九州の積極的関与から,日商岩井九州による販売活動を期待し得たものの,知名度も低く,規模も小さい被告会社を実際に日本における総代理店とした場合に,被告が顧客を確実に得ることができるかどうか不透明であると認識していた結果であるが,他方,被告が実際に日本国内における販売に成功した時点では,本件代理店契約の内容について見直しをする余地があるとしており,被告としては,上記見直しを期待し得る状況にあった。
(10)被告とリタリックス社との間の代理店契約締結に先立ち,平成15年11月5日,原告が設立された。原告は,Cが,妻Dを代表取締役として設立した会社であり,なお,翌平成16年10月1日以降,Cの子であるAが代表取締役となっている。
(11)被告とリタリックス社との間の本件代理店契約では,日本における独占的販売権は認められていなかったが,被告は,Cと相談し,引き続き,代理店としての被告の地位を独占的な総代理店とすべくリタリックス社との交渉を続けることとなり,あわせて,本件代理店契約では,契約期間が2年間とされていたのを5年間とすること,販売権を有するPOSソフトウェアを「ストアライン」だけでなく,とりあえず「リマ」にまで広げ,さらに,将来,「サプライチェーン」まで広げたいとの構想のもとに,リタリックス社との交渉を続けることになった。被告自体には,英語で直接リタリックス社と交渉を進めることができる者がおらず,上記交渉は,専らCがリタリックス社との間で行うことが合意され,被告から原告に対して委託された業務となったものである(以下,この合意を「本件業務委託契約」という。なお,当時の原告代表取締役はCの妻であり,Aはいまだ商社に勤務していて原告の代表者とはなっておらず,実際に交渉業務を行うのはCが想定されていた。)。
(12)本件代理店契約書の前記作成経過,すなわち,平成15年11月7日付の代理店契約書(乙第1号証)が,暫定的なものであり,その後,リタリックス社取締役会を経て,平成15年12月24日付契約書(乙第2号証)の内容でほぼ確定するに至る経過の中で,被告会長の肩書を有するCが,リタリックス社との間で交渉を進めていた事実があったため,被告は,Cに対し,平成15年12月分から,本件業務委託契約に基づく報酬として月額30万円を支払うことを約し,翌平成16年1月から,翌月末払で月額30万円を支払うようになった。
(13)本件業務委託契約後,Cは,リタリックス社のソフトウェアについて被告に独占的販売権を取得させるべく,また,本件代理店契約で定められた契約期間2年間を5年間と変更させるべく,さらに,「ストアライン」だけでなく,「リマ」,「サプライチェーン」の販売権をも獲得させるべく,リタリックス社との交渉を重ねた。
そして,後に,ドラッグイレブンと双日九州との間のソフトウェア納入,使用許諾,開発にかかる契約が成立した平成16年12月16日に至って,リタリックス社のEと被告との間で,平成16年12月16日付販売代理店契約修正契約(乙第6号証の1)が取り交わされるに至ったのである。
(14)一方,平成16年4月1日付で本件覚書(甲第1号証)が作成された。
本件覚書は,本件業務委託契約に基づく原告の業務,すなわち,前記3項目の目標を達成するための原告の業務活動が確実に遂行され,被告がリタリックス社との間で,独占的販売権を取得すること,すなわち,被告がリタリックス社の日本における総代理店となることができるとの前提で,被告が原告に対して支払うべき報酬の具体的内容と支払方法について合意した結果を書面化したものである。本件覚書が書面化される前提となった合意内容は,まず,本件業務委託契約に基づく原告の上記業務の遂行自体に対する報酬として,「固定手数料」月額30万円を支払うことを約すものであり,また,これらの業務遂行の結果,被告がリタリックス社の総代理店の地位を獲得した場合には,成立した契約の売上に対する5%等の成功報酬(「連動型手数料」)を支払うことを約すものであった。
本件覚書の記載内容は,別紙のとおりであり,文章は,Cが書いたものである。実際には,被告が総代理権を取得することはできていないのに,本件覚書の文章の形式上,客観的には,あたかもこれができているかのごとき記載があるなど,本件覚書には,客観的事実とは異なることが記載されており,また,原被告間における本件業務委託契約上の報酬支払の約定を正確に表現した記載となっていないが,被告代表者は,その意味を十分検討せず,Cが記載したままの書面に,漫然と押印してしまった。被告代表者が漫然押印した背景には,被告代表者が総代理権取得がほぼ確実であると認識していたこと,また,既に,前記(12)のとおり,本件業務委託契約に基づく業務遂行自体に対する固定的な報酬として月額30万円を支払う旨の合意が先行して成立しており,かつ,支払が継続的に始められていた事情がある。
(15)平成16年12月16日,売主双日九州と買主ドラッグイレブンとの間で,ソフトウェア納入,使用許諾,開発にかかる契約(甲第8号証)が成立した。
(16)ドラッグイレブンとの上記契約が成立したことを踏まえて,Eと被告との間で,リタリックス社が被告に対し,独占的,譲渡可能な権利を付与すること,契約期間を5年間とし,その後1年毎に自動更新すること,ただし,平成17年1月末のリタリックス社の取締役会の承認が得られて初めて効力を生ずることが規定された平成16年12月16日付販売代理店契約修正契約書(乙第6号証の1)が取り交わされた。しかし,上記取締役会の承認は得られず,その後も,結局,リタリックス社の取締役会の承認は得られなかった。
(17)Cは,平成17年5月末から6月初めにかけてリタリックス社に赴き,リタリックス社取締役会の承認を得べく交渉したが,不首尾に終わった。当時,Cは,上記交渉結果が不首尾であったことを被告代表者に知らせている。
(18)平成17年6月5日,被告は,原告に対し,651万円を支払った。
651万円との上記金額は,双日九州とドラッグイレブンとの契約の双日九州の売上である1億円の5%である500万円に6000万円の2%である120万円の合計620万円に消費税を加算したものであり,一見,本件覚書に記載された計算によるかのようにみえなくもないが,本件覚書自体の記載では,計算の基礎とすべき売上は被告の売上とされ,また,SI・インプリメント費用は,平成17年1月1日以降のものについて支払が約されているのであって,本件覚書記載のとおりの計算をするとすれば,双日九州の売上を基準とすることにはならないし,平成16年12月16日に契約がされたドラッグイレブンとの契約についてSI・インプリメント費用関係の報酬を支払うべきことにはならないのであるが,また,さらに,本件業務委託契約上の成功報酬支払合意の趣旨からすれば,被告がリタリックス社の総代理店の地位を確定的に取得しておらず,そのことは被告代表者も理解していたのであるから,被告には原告に対し成功報酬たる連動手数料を支払うべき義務は発生していなかったのであるが,被告代表者は,Cから上記金員の支払を要望され,それまでの間に,Cがリタリックス社との間で本件業務委託契約の趣旨に沿った交渉を続け,業務努力を続けてきていたことに報いる趣旨で,あえて,Cの要望する上記支払を決断したものである。
(19)そして,平成17年6月,Cは,被告の監査役を退任し,平成17年9月,被告の「会長」を退任し,Hが被告会長に就任した。
(20)その後,Hと被告代表者による交渉を経て,平成18年2月13日,リタリックス社が開発,保有するソフトウェアにつき,リタリックス社,その日本の販売代理店である被告,双日九州と全日食との間で,ソフトウェア使用許諾契約(甲第2号証)が成立した。
以上の事実が認められ,上記認定に反する証人Cの証言,被告代表者尋問の結果の各一部は,前掲各証拠に照らして採用することができない。
双日九州とドラッグイレブンとの間の契約が成立したことを踏まえてEと被告との間で取り交わされた平成16年12月16日付販売代理店契約修正契約(乙第6号証の1)には,平成17年1月末のリタリックス社の取締役会における承認を効力発生要件とする旨明記されているが,被告代表者は,これを上記契約の当時知らなかったし,その後も,平成18年まで知らなかった旨供述するが,乙第6号証の1には手書で上記条項が記載されており,証人Cの証言によれば,上記手書の記載はその場でEが追記したものであることが認められるのであって,その場に被告代表者もいたのであるから,これを知らなかったとする被告代表者の供述は,にわかに採用しがたい。のみならず,そもそも,本件代理店契約締結の経緯において,当初,Eのみによる平成15年11月7日付の暫定的契約書に調印し,その後,リタリックス社の取締役会の承認を経て,平成15年12月24日付の正式な契約書の調印となった経過を被告代表者は自ら経験しているのであるから,Eの署名だけで正式に契約が成立したと考えたとの供述部分もにわかに採用することができない。
また,被告代表者は,Cが平成17年5月末から6月初めにかけてリタリックス社に赴き,リタリックス社取締役会の承認を得べく交渉したが,不首尾に終わった事実を知らされていない旨供述するが,甲第21号証,証人Cの証言によれば,当時,Cが,上記交渉結果が不首尾であったことを被告代表者に知らせていることが認められ,被告代表者の上記供述部分は採用することができない。
2  上記認定事実に基づき,原告の本訴請求について判断する。
(1)まず,原告は,平成15年4月にC個人と被告との間で業務委託契約を締結したと主張し(本訴請求原因①),その業務をほぼ遂行し終えた後,本件代理店契約が成立したことを踏まえて,本件覚書を作成した旨主張するが,本件で問題となっているリタリックス事業は,当初,日商岩井九州が,自らの新規事業として検討していたものであり,日商岩井九州に在職中のCの活動は,日商岩井九州としての活動であると認められることは,前示のとおりである。そして,C個人が,平成15年4月の段階で,被告との間で業務委託契約を締結した事実は,これを認めるに足りる証拠がない。したがって,請求原因①に記載されたとおりの事実は,これを認めることができない。
(2)また,原告の本訴請求は,本件業務委託契約に基づく成功報酬として,全日食との間の契約成立による「連動手数料」の支払を求めるものと理解されるが,本件業務委託契約において上記「連動手数料」報酬を発生させる原告の業務は,被告にリタリックス社のソフトウェアの独占的販売権を取得させる総代理店の地位を獲得させることであるから,これが完了していない以上,原告に成功報酬である「連動手数料」の支払請求権が発生したと認めることはできない。
本件覚書による合意は,原告と被告との間の双務契約である業務委託契約における報酬支払債務の内容を具体化し,その支払方法を約したものと認められるところ,原告は,被告から委託された業務の内容について,単に,被告をリタリックス社の日本における代理店とするための業務であったと主張するが,本件覚書には,被告の報酬支払債務の内容は明記されているのに対し,原告の受託債務については,第一条で「以下業務を提供した」と記載され,当該「以下業務」の内容は,「案件推進に関わる全般的な業務支援及びコンサルティング」などとかなり抽象的に記載されているにとどまり,本件全証拠を総合しても,被告が原告に委託した業務が,単に,被告をリタリックス社の日本における代理店とするための業務であったとの事実は,これを認めることができず,かえって,前記認定の前後の経過と前掲各証拠とに照らすと,本件業務委託契約の趣旨,目的は,リタリックス社との交渉を経て一旦締結された本件代理店契約の内容について,独占的販売権を認める総代理店とすること,契約期間を5年間とすること,販売権の対象ソフトウェアを広げることを目標とする交渉活動を推進するところにあり,成功報酬である「連動手数料」は,被告を総代理店とすることに成功した場合に支払われる約定であったものと認められるのである。
(3)あるいは,原告としては,本件覚書が成立している以上,本件覚書上で被告が支払を約した報酬支払義務はあるはずであると主張したいのかもしれない。しかし,そもそも,原因となる契約等の法律行為の存否を問わず,単に,報酬支払を約しただけで報酬請求権が発生するとの法律構成,すなわち無因契約論は採用することができない。また,原告としては,本件覚書自体の中に,先行する業務委託契約によって合意された原告の債務である受託業務が履行済であることが確認されていると主張したいのかもしれない。しかし,先行する業務委託契約の内容を特定しないまま,債務の発生だけを認めることができないことは上記のとおりであるし,被告から原告に委託された業務が既に履行済であるかのような本件覚書中の記載部分は,客観的事実と異なるものであり,本件覚書中に上記のような記載があることによって,存在しない事実が存在することになるわけではなく,また,もともとの本件業務委託契約の内容が変更されるものでもない。
(4)なお,証人Cは,本件覚書作成当時,既に,本件代理店契約が成立していたため,本件覚書中に過去形の表現を用いて「提供した」と記載した旨証言するが,前記のとおり,被告は,リタリックス社の日本における総代理店とはなっていなかったのであるから,本件覚書に記載された「総代理権取得」との記載は,客観的事実に反している。同証人も,実際には,その後も被告にリタリックス社のソフトウェアについての独占的販売権を取得させるべく,また,他の2項目の目標をも達成すべく努力を続けたことを自認する供述をしており,Eとの間では,ほぼ実現させる合意を取り付けるところまで交渉したことは前記認定のとおりである。
(5)以上のとおり,請求原因①の事実は,これを認めることがきず,本件覚書に定める成功報酬の発生原因となるべき本件業務委託契約上の原告の業務が完了したことも認められず,請求原因③の事実だけでは,請求権を発生させる根拠となる法律行為とならないから,原告の本訴請求は理由がないというほかはない。
3  次に,前記認定事実に基づき,被告の反訴請求について判断する。
(1)被告は,原告に支払った651万円につき法律上の原因がなく,当該金員は,原告が不当利得したことになると主張する。しかしながら,被告の上記主張は採用することができない。
(2)被告の上記主張の趣旨は,上記651万円が本件覚書で定められた報酬であることを前提とするものと解されるが,前記認定のとおり,651万円という金額は,双日九州とドラッグイレブンとの契約の双日九州の売上である1億円の5%である500万円に6000万円の2%である120万円の合計620万円と消費税を加算して算出されたものであって,本件覚書に定められた約定そのものに従って算出されたとはいえず,被告代表者がCからの要望に基づいて支払を決断したものであると認められるところである。被告は,反訴請求原因としては,前記摘示のとおり主張しているが,平成18年10月3日付被告準備書面2の第3の6項においては,Cの陳述書(甲第15号証)17項の「ドラッグイレブンからの受注に成功したことにより連動手数料651万円の支払を受けた」との陳述に対する反論として,「総代理店契約(独占権)取得を見通して原告に支払ったが,本件覚書に定めた計算によると,651万円ではなく,525万円となる。つまり,651万円は本件覚書記載の根拠による支払ではなく,単に原告の資金繰りを救うために支払った」旨被告自身が主張しているのであり,そもそも,本件覚書で定められた報酬は,前示のとおり,原告が,リタリックス社と交渉して,被告を独占的販売権のある総代理店とすることに成功した場合に,被告が原告に対し支払うことを約した成功報酬なのであるから,被告がリタリックス社の日本における総代理店となっていない以上,被告には,本来,支払義務のないものである。そして,被告とEとの間の平成16年12月16日付販売代理店契約修正契約(乙第6号証の1)では,リタリックス社が被告に対し,独占的,譲渡可能な権利を付与し,契約期間を5年間とし,その後1年毎に自動更新することが合意されたものの,その効力の発生は,リタリックス社の取締役会の承認があることにかかっていたのであり,被告代表者は,そのことを知っていたのみならず,現実には,上記取締役会の承認は得られず,その後も,Cが,平成17年5月末から6月初めにかけてリタリックス社に赴くなどして,リタリックス社の取締役会の承認を得べく交渉したが,不首尾に終わっており,そのことも被告代表者は知っていたのであるから,それにもかかわらず,上記金員の支払をしたことは,仮に本件覚書に基づく支払としてしたのであれば,民法705条により返還請求することができないというべきであり,むしろ,前示の事実経過によれば,本件覚書に基づく債務の履行としてされたものではなく,これと別個の原因,すなわち,Cないし原告が被告のために行ってきた交渉業務に対する対価として,Cからの要請に基づき支払うことしたものと認められるのであって,その意味で,法律上の原因のあるものと認めるのが相当である。
(3)したがって,被告が原告に対して支払った前記651万円が原告の不当利得となるとする被告の主張は採用することができず,反訴請求も理由がない。
(裁判官 松本光一郎)

 

〈以下省略〉

 

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